JPH0665753A - 鉄損特性の優れる高磁束密度方向性電磁鋼板及びその製造方法 - Google Patents
鉄損特性の優れる高磁束密度方向性電磁鋼板及びその製造方法Info
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- JPH0665753A JPH0665753A JP4220500A JP22050092A JPH0665753A JP H0665753 A JPH0665753 A JP H0665753A JP 4220500 A JP4220500 A JP 4220500A JP 22050092 A JP22050092 A JP 22050092A JP H0665753 A JPH0665753 A JP H0665753A
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Abstract
束密度方向性電磁鋼板及びその製造方法を提供する。 【構成】 Si2.5〜4.5%を含み、鋼板表面の酸
化物としてMgO、SiO2 、Al2 O3 からなるフォ
ルステライト及びスピネル物質の合計量が0.6g/m
2 以下の一次皮膜とさらにその絶縁皮膜剤の厚みが6μ
m 以下で、且つその皮膜剤によって鋼板表面に生じる面
張力が0.5〜2.0kg/mm2 であるB8 ≧1.8
8(T)のグラス皮膜を殆ど有しない鉄損特性の優れる
高磁束密度方向性電磁鋼板。
Description
ライト、スピネル系皮膜)を有しない方向性電磁鋼板及
びその製造方法に関わり、特に切断性、打抜き性等の加
工性が優れると共に、低鉄損で且つ高磁束密度の方向性
電磁鋼板及びその安価な製造方法に関する。
て、主としてトランスその他の電気機器として使用され
るもので、磁気特性として励磁特性と鉄損特性の良好な
ものが要求される。良好な磁気特性を得るためには、磁
化容易軸である<001>軸を圧延方向に高度に揃える
ことが重要である。また、板厚、結晶粒度、固有抵抗、
皮膜特性も磁気特性に大きい影響を与えるため重要であ
る。
ビターとして利用した高圧下最終冷延を特徴とする方法
により大幅に向上し、現在では磁束密度が理論値に近い
ものまで製造できるようになっている。一方、方向性電
磁鋼板の需要家における使用時に磁気特性と共に重要な
のは皮膜特性と加工性である。通常、方向性電磁鋼板は
最終仕上焼鈍時に形成するグラス皮膜と絶縁皮膜によっ
て表面処理がなされている。
鈍時に形成する酸化膜のSiO2 との反応物であるフォ
ルステライト(Mg2 SiO4 )を主成分とし、インヒ
ビターとして用いられるAlNの分解により生じるAl
2 O3 とSiO2 、MgO等によるスピネル系化合物よ
りなる皮膜である。このグラス皮膜は硬質で耐磨耗性が
強く、トランス鉄心加工時におけるスリット切断、打抜
き等の際の工具類の耐久性に著しい影響を及ぼす。例え
ば、グラス皮膜を有する方向性電磁鋼板の打抜き加工を
行う場合には、金型の磨耗が生じ、数千回程度の打抜き
によって打ち抜いたシートの返りが大きくなって使用時
に問題を生じる程になる。このため金型の再研磨、新品
との取換え等が必要になる。これは、需要家における鉄
心加工時の作業能率の低下やコストアップを招く結果に
なる。同様にしてスリット性、切断性等についてもグラ
ス皮膜による悪影響が問題である。
性についてはその皮膜張力によって鉄損の改善が得ら
れ、磁束密度が高い素材の場合には、この効果が著し
く、皮膜のない場合に比較し、20%近い鉄損の改善効
果が得られる。しかし、その形成状態、特に皮膜厚みの
増加や内部皮膜層の存在によって磁束密度の低下や磁区
細分化に際しての鉄損改善効果に悪影響を及ぼす。
技術の発達があり、また機械的、光学的、化学的等の手
段による磁区細分化技術が発達し、グラス皮膜の張力効
果なしでも鉄損の改善がはかれるようになった。このた
め、グラス皮膜による磁束密度の低下や、磁区細分化技
術により低鉄損化を行う場合に、内部酸化物の凹凸によ
る鉄損改善に弊害のない表面状態が求められるようにな
ってきた。このようなことからグラス皮膜を持たない高
磁束密度方向性電磁鋼板の方が、高磁束密度化と超低鉄
損化のために脚光を浴びるようになってきた。
造法としては、例えば特開昭53−22113号公報に
開示のものがある。これは脱炭焼鈍において酸化膜の厚
みを3μm以下として、焼鈍分離剤として含水珪酸塩鉱
物粉末を5〜40%含有する微粒子のアルミナを用い、
これを鋼板に塗布し、仕上焼鈍を行う方法である。これ
によると酸化膜を薄くし、さらに含水珪酸塩鉱物の配合
によって剥離しやすいグラス皮膜が形成され、金属光沢
を有するものが得られるとされている。
を抑制する方法として、特開昭56−65983号公報
に、水酸化アルミニウムに不純物除去用添加物20重量
部、抑制物質10重量部を配合した焼鈍分離剤を鋼板に
塗布し、0.5μm以下の薄いグラス皮膜を形成する方
法が開示されている。また、特開昭59−96278号
公報には、脱炭焼鈍で形成した酸化層のSiO2 と反応
性が弱いAl2 O3 と、1300℃以上の高温で焼成
し、活性を低下させたMgOとからなる焼鈍分離剤が開
示されている。この焼鈍分離剤によるとフォルステライ
トの形成が抑制されるというものである。
ントコアと呼ばれる方向性電磁鋼板で、磁束密度1.8
8Tesla未満と低い低級な方向性電磁鋼板をベース
とするものであり、グラス皮膜を有さない点では本発明
と類似の効果は得られるかもしれないが、本発明のよう
に高磁束密度、超低鉄損の高級な方向性電磁鋼板の開発
技術を得るまでに至っていない。
インヒビターコントロールの面で実現が困難とされてい
たグラス皮膜を有さない低鉄損の高磁束密度方向性電磁
鋼板を工業的に安価に製造する方法を提供することにあ
る。さらにこの鋼板に高張力絶縁皮膜や表面形状効果や
歪みを利用した磁区細分化技術を適用することにより、
従来のグラス皮膜形成の技術に比較して飛躍的な超低鉄
損材を得ることを目的とするものである。また、グラス
皮膜形成をほぼ完全に抑制することにより、同時に打抜
き、切断、スリット等の加工性の優れた製品を得ること
を目的とする。
は、出発材として、鋼成分として重量比でC:0.02
1〜0.075%、Si:2.5〜4.5%、酸可溶A
l:0.010〜0.040%、N:0.0030〜
0.0130%、S≦0.014%、Mn:0.05〜
0.45%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物から
なる電磁鋼スラブを用い、このスラブを1280℃未満
の温度に加熱後、熱延し、1回または中間焼鈍を挟む2
回以上の冷延を行い、最終板厚とした後、次いで脱炭焼
鈍し、窒化処理をし、焼鈍分離剤を塗布した後、高温仕
上焼鈍し、ヒートフラットニングの前または後で磁区細
分化処理を施し、絶縁皮膜剤の塗布焼付を行うことから
なる製造方法による。
ヒビター元素、例えばAl、N、Mn、S等の鋼中への
溶解を行わず、脱炭焼鈍後、材料を強還元雰囲気中で窒
化処理を行うことにより、(Al、Si)Nを主成分と
するインヒビターを形成させ、仕上焼鈍過程で良好な二
次再結晶を発達させた後、磁区細分化することを基本工
程とする。
ラス皮膜を有さない超低鉄損の方向性電磁鋼板の製造方
法においては焼鈍分離剤塗布〜仕上焼鈍〜絶縁皮膜塗布
の過程での表面処理方法に特徴がある。最終冷延された
素材は連続ラインにおいて脱炭焼鈍される。この脱炭焼
鈍により、鋼中のCの除去と一次再結晶が行われ、同時
に鋼板表面にSiO2 を主成分とする酸化膜の形成が行
われる。脱炭焼鈍は800〜875℃で、雰囲気をN2
+H2 とし、露点をコントロールして行われる。
ライン或いは別ラインで窒化処理が行われる。この際の
窒化量は150ppm以上、好ましくは150〜300
ppmとして処理される。この後、焼鈍分離剤を塗布
し、乾燥して巻き取り、最終仕上焼鈍される。この際の
焼鈍分離剤としてはMgO:100重量部に対し、L
i、Na、K、Ba、Ca、Mg、Zn、Fe、Zr、
Sn、Sr、Al等の少なくともCl化合物をClとし
て1重量部以上含み、且つCl化合物、S化合物の1種
または2種以上をClとSの合計量で1〜15重量部添
加したものを用いる。
は第2の要素技術である仕上焼鈍条件である。本発明者
等は本発明のように脱炭焼鈍後に窒化処理を行い、(A
l、Si)Nを主体とするインヒビターを形成し、焼鈍
分離材と仕上焼鈍によってグラス皮膜の形成抑制と分解
反応を同時に行い、グラス皮膜のない鋼板を得ようとす
る場合においては、最終焼鈍での雰囲気と加熱条件が二
次再結晶の安定化と高磁束密度化に極めて重要であるこ
とをつきとめた。
MnSをほとんど使用せず、(Al、Si)Nを形成
し、後にAlNへと変化させるプロセスにおいては、二
次再結晶開始温度が1100℃前後で、従来のAlN、
MnS等を同時に利用する高磁束密度材の場合よりも高
い。このため、二次再結晶開始温度領域までグラス皮膜
形成反応の抑制、分解を行いながらインヒビターを安定
に保つ必要がある。これは、本発明のように昇温時に低
温でグラス皮膜の若干の形成と反応の抑制を行い、高温
側で分解反応を生じさせる工程においては、グラス皮膜
層の形成時期の雰囲気ガスからの窒化によるNの増加
や、グラス皮膜分解時期における表面からのインヒビタ
ーの分解が生じてしまうからである。このため、本発明
のような特別な昇温条件を用いないと高磁束密度が得ら
れないばかりか二次再結晶不良を引き起こす。
形成分解が進行する昇温時をN2 30%以上とし、昇温
速度は20℃/Hr以下で加熱する。これにより、(A
l、Mn)Nや、高温側でのAlNの安定化が保たれ、
良好な二次再結晶が得られる。このように処理されたグ
ラス皮膜を有さない高磁束密度材は形状矯正と歪取焼鈍
をかねて連続ラインにおいて絶縁皮膜剤塗布とヒートフ
ラットニングが行われる。この際、張力付与が行われる
絶縁処理が重要で、低熱膨張率の皮膜剤の塗布、メッ
キ、蒸着等の手段を用いて鋼板に張力が与えられる。こ
の際の絶縁皮膜剤としては、高張力を得るため、コロイ
ド状物質としてSiO2 、ZrO2 、SnO2 、Al2
O3 等を固形分として100重量部に対し、Al、M
g、Ca等の第一リン酸塩の1種または2種以上を13
0〜200重量部、クロム酸またはクロム酸塩の1種ま
たは2種以上をクロム酸として12〜40重量部配合し
たものが用いられる。この際の皮膜の塗布厚みは2〜6
μmである。
鋼板に付与される皮膜張力は0.5〜2.0kg/mm
2 が得られる。この一連の製造工程において、冷延後、
脱炭焼鈍後、最終仕上焼鈍後、絶縁皮膜処理後等のいず
れか1ケ所または2ケ所以上でプレス、歯形ロール、ケ
ガキ、レーザー、エッチング等により圧延方向に対し4
0〜90度の方向に、線状または点状の凹み又は歪が、
間隔1〜15mm、深さ1〜25μm、幅500μm以
下で付与される。これらの磁区細分化後、必要に応じて
絶縁皮膜剤の処理や熱処理を施して製品にされる。
について述べる。まず出発材として使用する素材スラブ
の成分組成の限定理由は次の通りである。Cはその含有
量が0.021%未満では二次再結晶が不安定となり、
二次再結晶した場合にも製品の磁束密度がB8 で1.8
0Tesla程度と低いものになる。一方、0.075
%超になると、脱炭焼鈍工程で長時間を要するため、生
産性を阻害する。
する。2.5%未満では良好な鉄損値が得られない。一
方、4.5%超と多くなりすぎると冷延時に材料の割
れ、破断が多発し、安定した冷延作業を不可能にする。
本発明の出発材の成分系における特徴の1つは、Sを
0.0140%以下とすることにある。従来の公知技
術、例えば特公昭47−25220号公報に開示されて
いる技術においては、SはMnSとして二次再結晶を生
起させるのに必要な析出物を形成する元素で、前記公知
技術においてSが最も効果を発現する含有範囲があり、
それは熱延に先立って行われるスラブ加熱段階でMnS
を固溶できる量として規定されていた。
に必要な析出物として(Al、Si)Nを用いる一方向
性電磁鋼板の製造プロセスにおいては、素材中のSi量
の多いスラブを低温でスラブ加熱して熱延する場合、S
は二次再結晶不良を助長することが見出された。素材中
のSi量が4.5%以下の場合、Sは0.014%以
下、好ましくは0.0070%以下であれば二次再結晶
不良の発生は全く生じない。
て(Al、Si)Nを用いる。従って必要最低限のAl
Nを確保するためには酸可溶Alは0.010%以上、
Nは0.0030%以上必要である。しかしながら、酸
可溶Alが0.040%を超えると熱延中のAlNが不
適切となり、二次再結晶が不安定となるため、0.01
0〜0.040%に制限される。
るとブリスターと呼ばれる鋼板表面の割れが発生し、ま
た一次再結晶の粒径が調整できないため、0.0030
〜0.0130%に限定する。Mnは0.05%未満で
は二次再結晶が不安定になる。しかし多くなるとB8値
は高くなるが、一定量以上の添加はコスト面で不利とな
る。このため、0.05〜0.45%に制限される。
に対し、Li、K、Na、Ba、Ca、Mg、Zn、F
e、Zr、Sr、Sn、Al等の中から選ばれる少なく
ともCl化合物をClとして1重量部以上含ませ、且つ
Cl化合物、S化合物の1種または2種以上をCl及び
Sの合計量として1〜15重量部配合する。Cl化合物
がClとして少なくとも1重量部以上必要なのは、仕上
焼鈍昇温過程でのグラス皮膜の形成抑制と分解のために
重要だからである。特にグラス皮膜の分解反応において
は、Clは皮膜層中のFeのエッチングを行い、皮膜層
中のSiO2 、スピネル等を地鉄表層から遊離させ、表
面の焼鈍分離剤中へ吸収反応させるために必要である。
ル全面に均一にグラス皮膜を持たない製品が得られ難
く、本発明で主眼とするフォルステライト及びスピネル
化合物の合計量を0.6g/m2 以下に制御することが
困難になる。一方、Cl、Sの合計量が15重量部超で
は添加物の成分元素が鋼中に拡散してインヒビターに悪
影響を与えたり、余剰のCl、S等による粒界や粒内エ
ッチングが生じて表面状態を悪くしたり、後の純化の際
に悪影響を及ぼすため好ましくない。
段階でMgO表面が低融点化し、地鉄中に発達したSi
O2 主体のラーメン状に発達した酸化層に拡散し、早期
にフォルステライト主体のグラス皮膜層を形成する。こ
れにより鋼中への追加窒化や追加酸化が抑制される。昇
温時後段ではラーメン状に発達した酸化膜中のFe部分
がClやSによりエッチングを受け、皮膜層の分解が生
じる。この後、さらに高温での皮膜分解反応が進行する
と皮膜のない表面はサーマルエッチングを受けて、滑ら
かな鏡面的な表面が得られるものである。
ようなグラス皮膜の適度な形成と分解反応を行う工程に
おいては、仕上焼鈍の雰囲気のコントロールなしでは良
好磁性が得られない。仕上焼鈍における昇温時の雰囲気
ガスがN2 30%未満のような条件では、グラス皮膜の
分解、消失反応により(Al、Si)N、AlN等の弱
体化が生じ、二次再結晶が不良になったり、磁束密度の
低下が生じる。特にN2 20%以下の条件では著しい二
次再結晶不良を起こす。一方、N2 100%の場合に
は、焼鈍分離剤のMgO物性値によっては鋼板間が極端
な酸化性となって鋼板表面を酸化し、表面にムラを生じ
易い。最も好ましい範囲は、N2 :50〜80%の条件
である。
下に制限される。これを超える急速な加熱では昇温過程
のグラス形成抑制、分解反応と、脱インヒビター速度、
粒成長等に於けるバランスが崩れて良好な二次再結晶が
得られなくなるからである。均熱時の条件は特に特定す
るものではないが、本発明においては1150〜120
0℃にするのが有利である。本発明の方法では、均熱温
度に到達した段階ではグラス皮膜の分解反応がほぼ完了
しており、この後の均熱段階では純化反応と共にサーマ
ルエッチングが生じて、さらに鋼板の鏡面化が得られ
る。この際の純化反応はグラス皮膜がないために非常に
円滑に生起し、通常のグラス皮膜形成工程処理を施した
ものに比較して高純度化される利点がある。これによ
り、さらに鉄損低減の効果が得られる。
を塗布してヒートフラットニングするか、ヒートフラッ
トニングの後に絶縁皮膜剤を処理して鋼板に張力付与が
行われる。処理条件としては低熱膨張率の絶縁皮膜剤を
塗布し、焼付処理するか、メッキ、蒸着等の手段で鋼板
に張力を付与してもよい。絶縁皮膜剤を塗布し、焼付け
する場合にはSiO2 、ZrO2 、SnO2 、Al2 O
3 等のコロイド状物質を固形分で100重量部に対し、
Al、Mg、Ca等の中から選ばれる第一リン酸塩の1
種または2種以上130〜200重量部、クロム酸また
はクロム酸塩の1種または2種以上をCrO3 として1
2〜40重量部が用いられる。
非晶質の皮膜を形成するため重要で、これによりリン酸
塩との結合による張力効果が生じる。リン酸塩は前記コ
ロイド状物質と反応し、鋼板に密着させるためのバイン
ダーとして作用するが、特定の配合比率の場合に張力効
果を生じる。コロイド状物質100重量部に対し130
重量部未満では張力効果が低下するため好ましくない。
一方、200重量部超では同様に張力効果が低下し、ま
た歪取焼鈍時の焼付きが著しくなるため好ましくない。
2〜40重量部が配合される。12重量部未満ではリン
酸或いはフリーリン酸によるベタツキを防止するための
十分な効果が得られない。40重量部超では逆に過剰の
CrO3 によるベタツキが発生したり、皮膜外観が劣化
するので制限される。このような張力付与絶縁皮膜技術
においては皮膜の厚みは2〜6μmに制限される。この
場合には、皮膜の張力として0.5〜2.0kg/mm
2 が得られる。2μm未満の皮膜厚みでは鉄損改善のた
めの十分な効果が得られない。6μm超では張力による
鉄損改善効果が飽和状態に近ずき、また皮膜厚みによる
占積率の低下が生じて張力効果以上の問題が生じるため
好ましくない。
の工程の中でプレス、歯形ロール、ケガキ、レーザー、
局部エッチング等の機械的、光学的、化学的等の手段で
線状、点状等の凹み、歪み等を付与して磁区細分化が図
られる。これらの付与条件としては、圧延方向に対し4
5〜90度、間隔2〜15mm、深さ1〜25μmであ
る。
の関係によって決まるものであるが、2mmより小さく
なると磁束密度の低下を生じるので好ましくない。15
mm超では逆に十分な磁区細分化効果が得られなくな
る。深さは1〜25μmである。1μm未満では磁区細
分化効果が弱く鉄損の改善が不十分である。25μm超
では磁束密度の低下が大きくなって問題である。
500μm超では前記諸条件と同様磁束密度の低下や鉄
心加工時における板の滑り性等に影響するため制限され
る。本発明によりグラス皮膜を有しない超低鉄損材が得
られるメカニズムは以下のように考えられる。本発明に
おいては、新規な焼鈍分離剤と脱炭酸化膜との反応によ
り、まず仕上焼鈍の昇温前段で適正量のグラス皮膜が形
成する。これにより鋼板表面に適度なシール効果が生じ
(Al、Si)Nの安定化と鋼板の追加酸化が防止され
る。
よりグラス皮膜層をケミカルエッチングして分解し酸化
物中のSiO2 を表面のMgO側に反応させる。この後
さらに仕上焼鈍の高温均熱段階でサーマルエッチング効
果がもたらされる。この段階においては冷延時の表面荒
れ、脱炭焼鈍時の酸化膜の不均一等によって生じた鋼板
地鉄表面の凹凸が平滑化されて鏡面的な表面となる。グ
ラス皮膜が高温で消失することにより、表面の原子移動
が容易になり、表面張力を下げる結果、平滑化がもたら
されるからである。
(Al、Si)Nの分解を昇温時二次再結晶終了まで安
定化するのに雰囲気のN2 比率が重量でN2 30%以上
の雰囲気にすることにより極めて安定に保たれ、良好な
二次再結晶が得られる。このようにして得られたグラス
皮膜を有しない高磁束密度方向性材料はひきつづき処理
される高張力絶縁皮膜剤や冷延以降の工程で処理される
磁区細分化処理により、磁区細分化が図られ、超低鉄損
化される。これは、鋼板の表面がスムースで、従来のグ
ラス皮膜形成処理材に見られる内部酸化層による悪影響
がないためである。本発明においては、グラス皮膜によ
る非磁性体部の影響がないため、高張力絶縁皮膜剤の厚
みを厚くしても、従来材のように占積率や励磁特性への
影響がないから絶縁皮膜厚みを厚くすることができ、こ
れにより張力効果、絶縁性等における問題を十分に回避
できる。
0.10%、酸可溶Al;0.030%、S;0.00
70%、N;0.0070%、残部Feと不可避の不純
物からなる鋼素材を2.0mmに熱延し、1130℃で
2分間焼鈍し、酸洗後、冷延して最終板厚0.225m
mとした。
℃の雰囲気中で830℃×100秒の脱炭焼鈍を行った
後、750℃×30秒間、N2 25%+H2 75%+N
H3Dry雰囲気中で、鋼板〔N〕量が250ppmに
なるように窒化処理をし、供試材とした。この鋼板に表
1に示すような組成の焼鈍分離剤に塗布し、図1
(A)、(B)に示すように雰囲気条件を変更して仕上
焼鈍を行った。この鋼板を2%H2 SO 4 で80℃×1
0秒の軽酸洗を行って表面を活性化した後、絶縁皮膜剤
として20%コロイド状SiO2 80ml、20%コロ
イド状ZrO2 20ml、50%Al(H2 PO4 )3
50ml、CrO3 7gよりなる処理剤を塗布膜厚焼付
後厚みで4μmになるように塗布し、830℃×30秒
間焼付処理を行った。この実験における鋼板の表面状
況、皮膜量、磁気特性を表2に示す。
全面的にグラス皮膜を形成せず、良好なグラス皮膜のな
い均一な表面状況が得られた。しかし、磁気特性は、仕
上焼鈍条件が(A)によるものは何れも高磁束密度で、
鉄損値も比較材のグラス皮膜を形成したものに比較して
良好であったのに対し、仕上焼鈍条件(B)によるもの
は、何れも極端に磁束密度が低下し、不良であった。ま
た表面粗度は本発明によるものは何れもグラス皮膜形成
材に比して非常に平滑で、表面性状が改質されているこ
とが確認された。さらに加工性評価としての打抜き性も
本発明では飛躍的な改善が見られた。
0.225mmに圧延した。この鋼板にレーザーを用い
て圧延方向と直角方向に間隔5mm、深さ5μm、幅1
00μmで線状疵を付与後、830℃×100秒間、N
2 25%+H2 75%の雰囲気中で脱炭焼鈍し、次いで
N2 25%+H2 75%+NH3 中で鋼板〔N〕量が2
20ppmになるように窒化処理を行った。その後焼鈍
分離剤として表3に示す組成のものを塗布後、仕上焼鈍
を図1(A)の条件にて行った。この鋼板に20%コロ
イド状SiO2 70cc+20%コロイド状ZrO2 2
5cc+20%コロイド状SnO2 5cc+50%第一
リン酸Mg50cc+CrO 3 5gからなる絶縁皮膜剤
を塗布膜厚を変えて焼付処理を行った。この実験におけ
る皮膜の状況、磁気特性の結果を表4に示す。
的に均一にグラス皮膜を形成せず、金属光沢を呈した。
一方、比較例の焼鈍分離剤によるものは実施例1と同様
に均一なグラス皮膜を形成した。磁気特性も本発明によ
るものは何れも鉄損値が良好で絶縁皮膜の付着量3〜
4.5μmで、特に良好な鉄損値が得られた。一方、比
較例によるものは、鉄損値の到達点が本発明に比較する
と悪い結果となった。
表面の滑らかな超低鉄損の方向性電磁鋼板を得ることが
できる。
図、(B)は比較例の仕上焼鈍サイクルを示す図であ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量比でSi:2.5〜4.5%を含
み、鋼板表面の酸化物としてMgO、SiO2 、Al2
O3 からなるフォルステライト及びスピネル物質の合計
量が0.6g/m2 以下の一次皮膜とさらに絶縁皮膜剤
の厚みが6μm以下で、且つその皮膜剤によって鋼板表
面に生じる面張力が0.5〜2.0kg/mm2 であ
る、B8 ≧1.88(Tesla)の鉄損特性の優れる
高磁束密度方向性電磁鋼板。 - 【請求項2】 重量比でC:0.021〜0.075、
Si:2.5〜4.5%、酸可溶Al:0.010〜
0.040%、N:0.0030〜0.0130%、S
≦0.0140%、Mn:0.05〜0.45%、残部
がFeと不可避の不純物からなるスラブを1280℃未
満の温度で加熱した後、熱延し、引き続き必要に応じて
熱延板焼鈍し、1回または焼鈍を挟む2回以上の冷延に
より最終板厚とし、次いで脱炭焼鈍し、窒化処理し、焼
鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍し、絶縁皮膜剤を塗布する
低温スラブ加熱の方向性電磁鋼板の製造方法において、
MgO:100重量部に対し、少なくともCl化合物を
Clとして1重量部以上含み、且つCl化合物、S化合
物の1種または2種以上をCl、Sの合計量で1〜15
重量部含む焼鈍分離剤を塗布し、仕上焼鈍における昇温
時の雰囲気をN2 :30%以上含むN2 +H2 雰囲気中
で、且つ昇温率を20℃/Hr以下で焼鈍し、次いで張
力付与型の絶縁皮膜剤を焼付け後の厚みで2〜6μmと
なるように塗布焼付処理することを特徴とするグラス皮
膜を有しない鉄損特性の優れる高磁束密度方向性電磁鋼
板の製造方法。 - 【請求項3】 冷延後、脱炭焼鈍後、仕上焼鈍後、絶縁
皮膜処理後のいずれか1工程以上で、プレス、歯形ロー
ル、ケガキ、レーザー、局部エッチング等により鋼板の
圧延方向に対し45〜90度、間隔2〜15mm、凹み
深み1〜25μm、凹み幅500μm以下の線状或いは
点状の凹み、歪みを付与し、磁区細分化を行うことを特
徴とする請求項2記載の鉄損特性の優れる高磁束密度方
向性電磁鋼板の製造方法。
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JP2018508647A (ja) * | 2014-12-24 | 2018-03-29 | ポスコPosco | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
JPWO2019013354A1 (ja) * | 2017-07-13 | 2020-04-30 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
-
1992
- 1992-08-19 JP JP4220500A patent/JP2671084B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN102492816A (zh) * | 2011-12-19 | 2012-06-13 | 武汉钢铁(集团)公司 | 采用间歇式渗氮生产高磁感取向硅钢带的方法 |
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JPWO2019013354A1 (ja) * | 2017-07-13 | 2020-04-30 | 日本製鉄株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
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