JPH0668B2 - 単純ヘルペスウイルス遺伝子が組込まれた組換えプラスミド - Google Patents

単純ヘルペスウイルス遺伝子が組込まれた組換えプラスミド

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JPH0668B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、組換えプラスミドに関し、特に、単純ヘルペ
スウイルス感染症の予防用ワクチンの製造に有用な単純
ヘルペスウイルス蛋白質の生産に利用することのできる
組換えプラスミドに関する。
さらに詳しくは、本発明は、大腸菌および酵母の両方で
増殖し得る、いわゆるシャトルベクターを用い、そのベ
クターに担われた適当なプロモーター領域の下流に、特
定の配列の単純ヘルペスウイルス(以下、HSVと略す)
のgB遺伝子が組込まれた組換えプラスミドを得、これを
酵母に与えて形質転換を起こさせて形質転換酵母とし、
この形質転換酵母を培養してHSV蛋白質、特にHSV膜蛋白
質gBを高純度に大量生産させるための技術に関する。
技術的背景と従来技術 最近、先進国においてはHSVに対する抗体保有人口が減
少してきており、そのような国では、性器ヘルペス,新
生児ヘルペス,ヘルペス脳炎などのHSV感染症が大きな
問題となりつつある。このようなHSV感染症の防御には
ワクチンが有効であり、すでに弱毒化HSVからなる弱毒
化ワクチンやHSVDNAを含む不活化ワクチンが提案されて
いる。しかしながら、HSVには潜伏感染や発癌性の危険
があることが知られており、従来の弱毒化ワクチンや不
活化ワクチンではかかる副作用の危険が残り実用上問題
がある。
一方、HSVが細胞に感染すると数種の糖蛋白質〔gB,gC,g
D,gEなど。なお、従来のgA,gBの称呼は1983年Internati
onal Herpes Virus Workshop(オックスフォード,英
国)にてgBと統一された〕が生産され、これらの糖蛋白
質がHSVの感染防御抗原として重要なことが明らかにさ
れるとともに、これら糖蛋白質を成分とするいわゆるコ
ンポーネントワクチンについての研究が行われている。
例えば、キャペルらはHSV感染細胞またはウイルス粒子
より抽出して得られる糖蛋白質からなるコンポーネント
ワクチンでは、宿主細胞の多くの蛋白質を含んでいるた
め、それら不要な蛋白質に起因する副作用が問題であ
る。したがって、副作用のないコンポーネントワクチン
を得るためには、高度に精製された糖蛋白質を用いる必
要がある。このような観点から、本発明者らはHSVの糖
蛋白質の1種であるgBに着目し、それを高度に精製し、
マウスでの実験でその有効性を確認している〔城野、細
胞工学,3,120(1984)〕。
ところでこのような糖蛋白質gBを得るには培養細胞にウ
イルスを接種し、それを培養することによって産生させ
る方法が採られるが、かかる方法では、感染性の因子を
扱うためその作用が困難である工程もきわめて煩雑とな
るうえ、発癌遺伝子を担うDNAを完全に除去したことを
証明することは不可能に近く、結局、かかる天然の糖蛋
白質gBを用いて実用性のある安全なコンポーネントワク
チンを製造することはきわめて困難である。
本発明者らは、単純ヘルペスウイルス感染症に対する安
全なワクチンを得るために研究を行った結果、遺伝子工
学的手法、すなわち、所望のHSVgB遺伝子を単離すると
ともに、酵母の遺伝子と大腸菌の遺伝子とを含み且つ酵
母の抑制性酸性ホスファターゼ遺伝子を担ったベクター
を利用し、該ホスファターゼプロモーターの制御下に前
記HSVのgB遺伝子を組込んで新しい組換えDNAを調製し、
それによって酵母を形質転換させ、そのような形質転換
酵母を培養することにより所望のHSV蛋白質(すなわちH
SVgB)を産生させ得ることを先に見出している(特願昭
59-151766号,特願昭59-262465号)。
これらの特許出願に開示されている方法は、遺伝子工学
的手法により、ワクチンの製造に適するような高純度の
HSVgBの産生を可能にしているが、HSVgBをさらに高収率
で産生し得る技術が依然として望まれている。
発明の概要 本発明者らは、さらに研究を重ねたところ、上述したシ
ャトルベクターに、特定のHSVgB遺伝子フラグメント、
すなわち、N末端側の所謂シグナル配列をコードする遺
伝子あるいは該シグナル配列コード部分とその下流に位
置するワクチンとしての抗原性の損失に関与しないgBの
一部のアミノ酸配列をコードする遺伝子が欠失した単純
ヘルペスウイルスを組込んで得られる組換えプラスミド
を用いて形質転換させた酵母を培養することにより、所
望のHSVgBが大量に産生され得ることを見出した。かく
して、本発明に従えば、酵母の遺伝子と大腸菌の遺伝子
とを含み且つプロモーター領域を担ったプラスミドベク
ターに、該プロモーター領域の下流に、N末端側のシグ
ナル配列あるいは該シグナル配列コード部分とその下流
に位置するワクチンとしての抗原性の損失に関与しない
gBの一部のアミノ酸配列をコードする遺伝子が欠失した
単純ヘルペスウイルスgB遺伝子が組込まれていることを
特徴とする組換えプラスミドが提供される。
HSVgBの遺伝子の塩基配列については、本発明者等の前
記特許出願にも記載しているが、第1図のようになる。
このうち、N末端は30個のアミノ酸から成る所謂シグナ
ル配列をコードする遺伝子(図中、下線を引いた部分)
であると考えられる。本発明は、このN末端の30個のア
ミノ酸をコードする遺伝子を欠失しているHSVgB遺伝子
フラグメント、さらには、この部分とその下流の遺伝子
が欠失しているHSVgB遺伝子フラグメント(例えば、Nae
Iで切断され得るようなN末端の83個のアミノ酸をコー
ドする遺伝子を欠失しているHSVgB遺伝子フラグメン
ト、または、SalIで切断され得るN末端の320個のアミ
ノ酸をコードする遺伝子を欠失しているHVSgB遺伝子フ
ラグメント)を酵母のプロモーター下にシャトルベクタ
ーに組込んで構築したプラスミドにより形質転換された
酵母は、HSVgBとして抗原性および免疫原性を有するタ
ンパクを高収率に産生するという事実に基づくものであ
る。
本発明に従い、シグナル配列をコードする遺伝子が欠失
した単純ヘルペスウイルスDNAを組込むのに好適なプ
ラスミドベクターの例は、本発明者らによる前記特許出
願に開示されているような酵母の遺伝子と大腸菌の遺伝
子とを含み且つ酵母の抑制性酸性ホスファターゼ形質発
現調節領域をプロモーターとして担ったベクターである
が、同様の機能を果す他のプロモーターを担ったプラス
ミドベクターを使用することもできる。
以下、本発明の組換えプラスミド、および、このプラス
ミドを用いる酵母の形質転換とHSVgBの産生について具
体的に説明する。
(1)シャトルベクター 本発明においては、大腸菌および酵母の両方で増殖する
ことができ、HSVgBの発現を制御するプロモーターを担
ったシャトルベクターに対し、該プロモーターの下流に
前述したようにシグナル配列をコードする遺伝子が欠失
した単純ヘルペスウイルスgB遺伝子が組込まれる。
そのようなシャトルベクターの好ましい例は、酵母の遺
伝子と大腸菌の遺伝子とを含み且つ酵母の抑制性酸性ホ
スファターゼ遺伝子を担ったプラスミドベクターであ
り、このベクターは以下のように構築される。
酵母の遺伝子としては、一般に、プラスミドが酵母中で
染色体と独立して増殖するのに必要なDNA配列、例え
ば、酵母の自律増殖に必要なDNA配列(ars1)と2μmDN
Aの複製に必要なDNA配列(2μori)があり、所望によ
り、さらに形質転換酵母の選択マーカーとしては、ロイ
シン産生遺伝子,ヒスチジン産生遺伝子,トリプトファ
ン産生遺伝子,ウラシル産生遺伝子,アデニン産生遺伝
子などが含まれ、これらの1種または2種以上が用いら
れる。
大腸菌側の遺伝子としては大腸菌体内においてプラスミ
ドが増殖するために必要なDNA配列、例えばColEI系のプ
ラスミドの複製起点のDNA配列を有し、好ましくはさら
に形質転換大腸菌の選択マーカーとなる遺伝子を含む。
この選択マーカーの遺伝子としてはアンピシリン耐性遺
伝子,カナマイシン耐性遺伝子,テトラサイクリン耐性
遺伝子,クロラムフエニコール耐性遺伝子などが挙げら
れ、これらの遺伝子の1種または2種以上が用いられ
る。このような大腸菌DNAとしてアンピシリン耐性遺伝
子とテトラサイクリン耐性遺伝子を有するpBR322が一般
に汎用されている。
酸性ホスファターゼプロモーターは、通常ホスファター
ゼを構成する60,000ダルトンのポリペプチド(p60)の
プロモーターである。
このようなシャトルベクターの代表的な例は、特開昭59
-31799号開示されている酵母側の遺伝子として、ars1,
2μoriおよびロイシン耐性遺伝子(Leu2)を有する酵
母DNAと大腸菌プラスミドpBR322とを組合わせたシャト
ルベクター(pAT77と称している)から、その酸性ホス
ファターゼ構造遺伝子の一部または全部と、さらに上流
の-100bpの前までの適当な部位まで(通常+1〜-100bp、
好ましくは+1〜-5bpまで)除去したプラスミド、例えば
-33bpまで除去したシャトルベクター(pAM82と称してい
る)である。
このpAM82は酸性ホスファターゼプロモーター下流にXho
I部位、さらにその下流にPvuII部位が存在しており、本
発明のHSVgB遺伝子を挿入するために、このpAM82を制限
酵素PvuIIで切断して平滑末端(flush end)に変換し、
その部位にBamHIリンカーを結合し、再環状化して、プ
ラスミド(このプラスミドをpONY1と呼ぶ)とする。
このプラスミドpONY1は酸性ホスファターゼプロモータ
ーの制御下に外来遺伝子を純粋な形で発現させ得るシャ
トルベクターで、制限酵素BamHIおよびXhoIで処理する
ことにより容易にその組込み部位を開裂させることがで
き、所望の遺伝子を組込むのに適している。
(2)HSVgB遺伝子フラグメントの調製 HSV(KOS株)のgB遺伝子は、ブチクらにより、ウイルス
DNA上の位置(0.348〜0.366マップユニット)とその塩
基配列が決定されている〔Bjik et al.,Virology,133,3
01-314(1984)を参照〕。
本発明で用いられるシャトルベクターに組込むためのHS
VgB遺伝子は、HSVDNAを制限酵素BamHIで処理して切出さ
れる約8Kb(0.345〜0.399マップユニット)のフラグメ
ント(BamHI-Gフラグメントという)中に存在する。
HSVgB遺伝子含有フラグメントの調製は、下記のよう
に、HSVDNAを制限酵素BamHIで切断して得られるBamHI-G
フラグメントをクローン化して行われる。
Vero細胞(アフリカミドリザル腎細胞)で増殖させたH
SVからウイルスDNAを分離し、このウイルスDNAを制限
酵素BamHI-Gフラグメントを分離、抽出する。このBamHI
-Gフラグメントを、あらかじめBamHI処理した大腸菌プ
ラスミドpBR322とT4リガーゼにより結合反応させる。
この反応液にて大腸菌x1776を形質転換し、その形質転
換体のうち、アンピシリン耐性(Apr)で且つテトラサイ
クリン感受性(Tcs)の菌を選択、培養することにより、
この菌体からBamHI-Gフラグメントを含むプラスミドpG
を得る。このプラスミドpGは第2図に示す構造を有す
る。
上記プラスミドpGをBamHIとXhoIの両制限酵素で切断す
るとHSVgB遺伝子を含む3.5Kbのフラグメントが得られ
る。このフラグメントを分離、抽出後、あらかじめBamH
IとXhoIで処理した大腸菌プラスミドpACYC177の2.6Kbフ
ラグメントT4リガーゼにより結合反応を行わせる。こ
の反応液にて大腸菌を形質転換し、得られるアンピシリ
ン耐性の形質転換体を培養することにより、その菌体か
らHSVgB遺伝子を含有するプラスミドpGBXを得る。この
プラスミドpGBXは第3図に示す構造を有する。
(3)HSVgB遺伝子発現プラスミドの構築 前述したように、本発明は、HSVgB遺伝子のシグナル配
列コード部分を欠失したHSVgB遺伝子フラグメント、あ
るいは、該シグナル配列コード部分とその下流部分が欠
失したHSVgB遺伝子フラグメントをシャトルベクターに
組込んだプラスミドを用いることによって、単純ヘルペ
スウイルス感染症の予防用ワクチンの製造に有用な単純
ヘルペスウイルスの産生を可能にするものである。その
ようなHSVgB遺伝子発現プラスミドは、上記のプラスミ
ドpGBXから、HSVgB遺伝子の制限酵素部位に応じてシグ
ナル配列をコードする遺伝子を含む領域を欠失させるこ
とにより次のように構築することができる。
(a)N末端の83個のアミノ酸をコードする遺伝子を欠失
される場合(第4図参照): まず、pGBXをNaeIで部分的に切断する。その後、ClaIリ
ンカー(CATCGATG)をT4リガーゼにより結合させpGBXを
閉環する。得られるプラスミドの中から、gBのN末端の
メチオニンから83番目のアミノ酸の部位に相当するNaeI
部位のみがClaI部位に変換されたプラスミド(pGBXN1と
呼ぶ)を得る。この操作によりgBのN末端のメチオニン
から84番目のアミノ酸の1つ上流にメチオニンをコード
するATGが付加されることになる。
pGBXN1をClaIにて切断後、DNAポリメラーゼにより、末
端をflush endに変換する。その後、XhoIリンカーをT
4リガーゼにより結合させ閉環する。得られるプラスミ
ド(pGBXN2)は、pGBXN1のClaI部位がXhoI部位に変換し
たものである。
pGBXN2をXhoIをBamHIで切断し、切り出される断片のう
ちgBのシグナル配列コード領域を含まない断片2.9Kb
と、あらかじめXhoIとBamHIで処理したシャトルベクタ
ーpONY1とをT4リガーゼにより結合させ、酸性ホスフ
ァターゼプロモーター下流にシグナル配列コード領域を
欠失したgB遺伝子が挿入されたプラスミド(pONYGB2と
呼ぶ)を得る。
(b)N末端の30個のアミノ酸をコードする遺伝子(シグ
ナル配列コード遺伝子)を欠失させる場合(第5図参
照): プラスミドpGBXをXhoIで切断し、gB遺伝子のシグナル配
列を除くために、エキソヌクレアーゼBal-31を作用させ
る。Bal-31処理したDNAをT4リガーゼにより、ClaIリ
ンカー(CATCGATG)と結合させプラスミドを閉環させる。
得られるプラスミドの中から、gB遺伝子のシグナル配列
をコードする領域が除かれ、さらに挿入されたClaIリン
カーのATGが、その下流のgB遺伝子のアミノ酸をコード
するコドンと同じフレームになったプラスミドpGBXB1を
得る。
pGBXB1をClaIで切断し、DNAポリメラーゼにより、末端
をflush endに変換させ、T4リガーゼによりXhoIリン
カー(CCTCGAGG)を結合させプラスミドを閉環させる。得
られるプラスミドpGBXB2をXhoIとBamHIで切断し、gB遺
伝子を含む3KbのDNA断片を分離し、あらかじめXhoIとBa
mHIで処理したpONY1とT4リガーゼによる結合反応を行
なわせる。この反応により、ホスファターゼプロモータ
ー下流にgB遺伝子が挿入されたプラスミドpONYGB3を得
る。
(c)N末端の320個のアミノ酸をコードする遺伝子を欠失
させる場合: プラスミドpGBXをSalIで切断し、DNAポリメラーゼによ
り、末端をflush endに変換し、その後、HindIIIリンカ
ー(ACAAGCTTGT)をT4リガーゼにより結合させ、プラス
ミドを閉環する。得られるプラスミドpGBXS1をHindIII
で切断し、DNAポリメラーゼにより末端をflush endに変
換後、ClaIリンカー(CATCGATG)をT4リガーゼにより結合
させ、プラスミドを閉環する。得られるプラスミドpGBX
S2では、ClaIリンカーのATGが、それにより下流のgB遺
伝子のアミノ酸をコードするコドンと同じフレームにな
る。
pGBXS2をClaIで切断し、DNAポリメラーゼにより、末端
をflush endに変換し、XhoIリンカー(CCTCGAGG)をT4
リガーゼにより結合させプラスミドを閉環し、pGBXS3を
得る。pGBXS3をXhoIとBamHIで切断し、gB遺伝子を含む
2.2KbのDNA断片を分離し、あらかじめXhoIとBamHIで処
理したpONY1とT4リガーゼによる結合反応を行わせる。
この反応によりホスファターゼプロモーター下流にhB遺
伝子が挿入されたプラスミドpONYGB5を得る。
(4)酵母の形質転換 形質転換されるべき酵母としては、プラスミドに担われ
た形質転換酵母の選択マーカー遺伝子よって相補させる
変異を持った変異株、例えば、ロイシン要求性変異株で
あるサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerev
isiae)AH22またはAH22pho80(a leu 2 his4 Can1,Ci+)を
用いる。上記組換えプラスミドを大腸菌にて増殖させた
のち、該酵母変異株に常法による作用させ、例えばスフ
ェロプラスト化したのちカルシウム処理した菌体とプラ
スミドDNAを混合して形質転換を起こさせる。このよう
に処理された酵母をベクター上に担われている宿主酵母
の変異を相補する遺伝子、例えばロイシン産生遺伝子の
発現を指標として形質転換酵母を選択し、分離する。
なお、酵母としてはロイシン要求性変異株のほかに、ヒ
スチジン要求性変異株,トリプトファン要求性変異株,
ウラシル要求性変異株,アデニン要求性変異株などが挙
げられる。
(5)形質転換酵母の培養およびHSVgBの生産上記の方法で
得られた形質転換酵母をリン酸を含む培地にて通常の培
養条件下に前培養し、対数増殖期にある菌体をリン酸を
含まない培地に移しかえて酸性ホスファターゼプロモー
ターが抑制されない条件下に培養する。培養後、常法に
より集菌し、溶菌処理し、所望のHSVgBを多量に含む溶
菌液を得る。
なお、用いる酵母の種類により、例えばPho80変異株を
用いた場合には、酸性ホスファターゼプロモーターを抑
制しない条件を特に採用する必要はなく、該形質転換酵
母を直接培養して所望のHSVgBを多量に産生させること
ができる。
上記培養によって得られるHSVgBを通常の蛋白質精製法
により精製する。例えば、抗gB抗体を結合したゲルを充
填したカラムに該hB含有抽出液を通し、3MKSCNで溶出し
てgBを単離する。
上記の方法で得られるgBはHSV感染細胞から得られる天
然gBと免疫学的に全く同一であり、HSVワクチンまたは
診断用試薬として利用し得る。
次に、本発明を実施例に沿って、さらに説明する。
(1)HSVgB遺伝子含有DNAの調製 HSV-1DNAの調製 Vero細胞(アフリカミドリザル腎細胞)(約5×108cell
s)に単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)(KOS株)を
0.5〜1PFU/cellの量で感染させ、37℃で20〜24時間培養
して、細胞変性が充分に起きた時点で23,000rpmにて1
時間遠心して感染細胞と上清を分離して、感染細胞のペ
レット(2〜3ml)を得る。これをリン酸緩衝液−生理食塩
液(pH7.2)(以下、PBSと略する)6.0mlに懸濁し、この
懸濁液を超音波処理(9KHz,200W,5分間処理)または凍
結融解〔−50℃(アセトン−ドライアイス)と37℃にて
3回凍結融解を繰り返す)を行って細胞を破壊し、細胞
残渣を低速遠心分離(3,000rpm,20分間)により除去す
る。得られる溶液をグリセロールクッション(5%,40%)
に重層し、35,000rpmにて1時間遠心分離する。得られ
たペッレト0.5〜1mlをPBS1〜2mlに懸濁し、これにDNase
10μg/mlおよびRNase0.3mg/ml37℃21時間作用させ、
ついで1/5量の5xSTEP(0.5%SDS,50mM Tris-HClpH7.5,0.
4M EDTA,0.1%プロティナーゼK)を加え、50℃で30分間
作用させる。この処理液を等量のフェノール,フェノー
ル−クロロホルム(1:1)およびクロロホルムで順に抽出
し、DNAを含む水層を得る。
この水層をTE緩衝液(20mM Tris-HCl,1mM EDTA,pH7.5)に
透析したのち、冷エタノールを加えてDNAを沈殿させ
る。このDNAをろ取し、真空下で乾燥後、塩化セシウム
水溶液(Rf1.3885,エチジウムブロマイド0.04%、ラウ
ロイルサルコシネート0.4%を添加)5mlに溶解し、4,000
rpmで72時間遠心分離し、HSV-1DNAのバンドを形成させ
る。このバンドを回収し、イソプロピルアルコールで洗
浄してエチジウムブロマイドを除去後、TE緩衝液に透析
する。これに冷エタノールを加えて沈殿させてHSV-1DNA
を得る。
HSV-1DNAのBamHI切断Gフラグメントのクローン化 上記の方法で調製したHSV-1DNA約100μgを、73mM Tris
-HCl(pH8.0),7mM MgCl2,100mM NaCl,2mM 2−メルカプト
エタノールの混液0.75ml中で、制限酵素BamHIにより37
℃、6時間処理したのち、0.7%アガロース電気泳動に
よって各断片を分離し、Gフラグメント(0.345〜0.399
マップユニット)に相当する部分のゲルを切り取り、電
気泳動的にGフラグメント回収する。
前記と同様にして制限酵素BamHIにより開裂されたpBR32
2プラスミド1/10モル量と上記Gフラグメント約2μg
とを、50mM Tris-HCl,pH7.9,10mM MgCl2,20mMジチオス
トレイトール,1mM ATP混液中にて、T4DNAガーゼを用
いて16℃で約16時間反応させる。
高木康敬編著「遺伝子操作実験法」第161項に記載の方
法で大腸菌x1776の培養液を調製し、その菌液0.1mlに上
記反応液を加えてよく混合させ、0℃で45分間放置した
のち、アンピシリン100μg/mlを含む寒天プレート上に
塗沫し、37℃で一夜培養する。出現したコロニーについ
て、アンピシリン100μg/mlを含む寒天プレートとテト
ラサイクリン100μg/mlを含む寒天プレートにそれぞれ
塗沫し、同様に培養してアンピシリンを含む寒天プレー
トでのみ増殖したコロニーを選択する。pBR322はアンピ
シリン耐性遺伝子とテトラサイクリン耐性遺伝子を有す
るがテトラサイクリン耐性遺伝子中にあるBamHI部位HSV
-1DNA断片が挿入されることによりテトラサイクリン耐
性が消失されるため、上記選択させたコロニーはpBR322
-HSVDNAのBamHIGフラグメントの組換えDNAを保持してい
ることになる。
上記の方法で得られたコロニーついて、「代謝」第17
巻,第4号,第8〜89頁(1980)「プラスミドDNAの調製」
に記載される方法にしたがってプラスミドを調製する。
得られたプラスミドを種々の制限酵素(BamHI,MstEII,Kp
nI,SalI,SstI,XhoI)にてその切断パターンを分析するこ
とにより、HSV-1DNAのBamHIGフラグメントがpBR322に組
込まれたpBR322-BamHI-Gフラグメントの組換えDNA(プ
ラスミドpG)を得る。
プラスミドpGBXの調製 上記の方法で得られたプラスミドpG10μgを、6mM Tris
-MCl(pH7.5),6mM MgCl2,6mM 2-メルカプトエタノール,
150mM NaClの混液100μlに加え,これに制限酵素BamHI
10単位およびXhoI10単位を加えて、37℃で2時間反応
させる。この反応液を、高木康敬編著「遺伝子操作マニ
ュアル」33〜34頁に記載の方法により、1%アガロースゲ
ルにて電気泳動により3.5KbフラグメントDNA10ngと大腸
菌プラスミドpACYC177(BamHIおよびXhoIで処理して開
裂したもの)10ngとを、T4リガーゼ0.1単位,66mM Tris
-HCl(pH7.6),6.6mM MgCl2,10mMジチオスレイトールとの
混液10μlを用いて16℃で8時間反応させる。この反応
液を用い、高木康敬編著「遺伝子操作実験法」161〜162
頁に記載の方法により、大腸菌x1776を形質転換させ、
その形質転換体からアンピシリン耐性菌を選択し、この
菌から、上記「代謝」第17巻,第4号,第81〜89頁(198
0)に記載の方法にしたがってgB遺伝子を含むプラスミド
pGBXを得る。
プラスミドpGBXN2の調製 上記プラスミドpGBXを下記のように処理してgB遺伝子翻
訳開始コドンATGの約250bp下流のNaeI部位のみをClaI部
位に変換する。
プラスミドpGBX2μg,NaeI 0.1単位,6mM Tris-HCl(pH7.
5),50mM NaCl,6mM MgCl2,6mM 2-メルカプトエタノール
の処理,エタノール沈殿を行う。そのDNAをT4DNAポリ
メラーゼ0.1単位,200μM dATP,dCTP,dGTP,dTTP,67mM T
ris-HCl(pH8.6),6.7mM MgCl2,10mM 2−メイルカプトエ
タノール,16.7mM(NH4)2SO4の混液50μl中で37℃,30
分間反応後、フエノール処理,エタノール沈殿を行う。
このDNA1pmoleを、T4リガーゼ0.1単位,66mM Tries-HCl
(pH7.6),6.6mM MgCl2,10mMジチオスレイトール,66μM
ATPおよび10pmole ClaIリンカー(CATCGATG)の混液10μ
l中で16℃、8時間反応させる。
この反応液にて、前記高木康敬編著「遺伝子操作実験
法」161〜162頁に記載の方法により、大腸菌x1776を形
質転換させる。アンピシリン含有プレートに成育してく
るクローンを複数選択し、これらの菌体から前記と同様
の方法によりプラスミドを調製する。これらのプラスミ
ドを各々制限酵素ClaIとBamHIで処理し、その電気泳動
パターンによりgB遺伝子翻訳開始コドンATGの約250bp下
流のNaeI部位のみがClaI部位に変換されたプラスミドpG
BXN1を選択する。
次にpGBXN1 2μg,ClaI 2単位,6mM Tris-HCl(pH7.9),50
mM NaCl,6mM MgCl2,6mM 2−メルカプトエタノールの混
液50μlを37℃,1時間反応液、フェノール処理,エタ
ノール沈殿を行うそのDNAを上記と同様にT4DNAポリメ
ラーゼ反応を行わせる。さらに、XhoIリンカー(CCTCGAG
G)を上記と同様に反応させる。得られるプラスミドの中
からClaI部位がXhoI部位に変換されたプラスミドpGBXN2
を得る。
(2)シャトルベクターpONYIの調製 特開昭59-31799号に記載の方法と同様にして調製してプ
ラスミドpAM82を用い、これを下記のように処理してそ
のPuvII部位をBamHI部位に変換する。
プラスミドpAM82をXhoIで処理して切断したフラグメン
ト2μgを、200μMのdATP,dCTP,dGTPおよびdTTPを含む
67mM Tris-HCl(pH8.6),6.7mM MgCl2,10mM 2−メルカプ
トエタノール,6.7μM EDTAおよび16.7mM(NH4)2SO4の混
液50μl中で、T4DNAポリメラーゼ0.1単位と37℃にて3
0分間反応させる。この反応液をフェノール抽出、エタ
ノール沈殿に付したのち、得られるDNAとBamHIリンカー
を1:10モル比にてT4リガーゼにより16℃、8時間結合
反応を行う。
この反応液を用い、前記プラスミドpGBXの調製の場合と
同様に、高木康敬編著「遺伝子操作実験法」161〜162頁
に記載の方法により、大腸菌プラスミドx1776を形質転
換し、アンピシリン耐性菌を培養し、その菌体から前記
と同様の方法にてpAM82のPvuII部位がBamHI部位に変換
されたプラスミドpONY1を単離する。
(3)HSVgB遺伝子発現プラスミドの調製 前記のようにして得られたHSVgB遺伝子を含有するプラ
スミドpGBXN2 10μgを、6mM Tris-HCl(pH7.5),6mM Mg
Cl2,6mM 2−メルカプトエタノール,150mM NaCl,BamHI
10単位,XhoI10単位の混液100μl中で37℃,2時間反
応後、1%アガロース電気泳動により前記と同様の方法に
てシグナル配列コード領域が欠失したHSVgB遺伝子を含
む2.9KbのDNAフラグメントを分離抽出する。
一方、上記(2)で得られたシャトルベクター10μgを上
記と同様にして制限酵素BamHIおよびXhoIで処理し、1%
アガロース電気泳動より酸性ホスファターゼプロモータ
を含む10KbのDNAフラグメントを分離抽出する。
上記で得られた2.9Kbフラグメント100ngと10Kbフラグメ
ント10ngとを、66mM Tris-HCl(pH7.6),6.6mM MgCl2,10m
Mジチオスレイトールおよび66μM ATPの混液10μl中、
T4リガーゼ0.1単位にて16℃,8時間結合反応させる。
この反応液を用い、前記プラスミドpGBXの調製の場合と
同様に、高木康敬編著「遺伝子操作実験法」161〜162頁
に記載の方法により、大腸菌プラスミドx1776を形質転
換し、アンピシリン耐性菌を選択培養し、上記と同様の
方法にて、その菌体から、酸性ホスファターゼプロモー
タ下流に、HSVgB遺伝子(シグナル配列コード領域を含
むN末端の83個のアミノ酸をコードする遺伝子が欠失し
ている)が結合された組換えプラスミドpONYGB2を単離
する。
(4)形質転換酵母の調製 酵母としてサッカロミセス・セレビシエAH22〔a leu2 h
is4 Can1 (Cir+)〕(微工研条寄第312号)を用い、これ
をYPD培地(2%ポリペプトン,1%イーストエキス,2%グ
ルコース)100mlに接種し、30℃で一晩培養したのち、
遠心して集菌する。滅菌水20mlにて菌体を洗浄し、つい
で1.2Mソルビトールおよび100μg/mlチモリアーゼ60,00
0(生化学工業製)の溶液5mlに懸濁させ、30℃で約30分
間保ち、スフェロプラスト化する。ついで、スフェロプ
ラストを1.2Mソルビトール溶液で3回洗浄したのち、2M
ソルビトール,10mM CaCl2および10mM Tris-HCl(pH7.5)
の溶液0.6mlに懸濁させ、その60μlずつを小試験管に
分注する。これに前記(3)で調製した組換えプラスミドp
ONYGB2(10μg)を加え、充分混合し、さらに0.1M CaCl
2(3μl)加えて最終濃度1010mM CaCl2とし、室温に5〜1
0分間放置する。ついでこれに、20%ポリエチレングリコ
ール4000,10mM CaCl2および10mM Tris-HCl(pH7.5)溶液1
mlずつを加えて混合し、室温に約20分間放置する。この
混合液0.2mlずつを45℃に保温された再生培地(22%ソル
ビトール,2%グルコース,0.7%イーストニトロゲンベー
スアミン酸,2%YPD,20μg/mlヒスチジン,3%寒天)10
mlに加え,軽く混合させ、予め準備された1.2Mソルビト
ール含有最終小地(0.7%イーストニトロゲンベースアミ
ン酸,2%グルコース,20μg/mlヒスチジン,2%寒天)プ
レートに重層し、固化させたのち、30℃で培養してロイ
シン非要求性酵母のコロニーを得る。このコロニーを20
μg/mlヒスチジンを含むバルクホルダーミニマルメヂウ
ム〔Tohe,A.et al;J.Bachterol.,113,727-738(1973)を
参照〕にて培養して形質転換酵母サッカロミセス・セレ
ビシエ(YGBS)を得る。
(5)形質転換酵母によるHSVgBの製法 前記(4)で得られた形質転換酵母のコロニーをさらに20
μg/mlヒスチジンを含むバルクホルダーミニマルメディ
ウムの寒天プレート上に塗布し、30℃にて培養してコロ
ニーを形成させる(ロイシン非要求性となった形質転換
体の再確認のため)。ついでこのコロニーから菌体を分
離し、20μg/mlヒスチジンを含むバルクホルダーミニマ
ルメディウム10mlに接種し、30℃にて培養を行う。約24
時間後、対数増殖期にある菌体を遠心して集菌し、これ
をリン酸を含まない最小培地(バルクホルダーミニマル
メディウムに含まれるKH2PO4をKClで置換し、さらに20
μg/mlヒスチジンを加えたもの)10ml菌数約4×106cell
s/mlになるように懸濁し、30℃にて約24時間培養を続け
たのち、4,000回転,10分間の遠心により菌体を集め
る。この菌体を1.2Mソルビトール,50mMリン酸緩衝液(p
H7.2),14mM 2−メルカプトエタノール,100μg/mlザイ
モリエース60,000の溶液3mlに懸濁させ、30℃にて30分
間ゆるやかに振盪してスフェロプラスト化し、遠心分離
によりこれを集める。このスフェロプラストを1%トリ
トンX-100を添加した50mMリン酸緩衝液(pH7.2)1mlに懸
濁し、グラスビーズを加えて撹拌して菌体を破砕くす
る。この破砕液を5000rpmで10分間遠心し、その上清のg
B抗原活性を酵素抗体法により測定した。その結果を第
1表に示す。第1表には、ネガティブコントロールとし
てシャトルベクターpONY1をもつ酵母についての値、お
よびポジティブコントロールとしてHSVから精製したgB
の値を併せて示している。同表から理解されるように、
本発明の組換えプラスミドにより形質転換された酵母
は、効率よくHSVgBを産生している。
また、上記破砕液を5匹のモルモットに1mlずつ1週間
おきに4回皮下接種すると、すべてのモルモットに中和
抗体が出現しており、該破砕液がgB免疫原性を有するこ
とが確かめられた。
前述した他の組換えプラスミド(pONYGB3,pONYGB5)を用
いた場合においてもほぼ同様の結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明で用いられるHSVgB遺伝子の5'側の一
部の塩基配列を示し、 第2図は、本発明で用いられるHSVDNAのBamHI-Gフラグ
メントを含むプラスミドpGの構造を示し、 第3図は、本発明で用いられるシグナル配列コード領域
を有するHSVgB遺伝子を含むプラスミドpGBXの構造を示
し、 第4図,第5図および第6図は、いずれも、プラスミド
pGBXから本発明にしたがう各種の組換えプラスミドを構
築する工程を示すものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 15/70 C12R 1:19 1:865) (C12N 15/81 C12R 1:19 1:865) (C12P 21/02 C12R 1:865)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酵母の遺伝子と大腸菌の遺伝子とを含み且
    つプロモーター領域を担ったプラスミドベクターに、該
    プロモーター領域の下流に、N末端側のシグナル配列を
    コードする遺伝子あるいは該シグナル配列コード部分と
    その下流に位置するワクチンとしての抗原性の損失に関
    与しないgBの一部のアミノ酸配列をコードする遺伝子が
    欠失した、単純ヘルペスウイルスgB遺伝子断片が組込ま
    れていることを特徴とする組換えプラスミド。
  2. 【請求項2】組込まれた単純ヘルペスウイルスgB遺伝子
    断片が、N末端側の30個のアミノ酸をコードする遺伝
    子を欠失している特許請求の範囲第(1)項に記載の組換
    えプラスミド。
  3. 【請求項3】組込まれた単純ヘルペスウイルスgB遺伝子
    断片が、N末端側の83個のアミノ酸をコードする遺伝
    子を欠失している特許請求の範囲第(1)項に記載の組換
    えプラスミド。
  4. 【請求項4】プロモーター領域が抑制性酸性ホスファタ
    ーゼ形質発現調節領域である特許請求の範囲第(1)項〜
    第(3)項のいずれかに記載の組換えプラスミド。
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