JPH0670081B2 - 側鎖にアルデヒド基を有するセルロ−ス誘導体の製法 - Google Patents

側鎖にアルデヒド基を有するセルロ−ス誘導体の製法

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JPH0670081B2
JPH0670081B2 JP17846786A JP17846786A JPH0670081B2 JP H0670081 B2 JPH0670081 B2 JP H0670081B2 JP 17846786 A JP17846786 A JP 17846786A JP 17846786 A JP17846786 A JP 17846786A JP H0670081 B2 JPH0670081 B2 JP H0670081B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はβ−1,4グルカン骨格を主鎖とし、側鎖にアル
デヒド基を有するセルロース誘導体の製法に関するもの
である。
〔従来の技術〕
官能基としてアルデヒド基を有する高分子は、電子供与
性物質と親和性がある。従って蛋白質、ペプチドをはじ
め多くの生理活性物質との付加化合物、酵素、菌体の固
定、尿素など生体老廃物の吸着などに使用できるほか、
イオン交換性高分子合成の中間体として利用できる可能
性がある。
高分子がセルロース及びその誘導体である場合、低毒
性、生体親和性などの好ましい物性が期待される。セル
ロースにアルデヒド基を導入する従来の方法として知ら
れているものは、セルロースを過沃素酸で酸化する方法
である。しかしながらこの方法では、無水グルコース環
の開裂を伴うので、得られたアルデヒド誘導体はもはや
β−1,4グルカン骨格を維持しない。従って物理的性質
はもとのセルロースに比べて劣るものとなる。
〔問題点を解決するための手段〕
上記セルロースの過沃素酸による酸化は、機構的に多価
アルコール化合物の酸化によるアルデヒドの生成である
が、アルデヒドの生成反応として、より広く工業的に用
いられているものに不飽和C=C結合の酸化がある。即
ちアリル基をセルロースの側鎖として導入し、得られる
セルロースのアリル誘導体を適当な条件で酸化すると、
側鎖にアルデヒド基を有するセルロース誘導体が得られ
る可能性がある。
本発明のアルデヒド基を側鎖に有するセルロース誘導体
の製法において、目的物の前駆物質であるアリル化セル
ロース誘導体は種々の方法で合成することができる。
本発明は、側鎖にアリル基を有するセルロース誘導体を
酸化剤で処理することを特徴とする側鎖にアルデヒド基
を有するセルロース誘導体の製法に関し、特に酸化剤と
してオゾンを用いる、側鎖にアルデヒドを有するセルロ
ース誘導体の製法に関するものである。
本発明の製法の目的物である側鎖にアルデヒド基を有す
るセルロース誘導体の前駆体である、側鎖としてアリル
基を有するセルロース誘導体は種々の方法で合成するこ
とができる。
セルロースを直接アリル化する方法は、例えば櫻田(Ang
ew.Chem.42,549(1929))、吉村(繊維学会誌21,317(196
5))、石津ら(International Symposium on Wood and Pu
lping Chemistry,,70(1983))などにより開示されてい
る。しかしながら、セルロースよりも溶媒溶解性の高い
セルロースエーテル又はセルロースエステルを原料とし
た方がアルリ基の置換度の高いものが得られることが最
近の研究で見出されており、例えば近藤らによって報告
されている(昭和60年度繊維学会年次大会要旨集p.10
2)。
後者の方法は遊離の水酸基を有するセルロースエーテル
又はセルロースエステルを適当な溶媒、例えばジメチル
スルホキシドに溶解し、アルカリの存在及び水の不存在
下にアリルハライドを作用させることによりアリル化す
る方法である。この場合セルロースエーテル又はセルロ
ースエステルの遊離の水酸基に対するアルカリの量を多
くするほどアルリ基の置換度の高いものを得ている。ま
たセルロースエステルを原料とした場合、反応中エステ
ル基の脱離が起こり、完全アリル化したセルロース誘導
体までが得られる。セルロース誘導体の側鎖として存在
するアリル基の酸化はセルロース誘導体を適当な溶媒、
例えば塩化メチレン/メタノール混合溶媒に溶解し、該
溶液中にオゾンを含有する空気をバーブリングさせるこ
とによって達成される。本反応は低温で円滑に進行し、
副反応を伴わない。
本発明の方法により、理論的には側鎖アルデヒド基とし
て3置換体のものまで得られる。しかしながら置換度が
1以上のアルデヒドセルロースは、オゾン化反応溶液か
ら単離する段階で架橋反応ご起こり不溶化するためアル
デヒド基の定量は困難である。しかしこの場合でも溶媒
を除去することなく次の誘導体の合成反応を行わしめる
ことは可能である。これに対し、置換度1以下のアルデ
ヒドセルロースは、分離精製が可能であり、高次の誘導
体合成反応に使用することができる。
実施例1 十分乾燥したメチルセルロース(DS=1.6、和光純薬)
1.0gを出発原料とし、ジメチルスルホキシド60mlに加
え、40℃で一夜撹拌して溶解させた後、室温に冷却し
た。溶液を窒素ガス雰囲気下に置き、水酸化ナトリウム
粉末5.6gを加え、約1時間半を要し水酸化ナトリウムの
固まりが認められなくなるまで撹拌した。次に塩化アリ
ル6.0mlを加え、窒素ガス雰囲気下、70℃,4時間撹拌し
て反応させた。
反応終了後、反応液を200mlの水/クロロホルム=1/1
(容量比)に加えて分配させた。クロロホルム層を取り
出し3回水洗した後、減圧濃縮し、メタノールを注いで
沈澱を生成させた。生成沈澱をクロロホルムに再溶解
し、メタノールで析出させアリル(メチル)セルロース
1.0gを得た。
得られたアリル(メチル)セルロースの赤外吸収スペク
トル(第1図)に3450cm-1付近の吸収極大を認めないこ
とから、上記アリル(メチル)セルロースは完全アリル
化物と考えられる。
上記で生成したアリル(メチル)セルロース0.1gを塩化
メチレン/メタノール=5/1の混合溶媒30mlに溶解し、1
00Vのオゾン発生器から生成するオゾン気流を0.5/分
の流量で温度−70℃においてバブリングさせた。オゾン
気流を通じることにより、無色の溶液が紺紫色に呈色す
るのが認められた。
オゾンバブリングを15分間行った後、オゾンを止め窒素
をバブリングさせると紺紫色は次第に削減して再び無色
の溶液となった。反応溶液をメタノール中に注ぎ析出物
を回収した。このものはアルデヒド(メチル)セルロー
スである。
上記アルデヒド(メチル)セルロースの赤外吸収スペク
トル(第1図)は1730cm-1にカルボニルに由来する吸収
極大があり、遊離アルデヒド基の存在を示している。
上記アルデヒド(メチル)セルロースはヒドロラジンと
反応させて生成させたヒドラゾンのN含量を定量し、も
とのアルデヒド基置換度を計算したところ、DS=0.8の
値が得られた。
上記の定量のための反応は次の通りである。即ち、アル
デヒド(メチル)セルロース0.1gを2,4−ジニトロフェ
ニルヒドラジン2N塩酸溶液50mlで60℃,24時間処理し
た。生成物の赤外吸収スペクトルを測定したところ(第
2図)、1730cm-1の>C=0に基づく吸収が消失し、
‐N=C-(1650cm-1付近)、芳香族環(1590cm-1
近)、‐NH-(1500cm-1付近)の吸収が現れていること
から、アルデヒド基は完全にフェニルヒドラゾンに変換
していることが認められる。尚、第2図、はそれぞ
れアルデヒド(メチル)セルロース、2,4-ジニトロフェ
ニルヒドラジンとの反応生成物の赤外級数スペクトルで
ある。
上記アルデヒド(メチル)セルロースは弱アルカリ性
(pH=9)の水に溶解する。しかし、同じアルデヒド
(メチル)セルロースのキャスティングフィルムを加熱
(例えば80℃、一昼夜)すると、上記弱アルカリ性の水
に不溶となった。不溶化したフィルムの動的粘弾性をバ
イブロンを用いて測定したところ、セルロース骨格の運
動が制限されており、アルデヒド側鎖同士による架橋が
生成していることが認められた。この架橋はアルデヒド
側鎖によるヘミアセタール型架橋と考えられる。
実施例2 実施例1のメチルセルロースに代え、出発原料として低
酢化度酢酸セルロース(DS=1.75、ダイセル化学製)を
十分乾燥したものを使用し、水酸化ナトリウム量を4.5g
としたほかは実施例1と同様にしてセルロース誘導体の
アリル化反応を行った。この場合の出発原料の無水グル
コース残基に対するアルカリ量は30モル倍量である。
得られたアリルセルロースは、クロロホルム、塩化メチ
レン、ベンゼン、テトラヒドロフランなどの溶媒に可溶
である。赤外吸収スペクトル及びNMRスペクトルから上
記アリルセルロースはアセチル基、遊離水酸基を含有せ
ず、トリアリルセルロースであることが確認された。
上記トリアリルセルロースを用い、実施例1と同様にし
てオゾンを作用させ、アルデヒドセルロースを得た。
得られたアルデヒドセルロースの塩化メチレン/メタノ
ール混合溶媒溶液から溶媒を除去し、フィルムを得た。
このものは酸性〜アルカリ性の水に不溶であった。
また、フィルムの動的粘弾性を測定したところ、実施例
1で得たアルデヒド(メチル)セルロースの架橋フィル
ムよりも架橋度の高いものであることが認められた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本実施例で得られたアリル(メチル)セルロー
ス及びアルデヒド(メチル)セルロースの赤外吸収スペ
クトルであり、第2図はアルデヒド(メチル)セルロ
ース、は2,4−ジニトロフェニルヒドラジンとの反応
生成物、は反応生成物を熱処理したものの赤外吸収ス
ペクトルを示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】側鎖にアリル基を有するセルロース誘導体
    を酸化剤で処理することを特徴とする側鎖にアルデヒド
    基を有するセルロース誘導体の製法。
  2. 【請求項2】酸化剤がオゾンである特許請求の範囲第1
    項記載の側鎖にアルデヒド基を有するセルロース誘導体
    の製法。
JP17846786A 1986-07-29 1986-07-29 側鎖にアルデヒド基を有するセルロ−ス誘導体の製法 Expired - Lifetime JPH0670081B2 (ja)

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