JPH0675250A - 液晶表示パネル及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示パネル及びその製造方法

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JPH0675250A
JPH0675250A JP23019792A JP23019792A JPH0675250A JP H0675250 A JPH0675250 A JP H0675250A JP 23019792 A JP23019792 A JP 23019792A JP 23019792 A JP23019792 A JP 23019792A JP H0675250 A JPH0675250 A JP H0675250A
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孝 井上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アクティブマトリクアレイにMIM型非線形
素子を用いても、第一の金属層であるTa膜の結晶構造
をかえて、表示性能が向上可能な液晶表示パネルおよび
その製造方法を実現すること。 【構成】 MIM型非線形素子を構成する第一金属電極
層であるTa膜に急加熱および急冷却処理を施して結晶
構造を体心立方格子にし、電圧印加時の素子特性の安定
化を図る事及び低電圧印加時の電流値を低減する。この
とき陽極酸化の化成液はリン酸またはアンモニアを含ん
だ水溶液にするとより効果があがる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示パネルおよびそ
の製造方法に関し、特に、そのMIM型非線形素子の液
晶保持機能の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アクティブマトリクス方式の液
晶表示パネルにおいては、画素領域ごとに非線形素子を
設けてマトリクスアレイを形成した一方側の基板と、カ
ラ−フィルタが形成された他方側の基板との間に液晶を
充填しておき、各画素領域ごとの液晶の配向状態を制御
して、所定の情報を表示する。ここで、非線形素子とし
て薄膜トランジスタなどの3端子素子または金属−絶縁
体−金属(MIM)型非線形素子などの2端子素子を用
いるが、液晶表示素子に対する画面の大型化および低コ
スト化などの要求に対応するには、MIM型非線形素子
を用いた方式が有利である。しかも、MIM型非線形素
子を用いた場合には、マトリクスアレイを形成した一方
側の基板に走査線を設け、他方側の基板には信号線を設
けることができるので、3端子素子の不良の大きな原因
となっている走査線と信号線とのクロスオ−バ−短絡が
発生しないというメリットもある。
【0003】このようなMIM型非線形素子を用いたア
クティブマトリクス方式の液晶表示パネルにおいては、
図4に示すように、各画素領域2で各走査線401と各
信号線402との間にMIM型非線形素子1(図中、バ
リスタの符号で示す。)と液晶表示素子3(図中、コン
デンサの符号で示す。)が直列接続された構成として表
され、走査線401および信号線402に印加された信
号に基づいて、液晶表示素子3を表示状態および非表示
状態あるいはその中間状態に切り換えて表示動作を制御
する。
【0004】図5(a)の501で示すように、MIM
型非線形素子1において、印加電圧VNLと電流INLとは
非線形性の関係を有している。MIM型非線形素子1の
しきい値電圧をVth、液晶表示素子3のしきい値電圧を
b、表示状態となる電位を(Vb+△V)とすると、図
5(b)に示すように選択期間では、所定の画素領域2
における走査線401と信号線402との間の電位差V
(単位画素への印加電圧)を(Vb+Vth)とすること
によって、液晶表示素子3を非表示状態とする事がで
き、走査線401と信号線402との間の電位差Vを
(Vb+Vth+△V)とすることによって、液晶表示素
子3を表示状態とする事ができる。一方、非選択期間で
は単位画素に印加する電位Vを、液晶表示素子3に残留
した電位に対して概ね近接する様に設定しその差がVth
以下であれば、非選択期間内でMIM型非線形素子1は
常に遮断状態となり、選択期間に定められた状態をその
まま維持する事になる。
【0005】以上は、容量が十分小さく、電圧−電流特
性の非線形性が十分高い理想的なMIM型非線形素子1
を得る事ができた場合の最も基本的な動作例である。実
際には、MIM型非線形表示素子1は、液晶表示素子3
に対して容量比が小さい事や電圧−電流特性の不十分な
非線形性などの問題が存在するために、非常に複雑な駆
動法(印加電圧波形)が考案され、使用されている。
【0006】MIM型非線形素子1は、図3に示すとお
り、透明基板11の表面側に形成されて、走査線401
を介して走査回路側に導電接続するTa膜12と、その
表面側のTaOX膜13と、その表面側に形成されて画
素電極14に導電接続するCr膜15とから構成されて
いる。また、TaOX膜13は、Ta膜12の表面に膜
厚が均一で、しかもピンホ−ルがない状態で形成される
ように、Ta電極12に対する陽極酸化によって形成さ
れる。
【0007】この構造を実現する一般的なプロセス例は
以下のようになる。
【0008】1.ガラス基板上に、Ta膜をスパッタリ
ングで堆積し、熱酸化をすることで、約1000ÅのT
25膜を形成する工程と、 2.次に、スパッタリング法でTa膜を約5000Å堆
積し、パタ−ニングする工程と、 3.次に、例えば、リン酸の希薄水溶液を化成液とし3
0Vで陽極酸化しTaOX膜を形成する工程と、 4.次に、真空中で400〜600℃の温度で1〜2時
間熱処理する工程と、 5.次に、MIM型非線形素子の上電極となるCrを1
500Å程スパッタリング法で堆積し、パタ−ニングす
る工程と、 6.次に、画素電極となるITO膜をスパッタリング法
で約2000Å堆積し、パタ−ニングする工程からな
る。
【0009】従来は、走査線401ともなるTa膜12
を、スパッタリングで堆積すると、結晶構造が正方晶で
あるTa膜となっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、MIM
型非線形素子1を用いた液晶表示パネルにおいては、従
来よりMIM型非線形素子1の非選択期間での漏洩電流
が大きく、クロストークが発生し、その結果コントラス
トの低下を招き、表示性能が低くなるという問題点があ
った。その原因として、本発明ではマトリクスアレイの
各構成要素と表示性能との関係を調査した結果、その原
因がMIM型非線形素子1を構成するTa膜12の結晶
構造と関連があることを確認した。
【0011】すなわち、スパッタリングで堆積されたT
a膜12は、結晶系が正方晶になって(一般にβ相と呼
ばれている)比抵抗が約185μΩ・cmと普通の金属
よりも1桁ほど高いために、走査線401の負担が重く
なり、信号遅延が問題となりやすく駆動方法に制約が多
くなって、パネルの画質,大きさやコストの最適化が難
しくなる。次に、このTa膜12を用いたMIM型非線
形素子1において、印加電圧VNLと電流INLとの関係
が、図5(a)の501で示す関係であるとする。この
とき、MIM型非線形素子1が非選択状態のときには、
最大Vthの電圧がMIM型非線形素子1にかかることに
なる。ここで、Vthの電圧をMIM型非線形素子1に印
加すると、漏洩電流が大きく液晶に書き込まれた情報を
保持しにくいためにクロストークが発生し、その結果が
コントラストの低下を招くことになり、表示性能が良く
なかった。
【0012】上記の問題を解決するために、本発明は、
Ta膜12の結晶構造を制御し体心立方格子に近ずけ走
査線401をもなすTa膜12の抵抗値を低下させ、T
aOX膜13を堆積するさいの陽極酸化電解液を定める
ことで、MIM型非線形素子1への印加電圧VNLがVth
のときに流れる電流INLを小さくするように改質をはか
ることを提案するものである。Ta膜の結晶構造の制御
は、Ta膜をスパッタリング法などで堆積した後に、レ
−ザ−アニ−ルやランプアニ−ル等を施す工程を付け足
すことで達成できるので、MIM型非線形素子1を用い
たアクティブマトリクス方式のコストメリットを確保し
ながら、表示性能が向上可能な液晶表示パネルおよびそ
の製造方法を実現することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明に係わる液晶表示パネルにおいて講じた手
段は、透明基板の表面側に形成されたマトリクスアレイ
の各画素に、その駆動回路側に導電接続する第一の金属
電極層と、この金属電極層表面に形成された陽極酸化膜
と、この陽極酸化膜の表面側に形成された第二の金属電
極層とによって金属−絶縁膜−金属(MIM)型非線形
素子が構成されており、前記第一の金属層は体心立方格
子であって膜抵抗が30μΩ・cm以下のTa膜を用い
ることである。ここで、画素電極は一般に第二の金属電
極層の側に導電接続するように形成されている。
【0014】また、体心立方格子で膜抵抗が30μΩ・
cm以下のTa膜を作製するためには、スパッタリング
で膜を堆積後、レ−ザ−アニ−ルやランプアニ−ル等の
急加熱、急冷却が行えるアニ−ルを実施すればよい。
【0015】
【実施例】以下、本発明について、実施例に基づき詳細
に説明する。ここで、マトリクスアレイの構造を図3,
4を用いて説明する。
【0016】本例に係わるアクティブマトリクス方式の
液晶表示パネルにおいては、図3および図4に示すよう
に、マトリクスアレイの画素領域2ごとに、走査線20
1を介して走査回路(駆動回路)側に導電接続するTa
膜12(第一の金属電極層)と、このTa膜の表面に陽
極酸化により形成されたTaOX膜13(陽極酸化膜)
と、この陽極酸化膜13の表面側に形成されて、ITO
膜(透明伝導膜)からなる画素電極14に導電接続する
Cr膜15(第二の金属電極層)とによってMIM型非
線形素子1が構成されている。
【0017】ここで、Ta膜12の比抵抗は30μΩ・
cm以下にすればよい。このとき、Ta膜12の結晶構
造は、ほぼ体心立方格子となっている。Ta膜は、薄膜
にしたときに結晶構造が体心立方格子となり比抵抗が2
0μΩ・cmであるα相と、正方晶となり比抵抗が18
0μΩ・cmであるβ相の2種類がある。(尚、比抵抗
の値については、上記の結晶構造がバルクとして存在し
たときの値である。)従って、30μΩ・cm以下の比
抵抗となるTa膜は、ほぼα相Ta膜であると考えて良
い。
【0018】このような構成の液晶表示パネルの製造方
法を以下に説明する。
【0019】まず、予め透過率の高いTaOX膜11a
などを形成した透明基板11の表面側にTa膜12をス
パッタリングで堆積する。スパッタリングで堆積された
後のTa膜の比抵抗は最小で180μΩ・cm程になっ
ている。このときのスパッタリング条件は、スパッタ圧
を0.05〜0.3Pa,スパッタ温度を120℃〜2
50℃,スパッタパワ−を1〜3kW,Ta膜厚を0.
2〜1μmにすればよい。この後のTa膜12のアニ−
ル方法には図1,2に示すように2とうり考えられるの
で、順番に説明する。
【0020】第1の方法は、図1に示すようにTa膜1
2を堆積後、基板全面にレ−ザ−ビ−ムを照射するか、
ランプアニ−ル等によってTa膜12を急加熱,急冷却
し、Ta薄膜の結晶構造を正方晶から体心立方格子に変
更する。例えば、透明基板上に形成されている5000
Åの厚さのTa薄膜の場合、波長が3080Å,半値幅
が50ns,Ta薄膜面で360mJ/cm2のエネル
ギ−強度を持ったXeClエキシマレ−ザ−ビ−ムを、
基板温度が室温のときに10パルス照射することによっ
て、Ta膜12の結晶構造が正方晶のβ相から体心立方
構造のα相に変化すると共に、比抵抗が180μΩ・c
mから30μΩ・cm以下に低下する。このエネルギ−
強度では、0.2〜1μmの厚さのTa膜12にレ−ザ
−を照射する場合、どの膜厚でも同様に膜抵抗は低下す
る。エネルギ−密度が小さいとTa膜の抵抗が低下せ
ず、エネル−密度が大きいとTa膜が基板から剥がれる
ことが起こる。このとき、照射回数が少なくても抵抗は
低下しなく、照射回数が多くなると抵抗値に変化はなく
膜にも損傷は入らないが、スル−プットが悪くなり歓迎
すべきことではない。また、レ−ザ−アニ−ルやランプ
アニ−ル処理でガラス基板が変形することはない。ここ
で、Ta薄膜に対するレ−ザ−ビ−ムの照射は、真空中
又はHe,Ne,Ar等の不活性ガス雰囲気中で行うの
が好ましい。ガラス基板の温度は、室温に限らず300
℃程度の高温や−196℃の低温でも、適当なエネルギ
−強度のレ−ザ−ビ−ムの照射でTa薄膜の結晶構造を
変更できる。
【0021】さらに、レ−ザ−ビ−ムはこのXeClエ
キシマレ−ザ−に限らず、Arエキシマレ−ザ−,Kr
Fエキシマレ−ザ−,YAGレ−ザ−,ルビ−レ−ザ−
などのパルスレ−ザ−や、アルゴンレ−ザ−,炭酸ガス
レ−ザ−,半導体レ−ザ−,X線レ−ザ−などの連続発
振レ−ザ−、あるいはシンクロトロン軌道放射(SO
R),電子ビ−ムなどのエネルギ−ビ−ムや、ア−クラ
ンプや水銀灯が発する高エネルギ−密度の光照射によっ
てもTa薄膜の結晶構造を変更できる。
【0022】次に、Ta膜12をパタ−ニングする。こ
のTa膜12は、走査回路まで延長されて走査線401
も構成している。更に、Ta膜12に陽極酸化を施し
て、その表面層を膜厚約300〜600ÅのTaOX
13とする。ここで、陽極酸化用電解液としては、例え
ばリン酸水溶液やアンモニアを含んだ水溶液を用いると
よい。また、TaOX膜13の膜厚は陽極酸化の化成液
やパネルの仕様によって変化させる。この後、TaOX
膜13の表面上にCrをスパッタリングで形成、および
パタ−ニングしてCr膜15を形成し、Ta膜12,T
aOX膜13,Cr膜15からなるMIM型非線形素子
1を構成する。ここで、画素電極14については、図1
(c)に示すように、Cr膜15の下層側に形成する場
合は、Cr膜15の形成工程の前に形成しておくが、画
素電極14を形成する工程の順序は、各電極材料と、そ
れをエッチングするエッチャント種との関係などによっ
て任意に設定される。
【0023】第2の方法は、図2に示すようにTa膜を
パタ−ニング後、Ta膜12に陽極酸化を施して、その
表面層を膜厚約300〜600ÅのTaOX膜13を形
成する。次に、基板全面にレ−ザ−アニ−ルを行う。し
かしながら、この順序でアニ−ルを実施してもTa膜1
2の膜抵抗は、第一の方法場合ほど低下しない。つま
り、エネルギ−密度が360mJ/cm2以下であれば
膜抵抗は低下しなく、400mJ/cm2で120μΩ
・cmになり、400mJ/cm2以上であれば膜表面
が荒れて素子の信頼性を損なうことになり、さらにエネ
ルギ−密度を大きくするとTa膜12が昇華してなくな
ってしまう。しかし、この方法で作製されたMIM型非
線形素子1はTaOX膜13のアニ−ル効果があるの
で、図5(a)の印加電圧と電流の関係は従来501で
あったものが、Vth以上の電圧を加えたときには501
の傾きよりも大きくなる。
【0024】第1の方法で得られたMIM型非線形素子
1を用いてパネルを作製した際の効果を説明する。Ta
膜12にレ−ザ−アニ−ルやランプアニ−ルを行うと、
結晶構造がα相となり、膜抵抗が低下する効果とMIM
型非線形素子1に印加電圧Vthを加えたときの電流INL
が低くなる2つの効果がある。
【0025】ここで、Vthは以下のように定義した。一
般に、MIM型非線形素子における印加電圧と電流の関
係は
【0026】
【数1】
【0027】のように表される。従って、log(I/
V)をV1/2に対してプロットすると直線で表される。
本例における検討では、前記のプロットで直線上にある
ように、Vthを1mA/cm2の電流値が流れるときの
印加電圧値と定めた。
【0028】まず最初に、Ta膜12の抵抗値が低下し
たときの効果を説明する。図4のように、直列につなが
れたMIM型非線形素子1と液晶表示素子3には、図6
(a)のような信号電圧が走査回路と信号供給回路から
加えられている。このときMIM型非線形素子1にかか
る電圧は図6(b)に示すようになるので、液晶表示素
子3には図6(c)の如く電圧がかかることになり光の
スイッチング動作を制御することになる。ここで”T”
で記した領域がある画素の選択期間であり、他の領域は
非選択期間である。図6は、選択期間でMIM型非線形
素子1をオン状態にしたものを記してある。
【0029】さて、図6(a)のような信号電圧は、走
査回路と信号供給回路に近い画素(図4のA領域)に
は、ほぼ印加波形と同じ波形が加えられる。ところが、
通常走査線401はMIM型非線形素子1の第一の金属
層となるTa膜12で形成されるので、Ta膜12の抵
抗値が高いと信号遅延を起こし走査回路から離れている
画素領域2は波形がかなりなまってしまう。
【0030】例えば、図4のように走査回路と信号供給
回路が配置されたパネルにおいて、1行目の一番左の画
素(図4のA領域)と一番右の画素(図4のB領域)に
印加される電圧波形を比べてみる。尚、1行目の画素を
選んだ理由は、1つの画素に印加される電圧は信号供給
回路から与えられる電圧と走査回路から与えられる電圧
の差で決まるので、信号線402の信号遅延を無視する
ためである。従って、n行目では信号線の遅延も問題に
なってくる。ここで、この走査線401の信号遅延が問
題になるのは、電圧値の変動が激しい画素の選択期間に
あるのでこの場合に限って説明する。
【0031】図7(a),(b),(c)は図4のA領
域にかかる電圧で、(d),(e),(f)はB領域に
かかる電圧の選択期間の前後の波形であり、同じ信号を
入力した場合のものである。(a)と(d),(b)と
(e),(c)と(f)は、それぞれ画素領域2に印加
される電圧波形,MIM型非線形素子1に印加される電
圧波形,液晶表示素子3に印加される電圧波形を示す。
【0032】図4のA領域には、図7(a)の電圧がか
かるのが、B領域には走査線401の信号遅延のため
に、図7(d)のような波形のなまりが生じる。その結
果、A領域のMIM型非線形素子1に図7(b)に示す
ような電圧が印加されるのに、B領域では図7(e)の
ようになり、MIM型非線形素子1に印加される電圧が
△VMだけ低下するので、液晶表示素子3の書き込み電
圧に△VLの電圧差が生じる。この電圧差△VLが一階調
分に達しないときには、△VLがディスプレイとして絵
を表示させても、人間の目では違いを感知できない。と
ころが、画面が大きくなったり、多階調表示になると、
絵を表示したときに△VLに起因する画面のムラが認識
されるようになってくる。このときTa膜がβ相である
と抵抗値が高いために、△VLの大きさが問題となると
きでも、Ta膜12をレ−ザ−アニ−ルもしくはランプ
アニ−ル等の急加熱,急冷却すれば抵抗値は約180μ
Ω・cmから約30μΩ・cmまで低下し1/6になる
ので、△VLも1/6になり画面のムラが人間の目で感
知しにくくなる。
【0033】さて、Ta膜12の抵抗値を低下するだけ
ならば、Ta膜をスパッタリングで堆積するさいに、ス
パッタガスにクリプトン(Kr)を用いて少量の窒素を
ド−プすれば、レ−ザ−アニ−ルやランプアニ−ル処理
をしたTa膜とほぼ同様の約35μΩ・cmの比抵抗の
膜が得られることは知られている(’92年春応用物理
学講演会29a−ZX−7)。ところが、この窒素がド
−プされたTa膜をMIM型非線形素子1の第一の電極
層に使用すると、印加電圧VNLと電流INLとの関係が、
初期状態において図5(a)の501で示す関係であっ
たものが、たとえば、静止画を表示するために長時間電
圧が印加されると、501の関係にあったVNLとINL
関係が、図5(a)の502または503で示す関係に
シフトしてしまう。それ故、走査線401および信号線
402に対してそれぞれ印加された信号に基ずいて発生
する走査線401と信号線402との間に生じた電位差
によって、液晶表示素子3を表示状態と非表示状態との
間で確実に切り換えて表示動作を制御することができな
くなる。
【0034】すなわち、図5(b)に示すように、走査
線401と信号線402との間の電位差Vを(Vb+V
th)とすることによって、液晶表示状態3を非表示状態
とする一方、走査線401と信号線402との間の電位
差Vを(Vb+Vth+△V)とすることによって、液晶
表示素子3を表示状態とするときに、MIM型非線形素
子1の印加電圧VNLと電流INLが使用履歴によってシフ
トするので、走査線401および信号線402からの信
号の変化に追従して、液晶表示パネルの配向状態が変化
しなくなる。それ故、液晶表示パネルに残像などの発生
し、その表示品質が低下するなどの問題が生じてしま
う。
【0035】MIM型非線形素子1では、長時間電圧を
印加すると、図8に示すようにVthの値が変化する。M
IM型非線形素子1に対して、同一の電圧を印加し、所
定時間が経過した後のVthの変化量を△Vthと定義す
る。このとき、第一の電極層に窒素をスパッタ時にド−
プしたTa膜を用いると、レ−ザ−アニ−ルしたTa膜
を用いた場合に比べて、△Vthの値は約3倍となり非常
に液晶表示パネルでの残像が目立ってしまう。また、第
一の電極層がスパッタリングで堆積しただけの正方晶構
造をしたTa膜とレ−ザ−アニ−ル処理して体心立方格
子となったTa膜では、△Vthの値は同じである。第一
の電極層にレ−ザ−アニ−ルをしたTa膜を用いて、T
aOX膜13を形成するときの陽極酸化化成液に、リン
酸水溶液やアンモニアを含んだ水溶液を用いれば、残像
はほとんど目立たなくなる。
【0036】次に、MIM型非線形素子1に印加電圧V
thを加えたときの電流INLが低くなる効果について説明
する。Vthを画素領域2に加えたときに電流INLが低下
したときに効果が表れるのは、図6の”T”で示す以外
の非選択期間での、液晶の保持機能に大きく関与する。
つまり、理想的には非選択期間ではMIM型非線形素子
1には電流が流れないので、液晶表示素子3には図6
(c)のような電圧波形がかかるはずである。ところ
が、現実はMIM型非線形素子1に漏洩電流があるため
に走査線401と信号線402の電位差の平均値が液晶
表示素子3にかかるようになってくるので、その様子を
図9に示す。図9は、選択期間でMIM型非線形素子1
をオン状態にしたもので、このとき非選択期間で画素領
域にかかる電圧波形を図9(a)に示し、液晶にかかる
電圧波形を図9(b)に示してある。
【0037】非選択期間で液晶表示素子3に加わる電圧
が印加電圧の平均値に減衰していく割合は、MIM型非
線形素子1にVthの電圧を印加した時の抵抗値と容量の
積の大きさで決まり、この値は大きい程減衰時間が長く
なる。従って、Vthの電圧を印加したときの電流値が小
さくなると、MIM型非線形素子1の抵抗値が大きくな
り液晶の保持機能が向上することになり、パネルのコン
トラストの向上につながる。
【0038】図10には、レ−ザ−アニ−ルのやり方に
よってTa膜12の比抵抗を変化させたときに、MIM
型非線形素子1にVthの電圧を印加したときに流れる電
流値の関係を示す。レ−ザ−アニ−ルのエネルギ−密度
およびパルスの照射回数を制御すれば、Ta膜の抵抗値
は30〜180μΩ・cmまで連続的に変化させること
ができる。第一の電極層にレ−ザ−アニ−ルして十分に
抵抗値が低下したTa膜を用いると、図10に示すよう
にアニ−ルしていない従来使われているTa膜を使用し
た場合のMIM型非線形素子にVthの電圧を印加したと
きにながれる電流値は半分程度になり、液晶の保持機能
は向上する。但し、図10に示すようにレ−ザ−アニ−
ルによってTa膜12の抵抗が十分に低下しないとVth
印加時の電流値の低下の度合いは小さくなる。
【0039】さらに、MIM型非線形素子1を用いたア
クティブマトリクス方式の液晶表示パネルでは、コスト
低減のために駆動電圧を低下したい。この場合、液晶へ
の信号の書き込み電圧を低減するために、MIM型非線
形素子1の容量は液晶表示素子3に比べてできるだけ小
さくしたい。このようにすると、保持特性を決めるMI
M型非線形素子1が非選択状態での印加電圧の減衰時間
が短くなる。ここで、この減衰時間を長くするために
は、MIM型非線形素子1にVthの電圧を印加したとき
に流れる電流値を低減することが効果的である。
【0040】このように、本例の液晶表示パネルにおい
ては、マトリクスアレイを構成するMIM型非線形素子
1のTa膜12の結晶構造を制御することで、走査線4
01の抵抗を低減し、Vth印加時の電流値を低減できる
ので、液晶表示パネルにおいて画面の左右のムラをなく
すことができまた、コントラストを向上させ品質の高い
表示が可能である。
【0041】
【発明の効果】以上のとおり本発明において、MIM型
非線形素子の第一の金属層をなすTa膜の結晶構造を体
心立方格子にして膜抵抗を30μΩ・cm以下にするこ
とに特徴を有しており以下の効果がある。また、この抵
抗値のTa膜を得るには、スパッタリング法などで、膜
を堆積後レ−ザ−アニ−ル法やランプアニ−ル法等の急
加熱,急冷却の処理をすればよい。
【0042】こうすることで、MIM型非線形素子の印
加電圧と電流との関係で、Vthの電圧印加時に電流値が
小さくなり画面のコントラストが向上する。また、N2
ド−プスパッタリングで堆積したTa膜を第一の金属層
にした場合よりも△Vthが小さくなり画面の残像が目立
たなくなっている。このときの陽極酸化膜の形成工程に
おける陽極酸化用化成液はリン酸化成液またはアンモニ
アを含んだ水溶液を用いるのがよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶表示パネルのマトリックスアレ
イを構成するMIM型非線形素子の製造工程図。
【図2】 液晶表示パネルのマトリックスアレイを構成
するMIM型非線形素子の製造工程図。
【図3】 従来の液晶表示パネルのマトリクスアレイを
構成するMIM型非線形素子の構造を示す断面図。
【図4】 アクティブマトリクス方式の液晶表示パネル
の等価回路図。
【図5】 (a)は液晶表示パネルのマトリクスアレイ
を構成するMIM型線形素子の印加電圧と電流との関係
図。(b)は単位画素への印加電圧と表示の明るさとの
関係を示す関係図。
【図6】 MIM型非線形素子を用いたマトリクスアレ
イを駆動する電圧波形図。
【図7】 MIM型非線形素子の選択期間に印加する電
圧波形図。
【図8】 MIM型非線形素子に対して電圧を印加した
時間と、そのVthがシフトした値との関係図。
【図9】 MIM型非線形素子の非選択期間に印加する
電圧波形図。
【図10】Ta膜の比抵抗とMIM型非線形素子にVth
の電圧を印加したときの電流値との関係図。
【符号の説明】
1 MIM型非線形素子 2 画素領域 3 液晶表示素子 11 透明基板 11a TaOX膜 12、601 Ta膜(第一の金属電極層) 13、604 TaOX膜(陽極酸化膜) 14 画素電極 15 Cr膜(第二の金属電極層) 401 走査線 402 信号線

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基板の表面側に形成されたマトリクス
    アレイの各画素領域には、その駆動回路側に導電接続す
    る第一の金属電極層と、この金属電極層表面に形成され
    た陽極酸化膜と、この陽極酸化膜の表面側に形成された
    第二の金属電極層とによって構成された金属−絶縁膜−
    金属(MIM)型非線形素子において、第一の金属層に
    は、比抵抗が30μΩ・cm以下のタンタル(Ta)薄
    膜を用いることを特徴とする液晶表示パネル。
  2. 【請求項2】物理的方法で堆積されたTa膜を、レーザ
    ーアニール法またはランプアニール法等の急加熱,急冷
    却処理をして、MIM型非線形素子の第一の金属層とす
    る請求項1記載の液晶表示パネルの製造方法。
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