JPH0674185B2 - 建築用化粧板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は建築用化粧板に関し、詳しくは表面着色した
建築用化粧板に関する。

〔従来の技術〕

従来、セメントを主成分として表面着色被覆層をもつ建
築用化粧板が周知である。

この着色層が黒色である建築用化粧板を使用されること
がある。

セメントを用いた板状成形体の製造法としては、抄造
法、セミドライ法、乾式法に依って板状に成形した後、
自然養生を行ない、さらに表面に塗装を施し、更にオー
トクレーブ養生することに依って製品化することが行な
われている。

この着色表面層には、通常酸化鉄系顔料が使用されてい
るが、黒色の着色表面槽の場合は他にカーボンブラッ
ク、複合酸化物顔料の使用も検討されている。

〔従来技術の問題点〕

しかし、従来のセメントを主成分とした製品の表面化粧
層を黒色にする場合、鉄黒顔料を用いるとオートクレー
ブにおける養生時の空気と熱でFe₃O₄（黒色）→Fe₂O
₃（赤色）の反応が生じ目的の色彩とできないことがあ
る。また、これを避けるため、着色層の顔料にカーボン
ブラックを使用する場合もあるが、カーボンブラックは
着色力は大きいがセメントとの結合性が弱く、使用中に
カーボンブラックの粒子が脱粒し、このため褪色して外
観が劣化する問題があった。

又、複合酸化物顔料〔Cu（Cr,Fe）₂O₄〕の使用も考えら
れるが着色力が弱く、添加量が嵩む結果高価で経済的に
不利となる欠点があった。

〔発明が解決しようとする課題〕

この発明は上記問題点に鑑み、セメント成分との相溶性
結合性に優れ、経時変化のない化粧面を有する建築用化
粧板を提供することを目的としてなされたものである。

〔課題を解決するに至った技術〕

即ち、この発明の建築用化粧板はセメントを主成分とす
る無機質建材の表面層が、0.3μｍ〜0.5μｍの粒子径を
有する鉄黒（Fe₃O₄）粒子とセメント粒子と強固に均一
分散結合させた被覆層からなる事を特徴とするものであ
る。

〔作用〕

通常使用される黒色顔料の鉄黒（Fe₃O₄）は形状が不定
形であり粒子の粒度分布が0.7μｍ以下の広範囲にわた
っており、熱に依ってFe₃O₄（黒色）→Fe₂O₃（赤色）に
変化するが、0.3μｍ〜0.5μｍの鉄黒の粒子で形状がマ
グネタイト（Fe₃O₄）の理想結晶の形状に近い（正六面
体又は正八面体）ものはオートクレーブ養生時の熱、空
気に依り赤色に変色しない。そこで、これを着色原料と
して使用する。

〔実施例〕

公知のセメントを主成分とした組成物を原料とし抄造
法、セミドライ法、又は乾式法に依って板状体を成形し
自然養生後、該板状体の表面にセメント、珪砂その他の
従来公知のセメント配合物100重量部に対して表１に示
す顔料の粉末を６重量部添加し、上記セメント板上に厚
さ0.5mmになる様に塗布し試料を作成した。

用いた鉄黒顔料の粒度分布は第１表に示す通りである。

得られた試料をオートクレーブに依り180℃８時間養生
後、顔料の種類による着色力、オートクレーブ養生時の
変色結果を第２表に示した。

更に、経年変化を試験するため、褪色の度合を屋外暴露
試験を行なった結果は第３表に示す通りである。

表３中ΔＥは色差を現し数字の小さい方が褪色が優れて
いる事を表わしている。

〔効果〕 本発明は以上説明した通り、無機質板材の表面被覆層に
一定粒度の鉄黒を使用することに依り、オートクレーブ
養生での変色が防止でき、しかも長期間使用しても劣化
がなく黒色を保つことができる。また、複合酸化物を用
いた黒色顔料に比して着色力も優れる他に経済的にも有
利であるなど種々の効果を有する。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】セメントを主成分とする無機質建材表面層
   が、0.3〜0.5μｍの粒子径を有する鉄黒（Fe₃O₄）粒子
   とセメント粒子と強固に均一分散結合させた被覆層から
   なる事を特徴とする建築用化粧板。