JPH0665360A - ポリヒドロキシカルボン酸およびその製造方法 - Google Patents

ポリヒドロキシカルボン酸およびその製造方法

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JPH0665360A
JPH0665360A JP4337321A JP33732192A JPH0665360A JP H0665360 A JPH0665360 A JP H0665360A JP 4337321 A JP4337321 A JP 4337321A JP 33732192 A JP33732192 A JP 33732192A JP H0665360 A JPH0665360 A JP H0665360A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直接脱水縮合により、ヒドロキシカルボン酸
類から、不純物のない白色のポリヒドロキシカルボン酸
類を得ることおよびフィルムや糸等の成形物にして充分
な強度を持った高分子量のポリヒドロキシカルボン酸類
を得ることを目的とする。 【構成】 実質的に水の非存在下で、ヒドロキシカルボ
ン酸類またはそのオリゴマーを、有機溶媒を含む反応混
合物中で脱水縮合反応し、重量平均分子量が約15,0
00以上であるポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用材料や汎用樹脂
の代替物として有用な生分解性ポリマーであるポリヒド
ロキシカルボン酸、並びに該ポリヒドロキシカルボン酸
をヒドロキシカルボン酸から直接脱水縮合により製造す
る方法に関する。ヒドロキシカルボン酸の中でも、特に
乳酸は、自然界に広く分布し動植物および人畜に対して
無害であり、その重合物であるポリ乳酸は、水の存在下
で比較的容易に加水分解を受け、また、生体内でも加水
分解され吸収されるところから上記用途に用い得るポリ
マーとして注目されている。
【0002】
【従来技術】ポリヒドロキシカルボン酸であるポリ乳
酸、または、ポリグリコール酸は、一般に、乳酸または
グリコール酸の環状二量体であるラクチドまたはグリコ
リドを開環重合することにより得られていた。
【0003】米国特許明細書第2,703,316に
は、D,L−乳酸を一旦オリゴマー化した後、減圧下、
200〜250℃でラクチドを単離し、さらに、酢酸エ
チルから数回再結晶して得られた融点120℃以上のラ
セミ−ラクチドを開環重合することにより対数粘度数
(η)0.45dl/g以上のポリD,L−乳酸が得ら
れ、強靭なフィルムや糸にすることができると記載され
ている。また、この中には、乳酸から直接縮合により得
られるポリマーは脆く延伸できないことが述べられてい
る。
【0004】米国特許明細書第2,758,987に
は、L−乳酸から同様の方法で得られた融点94℃以上
のL,L−ラクチドから、対数粘度数(η)が0.4d
l/g以上のポリL−乳酸の製造法が示されている。
【0005】しかし、ポリマー原料に適したラクチドや
グリコリドの製造には、蒸留、再結晶等多大の労力と費
用を必要とするため経済的でなく、また、ラクチドやグ
リコリドのような環状ラクトンを形成しないヒドロキシ
カルボン酸を共重合する際には、この方法を用いること
はできない。
【0006】一方、乳酸やグリコール酸等のヒドロキシ
カルボン酸の直接重縮合反応は、二塩基酸と多価アルコ
ールによるエステル化反応と同様に逐次反応であり、反
応時間と共に分子量は増大する。また、この際生成する
水は、加水分解作用により重縮合体の分子量を低下させ
る作用を有するので、生成する水を系外へ除去すること
が高分子量ポリ乳酸やポリグリコール酸等のポリヒドロ
キシカルボン酸を得るために必要であった。
【0007】日本特許公開公報昭和59年第96,12
3号には触媒の不存在下に、反応温度220〜260
℃、圧力10mmHg以下で縮合反応を行いい、分子量
4,000以上のポリ乳酸を得る技術が示されている。
【0008】また、米国特許明細書第4,273,92
0にはイオン交換樹脂を触媒として脱水縮合した後触媒
を除去することによる乳酸とグリコール酸のコポリマー
が開示されており、それらは実質的に触媒を含まず対数
粘度数(η)が0.08〜0.30dl/gであり平均
分子量が6,000〜35,000のものである。
【0009】しかし、上記方法では高分子量のポリマー
を得るためには180℃以上の高温度を必要としてお
り、このような条件で得られるポリマーは着色したり、
熱分解による不純物を含む等の問題がある。
【0010】さらに、これらの方法で得られるポリマー
の分子量にも限界があり、フィルムや糸等の成形物にし
て充分な強度を持ったポリマーを得ることはできない。
【0011】
【課題を解決しようとする課題】本発明は、ヒドロキシ
カルボン酸類の直接脱水縮合により、上記従来技術の欠
点を克服した熱分解による不純物を含まず、着色のない
ポリヒドロキシカルボン酸類を得ることおよびフィルム
や糸等の成形物にして充分な強度を持ったポリヒドロキ
シカルボン酸類およびその製造法を提供することを課題
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、ヒドロキシカ
ルボン酸の直接脱水縮合反応により、ポリヒドロキシカ
ルボン酸およびそれらを製造する方法を提供するもので
ある。すなわち、本発明は、ヒドロキシカルボン酸類ま
たはそのオリゴマーを、有機溶媒中、実質的に水の非存
在下に縮合することを特徴とするポリヒドロキシカルボ
ン酸の製造方法、および該製造方法で製造したポリヒド
ロキシカルボン酸並びに、平均分子量50,000以
上、または対数粘度数(η)が0.40dl/g以上
で、13C−NMRスペクトルにおいて少なくとも約16
9.27ppm、約169.31ppm、約169.4
2ppm、約169.49ppm、約169.66pp
mに5本の吸収を持つ、D−乳酸単位とL−乳酸単位か
らなるポリヒドロキシカルボン酸である。
【0013】本発明の製造方法の特徴は、ヒドロキシカ
ルボン酸類の加熱脱水縮合反応を有機溶媒中で行ない、
生成した水を該有機溶媒と共に反応系外に留出させるこ
とにあるが、好ましくはヒドロキシカルボン酸類の加熱
脱水縮合反応を有機溶媒中で行ない、生成した水を該有
機溶媒と共に反応系外に留出させるとともに、留出した
有機溶媒に溶解する水分量以下の水分量を有する有機溶
媒を追加溶媒として反応系に装入しながら反応すること
にある。
【0014】本発明の製造方法に使用できる有機溶媒
は、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化
水素系溶媒、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨ−ド
ベンゼン、ジクロロベンゼン、1,1,2,2−テトラ
クロロエタン、p-クロロトルエン等のハロゲン系溶媒、
3−ヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等の
ケトン系溶媒、ジブチルエ−テル、アニソ−ル、フェネ
トール、o−ジメトキシベンゼン、p−ジメトキシベン
ゼン、3−メトキシトルエン、ジベンジルエーテル、ベ
ンジルフェニルエーテル、メトキシナフタレン等のエー
テル系溶媒、フェニルスルフィド、チオアニソール等の
チオエーテル溶媒、安息香酸メチル、フタル酸メチル、
フタル酸エチル等のエステル系溶媒、ジフェニルエーテ
ル、または4−メチルフェニルエーテル、3−メチルフ
ェニルエーテル、3−フェノキシトルエン等のアルキル
置換ジフェニルエーテル、または、4−ブロモフェニル
エーテル、4−クロロフェニルエーテル、4ーブロモジ
フェニルエーテル、4−メチル−4’−ブロモジフェニ
ルエーテル等のハロゲン置換ジフェニルエーテル、また
は、4−メトキシジフェニルエーテル、4−メトキシフ
ェニルエーテル、3−メトキシフェニルエーテル、4−
メチル−4’−メトキシジフェニルエーテル等のアルコ
キシ置換ジフェニルエーテル、または、ジベンゾフラ
ン、キサンテン等の環状ジフェニルエーテル等のジフェ
ニルエーテル系溶媒が挙げられ、これらは、混合して用
いてもよい。そして、溶媒として容易に水と分液分離で
きるものが好ましく、特に平均分子量の高いポリヒドロ
キシカルボン酸を得るためにはエーテル系溶媒、アルキ
ル−アリールエーテル系溶媒およびジフェニルエーテル
系溶媒がより好ましいが、アルキル−アリールエーテル
系溶媒およびジフェニルエーテル系溶媒が特に好まし
い。
【0015】これらの溶媒の使用量は得られるポリマー
の濃度で10〜80%であることが好ましい。
【0016】本発明の製造方法において、生成した水を
反応系外に留出させるには、用いた有機溶媒と水との共
沸によることが好ましい。共沸により留出した有機溶媒
は、含有する水の量が該有機溶媒に対する水の溶解度よ
り多い場合は分液により水を除去した後、反応系内に戻
して良く、さらに用いた有機溶媒に溶解した水を除くた
めに、乾燥剤で処理したり、蒸留等により水分量を低下
させた後、反応系に戻しても良い。また共沸により留出
した有機溶媒の代わりに、新たな水分量の低い有機溶媒
を装入しても良い。また反応の始めの部分で水分を減圧
により除去し、その後に有機溶媒を含む反応混合物より
有機溶媒の一部を除去することにより、反応混合物の水
分を所定の値とすることもできる。
【0017】本発明は要は水分を除去しつつ縮合反応を
進めるものであり、この実施態様としては、溶媒は水と
共沸するものでもしないものでもよく、水と分液するも
のでもしないものでもよい。また、他の実施態様として
は、過剰の溶媒を予め装入しておき、単に溶媒を抜き出
すのみで脱水する方法、反応溶媒を他の溶媒を用いて乾
燥する方法等も含まれる。またさらに変形として、反応
溶媒自体を液状のまま水分を除去してもよい。また、本
発明の反応温度については、溶媒が水と共沸するため
に、沸点が低下したとしても所定の温度で行われればよ
い。
【0018】ポリヒドロキシカルボン酸の平均分子量
は、反応系に装入する有機溶媒の水分量にも依存し、溶
媒の種類にもよるが、溶媒が400〜500ppmと高
い水分量を有する場合、得られるポリヒドロキシカルボ
ン酸の平均分子量は、15,000〜50,000であ
る。しかしながら、上記高水分量でもジフェニルエーテ
ル系溶媒を用いると40,000〜50,000の平均
分子量のポリヒドロキシカルボン酸が得られることは驚
くべきことである。更に高い平均分子量のポリヒドロキ
シカルボン酸を得るためには、反応系に挿入する有機溶
媒の水分量が低いことが望ましく、共沸により留出した
有機溶媒を乾燥剤で処理して水を除去または減少して反
応系に戻すか、水分量の低い新たな有機溶媒を挿入する
ことにより、挿入する水分量を50ppm以下とするこ
とにより、平均分子量Mw50,000〜200,00
0のポリヒドロキシカルボン酸を得ることができる。
【0019】本発明の製造方法において、平均分子量の
高いポリヒドロキシカルボン酸を得るために用いる乾燥
剤としては、モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシ
ーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシー
ブ13X等のモレキュラーシーブ類、アルミナ、シリカ
ゲル、塩化カルシム、硫酸カルシウム、五酸化二リン、
濃硫酸、過塩素酸マグネシウム、酸化バリウム、酸化カ
ルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、あるい
は水素化カルシウム、水素化ナトリウム、水素化リチウ
ムアルミニウム等の金属水素化物、または、ナトリウム
等のアルカリ金属等があげられる。中でも、取扱い及び
再生の容易さからモレキュラーシーブ類が好ましい。
【0020】本発明の製造方法における反応温度は、ポ
リマーの生成速度および生成したポリマーの熱分解速度
を考慮して、好ましくは80〜200℃であり、より好
ましくは、110〜170℃である。縮合反応は、通
常、常圧下に使用する有機溶媒の留出温度で行われる。
反応温度を好ましい範囲にするために高沸点の有機溶媒
を用いる場合には、減圧下で行っても良いし、低沸点の
有機溶媒を用いる場合には、加圧下で行っても良い。
【0021】本発明に使用するヒドロキシカルボン酸
は、分子内にヒドロキシ基を有する脂肪族カルボン酸類
であり、例えば、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ
ブチリックアシッド、4−ヒドロキシブチリックアシッ
ド、3−ヒドロキシバレリックアッシド、5−ヒドロキ
シバレリックアッシド、6−ヒドロキシカプロン酸等が
挙げられる。分子内に不斉炭素を有する場合はD体、L
体、それぞれ単独であっても良いし、D体とL体の混合
物すなわちラセミ体であってもよい。また、例えば乳酸
とグリコール酸とを混合使用してコポリマーを製造する
ように、一つのヒドロキシカルボン酸に他のヒドロキシ
カルボン酸を混合しても良い。
【0022】本発明の反応においては、触媒を使用して
も使用しなくても良いが、触媒を用いるばあいには、反
応速度を上げることができる。使用する触媒としては、
周期表II、III、IV、V族の金属、その酸化物あ
るいはその塩等が挙げられる。具体的には、亜鉛末、錫
末、アルミニウム、マグネシウム等の金属、酸化錫、酸
化アンチモン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグ
ネシウム、酸化チタン等の金属酸化物、塩化第一錫、塩
化第二錫、臭化第一錫、臭化第二錫、フッ化アンチモ
ン、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等
の金属ハロゲン化物、硫酸錫、硫酸亜鉛、硫酸アルミニ
ウム等の硫酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸
塩、酢酸錫、オクタン酸錫、乳酸錫、酢酸亜鉛、酢酸ア
ルミニウム等の有機カルボン酸塩、トリフルオロメタン
スルホン酸錫、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、ト
リフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、メタンスル
ホン酸錫、p−トルエンスルホン酸錫等の有機スルホン
酸塩が挙げられる。その他、ジブチルチンオキサイド等
の上記金属の有機金属酸化物、または、チタニウムイソ
プロポキサイド等の上記金属の金属アルコキサイド、ま
たは、ジエチル亜鉛等の上記金属のアルキル金属、また
は、ダウエックス、アンバーライト等のイオン交換樹脂
等が挙げられる。
【0023】その使用量は、使用するヒドロキシカルボ
ン酸、または、それらのオリゴマーの0.0001〜1
0重量%が良く、経済性を考えると、0.001〜2重
量%が好ましい。
【0024】本発明の製造方法では、系外から水分が入
らないように、不活性ガス雰囲気下で行うことが好まし
く、不活性ガスで置換しながら又は不活性ガスでバブリ
ングしながら行っても良い。
【0025】本発明の縮合反応は、連続操作でも回分操
作でも行うことができる。また溶媒の脱水、溶媒の装入
も連続操作でも回分操作でも行うことができる。
【0026】本発明の製造方法では、反応で生成した水
を有機溶媒と共に反応系外に留出させながら反応するこ
とができるが、好ましくは生成した水を有機溶媒と共に
反応系外に留出させるとともに、留出した有機溶媒に溶
解する水分量と同じか又は低い水分量を有する有機溶媒
を反応系に装入しながら反応することができ、その実施
態様の好ましい一例を原料モノマーとして90%のL−
乳酸(残部のほぼ全量が水である。)を用いて以下に記
載する。
【0027】水分離器(例えばDean Stark
trap)を備えた反応器に、溶媒および所定量の90
%のL−乳酸と所定量の触媒を装入し、反応器を加熱
し、共沸により溶媒と水を留出させ水分離器に導く。最
初は、原料L−乳酸中に含まれる水が大量に溶媒と共に
留出する。溶媒の溶解度以上の水を水分離器で分離して
系外に除去し、溶解度分の水を含んだ溶媒は、反応系に
戻す。この段階で原料L−乳酸に含まれる水がほぼ完全
に留出するとともに、L−乳酸がオリゴマー化する。こ
の段階での平均分子量は、500〜1,000であり、
環状二量体(すなわちラクタイド)を含んでいても良い
し、平均分子量が5,000程度までになっていても良
い。この間の反応時間はおよそ0.5時間から数時間で
ある。このオリゴマー化の反応は、あらかじめ別の反応
器で、無溶媒、無触媒、減圧下で行っていても良いし、
無触媒で溶媒を用いて行っても良い。このまま溶媒の留
出温度で、反応が進むにつれて生成する水を除去し、水
で飽和した溶媒を反応系に戻しながら反応をつづけも良
いが、数十時間反応しても、溶媒の種類にもよるが、平
均分子量15,000〜50,000のものが得られ
る。さらに高分子量のポリマーを得るには、したがっ
て、原料中の水がほぼ留出した後、水分離器をはずし、
モレキュラーシーブ等の乾燥剤を充填した管をとりつ
け、留出する溶媒がこの管をとおって還流するようにす
るか、留出した溶媒を、乾燥剤を入れた別の反応器で処
理して反応器に戻すようにするか、または新たな水分含
量の低い溶媒を反応器に装入する。これらの方法により
溶媒に溶解する水の量を50ppm以下にし、このまま
数十時間反応つづけることにより、溶媒の種類にもよる
が、平均分子量50,000〜200,000のポリL
−乳酸を得ることができる。反応終了後、所望のポリ乳
酸を得る処理方法はどのような方法でも良いが、例え
ば、反応液に塩化メチレンを加え、その後メタノールに
排出し、析出した結晶を濾過、乾燥すれば、所望のポリ
L−乳酸が得られる。
【0028】本発明の方法により得られるポリヒドロキ
シカルボン酸類の平均分子量は、溶媒の種類、触媒の種
類および量、反応温度、反応時間、共沸により留出した
溶媒の処理方法等を変えることにより、種々のものが得
られるが、約15,000〜200,000である。ま
た、本発明の方法により得られるポリヒドロキシカルボ
ン酸は、低温で縮合反応することができるために、着色
したり、熱分解による不純物を含む等の問題がなく、比
較的低分子量のポリマーの用途である接着剤やコーティ
ング材等に用いた場合でも着色がなく、染色により望み
の色が得られる等の外観上のメリットがある。また、徐
放性材料等の医療用途の場合には安全性の点から不純物
の含有量の少ないものが求められる。
【0029】そして特に、本発明の方法により、ラクタ
イド等の環状ダイマーを用いず、平均分子量50,00
0以上のポリヒドロキシカルボン酸類が容易に得られる
ことは、驚くべきことであり、モノマーから直接これほ
どの高分子量のポリヒドロキシカルボン酸類が得られる
ことはこれまで知られていなかった。この様にして得ら
れた高分子量のポリヒドロキシカルボン酸類は、フィル
ム、成形物等に加工した場合に、十分な強度と靱性を持
ち、そのまま容器等の用途に用いることができる。特に
本発明の製造方法によって製造したポリマーでフィルム
に成形した場合、平均分子量50,000(η=0.4
0dl/g)より低いものでは、引っ張り強度および伸
び率が十分ではなく、フィルムとして使用するに難点が
ある。そのため、フィルムとして使用する場合強度や伸
びの点で、このポリマーの平均分子量は、50,000
(η=0.40dl/g)以上が要求され、好ましくは
70,000(η=0.57dl/g)以上、より好ま
しくは100,000(η=0.78dl/g)以上の
平均分子量が要求されるが、本発明の製造方法によれ
ば、このフィルムに用いて好適な分子量のポリヒドロキ
シカルボン酸類が容易に得られる。またさらに、これら
高分子量のポリヒドロキシカルボン酸類は、延伸、ブロ
ー、真空成形等の二次加工を行なうことができる。従っ
て、本発明の方法により得られる高分子量のポリヒドロ
キシカルボン酸類は、医療用材料としてあるいは、発泡
体、網状体等の従来の汎用樹脂の代替物として使用する
ことができる。
【0030】また、ポリヒドロキシカルボン酸類がコポ
リマーである場合、該コポリマーをラクタイドやグリコ
ライド等の環状中間体から製造する従来の方法(以下、
ラクタイド法という)では、2つの同一のモノマーがペ
アになった状態でポリマー中のモノマーの配列が構成さ
れるのに対し、本発明の製造法で得られるコポリマー
は、2つのモノマーがランダムに配列した構造を有し、
それらが示す物性も異なる。例えば、本発明の製造法で
製造できるD−乳酸とL−乳酸のランダムコポリマーで
あるポリD,L−乳酸と、ラクタイド法で得られるポリ
D,L−乳酸では、Fig.1〜Fig.3に示すように、カル
ボニル基の13C−NMRスペクトルパターンが異なり、
本発明の製造法で製造できるD−乳酸とL−乳酸のラン
ダムコポリマーであるポリD,L−乳酸のカルボニル基
では、少なくとも約169.27ppm、約169.3
1ppm、約169.42ppm、約169.49pp
m及び約169.66ppmに5本の特異な吸収を示
す。この様な特異な吸収を示す分子量50,000(η
=0.40dl/g)以上のランダムコポリマーのポリ
D,L−乳酸は、本発明の製造方法で初めて製造され
た。このランダムコポリマーのポリD,L−乳酸は、Fi
g.4の熱分析データから明らかなように、融点が対応す
るラクタイド法で得られたポリD,L−乳酸のそれより
低く、ヒートシール性や、加工性がよい等の実用的なメ
リットを有する。例えば、D−体10%とL−体90%
からなる分子量130,000(η=0.94dl/
g)のランダムコポリマーの融点は、115.6℃であ
り、対応するラクチド法の分子量130,000(η=
0.94dl/g)のポリマーの融点は、130.9℃
であ。この融点の差は、加工性がよい等の実用的なメリ
ットを生み出し、例えばヒートシール性が著しく改善さ
れたフィルムとして利用される。また、融点と結晶化度
が低いので、軟質のポリマーとして利用する場合には、
用いる可塑剤の量を減少することができる。
【0031】さらにD−体を3〜25%含む本発明の製
造方法により製造できるポリD,L−乳酸は、フィルム
にしたとき優れた透明性を示し、D−体の含有量は、5
〜20%が好ましい。
【0032】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定
されるものではない。
【0033】なお、本明細書記載のポリヒドロキカルボ
ン酸類の平均分子量(MW)は、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー(カラム温度40℃、クロロホルム
溶媒)により、ポリスチレン標準サンプルとの比較でも
とめた。
【0034】また、溶媒中の水分は、カールフィシャー
水分計(MKC−210、京都電子工業株式会社製)を
用いて行った。また、本発明のポリヒドロキシカルボン
酸類の対数粘度数(η)は、ウベローデ粘度計を用い、
ポリヒドロキカルボン酸類を塩化メチレン100ml当
たり0.1g溶解した溶液を用いて20℃で測定し、下
記式から求めた。
【0035】η=ln(t/t0)/C (ここでtは溶液の流出時間、t0は溶媒の流出時間、
Cは溶液の濃 度(g/dl)を表わす。)実施例中、
溶媒中の水分は、カールフィシャー水分計(MKC−2
10、京都電子工業株式会社製)を用いて行った。
【0036】実施例1 Dean Stark trapを備えた装置を用い、
90%L−乳酸40.2gをトリフルオロメタンスルホ
ン酸錫(以後TFS錫と略す)0.1gの存在下、m−
キシレン400ml中で2時間、138℃で共沸脱水を
行った。Dean Stark trap内に溜まった
水を系外に除去した後、Dean Stark tra
pをモレキュラーシーブ3A、40gが充填された管に
付け替え、留出した溶媒が、モレキュラーシーブ層中を
通って反応機に戻るようにした。その後、138℃で4
0時間共沸脱水した。なお、モレキュラーシーブ通過後
の溶媒中の水分量は、3ppmであった。反応液を約2
倍に濃縮後塩化メチレン300mlを加えた。その後、
メタノール900ml中に排出し、析出した結晶を吸引
濾過し、続いてメタノール洗浄を行った。減圧乾燥後、
白色のポリ乳酸20.3g(収率70%)を得た。生成
したポリ乳酸の平均分子量は、60,000であった。
【0037】実施例2 Dean Stark trapを備えた装置を用い、
90%L−乳酸40.2gを金属錫0.1gの存在下、
メシチレン200ml中で、163℃で2時間共沸脱水
を行った。Dean Stark trap内に溜まっ
た水を系外に除去した後、Dean Stark tr
apをモレキュラーシーブ5A、40gが充填された管
に付け替え、留出した溶媒が、モレキュラーシーブ層中
を通って反応機に戻るようにした。その後、163℃で
20時間共沸脱水を行った。なお、モレキュラーシーブ
通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反
応液を約2倍に濃縮後塩化メチレン300mlを加え、
吸引濾過した。その後、メタノール900ml中に排出
し、析出した結晶を吸引濾過し、続いてメタノール洗浄
を行った。減圧乾燥後、白色のポリ乳酸23.1g(収
率79%)を得た。生成したポリ乳酸の平均分子量は、
60,000であった。
【0038】実施例3 Dean Stark trapを備えた装置を用い、
90%L−乳酸40.2gを金属錫0.5gの存在下、
アニソール85ml中で、154℃で2時間共沸脱水を
行った。Dean Stark trap内に溜まった
水を系外に除去した後、Dean Stark tra
pをモレキュラーシーブ3A、40gが充填された管に
付け替え、留出した溶媒が、モレキュラーシーブ層中を
通って反応機に戻るようにした。その後、154℃で4
5時間共沸脱水を行った。なお、モレキュラーシーブ通
過後の溶媒中の水分量は、1ppmであった。この反応
液を約2倍に濃縮後塩化メチレン300mlを加え、吸
引濾過した。その後、メタノール900ml中に排出
し、析出した結晶を吸引濾過し、続いてメタノール洗浄
を行った。減圧乾燥後、白色のポリ乳酸24.4g(収
率84%)を得た。得られたポリマーの対数粘度数
(η)は、0.84であった。生成したポリ乳酸の平均
分子量は、100,000であった。
【0039】実施例4 モレキュラーシーブ3A、40gを入れた管を取り付
け、留出した溶媒がモレキュラーシーブ層中を通って反
応機に戻るようにした装置を用い、あらかじめ、90%
L−乳酸40.2gを金属錫0.3gの存在下、150
℃、40mmHgで2時間脱水縮合して得た乳酸オリゴ
マー30.0gを金属錫を除去せずに、o−ジクロロベ
ンゼン300mlを加え、130℃/180mmHgで
45時間共沸脱水した。なお、モレキュラーシーブ通過
後の溶媒中の水分量は、1ppmであった。この反応液
を約2倍に濃縮後塩化メチレン300mlを加え、吸引
濾過した。その後、メタノール900ml中に排出し、
析出した結晶を吸引濾過し、続いてメタノール洗浄を行
った。減圧乾燥後、白色のポリ乳酸18.8g(収率7
3%)を得た。生成したポリ乳酸の平均分子量は、5
0,000であった。
【0040】実施例5 Dean Stark trapを備えた装置を用い、
90%L−乳酸32.2gと90%D,L−乳酸8.0
gを金属錫0.5gの存在下、アニソール85ml中
で、154℃で5時間共沸脱水を行った。Dean S
tark trap内に溜まった水を系外に除去した
後、Dean Stark trapをモレキュラーシ
ーブ3A、40gが充填された管に付け替え、留出した
溶媒が、モレキュラーシーブ層中を通って反応機に戻る
ようにした。その後、154℃で50時間共沸脱水を行
った。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分
量は、1ppmであった。この反応液を約2倍に濃縮後
塩化メチレン300mlを加え、吸引濾過した。その
後、メタノール900ml中に排出し、析出した結晶を
吸引濾過し、続いてメタノール洗浄を行った。減圧乾燥
後、白色のポリ乳酸23.5g(収率81%)を得た。
生成したポリ乳酸の平均分子量は、80,000であっ
た。
【0041】実施例6 Dean Stark trapを備えた装置を用い、
90%L−乳酸30.0gとDL−ヒドロキシブチリッ
クアシッド10.0gを金属錫0.1gの存在下、メシ
チレン400ml中で、163℃で2時間共沸脱水を行
った。DeanStark trap内に溜まった水を
系外に除去した後、Dean Stark trapを
モレキュラーシーブ3A、40gが充填された管に付け
替え、留出した溶媒がモレキュラーシーブ層中を通って
反応機に戻るようにした。その後、163℃で30時間
共沸脱水した。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒
中の水分量は、2ppmであった。この反応液を約2倍
に濃縮後塩化メチレン300mlを加えた。その後、メ
タノール900ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾
過し、続いてメタノール洗浄を行った。減圧乾燥後、コ
ポリマー23.5g(収率78%)を得た。生成したコ
ポリマーの平均分子量は、50,000であった。
【0042】実施例7 モレキュラーシーブ3A、40gを入れた管を取り付
け、留出した溶媒がモレキュラーシーブ層中を通って反
応機に戻るようにした装置を用い、あらかじめ、90%
L−乳酸30.0gと4−ヒドロキシ−n−ブチリック
アシッド5.0gを金属錫0.5gの存在下、150
℃、40mmHgで2時間加熱撹拌して得たオリゴマー
を原料として、触媒を除去せずに、メシチレン400m
lを加え、163℃で25時間共沸脱水を行った。な
お、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、3
ppmであった。この反応液を約2倍に濃縮後塩化メチ
レン300mlを加えた。その後、メタノール900m
l中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続いてメタ
ノール洗浄を行った。減圧乾燥後、コポリマー20.0
g(収率78%)を得た。生成したコポリマーの平均分
子量は、50,000であった。
【0043】実施例8 90%L−乳酸36.0gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を流出しながら加熱撹拌しオリゴマー
25.3gを得た。これに、錫末0.088gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.4
17gとアセトフェノン150gを加え、130℃/8
0mmHgで1時間共沸脱水反応を行った。Dean
Stark trap内に溜まった水を系外に除去した
後、Dean Stark trapをモレキュラーシ
ーブ3A、40gが充填された管に付け替え、留出した
溶媒がモレキュラーシーブ層中を通って反応機に戻るよ
うにした。その後、130℃/80mmHgで55時間
反応を行った。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒
中の水分量は、2ppmであった。この反応液にクロロ
ホルム170gを加え、吸引濾過し錫末を除去した。こ
のクロロホルム溶液をメタノール600ml中に排出
し、析出した結晶を吸引濾過し、続いて、メタノール洗
浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/5mmHgで減圧
乾燥後、白色のポリ乳酸19.4g(収率75%)を得
た。生成したポリ乳酸の平均分子量は、70,000で
あった。
【0044】実施例9 90%L−乳酸36.0gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
25.6gを得た。これに、錫末0.088gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.4
17gとフェネトール150gを加え、170℃で1時
間共沸脱水反応を行い水分を除去し、その後、Dean
Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ
3A、20gが充填された管を取り付け、留出する溶媒
がモレキュラーシーブを通って再び系内に戻るようにし
た。170℃で55時間反応を行った。なお、モレキュ
ラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであっ
た。この反応液にクロロホルム170gを加え、吸引濾
過し錫末を除去した。このクロロホルム溶液をメタノー
ル600ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、
続いて、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30
℃/5mmHgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸18.6
g(収率72%)を得た。得られたポリ乳酸の平均分子
量は、75,000であった。
【0045】実施例10 90%L−乳酸36.0gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を流出しながら加熱撹拌しオリゴマー
25.5gを得た。これに、錫末0.088gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.4
17gとp−ジメトキシベンゼン150gを加え、15
2℃/135mmHgで1時間共沸脱水反応を行い水分
を除去し、その後、Dean Stark trapを
はずし、モレキュラーシーブ3A、20gが充填された
管を取り付け、留出する溶媒がモレキュラーシーブを通
って再び系内に戻るようにした。152℃/135mm
Hgで50時間反応を行った。なお、モレキュラーシー
ブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この
反応液にクロロホルム170gを加え、吸引濾過し錫末
を除去した。このクロロホルム溶液をメタノール600
ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続いて、
メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/5m
mHgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸18.1g(収率
70%)を得た。得られたポリ乳酸の平均分子量は、6
0,000であった。
【0046】実施例11 90%L−乳酸36.0gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
25.5gを得た。これに、塩化第一錫0.141gを
加え、150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌し
た。DeanStark trapを取り付け、塩化第
一錫0.666gと3−メトキシトルエン150gを加
え、175℃で1時間共沸脱水反応を行い水分を除去
し、その後、Dean Stark trapをはず
し、モレキュラーシーブ3A、20gが充填された管を
取り付け、留出する溶媒がモレキュラーシーブを通って
再び系内に戻るようにした。175℃で50時間反応を
行った。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水
分量は、2ppmであった。この反応液にクロロホルム
170gを加え、吸引濾過し錫末を除去した。このクロ
ロホルム溶液をメタノール600ml中に排出し、析出
した結晶を吸引濾過し、続いて、メタノール洗浄、ヘキ
サン洗浄を行った。30℃/5mmHgで減圧乾燥後、
白色のポリ乳酸19.1g(収率74%)を得た。得ら
れたポリ乳酸の平均分子量は、60,000であった。
【0047】実施例12 90%L−乳酸36.0gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を流出しながら加熱撹拌しオリゴマー
25.8gを得た。これに、酸化錫0.112gを加
え、150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌し
た。Dean Stark trapを取り付け、酸化
錫0.530gとチオアニソール450gを加え、13
0℃/150mmHgで1時間共沸脱水反応を行い水分
を除去し、その後、Dean Stark trapを
はずし、モレキュラーシーブ3A、20gが充填された
管を取り付け、留出する溶媒がモレキュラーシーブを通
って再び系内に戻るようにした。130℃/150mm
Hgで50時間反応を行った。なお、モレキュラーシー
ブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この
反応液にクロロホルム170gを加え、吸引濾過し錫末
を除去した。このクロロホルム溶液をメタノール600
ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続いて、
メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/5m
mHgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸18.3g(収率
71%)を得た。得られたポリ乳酸の平均分子量は、5
0,000であった。
【0048】実施例13 90%L−乳酸36.0gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
25.9gを得た。これに、錫末0.088gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。そ
の後、錫末0.417gとアニソール76.0gを加
え、あらかじめ、モレキュラーシーブ3Aで乾燥し水分
36ppmとしたアニソールを154℃で装入しながら
留出させた。この際、装入速度と流出速度は同等になる
ように調整し、130時間で1800gのアニソールを
装入しながら留出させて反応した。この反応液にクロロ
ホルム170gを加え、吸引濾過し錫末を除去した。こ
のクロロホルム溶液をメタノール600ml中に排出
し、析出した結晶を吸引濾過し、続いて、メタノール洗
浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/5mmHgで減圧
乾燥後、白色のポリ乳酸18.1g(収率70%)を得
た。得られたポリ乳酸の平均分子量は、70,000で
あった。
【0049】実施例14 90%L−乳酸36.0gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
25.3gを得た。これに、錫末0.088gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.4
17gとジフェニルエーテル75.9gを加え、130
℃/12mmHgで1時間共沸脱水反応を行い水分を除
去し、その後、Dean Stark trapをはず
し、モレキュラーシーブ3A、20gが充填された管を
取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシ−
ブを通って再び系内に戻るようにした。130℃/12
mmHgで48時間反応を行った。なお、モレキュラー
シーブ通過後の溶媒中の水分量は、1ppmであった。
この反応液にクロロホルム170gを加え、吸引濾過し
錫末を除去した。このクロロホルム溶液をメタノール6
00ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続い
て、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/
5mmHgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸21.5g
(収率83%)を得た。得られたポリ乳酸の平均分子量
は、184,000であった。
【0050】実施例15 90%L−乳酸40.2gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌し、オリゴマ
ー28.0gを得た。これに、錫末0.098gを加
え、150℃/30mmHgで、さらに、2時間撹拌し
た。これに、錫末0.378gとジフェニルエーテル8
4.0gを加え、150℃/35mmHgで共沸脱水反
応を行い、この際、モレキュラーシーブ3A、20gが
充填された管を取り付け、還流により留出する溶媒がモ
レキュラーシーブを通って再び系内に戻るようにして1
5時間反応した。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶
媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液を加熱
濾過し錫末を除去した後、減圧下濃縮し、白色のポリ乳
酸27.2g(収率94%)を得た。得られたポリ乳酸
の平均分子量は、133,000であった。
【0051】実施例16 90%L−乳酸36.0gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
25.2gを得た。これに、錫末0.088gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.4
17gとジフェニルエーテル38.0とアニソール3
8.0gを加え、154℃で1時間共沸脱水反応を行い
水分を除去し、その後、Dean Stark tra
pをはずし、モレキュラーシーブ4A、20gが充填さ
れた管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュ
ラーシ−ブを通って再び系内に戻るようにした。154
℃で50時間反応を行った。なお、モレキュラーシーブ
通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反
応液にクロロホルム170gを加え、吸引濾過し錫末を
除去した。このクロロホルム溶液をメタノール600m
l中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続いて、メ
タノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/5mm
Hgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸21.2g(収率8
2%)を得た。得られたポリ乳酸の平均分子量は、15
0,000であった。
【0052】実施例17 2個の反応フラスコを並列に並べ、1方で共沸脱水反応
を行い、もう1方で溶媒の乾燥を行い、1方のフラスコ
から気化された溶媒が冷却されて他方のフラスコに流れ
込むよう装置を組み、溶媒が2個の反応フラスコ間を循
環するようにした。共沸脱水用フラスコでは、あらかじ
め、無触媒下、150℃、30mmHgで3時間撹拌し
合成した乳酸のオリゴマー30.0gと錫末0.3gと
ジフェニルエーテル90gの混合物を150℃/35m
mHgで加熱撹拌する。乾燥用フラスコには、水素化カ
ルシウム、10gとジフェニルエーテル400gを入れ
150℃/35mmHgで加熱撹拌しながら30時間反
応した。なお、反応器に戻る溶媒中の水分量は、1pp
mであった。この反応液にクロロホルム200gを加え
濾過し錫末を除去した。その後、濾液をメタノール70
0ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続い
て、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/
5mmHgで減圧乾燥し白色のポリ乳酸23.7g(収
率82%)を得た。生成したポリ乳酸の平均分子量は、
166,000であった。
【0053】実施例18 2個の反応フラスコを並列に並べ、1方で共沸脱水反応
を行い、もう1方で溶媒の乾燥を行い、1方のフラスコ
から気化された溶媒が冷却されて他方のフラスコに流れ
込むよう装置を組み、溶媒が2個の反応フラスコ間を循
環するようにした。共沸脱水用フラスコでは、あらかじ
め、無触媒下、150℃、30mmHgで3時間撹拌し
合成した乳酸のオリゴマー30.0gと錫末0.3gと
ジフェニルエーテル90gの混合物を150℃/35m
mHgで加熱撹拌する。乾燥用フラスコには、五酸化二
リン、10gとジフェニルエーテル400gを入れ15
0℃/35mmHgで加熱撹拌しながら30時間反応し
た。なお、反応器に戻る溶媒中の水分量は、3ppmで
あった。この反応液にクロロホルム200gを加え濾過
し錫末を除去した。その後、濾液をメタノール700m
l中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続いて、メ
タノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/5mm
Hgで減圧乾燥し白色のポリ乳酸22.8g(収率79
%)を得た。生成したポリ乳酸の平均分子量は、12
0,000であった。
【0054】実施例19 90%L−乳酸36.0g、90%D,L−乳酸9.0
gを150℃/50mmHgで3時間、系外に水を留出
しながら加熱撹拌しオリゴマー31.6gを得た。これ
に、錫末0.158gを加え、150℃/30mmHg
で、さらに2時間撹拌した。Dean Stark t
rapを取り付け、錫末0.743gとジフェニルエー
テル95.0gを加え、150℃/35mmHgで1時
間共沸脱水反応を行い水分を除去し、その後、Dean
Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ
3A、25gが充填された管を取り付け、還流により留
出する溶媒がモレキュラーシ−ブを通って再び系内に戻
るようにした。150℃/35mmHgで40時間反応
を行った。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の
水分量は、2ppmであった。この反応液にクロロホル
ム220gを加え、吸引濾過し錫末を除去した。このク
ロロホルム溶液をメタノール750ml中に排出し、析
出した結晶を吸引濾過し、続いて、メタノール洗浄、ヘ
キサン洗浄を行った。30℃/5mmHgで減圧乾燥
後、白色のポリ乳酸26.9g(収率83%)を得た。
得られたポリ乳酸の平均分子量は、160,000であ
った。
【0055】実施例20 90%L−乳酸32.4g、70%グリコール酸3.9
gを150℃/50mmHgで3時間、系外に水を留出
しながら加熱撹拌しオリゴマー27.4gを得た。これ
に、錫末0.158gを加え、150℃/30mmHg
で、さらに2時間撹拌した。Dean Stark t
rapを取り付け、錫末0.743gとジフェニルエー
テル95.0gを加え、150℃/35mmHgで1時
間共沸脱水反応を行い水分を除去し、その後、Dean
Starktrap をはずし、モレキュラーシーブ
3A、25gが充填された管を取り付け、還流により留
出する溶媒がモレキュラーシ−ブを通って再び系内に戻
るようにした。150℃/35mmHgで40時間反応
を行った。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の
水分量は、2ppmであった。この反応液にクロロホル
ム220gを加え、吸引濾過し錫末を除去した。このク
ロロホルム溶液をメタノール750ml中に排出し、析
出した結晶を吸引濾過し、続いて、メタノール洗浄、ヘ
キサン洗浄を行った。30℃/5mmHgで減圧乾燥
後、コポリマー22.0g(収率85%)を得た。得ら
れたコポリマーの平均分子量Mwは、140,000で
あった。
【0056】実施例21 90%L−乳酸32.4g、DL−3−ヒドロキシ−n
−ブチリックアシッド3.75gを150℃/50mm
Hgで3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリ
ゴマー27.4gを得た。これに、錫末0.158gを
加え、150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌し
た。Dean Stark trapを取り付け、錫末
0.743gとジフェニルエーテル95.0gを加え、
150℃/35mmHgで1時間共沸脱水反応を行い水
分を除去し、その後、DeanStark trapを
はずし、モレキュラーシーブ3A、25gが充填された
管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラー
シ−ブを通って再び系内に戻るようにした。150℃/
35mmHgで40時間反応を行った。なお、モレキュ
ラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであっ
た。この反応液にクロロホルム220gを加え、吸引濾
過し錫末を除去した。このクロロホルム溶液をメタノー
ル750ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、
続いて、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30
℃/5mmHgで減圧乾燥後、コポリマー21.5g
(収率83%)を得た。得られたコポリまーの平均分子
量は、100,000であった。
【0057】実施例22 90%L−乳酸32.4g、4−ヒドロキシ−n−ブチ
リックアシッド3.75gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
27.4gを得た。これに、錫末0.158gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.7
43gとジフェニルエーテル95.0gを加え、150
℃/35mmHgで1時間共沸脱水反応を行い水分を除
去し、その後、Dean Stark trapをはず
し、モレキュラーシーブ3A、25gが充填された管を
取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシ−
ブを通って再び系内に戻るようにした。150℃/35
mmHgで40時間反応を行った。なお、モレキュラー
シーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。
この反応液にクロロホルム220gを加え、吸引濾過し
錫末を除去した。このクロロホルム溶液をメタノール7
50ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続い
て、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/
5mmHgで減圧乾燥後、コポリマー21.0g(収率
81%)を得た。得られたコポリマーの平均分子量は、
105,000であった。
【0058】実施例23 90%L−乳酸43.8gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
30.7gを得た。これに、錫末0.108gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.5
10gと3−フェノキシトルエン92.2gを加え、1
50℃/20mmHgで2時間共沸脱水反応を行い水分
を除去し、その後、Dean Stark trapを
はずし、モレキュラーシーブ3A、20gが充填された
管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラー
シ−ブを通って再び系内に戻るようにした。150℃/
20mmHgで40時間反応を行った。なお、モレキュ
ラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであっ
た。この反応液にクロロホルム200gを加え、吸引濾
過し錫末を除去した。このクロロホルム溶液をメタノー
ル700ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、
続いて、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30
℃/5mmHgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸26.2
g(収率83%)を得た。得られたポリ乳酸の平均分子
量は、150,000であった。
【0059】実施例24 90%L−乳酸43.8gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
30.7gを得た。これに、錫末0.108gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.5
10gと4−ブロモジフェニルエーテル92.2gを加
え、150℃/6mmHgで2時間共沸脱水反応を行い
水分を除去し、その後、Dean Stark tra
pをはずし、モレキュラーシーブ3A、20gが充填さ
れた管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュ
ラーシ−ブを通って再び系内に戻るようにした。150
℃/6mmHgで40時間反応を行った。なお、モレキ
ュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであ
った。この反応液にクロロホルム200gを加え、吸引
濾過し錫末を除去した。このクロロホルム溶液をメタノ
ール700ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過
し、続いて、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。
30℃/5mmHgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸2
5.6g(収率81%)を得た。得られたポリ乳酸の平
均分子量は、140,000であった。
【0060】実施例25 90%L−乳酸43.8gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
30.7gを得た。これに、錫末0.108gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.5
10gとジベンゾフラン92.2gを加え、154℃/
20mmHgで2時間共沸脱水反応を行い水分を除去
し、その後、Dean Stark trapをはず
し、モレキュラーシーブ3A、20gが充填された管を
取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシ−
ブを通って再び系内に戻るようにした。154℃/20
mmHgで40時間反応を行った。なお、モレキュラー
シーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。
この反応液にクロロホルム200gを加え、吸引濾過し
錫末を除去した。このクロロホルム溶液をメタノール7
00ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続い
て、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/
5mmHgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸26.2g
(収率83%)を得た。得られたポリ乳酸の平均分子量
は、150,000であった。
【0061】実施例26 90%L−乳酸43.8gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
30.7gを得た。これに、塩化第一錫0.173gを
加え、150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌し
た。DeanStark trapを取り付け、塩化第
一錫0.816gとジフェニルエーテル92.2gを加
え、130℃/12mmHgで2時間共沸脱水反応を行
い水分を除去し、その後、Dean Stark tr
apをはずし、モレキュラーシーブ3A、20gが充填
された管を取り付け、還流により留出する溶媒がモレキ
ュラーシ−ブを通って再び系内に戻るようにした。13
0℃/12mmHgで40時間反応を行った。なお、モ
レキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2ppm
であった。この反応液にクロロホルム200gを加え、
吸引濾過し錫末を除去した。このクロロホルム溶液をメ
タノール700ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾
過し、続いて、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行っ
た。30℃/5mmHgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸
24.9g(収率79%)を得た。得られたポリ乳酸の
平均分子量は、110,000であった。
【0062】実施例27 90%L−乳酸43.8gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
30.7gを得た。これに、オクタン酸錫0.386g
を加え、150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌
した。DeanStark trapを取り付け、オク
タン酸錫1.821gとジフェニルエーテル92.2g
を加え、130℃/12mmHgで2時間共沸脱水反応
を行い水分を除去し、その後、Dean Stark
trapをはずし、モレキュラーシーブ3A、20gが
充填された管を取り付け、還流により留出する溶媒がモ
レキュラーシ−ブを通って再び系内に戻るようにした。
130℃/12mmHgで55時間反応を行った。な
お、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、2
ppmであった。この反応液にクロロホルム200gを
加え、吸引濾過し錫末を除去した。このクロロホルム溶
液をメタノール700ml中に排出し、析出した結晶を
吸引濾過し、続いて、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を
行った。30℃/5mmHgで減圧乾燥後、白色のポリ
乳酸23.9g(収率76%)を得た。得られたポリ乳
酸の平均分子量は、70,000であった。
【0063】実施例28 90%L−乳酸36.0gと錫末0.505gをジフェ
ニルエーテル76.0g溶媒中、系外へ水を留出しなが
ら、130℃/100mmHgで5時間加熱撹拌した。
その後、あらかじめ、モレキュラーシーブ3Aで脱水し
水分10ppmとしたジフェニルエーテルを130℃/
12mmHgで装入しながら留出させた。この際、装入
速度と留出速度は同等になるように調整し、130時間
で3,900gのジフェニルエーテルを装入しながら留
出させながら反応した。この反応液にクロロホルム17
0gを加え、吸引濾過し錫末を除去した。このクロロホ
ルム溶液をメタノール600ml中に排出し、析出した
結晶を吸引濾過し、続いて、メタノール洗浄、ヘキサン
洗浄を行った。30℃/5mmHgで減圧乾燥後、白色
のポリ乳酸19.4g(収率75%)を得た。得られた
ポリ乳酸の平均分子量は、100,000であった。
【0064】実施例29 90%L−乳酸43.8gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
30.7gを得た。これに、錫末0.108gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.5
10gとジフェニルエーテル92.2gを加え、150
℃/35mmHgで2時間共沸脱水反応を行い水分を除
去し、その後、Dean Stark trapをはず
し、モレキュラーシーブ3A、20gが充填された管を
取り付け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシ−
ブを通って再び系内に戻るようにした。150℃/35
mmHgで40時間反応を行った。なお、モレキュラー
シーブ通過後の溶媒中の水分量は、1ppmであった。
この反応液にクロロホルム200gを加え、吸引濾過し
錫末を除去した。このクロロホルム溶液をメタノール7
00ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続い
て、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/
5mmHgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸26.8g
(収率85%)を得た。得られたポリ乳酸の平均分子量
は、147,000であった。
【0065】実施例30 Dean Stark trapを備えた装置を用い、
90%L−乳酸40.2gをTFS錫0.1gの存在
下、m−キシレン400ml中で、40時間共沸脱水を
行った。なお、Dean Stark trapと反応
機の間を循環するm−キシレン中の水分量は最終的に4
39ppmであった。この反応液を約2倍に濃縮後塩化
メチレン300mlを加えた。その後、メタノール90
0ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続いて
メタノール洗浄を行った。減圧乾燥後、白色のポリ乳酸
11.6g(収率40%)を得た。生成したポリ乳酸の
平均分子量は、15,000であった。
【0066】実施例31 90%L−乳酸36.0gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
25.3gを得た。これに、錫末0.088gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。D
ean Stark trapを取り付け、錫末0.4
17gとジフェニルエーテル75.9gを加え、130
℃/12mmHgで30時間共沸脱水反応を行い分離す
る水分を除去しながら反応した。なお、水を分離して反
応機に戻る溶媒中の水分量は、450ppmであった。
この反応液にクロロホルム600gを加え、吸引濾過し
錫末を除去した。このクロロホルム溶液をメタノール6
00ml中に排出し、析出した結晶を吸引濾過し、続い
て、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/
5mmHgで減圧乾燥後、白色のポリ乳酸18.7g
(収率72%)を得た。得られたポリ乳酸の平均分子量
は、48,000であった。
【0067】比較例1 90%L−乳酸43.8gを150℃/50mmHgで
3時間、系外に水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー
30.7gを得た。これに、錫末0.108gを加え、
150℃/30mmHgで、さらに2時間撹拌した。錫
末0.510gを加え、150℃/1mmHgで30時
間脱水反応を行った。この反応液にクロロホルム170
gを加え、吸引濾過し錫末を除去した。このクロロホル
ム溶液をメタノール600ml中に排出し、析出した結
晶を吸引濾過し、続いて、メタノール洗浄、ヘキサン洗
浄を行った。30℃/5mmHgで減圧乾燥後、ポリ乳
酸11.4g(収率36%)を得た。得られたポリ乳酸
の平均分子量Mwは、8,000であった。
【0068】参考例1 実施例3で得た平均分子量100,000のL−ポリ乳
酸をクロロホルムに溶解し、その溶液よりキャスト法に
よりフィルムを作成した。作成したフィルムの物性を以
下に示す。
【0069】厚み:36〜37μm 引張強度:510kg/cm2 (降伏) 510kg/cm2 (破断) 伸び:6%
【0070】参考例2 実施例9で得た平均分子量75,000のL−ポリ乳酸
をクロロホルムに溶解し、その溶液よりキャスト法によ
りフィルムを作成した。作成したフィルムは無着色であ
り、その物性を以下に示す。
【0071】厚み:38〜39μm 引張強度:450kg/cm2 (降伏) 450kg/cm2 (破断) 伸び:3%
【0072】参考例3 実施例10で得た平均分子量60,000のL−ポリ乳
酸をクロロホルムに溶解し、その溶液よりキャスト法に
よりフィルムを作成した。作成したフィルムは無着色で
あり、その物性を以下に示す。
【0073】厚み:39〜40μm 引張強度:220kg/cm2 (降伏) 220kg/cm2 (破断) 伸び:3%
【0074】参考例4 実施例18で得た平均分子量120,000のD,L−
ポリ乳酸をクロロホルムに溶解し、その溶液よりキャス
ト法によりフィルムを作成した。作成したフィルムは無
着色であり、その物性を以下に示す。
【0075】厚み:33〜36μm 引張強度:510kg/cm2 (降伏) 430kg/cm2 (破断) 伸び:13〜20%
【0076】参考例5 実施例29で得た平均分子量147,000のL−ポリ
乳酸をクロロホルムに溶解し、その溶液よりキャスト法
によりフィルムを作成した。作成したフィルムは無着色
であり、その物性を以下に示す。
【0077】厚み:42〜50μm 引張強度:600kg/cm2 (降伏) 560kg/cm2 (破断) 伸び:11%
【0078】参考例6 実施例29で得たL−ポリ乳酸と可塑剤トリアセチンを
重量比4:1でクロロホルムに溶解し、その溶液よりキ
ャスト法によりフィルムを作成した。作成したフィルム
は無着色であり、その物性を以下に示す。
【0079】厚み:37〜40μm 引張強度:340kg/cm2 (降伏) 310kg/cm2 (破断) 伸び:30%
【0080】参考例7 実施例30で得た平均分子量15,000のポリ乳酸を
クロロホルムに溶解し、その溶液よりキャスト法により
フィルムの作成を試みたが、フィルムは作成できなかっ
た。
【0081】実施例32 90%L−乳酸36.0g、90%D,L−乳酸9.0
gを用い、反応時間を20時間とする以外は実施例19
と同様の方法でオリゴマー化、重合を行った。この反応
液にクロロホルム220gを加え、吸引濾過し錫末を除
去した。このクロロホルム溶液を1N塩酸100mlで
洗浄し、さらに水100mlで2回洗浄した後メタノー
ル750ml中に排出し、析出した固形物を吸引濾過
し、続いて、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。
30℃/5mmHgで減圧乾燥後、ポリ乳酸28.9g
(収率89%)を得た。得られたポリ乳酸の平均分子量
は、130,000であった。得られたポリマーは、重
クロロホルムを溶媒として13C−NMR分析を行った。
全体図をFig.1に、拡大したカルボニル炭素のシグナル
をFig.2に示した。本発明のポリマーは少なくとも、約
169.27ppm、約169.31ppm、約16
9.42ppm、約169.49ppm、約169.6
6ppmに5本のシグナルを持っていることが特徴であ
る。また、示差熱分析(DSC:differenci
alscanning calorimetry)の結
果をFig.4の上部に示した。本発明の方法で得られた実
施例32のポリマーは115.6℃に融点に相当する吸
熱ピークを持つ。
【0082】比較例2 L−ラクタイド172g(1.2モル)とD,L−ラク
タイド44g(0.3モル)およびオクタン酸スズ0.
01重量%と、ラウリルアルコール0.03重合%を、
攪拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封
入し、真空で2時間脱気した後窒素ガスで置換した。こ
の混合物を窒素雰囲気下で攪拌しつつ200℃で3時間
加熱した。温度をそのまま保ちながら、排気管及びガラ
ス製受器を介して真空ポンプにより徐々に脱気し、反応
容器内を3mmHgまで減圧にした。脱気開始から1時
間後、モノマーや低分子量揮発分の留出がなくなったの
で、容器内を窒素置換し、容器下部からポリマーを紐状
に抜き出してペレット化し、白色のポリL−乳酸を得
た。このポリマーの平均分子量は130,000であ
り、収率は96%であった。
【0083】得られたポリマーは、重クロロホルムを溶
媒として13C−NMR分析を行った。拡大したカルボニ
ル炭素のシグナルをFig.3に示した。これらを実施例3
2で得られたポリマーのシグナルと比較すると、著しく
パターンが異なることが解る。カルボニル炭素では、実
施例32のポリマーは少なくとも、約169.27pp
m、約169.31ppm、約169.42ppm、約
169.49ppm、約169.66ppmに5本のシ
グナルをもち、ラクタイドから合成した比較例2のポリ
マーのものは、約169.20ppm、約169.36
ppm、約169.40ppm、約169.45pp
m、約169.66ppmに5本のシグナルを持ってお
り、容易に区別することができる。また、示差熱分析
(DSC:differencialscanning
calorimetry)の結果をFig.4の下部に示
した。本発明の方法で得られた実施例32のポリマーは
115.6℃に融点に相当する吸熱ピークを持つのに対
し、比較例2のポリマーは130.9℃にメインの吸熱
ピークを持ち、融点が高いことを示している。
【0084】参考例8 実施例32で得られた、平均分子量130,000で1
15.6℃に融点に相当する吸熱ピークを持つポリマー
から得られた150mm×150mm、厚さ40μmの
フィルム2枚を、幅5mmの2本の加熱板ではさみ溶着
試験を行った。加熱板温度102℃、圧力0.5kg/
cm2で0.5秒間圧着することにより溶着することが
できた。
【0085】参考例9 比較例2で得られた、平均分子量130,000で13
0.9℃にメインの吸熱ピークを持つポリマーから得ら
れた150mm×150mm、厚さ40μmのフィルム
2枚を用い参考例8と同様の方法で溶着試験を行った。
その結果、加熱板温度102℃、圧力0.5kg/cm
2で 0.5秒間圧着したが溶着することができなかっ
た。圧力0.5kg/cm2、圧着時間0.5秒で溶着
するためには、加熱板温度115℃が 必要であった。
【0086】
【発明の効果】本発明の製造方法によって、生分解性ポ
リマーとして有用な不純物を含まず、白色で着色のない
ポリヒドロキシカルボン酸類をヒドロキシカルボン酸類
から直接脱水縮合により得ることができる。また、本発
明の方法によれば、フィルムや糸等の成形物にして充分
な強度を持ったポリヒドロキシカルボン酸類を容易に得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例32で得られたL−乳酸90%とD−乳
酸10%のランダムコポリマーの13C−NMRスペクト
ルの全体図である。
【図2】実施例32で得られたL−乳酸90%とD−乳
酸10%のランダムコポリマーのカルボニル基の13C−
NMRスペクトルである。
【図3】比較例2で得られたL−ラクチド90%とD−
ラクチド10%のコポリマーのカルボニル基の13C−N
MRスペクトルである。
【図4】DSCによる熱分析結果を示す図であり、実施
例32で得られたL−乳酸90%とD−乳酸10%のラ
ンダムコポリマーの熱分析結果を上部に、比較例2で得
られたL−ラクチド90%とD−ラクチド10%のコポ
リマーの熱分析結果を下部に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 31/12 // C07B 61/00 300

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に水の非存在下で、ヒドロキシカ
    ルボン酸類またはそのオリゴマーを、有機溶媒を含む反
    応混合物中で脱水縮合反応し、重量平均分子量が約15,0
    00以上であるポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応混合物から有機溶媒の少なくとも一
    部を除去し、除去される有機溶媒の水分量よりも少ない
    か等しい水分量を持った追加有機溶媒を反応混合物に装
    入する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 反応混合物から除去される有機溶媒が、
    乾燥剤と接触されて水分を除去され、追加溶媒として反
    応混合物に戻される請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 乾燥剤がモレキュラーシーブ類、五酸化
    二リンまたは金属水素化物である請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 反応混合物に追加装入する有機溶媒の水
    分量が50ppm以下である請求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】 反応混合物が始めに共沸により水分を除
    去され、次に反応混合物から有機溶媒の一部が除去され
    る請求項2記載の方法。
  7. 【請求項7】 有機溶媒がエーテル系溶媒である請求項
    1記載の方法。
  8. 【請求項8】 エーテル系有機溶媒がアニソールまたは
    フェネトールである請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 有機溶媒がジフェニルエーテル系溶媒で
    ある請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 ジフェニルエーテル系溶媒がジフェニ
    ルエーテルである請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の方法で得られたポリヒ
    ドロキシカルボン酸。
  12. 【請求項12】 ヒドロキシカルボン酸類またはそのオ
    リゴマーからなる反応混合物から直接得られ、重量平均
    分子量が50,000以上であるポリヒドロキシカルボ
    ン酸。
  13. 【請求項13】 約169.27ppm、約169.3
    1ppm、約169.42ppm、約169.49pp
    m及び約169.66ppmに13C−NMR吸収スペク
    トルを示し、D−乳酸単位及びL−乳酸単位を持つポリ
    ヒドロキシカルボン酸。
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