JPH0672741A - 結晶化ガラス材およびその製造法 - Google Patents

結晶化ガラス材およびその製造法

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JPH0672741A
JPH0672741A JP22751692A JP22751692A JPH0672741A JP H0672741 A JPH0672741 A JP H0672741A JP 22751692 A JP22751692 A JP 22751692A JP 22751692 A JP22751692 A JP 22751692A JP H0672741 A JPH0672741 A JP H0672741A
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crystallized glass
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Shuichi Yokokura
倉 修 一 横
Katsuhiro Imashita
下 勝 博 今
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C10/00Devitrified glass ceramics, i.e. glass ceramics having a crystalline phase dispersed in a glassy phase and constituting at least 50% by weight of the total composition
    • C03C10/0009Devitrified glass ceramics, i.e. glass ceramics having a crystalline phase dispersed in a glassy phase and constituting at least 50% by weight of the total composition containing silica as main constituent

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  • Materials Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 人造石として有用な結晶化ガラス材の提供 【構成】 少なくとも表面が実質的にNaO・2Ca
O・3SiOからなる結晶からなるガラス粒子が融合
してなり、NaO・2CaO・3SiO含量が5重
量%以下である、結晶化ガラス材、ならびにガラス粒子
集塊を800〜950℃の温度に加熱して、該結晶化ガ
ラス材を製造する方法。 【効果】 ガラス由来の透光性を失なっていない結晶化
ガラス材が、屑ガラス等から安価に製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は、人造石として有用な結
晶化ガラス材に関する。本発明は、また、安価な原料た
とえば屑ガラスからも結晶化ガラスを容易に製造する方
法に関する。本発明による結晶化ガラス材は、ガラス特
有の透明性(深み、立体感)を有し、且つ独特の美観を
呈する結晶をガラス中に析出させて成るものである。こ
の結晶化ガラス材は、従来の天然石(大理石、御影石
等)に比べてより高強度にして、耐化学性、耐候性およ
び耐凍害性に優れているところから、建材用(内、外装
材)として広い利用分野が見込めるものである。
【0002】
【従来の技術】大理石、御影石等の天然石はその外観や
肌触りが独特の風合いを有するところから、従来より建
材として広く用いられている。しかし、これら天然石材
は既に資源的な制約があり、概して高価格である点、強
度が必ずしも十分でない点、耐候性(特に耐酸性)に劣
るため外装材への使用はかなり限定される点、等が指摘
されていた。
【0003】この様なことから、近年、天然石に模した
人造石(建材用結晶化ガラス)が数多く提案されてい
る。例えば、その中でかなり広く市販されている結晶化
ガラス建材としてβ‐ウオラストナイト、フォルステラ
イト等を析出させた人造石(特公昭55−29018
号、特公昭59−92942号各公報等)が挙げられ
る。
【0004】これらの建材用結晶化ガラスはそれなりに
有用なものであるが、これらの結晶化ガラスは、ガラス
中での結晶の含量が30〜50重量%程度となっている
ため、ガラス本来の深みある立体感ないし透明感にかな
り欠けている。好みの多様化に伴ない、これは美観上の
問題点であるということもできる。
【0005】また、利用する結晶がβ‐ウオラストナイ
ト(SiO・CaO)またはフォルステライト(2M
gO・SiO)である場合は、安価なソーダ石灰系ガ
ラスが使用できないか、あるいは結晶化温度が高いか
(たとえば少なくとも1000℃、通常は1050〜1
100℃程度)、の点から、その生産は必ずしも経済的
には行ない得ないという問題もある。
【0006】〔発明の概要〕
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の諸問
題を解決して、ガラス本来の深みがある立体感ないし透
明感のある結晶化ガラス材を安価に提供することを目的
とするものである。 <要 旨>
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、利用する結晶
としてNaO・2CaO・3SiOを選定し、それ
を特定の方法でガラス材中に生成させ、しかもその量を
比較的少量に設定することによって、この目的を達成し
たものである。
【0009】従って、本発明による結晶化ガラス材は、
少なくとも表面が実質的にNaO・2CaO・3Si
からなる結晶からなるガラス粒子が融合してなる結
晶化ガラス材であって、NaO・2CaO・3SiO
含量が5重量%以下の範囲に在るものであること、を
特徴とするものである。
【0010】また、本発明による結晶化ガラス材の製造
法は、ガラス粒子の集塊を800〜950℃の範囲の温
度に加熱して、該ガラス粒子の少なくとも表面に実質的
にNaO・2CaO・3SiOからなる結晶を生成
させると共に該ガラス粒子を融合させること、を特徴と
するものである。 <効 果>前記の目的が達成され、下記の効果が得られ
る。 (1) 本発明による結晶化ガラスはガラス本来の透光性
(深み)を保持しつつ、結晶をガラス中に浮き上らせた
状態(たとえば「薄膜状」に散在された状態)にして独
特の模様(美観)をかもし出すことに成功したものであ
る。このような薄膜状の美観を発現させることは、β‐
ウオラストナイト、フォルステライト等の針状結晶では
技術的に難しい。また、ガラス粒子集塊の融合によらず
に、ガラス成形体(たとえば板)の熱処理によって該ガ
ラス成形体中に結晶を析出させる方法でも、このような
薄膜状の美観を発現させることは技術的に難しい。
【0011】本発明者は結晶化ガラスにこのような独特
の美観並びに透光性を発現させることを目的として検討
を重ねた結果、ガラス中に板状結晶であるNaO・2
CaO・3SiOを所定量(5%以下)析出させるこ
とにより成功をみたものである。 (2) 本発明による結晶化ガラスは主原料として市販の
壜、窓ガラス等の屑ガラスの使用が可能であり、そのこ
とは製壜工場、壜詰め工場等で大量に発生するカレット
の有効利用(高付加価値化)につながる。 (3) 本発明による結晶化ガラスの製造法は、まずNa
O・2CaO・3SiOの析出し易い化学組成から
成る粒子状の原料ガラスを調製し、この粒状ガラスの集
塊を加熱してガラス粒子を融合させると共に少なくとも
粒子表面にNaO・2CaO・3SiOを所定量
(5%以下)析出させることからなるが、その場合の加
熱温度は800〜950℃という低いレベルでよい。と
ころで、現行市販の結晶化ガラス建材(例えば上記のβ
‐ウオラストナイト(SiO・CaO)、フォルステ
ライト(2MgO・SiO)等の結晶から成る結晶化
ガラス)では、少くとも1000℃、通常1050〜1
100℃程度、の温度が必要である。本発明による結晶
化ガラスでは加熱温度が高々950℃程度で結晶化が可
能ということであるが、加熱温度が950℃と1100
℃では単にエネルギーコストだけでなく、ガラス焼成用
金型材の寿命等に大きな差が出てくる。 〔発明の具体的説明〕 <結晶化ガラス材>本発明による結晶化ガラス材は、先
ず、少なくとも表面が実質的にNaO・2CaO・3
SiOからなる結晶からなるガラス粒子が融合した構
造のものである。ここで、ガラス粒子の「少なくとも表
面が実質的にNaO・2CaO・3SiOからなる
結晶からなる」ということは、NaO・2CaO・3
SiO含量が5重量%以下という枠内(詳細後記)で
ガラス粒子の内実も結晶化していてもよいということを
意味するものである。そして、この結晶が「実質的にN
O・2CaO・3SiOからなる」ということ
は、結晶の90重量%以上がNaO・2CaO・3S
iOであるということを意味するものである。
【0012】そして、本発明による結晶化ガラス材は、
このような「ガラス粒子が融合してなる」ものである。
ここでガラス粒子が融合してなるということは、粒子が
相互に融着している場合の外に、粒子がガラスマトリッ
クス中に分散している状態を包含するものである。前者
の融合状態は、ガラス粒子の集塊を加熱するときに加熱
温度が比較的低いときに生じる。後者の融合状態は、加
熱温度が比較的高いときに生じる。すなわち、粒子の一
部が流動状態となって、粒子形状を依然として保持して
いる粒子に対して連続マトリックス相を形成することに
よって生じる。いずれの場合であっても、本発明結晶化
ガラス材中に存在して肉眼で観察されるガラス粒子は、
最大寸法が1〜10mm程度、最小寸法が0.1〜0.5
mm程度、のものである。
【0013】NaO・2CaO・3SiO結晶はガ
ラス粒子の表面から発生するので、NaO・2CaO
・3SiO層の形状は薄膜状であるといえる。本発明
結晶化ガラス材の表面を研磨してガラス粒子の断面が表
面に現われている場合に、すなわちNaO・2CaO
・3SiO層が断面として研磨表面に現われている場
合に、それが顕在化する。一方、NaO・2CaO・
3SiOが本発明による結晶化ガラス材中でガラス粒
子の表面を覆うものとして観察されるときは、当該ガラ
ス粒子の形状として目に映じることになる。
【0014】本発明による結晶化ガラス材は、上記の基
本的構造に加えて、NaO・2CaO・3SiO
量、ならびに好ましくは光線透過率および強度、に関し
て特定されたものである。
【0015】すなわち、先ず、本発明による結晶化ガラ
ス材は、NaO・2CaO・3SiO含量が5重量
%以下、好ましくは0.1〜3重量%、の範囲に在る。
NaO・2CaO・3SiO含量をこのような比較
的低いレベルに設定したことによって、この結晶化ガラ
ス材は、ガラス由来の透明性を有し、その中に分散して
いるNaO・2CaO・3SiO、特に、Na
・2CaO・3SiO被覆ガラス粒子、が立体的に観
察されるという立体感を持つものとなる。なお、Na
O・2CaO・3SiO含量をこのレベルにするに
は、加熱温度および(または)加熱時間を制御すればよ
い。結晶化ガラス中のNaO・2CaO・3SiO
結晶が存在結晶中の90重量%を占めることならびに含
量が5重量%以下であることは、X線回析法によって測
定することができる。
【0016】本発明による結晶化ガラス材が低Na
・2CaO・3SiO含量であることに相当してガラ
ス由来の透明性を有することは前記したところである
が、その透明性を光線透過率で示せば、非着色ガラスの
場合については、厚さ2mmの状態において波長650m
μの光線透過率が25〜70%の範囲であるということ
に相当する。光線透過率が25%未満では肉眼観察上で
もはや透光性があるとはいえず、一方これが70%超過
では単なる透明ガラスと有意な差がほとんど無くなる。
ちなみに、現在、市販されている代表的な結晶化ガラス
建材の透光性は、本発明者らの実測したところでは、
「ネオパリエ」(日本電気ガラス社製、商品名)で19
%、クリストン(旭硝子社製、商品名)で2%(いずれ
も肉厚2mm換算値)である。
【0017】なお、光線透過率は慣用されたところと同
じであって、所与の波長の入射光エネルギー量に対する
透過光エネルギー量の比を意味し、具体的には、たとえ
ば島津製作所製「分光光度計UV−2100S」を使用
して測定することができる。
【0018】そして、本発明による結晶化ガラスは、3
点曲げ試験強度が150Kg/cm2 以上、好ましくは20
0Kg/cm2 以上、のものであることが好ましい。この条
件は、ガラス粒子の融合によってなる本発明製品の融合
の程度を示すためのものであり、従って従来品との区別
化のための要件ではない。
【0019】本発明による結晶化ガラス材は、着色され
ていてもよい。ガラスの着色は周知の技術である。本発
明は屑ないし廃ガラスを利用して実施することができる
ところ、そのような屑ないし廃ガラスの供給源の一つと
なりうるビールびん、清酒びん、ウイスキーびん等の分
野においてアンバー色、緑色等の着色は工業的に大規模
に行なわれているものでもある。着色は、粒子毎に異な
っていてもよい。 <結晶化ガラス材の製造>本発明による結晶化ガラス
材、すなわち少なくとも表面がNaO・2CaO・3
SiOからなるガラス粒子の融合体からなるもの、は
この特有の構造が実現しうる限り任意の方法で製造する
ことができる。しかし、好ましい製造法は、所謂「テラ
ゾー方式」、すなわちガラス粒子の集塊(たとえば浅い
容器ないし型枠に粒子を充填した場合のような集塊)を
加熱して、粒子表面で結晶の形成および粒子の融合を行
なう方式、が適当である。
【0020】このようなテラゾー方式は、下記の通りに
実施することができる。 <原料ガラス>原料ガラスは、生成させるべき結晶がN
O・2CaO・3SiOであることに相当して、
特殊なガラスである必要はない。しかし、NaO・2
CaO・3SiOの生成し易いガラスを選ぶことが好
ましいことはいうまでもない。ガラス組成は、SiO
−CaO−NaO系における相平衡図(フェーズ・ダ
イアグラム)においてNaO・2CaO・3SiO
結晶の生成する範囲内であることが一般である。
【0021】本発明に使用するのに適したガラスの一例
は、ソーダ石灰ガラスである。ソーダ石灰ガラスの定義
および組成は周知であって、ソーダ石灰ガラスは、ガラ
スびん、窓ガラス等として大量に生産されているもので
ある。
【0022】結晶生成を促進するため、結晶核の生成促
進物質(たとえば、P、フッ素化合物(CaF
等)、TiO、ZrO等)を添加することができ、
また着色剤(たとえば、Cr、MnO、Ni
O、CoO等)その他を添加することもできる。このよ
うなガラスは、所定原料を所定量調合して融解させるこ
とによって製造してもよく、あるいは屑ないし廃ガラス
(カレット)使用の場合は当該カレットを原料調合の材
料とすることができる。
【0023】テラゾー方式では、ガラスを粒子状で使用
する。粒子状ガラスは、調合した所定原料を均一化する
ため、一旦溶融し、次に溶融ガラスを水中に投入する
か、あるいは一旦冷却後機械的に粉砕して得るのが一般
的である。いずれの場合にも、得られた粒子を所定の粒
子に選粒して、原料ガラス粒子とする。
【0024】ガラス粒子の粒度は、得られる結晶化ガラ
ス材に求める外観に対応して任意である。すなわち、大
粒子のガラス粒子を使用すれば、大粒子のNaO・2
CaO・3SiO被覆粒子が生成、融合し、小粒子の
ガラス粒子を使用すれば、小粒子のNaO・2CaO
・3SiO被覆粒子が生成、融合する。大粒子と小粒
子とを混合使用すれば、生成結晶化ガラス材も大小粒子
の融合体となる。
【0025】採用した粒状化手段にもよるが、生成ガラ
ス粒子は不定形をしていることが多いので、ガラス粒子
の大きさはその最大寸法と最小寸法とで示すことが実用
的である。本発明では、最大寸法が1〜10mm、好まし
くは2〜5mm、最小寸法が0.1〜0.5mm、好ましく
は0.2〜0.4mmのものが適当である。異径粒子を組
合せることならびに異着色粒子を組合せること、が可能
であることは前記したところである。 <加熱処理>このようなガラス粒子を所定形状の型枠に
充填して、加熱処理を受けさせる。
【0026】本発明による結晶化ガラス材の大きな用途
の一つは建材としてのそれであって、その場合は板材と
して使用される場合が多い。「板材」は、平板状であっ
ても曲面状であっても良い。平板状の場合は、ガラス粒
子を充填すべき型枠は平板状のガラス粒子集塊ができる
ような形状のものであることが一般的である。
【0027】このガラス粒子の集塊、いわばプレフォー
ムは、バインダーなしの自己形状保持性の無い、ガラス
粒子集塊であることがふつうであるが、希望するならば
適当なバインダーを使用して自己形状保持性のあるガラ
ス粒子集塊とすることもできる。後者の場合であって
も、加熱時の形状安定性の観点から型枠を使用すること
が好ましい。
【0028】加熱は、ガラス粒子の少なくとも表面がN
O・2CaO・3SiO結晶となり、しかも、好
ましくはNaO・2CaO・3SiO以外の結晶が
生成しない温度、そしてガラス粒子が融合して所定強度
の結晶化ガラス材が形成される温度、で行なわれなけれ
ばならない。本発明者らの見出したところによれば、こ
の温度は800〜950℃、好ましくは830〜900
℃、である。加熱時間も所与の温度で所定結晶化ガラス
材が得られるまでの、特にNaO・2CaO・3Si
含量が5重量%以下となるような、時間である。一
般に、800℃で1〜3時間、950℃で0.5〜1時
間、である。加熱工程は、一定温度で行なう必要はな
く、経時的に温度を変化させてもよい。なお、加熱温度
が800℃未満ではNaO・2CaO・3SiO
晶の析出量が不足するのみならず、粒子間の融着が不十
分である。一方、加熱温度が950℃を超える場合は、
NaO・2CaO・3SiO結晶以外の結晶が析出
してくるので好ましくない。
【0029】加熱工程中にガラス粒子は軟化して、粒子
集塊の自重によって相互の融合(およびその表面からの
結晶化)が生じることがふつうである。しかし、加熱温
度が低くてガラス粒子の軟化が不充分であるとき、ある
いは希望するならば、加熱下のガラス粒子集塊を加圧し
て、粒子の相互の融合を促進することもできる。
【0030】所定のNaO・2CaO・3SiO
成および所定のガラス粒子の融合が達成されたならば、
生成融合体を徐冷して、本発明による結晶化ガラス材を
得る。建材等として使用するに当って表側となる面を研
磨、特に鏡面研磨、すれば、本発明による結晶化ガラス
材の美的価値が顕在化する。
【0031】
【実施例】
(1) 表1に示す化学組成から成るガラス原料(バッ
チ)を1400℃で5時間溶融させた後、水中に注出し
て水砕物を作った。この水砕物を粗粉砕し、最粒径2〜
5mmの範囲に揃えて、原料ガラス粒子を調製した。
【0032】この原料ガラス粒子をムライト製の枠(5
0×50cm,深さ3cm)に詰めた。なお、生成結晶化ガ
ラスがムライト枠と融着するのを防ぐために、枠表面に
予めアルミナ微粉末を塗布した。
【0033】この枠を炉に入れて加熱速度200℃/時
間で昇温し、850℃ないし880℃に一定時間保持し
た後、徐冷した。
【0034】得られた結晶化ガラス板を鏡面研磨するこ
とにより、透光性(深み)を有し、「薄膜状」のNa
O・2CaO・3SiO結晶がガラス中に浮き上って
散在する美しい模様のプレートが得られた。加熱時間を
5時間および17時間に延長しても同様な結晶化ガラス
が得られた。
【0035】(2) 屑ガラス(カレット)使用に際し
ては、屑ガラスの鉱物成分に、Al、NaO等
の鉱物及び結晶核促進のためのP、TiO、Z
rO等のいずれか又は複数の鉱物を加えて、当該配合
比のガラスを調製することができる。
【0036】表1の配合比はSiO‐CaO‐Na
O系における相平衡図(フェーズダイヤグラム)のNa
O・2CaO・3SiO結晶の生成する範囲の一例
である。
【0037】(3) サンプル No.1〜 No.6にみられ
るように、樹枝板状結晶がガラス粒子界面においてその
粒子表面に薄膜状に生成して、ガラスの深みのある透明
感とガラス粒子の斑目模様とが渾然一体となった独特の
デザインを呈する結晶化ガラス材が得られた。
【0038】このものの物性を硬度、熱膨脹係数および
耐候性(耐酸性および耐アルカリ性)についても示した
が、この素材は建材、インテリア材として、充分な強
度、耐候性を有するものであった。
【0039】また、 No.1〜 No.3において、同一配合
比における焼成時間の差違をみているが、焼成時間が長
くなっても結晶比率がそれほど進んでいない。このこと
は焼成時間に厳格な制御が要らないことで、大きな利点
である。焼成温度においても850℃±20℃で制御さ
れていれば、求めるNaO・2CaO・3SiO
結晶が所定の量得られる。
【0040】
【表1】 注) 1) 硬度はヴイッカース硬度計(明石製作所製)により
荷重0.5 kgで測定した。 2) 熱膨脹係数はリガク(株)製、熱分析機(Thermal
Analysis Station TAS100)にて測定した。 3) 耐酸性の測定方法は以下の通り結晶化ガラス板を粉
砕して選粒し、250 μから425 μの間の粒子を約5g正
確に秤量し、80℃の4%(重量パーセント)H2 SO
4 溶液250 ml中に90分間 浸漬して、重量減少量を測
定し、パーセントで示した。 4) 耐アルカリ性の測定方法は以下の通り結晶化ガラス
を粉砕して選粒し、250 μから425 μの間の粒子を約5
g正確に秤量し、80℃の4%(重量パーセント)NaO
H溶液250 ml中に90分間浸漬して、重量減少量を測定
し、パーセントで示した。 5) 結晶の析出量の測定はX線回析法によった。
【0041】
【発明の効果】NaO・2CaO・3SiOを表面
に有するガラス粒子の融合体からなる結晶化ガラスを、
屑ガラス(カレット)の利用も含めて、比較的低温で製
造することができ、得られた結晶化ガラスが独特の美観
および透明性を有するものであることは、〔発明の概
要〕の項において前記したところである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも表面が実質的にNaO・2C
    aO・3SiOからなる結晶からなるガラス粒子が融
    合してなる結晶化ガラス材であって、NaO・2Ca
    O・3SiO含量が5重量%以下の範囲に在るもので
    あることを特徴とする、結晶化ガラス材
  2. 【請求項2】板状であり、少なくとも一面が研磨されて
    いる、請求項1に記載の結晶化ガラス材。
  3. 【請求項3】ガラスがソーダ石灰系ガラスである、請求
    項1または2に記載の結晶化ガラス材。
  4. 【請求項4】ガラス粒子の集塊を800〜950℃の範
    囲の温度に加熱して、該ガラス粒子の少なくとも表面に
    実質的にNaO・2CaO・3SiOからなる結晶
    を生成させると共に該ガラス粒子を融合させることを特
    徴とする、結晶化ガラス材の製造法。
  5. 【請求項5】ガラス粒子が、最大寸法1〜10mm、最小
    寸法0.1〜0.5mmのものである、請求項4に記載の
    結晶化ガラス材の製造法。
  6. 【請求項6】加熱温度が830〜900℃の範囲に在
    る、請求項4または5に記載の結晶化ガラス材の製造
    法。
  7. 【請求項7】加熱を、ガラス粒子集塊の自重による自己
    発生圧力の下に行なう、請求項4〜6のいずれか1項に
    記載の結晶化ガラス材の製造法。
  8. 【請求項8】ガラスがソーダ石灰系ガラスである、請求
    項4〜7のいずれか1項に記載の結晶化ガラス材の製造
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000012440A3 (fr) * 1998-08-28 2001-03-01 Boris Georgievich Koldaev Procede de preparation d'un materiau a base de verre cristallin et de pierre

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WO2000012440A3 (fr) * 1998-08-28 2001-03-01 Boris Georgievich Koldaev Procede de preparation d'un materiau a base de verre cristallin et de pierre

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