JP2002150538A - 磁気記録媒体用ポリエステルフィルム - Google Patents

磁気記録媒体用ポリエステルフィルム

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JP2002150538A
JP2002150538A JP2000342842A JP2000342842A JP2002150538A JP 2002150538 A JP2002150538 A JP 2002150538A JP 2000342842 A JP2000342842 A JP 2000342842A JP 2000342842 A JP2000342842 A JP 2000342842A JP 2002150538 A JP2002150538 A JP 2002150538A
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magnetic recording
polyester
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Mitsumine Tojo
光峰 東條
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Teijin Ltd
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間記録再生が可能で、走行耐久性、寸法
安定性が極めて良好な磁気テープを製造するのに有用な
二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。 【解決手段】 (1)フィルムの分子配向計による横方
向と縦方向の透過マイクロ波強度比(TMS(TD)/TM
S(MD))が0.5以上0.9以下であり、(2)フィル
ムの縦方向と横方向における105℃で30分間熱処理
した際の熱収縮率がともに1.0%以下であり、かつ
(3)フィルムの少なくとも一方の表面に微細表面突起
が形成されており、この微細表面突起は、高さ5nm以
上の突起の頻度が1000万個/mm2以上3億個/m
2以下、高さ15nm以上の突起の頻度が50万個/
mm2以上1000万個/mm2未満であり、かつ該表面
のAFM(原子間力顕微鏡)によるRa(2乗平均粗
さ)が0.1nm以上3nm以下であることを特徴とす
る磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体用ポリ
エステルフィルムに関し、さらに詳しくは長時間記録再
生が可能な磁気テープ、特に小型VTRのコンパクトカ
セットビデオテープや高密度型大容量記録媒体、コンピ
ューター用データストレージなどの強磁性金属薄膜型磁
気記録テープのベースフィルムとして有用なポリエステ
ルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープとして、二軸配向ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムの表面に磁性層を形成したも
のが広く用いられているが、近年、磁気テープのロング
プレイ化やハードの小型化に伴い、カセットに巻くテー
プの長さを長くして記録再生の長時間化を図る必要が生
じている。このためには、磁気テープの厚みを薄くする
必要があるが、従来の磁気テープは厚みを薄くすると、
走行耐久性やヘッド当たりが悪化するという問題があ
る。また、フィルムの高ヤング率化が要求されるが、高
ヤング率の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィル
ムを作るには高倍率の延伸が必要で、製膜条件も極めて
難しいものとなる。そこで、このような問題を解消する
ものとして、高ヤング率の二軸配向ポリエチレン―2,
6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムを支持体と
して用いた磁気テープが注目され、かつまた多数提案さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この高ヤング
率の二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカル
ボキシレートフィルムを用いた磁気テープでも、テープ
の厚みをさらに薄くして記録再生のより一層の長時間化
を図ろうとすると、走行性、耐久性、電磁特性に問題が
生じる。すなわち、磁気テープを繰り返し走行させる場
合にテープの端部が損傷を受け、ワカメ状に変形した
り、あるいはテープの横規制ガイドに当たった時にテー
プ端部が折れ曲がったりして、テープの特性が損なわ
れ、電磁特性をも劣化させる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題を
解消した磁気テープのベースフィルムを開発すべく鋭意
研究した結果、分子配向計による縦方向対横方向の透過
マイクロ波の強度比をある範囲内にすることで、長時間
の記録再生小型高密度化のために厚みを薄くしても、テ
ープの走行性、耐久性が良好であり、且つ磁性層を形成
する面の突起頻度を特定範囲にすることで電磁変換特性
に優れた磁気記録テープを製造し得ることを知見し、本
発明に到達したものである。
【0005】すなわち、本発明は、(1)フィルムの分
子配向計による横方向と縦方向の透過マイクロ波強度比
(TMS(TD)/TMS(MD))が0.5以上0.9以下で
あり、(2)フィルムの縦方向と横方向における105
℃で30分間熱処理した際の熱収縮率がともに1.0%
以下であり、かつ(3)フィルムの少なくとも一方の表
面に微細突起が形成されており、この微細突起は、高さ
5nm以上の突起の頻度が1000万個/mm2以上3
億個/mm2以下、高さ15nm以上の突起の頻度が5
0万個/mm2以上1000万個/mm2未満であり、か
つ該表面のAFM(原子間力顕微鏡)によるRa(2乗
平均粗さ)が0.1nm以上3nm以下であることを特
徴とする磁気記録媒体用ポリエステルフィルムである。
【0006】本発明は、好ましい態様として、前記微細
突起が、フィルムの少なくとも一方の面に、不活性微粒
子を含有する皮膜層Aを塗設することで形成されている
こと、ポリエステルフィルムがポリエチレン―2,6―
ナフタレンジカルボキシレートからなるフィルムである
こと、フィルムの厚さが2μm以上7μm以下であるこ
と、デジタル記録方式の磁気テープに用いられること、
磁性層が強磁性金属薄膜層である磁気記録媒体に用いら
れること等を包含する。
【0007】上記の磁気記録媒体用ポリエステルフィル
ムを用いた磁気記録媒体も本発明に包含される。
【0008】[ポリエステル]本発明においてポリエス
テルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基
酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエ
ステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエス
テルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリ(1,4―シクロヘキシレンジメチレ
ンテレフタレート)、ポリエチレン―2,6―ナフタレ
ンジカルボキシレート等が挙げられるが、これらは共重
合体や、小割合の他樹脂を混合したブレンド組成物など
も包含する。これらのなかで、ポリエチレン―2,6―
ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタ
レートが好ましく、ポリエチレン―2,6―ナフタレン
ジカルボキシレートが特に好ましい。
【0009】共重合ポリエステルの場合、エチレン―
2,6―ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返
し単位とするポリエステルが、フィルムの加工性や機械
的強度、寸法安定性から、特に好ましい。共重合成分と
しては、ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。
このジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、
イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベン
ゾフェノンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、コ
ハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン
酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル
酸、1,3―アダマンタンジカルボン酸などの脂環族ジ
カルボン酸などを挙げることができる。また、エチレン
グリコール以外のグリコール成分としては、例えば1,
3―プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、1,
6―ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,
4―シクロヘキサンジメタノール、p―キシリレングリ
コールなどを挙げることができる。これら共重合成分は
5mol%以下であることが好ましい。
【0010】本発明におけるポリエステルは、従来公知
の方法、例えばジカルボン酸とグリコールの反応でポリ
エステルを得る方法(直接重合法)や、ジカルボン酸の
低級アルキルエステルとグリコールとをエステル交換触
媒の存在下でエステル交換反応させ、その後重合触媒の
存在下で重縮合反応させてポリエステルを得る方法(エ
ステル交換法)で製造することができる。このエステル
交換触媒としては従来からいられている触媒、例えばナ
トリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜
鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガ
ン、又はコバルトを含む化合物の1種または2種以上を
用いることができる。また、重合触媒としては、例えば
三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモ
ン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲル
マニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロ
ピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれ
らの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸
チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネート
のようなチタン化合物等が好ましく挙げられる。また、
上記エステル交換法による場合、通常、重縮合反応前に
エステル交換触媒を失活させる目的で、トリメチルホス
フェート、トリエチルホスフェート、トリ―n―ブチル
ホスフェート、正リン酸等のリン化合物を添加するが、
リン元素としてのポリエステル中の含有量を20〜10
0ppmとすることがポリエステルの熱安定性の点から
好ましい。
【0011】なお、ポリエステルは、溶融重合後これを
チツプ化又はペレット化し、さらに、加熱減圧下または
窒素などの不活性気流中において固相重合することもで
きる。
【0012】前記ポリエステルの固有粘度(オルソクロ
ロフェノール、25℃)は0.40dl/g以上である
ことが好ましく、0.40〜0.90dl/gであるこ
とがさらに好ましい。この固有粘度が0.40dl/g
未満では、製膜工程でのフィルム切断が多発することが
ある。一方、固有粘度が0.9dl/gより高いと、溶
融粘度が高いため溶融押出しが困難になり、また重合時
間が長く不経済であり好ましくない。
【0013】[フィルム物性]本発明におけるポリエス
テルフィルムは、第1に、フィルムの分子配向計による
横方向と縦方向の透過マイクロ波強度比(TMS(TD)
/TMS(MD))が0.5以上0.9以下、好ましくは
0.6以上0.8以下であることを要する。この透過マ
イクロ波強度比が0.5未満であると、フィルム縦方向
の強度が不足し、テープにかかる張力により伸びや切断
が発生することがあり、好ましくない。一方、0.9を
超えると、フィルム横方向のヤング率が不足し、特に薄
物(厚み2〜7μm)のテープの走行を繰り返すと、テ
ープの端部が損傷を受けてワカメ状に変形し、更にはテ
ープの横規制ガイドに当たり、テープ端部が折れ曲がっ
たりしてテープの特性が損なわれるので好ましくない。
特にヘリカル方式のデジタル磁気記録媒体に用いる場合
には、フィルム横方向のヤング率は好ましくは9GPa
以上、更に好ましくは10GPa以上であり、また2
0GPa以下であることが好ましい。また、フィルム縦
方向のヤング率は3.9GPa以上であることが好まし
く、また7.0GPa以下であることが好ましい。この
フィルム縦方向のヤング率が3.9GPa未満では、磁
気テープに瞬間的に強い応力がかかったとき、テープが
伸びて変形するので好ましくない。
【0014】このように、フィルム横方向のヤング率が
大きく、かつ縦方向のヤング率もある程度以上必要なポ
リエステルフィルム、すなわち二軸方向の面配向度の高
いポリエステルフィルム、なかんずくポリエチレン―
2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムは、そ
の配向度が従来の屈折率計では測定できない領域を含む
が、この場合も分子配向計によると測定することができ
る。分子配向計では、マイクロ波(約4GHz)偏波電
界中に試料フィルムを回転させながらマイクロ波偏波の
透過度を測定し、分子配向主方向の透過度が低くなるこ
とから、配向度や配向軸方向を測定することができる。
【0015】本発明におけるポリエステルフィルムは、
縦方向(長手方向)と横方向(幅方向)における105
℃で30分熱処理した際の熱収縮率がともに1.0%以
下であることが、特に高密度の磁気記録媒体でのオフト
ラック精度などを達成させるのに必要である。フィルム
の縦方向の熱収縮率が1.0%を超えると、磁気記録媒
体とした場合に、高温の条件下で長時間放置すると記録
のトラックずれが起こるような寸法変化が発生する。な
お、フィルム縦方向の熱収縮率の下限は0.0%である
ことが好ましい。この下限が0.0%未満、すなわち膨
張する場合にもトラックずれが発生しやすい。好ましい
フィルムの縦方向の熱収縮率は0.0〜0.8%の範囲
である、またフィルムの横方向の熱収縮率が1.0%を
超えると、磁気記録媒体とした場合にカールが発生す
る。なお、フィルム横方向の熱収縮率の下限は0.0%
であることが好ましい。この下限が0.0%未満、すな
わち膨張する場合には上記とは逆向きのカールが発生し
やすい。好ましいフィルムの横方向の熱収縮率は0.0
〜0.8%の範囲である。なお、本発明でいうフィルム
の縦方向(長手方向)とはフィルムの製膜方向に沿った
方向を意味し、他方フィルムの横方向(幅方向)とは、
フィルムの厚み方向と製膜方向とに直交する方向を意味
する。
【0016】本発明におけるポリエステルフィルムは、
その少なくとも一方の表面(A面)に微細突起が形成さ
れており、この微細突起は、高さ5nm以上の突起の頻
度が1000万個/mm2以上3億個/mm2以下、好ま
しくは1500万個/mm2以上、1億個/mm2以下で
あり、また高さ15nm以上の突起の頻度が50万個/
mm2以上、1000万個/mm2未満、好ましくは10
0万個/mm2以上、800万/mm2未満であり、かつ
該表面のAFM(原子力間顕微鏡)によるRa(2乗平
均粗さ)が0.1nm以上3nm以下、好ましくは0.
3nm以上2.5nm以下である。上記微細突起の高さ
は100nm以下であることが好ましい。尚、高さ5n
m以上の突起の頻度は、高さ15nm以上の突起もカウ
ントした頻度である。高さ5nm以上の突起の頻度が1
000万個/mm2未満であると、ブロッキングを生じ
易い。このブロッキングはフィルム同士密着する現象で
あり、巻き出し時に表面傷や破断、裂けを生じるので避
けなければならない。高さ5nm以上の突起の頻度が3
億個/mm2を超えると、該突起を形成する皮膜層が削
れ易くなる。また、高さ15nm以上の突起の頻度が5
0万個/mm2未満では、走行耐久性が低下し、一方1
000万個/mm2以上であると、電磁変換特性が低下
する。また、AFMによるRaが0.1nm未満の場合
には、易滑性が不十分でフィルム巻取り性や製膜工程で
の搬送性が不足し、またブロッキングを起こしやすくな
る。一方、Raが3nmを超える場合には、磁気記録媒
体としたときに電磁変換特性が悪化したり、皮膜が削れ
易くなる問題が生じる。
【0017】[皮膜層A]本発明においては、このような
微細突起は、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の
表面(A面)に、不活性微粒子Aを含有する皮膜層Aを
塗設することで形成するのが好ましい。
【0018】この皮膜層Aを形成し、不活性微粒子Aを
ポリエステルフィルム表面に結合させるバインダー樹脂
(結合剤)としては、アルキッド樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エ
ポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹
脂、アクリル―ポリエステル樹脂等を例示することがで
きる。これら樹脂は単一重合体でも共重合体でもよく、
また混合体でもよい。
【0019】前記アクリル樹脂は、アクリル系モノマ
ー、例えばアクリル酸エステル(アルコール残基として
は、メチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピ
ル基、n―ブチル基、イソブチル基、t―ブチル基、2
―エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、
ベンジル基、フェニルエチル基等を例示できる。);メ
タクリル酸エステル(アルコール残基は上記と同
じ。);2―ヒドロキシエチルアクリレート、2―ヒド
ロキシエチルメタクリレート、2―ヒドロキシプロピル
アクリレート、2―ヒドロキシプロピルメタクリレート
等の如きヒドロキシ含有アクリルモノマー;アクリルア
ミド、メタクリルアミド、N―メチルメタクリルアミ
ド、N―メチルアクリルアミド、N―メチロールアクリ
ルアミド、N―メチロールメタクリルアミド、N,N―
ジメチロールアクリルアミド、N―メトキシメチルアク
リルアミド、N―メトキシメチルメタクリルアミド、N
―フェニルアクリルアミド等の如きアミド基含有アクリ
ルモノマー;N・N―ジエチルアミノエチルアクリレー
ト、N,N―ジエチルアミノエチルメタクリレート等の
如きアミノ基含有アクリルモノマー;グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジル
エーテル等の如きエポキシ基含有アクリルモノマー等の
少なくとも1種以上から、またはこれらアクリル系モノ
マーの1種以上と、例えばスチレンスルホン酸、ビニル
スルホン酸、及びそれらの塩(例えばナトリウム塩、カ
リウム塩、アンモニウム塩等)等の如きスルホン酸基又
はその塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン
酸、アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、及びそれら
の塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム
塩等)等の如きカルボキシル基又はその塩を含有するモ
ノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水物を
含有するモノマー;その他ビニルイソシアネート、アリ
ルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、
ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラ
ン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマー
ル酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニト
リル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデ
ン、酢酸ビニル、塩化ビニル等の単量体との組合せから
作られたものであるが、アクリル酸誘導体、メタクリル
酸誘導体の如き(メタ)アクリル単量体の成分が50モ
ル%以上含まれているものが好ましく、特にメタクリル
酸メチルの成分を含有しているものが好ましい。
【0020】かかるアクリル樹脂は分子内の官能基で自
已架橋することができるし、メラミン樹脂やエポキシ化
合物等の架橋剤を用いて架橋することもできる。
【0021】また、前記ポリエステル樹脂を構成する酸
成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フ
タル酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸、2,6
―ナフタレンジカルボン酸、4,4’―ジフェニルジカ
ルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボ
ン酸、コハク酸、5―ナトリウムスルホイソフタル酸、
2―カリウムスルホテレフタル酸、トリメリット酸、ト
リメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p―
ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩等
の多価カルボン酸を例示することができる。また、ヒド
ロキシ化合物成分としては、例えばエチレングリコー
ル、ブロピレングリコール、1,3―プロパンジオー
ル、1,4―ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4―シクロヘキサン
ジメタノール、p―キシリレングリコール、ビスフェノ
ールAのエチレンオキシド付加物、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグ
リコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジ
メチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロール
プロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、
ジメチロールプロピオン酸カリウム等の多価ヒドロキシ
化合物を例示することができる。これらの化合物から常
法によってポリエステル樹脂を作成することができる。
水性塗液を作成する場合には、5―ナトリウムスルホイ
ソフタル酸成分又はカルボン酸塩基を含有するポリエス
テル樹脂を用いるのが好ましい。かかるポリエステル樹
脂は分子内に官能基を有する自己架橋型とすることがで
きるし、メラミン樹脂、エポキシ樹脂のような硬化剤を
用いて架橋することもできる。
【0022】更にまた、前記アクリル―ポリエステル樹
脂はアクリル変性ポリエステル樹脂とポリエステル変性
アクリル樹脂とを包含する意味で用いており、アクリル
樹脂成分とポリエステル樹脂成分とが互いに結合したも
のであって、例えばグラフトタイプ、ブロックタイプ等
を包含する。アクリル―ポリエステル樹脂は、例えばポ
リエステル樹脂の存在下でアクリル単量体をグラフト重
合させたり、ポリエステル樹脂の両端にラジカル開始剤
を付加してアクリル単量体の重合を行わせたり、ポリエ
ステル樹脂の側鎖にラジカル開始剤を付けてアクリル単
量体の重合を行わせたり、あるいはアクリル樹脂の側鎖
に水酸基を付け、末端にイソシアネート基やカルボキシ
ル基を有するポリエステルと反応させて櫛形ポリマーと
する等によって製造することができる。
【0023】本発明において皮膜層Aに含有させる不活
性微粒子Aの材質としては、ポリスチレン、ポリスチレ
ン―ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、メ
チルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共
重合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリ
デンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ベンゾグア
ナミン樹脂等の如き有機質、シリカ、アルミナ、二酸化
チタン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシ
ウム、長石、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫
酸バリウム等の如き無機質のいずれを用いてもよい。ま
た、内外部のそれぞれの性質が異なる物質で構成される
多層構造のコア―シェル型粒子を用いてもよい。
【0024】前記不活性微粒子Aの平均粒径は好ましく
は5〜60nm、更に好ましくは10〜50nmであ
る。更には前記の高さの突起頻度を形成する粒度分布を
有するものが好ましく、粒度分布係数が1.3以上3.
0以下のものが好ましく用いられる。この粒度分布係数
の値は、粒子の大きさが或る程度の割合で分布している
ことを意味している。また、不活性微粒子Aは2種類以
上の複合成分としても構わない。また添加量は3〜30
重量%であることが好ましい。これらの範囲を逸脱する
と前記の突起頻度が得られなくなる。
【0025】皮膜層Aをポリエステルフィルム表面上に
形成させる方法としては、不活性微粒子Aとバインダー
樹脂を均一に分散させた樹脂塗液、好ましくは水性エマ
ルジョンないし懸濁塗液をポリエステルフィルムの製造
工程中にフィルム表面に塗布・乾燥固化する方法(イン
ライン法)、または二軸配向したポリエステルフィルム
に前記の塗液を塗布・乾燥固化する方法(オフライン
法)等を採用することかできるが、前者のインライン法
が好ましい。
【0026】前記樹脂塗液には、界面活性剤を配合する
ことが好ましい。この界面活性剤としては、特に限定は
されないが、ノニオン型界面活性剤、アニオン型界面活
性剤、カチオン型界面活性剤などが例示できる。この界
面活性剤の含有量は5〜40重量%の範囲が好ましい。
この界面活性剤の具体例としては、ノニオン型界面活性
剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンモノアルキレート、ソルビタンモノアルキレー
ト、ポリオキシエチレンモノアルキレート等、アニオン
型界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、アルキルエーテルサルフェート等、カチオン型界
面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルアミン等を
挙げることができる。
【0027】[皮膜層B]本発明においては、ポリエステ
ルフィルムの巻取り性を改善するために、皮膜層Aを形
成した面(A面)とは反対の面(B面)の表面粗さRaを
1〜30nm、さらには2〜20nmとするのが好まし
い。このRaが1nm未満の場合にはフィルムの巻取り
性、製膜工程での搬送性が不足し、ブロッキングが生じ
易くなる。一方、Raが30nmを超える場合には後記
する皮膜層Bが削れ易くなる問題がある。
【0028】かかる表面粗さの形成には、連続薄膜より
なる皮膜層Bを設けることが好ましい。この皮膜層Bは
不活性微粒子Bを含有することが好ましい。この不活性
微粒子Bとしては、ポリスチレン、ポリスチレン―ジビ
ニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタ
クリレート共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋
体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフル
オライド、ポリアクリルニトリル、ベンゾクアナミン樹
脂等の如き有機質からなる粒子、シリカ、アルミナ、二
酸化チタン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カ
ルシウム、長石、二硫化モリブデン、カーボンブラッ
ク、硫酸バリウム等の如き無機質からなる粒子のいずれ
を用いてもよい。またシェル・コア型の粒子であっても
よい。
【0029】前記皮膜層B中に含有させる不活性微粒子
Bの平均粒径は、10〜200nm、好ましくは20〜
100nmである。この不活性微粒子Bの含有量は3〜
50重量%、好ましくは5〜30重量%である。この微
粒子Bの平均粒径が10nm未満、あるいは含有量が3
重量%未満であると、フィルムの巻取り性、製膜工程で
の搬送性等の点で満足できず、またブロッキングを起し
易くなる。一方、平均粒径が200nmを超える場合に
は粒子が皮膜層Bから脱落しやすくなる。また皮膜層B
中の不活性微粒子Bの含有量が50重量%を超える場合
には皮膜層B自体の強度が低下して削れ易くなる。
【0030】前記不活性微粒子Bを含有して皮膜層Bを
形成するバインダー樹脂としては、皮膜層Aで例示した
樹脂と同じ樹脂を例示することができる。また、これら
に更にポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース等
の延展性(延伸性)の貧しい樹脂を添加する方法も好ま
しく用いられる。
【0031】皮膜層Bをポリエステルフィルム表面上に
形成させる方法としては、不活性微粒子Bとバインダー
樹脂を均一に分散させた樹脂塗液、好ましくは水性エマ
ルジョンないし懸濁塗液をポリエステルフィルムの製造
工程中にフィルム表面に塗布・乾燥固化する方法(イン
ライン法)、または二軸配向したポリエステルフィルム
に前記の塗液を塗布・乾燥固化する方法(オフライン
法)等を採用することかできるが、前者のインライン法
が好ましい。
【0032】前記樹脂塗液には、界面活性剤を配合する
ことが好ましい。この界面活性剤としては、特に限定は
されないが、ノニオン型界面活性剤、アニオン型界面活
性剤、カチオン型界面活性剤などが例示できる。この界
面活性剤の含有量は5〜40重量%の範囲が好ましい。
この界面活性剤の具体例としては、ノニオン型界面活性
剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンモノアルキレート、ソルビタンモノアルキレー
ト、ポリオキシエチレンモノアルキレート等、アニオン
型界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、アルキルエーテルサルフェート等、カチオン型界
面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルアミン等を
挙げることができる。
【0033】本発明においては、前記皮膜層Bを塗設す
る替わりに、共押出法により2層以上の積層ポリエステ
ルフィルムとし、B面側のフィルム層に不活性粒子を含
有させることで前記表面粗さを付与することもできる。
この不活性粒子は、例えば炭酸カルシウム、アルミナ、
二酸化ケイ素などの無機微粒子、シリコーン樹脂、架橋
ポリスチレン等の如き耐熱性高分子よりなる微粒子など
である。この不活性粒子を含有させる場合、平均粒径は
0.05〜1μmが好ましく、添加量は0.01〜0.
5重量%が好ましい。
【0034】本発明における皮膜層A及び皮膜層Bに
は、本発明の作用効果に影響を与えない範囲で、他の成
分を添加してもよい。例えば、耐ブロッキング性を更に
向上させるために、ワックス、シロキサン共重合体を添
加する方法が好ましく用いられる。
【0035】[フィルムの製造]本発明におけるポリエス
テルフィルムは、従来から知られている方法で製造する
ことができる。
【0036】例えば、二軸配向ポリエチレン―2,6―
ナフタレンジカルボキシレートフィルムで説明すると、
単層の場合、まず実質的不活性粒子を含まないポリエス
テルを口金より融点Tm℃〜(Tm+70)℃の温度で
フィルム状に押出した後、40〜90℃で急冷固化して
未延伸フィルムを得る。しかる後に、該未延伸フィルム
を常法に従って一軸方向(好適には縦方向)に(Tg−
10)℃〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリ
エステルのガラス転移温度)において1.6〜3.6
倍、好ましくは1.9〜2.6倍延伸し、次いで要すれ
ば皮膜層A及び皮膜層Bを形成する塗液をフィルム両面
にそれぞれ塗布し、その後に前記方向とは直角方向にT
g〜(Tg+25)℃の温度において5.0〜8.0
倍、好ましくは5.5〜6.0倍延伸する。更に必要に
応じて縦方向及び/又は横方向に再度延伸してもよい。
即ち、2段、3段、4段、或いは更に多段の延伸を行う
とよい。全延伸倍率は、面積延伸倍率として通常9倍以
上、好ましくは12〜35倍、更に好ましくは15〜3
2倍である。更に引き続いて、二軸配向フィルムを(T
g+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば180〜
250℃で熱固定結晶化することによって優れた寸法安
定性が付与される。なお、熱固定時間は1〜60秒間が
好ましい。
【0037】共押出法の場合、2種のポリエステルを押
出口金内又は口金以前(一般に前者はマルチマニホール
ド方式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で溶融状
態にて積層複合し、好適な厚み比となして共押出をして
2層積層の未延伸フィルムとし、その後は前記単層法と
同様に行う。この場合、ポリエステルとしては同一のも
のが好ましい。更に、皮膜層Aを形成するポリエステル
層には実質的に不活性粒子を添加しないことが好まし
い。また、B層即ち不活性粒子を含有するポリエステル
層の厚み比率は、全厚みの1/2以下にすることが、A
層面を粗面化しないために望ましい。
【0038】なお、ポリエステルフィルムの製造に際
し、ポリエステルに所望により添加剤例えば安定剤、着
色剤、溶融ポリマーの体積抵抗率調整剤(制電剤)等を
添加含有させることができる。
【0039】本発明においてポリエステルフィルムの厚
さは2μm以上7μm以下であることが好ましく、3〜
6μmが長時間磁気記録媒体用には更に好ましい。フィ
ルム厚みが7μmを超えると、カセットに巻く磁気テー
プの長さを長くして記録再生の長時間化を図ることが難
しくなる。一方、フィルム厚さが2μm未満であると、
磁気テープの起動や停止時にかかる力により、フィルム
の永久伸びが生じ、耐久性を満足させることができな
い。
【0040】[磁気テープへの適用]本発明のポリエステ
ルフィルムは、皮膜層Aの表面に、真空蒸着、スパッタ
リング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コ
バルト、クロム又はこれらを主成分とする合金もしくは
酸化物より成る強磁性金属薄膜層を形成し、またその表
面に、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカ
ーボン(DLC)等の保護層、含フッ素カルボン酸系潤
滑層を順次設け、更に皮膜層BまたはB面の表面に公知
のバックコート層を設けることにより、特に短波長領域
の出力、S/N,C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロ
ッブアウト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型
磁気記録媒体とすることが出来る。この蒸着型磁気記録
媒体は、アナログ信号記録用Hi8、デジタル信号記録
用デジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、AI
T、マンモス、DDS用テーブ媒体として用いることが
でき、特にヘリカル方式のデジタル磁気記録媒体として
極めて有用である。
【0041】本発明のポリエステルフィルムは、また、
皮膜層Aの表面に、鉄又は鉄を主成分とする針状微細磁
性粉をポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合
体等のバインダーに均一分散し、磁性層厚みが1μm以
下、好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、更
に皮膜層BまたはB面の表面に公知の方法でバックコー
ト層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S
/N,C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウ
ト、エラーレートの少ない高密度記録用メタル塗布型磁
気記録媒体とすることが出来る。また、必要に応じて皮
膜層Aの上に、メタル粉含有磁性層の下地層として微細
な酸化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁性層と同様
の有機バインダー中に分散、塗設することもできる。こ
のメタル塗布型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用8
ミリビデオ、Hi8、βカムSP,W−VHS、デジタ
ル信号記録用デジタルビデオカセットコーダー(DV
C)、データ8ミリ、DDSIV、デジタルβカム、D
2,D3,SX等用テーブ媒体として極めて有用であ
る。
【0042】
【実施例】以下、実施例にもとづいて本発明をさらに説
明する。なお、本発明における種々の物性及び特性は、
以下のようにして測定されたものであり、かつ定義され
る。また、例中の「部」は重量部を意味する。
【0043】(1)透過マイクロ波の強度 新王子製紙(株)社製の分子配向計(MOA−2001
A)を用い、フィルムの面内全方向の3.98GHzの
透過マイクロ波強度曲線を得る。これより横方向と縦方
向の透過マイクロ波強度比TMS(TD)/TMS(MD)
を求める。
【0044】(2)粒子の平均粒径、粒度分布係数 透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM−2010型)を
用いて、2000〜20万倍程度の倍率で粒子を観察す
る。100個の粒子について下記の式に基づき、その円
相当径から数平均粒子直径(Dn)と体積平均粒子直径
(Dw)をそれぞれ測定する。Dnを粒子の平均粒径と
する。
【0045】
【数1】Dn=ΣDi/100(i=1〜100) Dw=(ΣDi3/100)(1/3)(i=1〜100) 粒度分布係数=Dw/Dn
【0046】(3)微細突起の頻度 Digital Instruments社製の原子間
力顕微鏡Nano ScopeIII,AFMのJスキャ
ナーを使用し、以下の条件で2μm×2μmの範囲を1
0ケ所測定し、AFM像より各々の突起の数をカウント
し、その平均値を面積換算により(個/mm2)当たり
の突起個数として算出する。
【0047】走査モード:タッピングモード 面素数;256×256 データポイント スキャン速度;2.0Hz 測定環境;室温、大気中
【0048】(4)微細突起の高さ 前述のAFM像から各々の突起をランダムに100個選
定し、突起1個づつの高さを測定し、高さ5nm以上、
15nm以上の突起の個数をカウントする。
【0049】(5)耐ブロッキング性 2枚のフィルムの処理面と被処理面を重ね合わせ、これ
に100kg/cm2の圧力を30℃において90%R
Hの雰囲気下24時間かけた後剥離し、その剥離力で評
価する(5cm当たりのg数)。なお、評価は剥離力か
ら下記の基準で行う。 ○:剥離力0〜10g/cm未満 △:剥離力10g/cm以上〜15g/cm未満 ×:剥離力15g/cm以上〜破れ
【0050】(6)ヤング率 フィルムを試料幅10mm、長さ150mmに切り、チ
ャック間100mmにして、引張速度10mm/分、チ
ャート速度500mm/分でインストロンタイプの万能
試験装置にて引っ張る。得られる荷重−伸び曲線の立ち
上がり部の接線よりヤング率を算出する。
【0051】(7)熱収縮率 105℃に設定されたオーブン中にあらかじめ正確な長
さを測定した長さ300mm、幅10mmのフィルムを
無荷重で入れ、30分間熱処理し、その後オーブンより
フィルムを取り出し、室温に戻してからその寸法の変化
を読み取る。熱処理前の長さ(L0)と、熱処理による
寸法変化量(ΔL)より、次式から熱収縮率を算出す
る。
【0052】
【数2】熱収縮率=(ΔL/L0)×100(%)
【0053】(8)磁気テープの製造及び特性評価 (8−1)スキュー(トラックずれ) フィルムに真空蒸着によりコバルト酸素薄膜を110n
mの厚みで形成し、次にコバルト―酸素薄膜層上に、ス
パッタリング法によりダイヤモンド状カーボンを10n
mの厚みで形成させ、更に含フッ素カルボン酸系潤滑剤
を順次設け、続いて反対面にカーボンブラック、ポリウ
レタン、シリコーンからなるバックコート層を500n
m設け、スリッターにより幅8mmにスリットし、市販
のリールに巻き取り、磁気テープを作成する。
【0054】スキュー(トラックずれ)の評価は、市販
のHi8方式8mmビデオテープレコーダーを用いて2
0℃,40%RHで記録後、45℃,80%RHの条件
下で記録再生を200時間繰り返し再生して、200時
間経過後のモニター上でのずれ量を測定し、以下の基準
で判断する。 ○:初期値に対して5μsec未満 △:初期値に対して5μsec以上〜10μsec未満 ×:初期値に対して10μsec以上
【0055】(8−2)カール 幅方向にカールしたテープの曲率半径を計測して求め、
以下の基準で判定する。 ○:∞(カールなし)〜5cm以上 △:5cm未満〜3cm以上 ×:3cm未満
【0056】(8−3)走行耐久性 市販のHi8方式ビデオレコーダーにセットし、走行開
始、停止を繰り返しながら100時間走行させ、走行状
態を調べると共に出力測定を行う。この時の磁気テープ
の走行耐久性を下記のように3段階で判定する。 ○:テープの端が折れていない。ワカメ状にならない。
「削れ」がなく白粉付着がない △:テープの端の折れやワカメが若干発生し、少量の白
粉付着がみられる ×:テープの端の折れやワカメの発生が著しく、またテ
ープ削れが著しく、白粉が多量に発生する
【0057】(8−4)S/N比 ビデオノイズメーターを用い、市販のスタンダードHi
8MEテープをゼロデシベル(dB)として比較検討す
る。 ◎:+2dB以上 ○:−2〜+2dB ×:−2dB未満
【0058】[実施例1]実質的に不活性粒子を含有し
ないポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレ
ート(固有粘度(ο―クロロフェノール、温度25
℃):0.61)のペレットを170℃で6時間乾燥し
た後、押出し機に供給して305℃で溶融した。この溶
融ポリマーを押し出し機からシート状に押し出し、これ
をキャスティングドラム上で冷却固化し、未延伸フィル
ムを作成した。このようにして得られた未延伸フィルム
を120℃で予熱し、さらに低速、高速のロール間でフ
ィルム温度95℃にて縦方向に3.5倍延伸し、続いて
70℃に冷却し、続いて下記に示す組成の水溶液をフィ
ルムの片面ずつにそれぞれ塗布した。
【0059】 A面側: ・共重合ポリエステル(テレフタル酸/イソフタル酸/5―ナトリウムスルホ イソフタル酸//エチレングリコール/ビスフェノールA・プロピオンオキサイ ド2モル付加体:97/1/2//60/40) :80部 ・アクリル共重合体粒子(平均粒径30nm、粒度分布係数1.5):5部 ・界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル:15部 ・厚み(乾燥後):8nm
【0060】 B面側: ・共重合ポリエステル(テレフタル酸/イソフタル酸/5―ナトリウムスルホ イソフタル酸//エチレングリコール/ビスフェノールA・プロピオンオキサイ ド2モル付加体:97/1/2//60/40) :60部 ・アクリル共重合体粒子(平均粒径40nm、粒度分布係数1.5):10部 ・ヒドロキシエチルメチルセルロース :20部 ・界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル:10部 ・厚み(乾燥後):15nm
【0061】続いてステンターに供給し、1段目140
℃、2段目145℃、3段目155℃の3段階の横延伸
温度にて横方向に5.8倍に延伸した後、200℃で熱
処理し、続いて105℃で1.5秒間横方向に1.04
%弛緩処理し、厚み5.0μmの二軸配向ポリエチレン
―2,6―ナフタレンジカルボキシレートフィルムを得
た。表面粗さはA面側の粗さを測定した。このフィルム
のA面側に真空蒸着によりコバルト―酸素薄膜を110
nmの厚みで形成した。次にコバルト―酸素薄膜層上
に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボンを
10nmの厚みで形成させた。続いてB面にカーボンブ
ラック、ポリウレタン、シリコーンからなる厚さ500
nmのバックコート層を設け、スリッターにより幅8m
mにスリットして、リールに巻き取り、磁気テープを作
成した。
【0062】得られたポリエステルフィルム及び磁気テ
ープの特性を表1に示す。
【0063】[実施例2]実施例1のべースフィルムの
製造において、延伸条件を表1に記載した条件に変更す
る以外は実施例1と同様に製膜し、磁気テープを作成し
た。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの特
性を表1に示す。
【0064】[実施例3]実施例1のべースフィルムの
製造において、実質的に不活性粒子を含有しないポリエ
チレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートと、実
質的に不活性粒子を含有しないポリエチレン―2,6―
ナフタレンジカルボキシレートに平均粒径300nmの
シリカを0.3重量%含有させた不活性粒子含有ポリマ
ーとを、厚み5:1の割合での共押出に変更し、前者か
らなる表面層にA面塗布層を、後者からなる表面層には
塗布層を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてポ
リエチレン―2,6―ナフタレートフィルムおよび磁気
テープを得た。得られたポリエステルフィルム及び磁気
テープの特性を表1に示す。
【0065】[比較例1]実施例1のべースフィルムの
製造において、横方向弛緩処理無とする以外は、実施例
1と同様にしてポリエチレン―2,6―ナフタレンジカ
ルボキシレートフィルムおよび磁気テープを得た。得ら
れたポリエステルフィルム及び磁気テープの特性を表1
に示す。
【0066】[比較例2]実施例1のべースフィルムの
製造において、A面側の皮膜層を下記のように変更する
以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン―2,6―
ナフタレンジカルボキシレートフィルムおよび磁気テー
プを得た。得られたポリエステルフィルム及び磁気テー
プの特性を表1に示す。
【0067】 A面側 ・共重合ポリエステル(テレフタル酸/イソフタル酸/5―ナトリウムスルホ イソフタル酸//エチレングリコール/ビスフェノールA・プロピオンオキサイ ド2モル付加体:97/1/2//60/40) :77部 ・シリカ粒子(平均粒径80nm、粒度分布係数1.5):8部 ・界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル :15部 ・厚み(乾燥後):20nm
【0068】[比較例3]実施例1のべースフィルムの製
造において、延伸倍率を表1に示すように変更する以外
は、実施例1と同様にしてポリエチレン―2,6―ナフ
タレンジカルボキシレートフィルムおよび磁気テープを
得た。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープの
特性を表1に示す。
【0069】[比較例4]実施例1のべースフィルムの製
造において、A面側の皮膜層を下記のように変更する以
外は、実施例1と同様にしてポリエチレン―2,6―ナ
フタレンジカルボキシレートフィルムおよび磁気テープ
を得た。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープ
の特性を表1に示す。
【0070】 A面側 ・共重合ポリエステル(テレフタル酸/イソフタル酸/5―ナトリウムスルホ イソフタル酸//エチレングリコール/ビスフェノールA・プロピオンオキサイ ド2モル付加体:97/1/2//60/40) :80部 ・アクリル共重合粒子(平均粒径40nm、粒度分布係数1.0):5部 ・界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル:15部 ・厚み(乾燥後):8nm
【0071】[比較例5]実施例1のべースフィルムの製
造において、A面側の皮膜層を下記のように変更する以
外は、実施例1と同様にしてポリエチレン―2,6―ナ
フタレンジカルボキシレートフィルムおよび磁気テープ
を得た。得られたポリエステルフィルム及び磁気テープ
の特性を表1に示す。
【0072】 A面側 ・共重合ポリエステル(テレフタル酸/イソフタル酸/5―ナトリウムスルホ イソフタル酸//エチレングリコール/ビスフェノールA・プロピオンオキサイ ド2モル付加体:97/1/2//60/40) :75部 ・アクリル共重合粒子(平均粒径30nm、粒度分布係数1.5):5部 ・ヒドロキシプロピルメチルセルロール :5部 ・界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル:15部 ・厚み(乾燥後):8nm
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、長時間記録再生が可能
で、走行耐久性、寸法安定性が極めて良好な磁気テープ
を製造するのに有用な二軸配向ポリエステルフィルムを
提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)フィルムの分子配向計による横方
    向と縦方向の透過マイクロ波強度比(TMS(TD)/TM
    S(MD))が0.5以上0.9以下であり、(2)フィル
    ムの縦方向と横方向における105℃で30分間熱処理
    した際の熱収縮率がともに1.0%以下であり、かつ
    (3)フィルムの少なくとも一方の表面に微細突起が形
    成されており、この微細突起は、高さ5nm以上の突起
    の頻度が1000万個/mm2以上3億個/mm2以下、
    高さ15nm以上の突起の頻度が50万個/mm2以上
    1000万個/mm2未満であり、かつ該表面のAFM
    (原子間力顕微鏡)によるRa(2乗平均粗さ)が0.
    1nm以上3nm以下であることを特徴とする磁気記録
    媒体用ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 前記微細突起が、フィルムの少なくとも
    一方の面に、不活性微粒子を含有する皮膜層Aを塗設す
    ることで形成されている請求項1に記載の磁気記録媒体
    用ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 ポリエステルフィルムがポリエチレン―
    2,6―ナフタレンジカルボキシレートからなるフィル
    ムである請求項1または2に記載の磁気記録媒体用ポリ
    エステルフィルム。
  4. 【請求項4】 フィルムの厚さが2μm以上7μm以下
    である請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体用
    ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 デジタル記録方式の磁気テープに用いら
    れる請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポ
    リエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 磁性層が強磁性金属薄膜層である請求項
    1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体用ポリエステル
    フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の磁気記
    録媒体用ポリエステルフィルムを用いた磁気記録媒体。
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WO2004038703A1 (ja) * 2002-10-24 2004-05-06 Teijin Dupont Films Japan Limited 二軸配向ポリエステルフィルムおよびフレキシブルディスク

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