JPH066633B2 - 平坦・易滑性ポリエステルフイルム - Google Patents

平坦・易滑性ポリエステルフイルム

Info

Publication number
JPH066633B2
JPH066633B2 JP62145364A JP14536487A JPH066633B2 JP H066633 B2 JPH066633 B2 JP H066633B2 JP 62145364 A JP62145364 A JP 62145364A JP 14536487 A JP14536487 A JP 14536487A JP H066633 B2 JPH066633 B2 JP H066633B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
coating
polyester
acid
polyester film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62145364A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63309533A (ja
Inventor
定美 三浦
玉樹 金井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP62145364A priority Critical patent/JPH066633B2/ja
Publication of JPS63309533A publication Critical patent/JPS63309533A/ja
Publication of JPH066633B2 publication Critical patent/JPH066633B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は平坦・易滑性ポリエステルフイルムに関し、更
に詳しくは多数の微小ひだと微小突起を有する塗膜をフ
イルム面上に形成させてなる平坦・易滑性ポリエステル
フイルムに関する。
従来技術 ポリエステルフイルム、特にポリエチレンテレフタレー
トの二軸延伸フイルムは、優れた機械的性質,耐熱性あ
るいは耐薬品性等を有するため、磁気テープ,強磁性薄
膜テープ,写真フイルム,包装用フイルム,コンデンサ
ー用メタライジングフイルム,電気絶縁フイルムあるい
は書写フイルム等の素材として用いられ、その需要の伸
びは最近特に著しい。
しかしながら、ポリエステルフイルムの生産および上記
の如き用途への適用を円滑に行うためには、ポリエステ
ルフイルムの滑り性を改善することが必至である。
すなわち、特に薄いポリエステルフイルムの場合にフイ
ルムの滑り性が不足すると、例えば捲取り,捲返し、塗
布あるいはスリット等の作業に重大な支障を及ぼし、例
えば捲き皺の発生、あるいは発生した静電気による塵埃
吸着などの好ましからず現象をもたらす。例えば、ポリ
エチレンテレフタレートの未延伸あるいは一軸延伸のフ
イルムを加圧成形あるいは真空成形に付して製造した種
々の成形物を重ね合せた場合、表面滑性が不足している
ときには成形物を相互に円滑に抜き取ることができず、
従って加工工程における流れ作業性が著しく低下する。
従来、ポリエステルフイルムの滑り性を改善する手段と
して、例えば酸化珪素,カオリン,タルク,炭酸カルシ
ウムあるいはアルミナ等の種々のフィラーの微小粒子を
添加したポリエステルを用いて製膜し、次いで二軸延伸
工程でフイルム厚みが減る際にフィラーがフイルム面に
微小突起として突出する現象を利用することが実用化さ
れている。同様に微小突起を利用する滑り性の改善技術
としては、ポリエステルの重合時に用いる触媒を重合体
に不溶性の粒子に返還させる方法も知られている。
これらの技術は、フイルムの滑り性を改善する点は事実
ある程度の成功をおさめているが、フイルム組成内に微
小粒子が存在するため当然のことながらフイルムの透明
度を低下させたり、あるいはフイルム組成内にボイドを
生成するなどの改善させるべき問題を残している。特
に、ジアゾフイルム、メタライジングフイルム,写真フ
イルムあるいは磁気テープフイルム等の素材としてのポ
リエステルフイルムにとって、フイルムの透明度の低下
およびボイドの生成は重大な障害となる。例えば、最近
とみに需要の伸びが著しいビテオ用磁気フイルムは、ド
ロップアウト(記憶損失)あるいはカラーノイズの如き
望ましくない現象の発生を防止するため、特に優れた電
磁特性を持つことを要求されている。このようなビデオ
用磁気テープのための素材としてのポリエステルフイル
ムに、それ故、フィラーに基づく微小突起がフイルムの
両面にほぼ等しく発生する上記の如きフイルムを用いる
ことはビデオ用磁気テープの滑り性を改善することには
なっても、ドロップアウトやカラーノイズを発生するこ
とが少なくなく、またボイドの生成による耐久性の低下
が認められ望ましくない。
すなわち、両表面に等しく微小突起を有するフイルムを
素材とした磁気テープは、磁気塗料を塗布した面では微
小突起の上に磁気塗料層が形成されるため、この微小突
起の影響が該磁気塗料層の外表面にまで及ぶことは少な
く比較的平坦な磁気塗料層表面を形成するが、磁気塗料
層を持たない他方の面には該微小突起が存在する。その
ため、巻取られた磁気テープにおいて、上記他方の面の
微小突起が比較的平坦な磁気塗料層に押し付けられるた
め、この微小突起の凹凸が磁気塗料層に転写されるのを
完全に防止することは不可能となる。微小突起を形成せ
しめる方法により得られたフイルムは、加えて、往々に
して、比較的粗大な粒子に基づく比較的粗大な突起を有
していることが多く、このような粗大な突起は上記の如
き転写をもたらすことになる。
磁気塗料層に凹凸を有する磁気テープはビデオハードの
ヘッドとの接触に際し、スペースロスを発生し、ドロッ
プアウト,カラーノイズをもたらす。
金属薄膜型磁気テープでは、かかる凹凸転写が更にシビ
アーとなり、超フラット性が要求される。
微小突起によるこのような欠点を改善するため、微小粒
子の粒径を一層小さくする工夫もなされているが、結局
転写と滑り性との妥協が必要とされる。
発明の目的 本発明の目的は、フイルムの少なくともいずれか一方の
表面上に、多数の微小ひだと微小突起を有する特定の組
織から成る塗膜を持つ、新規な平坦・易滑性ポリエステ
ルフイルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、本発明の好ましい平坦・易滑性ポ
リエステルフイルムとして、フイルムの片面上のみ多数
の微小ひだと微小突起を有する塗膜を持ち、フイルムの
他方の面上にはそのような塗膜を持たず、この他方の面
は実質的に平坦であるヂュアル構造の平坦・易滑性ポリ
エステルフイルムを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、種々の用途、例えば磁気テー
プ用等の用途に対して、障害となる程度の転写を起さな
いか、または実質的に起さない平坦・易滑性ポリエステ
ルフイルムを提供することにある。
発明の構成・効果 本発明のかかる目的は、本発明によれば、第一にポリエ
ステルフイルムの少なくとも片面に、(A)アクリル−ポ
リエステル系樹脂、(B)セルロース系樹脂,及び(C)平
均粒径0.15μm以下の粗面化物質を主成分とする組成物
による塗膜が形成され、かつ該塗膜の表面粗さが中心線
平均粗さ(Ra)で0.002〜0.01μmであることを特徴とす
る平坦・易滑性ポリエステルフイルムによって達成され
る。
本発明においてポリエステルとは、芳香族二塩基酸また
はそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエス
テル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステ
ルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエ
チレンテレフタレート,ポリエチレンイソフタレート,
ポリブチレンテレフタレート,ポリ(1,4−シクロヘキ
シレンジメチレンテレフタレート),ポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレート等が例示でき、これ
らの共重合体またはこれらと小割合の他樹脂とのブレン
ド物なども含まれる。
かかる線状飽和ポリエステル樹脂を熔融押出し、常法で
フイルム状となし、配向結晶化及び熱処理結晶化せしめ
たものが本発明におけるポリエステルフイルムである。
このポリエステルフイルムとしては、結晶融解熱として
走査型熱量計によって窒素気流中[10℃/分の昇温速度
において]で測定した地が通常4cal/g以上を呈する程
度に結晶配向したものが好ましい。
本発明において、ポリエステルフイルムの少なくとも片
面に形成している塗膜は、(A)アクリル−ポリエステル
系樹脂、(B)セルロース系樹脂,及び(C)平均粒径0.15
μm以下の粗面化物質を主成分とする組成物によって得
られる。この塗膜の表面粗さは中心線平均粗さ(Ra)で0.
002〜0.01μmの範囲にある。この優れた表面平坦性に
もかかわらず、本発明のフイルムは優れた滑り性を有す
る。
前記アクリル−ポリエステル系樹脂はアクリル変性ポリ
エステル系樹脂とポリエステル変性アクリル系樹脂とを
包含する意味で用いられ、アクリル系樹脂成分とポリエ
ステル系樹脂成分が何らかの方法で相互に結合したもの
であり、グラフトタイプ,ブロックタイプ等があげられ
る。例えば、ポリエステル系樹脂の両端にラジカル開始
剤を付加してアクリル系単量体の重合を行わせたり;ポ
リエステル系樹脂の側鎖にラジカル開始剤を付けてアク
リル系単量体の重合を行わせたり;アクリル系樹脂の側
鎖に水酸基を付け、末端にイソシアネート基やカルボキ
シル基を有するポリエステルと反応させてくし形ポリマ
ーをつくることができる。
このアクリル−ポリエステル系樹脂を構成するアクリル
系樹脂成分は、例えばアクリル酸エステル(アルコール
残基としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,
イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,t−ブ
チル基,2−エチルヘキシル基,シクロヘキシル基,フ
ェニル基,ベンジル基,フェニルエチル基等を例示でき
る);メタクリル酸エステル(アルコール残基は上記と
同じ。);2−ヒドロキシエチルアリレート,2−ヒド
ロキシエルチメタクリレート,2−ヒドロキシプロピル
アクリレート,2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
等の如きヒドロキシ含有モノマー;アクリルアミド,メ
タクリルアミド,N−メチルメタクリルアミド,N−メ
チルアクリルアミド,N−メチロールアクリルアミド,
N−メチロールメタクリルアミド,N,N−ジメチロー
ルアクリルアミド,N−メトキシメチルアクリルアミ
ド,N−メトキシメチルメタクリルアミド,N−フェニ
ルアクリルアミド等の如きアミド基含有モノマー;N,
N−ジエチルアミノエチルアクリレート,N,N−ジエ
チルアミノエチルメタクリレート等の如きアミノ基含有
モノマー;グリシジルアクリレート,グリシジルメタク
リレート,アリルグリシジルエーテル等の如きエポキシ
基含有モノマー;スチレンスルホン酸,ビニルスルホン
酸、およびそれらの塩(例えばナトリウム塩,カリウム
塩,アンモニウム塩等)等の如きスルホン酸基またはそ
の塩を含有するモノマー;クロトン酸,イタコン酸,ア
クリル酸,マレイン酸,フマール酸,及びそれらの塩
(例えばナトリウム塩,カリウム塩,アンモニウム塩
等)等の如きカルボキシル基またはその塩を有するモノ
マー;無水マレイン酸,無水イタコン酸等の酸無水物を
含有するモノマー;その他、ビニルイソシアネート,ア
リルイソシアネート,スチレン,ビニルメチルエーテ
ル,ビニルエチルエーテル,ビニルトリスアルコキシシ
ラン,アルキルマレイン酸モノエステル,アルキルフマ
ール酸モノエステル,アクリロニトリル,メタクリロニ
トリル,アルキルイタコン酸モノエステル,塩化ビニリ
デン,酢酸ビニル,塩化ビニル等の単量体の組合せから
つくられたものであるが、アクリル酸誘導体,メタクリ
ル酸誘導体等の如き(メタ)アクリル系単量体の成分が
50モル%以上含まれているものが好ましく、特にメタク
リル酸メチルの成分を含有しているものが好ましい。
かかるアクリル系樹脂成分は分子内の官能基で自己架橋
することができるし、メラミン樹脂やエポキシ化合物等
の架橋剤を用いて架橋することもできる。
また、前記ポリエステル系樹脂成分を構成する酸成分と
してはテレフタル酸,イソフタル酸,フタル酸,1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸,2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸,アジピン酸,
セバシン酸,ドデカンジカルボン酸,コハク酸,5−Na
スルホイソフタル酸,2−Kスルホテレフタル酸,トリ
メリット酸,トリメシン酸,無水トリメリット酸,無水
フタル酸,p−ヒドロキシ安息香酸,トリメリット酸モ
ノカリウム塩等の多価カルボン酸を例示しうる。また、
ヒドロキシ化合物成分としてはエチレングリコール,プ
ロピレングリコール,1,3−プロパンジオール,1,4−ブ
タンジオール,1,6−ヘキサンジオール,ネオペンチル
グリコール,1,4−シクロヘキサジメタノール,p−キ
シリレングリコール,ビスフェノールA−エチレンオキ
シド付加物,ジエチレングリコール,トリエチレングリ
コール,ポリエチレンオキシドグリコール,ポリテトラ
メチレンオキシドグリコール,ジメチロールプロピオン
酸,グリセリン,トリメチロールプロパン,ジメチロー
ルエチルスルホン酸ナトリウム,ジメチロールプロピオ
ン酸カリウム,等の多価ヒドロキシ化合物を例示しう
る。これらの化合物から、常法によってポリエステル系
樹脂をつくることができる。水性塗布液をつくる場合に
は、5−Naスルホイソフタル酸成分又はカルボン酸塩基
を含有するポリエステル系樹脂を用いるのが好ましい。
かかるポリエステル系樹脂成分は分子内に官能基を有す
る自己架橋型とすることができるし、メラミン樹脂,エ
ポキシ樹脂のような硬化剤を用いて架橋することもでき
る。
さらに、前記セルロース系樹脂としては、エチルセルロ
ース,メチルセルロース,アセチルセルロース,アセト
アセチルセルロース,ニトロセルロース,カルボキシル
化セルロース,カルボキシメチルセルロース,セルロー
スアセテートブチレート,等を例示しうる。このセルロ
ース系樹脂を用いることで、塗膜に多数の微小ひだを形
成することができる。
さらに、前記粗面化物質としては、例えばポリスチレ
ン,ポリメチルメタクリレート,メチルメタクリレート
共重合体,メチルメタクリレート共重合体架橋体,ポリ
テトラフルオロエチレン,ポリビニリデンフルオライ
ド,ポリアクリロニトリル,ベンゾグアナミン樹脂等の
如き有機質微粉末、またはシリカ,アルミナ,二酸化チ
タン,カオリン,タルク,グラファイト,炭酸カルシウ
ム,長石,二硫化モリブデン,カーボンブラック,硫酸
バリウム等の如き無機質微粉末等が挙げられ、これらは
乳化剤等を用いて水性分散液としたものであってもよ
く、また、微粉末状で水性液に添加できるものであって
もよい。
この粗面化物質は平均粒径0.15μm以下の微粒子であ
り、好ましくは0.01〜0.1μmである。また、これらの
水不溶性の固体物質は水分散液中で沈降するのを避ける
ため、比重が3を超えない超微粒子を選ぶことが好まし
い。
かかる粗面化物質は、塗膜自体の微小突起の均一形成を
促進する作用と微粉末自体による塗膜の補強作用とを奏
し、更には樹脂(A)の塗膜への耐ブロッキング性,摩擦
力の低減性等への作用及び両者の相乗作用による塗膜へ
の耐スクラッチ性向上とあいまってポリエステルフイル
ムに優れた滑り性を賦与する。
本発明において、塗膜形成の主成分、すなわち成分
(A),成分(B)及び成分(C)の配合割合は自由に選択し
うるが、全固形分当り、成分(A)が30〜80重量%、成分
(B)が1〜50重量%,成分(C)が5〜40重量%であるこ
とが好ましい。成分(A)が少なすぎると塗膜のベース
(ポリエステルフイルム)への密着性が低下し、一方多
すぎると耐ブロッキング性や滑り性が低下する。成分
(B)が少なすぎると塗膜のひだ凹凸が減って加工性が低
下し、一方多すぎると表面が粗れすぎる。成分(C)が少
なすぎると易滑性が低下し、一方多すぎると粒子が塗膜
から脱落しやすくなる。
これら成分の混合は特に制限はないが、好ましくは水分
散液の状態として混合を行ってもよく、成分(A)若しく
は成分(B),又は成分(A)及び成分(B)の混合物の水分
散液の中に粉末状粗面化物質(C)を、要すれば乳化剤を
添加し、撹拌分散してもよい。
本発明における塗膜は、ポリエステルフイルム製造過程
で塗布液を塗布することで形成するのが好ましい。例え
ば、配向結晶化の過程が完了する前のポリエステルフイ
ルムの表面に水性塗布液を塗布するのが好ましい。
ここで、結晶配向が完了する前のポリエステルフイルム
とは、該ポリマーを熱溶融してそのままフイルム状とな
した未延伸状フイルム:未延伸フイルムをタテ方向また
はヨコ方向の何れか一方に配向せしめた一軸延伸フイル
ム:さらにはタテ方向およびヨコ方向の二方向に低倍率
延伸配向せしめたもの(最終的にタテ方向またはヨコ方
向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸
延伸フイルム)等を含むものである。
本発明のフイルムは、好ましくは結晶配向が完了する前
の未延伸或いは少なくとも一軸方向に延伸された状態の
フイルムに上記組成物の塗布液を適用し、そのままタテ
延伸及び/又はヨコ延伸と熱固定とを施す所謂インライ
ンコーティング方式で製造する。その際、配向結晶化の
過程が完了する前のポリエステルフイルムの表面に塗膜
を円滑に塗設できるようにするために、予備処理として
フイルム表面にコロナ放電処理を施すか、または被覆組
成物とともにこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用
することが好ましい。かかる界面活性剤は組成物水性液
の表面張力を40dyne/cm以下に降下できるようなポリエ
ステルフイルムへの濡れを促進するものであり、例え
ば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,ポ
リオキシエチレン−脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸
エステル,グリセリン脂肪酸エステル,脂肪酸金属石
鹸,アルキル硫酸塩,アルキルスルホン酸塩,アルキル
スルホコハク酸塩等のアニオン型,ノニオン型界面活性
剤等を挙げることができる。更に、本発明の効果を消失
させない範囲において、例えば帯電防止剤,紫外線吸収
剤,潤滑剤等の他の添加剤を混合することができる。
本発明において、塗布液殊に水性塗布液の固形分濃度
は、通常30重量%以下であり、15重量%以下が好まし
い。粘度は100cps以下、好ましくは20cps以下が適当で
ある。塗布量は走行しているフイルム1m2当り約0.5〜2
0g、更には1〜10gが好ましい。換言すれば、最終的に
得られる二軸延伸フイルムにおいて、フイルムの一表面
に1m2当り約0.001〜1g、更には約0.01〜0.3gの固形分
が好ましい。
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。
例えばロールコート法,グラビアコート法,ロールブラ
ッシュ法,スプレーコート,エアーナイフコート,含浸
法およびカーテンコート法などを単独または組合せて適
用するとよい。
本発明における好ましい製造法によれば、上記水性液
は、好ましくは縦一軸延伸が施された直後のフイルムに
塗布され、次いで、横延伸および熱固定のためのテンタ
ーに導かれる。その際、塗布物は未固化の塗膜の状態で
フイルムの延伸に伴ってその面積が拡大されかつ加熱さ
れて水を揮散し、二軸延伸されたフイルム表面上で多数
の微小ひだと微小突起を有する薄い固体塗膜層に変換さ
れ、二軸延伸されたフイルム表面に強固に固着される。
本発明によれば、上記水性液は基材の延伸工程および熱
処理工程によって、上記の如く、多数の微小ひだと微小
突起を有する固体塗膜に変換される。
この加熱は、好ましくは約100〜約240℃の温度で約1〜
約20秒間行われる。
ポリエステルフイルムの配向結晶化条件、例えば延伸,
熱固定等の条件は、従来から当業界に蓄積された条件で
行うことができる。
本発明においては、塗膜はポリエステルフイルムの片面
または両面に形成され得るが、例えば片面のみに塗膜を
形成して得られた本発明の平坦・易滑性の二軸延伸ポリ
エステルフイルムは、一方の面が多数の微小ひだと微小
突起を有し、他方の面が平坦であるデュアルサーフェス
構造を有し、磁気テープ用素材として特に好適に使用で
きる。
本発明の平坦・易滑性二軸延伸ポリエステルフイルム
は、後に実施例において具体的なデータを用いて説明す
るとおり、極めて平坦で、優れた滑り性を有しており、
優れた平坦性が要求される種々の分野に、特に磁気テー
プ(金属薄膜型及び磁気塗料塗布型)の素材として、好
適に用いられる。
本明細書における種々の値は下記のとおりにして測定さ
れ、かつ定義される。
1. 表面粗さ測定 Ra(Center Line Average中心線平均粗さ) JTS B0601に準じ、(株)小坂研究所製の高精度表面粗
さ計SE-3FATを使用して、針の半径2μm,荷重30mgで
拡大倍率20万倍,カットオフ0.08mmの条件下にチャート
をかかせ、フイルム表面粗さ曲線からその中心線の方向
に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中
心線をX軸,縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線をY
=(x)で表わした時、次の式で与えられた値をμm単
位で表わす。
この測定は基準長を1.25mmとして4個測定し、平均値で
表わす。
2. フイルム摩擦係数(フイルムスリッパリー) ASTM D1894-63に準じ、東洋テスター社製のスリッパリ
ー測定器を使用し、塗設面とポリエチレンテレフタレー
トフイルム(非塗設面)との静摩擦係数(μs)を測定
する。但し、スレッド板はガラス板とし、荷重は1kgと
する。
フイルムスリッパリーは次の基準で判定する。
○:良好なもの(μs0.6未満) △:やや不良なもの(μs0.6〜0.8) ×:不良なもの(μs0.8以上) 3. ハンドリング性(易滑面の耐久性) 添付図はフイルム走行性を評価するための動摩擦係数μ
kを測定する模式図である(使用装置,日本自動制御
(株)製NJS101型)。図面において、1は繰出しリー
ル,2はテンションコントローラー,3,5,6,8,9,11はフ
リーロール,4はテンション検出機(入口),7はクロ
ムメッキ固定ピン(5mmφ),10はテンション検出機
(出口),12はガイドローラ,13は捲取りリールを夫々
示す。
図に示す如く、20℃,60%PH雰囲気下で、易滑化をはか
った処理面が外径5mmの固定ピンに角度θ=(152/180)
πラジアン152゜)で接触させ、毎秒3.3cmの速さで移動,
摩擦させる。入口テンション(T1)が30gとなるようテ
ンションコントローラー2を調整し、10m走行させ巻き
戻し、再び走行を繰り返す。この往復を1回とする。
(1)削れ性 30回繰り返し走行後の固定ピン上に堆積する物質がある
か、ないかを観察し、下記水準で評価する。
○:堆積物が殆んど認められないもの △:若干付着の形跡のあるもの ×:多いもの (2)耐スクラッチ性 30回繰り返し走行後のフイルム表面の摩耗状態(スクラ
ッチの発生度合)を観察し、下記水準で評価する。
○:スクラッチが殆んど認められないもの ×:かなり発生しているもの 実施例 以下、実施例をあげて本発明を更に説明する。尚、例中
の「部」は「重量部」を意味する。
比較例1 35℃のオルソクロロフェノール中で測定した固有粘度0.
65の、無機質フィラーを全く含まないポリエチレンテレ
フタレートをエクストルーダーで口金から押出し、これ
を40℃に冷却したドラム上で静電印加を行いながら厚さ
152μmの押し出しフイルムとし、続いてこれを93℃に
加熱した金属ロール上で長手方向に3.6倍に延伸した。
次いで、テンター内に導き98℃の予熱ゾーンを通過せし
め、105℃で横方向3.9倍に延伸し、更に225℃で6.3秒間
熱固定を行い、結晶配向を完結させたあとエッジをスリ
ットしながら捲取テンション9.8kgの条件において500mm
幅で捲取りを行った。最終的にフイルムは平均12.1μm
の厚さを有していた。
フイルム間相互の滑りが悪いためフイルムロールに雛が
発生した。一度この雛が発生すると、それが次々と表層
部へ伝播集中して、ロール端部の一方側は固く、中央部
が柔くなるといった到底商品形態をなさない捲姿となっ
た。
別に捲取テンションを極度におとし4.66kgで捲取った
が、端部が不揃いとなる以外に捲雛もみられ、完全なも
のが得られなかった。このフイルムを1/2インチ巾にマ
イクロスリットしようと試みたが、不可能であった。
得られた結果を第1表に示す。
実施例1 アクリル−ポリエステル系樹脂水分散体「ペスレジンS
H−9」(高松油脂(株)製)57部,メチルセルロース
21部,平均粒径0.03μの酸化珪素水分散体11部及びポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル「NS208.5」1
1部をイオン交換水で希釈溶解し、固形分濃度4重量%
の塗布液を調製した。
比較例1と同じ二軸延伸フイルムの製法において、タテ
延伸が終了した一軸延伸フイルムがテンターに入る直前
の位置で、このフイルムの片面上に、上記の塗布液をキ
スコート法にて均一に塗布した。このときの平均塗布量
は上記一軸延伸フイルム1m2当り、約4gウエット量で
あった(この量は、下記の二軸延伸フイルムでは1m2
り、約0.02gに相当する)。片面塗布を施した一軸延伸
フイルムをテンター内に導き98℃の予熱ゾーンを通過せ
しめ、105℃で横方向に3.9倍に延伸し、更に225℃で6.3
秒間熱固定した(塗布液を塗布されたフイルムが加熱を
受けた時間は合計で11秒間に相当する)。
かくして、二軸延伸されたフイルムは9.8kgのテンショ
ンで雛の発生もなくして捲取ることができた。このフイ
ルムを半インチ巾にマイクロスリットし、500m捲きの
テープ52本を製造した。この間、フイルムのスリット化
は何らのトラブルもなく良好に行われた。
上記フイルムの表面特性,ハンドリング性等を第1表に
示す。
なお、処理面をアルミニウム蒸着し、微分干渉顕微鏡で
400倍に拡大して観察したところ、多数の微小ひだとそ
の上に微小突起が形成されていることが確認できた。
比較例1で得られたフイルム(塗布液を塗布されていな
い)と比較すれば明らかな通り、このフイルムは特に磁
気テープ用のベースフイルムとして極めて優れた基本特
性を有する。
実施例2 実施例1において「ペスレジンSH−9」57部の代りに
アクリル−ポリエステル系樹脂水分散体「ペスレジンS
H−416」(高松油脂(株)製)を用いること以外は実
施例1と全く同様にして得たフイルムの特性を第1表に
示す。
実施例3 実施例2で得られた平坦・易滑化二軸配向ポリエステル
フイルムの非処理面側に、下記に示す磁性塗料をグラビ
アロールにより塗布し、ドクターナイフにより磁性塗料
層をスムージングし、磁性塗料の未だ乾かぬ間に常法に
より磁気配向させ、しかる後オーブンに導いて乾燥キュ
アリングした。更にカレンダー加工して塗布表面を均一
にし、約4μmの磁性層を形成した1/2インチ巾のテー
プを作成した。尚、上記各加工・工程中何らトラブルも
なく且つ易滑化処理面の耐久性(削れ性,耐スクラッチ
性)を良好であった。
磁性塗料の組成 針状Fe粒子 100部 (平均長径0.4μ;比表面積約40m2/g) エスレックA 10部 (積水化学製;塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体) ニッポラン2304 10部 (日本ポリウレタン製;ポリウレタンエラストマー) コロネートL 5部 (日本ポリウレタン製;ポリイソシアネート) レシチン 2部 添加剤(潤滑剤,シリコン樹脂) 1部 MEK(メチルエチルケトン) 75部 MIBK(メチルイソブチルケトン) 75部 トルエン 75部 実施例4 実施例1で調製した塗布液と全く同一の塗布液を用い、
同一のポリエチレンテレフタレート原料にて二軸配向ポ
リエステルフイルムのフイルム厚みを75μmに変更した
以外は実施例2と同様にして二軸延伸フイルムを製造し
たところ、良好に捲取ることができ、スリット化にも何
のトラブルも発生しなかった。更にフイルムスリッパリ
ーμsも良好であった。
JIS K6714に準じて、日本精密化学社製積分球式HTRメー
ターにより曇り度を測定した所、0.3%〜0.5%と非コー
トのポリエステルフイルムと殆んど同じ値であり、高透
明易滑性の分野にも使用可能である。
このフイルム特性を第1表に示す。
以上の結果から、本発明のポリエステルフイルムは優れ
た平坦性と易滑性を有していることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
図はフイルム走行性を評価するための動摩擦係数(μ
k)を測定する模式図である。 1:繰出しリール,2:テンションコントローラー,3,
5,6,8,9,11:フリーロール,4:テンション検出機(入
口),7:固定ピン,10:テンション検出機(出口),
12:ガイドローラ,13:捲取りリール。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルフイルムの少なくとも片面
    に、(A)アクリル−ポリエステル系樹脂、(B)セルロー
    ス系樹脂及び(C)平均粒径0.15μm以下の粗面化物質を
    主成分とする組成物による塗膜が形成され、かつ該塗膜
    の表面粗さが中心線平均粗さで0.002〜0.01μmである
    ことを特徴とする平坦・易滑性ポリエステルフイルム。
JP62145364A 1987-06-12 1987-06-12 平坦・易滑性ポリエステルフイルム Expired - Lifetime JPH066633B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62145364A JPH066633B2 (ja) 1987-06-12 1987-06-12 平坦・易滑性ポリエステルフイルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62145364A JPH066633B2 (ja) 1987-06-12 1987-06-12 平坦・易滑性ポリエステルフイルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63309533A JPS63309533A (ja) 1988-12-16
JPH066633B2 true JPH066633B2 (ja) 1994-01-26

Family

ID=15383498

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62145364A Expired - Lifetime JPH066633B2 (ja) 1987-06-12 1987-06-12 平坦・易滑性ポリエステルフイルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH066633B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2662031B2 (ja) * 1989-06-15 1997-10-08 帝人株式会社 ポリエステルフイルム
WO1992005942A1 (en) * 1990-10-08 1992-04-16 Teijin Limited Polyester film for magnetic recording media
JP3055278B2 (ja) * 1991-12-27 2000-06-26 三菱化学ポリエステルフィルム株式会社 二軸配向積層ポリエステルフィルム
NL9301559A (nl) * 1993-09-09 1995-04-03 Gen Electric Kunststofplaat met geleidend roet bevattende deklaag.
KR100525832B1 (ko) * 2002-12-30 2005-11-03 주식회사 디피아이 아크릴 변성 폴리에스테르 수지 및 그 제조 방법
JP4682955B2 (ja) * 2006-08-08 2011-05-11 Jsr株式会社 光導波路の製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6063162A (ja) * 1983-09-16 1985-04-11 ダイアホイルヘキスト株式会社 ポリエステルフイルム

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63309533A (ja) 1988-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5328745A (en) Polyester films for magnetic recording medium
JP2777003B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム及びその製造方法
US5306538A (en) Magnetic recording medium having a resin coated biaxially oriented polyester substrate
JPS6027539A (ja) 易滑性ポリエステルフイルム
JPH066633B2 (ja) 平坦・易滑性ポリエステルフイルム
JP2746786B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP3215136B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP2954792B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JPS6356068B2 (ja)
JP2525480B2 (ja) 帯電防止性ポリエステルフイルム
JP3295125B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP3522777B2 (ja) ポリエステルフイルム及びその製造方法
JP3215152B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JPS63194948A (ja) 平担・易滑性ポリエステルフイルム及びその製造方法
JP2859467B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP2543621B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP3181757B2 (ja) 積層ポリエステルフイルム
JPH07119099B2 (ja) 磁気記録媒体用ベースフイルム
JPH1134266A (ja) 易接着性ポリエステルフィルム及び積層フィルム
JPH069809A (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JPH0364540B2 (ja)
JP2001233978A (ja) ポリエステルフイルム及びその製造方法
JP2965814B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP2003132524A (ja) 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム
JP3222370B2 (ja) 金属薄膜磁気記録媒体用ポリエステルフイルム

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080126

Year of fee payment: 14