JP2003132524A - 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム

Info

Publication number
JP2003132524A
JP2003132524A JP2001324783A JP2001324783A JP2003132524A JP 2003132524 A JP2003132524 A JP 2003132524A JP 2001324783 A JP2001324783 A JP 2001324783A JP 2001324783 A JP2001324783 A JP 2001324783A JP 2003132524 A JP2003132524 A JP 2003132524A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
recording medium
magnetic recording
polyester film
biaxially oriented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001324783A
Other languages
English (en)
Inventor
Ieyasu Kobayashi
家康 小林
Hirobumi Murooka
博文 室岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Film Solutions Ltd
Original Assignee
Teijin DuPont Films Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin DuPont Films Japan Ltd filed Critical Teijin DuPont Films Japan Ltd
Priority to JP2001324783A priority Critical patent/JP2003132524A/ja
Publication of JP2003132524A publication Critical patent/JP2003132524A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 走行性、電磁変換特性、保存耐久性等に優れ
た磁気記録媒体、特に長時間記録に適する金属薄膜磁気
記録媒体の製造に有用な二軸配向ポリエステルフィルム
を提供する。 【解決手段】 (1)実質的に不活性粒子を含有しない
ポリエステルフィルムの片面に、平均粒径が0.005
〜0.1μmの微粒子を含有する連続薄膜よりなる磁性
層用プライマーが塗設してあり、(2)該磁性層用プラ
イマー塗設後の表面粗さWRaが0.1〜5nmであ
り、(3)フィルムの幅方向の温度膨張係数αtが+1
5×10-6〜−10×10-6/℃で、湿度膨張係数αh
が+15×10-6〜+5×10-6/%RHであり、かつ
(αt+2αh)の値が45×10-6以下であり、(4)
フィルムの縦方向に22MPaの荷重をかけ、49℃、
90%RHで72時間処理したときの処理前後の幅方向
寸法変化が0.35%以下であり、かつ(5)フィルム
の厚みが2〜7μmであることを特徴とする磁気記録媒
体用二軸配向ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体用二軸
配向ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは走行
性、電磁変換特性、寸法安定性等に優れた磁気記録媒
体、特に長時間記録が可能なリニア記録方式の磁気記録
媒体の製造に有用な二軸配向ポリエステルフィルムに関
する。
【0002】
【従来の技術】高密度磁気記録媒体として、非磁性フィ
ルム支持体上に強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパッタリ
ングの如き物理沈着法あるいはメッキ法によって形成し
た強磁性金属薄膜磁気記録媒体が知られている。例え
ば、Coを蒸着した磁気テープ(特開昭54―1470
10号)、Co―Cr合金を用いた垂直磁気記録媒体
(特開昭52―134706号)等が知られている。こ
のような蒸着、スパッタ又はイオンプレーティング等の
薄膜形成手段によって形成される金属薄膜は膜厚が薄い
ことから、従来の塗布型磁気記録媒体(非磁性フィルム
支持体上に、磁性体粉末を有機高分子バインダーに混入
させた磁性塗料を塗布してなる磁気記録媒体)に比べ、
優れた電磁変換特性を有している。
【0003】しかしながら、金属薄膜型の磁気記録媒体
においては、非磁性フィルム支持体表面に形成される金
属薄膜層の厚さが薄く、該フィルム支持体の表面状態
(表面凹凸)がそのまま磁気記録層表面の凹凸として発
現し、電磁変換特性を悪化させるため、非磁性フィルム
支持体の表面性はできるだけ平坦であることが好まし
い。一方、フィルム支持体の巻取り、巻出しといったハ
ンドリングの観点からは、フィルム表面が平坦である
と、フィルム相互の滑り性が悪くなるため、表面は粗で
あることが要求される。このように、非磁性フィルム支
持体の表面は、電磁変換特性という観点からは平坦であ
ることが要求され、一方ハンドリング性の観点からは粗
面であることが要求される。そこで、これら両者の二律
背反する性質を同時に満足することが必要となる。
【0004】一方、QIC、DLT、更に高容量のスー
パーDLT、LTO等、リニアトラック方式を採用する
データストレージ用途では、テープの高容量化を実現す
るために、トラックピッチを非常に狭くしており、テー
プ幅方向の寸法変化によって、トラックずれを引き起こ
し、エラーが発生するという問題をかかえている。
【0005】この寸法変化は、温湿度変化によるもの
と、高張力下で高温高湿の状態で繰り返し走行させたと
きに生じる幅方向の経時収縮によるものとがある。この
寸法変化が大きいと、トラックずれを引き起こし、電磁
変換時のエラーが発生する。特に、後者の場合、記録の
高容量化に伴ってテープ厚みを薄くすることにより顕著
となり、この寸法変化の改善が新たな課題となってい
る。この幅方向の経時収縮は、フィルム支持体の縦方向
ヤング率を大きくすることで良化できるが、他方ではポ
リマー特性と製膜性の点から、縦方向のヤング率を大き
くすればする程、横方向のヤング率の上限は小さくな
り、結果として、前者の温湿度変化による寸法変化が大
きくなり、両者を両立させることが難しい状況にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る問題を解消し、特に金属薄膜型リニアトラック方式の
大容量デジタルデータストレージ用途において、テープ
幅の寸法変化によるトラックずれによるエラーが発生し
難く、平坦易滑で出力特性を向上させると共に走行性を
確保した磁気記録媒体のベースフィルムとして有用な二
軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、(1)実質的に不活性粒子を含有しないポリ
エステルフィルムの片面に、平均粒径が0.005〜
0.1μmの微粒子を含有する連続薄膜よりなる磁性層
用プライマーが塗設してあり、(2)該磁性層用プライ
マー塗設後の表面粗さWRaが0.1〜5nmであり、
(3)フィルムの幅方向の温度膨張係数αtが+15×
10-6〜−10×10-6/℃で、湿度膨張係数αhが+
15×10-6〜+5×10-6/%RHであり、かつ(α
t+2αh)の値が45×10-6以下であり、(4)フィ
ルムの縦方向に22MPaの荷重をかけ、49℃、90
%RHで72時間処理したときの処理前後の幅方向寸法
変化が0.35%以下であり、かつ(5)フィルムの厚
みが2〜7μmであることを特徴とする磁気記録媒体用
二軸配向ポリエステルフィルムによって達成される。
【0008】本発明は、実施態様として、ポリエステル
フィルム(単層フィルム)の他の表面に易滑面を形成す
る連続皮膜が塗設してあり、該連続皮膜がセルロース系
樹脂及び平均粒径0.01〜0.10μmの微粒子を含
み、この表面粗さWRaが0.5〜5nmであること、
ポリエステルフィルムが、実質的に不活性粒子を含有し
ないポリエステルフィルム層Aの片面に平均粒径0.0
1〜0.8μmの不活性粒子を含有するポリエステルフ
ィルム層Bを積層した積層フィルムであること、ポリエ
ステルフィルムが片面の磁性層プライマー塗設後の表面
粗さWRaが0.1〜5nmであり、他の面(非磁性層
側)の表面粗さRaが1〜20nmである積層フィルム
であること、ポリエステルフィルム(積層フィルム)の
他の表面に易滑面を形成する連続皮膜が塗設してあり、
該連続皮膜がセルロース系樹脂及び平均粒径0.01〜
0.10μmの微粒子を含み、この表面粗さWRaが1
〜20nmであること、フィルムの縦方向のヤング率が
横方向のヤング率より大きいこと、塗膜を形成する微粒
子の結合剤がアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びアク
リル―ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種の
樹脂であること、ポリエステルフィルムがポリエチレン
−2,6−ナフタレートフィルムであること、ディジタ
ル記録方式の磁気記録媒体用であること、リニア記録方
式の磁気記録媒体用であること、強磁性金属薄膜型磁気
記録媒体用であること等を含む。
【0009】[ポリエステル]本発明における二軸配向
フィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸又
はそのエステル形成性誘導体(例えば、低級アルキルエ
ステル)とジオール又はそのエステル形成性誘導体(例
えば、無水物、低級脂肪酸エステル等)とから合成され
る線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの
好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレン
テレフタレート、ポリ(1,4―シクロヘキシレンジメ
チレンテレフタレート)、ポリエチレン―2,6―ナフ
タレート等を挙げることができ、これらの共重合体又は
これらと小割合の他樹脂とのブレンド物なども含まれ
る。これらの中で薄膜化した場合のヤング率が高いこ
と、温度上昇したときの寸法安定性や強度保持率の高い
ことから、ポリエチレン―2,6―ナフタレートおよび
その共重合体(共重合割合が10モル%以下)が特に好
ましい。共重合成分は特定されないが、例えばイソフタ
ル酸、アジピン酸、4,4’―ジフェニルジカルボン
酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプ
ロピレンオキサイド付加物などが好ましい。
【0010】前記ポリエステルは、それ自体公知であ
り、かつそれ自体公知の方法で製造することができる。
例えば、ポリエチレン―2,6―ナフタレートは、2,
6―ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとを
エステル化反応させ、または2,6―ナフタレンジカル
ボン酸ジメチルエステルとエチレングリコールとをエス
テル交換反応させ、次いで反応生成物を重縮合反応させ
る方法で製造することができる。その際、公知の触媒を
用いることができるが、フィルム特性の点から重縮合反
応の触媒として有機チタン化合物を用いることが好まし
い。
【0011】この有機チタン化合物としては、例えば特
開昭63―278927号公報に記載されているものを
挙げることができる。更に説明すると、チタンのアルコ
ラートや有機酸塩、テトラアルキルチタネートと芳香族
多価カルボン酸又はその無水物との反応物等を例示でき
る。好ましい具体例としては、チタンテトラブトキシ
ド、チタンイソプロポキシド、蓚酸チタン、酢酸チタ
ン、安息香酸チタン、トリメリット酸チタン、テトラブ
チルチタネートと無水トリメリット酸との反応物等を挙
げることができる。有機チタン化合物の使用量は、チタ
ン原子がポリエステルを構成する酸成分に対し、3〜1
2ミリグラム原子%となる割合が好ましい。
【0012】また、ポリエステル中には、本発明の目的
を損なわない範囲で、当業界でよく知られた粗面化微粒
子、例えば炭酸カルシウム、カオリナイト、二酸化チタ
ン、シリカ、アルミナ等や他の添加剤を含有させること
ができる。この微粒子の平均粒径は0.05〜0.8μ
m、更には0.1〜0.6μm、特に0.1〜0.4μ
mであることが好ましく、また添加量は0.5重量%以
下、更には0.001〜0.4重量%、特に0.01〜
0.3重量%であることが好ましい。ただし、易滑面を
形成する連続薄膜を塗設する場合は添加しなくてもよ
い。また、微粒子は単成分系でも多成分系でも良いが、
特に積層フィルムの非磁性層側のポリマーには、テープ
の電磁変換特性とフィルムの巻取り性の両立から、2成
分系あるいはそれ以上の多成分系の微粒子を含有させる
ことが好ましい。微粒子の平均粒径が0.8μmを超え
るか、添加量が0.5重量%を超えると、電磁変換特性
が低下する。
【0013】前記ポリエステルは、ο−クロロフェノー
ル中の溶液として35℃で測定して求めた固有粘度が
0.4〜0.9、さらには0.5〜0.75、特に0.
51〜0.70のものが好ましい。
【0014】[磁性層用プライマー]本発明における二
軸配向ポリエステルフィルムは単層フィルムでも積層フ
ィルムでもよい。そして、これらフィルムの一方の表面
(ただし、積層フィルムの場合は平滑な表面)に磁性層
用プライマーとして連続薄膜を塗設している。そして、
この薄膜(塗膜)の上に磁性層、特に強磁性金属薄膜層
を形成することになる。この連続薄膜には、平均粒径が
0.005〜0.10μm、好ましくは0.01〜0.
05μm、さらに好ましくは0.015〜0.03μm
の微粒子が含有されている必要がある。
【0015】さらに、このフィルムを160℃で5分間
空気中において連続加熱したときにポリエステルフィル
ム表面上のポリエステルオリゴマー微結晶の析出率が、
好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.75%以
下、特に好ましくは0.6%以下に抑制できる連続薄膜
を塗設することが望ましい。
【0016】前記連続薄膜の形成に用いられる微粒子と
しては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メ
チルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共
重合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリ
デンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ベンゾグア
ナミン樹脂等の如き有機質微粒子、シリカ、アルミナ、
二酸化チタン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸
カルシウム、長石、二硫化モリブデン、カーボンブラッ
ク、硫酸バリウム等の如き無機質微粒子のいずれを用い
てもよい。これらは乳化剤等を用いて水性分散液とした
ものであってもよく、また微粉末状で水性塗液に添加
し、均一に分散できるものであってもよい。
【0017】また、前記微粒子を結合させる樹脂(結合
剤)としては、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹
脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル―酢酸ビニル共重合樹
脂、アクリル樹脂、アクリル―ポリエステル樹脂等を例
示することができる。これら樹脂は単一重合体でも共重
合体でもよく、また混合体でもよい。
【0018】前記アクリル樹脂は、例えばアクリル酸エ
ステル(アルコール残基としては、メチル基、エチル
基、n―プロピル基、イソプロピル基、n―ブチル基、
イソブチル基、t―ブチル基、2―エチルヘキシル基、
シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニル
エチル基等を例示できる);メタクリル酸エステル(ア
ルコール残基は上記と同じ);2―ヒドロキシエチルア
クリレート、2―ヒドロキシエチルメタクリレート、2
―ヒドロキシプロピルアクリレート、2―ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート等の如きヒドロキシ含有モノマ
ー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N―メチルメ
タクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、N―メチ
ロールアクリルアミド、N―メチロールメタクリルアミ
ド、N,N―ジメチロールアクリルアミド、N―メトキ
シメチルアクリルアミド、N―メトキシメチルメタクリ
ルアミド、N―フェニルアクリルアミド等の如きアミド
基含有モノマー;N,N―ジエチルアミノエチルアクリ
レート、N,N―ジエチルアミノエチルメタクリレート
等の如きアミノ基含有モノマー;グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエー
テル等の如きエポキシ基含有モノマー等の単量体の1種
以上から作られた、又はこれら単量体と、例えばスチレ
ンスルホン酸、ビニルスルホン酸、及びそれらの塩(例
えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等
の如きスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー;ク
ロトン酸、イタコン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマ
ール酸、及びそれらの塩(例えばナトリウム塩、カリウ
ム塩、アンモニウム塩等)等の如きカルボキシル基又は
その塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタ
コン酸等の無水物を含有するモノマー;その他ビニルイ
ソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニ
ルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリ
スアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステ
ル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエス
テル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等の単
量体との組合せから作られたものであるが、アクリル酸
誘導体、メタクリル酸誘導体の如き(メタ)アクリル単
量体の成分が50モル%以上含まれているものが好まし
く、特にメタクリル酸メチルの成分を含有しているもの
が好ましい。
【0019】かかるアクリル樹脂は分子内の官能基で自
己架橋することができるし、メラミン樹脂やエポキシ化
合物等の架橋剤を用いて架橋することもできる。
【0020】また、前記ポリエステル樹脂を構成する酸
成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フ
タル酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸、2,6
―ナフタレンジカルボン酸、4,4′―ジフェニルジカ
ルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボ
ン酸、コハク酸、5―ナトリウムスルホイソフタル酸、
2―カリウムスルホテレフタル酸、トリメリット酸、ト
リメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p―
ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩等
の多価カルボン酸を例示することができる。また、ヒド
ロキシ化合物成分としては、例えばエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,3―プロパンジオー
ル、1,4―ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4―シクロヘキサン
ジメタノール、p―キシリレングリコール、ビスフェノ
ールAのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAの
プロピレンオキシド付加物、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコー
ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロ
ールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチ
ロールプロピオン酸カリウム等の多価ヒドロキシ化合物
を例示することができる。これらの化合物から常法によ
ってポリエステル樹脂を合成することができる。水性塗
液を作る場合には、5―ナトリウムスルホイソフタル酸
成分又はカルボン酸塩基を含有するポリエステル樹脂を
用いるのが好ましい。かかるポリエステル樹脂は分子内
に官能基を有する自己架橋型とすることができるし、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂のような硬化剤を用いて架橋
することもできる。
【0021】更にまた、前記アクリル―ポリエステル樹
脂はアクリル変性ポリエステル樹脂とポリエステル変性
アクリル樹脂とを包含する意味で用いており、アクリル
樹脂成分とポリエステル樹脂成分とが互いに結合したも
のであって、例えばグラフトタイプ、ブロックタイプ等
を包含する。アクリル―ポリエステル樹脂は、例えばポ
リエステル樹脂の両端にラジカル開始剤を付加してアク
リル単量体の重合を行わせたり、ポリエステル樹脂の側
鎖にラジカル開始剤を付けてアクリル単量体の重合を行
わせたり、あるいはアクリル樹脂の側鎖に水酸基を付
け、末端にイソシアネート基やカルボキシル基を有する
ポリエステルと反応させて櫛型ポリマーとする等によっ
て製造することができる。その際、用いるポリエステル
樹脂はその分子内にスルホニルオキシ基を含有しないも
のが好ましい。
【0022】前記微粒子と樹脂(結合剤)との割合は前
述した表面特性の設計で定めるのが好ましく、全固形分
当り、微粒子が1〜40重量%、さらには5〜30重量
%であり、結合剤となる樹脂が30〜95重量%、さら
には40〜90重量%であり、残りは第三成分(例え
ば、界面活性剤等)であることが好ましい。この微粒子
が少なすぎると、塗膜に均一に所定量の突起を付与する
ことができず、一方多すぎると分散性が悪化し、均一に
所定量の突起を付与することが難しい。結合剤となる樹
脂が少なすぎると、塗膜のポリエステルフィルムへの密
着性が低下し、一方多すぎると耐ブロッキング性が低下
する。
【0023】塗布方法としては、例えばロールコート
法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレー
コート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコ
ート法などを単独又は組合せて適用するとよい。
【0024】これらの方法の中でも、連続薄膜の地肌部
の平坦性を確保しつつオリゴマーの析出を抑制する効果
が大きいという観点から、結合剤としては乳化状ないし
懸濁状のアクリル樹脂とポリエステル樹脂又はアリール
―ポリエステル樹脂の2種を用い、微粒子を含有する水
性塗液をロールコート法で塗布する方法が特に好まし
い。
【0025】このようにして形成した磁性層用プライマ
ーの連続薄膜を有する二軸配向ポリエステルフィルムの
連続薄膜の上に磁性層、特に金属薄膜磁性層を設ける
と、雑音を飛躍的に減少し、ノイズレベルに格段に優
れ、金属薄膜面の走行性、保存耐久性に優れた性能を有
し、かつ長時間記録に適した磁気記録媒体を得ることが
できる。
【0026】[易滑面を形成する連続皮膜]本発明にお
いては二軸配向ポリエステルフィルムが単層フィルムの
場合、該フィルムの他の表面、すなわち磁性層用プライ
マーとなる連続薄膜を設けた表面と反対側の表面に、易
滑面を形成する連続皮膜を塗設することが好ましい。こ
の皮膜はセルロース系樹脂、及び平均粒径が0.01〜
0.10μm、好ましくは0.02〜0.08μm、さ
らに好ましくは0.03〜0.05μmの微粒子を含有
するものが好ましい。また、この皮膜の表面粗さWRa
は0.5〜5nm、さらには0.5〜1nmであること
が好ましい。
【0027】また、積層フィルムの場合、該フィルムの
他の表面、すなわち磁性層用プライマーとなる連続薄膜
を設けた表面と反対側の表面は、表面粗さWRaが1〜
20nmにあることが好ましい。この場合でも、単層フ
ィルムの場合と同様に、前記特性の連続皮膜を塗設する
ことが好ましい。
【0028】前記セルロース系樹脂としては、例えばエ
チルセルロース、メチルセルロース、アセチルセルロー
ス、アセトアセチルセルロース、ニトロセルロース、カ
ルボキシル化セルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、セルロースアセテートブチレート等を挙げることが
できる。このセルロース系樹脂を用いることで、塗膜の
表面に多数の微小ひだを形成することができる。
【0029】また、前記微粒子としては、ポリスチレ
ン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート
共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、
ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂等の如き
有機質微粒子、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カオ
リン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウム、長石、
二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等
の如き無機質微粒子のいずれを用いてもよい。これらは
乳化剤等を用いて水性分散液としたものであってもよ
く、また微粉末状で水性塗液に添加し、均一に分散でき
るものであってもよい。
【0030】前記セルロース系樹脂及び微粒子は、皮膜
自体の微小突起の均一形成を促進する作用と微粒子自体
による皮膜の補強作用とを奏し、更には皮膜形成樹脂の
耐ブロッキング性、摩擦力低減性等への作用、及び両者
の相乗作用による耐スクラッチ性向上とあいまって、フ
ィルムに優れた滑り性を付与する。
【0031】易滑面の連続皮膜を形成する、セルロース
系樹脂以外の樹脂は、耐ブロッキング性、摩擦力低減性
等に優れたものが好ましく、例えばアクリル樹脂、ポリ
エステル樹脂、およびアクリル―ポリエステル樹脂が好
ましく挙げられる。これら樹脂の説明には磁性層用プラ
イマーの形成に用いる樹脂として前述したアクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、およびアクリル―ポリエステル
樹脂の説明をそのまま用いることができる。
【0032】易滑面の連続皮膜を形成する成分、すなわ
ちセルロース系樹脂以外の皮膜形成樹脂(成分a)、セ
ルロース系樹脂(成分b)及び微粒子(成分c)の配合
割合は、表面特性の設計で定めることが好ましく、全固
形分当り、成分aが30〜80重量%、成分bが1〜5
0重量%、成分cが5〜40重量%であることが好まし
い。成分aが少なすぎると、皮膜(塗膜)のポリエステ
ルフィルムへの密着性が低下し、一方多すぎると、耐ブ
ロッキング性や滑り性が低下する。成分bが少なすぎる
と、皮膜(塗膜)のひだが減って加工性が低下し、一方
多すぎると、表面が粗れすぎる。また、成分cが少なす
ぎると、易滑性が低下し、一方多すぎると、微粒子が皮
膜(塗膜)から脱落しやすくなる。
【0033】[塗膜の形成]本発明における連続薄膜や
連続皮膜の形成は、二軸配向ポリエステルフィルムの製
造後でも製造中でもよいが、二軸配向フィルムの製造過
程で行うのが好ましい。例えば、結晶配向が完了する前
のポリエステルフィルムの表面に水性塗液を塗布するの
が好ましい。
【0034】ここで、結晶配向が完了する前のポリエス
テルフィルムとは、ポリエステルを溶融押出してそのま
まフィルム状となした未延伸フィルム、該未延伸フィル
ムを縦方向又は横方向の何れか一方に延伸配向せしめた
一軸延伸フィルム、更には二軸方向に延伸配向されてい
るが、少なくとも一方向は低倍率延伸であって更に該方
向の延伸配向を要する二軸延伸フィルム(最終的に縦方
向及び/又は横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了
せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。
【0035】本発明における二軸配向ポリエステルフィ
ルムは、逐次二軸延伸の場合、好ましくは結晶配向が完
了する前の未延伸あるいは少なくとも一軸方向に延伸さ
れた状態のフィルムに上記組成の水性塗液を塗布し、次
いで縦延伸及び/又は横延伸と熱固定とを施す、所謂イ
ンラインコーティング方式で製造するのが好ましい。そ
の際、配向結晶が完了する前のポリエステルフィルムの
表面に塗膜を円滑に塗設できるようにするために、予備
処理としてフィルム表面にコロナ放電処理を施すか、又
は塗膜形成物とともに、これと化学的に不活性な界面活
性剤を併用することが好ましい。
【0036】かかる界面活性剤は、水性塗液の表面張力
を40dyne/cm以下に降下でき、ポリエステルフィル
ムの濡れを促進するものであり、例えばポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン
脂肪酸エステル、脂肪酸金属石ケン、アルキル硫酸塩、
アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等の
アニオン型、ノニオン型の界面活性剤を挙げることがで
きる。更に、本発明の効果を消失させない範囲におい
て、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、潤滑剤等の他の
添加剤を混合することができる。
【0037】本発明において、塗液、殊に水性塗液の固
形分濃度は通常30重量%以下であり、さらには1重量
%以上15重量%以下が好ましい。この粘度は通常10
0センチポイズ(cps)以下、好ましくは20cps
以下である。塗布量は走行しているフィルム1m2 当り
約0.5〜20g、更には約1〜10gが好ましい。換
言すれば、最終的に得られる二軸配向フィルムにおい
て、フィルムの一表面に1m2 当り約0.001〜1
g、更には約0.005〜0.3gの固形分量となるの
が好ましい。
【0038】塗布方法としては、公知の任意の塗工法が
適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート
法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナ
イフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独又
は組合せて適用するとよい。
【0039】同時二軸延伸法においては、未延伸フィル
ムに塗布するのが好ましい。その場合、一軸延伸後に塗
布する場合の塗液濃度より、一軸延伸倍率に相当する倍
率で塗液がさらにひろげられることを考慮して高濃度の
塗液を塗布するようにすることが好ましい。
【0040】[表面粗さ]本発明における二軸配向ポリ
エステルフィルムは、単層フィルムでも積層フィルムで
も良いが、磁性層を設ける側の、プライマー薄膜を設け
た後の表面粗さWRa(中心面平均粗さ)は0.1〜5
nm、好ましくは0.2〜3nm、特に好ましくは0.
3〜2nmである。また、WRz(10点平均粗さ)は
1〜50nm、さらには2〜30nm、特に5〜20n
mであることが好ましい。この表面粗さWRaが5nm
より大きい、あるいはWRzが50nmより大きいと、
磁性層の表面が粗くなり、満足し得る電磁変換特性が得
られなくなる。一方、この表面粗さWRaが0.1nm
未満、あるいはWRzが1nmより未満であると、表面
が平坦になりすぎ、パスロールまたカレンダーでの滑り
が悪くなり、しわが発生し、磁性層を均一に塗布ができ
なくなったり、また均一にカレンダーをかけられなくな
ってしまう。
【0041】また単層フィルムの場合、前記二軸配向ポ
リエステルフィルムの非磁性層側(例えば、バックコー
ト層塗布側)の表面粗さWRa(中心面平均粗さ)は
0.5〜5nm、さらには0.5〜2nm、特に0.5
〜1nmであることが好ましい。また、WRz(10点
平均粗さ)は5〜30nm、さらには5〜20nm、特
に5〜10nmであることが好ましい。
【0042】積層フィルムの場合、前記二軸配向ポリエ
ステルフィルムの非磁性層側のフィルム表面粗さWRa
(中心面平均粗さ)は1〜20nm、さらには5〜15
nm、特に5〜10nmであることが好ましい。また、
WRz(10点平均粗さ)は10〜300nm、さらに
は100〜250nm、特に100〜200nmである
ことが好ましい。この表面粗さWRaが20nmより大
きい、あるいはWRzが300nmより大きいと、平坦
層(磁性層)側表面への突起の突き上げ、また磁気テー
プ巻取時の磁性層表面への表面凹凸の転写が大きくな
り、磁性層面が粗面化し、満足し得る電磁変換特性が得
られなくなる。一方、この表面粗さWRaが1nm未
満、あるいはWRzが10nm未満であると、フィルム
の滑りが悪くなったり、あるいはエアースクイズ性の悪
くなり、フィルムスリット時、ブツが発生したり、ある
いは縦シワが発生し、満足し得る巻取性が得られない。
【0043】上述した表面粗さWRa、WRzは、前記
した不活性微粒子の種類、平均粒径、添加量を調整する
ことにより得ることができる。
【0044】[ヤング率]本発明における二軸配向ポリ
エステルフィルムは、縦方向のヤング率が7GPa以
上、好ましくは8GPa以上、特に9GPa以上である
ことが好ましい。この縦方向のヤング率が7GPa未満
であると、磁気テープの縦方向強度が弱くなり、記録・
再生時に縦方向に強い力がかかると、容易に永久変形
し、破断することがある。また、フィルム横方向のヤン
グ率は6GPa以上、好ましくは6.5GPa以上、特
に7GPa以上であることが好ましい。この横方向のヤ
ング率が6GPa未満であると、リニアトラック方式の
磁気テープとした場合、温湿度変化時の幅方向の寸法変
化が大きくなり、トラックずれによる記録・再生のエラ
ーが発生しやすい。
【0045】前記二軸配向ポリエステルフィルムは、ま
た、縦方向のヤング率と横方向のヤング率の和が13〜
18GPa、さらには14〜18GPa、特に15〜1
8GPaであることが好ましい。さらに、リニアトラッ
ク方式の磁気テープ用として供する場合、縦方向の伸び
を少なくする点から、縦方向のヤング率が横方向のヤン
グ率より大きいことが好ましい。縦方向のヤング率と横
方向のヤング率の和が13GPa未満であると、磁気テ
ープの強度が弱くなり、テープが容易に破断することが
あり、また温湿度変化時の寸法変化が大きくなり、トラ
ックずれによる記録・再生のエラーが発生し、満足し得
る高密度磁気媒体が得られない。一方、18GPaを超
えると、フィルム製膜時、延伸倍率が高くなり、フィル
ム破断が多発し、製品歩留りが低下する。
【0046】[ポアソン比]本発明における二軸配向ポ
リエステルフィルムのポアソン比(△TD/△MD)が
0.3〜0.6、好ましくは0.35〜0.55、さら
に好ましくは0.4〜0.5である。ポアソン比が0.
6より大きいと、縦方向に荷重がかかった時、幅方向の
寸法変化が大きくなり、トラックずれが生じ、問題とな
る。一方、ポアソン比が0.3より小さくするには、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレートのホモポリマーでは
達成できず、他のポリマーとの共重合あるいはブレンド
が必要となり、ポリマーの回収性が難しくなり、問題が
ある。
【0047】[フィルムの荷重下温湿度処理による幅方
向の寸法変化]本発明における二軸配向ポリエステルフ
ィルムは、12.65mm幅のフィルムの縦方向に22
MPaの荷重をかけ、温度49℃、湿度90%RHで7
2hr処理したとき、処理前後の幅方向の寸法変化が
0.35%以下である。好ましくは0.30%以下、特
に好ましくは0.25%以下である。この寸法変化が
0.35%より大きいと、高張力下かつ高温高湿の状態
で、テープを繰り返し走行させたとき、幅方向の寸法変
化が大きくなり、トラックずれを引き起こし、記録・再
生のエラーを発生させるようになる。
【0048】荷重下温湿度処理による幅寸法変化を上記
の範囲に収めるためには、十分な延伸配向を特に縦方向
に与え、十分な結晶化処理を行う。
【0049】[幅方向の膨張係数]本発明における二軸
配向ポリエステルフィルムは、フィルム幅方向(横方
向)の温度膨張係数αtが+15×10-6〜−10×1
-6/℃であり、湿度膨張係数αhが+15×10-6
+5×10-6/%RHであり、かつ(αt+2αh)の
値が45×10-6以下である。フィルム幅方向の温度膨
張係数αtは、好ましくは+10×10-6〜−5×10
-6/℃であり、更に好ましくは+5×10-6〜−5×1
-6/℃である。また、湿度膨張係数αhは、好ましく
は+13×10 -6〜+7×10-6/%RHであり、さら
に好ましくは+12×10-6〜+8×10-6/%RHで
ある。そして、(αt+2αh)の値は、好ましくは3
5×10 -6以下、さらに好ましくは30×10-6以下で
ある。
【0050】前記温度膨張係数αtが+15×10-6
℃より大きいと、温度変化によるフィルム幅方向の寸法
変化が大きくなり、トラックずれを引き起こし、記録・
再生のエラーを発生させるようになる。一方、温度膨張
係数αtが−10×10-6/℃より小さいと、フィルム
の幅方向のヤング率をかなり高くする必要があり、製膜
時、フィルム破断が頻発し、生産性が著しく悪化する。
【0051】また、前記湿度膨張係数αhが+15×1
-6/%RHより大きいと、湿度変化によるフィルム幅
方向の寸法変化が大きくなり、トラックずれを引き起こ
し、記録・再生のエラーを発生させるようになる。一
方、湿度膨張係数αhが+5×10-6/%RHより小さ
いと、フィルムの幅方向のヤング率をかなり高くする必
要があり、製膜時、フィルム破断が頻発し、生産性が著
しく悪化する。
【0052】さらにまた、(αt+2αh)の値が45
×10-6より大きいと、温湿度変化による寸法変化が大
きくなり、トラックずれを引き起こし、記録・再生のエ
ラーを発生させるようになる。
【0053】[厚み方向の温度膨張係数]本発明におけ
る二軸配向ポリエステルフィルムは、厚み方向の膨張係
数が1.7×10-6〜2.2×10-6/℃、更には1.
8×10-6〜2.1×10-6/℃、特に1.9×10-6
〜2.0×10-6/℃であることが好ましい。厚み方向
の膨張係数が2.2×10-6/℃より大きいと、テープ
が高温度にさらされた時、厚み方向の膨張が大きいため
に巻き絞まりが生じ、テープ幅が広くなり、トラックず
れが生じ問題となる。一方、1.7×10-6/℃より小
さいと、縦方向および幅方向のヤング率が小さくなり、
テープの耐久性に問題が生じる。
【0054】[フィルムの厚み]本発明における二軸配
向ポリエステルフィルムは、厚みが2〜7μm、好まし
くは3〜6μmである。この厚みが7μmを超えると、
磁気テープ厚みが厚くなりすぎ、例えばカセットに収納
するテープ長さが短くなり、十分な磁気記録容量が得ら
れない。一方、2μm未満では、フィルムの製膜時にフ
ィルム破断が多発し、またフィルムの巻き取り性が不良
となり、良好なフィルムロールが得られない。
【0055】[フィルムの製膜法]本発明における二軸
配向ポリエステルフィルムは、以下の方法にて製膜する
のが好ましい。例えば、ポリエステルを口金より、融点
(Tm:℃)〜(Tm+70)℃の温度でフィルム状に
溶融押出した後、10〜70℃の冷却体に密着させて急
冷固化し未延伸フィルムを得る。しかる後に、該未延伸
フィルムを常法に従って縦方向に(Tg−10)〜(T
g+70)℃の温度(但し、Tg:ポリマーのガラス転
移温度)において4.0〜8.0倍の倍率、好ましくは
5.0〜6.0倍の倍率で延伸し、次いで磁性層用プラ
イマーを形成する塗液をフィルムの片面に塗布し、要す
れば易滑面の連続皮膜を形成する塗液を反対面に塗布
し、その後に横方向にTg〜(Tg+70)℃の温度に
おいて4.0〜8.0倍の倍率、好ましくは4.5〜
6.0倍の倍率で延伸する。更に必要に応じて縦方向及
び/又は横方向に再度延伸してもよい。全延伸倍率は、
面積延伸倍率として好ましくは20〜45倍、さらに好
ましくは25〜35倍である。更に引き続いて、二軸配
向フィルムを(Tg+70)〜(Tm−10)℃の温
度、例えば180〜250℃、好ましくは200〜23
0℃で熱固定結晶化することによって優れた寸法安定性
が付与される。その際、塗布物は未固化の塗膜の状態で
フィルムの延伸にともなってその面積が拡大されかつ加
熱されて水を揮発し、二軸延伸されたフィルム表面上で
薄い固体連続塗膜層に変換され、二軸延伸されたフィル
ム表面に強固に固着される。なお、熱固定時間は1〜6
0秒間が好ましい。
【0056】[磁気記録媒体]本発明の二軸配向ポリエ
ステルフィルムは、磁性層用プライマーの表面に、真空
蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法
により、鉄、コバルト、クロム又はこれらを主成分とす
る合金もしくは酸化物より成る強磁性金属薄膜層を形成
し、またその表面に、目的、用途、必要に応じてダイア
モンドライクカーボン(DLC)等の保護層、含フッ素
カルボン酸系潤滑層を順次設け、更に他の表面、殊に易
滑面を形成する連続皮膜層の表面に公知のバックコート
層を設けることにより、特に短波長領域の出力、S/
N,C/N等の電磁変換特性に優れた、ドロップアウ
ト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録
媒体とすることができる。この蒸着型磁気記録媒体は、
高密度磁気記録媒体、特にLTO、DLT、Super
−DLT等のリニア記録方式の磁気テープに極めて有効
である。
【0057】
【実施例】次に、実施例によって本発明を説明する。な
お、本明細書における種々の特性は下記の通りにして測
定される。また、「部」は重量部を意味する。 (1)固有粘度[η] オルソクロロフェノール溶媒中35℃で測定した値から
求める。
【0058】(2)粒子の平均粒径 平均粒径0.1μm未満の粒子は、光散乱法により求め
られる全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球形
直径」をもって表示する。平均粒径0.1μm以上の粒
子は、光透過式遠心沈降法により求められる全粒子の5
0重量%の点にある粒子の「等価球形直径」をもって表
示する。
【0059】(3)表面粗さ(WRa、WRz) WYKO社製非接触式三次元粗さ計(NT―2000)
を用いて測定倍率25倍、測定面積246.6μm×1
87.5μm(0.0462mm2)の条件にて、測定
数(n)10以上で測定を行ない、該粗さ計に内蔵され
た表面解析ソフトにより、中心面平均粗さ(WRa)、
および10点平均粗さ(WRz)を求める。 (A)中心面平均粗さ(WRa)
【0060】
【数1】
【0061】Zjkは測定方向(246.6μm)、それ
と直行する方向(187.5μm)をそれぞれm分割、
n分割したときの各方向のj番目、k番目の位置におけ
る三次元粗さチャート上の高さである。
【0062】(B)10点平均粗さ(WRz) ピーク(HP)の高い方から5点と谷(Hv)の低い方
から5点をとり、その平均粗さをWRzとする。
【0063】
【数2】WRz={(HP1+HP2+HP3+HP4+HP5
−(HV1+HV2+HV3+HV4+HV5)}/5
【0064】(4)摩擦係数(フィルムスリッパリー) ASTM D1894―63に準じ、東洋テスター社製のス
リッパリー測定器を使用し、静摩擦係数(μs)を測定
する。但し、スレッド板はガラス板とし、荷重は1kgと
する。フィルムスリッパリーは、次の基準で判定する。 ○:良好なもの(μs が0.6未満) △:やや不良なもの(μs が0.6〜0.8未満) ×:不良なもの(μs が0.8以上)
【0065】(5)オリゴマーの析出率 フィルムを木枠に固定した後160℃の熱風循環(空
気)式乾燥器内に5分間保持した後、フィルム表面にア
ルミニウムを蒸着し、微分干渉型光学顕微鏡でフィルム
表面の写真を撮影する。この写真上でオリゴマー(白い
斑点状に写る)の占める面積の総和の写真全面積に対す
る百分率でオリゴマー析出率を評価する。
【0066】(6)ヤング率 フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャ
ック間100mmにして引張速度10mm/分、チャー
ト速度500mm/分にインストロンタイプの万能引張
試験装置にて引張る。得られる荷重―伸び曲線の立ち上
がり部の接線よりヤング率を計算する。
【0067】(7)幅方向の温度膨張係数(αt:10
-6/℃) フィルムサンプルをフィルム幅方向に長さ15mm、幅
5mmに切り出し、真空理工製 TMA3000にセッ
トし、窒素雰囲気下、60℃で30分前処理し、その後
室温まで降温させる。その後25℃から70℃まで2℃
/分で昇温し、各温度でのサンプル長を測定し、次式よ
り温度膨張係数(αt:10-6/℃)を算出する。
【0068】
【数3】αt={(L2−L1)/(L1×ΔT)}+
0.5×10-6(注) ここで、L1:40℃時のサンプル長(mm) L2:60℃時のサンプル長(mm) ΔT:20(=60−40℃) 注:石英ガラスの温度膨張係数 である。
【0069】(8)幅方向の湿度膨張係数(αh:10
-6/%RH) フィルムサンプルをフィルム幅方向に長さ15mm、幅
5mmに切り出し、真空理工製TMA3000にセット
し、窒素雰囲気下から、湿度30%RH、及び湿度70
%RHの一定に保ち、その時のサンプルの長さを測定
し、次式にて湿度膨張係数(αh:10-6/%RH)を
算出する。
【0070】
【数4】αh={(L2−L1)/(L1×ΔH)} ここで、L1:湿度30%RH時のサンプル長(mm) L2:湿度70%RH時のサンプル長(mm) ΔH:40(=70−30%RH) である。
【0071】(9)厚み方向の温度膨張係数 フィルムサンプルを厚み方向にゴミが入らないように1
0枚重ね、石英ガラスに挟み、真空理工(株)製、レザ
ー熱膨張計(LIX−1)を用いて、フィルム厚み方向
の線膨張係数を測定する。なお、測定にあたり、測定前
にサンプルを60℃で30分間エージング処理を行い、
降温後、5℃から60℃まで、2℃/分にて昇温し、4
0℃と50℃の勾配より、線膨張係数を求める。また、
石英ガラスの線膨張分はフィルムを挟まない状態にて別
途測定し、補正する。
【0072】(10)フィルムの縦方向荷重下での温湿
度処理後の幅方向の寸法変化 温度23℃、湿度50%の雰囲気下において、12.6
5mm(1/2インチ)にスリットしたフィルム(試
料)を図1に示す通りにセットする。なお、12.65
mmにスリットしたサンプルは検出器にて幅寸法が測定
できるようにするため、あらかじめ表面にスパッタによ
って金を蒸着しておく。この状態でフィルムの片側(も
う一方は固定)に22MPaになるように重りをつけ、
そのときのフィルム(試料)の幅(L1)をキーエンス
製レーザー外径測定器(本体:LS−3100型、光セ
ンサー:LS−3060型)にて測定する。
【0073】その後、49℃(120°F)×90%R
Hの高温高湿下で、片側(もう一方は固定)に22MP
aになるように重りをつけ、72hr(3日間)処理し
た後、重りを取り外し、温度23℃、湿度50%の雰囲
気下で24hr調湿した後、再び、フィルム(試料)の
片側(もう一方は固定)に22MPaになるように重り
をつけ、そのときのフィルムの幅(L2)をキーエンス
製レーザー外径測定器(本体:LS−3100型、光セ
ンサー:LS−3060型)にて測定する。
【0074】上記で測定した温湿度処理前後の寸法よ
り、荷重下温湿度処理前後の幅方向の寸法変化(αW)
は、次式より算出する。
【0075】
【数5】 αW={(L2−L1)/L1}×100(%)
【0076】(11)熱収縮率 フィルムを幅10mm、長さ600mmの短冊状に切り
出し、500mm間隔の標点を付ける。このサンプルを
無張力下で105℃のギアーオープンにて30分間処理
したのち、室温まで冷却する。熱処理前後の寸法変化か
ら熱収縮率を算出する。寸法の測定はMITUTOYO製の微小
寸法測定装置(PROFILE PROJECTOR MODEL PJ321F)を用
いる。
【0077】(12)ポアソン比 フィルムをJIS K6771 1号試験片(ダンベル)に切
り、フィルム中央部に6mm□のマーキングし、チャッ
ク間70mmにして、初期荷重200gをかけ、初期長
(初期幅)とする。その後、引張速度0.5mm/分
で、インストロンタイプの万能引張試験装置にて引張
り、キーエンス製イメージセンサーにて、マーキングの
縦方向、および幅方向の寸法変化を測定し、ポアソン比
を次式より求める。本装置概要を図2に示す。
【0078】
【数6】 ポアソン比 =(△W/W0)/(△L/L0) ここで、△W:幅方向の変化量(mm) W0:幅方向の初期幅(mm) △L:縦方向の変化量(mm) L0:縦方向の初期長(mm) である。
【0079】(13)電磁変換特性 真空蒸着装置を用いて、直径1mの円筒キャンにフィル
ムを沿わせ、5×10 -5(Torr)の酸素中で最小入
射角43度でCo―Ni(Ni 20wt%含有)合金
を膜厚約1300オングストロームに斜方蒸着し、サン
プルテープを作成する。このテープを8mm巾に加工し
て蒸着テープとし、ギャップ長0.2μmのアモルファ
スヘッドにより、ホワイトピーク0.45μm、帯域巾
9(MHz)のC/N(初期値)を比較する。このC/
Nから、次の基準で判定する。 ○:基準値に対して+0.0dB以上 △: 〃 −0.5dB〜+0.0dB未満 ×: 〃 −0.5dB未満
【0080】また、40℃,80%RHでテープ走行速
度85cm/分で記録再生を繰り返した後250回目の
C/N(耐久性)を比較する。このC/Nから、次の基
準で判定する。 ○:基準値に対して+0.0dB以上 △: 〃 −1.0dB〜+0.0dB未満 ×: 〃 −1.0dB未満
【0081】(14)スチル特性 前記した蒸着テープに4.2MHzの映像信号を記録
し、この再生出力が50%に減衰するまでの時間を測定
する。この時間により、次の基準で判定する。 ○:50%に減衰時間が100分以上 △: 〃 〃 50分以上100分未満 ×: 〃 〃 50分未満。
【0082】(15)シャトル特性 前記した蒸着テープに4.2MHzの映像信号を記録
し、25℃、50%RH条件下でテープ走行速度41m
/分、巻き戻し速度41m/分での走行を1回とし、合
計200回繰り返した後の出力変動を調べる。この出力
変動から、次の基準で判定する。 ◎:200回繰り返し後の出力変動が0dB〜−0.3
dB未満 ○:200回繰り返し後の出力変動が−0.3dB〜−
0.6dB未満 △:200回繰り返し後の出力変動が−0.6dB〜−
1.5dB未満 ×:200回繰り返し後の出力変動が−1.5dB以上
【0083】(16)カール 磁気記録用テープ原反から500×500mmの正方形
の試料を切り出し、そのカールの状態より、次の基準で
判定する。 ××:完全に筒状を呈するもの ×:筒の一部が開口しているもの △:上記よりさらに開口部が広がったものであるが、側
面の最長部を円の直径とできるもの ○:上記よりさらに開口部が広がったものであり、側面
の最長部を円の直径とはできないもの ◎:カールの全くないもの、またはほとんどないもの
【0084】[実施例1]2,6―ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルエステル128部とエチレングリコール6
0部の混合物に酢酸マンガン・4水塩0.025部と酢
酸ナトリウム・3水塩0.005部を添加し、内温を1
50℃から徐々に上げながらエステル交換反応を行っ
た。エステル交換反応率が95%となった時点で安定剤
としてあらかじめトリメチルホスフェート25部とエチ
レングリコール75部を反応させたリン化合物のグリコ
ール溶液を0.069部添加し、十分攪拌した後エチレ
ングリコール2.5部中で無水トリメリット酸0.8部
とテトラブチルチタネート0.65部を反応せしめた液
(チタン含有率は11重量%)0.014部を添加し
た。次いで反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下
(最終内温295℃)にて重縮合反応を行い、固有粘度
0.57のポリエチレン―2,6―ナフタレートを得
た。
【0085】このポリエチレン―2,6―ナフタレート
を溶融押出し、急冷して未延伸フィルムを作成し、次い
で該未延伸フィルムを長手方向(縦方向)にフィルム温
度135℃にて5.4倍に延伸し、急冷して縦延伸フィ
ルムを得た。続いてステンターに供給し、155℃にて
横方向に4.9倍に延伸した。得られた二軸延伸フィル
ムを、205℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み6.0μ
mの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0086】この際、横延伸前の一軸延伸フィルムに次
の組成と塗液をロールコート法でフィルムの表面(A)
及び(B)に塗布した。この表面(A)は磁性層を形成
する側の表面であり、表面(B)は易滑面を形成する。
【0087】フィルム表面(A)に塗布した塗液の組
成:下記方法で作成した水性エマルジョンの2.0wt
%溶液 82.4部、ポリメタクリル酸メチル微粒子
(日本触媒化学工業(株)製 エポスターMA)の2.
0wt%液 2.6部(但し、この微粒子の平均粒径は
0.03μmである)、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル(日本油脂(株)製 NS208.5)の2.
0wt%溶液 15部、塗布量はウエットで2.5g/
2 である。
【0088】[水性エマルジョンの合成]酸成分がテレ
フタル酸(45mol%)とイソフタル酸(55mol
%)からなり、グリコール成分がジエチレングリコール
からなるポリエステル(35℃のo―クロロフェノール
中で測定した固有粘度0.40)100部をテトラヒド
ロフラン900部に常圧下64℃に加熱しながら溶解さ
せた。その後、脱イオン水900部を高速攪拌しながら
徐々に添加した。全量添加後、再び80℃に加熱してテ
トラヒドロフランを蒸発除去させて、10wt%のポリ
エステルの水分散体を得た。この水分散体を常圧下で6
0℃に加熱して過硫酸アンモニウム1部を添加した。そ
の後80℃に加熱して、メタクリル酸メチル90部、ア
クリル酸エチル39部、メタクリル酸20部及びt―ド
デシルメルカプタン1部の混合物を徐々に添加した。次
いで脱イオン水100部に過硫酸アンモニウム1部及び
炭酸水素ナトリウム2部を含有させたものを徐々に添加
した。添加完了後、更に3時間反応を続けた後室温に冷
却した。
【0089】この反応生成物は固形分含有率20wt
%、粒径35nmを有する安定な水性エマルジョンであ
った。
【0090】フィルム表面(B)に塗布した塗液の組
成:前述の水性エマルジョンの2.3wt%溶液 6
1.0部、セルロース系樹脂(信越化学(株)製メチル
セルロースSM-15 )の2.3wt%溶液 20.0部、
ポリメタクリル酸メチル微粒子(日本触媒化学工業
(株)製エポスタ―MA)の2.3wt%液 9.0部
(但し、この微粒子の平均粒径は0.035 μmである)、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(日本油脂
(株)製NS208.5)の2.3wt%溶液 10.
0部、塗布量はウエットで2.6g/m2 である。
【0091】得られたポリエステルフィルム及びこのフ
ィルムの表面(A)側に磁性層を設けた磁気記録媒体の
特性を表1に示す。
【0092】[比較例1〜4]表1に示すように製膜条
件を変更した以外は実施例1に準じて厚み6.0μmの
二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0093】得られたフィルムを実施例1と同様にして
磁気テープを作成した。得られたフィルム及びテープの
特性を表1に示す。
【0094】[比較例5]ポリエチレン―2,6―ナフ
タレートに、平均粒径0.6μmの炭酸カルシウム(炭
カル)を0.02重量%および平均粒径0.1μmの球
状シリカ粒子を0.3重量%添加した以外は、実施例1
に準じて厚み6.0μmの二軸配向ポリエステルフィル
ムを得た。
【0095】得られたフィルムを実施例1と同様にして
磁気テープを作成した。得られたフィルム及びテープの
特性を表1に示す。
【0096】[実施例2]A層用には実質的に不活性粒
子を添加しないポリエチレン−2,6−ナフタレート
(35℃、o−クロロフェノール溶液での固有粘度:
0.6)を用い、B層用に平均粒径0.3μmの球状シ
リカを0.15重量%および平均粒径0.1μmの球状
シリカを0.13重量%添加したポリエチレン−2,6
−ナフタレート(35℃、o−クロロフェノール溶液で
の固有粘度:0.6)を用いた。2台の押出し機でそれ
ぞれの樹脂を溶融し、マルチマニホールドダイに送って
積層し、未延伸ポリエステルフィルムを得た。得られた
未延伸フィルムを実施例1に準じて厚み6.0μmの二
軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0097】この際、横延伸前の一軸延伸フィルムに次
の組成と塗液をロールコート法で実施例1と同様に磁性
層を形成するフィルム表面(A)に塗布したが、易滑面
を形成するフィルム表面(B)には塗布しなかった。
【0098】得られたフィルムを実施例1と同様にして
磁気テープを作成した。得られたフィルム及びテープの
特性を表1に示す。
【0099】[比較例6〜7]表1に示すように製膜条
件を変更した以外は実施例2に準じて厚み6.0μmの
二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0100】得られたフィルムを実施例2と同様にして
磁気テープを作成した。得られたフィルム及びテープの
特性を表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【発明の効果】本発明によれば、走行性、電磁変換特
性、保存耐久性等に優れた磁気記録媒体、特に長時間記
録に適する金属薄膜磁気記録媒体の製造に有用なポリエ
ステルフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルムの縦方向荷重下での温湿度処理後の幅
方向の寸法変化を測定する装置の概要図である。
【図2】ポアソン比を測定する方法の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 室岡 博文 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人デュポンフィルム株式会社相模原研究セ ンター内 Fターム(参考) 4F006 AA35 AB03 AB13 AB16 AB24 AB73 BA01 BA09 CA02 DA04 4F071 AA44 AA45 AA46 AB18 AB21 AF27 BA01 BB08 BC01 4F100 AJ04C AK25B AK41A AK41B AL01B DE01B DE01C EH46B EH46C EJ65B GB41 JG06B JK07 JK14B JK14C JK15C JL04 JM02B YY00B YY00C 5D006 CA05 CB01 CB05 CB08 FA02 FA05 FA09

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)実質的に不活性粒子を含有しない
    ポリエステルフィルムの片面に、平均粒径が0.005
    〜0.1μmの微粒子を含有する連続薄膜よりなる磁性
    層用プライマーが塗設してあり、(2)該磁性層用プラ
    イマー塗設後の表面粗さWRaが0.1〜5nmであ
    り、(3)フィルムの幅方向の温度膨張係数αtが+1
    5×10-6〜−10×10-6/℃で、湿度膨張係数αh
    が+15×10-6〜+5×10-6/%RHであり、かつ
    (αt+2αh)の値が45×10-6以下であり、(4)
    フィルムの縦方向に22MPaの荷重をかけ、49℃、
    90%RHで72時間処理したときの処理前後の幅方向
    寸法変化が0.35%以下であり、かつ(5)フィルム
    の厚みが2〜7μmであることを特徴とする磁気記録媒
    体用二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 フィルムの他の表面に易滑面を形成する
    連続皮膜が塗設してあり、該連続皮膜がセルロース系樹
    脂及び平均粒径0.01〜0.10μmの微粒子を含
    み、かつ該連続皮膜の表面粗さWRaが0.5〜5nm
    である、請求項1に記載の磁気記録媒体用二軸配向ポリ
    エステルフィルム。
  3. 【請求項3】 ポリエステルフィルムが、実質的に不活
    性粒子を含有しないポリエステルフィルム層Aの片面に
    平均粒径0.01〜0.8μmの不活性粒子を含有する
    ポリエステルフィルム層Bを積層した積層フィルムであ
    る、請求項1に記載の磁気記録媒体用二軸配向ポリエス
    テルフィルム。
  4. 【請求項4】 フィルムの磁性層用プライマー塗設後の
    表面粗さWRaが0.1〜5nmであり、他の表面(非
    磁性層側)の表面粗さWRaが1〜20nmである、請
    求項3に記載の磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフ
    ィルム。
  5. 【請求項5】 フィルムの他の表面に易滑面を形成する
    連続皮膜が塗設してあり、該連続皮膜がセルロース系樹
    脂及び平均粒径0.01〜0.10μmの微粒子を含
    み、かつ該連続皮膜の表面粗さWRaが1〜20nmで
    ある、請求項4に記載の磁気記録媒体用二軸配向ポリエ
    ステルフィルム。
  6. 【請求項6】 フィルム厚み方向の温度膨脹係数が1.
    7×10-6〜2.2×10-6/℃である、請求項1に記
    載の磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 フィルムの縦方向のヤング率が横方向の
    ヤング率より大きい、請求項1または3に記載の磁気記
    録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 【請求項8】 フィルムのポアソン比(△TD/△M
    D)が0.3〜0.6である、、請求項1、3または7
    に記載の磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィル
    ム。
  9. 【請求項9】 塗膜を形成する微粒子の結合剤がアクリ
    ル樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル―ポリエステル
    樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項
    1または5に記載の磁気記録媒体用二軸配向ポリエステ
    ルフィルム。
  10. 【請求項10】 ポリエステルフィルムがポリエチレン
    −2,6−ナフタレートフィルムである、請求項1〜8
    のいずれかに記載の磁気記録媒体用二軸配向ポリエステ
    ルフィルム。
  11. 【請求項11】 ディジタル記録方式の磁気記録媒体用
    である、請求項1に記載の磁気記録媒体用二軸配向ポリ
    エステルフィルム。
  12. 【請求項12】 リニア記録方式の磁気記録媒体用であ
    る、請求項1に記載の磁気記録媒体用二軸配向ポリエス
    テルフィルム。
  13. 【請求項13】 強磁性金属薄膜型磁気記録媒体用であ
    る、請求項1に記載の磁気記録媒体用二軸配向ポリエス
    テルフィルム。
JP2001324783A 2001-10-23 2001-10-23 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム Pending JP2003132524A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001324783A JP2003132524A (ja) 2001-10-23 2001-10-23 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001324783A JP2003132524A (ja) 2001-10-23 2001-10-23 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003132524A true JP2003132524A (ja) 2003-05-09

Family

ID=19141456

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001324783A Pending JP2003132524A (ja) 2001-10-23 2001-10-23 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003132524A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004038703A1 (ja) * 2002-10-24 2004-05-06 Teijin Dupont Films Japan Limited 二軸配向ポリエステルフィルムおよびフレキシブルディスク
JP2007196512A (ja) * 2006-01-26 2007-08-09 Teijin Dupont Films Japan Ltd 二軸配向積層ポリエステルフィルム

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000102974A (ja) * 1998-09-30 2000-04-11 Toray Ind Inc 高分子フィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体
WO2000076749A1 (fr) * 1999-06-14 2000-12-21 Teijin Limited Film polyester etire bi-axialement et support d'enregistrement magnetique
JP2001084563A (ja) * 1999-07-12 2001-03-30 Teijin Ltd 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000102974A (ja) * 1998-09-30 2000-04-11 Toray Ind Inc 高分子フィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体
WO2000076749A1 (fr) * 1999-06-14 2000-12-21 Teijin Limited Film polyester etire bi-axialement et support d'enregistrement magnetique
JP2001084563A (ja) * 1999-07-12 2001-03-30 Teijin Ltd 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004038703A1 (ja) * 2002-10-24 2004-05-06 Teijin Dupont Films Japan Limited 二軸配向ポリエステルフィルムおよびフレキシブルディスク
JP2007196512A (ja) * 2006-01-26 2007-08-09 Teijin Dupont Films Japan Ltd 二軸配向積層ポリエステルフィルム
JP4624932B2 (ja) * 2006-01-26 2011-02-02 帝人デュポンフィルム株式会社 二軸配向積層ポリエステルフィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2777003B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム及びその製造方法
US5306538A (en) Magnetic recording medium having a resin coated biaxially oriented polyester substrate
JP2011150744A (ja) 磁気記録媒体用支持体およびそれを用いたデータストレージ用テープ
JP2746786B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP3684095B2 (ja) 易滑性複合ポリエステルフイルム
JP2954792B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP3215136B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP4216698B2 (ja) 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
JP2003132524A (ja) 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルム
JP3295125B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JPH07119099B2 (ja) 磁気記録媒体用ベースフイルム
JPS63309533A (ja) 平坦・易滑性ポリエステルフイルム
JP3215152B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP7456203B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JPH069809A (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP2859467B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP2543621B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP2965814B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JPH11216823A (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP3222370B2 (ja) 金属薄膜磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP3883785B2 (ja) 易滑性積層フィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体
JP4093935B2 (ja) 磁気記録媒体用コーティングフィルム
JPH0690785B2 (ja) 磁気記録媒体用ベ−スフイルム
JPH06340046A (ja) 積層ポリエステルフイルム
JP2002150538A (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040625

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060130

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060207

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060405

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070821

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071019

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20071029

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Effective date: 20080314

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

A521 Written amendment

Effective date: 20101014

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523