JPH0673482A - アルミニウム合金部材及びその製造方法 - Google Patents
アルミニウム合金部材及びその製造方法Info
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- JPH0673482A JPH0673482A JP25075892A JP25075892A JPH0673482A JP H0673482 A JPH0673482 A JP H0673482A JP 25075892 A JP25075892 A JP 25075892A JP 25075892 A JP25075892 A JP 25075892A JP H0673482 A JPH0673482 A JP H0673482A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、鋳造性と鍛造性に優れ且つ機械的
性質の良好なアルミニウム合金部材及びその製造方法に
関する。 【構成】 アルミニウム合金の材料成分をSi:2.5
〜4.0wt%、Mg:0.4〜0.5wt%、Cu:
0.3wt%以下、残部をAlの組成とすることで、鋳
造性で従来のAC4CH材とほぼ同様の特性を持たせ、
鍛造性で 6061 T6とほぼ同等の特性を持たせたア
ルミニウム合金とすることが出来る。そして、かかる組
成のアルミニウム合金を製品最終形状に近い形状で鋳造
し、鋳造後の鋳造熱を利用して予備加熱なしに鍛練成形
比50%以上で熱間鍛造して、伸び性、引張強度、耐
力、硬さ等のすべてに優れた高靱性の製品を製造する。
性質の良好なアルミニウム合金部材及びその製造方法に
関する。 【構成】 アルミニウム合金の材料成分をSi:2.5
〜4.0wt%、Mg:0.4〜0.5wt%、Cu:
0.3wt%以下、残部をAlの組成とすることで、鋳
造性で従来のAC4CH材とほぼ同様の特性を持たせ、
鍛造性で 6061 T6とほぼ同等の特性を持たせたア
ルミニウム合金とすることが出来る。そして、かかる組
成のアルミニウム合金を製品最終形状に近い形状で鋳造
し、鋳造後の鋳造熱を利用して予備加熱なしに鍛練成形
比50%以上で熱間鍛造して、伸び性、引張強度、耐
力、硬さ等のすべてに優れた高靱性の製品を製造する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳造性と鍛造性に優れ
且つ機械的性質の良好なアルミニウム合金部材及びその
製造方法に関する。
且つ機械的性質の良好なアルミニウム合金部材及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、Al―Mg―Si系の合金は耐食
性と適度の強さを有することから広い分野で用いられ、
例えばJIS規格の6061材等は展伸性のある鍛造用
アルミニウム合金として、AC4CH等のAl―Mg―
Si系合金は鋳造性に優れたアルミニウム合金として知
られている。一方、自動車の足廻り部品であるアッパー
アーム、ロアアーム等の部品は、強度や耐食性を考慮し
て6061材等のアルミニウム合金が使用されている
が、従来かかる製品は、図1、図2の従来例に示すよう
な製造過程を経て製造されている。すなわち、まず押出
し成形等によって丸棒10を得、これを切断して加熱し
た後、熱間型鍛造(バスター)によって第一次成形品1
1を成形し、次いで再び加熱して荒仕上げ型鍛造(ブロ
ッカー)によって第二次成形品12を成形する。そし
て、この第二次成形品12のバリを除去した後、再度加
熱して仕上げ型鍛造(フィニッシャ)を行って最終的な
第三次成形品13を成形し、最後にトリミング型でバリ
抜きを行うようにしている。
性と適度の強さを有することから広い分野で用いられ、
例えばJIS規格の6061材等は展伸性のある鍛造用
アルミニウム合金として、AC4CH等のAl―Mg―
Si系合金は鋳造性に優れたアルミニウム合金として知
られている。一方、自動車の足廻り部品であるアッパー
アーム、ロアアーム等の部品は、強度や耐食性を考慮し
て6061材等のアルミニウム合金が使用されている
が、従来かかる製品は、図1、図2の従来例に示すよう
な製造過程を経て製造されている。すなわち、まず押出
し成形等によって丸棒10を得、これを切断して加熱し
た後、熱間型鍛造(バスター)によって第一次成形品1
1を成形し、次いで再び加熱して荒仕上げ型鍛造(ブロ
ッカー)によって第二次成形品12を成形する。そし
て、この第二次成形品12のバリを除去した後、再度加
熱して仕上げ型鍛造(フィニッシャ)を行って最終的な
第三次成形品13を成形し、最後にトリミング型でバリ
抜きを行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のこのよ
うな3ヒート、3ブロー、1トリミングといった工程
は、製品の強度要件は満足出来るものであっても、工程
が多く複雑であり、生産コスト或いは生産性の面で必ず
しも満足出来るものではなかった。一方、従来の鍛造用
アルミニウム合金を用いて鋳造しようとしても湯流れ
性、引け性、割れ性等の鋳造性が悪く、逆に鋳造用アル
ミニウム合金を用いて鍛造しようとしても塑性加工性が
悪いため、例えば鋳造と鍛造を組み合わせて工程の短縮
を図ろうとしても成し得なかった。
うな3ヒート、3ブロー、1トリミングといった工程
は、製品の強度要件は満足出来るものであっても、工程
が多く複雑であり、生産コスト或いは生産性の面で必ず
しも満足出来るものではなかった。一方、従来の鍛造用
アルミニウム合金を用いて鋳造しようとしても湯流れ
性、引け性、割れ性等の鋳造性が悪く、逆に鋳造用アル
ミニウム合金を用いて鍛造しようとしても塑性加工性が
悪いため、例えば鋳造と鍛造を組み合わせて工程の短縮
を図ろうとしても成し得なかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め、本発明はSi:2.5〜4.0wt%、Mg:0.
4〜0.5wt%、Cu:0.3wt%以下を含有し残
部が実質的にAlの組成からなる鋳造性、鍛造性ともに
優れたアルミニウム合金を開発した。そして、かかる組
成のアルミニウム合金を製品最終形状に近い形状で鋳造
し、鋳造後の高温状態の鋳造品を予備加熱なしに鍛練成
形率50%以上で熱間鍛造して、伸び性、引張強度、耐
力、硬さ等のすべてに優れた高靱性の製品を製造するよ
うにした。ここで、鍛練成形率とは、鍛造前の素材の厚
みをH、鍛造後の素材の厚みをhとすると、1−h/H
を%で示したものである。又、後述する鍛練比Sは、h
/Hで示したものである。鍛練比Sと鍛練成形率の関係
は、S=1では鍛練成形率0%、S=2では50%、S
=3では67%、S=4では75%、S=5では80%
となる。
め、本発明はSi:2.5〜4.0wt%、Mg:0.
4〜0.5wt%、Cu:0.3wt%以下を含有し残
部が実質的にAlの組成からなる鋳造性、鍛造性ともに
優れたアルミニウム合金を開発した。そして、かかる組
成のアルミニウム合金を製品最終形状に近い形状で鋳造
し、鋳造後の高温状態の鋳造品を予備加熱なしに鍛練成
形率50%以上で熱間鍛造して、伸び性、引張強度、耐
力、硬さ等のすべてに優れた高靱性の製品を製造するよ
うにした。ここで、鍛練成形率とは、鍛造前の素材の厚
みをH、鍛造後の素材の厚みをhとすると、1−h/H
を%で示したものである。又、後述する鍛練比Sは、h
/Hで示したものである。鍛練比Sと鍛練成形率の関係
は、S=1では鍛練成形率0%、S=2では50%、S
=3では67%、S=4では75%、S=5では80%
となる。
【0005】
【作用】鋳造性、鍛造性ともに優れたアルミニウム合金
によって予め概略製品形状に近い素材を鋳造し、これを
鍛造することで工程が大幅に短縮され、コスト面、生産
性の面で改良される。又、かかるアルミニウム合金の材
料成分によって引張強度、耐力等の機械的性質を高める
ことが出来る。更に、鍛練成形率50%以上で鍛造する
ことによって特に伸び性等の機械的性質が向上するが、
鋳造後の余熱を利用して鍛造することで加熱設備、加熱
時間を要せず更に生産性が向上しコスト安となる。
によって予め概略製品形状に近い素材を鋳造し、これを
鍛造することで工程が大幅に短縮され、コスト面、生産
性の面で改良される。又、かかるアルミニウム合金の材
料成分によって引張強度、耐力等の機械的性質を高める
ことが出来る。更に、鍛練成形率50%以上で鍛造する
ことによって特に伸び性等の機械的性質が向上するが、
鋳造後の余熱を利用して鍛造することで加熱設備、加熱
時間を要せず更に生産性が向上しコスト安となる。
【0006】
【実施例】本発明は鋳造性、鍛造性ともに優れ且つ高靱
性を発揮するアルミニウム合金を開発することを目的と
して、後述するような実験計画法によって材料成分の最
適条件を求めたが、一般的にアルミニウム合金の鋳造性
を向上させるための材料成分については次のようなこと
が知られている。
性を発揮するアルミニウム合金を開発することを目的と
して、後述するような実験計画法によって材料成分の最
適条件を求めたが、一般的にアルミニウム合金の鋳造性
を向上させるための材料成分については次のようなこと
が知られている。
【0007】すなわち、Siは一定量以上の添加によっ
て鋳造割れ性の向上に効果があり、又一定量を越えると
鋳造引け性と湯流れ性を低下させる。一方、Mg、Cu
の添加は強度を増すが、所定量を越えるとMgの場合は
引け性や湯流れ性に悪影響を与え、Cuの場合は耐食性
を悪くする。
て鋳造割れ性の向上に効果があり、又一定量を越えると
鋳造引け性と湯流れ性を低下させる。一方、Mg、Cu
の添加は強度を増すが、所定量を越えるとMgの場合は
引け性や湯流れ性に悪影響を与え、Cuの場合は耐食性
を悪くする。
【0008】そして、鋳造用アルミニウム合金として広
く用いられるAC4CHと、鍛造用アルミニウム合金と
して用途の広い6061の材料成分を比較すると、表1
の通り表わされる。
く用いられるAC4CHと、鍛造用アルミニウム合金と
して用途の広い6061の材料成分を比較すると、表1
の通り表わされる。
【0009】そこで、本発明では鋳造性についてはAC
4CHと同様の性質を有し、鍛造性、機械的性質につい
ても6061 T6押出材と同程度の特性を発揮するよ
うな合金を開発することを目標として、次のような3段
階の実験によって材料成分を確定した。
4CHと同様の性質を有し、鍛造性、機械的性質につい
ても6061 T6押出材と同程度の特性を発揮するよ
うな合金を開発することを目標として、次のような3段
階の実験によって材料成分を確定した。
【0010】まず実験手順として、実験1において当初
の成分範囲限定のための実験を行い、実験2において更
に精密に成分範囲を限定するための実験を行い、実験3
において鍛練比との関連をも考慮して機械的性質を確認
するための実験を行った。
の成分範囲限定のための実験を行い、実験2において更
に精密に成分範囲を限定するための実験を行い、実験3
において鍛練比との関連をも考慮して機械的性質を確認
するための実験を行った。
【0011】そして実験1においては、上記のような鋳
造性、耐食性、強度等を考慮して、Siを1.5〜3.
5wt%、Mgを0.2〜0.8wt%、Cuを0〜
0.2wt%と推定し、実験計画法に基づき夫々表2に
示す3種類の実験因子を選定して、直交配列表によって
実験回数9に割り付けた。
造性、耐食性、強度等を考慮して、Siを1.5〜3.
5wt%、Mgを0.2〜0.8wt%、Cuを0〜
0.2wt%と推定し、実験計画法に基づき夫々表2に
示す3種類の実験因子を選定して、直交配列表によって
実験回数9に割り付けた。
【0012】そして、かかる実験1の成分の組み合わせ
によって合金を鋳造し、鍛練比を変えて鍛造した後、機
械的性質をS/N比で表わし比較した結果は、図3に示
す通りであり、実験1の実験範囲内における限り特に引
張強度、耐力、硬度はSi:3.5wt%、Mg:0.
5wt%、Cu:0.2wt%が最適条件であることが
判明した。
によって合金を鋳造し、鍛練比を変えて鍛造した後、機
械的性質をS/N比で表わし比較した結果は、図3に示
す通りであり、実験1の実験範囲内における限り特に引
張強度、耐力、硬度はSi:3.5wt%、Mg:0.
5wt%、Cu:0.2wt%が最適条件であることが
判明した。
【0013】尚、図3は横方向にSi、Mg、Cuの各
添加量を表わし、縦方向に上から伸び、引張強度、耐
力、硬度を夫々SN比(デシベル:db)=10×lo
g(m2/σ2)(mは平均値、σは標準偏差)で表わし
たものである。又、伸びのグラフで複数のデータが表わ
されているのは、鍛練比によるものである。尚、機械的
性質のうち、伸び以外の引張強度、耐力、硬度は鍛練比
によって大きな影響を受けず、殆ど同一ポイントで表わ
される。
添加量を表わし、縦方向に上から伸び、引張強度、耐
力、硬度を夫々SN比(デシベル:db)=10×lo
g(m2/σ2)(mは平均値、σは標準偏差)で表わし
たものである。又、伸びのグラフで複数のデータが表わ
されているのは、鍛練比によるものである。尚、機械的
性質のうち、伸び以外の引張強度、耐力、硬度は鍛練比
によって大きな影響を受けず、殆ど同一ポイントで表わ
される。
【0014】次に、以上のように求まった最適条件を考
察すると、Mgについては0.5wt%が最適値として
採用出来そうであるが、Siについては3.5wt%以
上、Cuについては0.2wt%以上の値に最適値が存
在する可能性がありそうなことが判る。
察すると、Mgについては0.5wt%が最適値として
採用出来そうであるが、Siについては3.5wt%以
上、Cuについては0.2wt%以上の値に最適値が存
在する可能性がありそうなことが判る。
【0015】そこで、実験2においては実験1で得られ
た最適条件から、更に最適値が存在する可能性のある範
囲に拡げて実験を行い、それに他の因子の影響も考慮し
て最適値を求めることとした。
た最適条件から、更に最適値が存在する可能性のある範
囲に拡げて実験を行い、それに他の因子の影響も考慮し
て最適値を求めることとした。
【0016】すなわち、実験2では成分範囲を表3のよ
うに選定し、この3つの成分因子に加えて溶湯処理の有
無、溶体化温度、時効温度、時効時間、自然時効の5つ
の因子を選定し、合計8因子を直交配列表を利用して1
8の実験回数に割り付けた。
うに選定し、この3つの成分因子に加えて溶湯処理の有
無、溶体化温度、時効温度、時効時間、自然時効の5つ
の因子を選定し、合計8因子を直交配列表を利用して1
8の実験回数に割り付けた。
【0017】そしてかかる条件を組み合わせて合金を鋳
造し、実験1と同様の鍛練比で鍛造した結果は、図4に
示す通りである。尚、図4においては横方向に各因子を
とり、縦方向に機械的性質をとっているが、横方向の溶
湯処理の有無、Mgの添加量、溶体化温度、時効温度は
伸びに効く因子であり、Cuの添加量、時効時間、自然
時効の因子は伸びに効かない因子であるため、図中、伸
びに効かない因子の鍛練比による影響は無視して全体の
平均をグラフ化している。
造し、実験1と同様の鍛練比で鍛造した結果は、図4に
示す通りである。尚、図4においては横方向に各因子を
とり、縦方向に機械的性質をとっているが、横方向の溶
湯処理の有無、Mgの添加量、溶体化温度、時効温度は
伸びに効く因子であり、Cuの添加量、時効時間、自然
時効の因子は伸びに効かない因子であるため、図中、伸
びに効かない因子の鍛練比による影響は無視して全体の
平均をグラフ化している。
【0018】この実験結果から次のような条件が最適で
あることが判明した。すなわち、溶湯処理を行うこと、
材料成分は、Siを3.5wt%、Mgを0.5wt
%、Cuを0.3wt%とするのが最適であること、溶
体化温度は520℃、時効温度は170℃、時効時間は
6時間、自然時効を無くすことである。但し、自然時効
については影響が少ないため無くすことが望ましいが、
有っても良い。
あることが判明した。すなわち、溶湯処理を行うこと、
材料成分は、Siを3.5wt%、Mgを0.5wt
%、Cuを0.3wt%とするのが最適であること、溶
体化温度は520℃、時効温度は170℃、時効時間は
6時間、自然時効を無くすことである。但し、自然時効
については影響が少ないため無くすことが望ましいが、
有っても良い。
【0019】次に成分範囲の限定は、機械的性質の目標
値から求めるようにした。つまり、実験1及び実験2の
結果から得られた機械的性質をグラフ化すると、図5か
ら図10に示すようになるが、このグラフから目標とす
る特性値が得られる範囲を限定しようとするものであ
る。
値から求めるようにした。つまり、実験1及び実験2の
結果から得られた機械的性質をグラフ化すると、図5か
ら図10に示すようになるが、このグラフから目標とす
る特性値が得られる範囲を限定しようとするものであ
る。
【0020】ここで機械的性質の目標値は、既述のよう
に、6061T6展伸材と同程度のものであり、具体的
には、引張強度31.5kgf/mm2、耐力28.0
kgf/mm2、伸び12.0%、硬度(HRF)9
0.9を目標とした。
に、6061T6展伸材と同程度のものであり、具体的
には、引張強度31.5kgf/mm2、耐力28.0
kgf/mm2、伸び12.0%、硬度(HRF)9
0.9を目標とした。
【0021】又、図5、図6はSi量と機械的性質との
関係を表わし、図7、図8はMg量と機械的性質との関
係を表わし、図9、図10はCu量と機械的性質との関
係を表わすものであり、夫々破線が目標値であり、実線
が鍛練成形率50%の時の実測値を示す。
関係を表わし、図7、図8はMg量と機械的性質との関
係を表わし、図9、図10はCu量と機械的性質との関
係を表わすものであり、夫々破線が目標値であり、実線
が鍛練成形率50%の時の実測値を示す。
【0022】この結果、Siの範囲は、鋳造可能で且つ
伸びが12%以上となる範囲は2.5〜4.0wt%で
あることが必要となる。又、Mgの範囲は、0.4wt
%以上でなければ強度上の要求を満足させ得ず、0.5
wt%以下でなければ伸びの要求を満足させ得ないこと
から0.4〜0.5wt%の範囲に限定されることにな
る。
伸びが12%以上となる範囲は2.5〜4.0wt%で
あることが必要となる。又、Mgの範囲は、0.4wt
%以上でなければ強度上の要求を満足させ得ず、0.5
wt%以下でなければ伸びの要求を満足させ得ないこと
から0.4〜0.5wt%の範囲に限定されることにな
る。
【0023】更にCuの範囲は、耐食性の面から0.3
wt%以上とすることは好ましくなく、又、これ以下で
は機械的性質を充分満足させ得ることから、0.3wt
%以下とする必要があることが判明した。
wt%以上とすることは好ましくなく、又、これ以下で
は機械的性質を充分満足させ得ることから、0.3wt
%以下とする必要があることが判明した。
【0024】次に以上のように得られた最適条件を取り
込んで、実験3により確認実験を行った。
込んで、実験3により確認実験を行った。
【0025】すなわち、材料成分をSi3.5wt%、
Mg0.5wt%、Cu0.3wt%として溶湯処理を
行って鋳造し、520℃の溶体化温度、時効温度170
℃、時効時間6時間、自然時効なしの条件で溶体化処理
をした後、鍛練比S=1〜5(鍛練比の条件は前記要領
と同じ)で鍛造して機械的性質を確認した。この結果は
表4、5に示す通りであり、特に伸びの特性については
鍛練比S=2(鍛練成形率50%)以上であれば[平均
値−3σ]で示される下限値で所望の特性が得られるこ
とが判った。
Mg0.5wt%、Cu0.3wt%として溶湯処理を
行って鋳造し、520℃の溶体化温度、時効温度170
℃、時効時間6時間、自然時効なしの条件で溶体化処理
をした後、鍛練比S=1〜5(鍛練比の条件は前記要領
と同じ)で鍛造して機械的性質を確認した。この結果は
表4、5に示す通りであり、特に伸びの特性については
鍛練比S=2(鍛練成形率50%)以上であれば[平均
値−3σ]で示される下限値で所望の特性が得られるこ
とが判った。
【0026】尚、表4、5はこの材料を各鍛練比で鍛造
し、機械的性質を測定した実測値であるが、この表で
は、各鍛練比毎8つのテストピースから引張強度(kg
f/mm2)、耐力(kgf/mm2)、伸び(%)、硬
さ(HRF)を測定してその平均値を求め、標準偏差
(σ)に基づく管理幅を3σとした場合の[平均値±3
σ]の値を、夫々の鍛練比の下欄に示している。そし
て、鍛練比S=2(鍛練成形率50%)で鍛造した場合
の強度データを従来の展伸材である6061 T6材と
比較すると、表6の通りであり、機械的性質においては
かかる従来の展伸材に勝るとも劣らない特性を有する。
し、機械的性質を測定した実測値であるが、この表で
は、各鍛練比毎8つのテストピースから引張強度(kg
f/mm2)、耐力(kgf/mm2)、伸び(%)、硬
さ(HRF)を測定してその平均値を求め、標準偏差
(σ)に基づく管理幅を3σとした場合の[平均値±3
σ]の値を、夫々の鍛練比の下欄に示している。そし
て、鍛練比S=2(鍛練成形率50%)で鍛造した場合
の強度データを従来の展伸材である6061 T6材と
比較すると、表6の通りであり、機械的性質においては
かかる従来の展伸材に勝るとも劣らない特性を有する。
【0027】又、実験3においては、上記のような材料
成分による合金材料の鋳造性の試験を行ったが、そのデ
ータを従来の鋳造用アルミニウム合金であるAC4CH
と対比すると、表7の通りとなる。
成分による合金材料の鋳造性の試験を行ったが、そのデ
ータを従来の鋳造用アルミニウム合金であるAC4CH
と対比すると、表7の通りとなる。
【0028】つまり、引け性(%)についてはテーター
モールド法により、湯流れ性(mm)についてはくさび
形試験により、割れ性(mm)についてはリング試験に
より夫々試験を行い、湯流れ性、割れ性においてはAC
4CHに若干劣るものの、引け性では全引け量が29.
5%のAC4CHに対して本案の場合は22.0%と優
位性があり、鋳造素材として充分な特性を有することが
確認出来た。
モールド法により、湯流れ性(mm)についてはくさび
形試験により、割れ性(mm)についてはリング試験に
より夫々試験を行い、湯流れ性、割れ性においてはAC
4CHに若干劣るものの、引け性では全引け量が29.
5%のAC4CHに対して本案の場合は22.0%と優
位性があり、鋳造素材として充分な特性を有することが
確認出来た。
【0029】次に、かかる条件に設定された本案のアル
ミニウム合金材料の製造方法の実施例について説明す
る。
ミニウム合金材料の製造方法の実施例について説明す
る。
【0030】例えば、自動車の足廻り部品であるロアア
ームのような部品を製造する際、図1及び図2に示すよ
うに、前記本願による材料成分のアルミニウム合金を溶
解し、鋳造によって概略製品形状に近い鋳造品1を成形
する。
ームのような部品を製造する際、図1及び図2に示すよ
うに、前記本願による材料成分のアルミニウム合金を溶
解し、鋳造によって概略製品形状に近い鋳造品1を成形
する。
【0031】次いで鋳造品1を型から取り出し、そのま
ま鋳造熱を利用して仕上げ型鍛造によって鍛造品2を熱
間鍛造する。この時、かかる熱間鍛造の温度は、例えば
約400℃程度であるため、このように鋳造余熱を利用
することによって加熱工程を省略出来、しかも時間の短
縮が図られる。又、鍛練成形率は50%以上である。
ま鋳造熱を利用して仕上げ型鍛造によって鍛造品2を熱
間鍛造する。この時、かかる熱間鍛造の温度は、例えば
約400℃程度であるため、このように鋳造余熱を利用
することによって加熱工程を省略出来、しかも時間の短
縮が図られる。又、鍛練成形率は50%以上である。
【0032】そして最終的にトリミング型によって鍛造
品2のバリ抜きを行い製品とする。
品2のバリ抜きを行い製品とする。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明のアルミニウム合
金部材は、従来の鋳造用アルミニウム合金に近い鋳造性
と、展伸用アルミニウム合金に近い鍛造性を兼ね備え、
又、機械的性質においても従来の6061に匹敵する程
度の特性を有するため、製造工程を大幅に短縮すること
が可能となった。そして、鍛練成形率50%以上の鍛造
によって所望の強度が保証出来ることから、製品の鍛練
成形率が部分によって異なるような複雑形状の場合で
も、品質が低下するような不具合がない。又、製造方法
において、鋳造と鍛造を組み合わせて工程の簡略化を図
ることが出来るのみならず、鋳造余熱を利用して鍛造す
るようにしたため、工程の一層の短縮化とコスト低減に
効果がある。
金部材は、従来の鋳造用アルミニウム合金に近い鋳造性
と、展伸用アルミニウム合金に近い鍛造性を兼ね備え、
又、機械的性質においても従来の6061に匹敵する程
度の特性を有するため、製造工程を大幅に短縮すること
が可能となった。そして、鍛練成形率50%以上の鍛造
によって所望の強度が保証出来ることから、製品の鍛練
成形率が部分によって異なるような複雑形状の場合で
も、品質が低下するような不具合がない。又、製造方法
において、鋳造と鍛造を組み合わせて工程の簡略化を図
ることが出来るのみならず、鋳造余熱を利用して鍛造す
るようにしたため、工程の一層の短縮化とコスト低減に
効果がある。
【図1】本案の製造方法と従来の製造方法を対比して示
す工程図
す工程図
【図2】本案の製造工程と従来の製造工程を対比して示
すフローチャート
すフローチャート
【図3】実験1の結果図
【図4】実験2の結果図
【図5】Siの添加量と機械的性質の関係の実験値で、
(A)はSi量(%)と引張強度(kgf/mm2)の関
係、(B)はSi量(%)と耐力(kgf/mm2)の関
係のグラフ
(A)はSi量(%)と引張強度(kgf/mm2)の関
係、(B)はSi量(%)と耐力(kgf/mm2)の関
係のグラフ
【図6】Siの添加量と機械的性質の関係の実験値で、
(A)はSi量(%)と伸び(%)の関係、(B)はS
i量(%)と硬度(HRF)の関係のグラフ
(A)はSi量(%)と伸び(%)の関係、(B)はS
i量(%)と硬度(HRF)の関係のグラフ
【図7】Mgの添加量と機械的性質の関係の実験値で、
(A)はMg量(%)と引張強度(kgf/mm2)の関
係、(B)はMg量(%)と耐力(kgf/mm2)の関
係のグラフ
(A)はMg量(%)と引張強度(kgf/mm2)の関
係、(B)はMg量(%)と耐力(kgf/mm2)の関
係のグラフ
【図8】Mgの添加量と機械的性質の関係の実験値で、
(A)はMg量(%)と伸び(%)の関係、(B)はM
g量(%)と硬度(HRF)の関係のグラフ
(A)はMg量(%)と伸び(%)の関係、(B)はM
g量(%)と硬度(HRF)の関係のグラフ
【図9】Cuの添加量と機械的性質の関係の実験値で、
(A)はCu量(%)と引張強度(kgf/mm2)の関
係、(B)はCu量(%)と耐力(kgf/mm2)の関
係のグラフ
(A)はCu量(%)と引張強度(kgf/mm2)の関
係、(B)はCu量(%)と耐力(kgf/mm2)の関
係のグラフ
【図10】Cuの添加量と機械的性質の関係の実験値
で、(A)はCu量(%)と伸び(%)の関係、(B)
はCu量(%)と硬度(HRF)の関係のグラフ
で、(A)はCu量(%)と伸び(%)の関係、(B)
はCu量(%)と硬度(HRF)の関係のグラフ
1 鋳造品 2 鍛造品
【表1】 鋳造材と鍛造材のアルミニウム合金の成分対比表
【表2】 実験1の成分因子
【表3】 実験2の成分因子
【表4】 本願材料の機械的性質の測定値(その1)
【表5】 本願材料の機械的性質の測定値(その2)
【表6】 本願材料と鍛造材の機械的性質の比較表
【表7】 本願材料と鋳造材の鋳造性の比較表
フロントページの続き (72)発明者 石井 裕士 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 Si:2.5〜4.0wt%、Mg:
0.4〜0.5wt%、Cu:0.3wt%以下を含有
し残部が実質的にAlの組成からなり、製品最終形状に
近い鋳造品から熱間鍛造されたことを特徴とするアルミ
ニウム合金部材。 - 【請求項2】 Si:2.5〜4.0wt%、Mg:
0.4〜0.5wt%、Cu:0.3wt%以下を含有
し残部が実質的にAlの組成からなるアルミニウム合金
を製品最終形状に近い形状で鋳造し、鋳造後の高温状態
の鋳造品を予備加熱なしに鍛練成形率50%以上で熱間
鍛造することを特徴とするアルミニウム合金部材の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25075892A JPH0673482A (ja) | 1992-08-26 | 1992-08-26 | アルミニウム合金部材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25075892A JPH0673482A (ja) | 1992-08-26 | 1992-08-26 | アルミニウム合金部材及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0673482A true JPH0673482A (ja) | 1994-03-15 |
Family
ID=17212609
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25075892A Withdrawn JPH0673482A (ja) | 1992-08-26 | 1992-08-26 | アルミニウム合金部材及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0673482A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1992
- 1992-08-26 JP JP25075892A patent/JPH0673482A/ja not_active Withdrawn
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