JPH0675515B2 - アンモニアを反応生成物とする生体物質の定量方法 - Google Patents

アンモニアを反応生成物とする生体物質の定量方法

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JPH0675515B2
JPH0675515B2 JP60088851A JP8885185A JPH0675515B2 JP H0675515 B2 JPH0675515 B2 JP H0675515B2 JP 60088851 A JP60088851 A JP 60088851A JP 8885185 A JP8885185 A JP 8885185A JP H0675515 B2 JPH0675515 B2 JP H0675515B2
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洋二 丸井
卓 中野
長蔵 林
剛 藤田
勇 高河原
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【発明の詳細な説明】 本発明はアンモニアまたは尿素を反応生成物とする生体
物質の定量方法に関するものである。
更に詳細には、本発明は、検体中にすでに存在するアン
モニア又はアンモニアと尿素をあらかじめ消費させ、ア
ンモニア又は尿素を反応生成物とする生体物質を正確に
測定する方法に関するものである。
一般に、尿、血液等の検体に存在する尿素、クレアチニ
ン、クレアチン、グアニン、アデノシンなどを検出した
り、これら物質に関与する各種酵素の活性を測定するこ
とは普通に行なわれている。
そして、これら物質の検出や酵素反応においては、アン
モニアを生成させ、生成したアンモニアをGlDH(グルタ
ミン酸脱水素酵素)によってグルタミン酸に変換し、こ
の際NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレチオ
ド)→NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)
の共役反応によって減少するNADHの量を340nmで測定し
て定量していた。
しかし、この反応系では必ずアンモニアを生成するため
に、そもそも検体中に存在するアンモニアが測定値に含
まれてしまって、正確な定量を困難にしていた。
そこで、そもそも検体中に存在するアンモニアを前処理
でGlDHによってα−KG(α−ケトグルタル酸)と反応さ
せてグルタミン酸に変換させてしまえば問題はなくなる
のである。そして、このアンモニア→グルタミン酸の系
にはNADH→NAD+の変化を伴なうために、NAD+→NADHの逆
反応でNADHに戻す必要があり、この際イソクエン酸を基
質としてiCDH(イソクエン酸脱水素酵素)とマグネシウ
ムイオン又はマンガンイオンなどの金属イオンによって
共役反応を生起させることができる。この反応系は、次
の式(I)に示される。
式(I)に示されるように、検体中のアンモニアの消費
と尿素を分解して得たアンモニアの測定は同じ共役反応
によって行うことができるのであるが、検体中のアンモ
ニアの消費が完了したらNAD+→NADHの反応が完全に停止
されてはじめて尿素を分解して得たアンモニアの正確な
定量が行なえるのである。
そこで、問題となるのは、式(I)におけるNADHNAD+
においてNAD+→NADHの反応をいかにして完全に停止させ
るかであった。従来、NAD+→NADHの反応を完全に停止さ
せることは知られていなかった。
本発明者らは、上述の式(I)及び式(II)における を完全に停止させアンモニア又は尿素を反応生成物とす
る生体物質を正確に測定する方法を求めて鋭意研究した
ところ、ATP又は/及びキレート剤の添加によって、 の反応を完全に停止させることに成功したのである。
本発明は、検体にGlDH、α−KG、NADH、イソクエン酸、
マグネシウムイオンまたはマンガンイオンなどの金属イ
オンおよびiCDHを添加混合し、検体中にすでに存在する
アンモニアを消費せしめ、次いでATP又は/及びキレー
ト剤を添加し、iCDH反応を停止し、これと同時もしくは
しかる後反応生成物としてアンモニアを生成せしめる酵
素を添加して、生成するアンモニアを測定することを特
徴とするアンモニアを反応生成物とする生体物質の定量
方法である。
また、本発明は検体にGlDH、α−KG、NADH、イソクエン
酸、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンなどの金
属イオン、ウレアーゼおよびiCDHを添加混合し、検体中
にすでに存在するアンモニア及び尿素を消費せしめ、次
いでATP又は/及びキレート剤を添加し、iCDH反応を停
止し、これと同時もしくはしかる後反応生成物として尿
素を生成せしめる酵素もしくは酸素群を添加して、生成
するアンモニアを測定することを特徴とする尿素を反応
生成物とする生体物質の定量方法である。
ここで、金属イオンとはマグネシウムイオン、マンガン
イオン、鉄イオン、銅イオン、亜鉛イオン、スズイオ
ン、カルシウムイオンなどを云うが、これらのイオン種
に制限されることはない。
また、キレート剤とはEDTAおよびその塩、1,2−ビス
(o−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N′,N′−四酢
酸およびその塩、トランス−1,2−シクロヘキサンジア
ミン−N,N,N′,N′−四酢酸およびその塩、ジヒドロキ
シエチルグリシンおよびその塩、1,3−ジアミノプロパ
ノール−N,N,N′,N′−四酢酸およびその塩、ジエチレ
ントリアミン五酢酸およびその塩、エチレンジアミンジ
オルトヒドロキシフェニル酢酸およびその塩、エチレン
ジアミン二酢酸およびその塩、エチレンジアミン二プロ
ピオン酸およびその塩、ヒドロキシエチルエチレンジア
ミン三酢酸およびその塩、エチレンジアミンテトラキス
(メチレンホスホン酸)およびその塩、グリコールエー
テルジアミン四酢酸およびその塩、ヒドロキシエチルイ
ミノ二酢酸およびその塩、イミノ二酢酸およびその塩、
ジアミノプロパン四酢酸およびその塩、ニトリロ三酢酸
およびその塩、ニトリロ三プロピオン酸およびその塩、
ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)およびその塩、
トリエチレンテトラミン六酢酸およびその塩などを云う
が、これらのキレート剤に制限されることはない。
本発明はATP又は/及びキレート剤の添加によって上記
式(II)→式(III)への変化を行わせるものである。
即ち、検体中のアンモニア又は/及び尿素の完全消費を
式(II)で行わせ、完全消費ののち反応系にATP又は/
及びキレート剤を添加し、 の反応を停止させるものである。
iCDHの反応を停止させた後は、ATP又は/及びキレート
剤の添加と同時もしくはその後で検体中にアンモニアを
生成せしめる酵素、又は、尿素を生成せしめる酵素もし
くは酵素群を添加し、アンモニアからグルタミン酸への
共役反応としてNADH→NAD+の反応にともなう340nm吸光
度の減少によってそれぞれの物質を定量するものであ
る。
アンモニアを生成せしめる酵素の反応としては次の式
(IV)が示される。
即ち、ウレアーゼによって尿素が定量され、クレアチニ
ンデイミナーゼによってクレアレチンが定量され、グア
ナーゼによってグアニンが定量され、アデノシンデアミ
ナーゼによってアデノシンが定量されるのである。ま
た、本発明のこれらの反応は、これら酵素の活性を測定
をも包含するものである。
また、尿素を生成せしめる酵素もしくは酵素群の反応と
しては次の式(V)が示される。
即ち、すでに尿素が消費させた系において、クレアチナ
ーゼによってクレアチンが定量され、アルギナーゼによ
ってアルギニンが定量され、クレアチナーゼとクレアチ
ニナーゼによってクレアチニンが定量される。また、本
発明のこれら反応は、これら酵素の活性の測定をも包含
するものである。
本発明においては、検体中の被検物を分解し、NADH→NA
D+の反応によってNADHを消費して正確な被検物の定量を
行うものである。
本発明において用いる、APT又は/及びキレート剤によ
るiCDH反応の停止は、反応を停止したそのままの媒質で
NADH→NAD+の反応を用い各種反応が行える点できわめて
有用である。
反応系に対するATPの添加量は15mM以上であればよい。
第1図はiCDH活性におよぼすATPの濃度の影響をみた図
であるが、ATP濃度が15mM以上でiCDHは完全に活性を失
っているのが分る。
また、反応系に対するキレート剤、例えばEDTAの添加量
は10mM以上であればよい。第2図はiCDH活性におよぼす
EDTA濃度の影響をみた図であるが、EDTA濃度が10mM以上
でiCDHは完全に活性を失っているのが分る。
次に、本発明の実施例を示す。
実施例1 α−KG 10mM NADH 0.16mM イソクエン酸 5mM ADP 0.5mM MgCl2 1mM GlDH 100u/ml iCDH 2u/ml 以上を含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)2.4mlに160m
Mアンモニアを含む様々な濃度に調整した尿素含有検体
(尿素態−窒素として0〜1000mg/dl)30μl添加し
た。それぞれ37℃で5分間保温したのちATP、ウレアー
ゼ濃度がそれぞれ20mM、0.1u/mlになるようにATP、アレ
アーゼ混液を0.6ml加え分光光度計により25℃での340nm
の1分間における吸収の減少から検体中の尿素態−窒素
を測定した測定結果を下に示す。
実施例2 α−KG 10mM NADH 0.16mM イソクエン酸 5mM ADP 0.5mM MgCl2 1mM GlDH 100u/ml iCDH 2u/ml 以上を含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)2.4mlに160m
Mアンモニアを含む様々な濃度に調整した尿素含有検体
(尿素態−窒素として0〜1000mg/dl)30μl添加し
た。それぞれ37℃で5分間保温したのちEDTA、ウレアー
ゼ濃度がそれぞれ10mM、0.1u/mlになるようにEDTA、ウ
レアーゼ混液を0.6ml加え分光光度計により25℃での340
nmの1分間における吸収の減少から検体中の尿素態−窒
素を測定した測定結果を下に示す。
実施例3 α−KG 10mM NADH 0.2mM イソクエン酸 10mM ADP 1mM MgCl2 0.4mM GlDH 100u/ml iCDH 4u/ml 以上を含有する0.1Mトリス塩酸(pH7.5)2.88mlに100mM
アンモニアを含む様々な濃度に調整したクレアチニン含
有検体(A=12mg/dl、B=24mg/dl、C=48mg/dl、D
=96mg/dl)20μl添加した。それぞれ37℃で10分間保
温した後、ATP、クレアチニンデイミナーゼ濃度がそれ
ぞれ20mM、3u/mlになるようにATP、クレアチニンデイミ
ナーゼ混液を100μl加え、分光光度計により37℃での3
40nmにおける吸光度変化を測定した。
△E,A=0.044、B=0.087、C=0.175、D=0.352であ
った。
これを次式により計算した結果、検体中にすでに存在し
ていたアンモニアは完全に消去され、引き続き測定され
るクレアチニンの定量に影響なく、検体中のクレアチニ
ン含量が定量された。
クレアチニン量 △E=NADHの減少による吸光度変化 6.2=NADHの1mMの吸光度 3.00=全反応液量(ml) 0.02=検体量(ml) 113=クレアチニンの分子量
【図面の簡単な説明】
第1図はiCDH活性におよぼすATP濃度の影響をみた図
で、第2図はiCDH活性におよぼすEDTA濃度の影響をみた
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−31697(JP,A) 特開 昭59−31700(JP,A) 丸尾文治、田宮信雄監修「酵素ハンドブ ック」朝倉書店(1982−12−1)P.15− 16 Biochemical J,229 (3),P.817−822,1985 Arch Biochem Bioph ys,240(1),P.128−134,1985

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】検体にGlDH、α‐KG、NADH、イソクエン
    酸、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンなどの金
    属イオンおよびiCDHを添加混合し、検体中にすでに存在
    するアンモニアを消費せしめ、次いでATP又は/及びキ
    レート剤を添加し、iCDH反応を停止し、これと同時もし
    くはしかる後反応生成物としてアンモニアを生成せしめ
    る酵素を添加して、生成するアンモニアを測定すること
    を特徴とするアンモニアを反応生成物とする生体物質の
    定量方法。
  2. 【請求項2】検体にGlDH、α‐KG、NADH、イソクエン
    酸、マグネシウムイオンまたはマンガンイオンなどの金
    属イオン、ウレアーゼおよびiCDHを添加混合し、検体中
    にすでに存在するアンモニア及び尿素を消費せしめ、次
    いでATP又は/及びキレート剤を添加し、iCDH反応を停
    止し、これと同時もしくはしかる後反応生成物として尿
    素を生成せしめる酵素もしくは酵素群を添加して、生成
    するアンモニアを測定することを特徴とする尿素を反応
    生成物とする生体物質の定量方法。
JP60088851A 1985-04-26 1985-04-26 アンモニアを反応生成物とする生体物質の定量方法 Expired - Lifetime JPH0675515B2 (ja)

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BiochemicalJ,229(3),P.817−822,1985
丸尾文治、田宮信雄監修「酵素ハンドブック」朝倉書店(1982−12−1)P.15−16

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