JPH0671038U - 開先加工機のワーククランプ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワークを強固にクランプし、重切削時におい
ても振動がなく高精度の開先加工を行うこと。 【構成】 押圧板20とテーブル２端の口金23とに、それ
ぞれワークＷの上面及び下面に当接する突起21及び25を
設ける。これら突起21、25は回転カッター７によるワー
クＷの切削位置に可及的に接近して配設する。また突起
21、25はねじによって構成されており、突出量の調整さ
らには抜き出して交換することができようになってい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ワークを強固にクランプして重切削時においても安定した加工を 行うことができる開先加工機のワーククランプ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

切削加工を高精度で効率的に行うには、ワークを強固にクランプすることが要 求される。開先加工においては、精度の点については多少の犠牲を払っても作業 速度の向上を優先するため、重切削による加工がなされているが、このときワー ククランプが強固にされていないとビビリが生じ、切削不良やカッター刃先の欠 けなどを招来する。開先加工機のワーククランプ装置としては、本考案者の先の 提案に係る装置（実公昭６１−１７７９１号）が公知である。この従来装置の構 成を図４〜図６を参照して説明する。

【０００３】 すなわち、１はフレームで、このフレーム１の前側にテーブル２を、後側に左 右方向の摺動ガイド３を設ける。摺動ガイド３には第１の送り台５を移動自在に 設けるもので、この第１の送り台５に後述の第２の送り台を介して切削ヘッド４ を搭載する。第１の送り台５はモータ駆動の送りねじ軸５ａによってガイド方向 へ往復移動する。切削ヘッド４には前方、すなわちテーブル２側へ向けて突出す るスピンドル６を設けるもので、このスピンドル６の先端に回転カッター７を固 定する。

【０００４】 また、前記切削ヘッド４には角度変更機構Ａを備えるもので、この角度変更機 構Ａは第２の送り台８上に固定した円弧状のギヤ９、このギヤ９に噛み合う切削 ヘッド４側のウォーム10およびカッター位置に接近して設けた枢軸11の各部材に よって構成する。そして、モータＭ１によってウォーム10を駆動し、枢軸11を中 心に切削ヘッド４を回動して、カッター７の傾斜角度を調整する。上記回転カッ ター７は、テーブル２の後側端に切削フェースが臨むように配設するもので、こ の回転カッター７には、前述の角度変更機構Ａの他にテーブル面のワークＷに対 応してその間隔を接近および離反する進退調整機構Ｂを設ける。

【０００５】 この進退調整機構Ｂは、第１の送り台５の上部に前後方向（図５の左右方向） の摺動ガイド（図示省略）を設け、このガイドに第２の送り台８を係合し、そし てこの第２の送り台８にモータＭ２により駆動される送りねじ軸（図示省略）を 関連して構成する。また、テーブル２の後方位置にはワークＷの位置決め手段を 設ける。この位置決め手段は、テーブル２の後端に配設した一連構成の定規板16 からなり、テーブル面上に突出した場合において、当接面が摺動ガイド３と平行 するように設ける。この定規板16は、フレーム１内に上向きに設けた油圧シリン ダ17によって昇降作動される。

【０００６】 さらに、テーブル２の上方位置にはワークＷのクランプ手段を設ける。12はテ ーブル２の上部に横架した取付枠で、両側一対の保持枠13、13により門形状に構 成する。この取付枠12には所定の間隔で油圧シリンダ14、14を下向きに設け、各 々のピストンロッドに押圧面が平滑な押圧板15を取りつける。押圧板15はピスト ンロッドの伸長作動によってテーブル面上のワークＷをクランプ固定する。

【０００７】 次に、上記の従来装置の動作について説明する。まず最初に、油圧シリンダ17 、17を作動してピストンロッドの伸長作動により定規板16をテーブル２の後端位 置に突出する。そして、この定規板16の当接面に一端を突き当ててワークＷのセ ットを行う。上記のようにしてワークＷのセットが済んだならば、テーブル面上 部の油圧シリンダ14、14を作動して押圧板15、15を下降し、ワークＷをクランプ 固定する。そして、この状態において回転カッター７を回転駆動し、所要の切削 送り方向に移動すれば、ワークＷの端面に開先加工を施すことができる。なお上 記において回転カッター７は、定規板16および押圧板15の作動する前に、角度調 整機構Ａと進退調整機構Ｂを操作して予め切り込み位置を設定しておく。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】 このように従来の開先加工装置は、平板状の押圧板15によってワークＷを押圧 したものである。このため、面接触となって油圧シリンダ14の力が分散してしま い、重切削時においてワークＷが振動してしまうという欠点があった。またワー クＷの表面は必ずしも平面ではないので、切削部近くを集中的に押圧することが できず上記と同様に振動を生じ、切削不良、カッター刃先の欠損を招くなどの問 題点があった。

【０００９】 本考案は、上記した従来のクランプ装置に存する問題点を解消するためになさ れたもので、切削部の近くを集中的に押圧することにより重切削時においても振 動がなく、安定した切削加工を行うことができるクランプ装置を提供しようとす るものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、本考案に係るワーククランプ装置は次のように 構成したものである。すなわちその要旨とするところは、押圧板によってテーブ ル面に取付固定したワークと切削ヘッドに備えた回転カッターとを対向して配設 し、これらワーク側か回転カッター側を所要の切削送り方向に移動して、ワーク の端縁部を開先加工する加工機において、押圧板とテーブル面とにワークの表面 に当接する突起を設け、これら突起を回転カッターによる切削位置に接近して配 設したことにある。

【００１１】

【作用】

突起がワークに線接触または点接触し、押圧力がワーク切削部近くに集中して 作用する。このため、強固なクランプができ重切削時においても振動を生ずるこ とがない。また、安定した切削によりカッター刃先の欠損などを生ずることがな い。

【００１２】

【実施例】

以下、この考案に係るワーククランプ装置を一実施例について具体的に説明す る。図１は一部縦断側面図、図２は正面図であり、図中従来装置と同一ないし均 等の部分については前記と同一の符号をもって示し、重複した説明を省略する。 20は油圧シリンダ14におけるピストンロッド14ａの先端に軸支して取りつけた押 圧板 21、21は押圧板20の一端部に取りつけた二本の突起で、当接端ａを押圧板 20の下面より僅かに突出する。上記の突起21はワーク押圧方向に螺着したねじに よって構成するもので、抜出可能に配設する。22はねじに螺合した止めナットで ある。

【００１３】 次に23はテーブル２の後端面上部に取付ねじ24、24によって固定した口金 25 、25は口金23に所定の間隔で取りつけた突起で、当接端ｂを口金23の上面より僅 かに突出する。上記の突起25はワーク押圧方向に螺着したねじによって構成する もので、口金23を取り外したとき抜き出し可能に設ける。なお上記の突起21、25 の突出量は実施例で０．５ｍｍ程度に設定する。またそれぞれの突起21、25は回 転カッター７の切削位置にできるだけ近くなるように配設する。

【００１４】 一実施例に係るワーククランプ装置の構成は上記の通りであり、図１のように ワークＷをクランプしたとき、油圧シリンダ14の押圧力がワークＷの先端の切削 部近くに集中して作用する。このため、強固なクランプが可能となり重切削時に おいても振動を生ずることがない。またワークＷの表面（上面、下面）に例えば 反り、凹凸などがあっても、これに関係なく適所のみを押圧することができる。 従って安定した切削加工ができ、切削精度が向上する。また振動によるカッター 刃先の欠け、摩耗などを可及的に小さく抑えることができる。

【００１５】 上記の突起は螺着したねじによって構成されているので、長期間の使用によっ て当接端ａ、ｂが摩耗したときに繰り出して調整することにより、突出量を適切 に設定することができる。また抜き出して新しいものに交換することも容易に行 うことができる。

【００１６】 次に図３は、切削位置に最も接近して突起を配設できる実施例を示したもので ある。すなわち、23aはボルト30によりテーブル端の取付座３１に交換可能に設 けた下部口金 ｃは口金23ａの先端部に一体的に形成した山形状の突起 20ａは ボルト32により押圧板端の取付座33に交換可能に設けた上部口金 ｄは口金20ａ の先端部に一体的に形成した山形状の突起である。

【００１７】 上記のように口金20ａ、23ａに突起ｄ、ｃを一体的に形成することによって、 ワークＷの切削位置に最も近いところを押圧クランプすることができる。また、 突起ｄ、ｃが摩耗した場合はボルト30、32により口金20ａ、23ａと共に交換する ことができる。

【００１８】

【考案の効果】

以上のように本考案に係るワーククランプ装置によれば、ワーク切削部の近く に集中的に押圧力を作用してクランプを行うことができる。このため、重切削時 においても振動がなく安定した加工を行うことができるという効果が得られる。 また、突起をねじで構成した場合は、耐久的に適切な状態でのクランプを行うこ とができ、さらに突起を口金と一体的に設けた場合は、切削位置に最も近付けて 押圧クランプすることができ、かつ交換を容易に行うことができるという実益を 発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るワーククランプ装置の一実施例を
示す一部縦断側面図である。

【図２】同じく要部の構成を示す正面図である。

【図３】ワーククランプ装置の他の実施例を示す縦断側
面図である。

【図４】従来の開先加工機の構成を示す正面図である。

【図５】同じく側面図である。

【図６】同じくワーククランプ装置の構成を示す説明図
である。

【符号の説明】

２ テーブル ４ 切削ヘッド ７ 回転カッター 14 油圧シリンダ 20 押圧板 21 突起 ａ 当接端 22 止めナット 23 口金 25 突起 ｂ 当接端 Ｗ ワーク 23ａ 下部口金 ｃ 山形状の突起 20ａ 上部口金 ｄ 山形状の突起

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 押圧板によってテーブル面に取付固定し
   たワークと切削ヘッドに備えた回転カッターとを対向し
   て配設し、これらワーク側か回転カッター側を所要の切
   削送り方向に移動して、ワークの端縁部を開先加工する
   加工機において、上記押圧板とテーブル面とにワークの
   表面に当接する突起を設け、これら突起を回転カッター
   による切削位置に接近して配設したことを特徴とする開
   先加工機のワーククランプ装置。
2. 【請求項２】 突起を、ワーク押圧方向において抜け出
   し可能に螺着したねじによって構成した請求項１の開先
   加工機のワーククランプ装置。
3. 【請求項３】 テーブル面及び押圧板に交換可能に口金
   を設け、この口金に一体的に突起を形成した請求項１の
   開先加工機のワーククランプ装置。