JPH0667949B2 - 粉末状蔗糖脂肪酸エステルの製造方法 - Google Patents

粉末状蔗糖脂肪酸エステルの製造方法

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JPH0667949B2
JPH0667949B2 JP11894488A JP11894488A JPH0667949B2 JP H0667949 B2 JPH0667949 B2 JP H0667949B2 JP 11894488 A JP11894488 A JP 11894488A JP 11894488 A JP11894488 A JP 11894488A JP H0667949 B2 JPH0667949 B2 JP H0667949B2
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【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は粉末状蔗糖脂肪酸エステルの製造方法、さらに
詳しくは精製用の溶媒を全く使用せずに、水のみを用い
て工業的に粉末状の蔗糖脂肪酸エステルを製造する方法
に関するものである。
【従来の技術】
(背景) 現在、界面活性剤として有用な蔗糖脂肪酸エステルは、
工業的に蔗糖とC8〜C22の高級脂肪酸メチルエステルと
を溶媒(ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド
など)中で適当な触媒下で反応させるか(溶媒法:特公
昭35-13102)又は溶媒を用いずに水を使って蔗糖を脂肪
酸石鹸と共に溶融混合物とした後、触媒の存在下に高級
脂肪酸メチルエステルと反応させること(水媒法:特公
昭51-14485号)により得られている。しかし、これら二
種の合成法のいづれによっても、その反応混合物中に
は、目的とする蔗糖脂肪酸エステルの他、未反応の糖、
未反応の脂肪酸メチルエステル、残留触媒、石鹸、遊離
脂肪酸、揮発分等の夾雑物を含んでおり、これらの夾雑
物のうち含量が規定量を越す不純分は、製品と成る以前
に除去されなければならない。特に、上記夾雑物のう
ち、未反応の糖の除去は、その量が多いだけに最も重要
である。 (従来技術の問題点) ところで、蔗糖脂肪酸エステルの反応混合物から未反応
の糖を除去する手段としては、通常の溶媒が蔗糖を殆ど
溶解する能力を有しないことを利用して、反応混合物に
溶媒を加え、夾雑する未反応糖を沈殿物として除去する
方法が従来から一般的に用いられてきた。しかし、小規
模な場合はともかく、工業的規模で蔗糖脂肪酸エステル
の生産に携わる工場においては、溶媒回収の手数、火災
の危険性、作業員に対する労働衛生上の問題など、溶媒
取扱の不便さは目に余るものがある。しかし他に有力な
手段が存在しないため、未反応糖の除去には依然として
溶媒が使用されており、このことは、例えば特公昭42-1
1568や同昭48-10448に、ブチルアルコール、トルエン、
メチルエチルケトン、酢酸エチル等の溶媒が未反応糖の
除去を含む精製に有効であると明記されている通りであ
る。 今、参考までに溶媒の取扱いに伴う不利益を列挙すれば
以下のようである。 爆発、火災の危険性。 上のに備えた電気装置の防爆化。 上のに備えた製造装置の密閉化。 上のに備えた建物全体の耐火構造化。 上の、、による固定費の上昇。 溶媒の損耗による原価の上昇。 製品蔗糖脂肪酸エステル中に残留する残留溶媒の負効
果。 従業員の健康上への悪影響、ひいてはこれによる工数
の増大の原価の上昇。
【発明が解決しようとする課題】
このような状況から、従来、無溶媒で、即ち、水以外の
溶剤を使用せずに、不純な蔗糖脂肪酸エステル反応混合
物から未反応の糖その他の不純物を除去できる技術の開
発が待望されてきた。よって本発明が解決しようとする
課題は、全く溶媒を使用せずに、不純な蔗糖脂肪酸エス
テル反応混合物中の未反応糖のみならず、残留触媒、触
媒から副生する塩、揮発分(反応用の溶媒の残留分)そ
の他の夾雑物を同時的に除去する技術を確立することで
ある。
【課題を解決するための手段】
(概要) 以上の課題を解決せんがため、本発明に係る粉末状蔗糖
脂肪酸エステルの製造方法は、未反応の蔗糖、未反応の
脂肪酸メチルエステル、触媒、石鹸、脂肪酸、揮発分等
を含む蔗糖脂肪酸エステル含有反応混合物を、中性のpH
領域に調節後、適当な温度下に水で一定濃度に稀釈、溶
解させ、得られた水溶液を加圧下に限外濾過膜に接触さ
せて未反応の蔗糖、触媒から生成した塩及び揮発分の三
者を水と共に該膜を透過させて分離し、残留の蔗糖脂肪
酸エステル、未反応の脂肪酸メチルエステル、石鹸及び
脂肪酸の四者を含む水溶液を、加圧下に逆浸透膜と接触
させるか、又は更に必要に応じ該水溶液を蒸発濃縮して
適当な濃度のスラリー化した後、噴霧乾燥することを特
徴とする。 以下、発明の原理、実施条件その他、発明の詳細につき
記述する。 (a 限外濾過) 《a-1原理》 蔗糖脂肪酸エステルが、水溶液中で一定の条件下で相互
に合一して高分子量のミセル構造の集合体を作ること
は、公知(出願人会社刊《シュガーエステル物語》102
頁)の事実である。 ところで蔗糖脂肪酸エステルには、蔗糖の分子の8個の
水酸基の酸素原子のいづれかに、夫々1個〜3個のC8
C22脂肪酸残基が結合したモノエステル、ジエステル及
びトリエステル等の種類がある。周知の如く、モノエス
テルは、親水性がジエステルやトリエステルに比較して
大きい代りに、水中におけるミセル形成の度合いが小さ
いので、比較的低分子量の(分子の直径の小さい)蔗糖
脂肪酸エステルミセル集合体を形成する。逆に、ジエス
テルやトリエステルは、親水性が比較的小さい代りにミ
セル形成能が極めて大きいので、水中では、極めて大き
な分子量の(即ち、分子径の大きい)蔗糖脂肪酸エステ
ルミセル集合体を形成する。市販の蔗糖脂肪酸エステル
では、モノエステル単品として製造されることは稀であ
って、通常はモノエステルの含量が、例えば70%、50
%、30%……といった混合組成物として製造されてい
る。 本発明者らは、上記課題の解決を目指して研究を重ねた
結果、例えば、モノエステルの含量が70%と多い蔗糖脂
肪酸エステルは、モノエステル含量が50%と少ない蔗糖
脂肪酸エステルに比べて、より低分子量の蔗糖脂肪酸エ
ステル集合体を作るので、その分、集合体の微視的径が
小さいこと、従って、一定の孔径を有する限外濾過膜に
対してモノエステル含有量50%の蔗糖脂肪酸エステルよ
りも通過し易く、このため、未反応の糖や触媒からの副
生塩(触媒を酸で中和したとき形成されたもの)、揮発
分等と一緒に膜を通過してしまい易いという望ましくな
い傾向を有することを知った。そこで本発明者らは、こ
れに対する対策として、モノエステル含量の互い不純蔗
糖脂肪酸エステルから未反応の糖、触媒由来の塩、揮発
分等を除去したい場合は、分画分子量の小さい(即ち、
孔径の小さい)濾過膜を選定するのがよいこと、及び逆
にモノエステル含量の低い蔗糖脂肪酸エステルの場合に
は、分画分子量の大きい(即ち、孔径の大きい)濾過膜
を選定するのが処理速度を早めるため好都合であること
を見出した。 尚、発明者らは、反応混合物中に含まれている物質のう
ち、未反応の脂肪酸メチルエステル、石鹸及び脂肪酸の
三者は、蔗糖脂肪酸エステルのミセル構造集合体中に内
包された状態で存在するため、蔗糖脂肪酸エステルとそ
れらの三者を濾過手段により分離するのは事実上不可能
であることも、多くの実験結果から確認した。 かくして、多くの実験から、帰納された結論は、圧力を
駆動源として濾過膜(適当な分画分子量を持つ)を水と
共に通過できる不純物質は、未反応の糖、触媒由来の
塩、揮発分(ジメチルスルホキシドやジメチルホルムア
ミド等、蔗糖脂肪酸エステル合成に際し溶媒として用い
られた、極性が強く、水溶性が大で、かつ蔗糖と親和性
の大きい物質)の三者であり、一方、高分子量のミセル
集合体中に取り込まれて濾過膜を通過できない物質は、
蔗糖脂肪酸エステル、未反応の脂肪酸メチルエステル、
石鹸及び遊離脂肪酸等である。 本発明者は、これらの事実を巧妙に利用すると共に、適
当な分画分子量を持つ濾過膜の選定によって、未反応の
糖、触媒由来の塩及び揮発分の三者を蔗糖脂肪酸エステ
ル、未反応の脂肪酸メチルエステル、石鹸及び脂肪酸の
四者から分離、除去するのに成功したものである。 《a-2濾過対象物質の分子量》 適当な分画分子量を持つ限外濾過膜を選定するために
は、対象物質の大略の分子量を知っておく必要がある。
発明と関連するこれら単一物質の分子量は以下の通りで
ある。 ○蔗糖=342 ○未反応の脂肪酸メチルエステル ステアリン酸メチルエステル=290 ○触媒(K2CO3)の中和により発生する塩 乳酸を使う場合→乳酸カリウム=128 酢酸を使う場合→酢酸カリウム=98 ○揮発分 ジメチルスルホキシド=78 ジメチルホルムアミド=73 ○蔗糖脂肪酸エステル(ミセル集合体を作らない単量体
として) 蔗糖モノステアレート=600 蔗糖ジステアレート=858 蔗糖トリステアレート=1116 なお、ミリステート、パルミテート、アラキネート、ベ
ヘネートなどの他の脂肪酸エステルについても分子量に
大差はない。 ○石鹸 ステアリン酸ナトリウム=298 ステアリン酸カリウム=314 ○脂肪酸 ステアリン酸=276 ○水=18 ところで、蔗糖脂肪酸エステルのミセル構造の集合体の
見掛け分子量(以下《蔗糖脂肪酸エステルミセル集合体
の分子量》と称す)については、実験的に以下のように
仮定できる。 実際の水溶液中の蔗糖脂肪酸エステルは、水中にてミセ
ル集合体を形成しているから、例えば、蔗糖脂肪酸エス
テルのミセル会合数が10個の場合、該ミセル集合体の分
子量は、 モノエステル100%として、 ◇モノエステル単量体の分子量(600)×10=6,000 ジエステル100%として、 ◇ジエステル単量体の分子量(850)x10=8,580 トリエステル100%として、 ◇トリエステルの分子量(1,116)x10=11,160 となる。 実際の蔗糖脂肪酸エステルは、モノエステル、ジエステ
ル及びトリエステルの混合物であるから、蔗糖脂肪酸エ
ステルのミセル集合体の分子量としては、その平均分子
量を定義すればよい。 (a-3濾過膜の分画分子量) 発明目的に適って膜の選定は、次のようにして行なう。 先ず、分画分子量が200の限外濾過膜では、本膜へ水溶
液状態の反応混合物を与圧しながら供給して、未反応糖
と触媒(K2CO3)から生じた塩及び揮発分の除去を狙って
も、その濾過膜で、分離され得るのは、濾過膜の分画分
子量200よりも低い分子量を持つ水、触媒(K2CO3)から生
じた塩及び揮発分のみである。分画分子量200より大き
い分子量342の蔗糖は、全く濾過膜を透過しないから、
未反応糖は蔗糖脂肪酸エステルより分離、除去できな
い。 次に、分画分子量が5,000の濾過膜の場合は、蔗糖、触
媒からの塩及び揮発分は、夫々の分子量が5,000より小
さいので、濾過膜の微孔を容易に通過できる。蔗糖脂肪
酸エステルは、前述の通りミセル集合体を構成し、ミセ
ル会合数を例えば10個と仮定すると、その蔗糖脂肪酸エ
ステルミセル集合体の分子量は6,000以上と推定され
る。従って、濾過膜の分画分子量が5,000より大きい
と、該ミセル集合体が微孔を通過できないものと推定さ
れるが、この推定は実験的に確認されている。 最後に、分画分子量1,000の濾過膜の場合についても検
討したが、結果は予想の通りであった。 このように、限外濾過膜の分画分子量を適当に選定する
ことによって、蔗糖脂肪酸エステル反応混合物中の未反
応糖を含む不純物の除去が可能となる。 《a-4濾過膜の具備すべき条件》 蔗糖脂肪酸エステル反応混合物に含まれる未反応糖と、
触媒(K2CO3)から副生した塩と、揮発分との三者を蔗糖
脂肪酸エステル、石鹸、未反応の脂肪酸メチルエステル
及び脂肪酸の四者より分離しようとする場合、濾過膜の
具備すべき条件は、該膜が適当な分画分子量を有する場
合、 物理的な外力に対し、抵抗力があること。 耐熱性を有し、微生物によって分解されないこと。 適当な分画分子量を持ち、処理能力の大きいこと。 耐用年数が長いこと。 経済的な価格で入手できること。 等である。 近年の限外濾過膜の製造における技術の進歩には著しい
ものがあるから、市販のものでも後述の通り上の条件を
満たしているものが見出される。 《a-5限外濾過の実際》 本発明の実施に好適な反応混合物の組成は、大凡、蔗糖
脂肪酸エステルを15%〜95%、未反応糖を1%〜80%、
未反応脂肪酸メチルエステルを0.5%〜10%、触媒(K2CO
3)を0.05%〜7%、石鹸を2%〜60%、脂肪酸を0.5〜1
0%、揮発分を0%〜50%という範囲内のものである。
この組成の反応混合物から未反応糖、触媒(K2CO3)と酸
の中和から生成する塩及び揮発分(ジメチルスルホキシ
ドやジメチルホルムアミド)の三者を限外濾過により除
去しようとする場合、反応混合物中の脂肪酸メチルエス
テルは、脂肪酸残基の炭素数C8〜C22のものであって、
かつそれから誘導される蔗糖脂肪酸エステルは、軟化点
又は融点47℃以上のものであれば飽和、不飽和の別を問
わない。 蔗糖脂肪酸エステル合成に供せられる触媒としては、炭
酸カリ(K2CO3)が代表的であるが、一般のアルコリシス
反応に使用される触媒、例えば炭酸ナトリウムやナトリ
ウムアルコキシドも利用できる。 石鹸、脂肪酸の種類は、上記の脂肪酸メチルエステルに
対応しておればよい。 揮発分は、前工程の蔗糖脂肪酸エステル合成時に溶媒と
して使用されたジメチルスルホキシドやジメチルホルム
アミドである。 本発明の実施に際しては、上述の蔗糖脂肪酸エステル反
応混合物に、望ましくは脱イオン水を、水:反応混合物
和5:1〜40:1(重量比)になるように、さらに好ましく
は、水:反応混合物=20:1(重量比)の割合で加えて溶
解させる。蔗糖脂肪酸エステルはアルカリ性下において
加水分解を受け易いから、その加水分解を防ぐため、水
の添加に先立って触媒(K2CO3)に酸を加えて中和し、液
のpHを6.2〜8.2、望ましくはpH7.5付近に調整しておく
のが好ましい。この際、中和に用いる酸としては、乳
酸、酢酸の如き有機酸や塩酸、硫酸のような無機酸が利
用される。中和液のpHが8.2を超えると蔗糖脂肪酸エス
テルの分解が進み、またpH6.2未満では蔗糖脂肪酸エス
テルのミセル集合体が形成され難くなるため、濾過時蔗
糖脂肪酸エステルが系外へ流れ出て損失をもたらす。 濾過時の水溶液の温度は、脂肪酸メチルエステルの種類
とは無関係に80℃以下の温度が好ましく、同温度を超え
ると蔗糖脂肪酸エステルが分解する懸念がある。発明者
らは、該温度が特に40〜60℃の温度範囲内に在るとき、
最大の濾過速度が得られることを見出した。即ち、濾過
温度を40-60℃、最適には約50℃付近に調温することに
より、後述の理由で、未反応糖、触媒(K2CO3)からの塩
及び揮発分(ジメチルスルホキシドやジメチルホルムア
ミド)の三者は、水と共に最も効率良く濾過膜を通過す
る。この理由は、40〜60℃に於て蔗糖脂肪酸エステルの
ミセル集合体の分子が巨大化する結果、ミセル集合体の
総数が減少し、未反応糖等の元来ミセル集合体の形成に
関与しない物質が蔗糖脂肪酸エステルの抵抗を受け難く
なり、その分、未反応糖等が通過し易くなることに因る
ものと推測される。 公知の如く、蔗糖脂肪酸エステル水溶液は一般に40〜60
℃の間で最大の粘度を示す(上掲書103頁)が、これ
は、その温度範囲内で最大の分子量を持得ることを示唆
するものであり、この事実からも、40〜60℃の範囲で未
反応糖等が最大の通過速度を示す理由を説明できる。 かくして、40〜60℃に維持された蔗糖脂肪酸エステルを
含む反応混合物水溶液を、ポンプにより1−20kg/cm2G
まで加圧して駆動源としての圧力をかけ、pH6.2〜8.2の
水素イオン濃度領域で限外濾過膜に接触させる。ここに
濾過膜として、セルロース系のものは物理的に弱いだけ
でなく、かつ微生物にも侵され易いので、実用上余り望
ましくない。実用的に好適であるのは、支持層で補強さ
れたポリスルホン製もしくはポリ弗化ビニリデン製の膜
である。これら両種の濾過膜は現在市販されており、耐
熱性、耐酸性、耐アルカリ性に優れ、物理的外力にも強
く、しかも微生物が膜面で増殖することもない。 前述の通り、濾過膜の分画分子量の決定に際しては、蔗
糖脂肪酸エステルの洩れなしに未反応糖等の分離が効率
よく行なわれ、かつ濾過速度も大である範囲のものを選
定することが重要である。発明者らは、検討の結果、蔗
糖脂肪酸エステルの洩れが無く、しかも未反応糖、副生
塩及び揮発分の分離性が損なわれず、しかも濾過速度を
大であるという希望条件を満たす膜の分画分子量とし
て、1,000〜100,000の範囲内のものが好適であること、
及び、とりわけ蔗糖脂肪酸エステルの洩れなく、しかも
工業的な規模での処理に適したものとして、分画分子量
5,000の濾過膜が最も好ましいことを発見した。5,000超
過の分画分子量のものでは、僅かではあるが蔗糖脂肪酸
エステルの洩れが発生し、逆に5,000未満の分画分子量
の膜では、濾過速度が減少する。しかしいづれの場合で
も工業的に採算に乗らない程の不利益をもたらすもので
はない。 現在市販の濾過膜のうちで、発明目的に適うものとして
は、例えば東レエンジニアリング(株)の販売に係る限
外濾過膜のうち、商品名《TERP-E-5》(ポリ弗化ビニリ
デン系)、《TERP-HF-10》(ポリスルホン系)及び《TE
RP-HF-100》(ポリスルホン系)等がある。 上記濾過膜《TERP-HF-10》(分画分子量=10,000の限外
濾過膜)によると、蔗糖脂肪酸エステル反応混合物の水
溶液(pH=7.5)で、水溶液中の組成が下表−1の場合
で、温度50℃、駆動圧を5.0kg/cm2Gに高めたときの未反
応糖の分離速度は、有効面積8m2の限外濾過膜(1ユニ
ット当り)で、4.7kg・糖/時に達した。これは工業的
に充分な分離速度である。かつ触媒から副生する塩及び
揮発分の分離速度も充分であった。因に、未反応糖、触
媒からの塩及び揮発分の除去率は、濾過膜への通液回数
の調節によって充分高めることができるので、本膜は、
工業化に極めて有利である。 このように、限外濾過膜の利用により、蔗糖脂肪酸エス
テル反応混合物から、工業的に容易に未反応糖、触媒(K
2CO3)からの副生塩及び揮発分の三者を一括して水と共
に除去することが可能となり、かくして、水のみで、溶
媒を一切使用せずに、未反応糖と触媒(K2CO3)からの副
生塩及び揮発分を除こうとする目的が達成される。 (b逆浸透) 以上の限外濾過手段により、被処理反応混合物中から未
反応の蔗糖、触媒から副生した塩及び揮発分の三者を除
去された残液(蔗糖脂肪酸エステル、未反応の脂肪酸メ
チルエステル、石鹸及び脂肪酸の四者の混合物を含む水
溶液)の組成は、固形分約1%〜4%、水分約99%〜96
%の範囲にあることが多い。従って、そのままでは粉末
状蔗糖脂肪酸エステルを得るための脱水用エネルギーコ
ストが過大となることは明らかである。 しかるに、本発明者らは研究結果、逆浸透膜の利用によ
り、極めて低コストの脱水、濃縮が可能となり、上記問
題を工業的に解決できることを見出した。 ここに使用する逆浸透膜が具備すべき条件としては、 限外濾過後の水溶液から水のみを透過させるものであ
ること、 雑菌の繁殖によって劣化しないこと、 耐熱、耐アルカリ性であること、 水の除去能力に優れていること 耐用命数が長いこと、 などであるが、本発明者らは、研究の結果、特にポリエ
ーテル系の膜がポリスルホン製の支持体で補強された、
所謂複合膜より成り、かつ、分画分子量が60である逆浸
透膜が目上好適であることを見出した。かかる目的に適
う市販品としては、例えば東レエンジニアリング(株)
より販売されているPEC1000がある。 以上の逆浸透膜に、予め温度40℃〜60℃、pH6.2〜8.2の
領域内に調整された被処理水溶液を加圧状態で接触させ
ると、有効な脱水が行なわれることが可能となる。この
際、pHが6.1未満では蔗糖脂肪酸エステルが折出して逆
浸透膜の細孔を塞ぎ、水のみの細孔通過が不可能とな
る。逆に、pHが8.3を超えると、致命的な蔗糖脂肪酸エ
ステルの加水分解が起こるので、これ以上のアルカリ性
にしてはならない。更に、温度が40以下に低下すると、
水分子が逆浸透膜の細孔を通過する速度が、急激に低下
する。一方、60℃以上になると、特に長時間の逆浸透に
付したとき蔗糖脂肪酸エステルの加水分解が懸念される
ので、これまた回避されるべきである。なお、これら40
℃〜60℃という至適操作条件も、前述の限外濾過温度と
同様、本発明者らが見出し得た条件である。 駆動源としての圧力は、工業的に望ましくは、50kg/cm2
G〜65kg/cm2Gである。この条件の下で、大略の水の除去
速度は、逆浸透膜1m2当り0.06〜0.6kg水/分と、工業
的規模の大きい値となる。 以上の好適な条件下においては、前記の四者の混合物を
含む水溶液は、脱水されて水分60〜96%、固形分=40〜
4%になるまで濃縮される。なお必要に応じ、逆浸透膜
以外の濃縮方法、例えば真空下での蒸発濃縮法などを併
用することにより、上記の値よりも、より高い濃度にま
で濃縮することができる。但し、次記噴霧乾燥手段の適
用を困難にする濃度にまで濃縮するのは好ましくない。 (c噴霧乾燥) 以上の逆浸透等による濃縮液(残液)は水分60〜96%を
含む一種の泥漿(スラリー)一種である。本スラリーの
脱水、乾燥手段として、従来公知の真空乾燥機(例え
ば、溝型の攪拌型乾燥機)を使用することもできるが、
発明者らは研究の結果、上記蔗糖脂肪酸エステルスラリ
ーの脱水乾燥に、特に噴霧乾燥が適していることを見出
した。因に、通常の攪拌型真空乾燥機を用いる脱水、乾
燥は、蔗糖脂肪酸エステル水溶液の高粘度のため困難で
あって、高温、長時間の作業を余儀なくされる結果、蔗
糖脂肪酸エステルの分解による酸価の上昇、強度の着色
及びカラメル化等の望ましくない現象を引き起こすこと
が知られている(特公昭昭37-9966号参照)。さらに、
スラリーを連続的に加熱して、真空室へ供給、放出させ
る所謂、フラッシュ式の乾燥機の場合に於ても、水の持
つ大きな潜熱(500Kcal/Kg・水以上)のため、充分な脱
水、乾燥には困難がつき纏う。そして、仮にこれらの困
難を克服できたとしても、真空下で脱水、乾燥された後
の蔗糖脂肪酸エステルは溶融状態にあるため、これを乾
燥機から取出してから、融点以下まで冷風などを吹きつ
けて冷却し、固化させた後、粉砕する工程を必要とす
る。 以上、粉末状蔗糖脂肪酸エステルを得んがための脱水、
乾燥手段を要約すると、 真空下で泥漿(スラリー)の脱水、乾燥、 真空の乾燥機より溶融している蔗糖脂肪酸エステルの
取出し、 取出された溶融物の冷却と固化、 固化した蔗糖脂肪酸エステルの粉砕、 等の多工程を必要とするので、経済的にも望ましくない
他、特にの粉砕工程では、粉塵爆発の懸念が附随す
る。 しかるに、本発明に係る噴霧乾燥による蔗糖脂肪酸エス
テルスラリーの脱水、乾燥手段によれば、上記の乾燥手
段の欠点が抜本的に解消されうる。 即ち、スラリーをポンプを介して噴霧乾燥塔へ連続的に
供給し、ノズル又は回転円盤、望ましくは後者を介して
供給されたスラリーを分散、霧化させることにより、水
の蒸発面積を極めて大きくすることができるので、噴霧
後、数秒以内に脱水、乾燥を完了せしめ得る。 噴霧乾燥塔へ供給されるスラリーの温度としては、40℃
〜80℃の範囲の温度が選ばれるが、品質面の考慮から、
成るべく40℃〜60℃の範囲内であるのがよい。回転円盤
により分散させる場合、該円板の直径が5〜10cmのと
き、15,000rpm〜24,000rpmの回転数が適当である。送風
される加熱(温)空気は、スラリー中の水分を蒸発させ
るに必要な熱量以上を保有すべきであるから、空気温度
が低い場合は、当然、多量の空気が必要となる。 空気温度は10℃から100℃の間で選択できるが、製品蔗
糖脂肪酸エステルの変質を避けるため、60℃〜80℃の間
で選ぶのが望ましい。 送風空気中の湿度も前記の空気温度と併せて重要である
が、大略、絶対湿度として、 の値を選ぶのが経済的である。 噴霧乾燥塔の容積、塔径、高さ等のファクターは、以上
の噴霧条件を基礎に設計される。条件が適当であれば、
水分量5%以下の粉末状蔗糖脂肪酸エステルが、噴霧乾
燥塔の下部より連続的に取り出される。
〔実施例〕
以下、実施例及び比較例により発明実施の態様及び効果
を説明するが、例示は当然説明用のものであって、発明
思想の内包・外延を限るものではない。 実施例−1 ステアリン酸メチルエステル:蔗糖=1:2(モル比)の
混合物に、炭酸カリウム(K2CO3)を対固形物当り3.0%
(重量)、ジメチルスルホキシドを対固形物に対し4倍
量(重量)を加え、充分脱水後、反応器中に激しく攪拌
して、30Torrの真空下で7時間反応させた。 次いで、ジメチルスルホキシドの大部分を減圧留去した
ところ、下記組成の反応混合物から得られた。 蔗糖脂肪酸エステル (モノエステル量=72%) 34.3% 未反応蔗糖 31.3% 未反応ステアリン酸メチル 1.6% ステアリン酸 1.3% K2CO3 2.3% ステアリン酸カリウム 3.2%揮発分(ジメチルスルホキシド) 26.0% 小計 100.0% 以上の反応混合物95kgを、酢酸pH7.5になるまで中和し
た後、これに2,700kgの脱イオン水を添加し、50℃で60
分間攪拌、溶解させた。得られた水溶液のpHは7.3であ
った。 この水溶液を、東レエンジニアリング(株)販売に係る
限外濾過膜(商品名《TERP-E-5》(分画分子量5,000)
を装置した膜面積8m2のスパイラル形4″円筒ユニット
に送液した。このときの運動条件は、 送付圧力=6.0kg/cm2G〜7.2kg/cm2G 送液温度=53.0℃〜53.5℃ であった。 通液開始から14時間後に、濾過膜より排出された濾液中
に溶存している蔗糖を屈折率計で計ったところ、反応混
合物に当初含まれていた未反応糖の90.1%が濾液中に除
去されていた。また濾液中への蔗糖脂肪酸エステルの洩
れは、反応混合物中に最初含まれていた量に対して僅か
0.2%であった。さらに揮発分であるジメチルスルホキ
シドの量をガスクロマトグラフィーで定量した結果、原
反応混合物中に含まれていた量の91.2%が濾液中に除去
されていた。なお、触媒から副生した酢酸カリウムは、
反応混合物中に当初含まれた量の93.2%が除去された。 以上の操作によって、濃縮された反応混合物の液量は29
0kgとなり、他方濾過膜を通過した濾液の量は2,490kgと
なっていた。 次に、この濃縮液290kgに、再び2,500kgの脱イオン水を
添加し、50℃で60分間攪拌、溶解させ、pHを7.4に再調
整した後、もう一度前述の濾過膜に供給した。 前述と大略同条件で運動を行なったところ、通液14時間
後には、濃縮液846kgが得られた。この濃縮液の組成は
下記の通りであって、 蔗糖ステアリン酸エステル 3.73% 未反応蔗糖 0.11% 未反応ステアリン酸メチル 0.17% ステアリン酸 0.14% ステアリン酸カリウム 0.34% 揮発分(ジメチルスルホキシド) 0.1% 酢酸カリウム 0.01%水 95.4% 計 100.0% 目的とする蔗糖ステアリン酸エステルの98%以上の回収
ができているほか、未反応糖の97%、揮発分(ジメチル
スルホキシド)及び触媒(K2CO3)から副生した酢酸カリ
ウムの略々97%が夫々除去されていることが判った。し
かし未反応のステアリン酸メチル、ステアリン酸、ステ
アリン酸カリウムの三者は、蔗糖ステアリン酸エステル
に随伴しているため除去されていなかった。 次に、上の再濃縮液846kgを、東レエンジニアリング
(株)販売に係る逆浸透膜(商品名《PE1000》分画分子
量=60)を装置した膜面積8m2のスパイラル型円筒ユニ
ットに温度50℃で供給した。この際の運動条件は、 送付圧力=57kg/cm2G〜59kg/cm2G であった。 8時間後、逆浸透膜で濃縮された濃縮液の量は413kgで
あった(計算上の濾液量は433kg)。この濃縮液の組成
は、 蔗糖ステアリン酸エステル 7.66% 未反応蔗糖 0.22 未反応ステアリン酸メチル 0.34 ステアリン酸 0.28 ステアリン酸カリウム 0.68 揮発分(ジメチルスルホキシド) 0.2 酢酸カリウム 0.02水 90.6 計 100.0% であった。 このように、濃縮液中の水の殆ど1/2量だけが逆浸透膜
を通して除去できることが知られた。 この濃縮液を、50℃の温度に維持したまま、直ちに噴霧
乾燥塔へ供給し、噴霧乾燥した。乾燥条件は、 噴霧乾燥塔の直径 2.0m、 直筒部 1.5m、 送風量 回転円盤直径 10cm、 回転数 20,000rpm 入口空気温度 70℃、 入口空気の絶対湿度 濃縮液の供給速度 1.1〜1.3kg/時間 であった。 噴霧乾燥塔の下部より得られた粉末状蔗糖脂肪酸エステ
ルは、酸価5.1で加熱による着色もなく、水分1.75%、
嵩比重0.43の流動性の良いものであった。 乾燥は約2時間安定して継続でき、当初懸念された噴乾
燥塔内壁への付着などのトラブルは見られなかった。な
お、得られた蔗糖脂肪酸エステル中のモノエステル量は
72%で、乾燥前と全く変化がなかった。 実施例−2 蔗糖を、脂肪酸ナトリウム石鹸と共に触媒の存在下でス
テアリン酸メチルエステルと反応させて下記の反応混合
物の組成を得た。 蔗糖ステアリン酸エステル (モノエステル量=52%) 46.3% 未反応蔗糖 22.1 未反応ステアリン酸メチルエステル 2.5 ステアリン酸ソーダ 26.4 ステアリン酸 1.5触媒(K2CO3) 1.2 計 100.0% この反応混合物72kgを酢酸液でpH=7.1となるまで中和
後、これに2,800kgの脱イオン水を添加し、50℃で70分
間攪拌、溶解させた。この溶液を、東レエンジニアリン
グ(株)販売に係る限外濾過膜(商品名《TERP-HF-10》
分画分子量10,000)を装置した8m2の膜面積を持つスパ
イラル型4″円筒ユニットへ送液し、実施例−1と、略
々同様にして15時間限外濾過を行なった。 この際の運転条件は、 送付圧力=4.6〜6.3kg/cm2G 送付液温=52.3℃〜54.0℃ であった。 通液を始めてから15時間後に、濾過膜より排出された濾
液中に溶存成分を分析したところ、当初に反応混合物中
に含まれていた蔗糖脂肪酸エステルの0.7%だけが濾液
中へ漏洩していた。また、最初反応混合物に含まれてい
た蔗糖の91.2%、触媒の中和により副生した酢酸カリウ
ムの92.6%が濾液中へ除去されていた。なお得られた濃
縮液の量は470kgであった(濾液量は2,400kg)。 この濃縮液470kgに、再び2,800kgの脱イオン水を加えて
再溶解させた。次いで、pHを7.3に調整し、液温50℃
で、同一の限外濾過膜に送液し、約13時間限外濾過を行
ない、400kgの濃縮液を得た(濾液量は2,870kg)。 本濃縮液の組成は、 蔗糖ステアリン酸エステル 8.25% 未反応蔗糖 0.08 未反応ステアリン酸メチルエステル 0.45 ステアリン酸ナトリウム 4.63 ステアリン酸 0.25水 86.34 計 100.0% であった。 上表の如く、蔗糖脂肪酸エステルは、略々全量回収され
ており、未反応糖は98%が除去されている。また、触媒
(K2CO3)の中和によって生成した酢酸カリウムの全量が
除去されていた。これに反し、未反応のステアリン酸メ
チルエステル、ステアリン酸ナトリウム及びステアリン
酸の三者は、殆ど全量濃縮液中に残留している。 上の濃縮液を、実施例−1と同様の条件で逆浸透膜で処
理し、噴霧乾燥塔で乾燥した結果、粉末状蔗糖ステアリ
ン酸エステルの製品が得られた。この粉末製品の水分は
1.56%、酸価は4.1であって、噴霧乾燥の前後で酸価に
変化はなく、かつ強度の着色その他、熱劣化を示すデー
タは得られなかった。更に、蔗糖脂肪酸エステル中のモ
ノエステル量にも全く変化はなく、エステル全体の52%
を占めていた。 比較例−1 実施例−1で得られた濃縮液5.0kgを、5Torrの真空下に
10容のニーダーにより90℃で混練しつつ加熱し、脱
水、乾燥を行なった。 130分経過後、ニーダー内の乾燥物の水分を測ったとこ
ろ、水分6.2%と高く、酸価も8.3であり、脱水乾燥の前
後で約2倍もの値となった。かつ、乾燥物は熱劣化の
為、色相が劣化し、カラメル化していた。なお蔗糖脂肪
酸エステル中のモノエステル量も61.3%に減少してい
た。 比較例−2 実施例−2で得られた濃縮液5.0kgを、5Torrの真空下
で、10容ニーダーにより95℃で混練しつつ加熱し、脱
水、乾燥させた。 130分経過後、ニーダー内の乾燥物の水分を計ったとこ
ろ、水分8.1%と高く、酸価も9.1に増加していた。か
つ、乾燥物は熱劣化の為、強度に着色していた。なお、
蔗糖脂肪酸エステル中のモノエステル量も43.3%に減少
していた。
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る粉末状蔗糖脂肪酸エス
テルの製造方法は、限外濾過法、逆浸透法及び噴霧乾燥
法を巧妙に組合わせることにより、有機溶媒を全く使用
せずに、経済的に高純度の蔗糖脂肪酸エステルを量産す
る技術を提供し得ものであって、産業状多大な価値を有
するものである。 以下、参考まで発明による利点を列挙しておく。 溶媒を使用することなく、安価な水の使用で蔗糖脂肪
酸エステルの精製が可能であること。 蔗糖脂肪酸エステルの乾燥を、常圧下で短時間内に行
なえるため、乾燥による製品の熱劣化が起こらないこ
と。 精製に際し有機溶媒を使用しないから、高価な防爆仕
様の電気装置が不要となること。 精製に際し有機溶媒を使用しないから、溶剤により爆
発、火災塔の懸念がないこと。 精製に際し有機溶媒を使用しないから、精製用溶媒が
製品中へ混入する恐れがないこと。 精製に際し有機溶媒を使用しないから、溶媒蒸気によ
る従業員への悪影響がないこと。 工業的規模のプラント化が、上記諸理由からで極めて
容易であること。 安全で低価格なプラント化が可能であること。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】未反応の蔗糖、未反応の脂肪酸メチルエス
    テル、触媒、石鹸、脂肪酸、揮発分等を含む蔗糖脂肪酸
    エステル含有反応混合物を、限外濾過膜に接触させて未
    反応の蔗糖、触媒から生成した塩及び揮発分の三者を水
    と共に該膜を透過させて分離し、残余の蔗糖脂肪酸エス
    テル、未反応の脂肪酸メチルエステル、石鹸及び脂肪酸
    の四者を含む水溶液を、逆浸透膜と接触させスラリー化
    した後、噴霧乾燥することを特徴とする粉末状蔗糖脂肪
    酸エステルの製造方法。
  2. 【請求項2】反応混合物の組成が、 未反応蔗糖=1〜80% 未反応脂肪酸メチルエステル=0.5〜10% 触媒(K2CO3として)=0.05〜7% 石鹸=2〜60% 脂肪酸=0.5〜10% 揮発分=0.0〜50% 蔗糖脂肪酸エステル=15〜95% なる請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】蔗糖脂肪酸エステル含有反応混合物の液性
    が、乳酸、酢酸、硫酸又は塩酸によりpH6.2〜8.2の範囲
    内に調整される請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】蔗糖脂肪酸エステル含有反応混合物の水溶
    液の温度が40℃〜60℃であり、これに対する加水量が、
    水/反応混合物=5〜40(重量比)となる量である請求
    項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】限外濾過膜が、ポリスルホン系又はポリ弗
    化ビニリデン系樹脂から構成され、かつその分画分子量
    が1,000〜100,000である請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】限外濾過時の圧力が、1〜20kg/cm2である
    請求項1又は5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】蔗糖脂肪酸エステル含有反応混合物中の揮
    発分の組成が、水又はジメチルスルホキシド若しくはジ
    メチルホルムアミドのうちのいづれかである請求項1又
    は2記載の製造方法。
  8. 【請求項8】脂肪酸メチルエステルを構成する脂肪酸残
    基の炭素数が8〜22、蔗糖脂肪酸エステルの軟化点又は
    融点が47℃以上であり、かつ、石鹸及び脂肪酸の脂肪酸
    残基が、前記脂肪酸メチルエステルを構成する脂肪酸残
    基と共通である請求項1又は2記載の製造方法。
  9. 【請求項9】逆浸透膜がポリエーテル系樹脂から構成さ
    れ、かつその分画分子量が60である請求項1記載の製造
    方法。
  10. 【請求項10】逆浸透時の圧力が、50〜65kg/cm2Gであ
    る請求項1又は9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】逆浸透膜と接触させ、さらに水溶液を蒸
    発濃縮してスラリー化する請求項1記載の製造方法。
  12. 【請求項12】蔗糖脂肪酸エステル、未反応の脂肪酸メ
    チルエステル、石鹸及び脂肪酸を含むスラリー中の固形
    分が、4〜40%である請求項1記載の製造方法。
  13. 【請求項13】噴霧乾燥時の送風空気の湿度と温度が、 である請求項1記載の製造方法。
  14. 【請求項14】製品粉末状蔗糖脂肪酸エステルの組成
    が、下記の範囲内に在る請求項1記載の製造方法。 水分=0.5〜5% 未反応脂肪酸メチルエステル=0.5〜10% 石鹸=0.5〜60% 脂肪酸=0.5〜10% 蔗糖脂肪酸エステル=98.0〜15.0%
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