JPH0672095U - 原子炉格納容器のトップスラブ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案の目的は大型の仮設サポートの組立
て、除去といった一連の作業を不要とし、工期の短縮が
達成できる新規な原子炉格納容器のトップスラブ構造を
提供するものである。 【構成】 本考案は原子炉圧力容器２を囲繞して設けら
れる生体遮蔽壁５の上端部と、該生体遮蔽壁５を囲繞し
て設けられる格納容器１の上端部間に設けられる原子炉
格納容器のトップスラブ構造において、上記生体遮蔽壁
５の上端部と格納容器１の上端部間に、鉄骨の支持梁１
７を放射状に架け渡すと共に、これら支持梁１７間に横
梁１８を架け渡して蜘蛛の巣状のトップスラブフレーム
１９を形成し、該トップスラブフレーム１９の周囲に鉄
筋１６を配筋すると共に、その下面にライナプレート１
１を設け、これにコンクリートを打設してなることを特
徴としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はいわゆる新型の原子炉格納容器の上端部に位置する原子炉格納容器の トップスラブ構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、原子炉格納容器としては、いわゆるＭＡＲＫ−Ｉ、ＭＡＲＫ−IIと称 されるものの他に図５に示すような新型の原子炉格納容器が知られている。この 新型の原子炉格納容器は図示するように、略円筒状をした鉄筋コンクリート製の 格納容器１内の中央部に原子炉圧力容器２を支持するペデスタル３が立設されて おり、その内部は、ペデスタル３と格納容器１の内壁間に設けられたダイヤフラ ムフロア４と、原子炉圧力容器２を囲繞する生体遮蔽壁５と格納容器１の上端部 間に設けられたトップスラブ６とによって、上部ドライウェル７と下部ドライウ ェル８と圧力抑制室９とに区画されている。そして、上部ドライウェル７内にお いて万一、冷却器等が故障して蒸気噴出事故が発生した場合には、これをペデス タル３内に設けられたベント管１０を介して圧力抑制室９内の冷却水Ｗ中に導き 、ここで冷却凝縮することで上部ドライウェル７内の圧力上昇を抑制し得るよう になっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、このトップスラブ６は、図４に示すように、格納容器１等と同様に 鉄筋コンクリートで構築されており、さらに上部ドライウェル７内に臨んだその 下面にはライナープレート１１が設けられている。そして、このトップスラブ６ は先ず、ダイヤフラムフロア４上に、複数の受け梁１３と支持柱１４からなる仮 設サポート１５を組み立てた後、その上部にライナープレート１１を介して多数 の鉄筋１６を配筋し、これにコンクリートを打設、養生させることによって構築 していた。しかしながら、このような従来のトップスラブ６では、その構築に上 述したような相当数の仮設サポート１５が必要であるため、これの組立て撤去作 業に多大な日数を要し、工期が長びいてしまう欠点があった。

【０００４】 そこで、本考案はこの問題点を有効に解決するために案出されたものであり、 その主な目的は仮設サポートを組立て、除去といった一連の作業を不要とし、工 期の短縮が達成できる新規な原子炉格納容器のトップスラブ構造を提供するもの である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案は、原子炉圧力容器を囲繞して設けられる生 体遮蔽壁の上端部と、該生体遮蔽壁を囲繞して設けられる格納容器の上端部間に 設けられる原子炉格納容器のトップスラブ構造において、上記生体遮蔽壁の上端 部と格納容器の上端部間に、鉄骨の支持梁を放射状に架け渡すと共に、これら支 持梁間に横梁を架け渡して蜘蛛の巣状のトップスラブフレームを形成し、該トッ プスラブフレームの周囲に鉄筋を配筋すると共に、その下面にライナプレートを 設け、これにコンクリートを打設してなるものである。

【０００６】

【作用】

本考案は上述したように、鉄骨の支持梁と横梁からなるトップスラブフレーム をコンクリート内に埋設した構成のため、コンクリート打設時の自重に十分耐え ることができる。従って、従来多大な日数を要していた仮設サポートの組立て、 除去といった作業が殆ど不要となり、また、トップスラブの構築のみを単独で他 の工事と並行して行うことも可能となるため、大幅な工期の短縮が達成できる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を添付図面を参照しながら詳述する。

【０００８】 図１及び図２は本考案の一実施例を示したものであり、図中１は格納容器、２ は原子炉圧力容器、５は生体遮蔽壁、２０は本考案のトップスラブを示したもの である。図示するように、このトップスラブ２０は、生体遮蔽壁５の上端部と格 納容器１の上端部間に架け渡されるように放射状に設けられた複数の支持梁１７ 間に、それぞれ複数の横梁１８を架け渡して蜘蛛の巣状のトップスラブフレーム １９を形成し、このトップスラブフレーム１９の周囲に鉄筋１６を配設すると共 に、その下面にライナプレート１１を設け、これに所定量のコンクリートを打設 してなるものである。

【０００９】 このトップスラブフレーム１９の支持梁１７はＨ鋼等の強度の高い鉄骨からな っており、図示するように一端が支柱２１を介して、生体遮蔽壁５の上端部に設 けられたブラケット２２に支持され、他端がダイヤフラムフロア（図示せず）上 に立設された仮支柱１４に支持されて上部ドライウェル７上に水平に配置されて いる。また、支持梁１７間に架け渡される横梁１８も支持梁１７と同様に強度の 高い鉄骨からなっており、図２に示すように、生体遮蔽壁５の周囲に略等間隔に リング状に配置されている。

【００１０】 また、このトップスラブフレーム１９には複数の鉄筋サポート２３が配筋され ており、トップスラブフレーム１９に張り巡らされた多数本の鉄筋１６を均一に 束ねるようにサポートしている。また、このトップスラブフレーム１９の下面に 位置する鉄筋１６には図中Ａ部に示すようなライナサポート２４が鉄筋サポート ２３間に位置するように設けられており、トップスラブフレーム１９の下面に位 置するライナプレート１１を鉄筋サポート２３と共にトップスラブフレーム１９ に支持している。

【００１１】 次に、本考案の構築例を説明する。

【００１２】 図２に示すように、工場などにおいて、放射状に設けられた複数の支持梁１７ 間に、それぞれ複数の横梁１８を架け渡して蜘蛛の巣状のトップスラブフレーム １９を形成した後、これを現場に搬送してダイヤフラムフロア（図示せず）上に 立設された仮支柱１４及び、生体遮蔽壁５の上端部に設けられたブラケット２２ によって上部ドライウェル７上に設置する。次に、このトップスラブフレーム１ ９の周囲に鉄筋１６を配筋すると共に、その下面にライナプレート１１を設けた 後、このライナプレート１１上にコンクリートを打設してトップスラブフレーム １９及び鉄筋１６を埋設し、養生させる。この時、鉄筋１６及びライナプレート １１上には多大なコンクリート打設圧が加わることになるが、上述したように、 このライナプレート１１及び鉄筋１６は鉄筋サポート２３及びライナサポート２ ４によってそれぞれトップスラブフレーム１９に支持されているため、その荷重 には十分耐え得ることができる。そして、打設したコンクリートの養生が終了し たならばダイヤフラムフロア上に立設された仮支柱１４を取り外して完成するこ とになる。

【００１３】 このように、本考案のトップスラブ２０はトップスラブコンクリート内に鉄骨 からなるトップスラブフレーム１９を埋設し、これを配筋施工の架台としたこと により、コンクリート打設時の荷重を十分耐え得ることができるため、従来、構 造では必要であった大型の仮設サポートの組立て、除去といった一連の作業が殆 ど不要となり、工期の短縮が達成できる。また、本実施例ではトップスラブフレ ーム１９のみの組立てを工場において行う例で示したが、この段階に滞まらず、 このトップスラブフレーム１９へ配筋、ライナプレート１１の取付け、さらには 、コンクリート打設、養生まで行って最終段階まで組立ててしまい、これを現場 に搬送してそのまま取り付けるようにすることも可能であり、他の工事と並行し て構築することもできる。

【００１４】 尚、本考案は上記実施例に限られず、その構造を図３に示すように、トップス ラブフレーム１９の下面に直接ライナプレート１１を貼り付け、その上部にのみ 配筋してトップスラブフレーム１９下面の鉄筋サポート２３及びライナサポート ２４を省略するように構成すれば、構造が簡略化され、さらに工期の短縮が達成 できる。また、このトップスラブ２０をその周方向に複数に分割して構成しこれ を現場でつなぎ合わせるようにしてもよい。

【００１５】

【考案の効果】 以上要するに本考案によれば、トップスラブコンクリート内に鉄骨を埋設し、 これを配筋施工の架台として用いたため、従来多大な日数を要していた仮設サポ ートの組立て、除去といった作業が殆ど不要となり、さらに、トップスラブの構 築が他の工事と並行して行うことも可能となるため、大幅な工期の短縮が達成で きる等といった優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す部分断面図である。

【図２】トップスラブフレームを示す部分平面図であ
る。

【図３】本考案の他の実施例を示す部分断面図である。

【図４】従来のトップスラブ付近を示す概略断面図であ
る。

【図５】本考案に係る原子力格納容器の構造を示す全体
概略図である。

【符号の説明】

１ 格納容器 ２ 原子炉圧力容器 ５ 生体遮蔽壁 １１ ライナプレート １６ 鉄筋 １７ 支持梁 １８ 横梁 １９ トップスラブフレーム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 原子炉圧力容器を囲繞して設けられる生
   体遮蔽壁の上端部と、該生体遮蔽壁を囲繞して設けられ
   る格納容器の上端部間に設けられる原子炉格納容器のト
   ップスラブ構造において、上記生体遮蔽壁の上端部と格
   納容器の上端部間に、鉄骨の支持梁を放射状に架け渡す
   と共に、これら支持梁間に横梁を架け渡して蜘蛛の巣状
   のトップスラブフレームを形成し、該トップスラブフレ
   ームの周囲に鉄筋を配筋すると共に、その下面にライナ
   プレートを設け、これにコンクリートを打設してなるこ
   とを特徴とする原子炉格納容器のトップスラブ構造。