JPH0672266U - ホール素子 - Google Patents

ホール素子

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JPH0672266U
JPH0672266U JP1290693U JP1290693U JPH0672266U JP H0672266 U JPH0672266 U JP H0672266U JP 1290693 U JP1290693 U JP 1290693U JP 1290693 U JP1290693 U JP 1290693U JP H0672266 U JPH0672266 U JP H0672266U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 III−V族化合物半導体ヘテロ接合を利用し
た高感度のホール素子を安定的に得る。 【構成】 ボンデング用のパッド電極を感磁部以外の領
域に設ける。 【効果】 素子化プロセスに伴う移動度の低下を抑制で
き高感度化特性を維持できる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
ヘテロ接合から成る磁電変換素子に係わり、特にその素子の高感度特性の安定 化に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁界を検知し、その強度に応じて電気信号を発生する、いわゆる磁電変換素子 の一つとしてホール(Hall)素子が知られている。このホール素子は磁場を 印加した際に、ホール素子を構成する半導体内の電子の運動によって発生するホ ール(Hall)電圧を被検知量とする一種の磁気センサーであり、回転、位置 検出センサー等として産業界の広範囲に亘り利用されている。
【0003】 ホール素子用の半導体材料としてはシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge) などの元素半導体の他、アンチモン化インジウム(InSb)、ヒ化インジウム (InAs)やヒ化ガリウム(GaAs)等の元素周期律表の第 III族に属する 元素と、同じく第V族に属する二つの元素を化合させてなる III−V族2元化合 物半導体も使用される。
【0004】 しかし、従来の化合物半導体からなるホール素子を見れば、用いる半導体の物 性に依ってホール素子の特性上に一長一短が存在する。例えば、GaAsから成 るホール素子はGaAs半導体のバンドギャップが比較的大きい事により素子特 性の温度変化は少ないものの逆に電子移動度が低いため、積感度はInSbから 成るホール素子に比較し低いという欠点がある。一方、InSbホール素子はI nSb半導体のバンドギャップが低いため特性の温度変化は大きいが、高い積感 度が得られる利点を有している。
【0005】 最近では、自動車エンジンの精密な回転制御等、高温環境下に於ける精密セン シング技術の必要性が高まり、高いホール電圧を出力する能力を有し、且つ温度 による素子特性の変化を低く抑制した新たな高性能ホール素子が要望されるに至 っている。ここで、ホール電圧は半導体材料のホール(Hall)係数に依存し 、ホール係数が大きい程、ホール電圧の出力能力は高い。また、このホール係数 は半導体材料の移動度に比例して増加する。従って、高いホール出力電圧を得る には、即ち高感度なホール素子を得るには高い電子移動度を発現する半導体材料 を使用する必要がある。
【0006】 このため、産業界からの高性能ホール素子の要望と相まって半導体材料の物性 面からの検討も進み、極く最近では従来と同様の III−V族化合物半導体でも三 種類の元素を混合させてなる、ヒ化ガリウム・インジウム(GaInAs)三元 混晶とリン化インジウム(InP)から構成されるヘテロ接合を具備した材料を 、新たな高感度ホール素子の材料として応用する試みもなされている(奥山 忍 他、1992年秋季第53回応用物理学会学術講演会予稿集No.3(応用物理 学会発行)、16a−SZC−16、1078頁)。このGaInAsホール素 子は特性の温度変化も比較的小さく、且つまた室温における電子移動度が極めて 高いために優れた積感度を有する。以下、ヘテロ接合を具備してなるホール素子 の一例として、この III−V族化合物半導体であるGaInAs/InPヘテロ 接合を使用したホール素子を挙げて説明を加える。
【0007】 この様なGaInAsホール素子は、通常Feを適量添加してなる高抵抗の半 絶縁性InP単結晶基板上に成長させたGaX In1-X As(x は混晶比を表す )膜を感磁部として構成される。しかしながら、単にGaX In1-X As膜をF e添加InP単結晶基板上に堆積させただけでは、このGaX In1-X As膜に 高電子移動度が安定的に付与されるとは限らない。それは主に、基板として利用 する高抵抗InP単結晶中に含有されるFe不純物が、当該InP単結晶上に所 望のGaX In1-X As膜をエピタキシャル成長させるべく或る高温の成長環境 下に曝した際に、InP単結晶基板側より成長しつつあるGaX In1-X As膜 の内部へ熱拡散することに起因している。即ち、Fe不純物がいわゆる電子トラ ップ(trap)として働き、電子の移動を妨げるために移動度の向上を阻害するか らである。これを防止する目的で通常は高抵抗の、例えばInP層をバッファ( buffer)層(緩衝層)としてGaX In1-X As感磁部膜とInP基板との中間 に挿入し、InP基板結晶中の不純物なり或はまた結晶欠陥なりの感磁部層への 伝幡を低減することが行われる。
【0008】 この様なInPバッファ層とGaX In1-X As感磁部層との層から構成され てなる、いわゆる異種(ヘテロ;hetero)接合を有するエピタキシャルウエハを 母体材料として素子化するわけである。ホール素子となすには素子を動作させる ための動作電流を流通させる入力電極、並びにホール電圧を出力する出力電極を 感磁部に電気的に接触させる如く形成しなけらばならない。これらの入・出力電 極にはオーミック(Ohmic )性を保有することが当然要求される。金属膜からな る電極にオーミック性を付与させるには、通常感磁部層上に被着してなる金属電 極にアロイング(alloying)と称される熱処理を施す。
【0009】 しかしながら、上記のアロイングは一般的には400℃〜500℃の温度で適 宣、時間を設定して施されるが、このアロイング時の加熱操作により電極にオー ミック性を付与出来るものの、前記のヘテロ接合の界面に熱的な衝撃が加わり同 界面の急峻性が損なわれるなどの欠点を生じ、結果としてGaX In1-X As感 磁部層の電子移動度を低下させ、高感度ホール素子の実現を阻害するという重大 な欠点があった。
【0010】 係る事態を防止するため、例えばGaInAs感磁部層上で且つ電極部の直下 に高いキャリア濃度を有する低抵抗の結晶層を挿入し、アロイングを施さずとも オーミック性を呈する電極を形成する方法が採用されることが行われている。こ の方法によりオーミック電極を形成する方法は、アロイングを要しないことから ノンアロイ(nonalloy)コンタクト法と称され、n形の伝導型を呈する半導体結 晶に対するオーミック性電極材料として通常利用される金(Au)・ゲルマニウ ム(Ge)合金を使用せずとも、アルミニウム(Al)等の単体の金属からなる オーミック性電極を形成ならしめることができる。
【0011】 上記の高いキャリア濃度を有する低抵抗の結晶層とは、例えばキャリア濃度が 1019〜1020cm-3程度のGaInAs層やInP層であってもよいが、Ga InAs層上にこの様な高キャリア濃度層を設ける場合にあっては、結晶相互の 歪の発生等の観点からGaInAsの高キャリア濃度層をエピタキシャル成長法 により堆積することが多い。また、最近ではイオン注入法を駆使し、電極を形成 する領域にGaInAsに対しn形の不純物として働くシリコン(Si)、セレ ン(Se)等のイオンを注入し、当該領域を選択的に高キャリア濃度領域とし、 ここに単体金属を真空蒸着法、スパッタリング(sputtering)法などにより被着 してノンアロイ形のオーミック性電極となす場合もある。いずれの高キャリア濃 度層の形成方法に於いても従来のAu・Geの如くの合金ではなく単体の金属材 料でオーミック性電極が形成できるため、例えば蒸着時の合金組成の変動などに よる電極の接触抵抗の変動等を低減できる優位性がある。
【0012】 係るノンアロイオーミック電極を有するウエハからホール素子を得る訳である が、素子化に当たっては従来のアロイングを施した電極を設けてなるホール素子 の素子化とほぼ同一で、別段特異な手法は必要としない。係るホール素子にあっ ては、入・出力電極の各々にリード(lead)線を結線し、所望の支持体に支持せ しめパッケージ(package )化し製品とするの一般的である。この結線は、通常 超音波ボンデング(bonding )法等により行われるが、リード線のボンデング時 には電極にリード線を接着、固定せしめるために相当なる機械的な圧力、衝撃が 加わることとなり、これに起因して電極を形成する領域の近傍に存在するGaI nAs層とInPとのヘテロ界面が結晶的に破壊され、しいてはGaInAs感 磁部層の電子移動度を低下させるという重大な欠点があった。
【0013】 このため従来からボンデング用の電極、いわゆるパッド(pad )電極を入・出 力用となす電極表面上に新たに付加させることも考えられている。図1にボンデ ング用のパッド電極を備えてなる従来のGaInAsホール素子の模式的な平面 図の一例を示す。図中の(101)は入・出力用のオーミック性電極を示し、( 102)は入・出力電極(101)上に設けてなるボンデング用のパッド電極を 各々示す。同図に示す如くパッド電極(102)は入・出電極と相似の形状とす るのが従来からの極く一般的な手法であり、またパッド電極(102)の形状的 な中心点(103)は感磁部層から成るのホール素子の機能部領域(104)の 幅方向の中心線(105)上に存在している。しかしながら、単にパッド電極を 従来の如く感磁部層上に具備させただけでは、実際には上記のヘテロ界面を破壊 から保護する有力な手段とはなっていないのが現状である。本考案者はこの点に つき鋭意検討を加えた結果、単にボンデング用のパッド電極を設けたのみでは容 易にヘテロ界面へのボンデング時の機械的衝撃は回避できず、ボンデングパッド となす電極材料の膜厚を増加させてボンデング時の機械的衝撃を緩和するよりも 、入・出力電極上に設けるパッド電極の位置より多大なる影響を受けることを見 出し、本考案に至った。
【0014】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は上記の従来からの欠点に鑑みなされたもので、GaX In1-X As結 晶層並びにInPとのヘテロ界面を破壊することなく入・出力電極へリード線を ボンデング可能とする方法を新たに考案し、もってGaInAs感磁部層が元来 有する高い電子移動度を維持させ高感度のホール素子を顕現する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
ホール素子の入・出力電極と電気的に接触させてボンデング用のパッド電極を 設けるに際し、当該ボンデングパッド用の電極を感磁部以外の基板領域に設け、 ボンデング時に被ボンデング電極にかかる機械的圧力が感磁部などの素子感磁機 能部へ直接印加されるのを回避し、もって感磁部層の電子移動度の低下を防止す る。
【0016】 以下、GaInAs/InPヘテロ接合ホール素子を例にして本考案を説明す る。通常、GaInAs/InPヘテロ接合ホール素子の形成に当たっては半絶 縁性を有する高抵抗のInP単結晶基板が使用される。実用上は比抵抗が106 Ω・cm以上のInP単結晶を基板を用いるのが一般的であり、これらの結晶は 液体封止チョクラルスキー(Liquid Encapsulated Czochralski ;LEC )法や、 最近ではVB(Vertical Bridgman)法と称される垂直ブリッジマン法等により 容易に製作できる。また、Fe添加InP単結晶中のFe不純物が結晶層の電子 移動度等の電気的特性に与える悪影響が懸念される場合にあっては、InP単結 晶を塩酸等により溶解し、純水などで定溶とし原子吸光分光分析法や高周波誘導 アルゴンプラズマ分光分析法などの湿式機器分析法、或は2次イオン質量分析法 など固体機器分析法等によりFe不純物の濃度を定量分析し、所望のFe濃度を 有する結晶を選択すれば事足りる。従って本考案に係わるホール素子の実現に必 要な、Fe濃度が規定された範囲にあるInP基板結晶の入手に支障を来す恐れ はない。
【0017】 これらInP単結晶基板上にInP層とGaX In1-X As層とを堆積せしめ ヘテロ接合を形成するが、これらのエピタキシャル層の積層順序に制限はなく、 InP単結晶基板上に先ずInP層を成長させ、然る後GaInAsを堆積させ ても良く、これとは逆の順序で堆積させても差し支えはない。しかし、通常は感 磁部とするGaInAs層の電子移動度を向上させるために、InP単結晶基板 からのFe不純物のGaInAsエピタキシャル成長層への拡散の抑制などを期 して、先ずInP単結晶基板上にInPをバッファ(buffer)層として堆積する のが一般的である。このバッファ層を設けることにより結晶欠陥等のエピタキシ ャル成長層への伝幡を抑制するなどの効果を生じるため、GaInAs層の電子 移動度をいたずらに低下させずにGaInAsホール素子の高感度特性を保持で きるなどの利点を招く。係る構成の層を有するウエハに、更にキャリア濃度が1 019cm-3の低抵抗GaInAs層をノンアロイオーミックコンタクトを形成に 供するために成長させる。
【0018】 上記のInPバッファ層並びにGaInAs層の成長方法には、特に制限はな く液相エピタキシャル成長法(Liquid Phase Epitaxial;LPE法)、分子線エ ピタキシャル成長法(Molecular Beam Eptaxial ;MBE 法)や有機金属熱分解気 相成長法、いわゆるMOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxial ;MO CVD法とかOMVPE法とも呼ばれる場合もある。)や、またはMOVPE とMBE 双方を複合させたMO・MBE法などが適用できると考えられる。しかし、現状 では蒸気圧が比較的高いリン(P)を含むInP等の半導体薄膜の成長には、M BE法よりも化学量論的な組成制御性の観点からもっぱらMOVPE法が多用さ れており、特にInの出発原料として結合価が1価のシクロペンタジエニルイン ジウム(C55 In)を使用するMOVPE法では、従来困難とされていた常 圧(大気圧)下に於いても高品位のInP並びにGaInAsなどを得ることが できる。また、InP層を例えばMOVPE法で成長させ、Pを含まないGaX In1-X As層はMBE法で成長させるなど層毎に成長方法を異にしても支障は 無く、唯一の成長法で当該ヘテロ接合を形成する各層を設ける必要はなく、層毎 に成長方法を異にしても良いのは勿論である。
【0019】 また、前記GaX In1-X Asの混晶比xについては、0.37≦x≦0.5 3とするのが望ましい。何故ならば、InPに格子整合するGaX In1-X As の混晶比x=0.47から混晶比がずれるに伴い、GaX In1-X AsとInP との格子定数の差、即ち格子不整合度も顕著となり、多量の結晶欠陥等を誘発し 結晶性の低下を招くばかりか電子移動度の低下等の電気的特性をも悪化させ、ホ ール素子の特性上積感度の改善に多大な支障を来すからである。
【0020】 また、本考案に係わる上記GaX In1-X As層の膜厚については特段の制限 はない。但し、ホール素子の実際の製作に当たっては素子間を電気的に絶縁する ため、メサエッチングと称する特定領域の結晶層を除去するための工程が一般的 に採用されるが、この際素子間絶縁のためにメサエッチングにより除去すべき導 電性を呈する層の膜厚、とりもなおさずエピタキシャル成長層の全体的な厚みが 増すと必然的にメサエッチングに要する時間の増大を伴い、結晶方位に因るエッ チング量並びにエッチング形状に顕著な差異を生じさせる。このことがしいては ホール素子の重要な特性の一つである不平衡率の増大をもたらし、素子特性の高 品位化を妨げると共に良品素子収率の低下を招く。従って、本考案に記すヘテロ 構造を構成するにあたっては、その構成要素であるGaX In1-X As層の膜厚 をおおよそ5μmより薄く設定すると好結果が得られる。
【0021】 上述の如くのエピタキシャルウエハを母体材料とし、GaX In1-X AsとI nPとのヘテロ接合を具備成してなるホール素子を製作する。この製作に当たっ ては公知のフォトリソグラフィ技術、エッチング技術等の加工技術を駆使し感磁 部並びに入出力電極部となす領域をメサ(mesa)エッチング法により形成す る。このメサ構造を得る方法につきここで説明を加えるに、先ず当該母体材料の 最表面であるGaX In1-X As層の表面に一般的なフォトレジスト材を塗布し 、その後通常のフォトリソグラフィー技術により入力用並びに出力用電極の形成 領域及び感磁部とする領域のみの該レジスト材を残存させ、それ以外の領域に或 るレジスト材は剥離除去する。然る後、無機酸を用いてGaInAs及びInP 層にエッチング加工を施す。このエッチングにより電極形成部及び感磁部領域は それらの領域を垂直方向の断面から見れば台形状、いわゆるメサ形状か結晶の軸 方向に依っては逆台形状いわゆる逆メサ状の台地(メサ)として残存させ得る。 当該メサエッチングについては成長層の全厚が5μmを超えると上記の如く結晶 軸(結晶方位)に基づくエッチング形状の差異が顕著となり、これによりホール 素子の特性の一つである不平衡電圧の増加を招き、もって不平衡率の悪化をもた らす。よって、前述の様に当該ホール素子の製作に供するエピタキシャル成長層 の全体の膜厚は、概ね5μm以下に設定した方が不平衡率を増大させないという 点で好都合である。
【0022】 係るメサエッチングを施した後、入力用並びに出力用電極を形成する。この形 成に当たってはメサエッチイングされたウエハの表面全体に一般のフォトレジス ト材を塗布する。その後、公知のフォトリソグラフィー法により入・出力電極を 形成する領域に在るフォトレジスト材のみを剥離、除去し、直下に存在する高キ ャリア濃度のGaInAs層の表面を露出させる。次に電極材料となる単体のA lを当該加工を施したレジスト材上に真空蒸着する。ここでは電極材料としてA lを使用したが、電極材料としては別段、これに限定されることはなくAuであ っても勿論差し支えはない。電極材料を真空蒸着した後、レジスト材を剥離する のと併行していわゆるリフトオフ(lift off)法を利用して当該レジスト材上に 被着されたAl膜を除去する。この時点で既にアロイングを施さずともAl電極 にはオーミック性が付与されている。ちなみにこれらのAl電極の形状は長方形 の平面でも円形でも、或はまた楕円形などであっても支障はない。
【0023】 上述では、メサエッチングにより素子形成領域をメサ形状に加工し他の領域と の電気的に絶縁化を果たしたが、素子領域と他の領域との絶縁化は別段、これに 限ることはなく、例えば水素や酸素などの非金属性のイオンや鉄などの遷移金属 のイオンを素子形成領域外にイオン注入することにより当該領域を絶縁化させて も良い。この場合はメサエッチング時の様に深さ方向に段差を生ずることなく絶 縁化を達成でき、よってホール素子の不平衡電圧の増加を抑制できる利点がある 。
【0024】 更に、電極が形成されたウエハの表面全面をフォトレジスト材で再び覆い、公 知のフォトリソグラフィー技術を応用してパッド電極を形成すべくパターニング (patterning)を施す。このパッド電極は、各々一対をなす入力、並びに出力電 極の計4個の各電極上の素子感磁機能部以外の領域に設ける。この様な位置にボ ンデング用のパッド電極を配置するのは、ボンデング時に於ける機械的な圧力等 が素子機能部を構成する半導体結晶層に直接加わるのを回避させるためである。 パターニング終了後Alを全面に真空蒸着し、再びリフトオフ法によりパッド電 極形成領域以外のフォトレジスト材上に被着したAl被膜を排除する。このパッ ド電極形成領域では当然ながらAl被膜の膜厚は他の電極領域に比較し厚くなっ ている。
【0025】 次に公知のプラズマCVD法により絶縁性を有する二酸化珪素(SiO2 )を 堆積させウエハ表面を被覆する。本考案では一般的なSiO2 を絶縁被覆膜とし て採用したが他の絶縁性を有する膜、例えば窒化珪素(SiN)などであっても 良い。次に、上記の如く製作されたSiO2 絶縁膜を一般的なレジスト材で被覆 する。然る後、パッド電極部と個々の素子に分離する、いわゆるダイシング(di cing)ために必要なダイシングラインを形成するための位置に相当する部分のレ ジスト材を、公知のフォトリソグラフィー技術により除去し直下のSiO2 絶縁 膜を露出させる。更に、露出したSiO2 絶縁膜をフッ化水素酸(化学式HF) に浸し、当該部分のSiO2 絶縁膜を溶解し除去する。これにより入出力電極の 表面並びにダイシングラインの形成部にあってはGaInAs層表面を露出せし める。実際にここの素子に分離するにあっては、ダイシングラインに相当する部 分に露出しているGaInAs層を適当な無機酸を利用しエッチング除去すれば 良い。然る後、GaInAs層の直下にあるInP層をこれまた無機酸により除 去する。通常は、更にエッチングを進行させInP単結晶基板の表層部の一部迄 除去する。この様に図るのはダイシングに使用するスクライバー(sucriber)や ブレード(brade )などが素子の分離の際にエピタキシャル成長層やヘテロ界面 に機械的な損傷を与えるのを予め低減するためである。上記した絶縁膜の形成、 加工過程、並びにダイシングラインの形成、加工方法はメサエッチングかイオン 注入かの絶縁化の方法に依らず変わりはない。
【0026】 係る加工を施された後、上記のダイシングラインに沿って公知のスクライビン グ(sucribing )を施し製作されたホール素子を個々に分離しホール素子チップ (chip)となす。然る後、一つの素子チップを金属支持体上に載置し、同支持体 に付帯するリード端子と各電極パッドとを一般的なリード線を用い超音波ボンデ ング法により結線する。その後、結線を完了したチップを一般的な半導体封止用 のエポキシ樹脂で囲繞し、外囲(モールド;mold)する。
【0027】 本考案に係る新たなGaInAsホール素子の電気的主要特性、特に積感度に つき従来のGaInAsホール素子のそれらと比較した。その結果、ホール素子 の優劣を決定付ける重要な特性である積感度に関し、顕著な差異が認められ、本 考案に因る新規なGaInAsホール素子に於いては格段の積感度の向上が果た された。この原因を探るにこれは本考案に記載した如く、高い電子移動度を発現 するGaInAs/InPヘテロ界面を機械的に損傷を与えかねない要因をホー ル素子の製作プロセスから極力、排除した事に因るものと判断される。
【0028】
【作用】
ボンデング用パッド電極を入・出力電極の特定位置に設けるという簡便な方法 により、ヘテロ接合界面に機械的な圧力等が直接及ぶのを回避でき、よってヘテ ロ接合が保持する高い電子移動度特性を損なうことなく、もって高感度なホール 素子の安定的な実現を可能とする。
【0029】
【実施例】
以下、本考案を実施例を基に具体的に説明する。 図2は本考案に係わるGaInAs/InPヘテロ構造ホール素子の模式的な平 面図の一例を示す。また、図3は図2に掲げるホール素子の破線A−A’に沿う 垂直方向の断面模式図である。 図2の(201)は、当該ヘテロ接合を形成するにあたり、基板として使用し た鉄(Fe)を添加してなる面方位(100)の半絶縁性のInP単結晶である 。また、InP単結晶(201)の厚さは約350μmであった。本実施例では 、比抵抗が約107 Ω・cmの結晶を用いた。同図中(202)は結晶基板(2 01)上にC55 InをIn源とする常圧のMOCVD法で成長させた膜厚が 約100nmの無添加(アンドープ)InPエピタキシャル結晶層である。バッ ファ層とするこのInP層(202)は温度610℃にて成長させた。更に、I nPバッファ層(202)上に混晶比が0.47で、約400nmの膜厚を有す るn形のGa0.47In0.53Asエピタキシャル層(203)を常圧MOCVD成 長法で設けた。このGa0.47In0.53Asエピタキシャル層(203)の成長温 度もInP層(202)と同じく610℃である。また、Ga0.47In0.53As エピタキシャル層(203)上にキャリア濃度が2×1019cm-3のn形の伝導 を呈する膜厚が120nmのGa0.47In0.53Asエピタキシャル層(204) を設けた。これは、本文中にも記載した様に、従来の合金ではなく単体金属によ り簡便にノンアロイオーミックコンタクトを形成するためである。尚、上記のI nP層(202)及びn形GaInAs層(203)のキャリア濃度は各々、2 ×1015cm-3及び2×1016cm-3であった。 上記エピタキシャル層(202〜204)は全て上記のMOCVD法で成長さ せた。
【0030】 この様な構造のウエハを、前述の如く公知のフォトリソグラフィー法並びにエ ッチング法を駆使して先ずホール素子の機能を発揮する素子機能部領域(205 )を台形(メサ;mesa)状に残存させるメサエッチングを施し、感磁部等を含む メサ領域を形成した。然る後、一般的なフォトレジスト材でウエハ表面を覆い、 パターニング、レジスト剥離リフトオフ等の工程を経て入力用並びに出力用電極 となすべく高純度のAlを約600nmの厚さに真空蒸着せしめ、これによりオ ーミック性入・出力電極(206)を形成した。これらの電極(206)の形状 は全て同一で平面は長辺が約200μmで短辺が約70μmの長方形となってい る。
【0031】 次に、再度ウエハの表面を一般のフォトレジスト材で覆い平面が長方形のパッ ド電極(207)を形成すべき領域、即ち、感磁部を除く図2に示す様な領域を パターニングし、当該領域のみに於いて入・出力電極(206)の表面を露出さ せた。本考案に於いては従来とは異なり、パッド電極(207)の中心点(20 8)が、素子機能部領域(205)を形成する相互に直交する半導体感磁部層( 209)の幅方向の中心線(210)上に位置しない様に配置した。然る後、再 び高純度Alを真空蒸着し、パッド電極(207)を感磁部層(209)以外の 領域に形成した。パッド電極部を含めた合計の膜厚は約1500nmに達した。
【0032】 更にウエハ全面を一旦プラズマCVD法によるSiO2 絶縁膜(211)で被 覆した。SiO2 膜(211)の厚さは約300nmとした。次に、当該絶縁膜 (211)上に一般のフォトレジスト材を塗布し、前述の如くのフォトリソグラ フィー、パターニング各工程等を経てパッド電極(207)の表面を後の電気結 線のために露出させた。これに工程的に継続させて個々のホール素子に分離する ためのダイシングライン(212)を形成した。然る後、ダイシングライン(2 12)に沿ってスクライブを施し、個々の素子(チップ)に分離せしめた。この チップ化に際しては、InP単結晶基板(201)の裏面の一部をエッチング除 去することにより、当該基板の厚さを初期厚さ350μmから約130μmの厚 さとし、スクライブを容易ならしめた。
【0033】 スクライビングによるチップ化後、チップを極く一般的な金属フレームにマウ ント(mount )し、その後超音波ボンデング法によりリード線の一端をパッド電 極にボンデングし、リード線の他端を金属フレームに付随してなるリード端子に 結線した。然る結線操作の後、当該ホール素子を半導体素子の封止用として一般 的に使用されるエポキシ樹脂で囲繞しモールドした。
【0034】 上述の如く作成したホール素子を電気的な特性評価に供した。特性上の比較を 行うため従来のGaInAsホール素子の特性も評価した。ここで、従来のホー ル素子とはパッド電極が素子機能部のほぼ延長線上に位置しているものである。 但し、InPバッファ層の膜厚は、双方で100nmと同一である。特性を比較 した結果の中で、特にホール素子の感度に直接影響を与える室温電子移動度につ いて本考案に係わる新規なホール素子と従来のホール素子では顕著な差異が認め られた。図4に示す如く本考案に基づく新たなホール素子にあっては室温電子移 動度が素子化工程を経ていない未加工のウエハ状態での室温移動度と殆ど変化が 見られないのに対し、従来のホール素子では素子製作工程を経るに従い室温移動 度が未加工のウエハ状態から約15〜20%程度低下していた。この室温移動度 の低下原因につき工程を追って調査した結果、ノンアロイAl電極を形成した後 迄は本考案並びに従来例共に室温移動度にさしたる変化は認められなかった。し かし、ボンデング工程の終了後に於いては、上記の差異が明白に現れた。これに 関し、結晶欠陥の導入、発生の観点から原因を調査した結果、従来のボンデング パッドの配置を有する従来のホール素子にあってもボンデングにより転位などの 多量の欠陥がGaInAs結晶層内部、並びにInP層とのヘテロ界面に誘発さ れ導入されているのが当該ウエハの垂直方向の断面の高分解能透過型電子顕微鏡 による観察から確認された。一方、本考案に係わる場合にあっては、ボンデング パッドの直下近傍のGaInAs結晶層にあっては従来例とほぼ同じくして結晶 欠陥が導入されているものの、素子特性を発揮させる上で重要な素子機能部位に は殆ど転位などが導入されていないことが判明した。これらの実験事実を考え併 せるに、従来のホール素子に認められる室温移動度の極端な低下には、ボンデン グの際の機械的な圧力等に因って誘発される結晶欠陥が関与していることは明白 であり、誘発される結晶欠陥等の移動度に及ぼす悪影響を緩和させるためにも本 考案の如くボンデングパッドを配置せしめ、素子機能部への直接的な結晶欠陥の 導入を避けるのが大きな効果をもたらすのは明かである。
【0035】 尚、上記の実施例ではGaInAs/InPヘテロ接合ホール素子を例にして 本考案の説明を加えたが、本考案はGaInAs/InPヘテロ接合ホール素子 に限らず、例えばGaAsとヒ化アルミニウム・ガリウム(AlGaAs)、ま たはヒ化アルミニウム・インジウム(AlInAs)とGaInAsとのヘテロ 接合から成るホール素子等にも適用できる。
【0036】
【考案の効果】
ボンデング用のパッド電極の配置につき新たな考案を加えることにより、素子 製作プロセスに伴って誘発、導入される素子機能部への結晶欠陥の導入を回避で き、よって高感度特性を維持した新たなGaInAsホール素子がもたらされる 。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のGaInAsホール素子の平面の概略図
である。
【図2】本考案に係わるGaInAsホール素子の平面
の概略図である。
【図3】図2に示すホール素子の破線A−A’に沿う垂
直方向の模式的な断面図である。
【図4】本考案と従来例に係わるGaInAsホール素
子の室温電子移動度の素子製作加工前後での変化を示す
図である。
【符号の説明】
(101) オーミック性入力・出力電極 (102) ボンデングパッド用電極 (103) ボンデングパッド用電極の形状の中心点 (104) メサ状に加工された素子機能部領域 (105) 素子の機能部を構成する半導体層の幅方向
の中心線 (201) InP半絶縁性単結晶基板 (202) アンドープInPバッファ層 (203) 混晶比0.47のGa0.47In0.53As感
磁部層 (204) 混晶比0.47のGa0.47In0.53As高
キャリア濃度層 (205) メサ状に加工された素子機能部領域 (206) オーミック性入力・出力電極 (207) ボンデングパッド用電極 (208) ボンデングパッド用電極の形状の中心点 (209) 素子の機能部を構成する相互に直交してな
る半導体層 (210) 素子の機能部を構成する半導体層の幅方向
の中心線 (211) SiO2 絶縁膜 (212) ダイシングライン

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘテロ接合を具備してなるホール素子に
    於いて、ボンデングパッド電極を感磁部以外の基板領域
    に設けたことを特徴とするホール素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018088515A (ja) * 2016-11-18 2018-06-07 旭化成エレクトロニクス株式会社 ホール素子およびホール素子の製造方法

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