JPH0668126B2 - 溶接継手部の靭性に優れた鋼板の製造方法 - Google Patents
溶接継手部の靭性に優れた鋼板の製造方法Info
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- JPH0668126B2 JPH0668126B2 JP63175173A JP17517388A JPH0668126B2 JP H0668126 B2 JPH0668126 B2 JP H0668126B2 JP 63175173 A JP63175173 A JP 63175173A JP 17517388 A JP17517388 A JP 17517388A JP H0668126 B2 JPH0668126 B2 JP H0668126B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、建築、圧力容器、ラインパイプおよび海洋
構造物などの用途に用いて好適な溶接継手部の靱性に優
れた鋼板の有利な製造方法に関するものである。
構造物などの用途に用いて好適な溶接継手部の靱性に優
れた鋼板の有利な製造方法に関するものである。
(従来の技術) Cuの析出硬化を利用した鋼板は、その溶接性に優れてい
ることが特長であり、例えばASTM規格A710や、米国特許
第3692514号明細書にその例が掲げられている。
ることが特長であり、例えばASTM規格A710や、米国特許
第3692514号明細書にその例が掲げられている。
ところでかような高Cu添加鋼{Cu≧0.5wt%(以下単に%
で示す)}は、製造工程中とくに熱間圧延段階において
Cu−クラックが生じ易いことから、その防止のため一般
に、NiをCuの添加量の50〜100%程度併せて添加してい
る。というのはたとえば特公昭62-5216号公報に開示さ
れているように、Cu添加鋼において2%程度までのNi添
加はCu−クラックの防止及び溶接部靱性等の向上に有用
と考えられているからである。
で示す)}は、製造工程中とくに熱間圧延段階において
Cu−クラックが生じ易いことから、その防止のため一般
に、NiをCuの添加量の50〜100%程度併せて添加してい
る。というのはたとえば特公昭62-5216号公報に開示さ
れているように、Cu添加鋼において2%程度までのNi添
加はCu−クラックの防止及び溶接部靱性等の向上に有用
と考えられているからである。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら発明者らの研究によれば、単にNi量を増加
させただけでは、溶接部靱性は必ずしも向上するとは限
らないことが判明した。
させただけでは、溶接部靱性は必ずしも向上するとは限
らないことが判明した。
このように現在までのところNiの添加量については、系
統的な研究がなされておらず、そのためたとえNiを添加
した場合であっても充分満足いく程の溶接部靱性が必ず
得られるわけではなかったのである。
統的な研究がなされておらず、そのためたとえNiを添加
した場合であっても充分満足いく程の溶接部靱性が必ず
得られるわけではなかったのである。
この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、高Cu
添加鋼につき、Niをはじめとして種々の化学成分を適正
範囲に調整し、もって溶接継手部の靱性に優れた鋼板を
与えることを目的とする。
添加鋼につき、Niをはじめとして種々の化学成分を適正
範囲に調整し、もって溶接継手部の靱性に優れた鋼板を
与えることを目的とする。
(課題を解決するための手段) まずこの発明を由来するに至った実験結果について説明
する。
する。
さて0.05%Cu-0.15%Si-1.5%Mn−0.025%A1-0.005%P
−ba1 Feを基本組成とする鋼に、Niを種々の割合で添加
した場合の溶接継手部の靱性について発明者らが調査し
た結果をNi/Cu比と溶接継手部のCTOD特性との関係で示
す。
−ba1 Feを基本組成とする鋼に、Niを種々の割合で添加
した場合の溶接継手部の靱性について発明者らが調査し
た結果をNi/Cu比と溶接継手部のCTOD特性との関係で示
す。
ここに靱性の評価は、板厚50mmの鋼板よりK開先の溶接
継手を作製し、この溶接継手部に疲労ノッチを導入した
CTOD試験片を用いて行った。第2図のCTOD試験片のノッ
チ位置を示す。なおCTOD試験はBS5762:1979によった。
継手を作製し、この溶接継手部に疲労ノッチを導入した
CTOD試験片を用いて行った。第2図のCTOD試験片のノッ
チ位置を示す。なおCTOD試験はBS5762:1979によった。
第1図に示したように、溶接継手部の靱性はNi/Cu比に
大きく影響され、Ni/Cuが0.65〜0.85の範囲でとくに優
れた靱性が得られることが判明した。
大きく影響され、Ni/Cuが0.65〜0.85の範囲でとくに優
れた靱性が得られることが判明した。
しかしながら、これはPが0.005%以下の場合であり、
さらにP量が増加すると、良好な靱性が得られるNi/Cu
の比は次第に0.65よりも大きくかつ0.85よりも小さくな
ることが、その後の研究により明らかになった。すなわ
ち靱性はNi/Cu比のみならずP含有量にも強い影響を受
け、第3図に示す斜線領域で溶接継手の靱性が優れる
ことが判明した。この斜線領域は0.65≦Ni/Cu≦0.85
かつP≦0.01-0.5{(Ni/Cu)-0.75}2で与えられる。
さらにP量が増加すると、良好な靱性が得られるNi/Cu
の比は次第に0.65よりも大きくかつ0.85よりも小さくな
ることが、その後の研究により明らかになった。すなわ
ち靱性はNi/Cu比のみならずP含有量にも強い影響を受
け、第3図に示す斜線領域で溶接継手の靱性が優れる
ことが判明した。この斜線領域は0.65≦Ni/Cu≦0.85
かつP≦0.01-0.5{(Ni/Cu)-0.75}2で与えられる。
ところがさらに研究を進めたところ、上記したNi/Cuと
Pが適正範囲内であっても、Si含有量が多いと良好な溶
接継手部靱性が得られないことも明らかになったが、こ
の点についてはSiを0.20%以下に制限すれば溶接熱影響
部における島状マルテンサイト等の低温変態生成物の存
在量が抑制され、その結果溶接部靱性の向上を図り得る
ことが究明された。
Pが適正範囲内であっても、Si含有量が多いと良好な溶
接継手部靱性が得られないことも明らかになったが、こ
の点についてはSiを0.20%以下に制限すれば溶接熱影響
部における島状マルテンサイト等の低温変態生成物の存
在量が抑制され、その結果溶接部靱性の向上を図り得る
ことが究明された。
この発明は上記の知見に立脚するものである。
すなわちこの発明は、 C:0.01〜0.15%、 Si:0.01〜0.20%、 Mn:0.20〜2.0%、 Cu:0.7〜2.0%および A1:0.005〜0.05%、 を含み、かつNiをCu量に応じて次式 0.65≦Ni/Cu≦0.85 の範囲で、しかもPをNiおよびCu量に応じて次式 P≦0.01-0.5{(Ni/Cu)-0.75}2 を満足する範囲において含有し、ときにはさらに Nb:0.05%以下、 V:0.1%以下、 Ti:0.02%以下、 Cr:1.0%以下、 Mo:0.5%以下、 B:0.002%以下および REM:0.02%以下、 のうちから選んだ一種または二種以上を含有し、残部は
Feおよび不可避不純物よりなる鋼を900℃以下650℃以上
で40%以上の累積圧下を加え圧延を終了し、ついで400
〜650℃の温度範囲においてCu析出処理を施すことから
成る溶接継手部の靱性に優れた鋼板の製造方法である。
Feおよび不可避不純物よりなる鋼を900℃以下650℃以上
で40%以上の累積圧下を加え圧延を終了し、ついで400
〜650℃の温度範囲においてCu析出処理を施すことから
成る溶接継手部の靱性に優れた鋼板の製造方法である。
(作用) この発明において素材の成分組成を上記の範囲に限定し
た理由について説明する。
た理由について説明する。
C:Cは、鋼板として必要な強度を得るためには少なく
とも0.01%を必要とする。一方、溶接硬化性及び溶接割
れ感受性を考慮して、その上限は0.15%以下とする。
とも0.01%を必要とする。一方、溶接硬化性及び溶接割
れ感受性を考慮して、その上限は0.15%以下とする。
Si:Siは、脱酸作用および固溶強化作用を有するが、0.
01%未満ではその作用が十分でないので、下限を0.01%
とする。しかしながら一方でSiは、溶接熱影響部の靱性
にとって非常に有害であり、0.20%を超える添加は溶接
熱影響部に島状マルテンサイト等の低温変態生成物の存
在量を増加させることになるので、その上限は0.20%と
する。
01%未満ではその作用が十分でないので、下限を0.01%
とする。しかしながら一方でSiは、溶接熱影響部の靱性
にとって非常に有害であり、0.20%を超える添加は溶接
熱影響部に島状マルテンサイト等の低温変態生成物の存
在量を増加させることになるので、その上限は0.20%と
する。
Mn:Mnは、母材に延性と強度を与えるために0.20%以上
添加する必要がある。しかしながら添加量が2.0%を超
えると、溶接硬化性を著しく上昇させるので、その上限
は2.0%とする。
添加する必要がある。しかしながら添加量が2.0%を超
えると、溶接硬化性を著しく上昇させるので、その上限
は2.0%とする。
A1:A1は、鋼の脱酸のために少なくとも0.005%を必要
とするが、その添加量が0.050%を超えると溶接部の靱
性が著しく劣化するので、上限は0.050%とする。
とするが、その添加量が0.050%を超えると溶接部の靱
性が著しく劣化するので、上限は0.050%とする。
Cu:Cuは、耐食性を向上させる他に時効処理によって析
出するε−Cuにより強度を高めるのに有効に寄与する
が、0.7%未満ではその効果が充分でないので0.7%以上
添加する必要がある。しかし0.2%を超えると低温靱性
が損なわれるのでその上限は2.0%とする。
出するε−Cuにより強度を高めるのに有効に寄与する
が、0.7%未満ではその効果が充分でないので0.7%以上
添加する必要がある。しかし0.2%を超えると低温靱性
が損なわれるのでその上限は2.0%とする。
Ni-Niは、母材の強度および靱性の向上に有用なだけで
なく、Cu添加による熱間圧延時の割れを防止する作用を
有するが、前掲第1図および第3図に示したように、Ni
は添加量が多くてもまた少なくても優れた溶接部靱性は
得られない。この理由についてはまだ明確に解明された
わけではないが、Ni量の違いによる焼入れ性の違いが組
織あるいは島状マルテンサイト等の低温変態生成物の存
在量を変化させるためと考えられる。
なく、Cu添加による熱間圧延時の割れを防止する作用を
有するが、前掲第1図および第3図に示したように、Ni
は添加量が多くてもまた少なくても優れた溶接部靱性は
得られない。この理由についてはまだ明確に解明された
わけではないが、Ni量の違いによる焼入れ性の違いが組
織あるいは島状マルテンサイト等の低温変態生成物の存
在量を変化させるためと考えられる。
そこでこの発明では、Niの添加量は0.65≦ を満足する量とした。
P:Pは、先に述べたように溶接継手部靱性に対し、Ni
/Cuと関連して影響を与えるが、P≦0.01-0.5{(Ni/Cu)-
0.75}2を満たす範囲であれば優れた溶接継手部靱性が
得られるので上掲式を満足する範囲で添加するものとし
た。
/Cuと関連して影響を与えるが、P≦0.01-0.5{(Ni/Cu)-
0.75}2を満たす範囲であれば優れた溶接継手部靱性が
得られるので上掲式を満足する範囲で添加するものとし
た。
Nb:Nbは、熱間圧延において、未再結晶領域を拡大し
て、オーステナイト中に変形帯を導入し、変態後のフェ
ライト粒を小さくして靱性を向上させるのに有効なだけ
でなく、熱間圧延後の強制冷却において、最終組織のベ
イナイト等の量を増加でき、強度を大幅に上昇させるこ
とができる。しかしながら0.05%を超える添加は、割れ
性を増加させると共に、溶接部の応力除去焼鈍後の靱性
を劣化させるので、Nbの添加量の上限は0.05%とする。
て、オーステナイト中に変形帯を導入し、変態後のフェ
ライト粒を小さくして靱性を向上させるのに有効なだけ
でなく、熱間圧延後の強制冷却において、最終組織のベ
イナイト等の量を増加でき、強度を大幅に上昇させるこ
とができる。しかしながら0.05%を超える添加は、割れ
性を増加させると共に、溶接部の応力除去焼鈍後の靱性
を劣化させるので、Nbの添加量の上限は0.05%とする。
V:Vは、Nbと同様に強度と靱性を向上させるのに有効
に寄与するが、0.1%を超えると溶接部の応力除去焼鈍
後の靱性を劣化させるので、その上限は0.1%とする。
に寄与するが、0.1%を超えると溶接部の応力除去焼鈍
後の靱性を劣化させるので、その上限は0.1%とする。
Ti:Tiは、鋼中にTiNとして存在して溶接熱影響部のオ
ーステナイト粒の成長を抑制する。しかしながら添加量
が0.02%を超えると、多層溶接の場合、次の溶接パスに
より融点付近まで急熱されるボンド部でTiNが分解して
固溶Tiとなった場合、溶接熱影響部の硬度が上昇し、靱
性の劣化を招く。このため、Tiの添加量の上限は0.02%
とする。
ーステナイト粒の成長を抑制する。しかしながら添加量
が0.02%を超えると、多層溶接の場合、次の溶接パスに
より融点付近まで急熱されるボンド部でTiNが分解して
固溶Tiとなった場合、溶接熱影響部の硬度が上昇し、靱
性の劣化を招く。このため、Tiの添加量の上限は0.02%
とする。
Cr:Crは、耐食性を向上させる他に、焼入性の向上およ
び析出硬化により母材の強度を高める作用があり、また
母材の低温靱性の向上にも有効に寄与する。しかしなが
ら1.0%を超える添加は、溶接熱影響部の靱性および硬
化性の観点から有害となるため上限は1.0%とする。
び析出硬化により母材の強度を高める作用があり、また
母材の低温靱性の向上にも有効に寄与する。しかしなが
ら1.0%を超える添加は、溶接熱影響部の靱性および硬
化性の観点から有害となるため上限は1.0%とする。
Mo:Moは、焼入性の向上と析出硬化とにより母材の強度
を高めることができる。しかし0.5%を超える添加は溶
接熱影響部の靱性の観点から有害となるため上限を0.5
%とする。
を高めることができる。しかし0.5%を超える添加は溶
接熱影響部の靱性の観点から有害となるため上限を0.5
%とする。
B:Bは、焼入性の向上ひいては母材の強度、靱性の向
上に有効に寄与するが、0.002%を超える添加は、溶接
熱影響部の硬化を招くため、上限を0.002%とする。
上に有効に寄与するが、0.002%を超える添加は、溶接
熱影響部の硬化を招くため、上限を0.002%とする。
希土類金属(REM):REMは鋼中で硫化物若しくは酸化物と
して存在し、このREMの硫化物、酸化物は溶接部のボン
ド部においても安定しており、TiNと同様にオーステナ
イト粒の成長を抑制して靱性を向上させる。しかしなが
ら0.02%を超えて添加すと鋼の清浄度が低下し、かえっ
て鋼の靱性を劣化させるので、上限を0.02%とする。
して存在し、このREMの硫化物、酸化物は溶接部のボン
ド部においても安定しており、TiNと同様にオーステナ
イト粒の成長を抑制して靱性を向上させる。しかしなが
ら0.02%を超えて添加すと鋼の清浄度が低下し、かえっ
て鋼の靱性を劣化させるので、上限を0.02%とする。
次にこの発明の製造法について具体的に説明する。
圧延仕上げ温度は900℃以下とする必要がある。という
のは900℃を超える温度では結晶粒が粗大化し靱性が劣
化するからである。とはいえ圧延仕上げ温度を650℃よ
りも低くすると靱性が損なわれるので下限は650℃とし
た。
のは900℃を超える温度では結晶粒が粗大化し靱性が劣
化するからである。とはいえ圧延仕上げ温度を650℃よ
りも低くすると靱性が損なわれるので下限は650℃とし
た。
またこの温度域での累積圧下率は40%以上を必要とす
る。というのは40%未満では十分な細粒組織が得られな
いからである。すなわち、900℃以下650℃以上で40%以
上の累積圧下を加え圧延を終了する必要がある。
る。というのは40%未満では十分な細粒組織が得られな
いからである。すなわち、900℃以下650℃以上で40%以
上の累積圧下を加え圧延を終了する必要がある。
次に圧延後の冷却のついては放冷してもよいが、強制冷
却を施すことは組織をベイナイト化、細粒化する上で非
常に効果的である。なお強制冷却する場合には、圧延終
了後室温まで強制冷却してもよいし、室温に至る前に強
制冷却を停止させてもよい。途中で強制冷却を停止する
場合、冷却停止温度は600℃以下とするのが好ましい。
というのは600℃を超える温度で冷却を停止すると、ベ
イナイト化、細粒化の効果が不十分となるからである。
却を施すことは組織をベイナイト化、細粒化する上で非
常に効果的である。なお強制冷却する場合には、圧延終
了後室温まで強制冷却してもよいし、室温に至る前に強
制冷却を停止させてもよい。途中で強制冷却を停止する
場合、冷却停止温度は600℃以下とするのが好ましい。
というのは600℃を超える温度で冷却を停止すると、ベ
イナイト化、細粒化の効果が不十分となるからである。
続いて、Cuの析出処理を行うが、この析出処理は400〜6
50℃の範囲で行う必要がある。というのは400℃より低
いと、Cuの析出が十分ではなく、一方650℃を超えると
析出物が粗大し、強度の上昇効果が薄らぐからである。
50℃の範囲で行う必要がある。というのは400℃より低
いと、Cuの析出が十分ではなく、一方650℃を超えると
析出物が粗大し、強度の上昇効果が薄らぐからである。
(実施例) 表1に示す成分組成になる鋼を1040〜1060℃の温度に加
熱したのち、同じく表1に示す製造条件にて鋼板を製造
した。
熱したのち、同じく表1に示す製造条件にて鋼板を製造
した。
ついでこれらの鋼板をK開先に加工後、最大入熱5kJ/mm
で多層サブマージアーク溶接を施した。溶接後に溶接継
手から断面がt(板厚)×2tで疲労ノッチを第2図に
示す位置としたCTOD試験片を採取し、CTOD試験に供し
た。ここにCTOD試験は−10℃にてそれぞれ3本づつ行
い、その最低値で評価した。なお疲労ノッチの導入およ
び試験方法はイギリス規格(BS)5762(1979)に準じた。ま
た全ての鋼板から引張試験片(L方向)およびシャルピ
ー衝撃試験片(T方向)を採取し、母材の強度および靱
性についても測定した。
で多層サブマージアーク溶接を施した。溶接後に溶接継
手から断面がt(板厚)×2tで疲労ノッチを第2図に
示す位置としたCTOD試験片を採取し、CTOD試験に供し
た。ここにCTOD試験は−10℃にてそれぞれ3本づつ行
い、その最低値で評価した。なお疲労ノッチの導入およ
び試験方法はイギリス規格(BS)5762(1979)に準じた。ま
た全ての鋼板から引張試験片(L方向)およびシャルピ
ー衝撃試験片(T方向)を採取し、母材の強度および靱
性についても測定した。
これらの測定結果を表1に併記する。
鋼No.1,2,3,4はそれぞれNi/Cu、Ni/Cu、P含有
量およびSi含有量がこの発明の適正範囲を超えているも
のであり、いずれも溶接部の溶融線のCTOD特性が劣って
いた。
量およびSi含有量がこの発明の適正範囲を超えているも
のであり、いずれも溶接部の溶融線のCTOD特性が劣って
いた。
またNo.5は、900〜650℃の累積圧下率が、この発明の
下限に満たない場合であり、溶接部の溶融線のCTOD特性
には優れていたが、強度・靱性に劣っていた。
下限に満たない場合であり、溶接部の溶融線のCTOD特性
には優れていたが、強度・靱性に劣っていた。
これに対し鋼No.6〜13はいずれも、成分、製造条件と
もこの発明の範囲を満足するもので優れたCTOD特性を示
した。とくに鋼No.7〜13は、Nb,V,Cr,Mo,Ti,B,REMをこ
の発明で規定する範囲内で添加した場合であるが、これ
らの元素の添加により、強度および継手部CTOD特性の一
層の向上が達成されている。
もこの発明の範囲を満足するもので優れたCTOD特性を示
した。とくに鋼No.7〜13は、Nb,V,Cr,Mo,Ti,B,REMをこ
の発明で規定する範囲内で添加した場合であるが、これ
らの元素の添加により、強度および継手部CTOD特性の一
層の向上が達成されている。
(発明の効果) かくしてこの発明に従い、高Cu添加鋼において、NiとCu
の添加量の比をSiとPの適切な範囲のもので規定すると
共に、適切な圧延条件と熱処理を加えることにより、Ni
を有効に活用して溶接継手部の靱性に優れた、従来にな
い高強度・高靱性の鋼板を製造することができる。
の添加量の比をSiとPの適切な範囲のもので規定すると
共に、適切な圧延条件と熱処理を加えることにより、Ni
を有効に活用して溶接継手部の靱性に優れた、従来にな
い高強度・高靱性の鋼板を製造することができる。
第1図は、溶接継手部のCTODとNi/Cuとの関係を示した
グラフ、 第2図は、溶接継手形状とCTOD試験におけるノッチ位置
を示した図、 第3図は、Ni/CuおよびP含有量が溶接継手部のCTODに
及ぼす影響について示したグラフである。
グラフ、 第2図は、溶接継手形状とCTOD試験におけるノッチ位置
を示した図、 第3図は、Ni/CuおよびP含有量が溶接継手部のCTODに
及ぼす影響について示したグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】C:0.01〜0.15wt%、 Si:0.01〜0.20wt%、 Mn:0.20〜2.0wt%、 Cu:0.7〜2.0wt%および A1:0.005〜0.05wt% を含み、かつNiをCu量に応じて次式 0.65≦Ni/Cu≦0.85 の範囲で、しかもPをNiおよびCu量に応じて 次式 P≦0.01-0.5{(Ni/Cu)-0.75}2 を満足する範囲において含有し、残部はFeおよび不可避
不純物よりなる鋼を、900℃以下650℃以上で40%以上の
累積圧下を加え圧延を終了し、かかる圧延終了後空冷ま
たは強制冷却し、ついで400〜650℃の温度範囲において
Cu析出処理を施すことを特徴とする溶接継手部の靱性に
優れた鋼板の製造方法。 - 【請求項2】C:0.01〜0.15wt%、 Si:0.01〜0.20wt%、 Mn:0.20〜2.0wt%、 Cu:0.7〜2.0wt%および A1:0.005〜0.05wt% を含み、かつNiをCu量に応じて次式 0.65≦Ni/Cu≦0.85 の範囲で、しかもPをNiおよびCu量に応じて 次式 P≦0.01-0.5{(Ni/Cu)-0.75}2 を満足する範囲において含有し、さらに Nb:0.05wt%以下、 V:0.1wt%以下、 Ti:0.02wt%以下、 Cr:1.0wt%以下、 Mo:0.5wt%以下、 B:0.002wt%以下および REM:0.02wt%以下 のうちから選んだ一種または二種以上を含有し、残部は
Feおよび不可避不純物よりなる鋼を、900℃以下650℃以
上で40%以上の累積圧下を加え圧延を終了し、ついで40
0〜650℃の温度範囲においてCu析出処理を施すことを特
徴とする溶接継手部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63175173A JPH0668126B2 (ja) | 1988-07-15 | 1988-07-15 | 溶接継手部の靭性に優れた鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63175173A JPH0668126B2 (ja) | 1988-07-15 | 1988-07-15 | 溶接継手部の靭性に優れた鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0225517A JPH0225517A (ja) | 1990-01-29 |
JPH0668126B2 true JPH0668126B2 (ja) | 1994-08-31 |
Family
ID=15991546
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63175173A Expired - Fee Related JPH0668126B2 (ja) | 1988-07-15 | 1988-07-15 | 溶接継手部の靭性に優れた鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0668126B2 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60149722A (ja) * | 1984-01-14 | 1985-08-07 | Nippon Steel Corp | 溶接部低温靭性の優れたCu添加鋼の製造法 |
JPS61149430A (ja) * | 1984-12-25 | 1986-07-08 | Kawasaki Steel Corp | 低温じん性および溶接性の優れた低C−Cu析出型高張力鋼の製造方法 |
JPS62240747A (ja) * | 1986-04-11 | 1987-10-21 | Nippon Steel Corp | 冷間加工性及び溶接性にすぐれた加工、析出硬化型高張力鋼材およびその製造方法 |
-
1988
- 1988-07-15 JP JP63175173A patent/JPH0668126B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS60149722A (ja) * | 1984-01-14 | 1985-08-07 | Nippon Steel Corp | 溶接部低温靭性の優れたCu添加鋼の製造法 |
JPS61149430A (ja) * | 1984-12-25 | 1986-07-08 | Kawasaki Steel Corp | 低温じん性および溶接性の優れた低C−Cu析出型高張力鋼の製造方法 |
JPS62240747A (ja) * | 1986-04-11 | 1987-10-21 | Nippon Steel Corp | 冷間加工性及び溶接性にすぐれた加工、析出硬化型高張力鋼材およびその製造方法 |
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Publication number | Publication date |
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JPH0225517A (ja) | 1990-01-29 |
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