JPH0671963A

JPH0671963A - 記録媒体搬送用ローラ

Info

Publication number: JPH0671963A
Application number: JP17833792A
Authority: JP
Inventors: Shuichi Yoshida; 修一吉田
Original assignee: Roland DG Corp
Current assignee: Roland DG Corp
Priority date: 1992-07-06
Filing date: 1992-07-06
Publication date: 1994-03-15

Abstract

(57)【要約】【目的】記録媒体の搬送時におけるずれの発生がな
く、高精度での搬送及び搬送に伴う挟圧箇所の制限を受
けず高品質の作図ができる記録媒体搬送用ローラを提供
する。【構成】駆動ローラ10はそのローラ本体11における円
周表面（挟持面13）に沿って幅方向に微小突条12を一定
ピッチで複数条形成される剛体にて構成され、対する従
動ローラ20の表面部は前記駆動ローラ10の挟持面13に比
べて硬度が小さい弾性体の層を形成した構成の記録媒体
搬送用ローラである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は移動する記録媒体上に文
字や図形等の情報を記録する装置に用いられる記録媒体
搬送用ローラに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ペーパームーブ型プロッタ，カッ
ティングプロッタ，あるいはプリンタ等に用いられる作
図用ペーパー，カッティングシート等の記録媒体を搬送
する装置としては、次に述べるようなものが知られてい
る。 (1) ゴム等の弾性体にてなる駆動ローラおよび従動ロー
ラによって記録媒体を挟圧して、摩擦力によって搬送す
る方式。 (2) アルミナ，カーボランダム等の硬質材の微小粒を表
面に固着させた駆動ローラと円筒表層を弾性体で形成さ
れた従動ローラとにより、記録媒体を挟圧して塑性変形
させてその記録媒体を搬送する方式。 (3) 円筒表面にエッチングによって硬くて先の尖った多
数の微小突起を形成された駆動ローラと弾性体表層部を
備える従動ローラとにより、記録媒体を挟圧して、塑性
変形させてその記録媒体を搬送する方式（特公平４−２
５１１号公報によって知られている）。 (4) 円筒剛体の円周表面の一部に溝を設けてその溝の中
に高摩擦弾性材を円周表面よりも高くなるように固着し
た駆動ローラと従動ローラとによって記録媒体を挟圧
し、摩擦力によって搬送する方式。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術(1) で
用いられるようなゴム系の弾性体にてなる搬送用の駆動
ローラは、従動ローラによって押圧されることにより歪
が生じるので、記録媒体の搬送中に駆動ローラの変形に
より送り半径が変化するため、記録媒体の搬送時におけ
る搬送精度が次第に低下し、また横方向にずれが生じ
る。

【０００４】また、従来技術(2)(3)のように駆動ローラ
表面に微小突起を固着させたり、エッチングにより微小
突起を表面に形成させたものでは、その製造工程が複雑
で製造上の歩留まりが悪く非常に高価となる。

【０００５】さらに、従来技術(4) のように駆動ローラ
表面に設けられた溝部に高摩擦弾性材を固着させるもの
では、前述の従来技術に比べて効果的ではあるが、その
高摩擦弾性材の選択や固着手段に多くの手数を要するな
ど改善すべき問題点がある。

【０００６】本発明ではこのような従来の問題点を解決
して、記録媒体の搬送時におけるずれの発生、特に搬送
方向に直交する方向へのずれがなく、高品質の作図がで
きる記録媒体搬送用ローラを提供することを目的として
いる。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は前記の目的を達
成するために、駆動ローラと従動ローラとで記録媒体を
挟持した状態で前後に搬送させる記録媒体搬送用ローラ
であって、前記駆動ローラが剛体で構成され、かつその
円周面に、円周に沿うリング状の微小突条が複数条平行
に形成されていることを特徴とする。

【０００８】また、本発明にては前記駆動ローラの表面
に適度な硬度を有する高摩擦材の薄膜層を形成すること
が好ましい。さらに、前記駆動ローラの表面に形成され
る微小突条は一方に傾斜した構造にしておくこともでき
る。なお、前記駆動ローラに対する従動ローラの表面に
その駆動ローラ表面の高摩擦材の薄膜層と比較して硬度
が小さい弾性体の層を形成してあることが好ましい。

【０００９】

【作用】本発明の記録媒体搬送用ローラは、駆動ローラ
の表面上に円周方向に複数の微小突条が互いに独立して
設けられているので、従動ローラとの挟圧によって記録
媒体に対して送り方向のみならず送り方向と直交する方
向へも大きな摩擦抵抗力を発生させることができ、搬送
中の記録媒体のずれをなくすことができる。

【００１０】また、駆動ローラの表面に適度な硬度を有
する高摩擦材の薄膜層を形成させておくことによって、
搬送中の記録媒体との接触摩擦力を一層高めることがで
きてより精度の高い記録媒体の搬送が可能になる。

【００１１】

【実施例】以下本発明の記録媒体搬送用ローラについて
一実施例を具体的に図面を参照しつつ説明する。図１に
示されるのは本発明の記録媒体搬送用ローラを備えるペ
ーパームーブ型のプロッタの全体斜視図である。このよ
うなプロッタ１において、コンピュータ制御によって用
紙Ａが本発明の駆動ローラ10及び従動ローラ20を含む記
録媒体搬送用ローラによって、用紙Ａを繰り出し正逆両
方向に搬送しつつＹレール３上を移動するペンキャリッ
ジ４に保持されたペン５にて作図される。駆動ローラ10
は、図面上左端と使用する用紙Ａの幅に合わせた位置と
に複数個設けられ、用紙の両端部を従動ローラ20とで挟
持するようにされている。また、駆動ローラ10はその外
周部が挟持面となり、この挟持面が前記プロッタ１の幅
方向に配置されているプラテン部分６から露出するよう
にして設けられている。従動ローラ20は使用する駆動ロ
ーラ10の位置に合わせてＹレール３上を移動配置され
る。２はフレームの支持脚である。

【００１２】図２(a),(b) に示されるように、駆動ロー
ラ10は、金属製で挟持面13となる円周面に微小突条12が
所要のピッチで平行に複数条突設されている。駆動ロー
ラ10のローラ本体11は質量を小さくして弾性変形及び塑
性変形しないような材質の金属として例えばアルミニウ
ム，アルミニウム合金で形成され、外周面（挟持面13）
に図２(b) で示されるような微小突条12が所要の高さｈ
で周方向に連続して、かつ所要のピッチＰで複数条設け
られる。前記微小突条12は例えば高さｈが50〜90μm ，
幅Ｂが25〜60μm 程度の断面に形成され、ピッチＰが１
〜２mmで複数個設けられる。このような微小突条12は例
えばローリング（転造）等の塑性加工もしくは旋削加
工，エッチング加工によって形成される。なお、この微
小突条12の形状については、前記図２(b) で示されてい
る形状のみならず、例えば図４(a)で示されるように微
小突条12が断面台形の上部における角部に丸みを付けた
形状とする、あるいは図４(b) で示されるように微小突
条12の先端を丸みのある形状とする、または、図４(c)
で示されるように微小突条12が断面鋸歯状に形成するこ
とができる。

【００１３】前記駆動ローラ10の表面、特に挟持面13に
は、高摩擦材にてなる薄膜の高摩擦層15（高摩擦材の薄
膜層）を設けて用紙Ａを挟圧して搬送する際に高摩擦力
が得られるように形成することが好ましい。この高摩擦
層15は、図３で例示されるように、まずローラ本体11の
表面、特に挟持面13に陽極酸化処理を施して陽極酸化皮
膜16を形成しておき、その陽極酸化皮膜16の封孔処理を
行わずにこの陽極酸化皮膜16の上側に、例えば下記の
(1) 〜(4) のいずれかの方法で形成される。 (1) ２液硬化型ポリエステル−ウレタン系樹脂塗料（例
えばオーフレックスＮｏ．４００＋クリアＮｏ．３大
橋化学（株) 製）を前記挟持面13表面に膜厚１５μ±５
μ 程度の厚さにコーティングする。 (2) 前記陽極酸化皮膜16に生じる微細孔中にウレタンゴ
ムやポリエステル−ウレタン系樹脂等の高分子材料を、
この陽極酸化皮膜16に一部を保持させて前記材料による
被膜層を形成する。 (3) プラズマ重合を利用して気体状化合物を比較的低温
で分解・反応させて高摩擦材からなる薄膜を挟持面13に
形成する。 (4) 分散メッキ手段によって駆動ローラ本体11の表面に
高分子材料の薄膜を形成する。この場合、被鍍着物とし
てウレタンゴムやポリエステル−ウレタン系樹脂を使用
する。

【００１４】前記の高摩擦層15を形成するに際して駆動
ローラ本体11の表面に陽極酸化皮膜16を形成しておくこ
とは、微小突条12部分の耐久性能の向上及び外力に対す
る変形を防止するのに役立てるためである。

【００１５】前記のような手段によるほかに、例えば次
のようにして高摩擦層15を形成することができる。 (5) 金属粉末の射出成形法を利用して駆動ローラ10のロ
ーラ本体11を成形する。この場合、金属微粉末とバイン
ダとして高摩擦材の粉末とを混練し、これを射出成形材
料として利用することができる。前記バインダとして
は、例えばウレタンゴムやシリコンゴムの未加硫状態の
ものが使用できる。成形に際しては、前記の混練材料を
金型内に射出成形した後高温高圧状態で焼き固めて、駆
動ローラ本体を成形する。得られた駆動ローラ本体11
は、その表面（挟持面13）を研磨すると金属に比べて軟
らかいゴムの部分が毛羽立って、当該表面に高摩擦層15
が形成される。

【００１６】前述の駆動ローラ10の挟持面13表面の高摩
擦層15は、極薄膜に形成されるので、従動ローラ20とに
よる用紙Ａを挟持するための押圧力により容易に弾性変
形及び塑性変形しないだけの必要かつ充分な硬度を有す
る。また、この高摩擦層15は、用紙Ａを挟持するための
押圧力によってローラ本体11から容易に剥離しないだけ
の接合強度（接着力）を有するものであることが好まし
い。

【００１７】このような駆動ローラ10に対向してピンチ
ローラとして作用する従動ローラ20は、その表面部が前
記駆動ローラ10の挟持面13の高摩擦層15を容易に弾性変
形及び塑性変形させないだけの適度な硬度を有する弾性
体で形成されている。この従動ローラ20の表面部を適度
な硬度（軟らかさ）を有する弾性体としたのは、所要の
押圧力が加えられると挟持部において対向する駆動ロー
ラ10に対してある一定の接触幅で接触することになり、
弾性変形が容易で、被搬送体である用紙Ａのローラ挟持
面への接触幅を大きくできる点で有利だからである。

【００１８】図５で示されるように、この接触幅ａ，駆
動ローラ10の半径をＲとすると、この駆動ローラ10と従
動ローラ20とで挟持される用紙Ａは、約θ＝ａ／Ｒ（ラ
ジアン）の角度で駆動ローラ10の挟持面13に巻き付くこ
とになる。この状態で平ベルトの巻掛け伝動の理論に基
づけば、摩擦係数μの円筒表面に、ある角度θでベルト
（この発明における用紙Ａに相当）が巻き付いていると
きのベルト駆動力Ｔ₀と他端を引っ張ってベルトが滑り
始める力Ｔ₁との関係は、Ｔ₁／Ｔ₀＝Ｅxp（μθ）で表される。これを実験の
結果、ａ＝約１．５mm，Ｒ＝１４mmとすると θ＝０．
１１となる。摩擦係数μ＝０．７〜０．８とすると、Ｔ₁／Ｔ₀＝（１．０８〜１．０９）＞１となる。Ｔ
₁を用紙Ａ搬送時の抵抗力（慣性）とすると駆動力より
も大きい抵抗力が発生しない限り、用紙Ａは滑らないこ
とになる。通常、駆動力より大きい抵抗力が発生するこ
とはない。もし、そのようなことが生じると搬送装置が
脱調する。したがって、用紙Ａを滑りのない状態で搬送
することが可能である。また、用紙Ａを挟持したとき、
駆動ローラ10の挟持面13は、前記のように従動ローラ20
の表面部の弾性体よりも硬度が充分高いので、その用紙
Ａの搬送中は駆動ローラ10の理論的な用紙搬送半径が変
化することはない。なお、図中符号７はエプロンを示し
ている。

【００１９】そして、本発明の記録媒体搬送用ローラ
は、前述のように搬送される用紙Ａが、駆動ローラ10の
挟持面13に平行してかつ互いに独立して設けられる複数
条の微小突条12と、適度な硬度を有する弾性体で形成さ
れている従動ローラ20とによって挟持されつつ移動する
ので、挟持部分での用紙Ａに対する挟持力が高められ、
しかもその挟持幅も大きくできるので、その用紙Ａの送
り方向のみならず送り方向と直交する方向へも大きな摩
擦抵抗力を生じさせて、搬送時の指向性が高められる。
その結果、用紙Ａの搬送時横方向へのずれが生じること
なく、搬送の送り精度及び横方向の精度を確保して用紙
Ａを正確に搬送することができるのである。

【００２０】このような本発明の記録媒体搬送用ローラ
は、図６で示されるように、記録媒体（用紙Ａ）の搬送
方向の両側端部を駆動ローラ10と従動ローラ20とによっ
て対称に挟持して、その記録媒体を搬送駆動させる場
合、駆動ローラ10の挟持面13に形成される複数の微小突
条12の形状を図４(c) で表されるように、その微小突条
12の一方の側面を傾斜面12a にして他方の側面を直立面
12b に形成した断面鋸歯状にすることができる。このよ
うな駆動ローラ10を左右対称に配置することで、搬送時
に記録媒体（用紙Ａ）を常に両側方向（左右方向）に緊
張した状態で移動させることができ、幅方向のたるみが
生じることなく精度の高い作図を行うことができるよう
になる。

【００２１】本発明における駆動ローラ10は、前述のよ
うに挟持面13に複数の微小突条12が周方向に設けられた
構成であるので、その微小突条12も製作に際して転造な
どの塑性加工、あるいはエッチング加工によって製作で
きて、安価に提供できることになる。また、この駆動ロ
ーラ10は前記のような加工法によって製作できるので長
尺のものでも製作が容易になり、任意長さのものを記録
媒体の搬送箇所に組み込んで使用可能となる。さらに、
必要に応じて微小突条12の配列ピッチを任意に変えるこ
とも可能である。さらにまた、微小突条は直線状のみな
らず連続したジグザグ状のものとすることもできる。し
たがって、本発明はペーパームーブ型プロッタ，カッテ
ィングプロッタのみならず、プリンタなどの用紙送り装
置に組み込んで高精度での用紙送りが可能になる。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、前述のように簡単な構
成で記録媒体の搬送に用いて高精度の搬送が可能にな
り、プロッタなどに使用して作図品質の向上に格段の効
果を呈するものである。しかも従来のこの種搬送用ロー
ラに比べて高精度であるにも係わらず製作コストが安価
となり、経済的効果が高められる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の記録媒体搬送用ローラを備えるペーパ
ームーブ型のプロッタの全体斜視図である。

【図２】本発明の駆動ローラの一実施例を示し、(a) は
その駆動ローラの全体斜視図であり、(b) は挟持面の一
部拡大断面図である。

【図３】駆動ローラの挟持面に形成される微小突条の一
具体例拡大断面構造図である。

【図４】駆動ローラの挟持面の微小突条の他の実施例に
おける一部拡大断面図であって、(a) は頂部の両角が丸
みを付された形状のもの、(b) は丸みを付けられたも
の、(c) は一側面が直立面にされ他の側面が傾斜面にさ
れた鋸歯状断面形状のものである。

【図５】本発明の記録媒体搬送用ローラにおける駆動ロ
ーラと従動ローラとによる記録媒体の搬送態様を示す説
明図である。

【図６】本発明の記録媒体搬送用ローラの一使用態様を
示す図である。

【符号の説明】

１ペーパームーブ型のプロッタ３Ｙレール１０駆動ローラ１１ローラ本体１２微小突条１２ａ微小突条の傾斜面１２ｂ微小突条の直立面１３挟持面１５高摩擦層１６陽極酸化皮膜２０従動ローラＡ用紙（記録媒体）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】駆動ローラと従動ローラとで記録媒体を
挟持した状態で前後に搬送させる記録媒体搬送用ローラ
であって、前記駆動ローラが剛体で構成され、かつその円周面に、
円周に沿うリング状の微小突条が複数条平行に形成され
ていることを特徴とする記録媒体搬送用ローラ。
【請求項２】前記駆動ローラの表面に適度な硬度を有
する高摩擦材の薄膜層が形成され、前記従動ローラの表
面には前記駆動ローラの薄膜層より硬度の小さい弾性層
が形成されている請求項１に記載の記録媒体搬送用ロー
ラ。