JP2012001619A - ポリ乳酸組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリ乳酸(A)成分を主たる成分とするポリ乳酸組成物であって、該樹脂組成物を基準として、ポリ乳酸(A)成分を95重量%以上99.99重量%以下、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸(B)成分を0.01重量%以上5重量%以下で含み、重量平均分子量が5万〜50万であり、走査熱量計(DSC)測定において、昇温過程におけるガラス転移点が60℃以上であることを特徴とするポリ乳酸組成物。
【選択図】なし
Description
しかしながらステレオコンプレックスポリ乳酸の形成は容易ではなく、とりわけPLLAやPDLAの重量平均分子量が15万を超えるとその困難さはいっそう顕著となる(特許文献4)。
この混合相組成物において、コンプレックス相の割合が少ないとステレオコンプレックスポリ乳酸本来の耐熱性を発揮することが困難である。
さらにステレオコンプレックスポリ乳酸を含み上記特性とともに耐熱性にすぐれたポリ乳酸組成物を提供することにある。
すなわち本発明の目的は、
1.ポリ乳酸成分を主たる成分とするポリ乳酸組成物であって、該組成物を基準として、ポリ乳酸(A)成分を95重量%以上99.99重量%以下、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸(B)成分を0.01重量%以上5重量%以下で含み、重量平均分子量が5万〜50万であり、走査熱量計(DSC)測定において、昇温過程におけるガラス転移点が60℃以上のポリ乳酸組成物によって達成される。
また、本発明の他の目的は、
前記記載のポリ乳酸組成物を成形してなる繊維、フィルム、成型品からなる群から選ばれる成形体によって達成される。
本発明のポリ乳酸組成物は該組成物を基準として、ポリ乳酸(A)成分を95重量%以上99.99重量%以下、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸(B)成分を0.01重量%以上5重量%以下で含み、重量平均分子量が5万〜50万であり、走査熱量計(DSC)測定において、昇温過程におけるガラス転移点が60℃以上のポリ乳酸組成物である。
本発明のポリ乳酸組成物は、このような組成とすることにより、本発明の目的である耐熱性、成型加工性とともに良好で、且つ工業的に好適に製造することができる。
<ポリ乳酸(A)成分>
本発明のポリ乳酸(A)成分はポリL−乳酸成分であってもポリD−乳酸成分であってもかまわない。
各々のポリL−乳酸とポリD−乳酸は各々示差走査熱量計(DSC)測定で、150℃から190℃の間に結晶融解ピーク(Tmh)、ガラス転移点(Tg)が60℃以上を有し、該結晶融解熱(△Hmsc)が10J/g以上であることが好ましい。
かかる結晶融点および結晶融解熱の範囲を満たすことによりポリ乳酸(A)成分の耐熱性が好適に高めることができる。
S=〔ΔHms/(ΔHmh+ΔHms)〕×100 (i)
(ただし、ΔHms=ステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー、ΔHmh=ポリ乳酸ホモ相結晶の融解エンタルピーを表す。)
Sc(%)=〔ΣISCi/(ΣISCi+IHM)〕×100 (ii)
[ここで、ΣISCi =ISC1 + ISC2 + ISC3、ISCi(i=1から3)はそれぞれ2θ=12.0°,20.7°,24.0°付近の各回折ピークの積分強度、IHMは2θ=16.5°付近に現れるホモ相結晶に由来する回折ピークの積分強度IHMを表す。]
例えば、L‐ラクチドまたはD‐ラクチドを金属含有触媒の存在下、開環重合することにより製造することができる。また金属含有触媒を含有する低分子量のポリ乳酸を、所望により結晶化させた後、あるいは結晶化させることなく、減圧下または常圧から加圧化、不活性ガス気流の存在下、あるいは非存在下、固相重合させ製造することもできる。さらに有機溶媒の存在または非存在下、乳酸を脱水縮合させる直接重合法により製造することができる。
かかる失活剤としては例えばイミノ基を有し且つ重合金属触媒に配位し得るキレート配位子の群からなる有機リガンド及びジヒドリドオキソリン(I)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II,II)酸、ヒドリドトリオキソリン(III)酸、ジヒドリドペンタオキソ二リン(III)酸、ヒドリドペンタオキソ二(II,IV)酸、ドデカオキソ六リン(III)酸、ヒドリドオクタオキソ三リン(III,IV,IV)酸、オクタオキソ三リン(IV,III,IV)酸、ヒドリドヘキサオキソ二リン(III,V)酸、ヘキサオキソ二リン(IV)酸、デカオキソ四リン(IV)酸、ヘンデカオキソ四リン(IV)酸、エネアオキソ三リン(V,IV,IV)酸等の酸価数5以下の低酸化数リン酸、式、xH2O・yP2O5で表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸及びこれらの混合物、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部をのこした網目構造を有するウルトラリン酸(これらを総称してメタ燐酸系化合物と呼ぶことがある。)、及びこれらの酸の酸性塩、一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステル、完全エスエテル、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体などが例示される。
本発明の乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸(B)成分は下記式で示すように、R’が水素もしくは脂肪族アルキル基からなる。
なお、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸(B)成分として具体的には、グリコール酸成分、2−ヒドロキシ酪酸成分、2−ヒドロキシ吉草酸成分、2−ヒドロキシイソ吉草酸成分、2−ヒドロキシ−4−メチル−吉草酸成分などの、上記式中のR’が脂肪族基からなる、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸成分(B)が挙げられる。
このような出発原料を用いることで、ガラス転移点が向上し、熱分解性の低下、成型加工性および染色性が向上する。
本発明のポリ乳酸組成物は、該組成物を基準として、ポリ乳酸(A)成分を95重量%以上99.99重量%以下、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸(B)成分を0.01重量%以上5重量%以下で含むが、重量平均分子量が5万〜50万であり、走査熱量計(DSC)測定において、昇温過程におけるガラス転移点が60℃以上のポリ乳酸組成物である。
ポリ乳酸(A)成分、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸(B)成分に関しては、上述の通りである。
なかでもADEKA(株)製の商品名、「アデカスタブ」NA−10、NA−11、NA−21、NA−30、NA−35、NA−71等が好適な剤として例示される。
結晶化核剤の使用量はポリ乳酸組成物に対し0.05から5wt%、より好ましくは0.06から2wt%、さらに好ましくは0.06から1wt%の範囲が選択される。
かかる末端封止剤としては、前述した特定官能基を有するステレオコンプレックス結晶化助剤がカルボキシル基を効果的に封止することが可能である。
本発明のポリ乳酸組成物には、本発明のポリ乳酸組成物以外の熱可塑性樹脂を含有させることができる。かかる熱可塑性樹脂としては、たとえばポリ乳酸以外のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、芳香族および脂肪族のポリケトン樹脂、フッソ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性澱粉樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ビニルエステル系樹脂、MS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエーテルイミド樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
これらの樹脂を配合することにより本発明の組成物よりなる成形品の表面性、成形性、機械的特性、耐久性、靭性などを優れたものとすることができる。
本発明のポリ乳酸組成物には、安定剤を含有させることができる。安定剤としては通常の熱可塑性樹脂の安定剤に使用されるものを用いることができる。例えば酸化防止剤、光安定剤等を挙げることができる。これらの剤を配合することで機械的特性、成形性、耐熱性および耐久性に優れた成形品を得ることができる。
本発明のポリ乳酸組成物において、有機若しくは無機の結晶化促進剤を含有することができる。結晶化促進剤を含有することで、燐酸エステル金属塩の作用を一層増強することができ、機械的特性、耐熱性、および成形性に優れた成形品を得ることができる。
結晶化促進剤の含有量は、ポリ乳酸100重量部当たり、好ましくは0.01から30重量部、より好ましくは0.05から20重量部である。
本発明のポリ乳酸組成物は有機若しくは無機の充填剤を含有することができる。充填剤成分を含有することで、機械的特性、耐熱性、および金型成形性に優れた成形品を得ることができる。
また木材として、松、杉、檜、もみ等の針葉樹材、ブナ、シイ、ユーカリ等の広葉樹材等が好ましい。
本発明のポリ乳酸組成物は離型剤を配合することができる。本発明において使用する離型剤は通常の熱可塑性樹脂に用いられるものを使用することができる。
離型剤として具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、パラフィン、低分子量のポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸部分鹸化エステル、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、変性シリコーン等を挙げることができる。これらを配合することで機械特性、成形性、耐熱性に優れたポリ乳酸成形品を得ることができる。
本発明のポリ乳酸組成物は帯電防止剤を含有することができ、具体的には、(β−ラウラミドプロピオニル)トリメチルアンモニウムスルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの第4級アンモニウム塩系化合物、スルホン酸塩系化合物、アルキルホスフェート系化合物等が挙げられる。
上記帯電防止剤は1種類で用いても良いし2種以上を組み合わせて用いても良い。帯電防止剤を含有させる場合の量は、ポリ乳酸組成物100重量部に対し、好ましくは0.05から5重量部、より好ましくは0.1から5重量部である。
本発明のポリ乳酸組成物は可塑剤を含有することができ、使用する可塑剤としては一般に公知のものを使用することができる。例えば、ポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤、およびエポキシ系可塑剤、等が挙げられる。
本発明のポリ乳酸組成物に添加してもよい耐衝撃改良剤とは熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良に用いることができるものであり、特に制限はない。例えば以下の耐衝撃改良剤の中から選択される少なくとも1種を用いることができる。
耐衝撃改良剤は、ポリ乳酸100重量部に対して、好ましくは1から30重量部、より好ましくは5から20重量部、さらに好ましくは10から20重量部である。
また本発明においては、本発明の趣旨に反しない範囲において、フェノール樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含有させても良い。
また本発明においては、本発明の趣旨に反しない範囲において、臭素系、リン系、シリコーン系、アンチモン化合物等の難燃剤を含有させても良い。
本発明のポリ乳酸組成物よりなる成形品は、射出成形品、押し出し成形品、真空、圧空成形品およびブロー成形品等であり、具体的には、ペレット、繊維及び布、他の材料との複合体である繊維構造体、フィルム、シート、シート不織布など圧縮成形品などを包含する。
またこれらの成形品は、各種ハウジング、歯車、ギア等の電気.電子部品、建築部材、土木部材、農業資材、自動車部品(内装、外装部品等)および日用部品などを挙げることができる。
本発明のポリ乳酸組成物からなる繊維及び繊維構造体は通常の溶融紡糸及びその後の後加工工程により得られた材料を好適に使用することができる。
すなわち、ポリ乳酸組成物はエクストルーダー型やプレッシャーメルター型の溶融押出し機で溶融された後、ギアポンプにより計量され、パック内で濾過された後、口金に設けられたノズルからモノフィラメンント、マルチフィラメント等として吐出される。
口金の形状、口金数は特に制限されるものではなく、円形、異形、中実、中空等のいずれも採用することができる。吐出された糸は直ちに冷却・固化された後集束され、油剤を付加されて巻き取られる。巻き取り速度は特に限定されるものではないがステレオコンプレックス結晶が形成され易くなることより300m/分から5000m/分の範囲がこのましい。
延伸に引き続き、巻き取り前には170℃以上、ポリ乳酸組成物の融点より低い温度で、熱処理が行われることが好ましい。熱処理にはホットローラーのほか、接触式加熱ヒータ、非接触式熱板など任意の方法を採用することができる。延伸温度はポリ乳酸のガラス転移点以上170℃、好ましくは70℃から140℃、特に好ましくは80℃から130℃の範囲が選択される。
具体的には縫い糸、刺繍糸、紐類などの糸形態製品、織物、編物、不織布、フェルト、等の布帛、シャツ、ブルゾン、パンツ、コート、セーター、ユニホームなどの外衣、下着、パンスト、靴下、裏地、芯地、スポーツ衣料、婦人衣料やフォーマルウエアなどの高付加価値衣料製品、カップ、パッド等の衣料製品、カーテン、カーペット、椅子張り、マット、家具、鞄、家具張り、壁材、各種のベルトやスリング等の生活資材用製品、さらに帆布、ベルト、ネット、ロープ、重布、袋類、フェルト、フィルター等の産業資材製品、車両内装製品、人工皮革製品などの各種繊維製品を含む。
また、本発明のポリ乳酸組成物からなるフィルム、シートは従来公知の方法により成形されたものである。
例えばフィルム、シートにおいては、押し出し成形、キャスト成形等の成形手法を用いることができる。すなわち、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸フィルムを押し出し、さらに延伸、熱処理して成形することができる。このとき、未延伸のフィルムはシートとしてそのまま実用に供することもできる。
フィルム化に際し、事前にポリ乳酸組成物および前述した各種成分を溶融混練した材料を用いることもできれば、押し出し成形時に溶融混練を経て成形することができる。
また、ポリ乳酸組成物および添加剤成分を共通溶媒、例えばクロロホルム、二塩化メチレン等の溶媒を用いて、溶解、キャスト、乾燥固化することにより未延伸フィルムをキャスト成形もすることができる。
かくして得られた延伸フィルムには、所望により従来公知の方法で、表面活性化処理、たとえばプラズマ処理、アミン処理、コロナ処理を施すことも可能である。
1.測定方法
(1)ポリマーの重量平均分子量および数平均分子量(Mn):
ポリマーの重量平均分子量および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンに換算した。
GPC測定機器は、検出器、示差屈折計、溶離液としてはクロロホルムを使用し、温度40℃、流速1.0ml/minで流し、濃度1mg/ml(クロロホルム)の試料を10μl注入し測定した。
TAインスツルメント製示差走査熱量測定計(DSC)を用いて測定した。
試料5mgを窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で室温から200℃まで昇温し、結晶融解温度(Tmh)及び結晶融解熱(△Hmh)を求めた。
乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸(B)成分の原料としての2−ヒドロキシ酪酸からなる環状2量体、乳酸と2−ヒドロキシ酪酸とからなる環状2量体、及び乳酸(A)成分の原料としての、L−ラクチドを溶融状態で混合し、乳酸100重量部(乳酸の光学純度は99.9%)に対し2−ヒドロキシ酪酸が0.1重量部となるように調整し、分子量調整剤を0.2重量部、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し触媒失活剤として、5倍当量のDHPAを添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリ乳酸組成物を得た。得られたポリL−乳酸のカルボキシル基濃度は14当量/tonで重量平均分子量は160,000、融点は175℃、ガラス転移点は62℃であった。
乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸(B)成分の原料としての、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシ−4−メチル−吉草酸を2/7/4/1の割合で各々からなる環状2量体、乳酸と2−ヒドロキシカルボン酸とからなる環状2量体、及び乳酸(A)成分の原料としてのL−ラクチドを溶融状態で混合し、乳酸100重量部(乳酸の光学純度は98.5%)に対し2−ヒドロキシカルボン酸が0.6重量部となるように調整し、分子量調整剤を0.2重量部、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し触媒失活剤として、5倍当量のDHPAを添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリ乳酸組成物を得た。得られたポリ乳酸組成物のカルボキシル基濃度は14当量/tonで重量平均分子量は200,000、融点は159℃、ガラス転移点は63℃であった。
乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸成分(B)の原料としての2−ヒドロキシ酪酸からなる環状2量体と、乳酸と2−ヒドロキシ酪酸とからなる環状2量体、及び乳酸成分(A)の原料としてのD−ラクチドを溶融状態で混合し、乳酸100重量部(乳酸の光学純度は99.9%)に対し2−ヒドロキシ酪酸が0.1重量部となるように調整し、分子量調整剤を0.2重量部、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し触媒失活剤として、5倍当量のDHPAを添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリ乳酸組成物を得た。得られたポリ乳酸組成物のカルボキシル基濃度は16当量/tonで重量平均分子量は170,000、融点は174℃、ガラス転移点は62℃であった。
実施例1の操作で得たポリ乳酸組成物、実施例3の操作で得られたポリ乳酸組成物、各50重量部、リン酸エステル金属塩((株)ADEKA製「アデカスタブ」NA−11)0.3重量部をブレンダーで混合、110℃、5時間真空乾燥した後、押出機により、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化して、ステレオコンプレックス結晶化度(S)は100%、結晶融解温度270℃のステレオコンプレックスポリ乳酸組成物を得た。得られたステレオコンプレックスポリ乳酸組成物のカルボキシル基濃度は11当量/tonで重量平均分子量は130,000、ガラス転移点は63℃であった。
実施例2の操作で得たポリ乳酸組成物、実施例3の操作で得たポリ乳酸組成物、各50重量部、リン酸エステル金属塩((株)ADEKA製「アデカスタブ」NA−11)0.3重量部をブレンダーで混合、110℃、5時間真空乾燥した後、押出機により、シリンダー温度270℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練し、水槽中にストランド押し出し、チップカッターにてチップ化して、ステレオコンプレックス結晶化度(S)は100%、結晶融解温度210℃のステレオコンプレックスポリ乳酸組成物を得た。得られたステレオコンプレックスポリ乳酸のカルボキシル基濃度は14当量/tonで重量平均分子量は145,000、ガラス転移点は64℃であった。
L−ラクチド(武蔵野化学製)100重量部、分子量調整剤を0.2重量部、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し触媒失活剤として、5倍当量のDHPAを添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリL−乳酸を得た。得られたポリL−乳酸のカルボキシル基濃度は11当量/tonで重量平均分子量は170,000、融点は174℃、ガラス転移点は58℃であった。
実施例4の操作で得られたステレオコンプレックスポリ乳酸組成物のチップを乾燥させた後、エクストルーダー型紡糸機にて240℃の温度で溶融し、0.27φmmの吐出孔36ホールを有する紡糸口金を用いて、8.35g/分の吐出量で紡糸した後に500m/分の速度で未延伸糸を巻き取った。巻き取られた未延伸糸を延伸機にて予熱80℃で4.9倍に延伸し延伸糸を巻き取った後、130℃で熱処理を行った。紡糸工程、延伸工程での工程通過性は良好であり、巻き取られた延伸糸は繊度167dTex/36filのマルチフィラメントであり、強度3.7cN/dTex、伸度35%、融点218℃であった。また、DSC測定において単一の融解ピークを有し、該融解ピーク温度(融点)が224℃であり、ステレオコンプレックス結晶化率100%であり、ガラス転移点は64℃であった。
得られたステレオコンプレックスポリ乳酸フィラメントを、80T/m(撚係数6.2)の撚りを施した後、経糸および緯糸に配して、ツイル組織の織物を製織した後、該織物を、温度130℃、2分間の乾熱セットした後、液流染色機を用いて、温度110℃で20分間の染色を行った。その際、黒色の分散染料を用いた。さらに、温度130℃、2分間の乾熱セットを施し、経糸密度124本/2.54cm、緯糸密度93本/2.54cmの織物を得た。
また、紡出直後のステレオコンプレックスポリ乳酸フィラメントをサンプリングしたところ、カルボキシル末端基量は20当量/ton、ポリ乳酸構造体のカルボキシル末端基量は25当量/tonであった。
実施例4の操作で得られたステレオコンプレックスポリ乳酸組成物100重量部を110℃で5時間乾燥した後、2軸押出機にてシリンダー温度、240℃で溶融混練し、ダイ温度、220℃でフィルム状に溶融押し出し、白金コート線状電極を用い、静電キャスト法によって鏡面冷却ドラム表面に密着、固化させた。
未延伸フィルムは、延伸温度100℃で、縦方向に2.0倍、横方向に2.3倍延伸、さらに145℃で熱固定を行い、厚さ約50μmの2軸延伸フィルムとした。これらのフィルムは、問題なく良好に製膜、延伸、熱固定することができた。
得られたフィルムの破断強度(MD/TDは59/59MPa,破断伸度(MD/TD)81/73%、全光線光透過率はいずれも90%以上、さらに90℃、5時間熱処理した後においても90%以上と良好であった。融点は220℃、ガラス転移点は63℃であった。
実施例5の操作で得られたステレオコンプレックスポリ乳酸組成物ペレットを、ポリ乳酸組成物として100重量部当たりタルク(日本タルク(株)製 微粉タルク、Micro Ace P6(平均粒径、4μm))1重量部と混合、110℃で5時間乾燥後射出成形機(住友重機械工業(株)製SG150U型)を使用して、シリンダー温度230℃、金型温度100℃の条件で厚さ3mmのASTM測定用の成形片(第一回目成形品)を作成した。この成形品は融点218℃、ガラス転移点は63℃であった。
Claims (11)
- ポリ乳酸(A)成分を主たる成分とするポリ乳酸組成物であって、該樹脂組成物を基準として、ポリ乳酸(A)成分を95重量%以上99.99重量%以下、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸(B)成分を0.01重量%以上5重量%以下で含み、重量平均分子量が5万〜50万であり、走査熱量計(DSC)測定において、昇温過程におけるガラス転移点が60℃以上であることを特徴とするポリ乳酸組成物。
- ポリ乳酸(A)成分としてポリL−乳酸成分とポリD−乳酸成分とを含む、請求項1記載のポリ乳酸組成物。
- 示差走査熱量計測定において、190℃以上のステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解ピークを示す、請求項3に記載のポリ乳酸組成物。
- 下記式で規定されるステレオコンプレックス結晶化度(S)が90から100%である、請求項4に記載のポリ乳酸組成物。
S=〔ΔHms/(ΔHmh+ΔHms)〕×100
(ただし、ΔHms=ステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー、ΔHmh=ポリ乳酸ホモ相結晶の融解エンタルピーを表す。) - 請求項1〜5のいずれか記載のポリ乳酸組成物を成形してなる繊維、フィルム、成型品からなる群から選ばれる成形体。
- 請求項6記載に記載の繊維を一部に含む繊維構造体。
- 請求項6記載のフィルムを一部に含むフィルム構造体。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の樹脂組成物を一部に含む繊維構造体。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の樹脂組成物を一部に含むフィルム構造体。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の樹脂組成物を一部に含む成形品。
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