JPH0668218B2 - 鋼製パイプ支柱 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は天井用の型枠などに用いる鋼製パイプ支柱に関
する。さらに詳しくは、相互にテレスコープ状をなす２
本の筒からなり、その外側の筒が嵌合する側の端部にね
じ部を有しており、該ねじ部の部分に支柱の縦軸方向に
伸び半径方向に横断するような細長い溝穴が設けられて
おり、該溝穴を通り同時に内側に挿入される筒に設けら
れた穴を通ってピンが通されており、該ピンが外筒のね
じ部にねじ止めされているねじ部を有するスリーブで支
持されるような支柱に関する。

［従来の技術］ 前記のような型式の鋼製パイプ支柱は、とくにコンクリ
ート構造における天井用の型枠として広く用いられてい
る。これに関して、いわゆる迅速な離脱のためのものと
して、ねじ部を設けたスリーブと外筒および内筒を貫く
ピンとのあいだに回転自在なブッシュを配置したものが
知られている（ドイツ実用新案登録第8421204号）。前
記のものにおいては、ピンを支持するブッシュ端に高さ
の異なる当接表面を有するカム状表面が設けられ、支柱
から突出するピンの両端が前記カム状表面の上に載る。
型枠などの初期組み立て時およびコンクリート打設中は
ピンは前記カム状表面の高い部分で支持される。ついで
支柱頂部を型枠などから離して付帯する構造物を降ろす
ときは、ことさら労力をかけずにスリーブをゆるめるこ
とを可能にするために、ブッシュは約90度回され、それ
によってピンは直ちに前記カム状表面の低い部分に降
り、したがって支柱頂部と型枠とのあいだに空隙ができ
る。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら、前記従来のものにおいては、ねじ部を有
するスリーブを回して支柱を組み立てる際に該スリーブ
の上に乗っているブッシュがともすればスリーブととも
に回転し前記迅速な離脱の動作が最終組み立て以前に起
こってしまうため、組み立て作業時の注意が不足すれ
ば、支柱はその頂部がすでに低くなった状態で組み立て
られてしまうという問題があった。このような状態で組
み立てられたばあいには、解体時にもはや前記迅速な離
脱の効果はえられない。さらに、カム状表面を有する回
転自在なブッシュは付加的な部品となり、余分な費用を
増加させるだけでなく、支柱の重量を増加させる。ま
た、新しい法規制によって鋼製パイプ支柱の２本の筒は
頂部が型枠などから離れないように接続しておくことが
要求されるときは、既設の２本の筒を分離することはで
きず、したがってブッシュをあとから取り付けることが
できないため、前記型式の迅速な離脱に用いられるブッ
シュは、既設のテレスコープ状鋼製パイプ支柱にあとか
ら取り付けることができないという欠点があることもわ
かった。

本発明の目的は、前記迅速な離脱のための装備を簡単化
し、同時に、既設パイプ支柱にも取りけ可能な簡単で経
済的な迅速な離脱のための装備を有する支持体を提供す
ることにある。

［問題点を解決するための手段］ 本発明の支持体においは、支柱を形成するテレスコープ
状に相互に嵌合する筒に設けられた穴を貫通し、ねじ部
を有するスリーブによって支持されるピンに、その長さ
方向の中心軸からの放射方向の距離すなわち高さが異な
る２段の表面が内筒との嵌合のために相互に間隔をとっ
て設けられており、内筒がその望ましい位置によって前
記２段の表面のいずれか片方の表面上で支持されうる。
前記２段の表面は第１表面および第２表面を形成する。

迅速な離脱のための装備を有する前記従来の支柱とは対
象的に、本発明によれば迅速な離脱のための付加的な部
品は不要である。すなわち、従来のものとは異なり、本
発明の支持体では、挿入されるピンの加工が必要である
のみで、迅速な離脱のための付加的な部品は必要としな
い。さらに既設の鋼製パイプ支柱に対して適用する際
も、必要な作業はピンを取り換えるのみであるので、何
ら困難もなく迅速な離脱のための装備を取り付けること
ができる。

迅速な離脱のために取り付けられるピンは、その両端の
あいだに、挿入されるほうの筒の直径と等しい距離だけ
互いに離れた２個所の切欠は、少なくとも前記筒の肉厚
と同じ幅を有していることが好ましい。切欠は、たとえ
ばピンの長さ方向の中心軸に対して偏心させて設けるこ
とができる。２個所の切欠は容易にかつ経済的に制作す
ることができ、支柱の１本の筒と嵌合する２個所の嵌合
面の組として機能する。一方、ピンの外周面または外側
の面はもう１つの支持面を形成する。

迅速な離脱のために必要なピンの軸方向移動を簡単にす
るために、ピンは切欠に向ってわずかに傾斜する傾斜面
を有していてもよい。支持体から突出したピンの端部を
ハンマーでたたくことにより、ピンは通常使用されてい
る位置から迅速な離脱のための所定位置に容易に移動さ
せることができる。

さらに本発明の一態様として、ピンの片方の端部にピン
の貫入深さを制限するための止め具を有しいていてもよ
く、その止め具はたとえばねじ部を有するスリーブの外
面に当接するノーズであっもよい。支柱内部の現に嵌合
している部分は外から実際には見ることができないが、
前記止め具を用いれば通常の使用のためのピン所定位置
を正確にセットすることができる。

支柱頂部を望ましい位置に合わせるためにねじ部を有す
るスリーブが回されるときも、挿入されているピンはピ
ンの軸方向以外には移動できないので、スリーブの回転
によってピンがいかなる望ましくない形態にセットされ
ることもない。したがって本発明による迅速な離脱のた
めの装備を有する支柱の組み立ては簡単化される。さら
に付け加えるに、迅速な離脱のために、費用を増加させ
支柱の重量を増加させるような付加的な部品を必要とし
ないという利点もある。

本発明による迅速な離脱のための装備を有する支柱の実
施例を図に示す。

第１図は外面にねじ部を有する本発明の鋼製パイプ支柱
の通常の使用状態を示す上部縦断面図、第２図は第１図
の支柱がその頂部板をそれまで支えていた型枠から離す
ために内筒を下げた状態を示す上部縦断面図である。

鋼製パイプ支柱（１）はその上部のみが第１図および第
２図に示されており、外筒（２）と内筒（３）から構成
されている。内筒（３）は外筒（２）に挿入されており
テレスコープ状に入ったり出たりするような移動ができ
る。内筒（３）の外端部には頂部板（４）が設けられて
いる。該支柱は、しかしながら、逆向きでも同様に使用
できる。すなわち、前記頂部板（４）を底部板として地
面に置き、一方、図示されていないが外筒（２）の外端
部に設けられている類似の板を頂部板として用いる形で
も使用できる。

外筒（２）の図示されている最上部の端部には、固着さ
れたパイプ状の延長部（５）を有している。該延長部
（５）の外面にはねじ部（６）が形成されており、ねじ
部を有するスリーブ（７）がねじ止めされている。延長
部（５）には細長い溝穴（８）が支柱（１）の軸方向に
設けられ、スリーブ（７）に支持されるピン（９）が貫
通できるようになっている。

内筒（３）には軸方向に間隔をとっていくつかの穴（1
0）が設けられている。それらの穴（10）は内筒（３）
の半径方向に開口し、内筒（３）の軸方向に互いに間隔
を保っており、ピン（９）が貫通できるようになってい
る。ピン（９）を挿入するためには、内筒（３）の穴
（10）の１つが細長い溝穴（８）の範囲内にくるように
し、ピン（９）を挿入する。ついで、頂部板（４）が所
望の高さになるまで、ねじ部を有するスリーブ（７）が
ねじ部（６）上で回される。

ピン（９）はその片側に２個所の切欠（11）および（1
2）を有している。切欠（11）および（12）は、内筒
（３）の直径に対応する距離だけ互いに離れており、内
筒（３）の肉厚に対応する幅を有している。図示されて
いる実施態様においては、切欠（11）および（12）は、
ピン（９）の長手方向の中心を通り当該ピン（９）の長
手方向と垂直な線に関してずれた位置に、すなわち非線
対称の位置に配置されている。

ピン（９）の後端部にはアイ（13）が設けられ、ワイヤ
ー環（14）が通されている。ワイヤー環（14）は、ピン
（９）を恒久的に支柱（１）につないでおくためおよび
ピン（９）が上下逆にすなわち切欠（11）および（12）
がスリーブ（７）に面するように挿入さされるのを防ぐ
ために外筒（２）の周りを囲んでいる。

アイ（３）はノーズ（15）を形成する延長部を有してい
る。ノーズ（15）はピン（９）の外側にピン（９）の長
さ方向に沿って延びており、ピン（９）の挿入深さを制
限する止め具を形成している。

第１図に示すように、ピン（９）が通常の使用位置に挿
入されたときにノーズ（15）は内筒（３）に当接する。
そのばあい、内筒（３）はピン（９）の切欠（11）およ
び（12）に隣接する外周面（9a）および（9b）で支持さ
れる。

前記外周面（9a）および（9b）は第１表面を形成し、前
記切欠（11）および（12）の底面は第２表面を形成して
いる。

前記外周面（9a）および（9b）は、内筒（３）を降ろす
際に必要なピン（９）とその上に載っている内筒（３）
との摺動を容易にするために、隣接する切欠（11）や
（12）に向ってわずかに傾斜していてもよい。

支柱（１）を第１図に示す状態、すなわち、頂部板
（４）がそれによって支持される型枠などの下面に堅固
に当接した状態から第２図に示す状態、すなわち、内筒
（３）が降ろされしたがって頂部板（４）が前記型枠
（16）などの下面から離れている状態にするために、内
筒（３）が切欠（11）および（12）の部分にくるように
ピン（９）は図における左方向に充分に移動させられ
る。このためには、たとえば、図に示されるピン（９）
の右側の端部（12a）がハンマーで叩かれる。とくに、
外周面（9a）および（9b）がわずかに傾斜しているばあ
いには、ハンマーで１回叩けば充分に第１図の状態から
第２図の状態に移動させることができる。このようにし
て支柱（１）の迅速な降下および迅速な解体が達成され
る。

迅速な降下のためには、頂部板（４）を介してスリーブ
（７）の上面に作用している圧力を開放するだけで充分
であるので、切欠（11）および（12）はことさら深くす
る必要はなく、したがって、ピン（９）の支持断面を弱
めることはほとんどない。支柱（１）を解体するには、
スリーブ（７）が組み立て時とは逆向きに回されるが、
この作業は支持荷重が開放されるとすぐに別段の労力も
必要とせず行なうことができる。

図示されている実施態様においては、切欠（11）および
（12）はピン（９）の一方の端部側（図示されている実
施態様においては端部（12a）側）に片寄って設けられ
ている。止め具を形成するノーズ（15）は、ピン（９）
の、切欠（11）および（12）が片寄って設けられている
側、すなわち端部（12a）側とは反対側の外面に設けら
れている。これはピン（９）が挿入されるときに、１人
の作業員でノーズ（15）の充分な当接を確認するための
監視ができるようにするためおよびピン（９）が叩き戻
されたときに所望の降下が達成できるようにするためで
ある。前記充分な当接の位置は、第１図に示されるよう
に、ノーズ（15）が外筒（２）の細長い溝穴（８）の内
部に入り込んだときに達成される。

切欠（11）および（12）はピン（９）の支持断面を意味
のある程度には弱めないので、前記ピン９を既設の支柱
に取り付けてもよい。すなわち、前記ピン（９）の外径
は従来使用されていたピンよりも大きくする必要がな
く、したがってピン（９）は既設の支柱の内筒（３）に
も外筒（２）の細長い溝穴にもあう。

【図面の簡単な説明】

第１図は外面にねじ部を有する本発明の鋼製パイプ支柱
の通常の使用状態を示す上部縦断面図、第２図は第１図
の支柱がその頂部板をそれまで支えていた型枠から離す
ために内筒を下げた状態を示す上部縦断面図である。 （図面の主要符号） （９）：ピン （9a）、（9b）：外周面 （11）、（12）：切欠 （15）：ノーズ。

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】テレスコープ状に互いに嵌合する内筒およ
   び外筒、該外筒の外面のねじ部、該ねじ部の部分で外筒
   を横断するように設けられた軸方向に細長い溝穴および
   内筒を横断するように設けられ軸方向に間隔をあけて並
   んだ複数の穴、該溝穴および該複数の穴のうち１つの穴
   を貫通する支持用のピンならびに内面にねじ部が設けら
   れ該ねじ部により支持され前記内筒および外筒を端部荷
   重に抗して所要相対位置に維持するためにピンを支持す
   るように適合するスリーブからなる柱状の支持体であっ
   て、前記ピンが前記穴と嵌合するために、該ピンにその
   中心軸からの放射方向の距離が異なる第１表面および第
   ２表面を設けるように改良されている柱状の支持体。
2. 【請求項２】前記第１表面が前記ピンの外周面から構成
   され、前記第２表面が前記ピンに設けられた切欠部の底
   面から構成されてなる特許請求の範囲第１項記載の支持
   体。
3. 【請求項３】前記第１表面および第２表面がそれぞれ２
   個所の面からなり、該それぞれ２個所の面が前記内筒の
   直径に基づいて決定される距離だけ離れてピンに沿って
   設けられている特許請求の範囲第１項記載または第２項
   記載の支持体。
4. 【請求項４】前記第２表面が、前記ピンの長手方向の中
   心を通りピンの長手方向と直角な線に関して非線対称に
   なるように、前記ピンの長さ方向に沿ってずらせて設け
   られている特許請求の範囲第３項記載の支持体。
5. 【請求項５】前記第１表面が前記第２表面に向って傾斜
   している特許請求の範囲第１項記載の支持体。
6. 【請求項６】前記ピンの前記溝穴および穴の内部におけ
   る軸方向の位置決めのための止め具を有する特許請求の
   範囲第１項記載の支持体。
7. 【請求項７】前記止め具が前記ピンと平行に伸びかつ前
   記溝穴と嵌合可能なノーズからなる特許請求の範囲第６
   項記載の支持体。
8. 【請求項８】前記ノーズが前記ピンに対して前記第２表
   面と同じ側に位置する特許請求の範囲第７項記載の支持
   体。