JPH0674439U - 自動車のサイドドア - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 サイドドア本体の剛性を低下させることなく
側面衝突時にドアの内側に着座する乗員に対し、サイド
ドアに生起する衝撃を緩和できるようにしたサイドドア
の衝撃吸収構造を提供することを目的とする。 【構成】 インナパネル２側およびアウタパネル３側に
それぞれ設けられるリンフォースメントインナ５、リン
フォースメントアウタ４の閉断面部を、ドア側方から衝
撃荷重を受けた際、その一方の閉断面部が、他方の閉断
面部の内部に収容可能に、少なくとも一方の閉断面部を
形成するリンフォースメントの対向面に凹部を形成し
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車のサイドドアに関し、さらに詳しくは、側面衝突によりサイ ドドアに衝撃が生起した際にドアの内側に着座する乗員の安全性を確保するため 乗員に与える衝撃を緩和できるようにしたサイドドアの衝撃吸収構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、自動車におけるサイドドアでは、ドアインナパネル側またはアウタパネ ル側の少なくとも一方の窓肩部に沿う部分に閉断面部を構成する補強部材として のリンフォースメントを帯状に配設してドアの剛性を高めている。

【０００３】 このような補強部材（リンフォースメント）を設けたサイドドアでは、側面衝 突等によりサイドドアに衝撃が生起した際に、補強部材を介してドアの内側に着 座する乗員の肩部等に強い衝撃力が作用しないように配慮する必要がある。

【０００４】 このような安全対策として、従来、例えば、図４，図５に示すように、サイド ドアａの全長にわたる窓肩部において、アウタパネルｂとリンフォースメントア ウタｃとでアウタ側閉断面部ｄを形成し、また、インナパネルｅとリンフォース メントインナｆとでインナ側閉断面部ｇを形成している。これは自動車が側面衝 突を受けた際、この窓肩部の閉断面部ｄ，ｇによる高い剛性によってドアａの形 状をある程度保ち、ドアａの変位による車内側への入り込みを抑えることで、車 内の乗員２９の安全を図ろうとするものである。

【０００５】 また図６，図７（実開平１−１４４１１２号記載）においては、自動車用ドア のトリムｈにおいて、シートｉの前後動限界範囲内で、上記シートｉのシートバ ックの側部の上下ほぼ中央の位置に対向した位置に、室内側に膨出した凹部ｊを 形成し、該凹部ｊ内に衝撃吸収材ｋを配置したものである。該構成により側面か らの衝突などの際、上記衝撃吸収材ｋをもって着座する乗員に対する衝撃の吸収 を図ろうとするものである。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところで上記従来例のうち、前者においては、側面衝突時アウタパネル側のア ウタ側閉断面部ｄと、インナパネル側のインナ側閉断面部ｇとの間隔は一般に狭 く、衝突時にこの間隔、いわゆるクラッシュストロークが小さいためアウタ側閉 断面部ｄの食いこみが即座にインナ側閉断面部ｇに作用するため、衝撃の緩衝効 果は少なく、乗員の肩部に衝突の衝撃が直接作用する恐れがある。

【０００７】 また後者の考案においては、サイドドアの窓肩部に補強手段としての閉断面部 が形成されておらず、サイドドアの強度に問題があり、また新たに衝撃吸収材を 設けるため、コストがかさむという問題がある。

【０００８】 本考案は、従来の技術における上記問題点を解消するためになされたもので、 サイドドア本体の剛性を低下させることなく側面衝突時にドアの内側に着座する 乗員に対し、サイドドアに生起する衝撃を緩和できるようにしたサイドドアの衝 撃吸収構造を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、サイドドアの窓肩部に沿うインナパネ ル側の上端内部にインナ側閉断面部を形成したリンフォースメントインナと、ア ウタパネル側の上端内部に同じくアウタ側閉断面部を形成したリンフォースメン トアウタとが配設された自動車のサイドドアにおいて、上記インナパネル側およ びアウタパネル側にそれぞれ設けられるリンフォースメントインナ、リンフォー スメントアウタの閉断面部を、ドア側方から衝撃荷重を受けた際、その一方の閉 断面部が、他方の閉断面部の内部に収容可能に、少なくとも一方の閉断面部を形 成するリンフォースメントの対向面に凹部を形成してなることを特徴とする。

【００１０】

【作用】 上記構成に基づき、リンフォースメントのアウタ側、インナ側の少なくとも一 方の閉断面部に他方の閉断面部を収容可能な凹部を設けていることから、該両者 の閉断面部の間のクラッシュストロークが大きく設けられる。したがって衝突時 にアウタパネルがサイドドア内部にストロークする段階で衝撃力が吸収され、そ の結果インナパネルからの乗員への衝撃力は緩和される。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１はサイドドア本体１の窓肩部における上下方向の断面図で、リンフォース メントアウタ４は外幅Ｌ１の凸部を有する形状でアウタパネル２の窓肩部に固着 されることでアウタ側閉断面部９を形成している。また、サイドガラスの上下昇 降をガイドするためのサッシュ８がブラケット７を介してリンフォースメントア ウタ４に取り付けられ、サイドガラス６が上記サッシュ８に摺動可能に嵌装され ている。インナパネル３の窓肩部には、内幅Ｌ２の凹部を有するリンフォースメ ントインナ５がインナ側閉断面部１０を形成するよう固着されている。ここで上 記凸部のＬ１と凹部のＬ２の関係は、Ｌ１＜Ｌ２とする。

【００１２】 図２はサイドドア全体の側面図で、サイドドア本体１の窓肩部に沿う方向に伸 びる帯状のリンフォースメントアウタ４とリンフォースメントインナ５が平行か つ相対するように配設されている。

【００１３】 次にこの実施例の作用を図３を用いて説明する。 上記のように構成された自動車のサイドドア本体１が側面衝突を受けた際、サ イドドア本体１の窓肩部において、まず衝突の衝撃でドアのガラス６が粉砕され 、ついでアウタパネル２はリンフォースメントアウタ４と共にインナパネル３の 方へストロークする。その際、リンフォースメントアウタ４の凸部の外幅Ｌ１は リンフォースメントインナ５の凹部の内幅Ｌ２よりも小さいことから凸部が凹部 に収容され、該ストロークする段階で衝撃力が吸収され、その結果インナパネル からの乗員への衝撃力は緩和される。 また上記実施例においてはインナパネル２側のリンフォースメントインナ５に 凹部を設けたが、本考案はこれに限らずリンフォースメントアウタ４に凹部を設 けてもよい。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、アウタパネル及びインナパネルの窓肩部 に、リンフォースメントにより閉断面部を形成することから、窓肩部の剛性及び ドアの強度が保たれ、さらには、リンフォースメントのアウタ側，インナ側の少 なくとも一方の閉断面部に他方の閉断面部を収容可能な凹部を設けていることか ら、車が側面衝突を受けた際、この凹部に他方の閉断面部の凸部を収容すること ができ、その分のクラッシュストロークが確保され、該ストロークする段階で衝 撃力は吸収され、その結果インナパネルからの乗員への衝撃力は緩和される。

【図面の簡単な説明】

【図１】サイドドア窓肩部の上下方向の断面図

【図２】サイドドア全体の側面図

【図３】本考案の作用説明図

【図４】従来例を示す説明図

【図５】従来例を示す説明図

【図６】従来例を示す説明図

【図７】従来例を示す説明図

【符号の説明】

１ サイドドア本体 ２ アウタパネル ３ インナパネル ４ リンフォースメントインナ ５ リンフォースメントアウタ ６ ウインドガラス ７ ブラケット ８ サッシュ ９ アウタ側閉断面部 １０ インナ側閉断面部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 サイドドアの窓肩部に沿うインナパネル
   側の上端内部にインナ側閉断面部を形成したリンフォー
   スメントインナと、アウタパネル側の上端内部に同じく
   アウタ側閉断面部を形成したリンフォースメントアウタ
   とが配設された自動車のサイドドアにおいて、 上記インナパネル側およびアウタパネル側にそれぞれ設
   けられるリンフォースメントインナ、リンフォースメン
   トアウタの閉断面部を、ドア側方から衝撃荷重を受けた
   際、その一方の閉断面部が、他方の閉断面部の内部に収
   容可能に、少なくとも一方の閉断面部を形成するリンフ
   ォースメントの対向面に凹部を形成してなることを特徴
   とする自動車のサイドドア。