JP3267392B2 - 分解性ポリマー - Google Patents

分解性ポリマー

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用材料や汎用樹脂
の代替物として有用な生分解性ポリマーであるL−乳酸
とD−乳酸のコポリマーに関する。特に、L−乳酸とD
−乳酸から直接脱水縮合により製造されたコポリマーに
関する。L−乳酸およびD−乳酸は、自然界に広く分布
し動植物および人畜に対して無害であり、その重合物で
あるポリ乳酸は、水の存在下で比較的容易に加水分解を
受け、また、生体内でも加水分解され吸収されるところ
から上記用途に用い得るポリマーとして注目されてい
る。
【0002】
【従来技術】ポリ乳酸、または、ポリグリコール酸は、
一般に、乳酸またはグリコール酸の環状二量体であるラ
クチドまたはグリコリドを開環重合することにより得ら
れていた。
【0003】米国特許明細書第2,703,316に
は、D,L−乳酸を一旦オリゴマー化した後、減圧下、
200〜250℃でラクチドを単離し、さらに、酢酸エ
チルから数回再結晶して得られた融点120℃以上のラ
セミ−ラクチドを開環重合することにより対数粘度数(i
nherent viscosity)(η)0.45dl/g以上のポリ
D,L−乳酸が得られ、強靭なフィルムや糸にすること
ができると記載されている。また、この中には、乳酸か
ら直接縮合により得られるポリマーは脆く延伸できない
ことが述べられている。
【0004】米国特許明細書第2,758,987に
は、L−乳酸から同様の方法で得られた融点94℃以上
のL,L−ラクチドから、対数粘度数(η)が0.4d
l/g以上のポリL−乳酸の製造法が示されている。し
かし、ポリマー原料に適したラクチドやグリコリドの製
造には、蒸留、再結晶等多大の労力と費用を必要とする
ため経済的でなく、また、ラクチドやグリコリドのよう
な環状ラクトンを形成しないヒドロキシカルボン酸を共
重合する際には、この方法を用いることはできない。ま
た、ラクタイドとグリコライドの開環重合により得られ
るコポリマーはラクタイドに比べてグリコライドの反応
性が高いため、ポリグリコライドが優先的に生成した後
ラクタイドが重合するためにブロック重合体の性質を示
し、溶媒に対する溶解性が低いコポリマーが得られると
いう欠点があった。
【0005】一方、乳酸やグリコール酸等のヒドロキシ
カルボン酸の直接重縮合反応は、二塩基酸と多価アルコ
ールによるエステル化反応と同様に逐次反応であり、反
応時間と共に分子量は増大する。また、この際生成する
水は、加水分解作用により重縮合体の分子量を低下させ
る作用を有するので、生成する水を系外へ除去すること
が高分子量ポリ乳酸やポリグリコール酸等のポリヒドロ
キシカルボン酸を得るために必要であった。
【0006】日本特許公開公報昭和59年第96,12
3号には触媒の不存在下に、反応温度220〜260
℃、圧力10mmHg以下で縮合反応を行い、分子量
4,000以上のポリ乳酸を得る技術が示されている。
【0007】また、米国特許明細書第4,273,92
0にはイオン交換樹脂を触媒として脱水縮合した後触媒
を除去することによる乳酸とグリコール酸のコポリマー
が開示されており、それらは実質的に触媒を含まず対数
粘度数(η)が0.08〜0.30dl/gであり平均
分子量が6,000〜35,000のものである。
【0008】しかし、上記方法では高分子量のポリマー
を得るためには180℃以上の高温度を必要としてお
り、このような条件で得られるポリマーは着色したり、
熱分解による不純物を含む等の問題がある。
【0009】さらに、これらの方法で得られるポリマー
の分子量にも限界があり、フィルムや糸等の成形物にし
て充分な強度を持ったポリマーを得ることはできない。
【0010】
【課題を解決しようとする課題】本発明は、L−乳酸と
D−乳酸の直接脱水縮合により、上記従来技術の欠点を
克服した熱分解による不純物を含まず、着色のないL−
乳酸とD−乳酸のコポリマーを得ること、およびフィル
ムや糸等の成形物にして充分な強度を持ったL−乳酸と
D−乳酸のコポリマーを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、実質的に水の
存在しない状態で、L−乳酸とD−乳酸またはそれらの
オリゴマーを含む反応混合物中で脱水縮合反応する際、
反応混合物から有機溶媒の少なくとも一部を除去し、除
去される有機溶媒の水分量よりも少ないか等しい水分量
を持った追加有機溶媒を反応混合物に装入する事により
得られた、重量平均分子量50,000以上、または対
数粘度数(η)が0.40dl/g以上で、L−乳酸単
位とD−乳酸単位からなるコポリマーである。
【0012】本発明のポリマーを得るための製造方法の
特徴は、L−乳酸とD−乳酸の反応を有機溶媒中で行な
い、生成した水を該有機溶媒と共に反応系外に留出させ
ることにあるが、好ましくはL−乳酸とD−乳酸の加熱
脱水縮合反応を有機溶媒中で行ない、生成した水を該有
機溶媒と共に反応系外に留出させるとともに、留出した
有機溶媒に溶解する水分量以下の水分量を有する有機溶
媒を追加溶媒として反応系に装入しながら反応すること
にある。
【0013】本発明に使用できる有機溶媒は、例えば、
トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒、
クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨ−ドベンゼン、ジ
クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン、p-クロロトルエン等のハロゲン系溶媒、3−ヘキサ
ノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン系溶
媒、ジブチルエ−テル、アニソ−ル、フェネトール、o
−ジメトキシベンゼン、p−ジメトキシベンゼン、3−
メトキシトルエン、ジベンジルエーテル、ベンジルフェ
ニルエーテル、メトキシナフタレン等のエーテル系溶
媒、フェニルスルフィド、チオアニソール等のチオエー
テル溶媒、安息香酸メチル、フタル酸メチル、フタル酸
エチル等のエステル系溶媒、ジフェニルエーテル、また
は4−メチルフェニルエーテル、3−メチルフェニルエ
ーテル、3−フェノキシトルエン等のアルキル置換ジフ
ェニルエーテル、または、4−ブロモフェニルエーテ
ル、4−クロロフェニルエーテル、4ーブロモジフェニ
ルエーテル、4−メチル−4’−ブロモジフェニルエー
テル等のハロゲン置換ジフェニルエーテル、または、4
−メトキシジフェニルエーテル、4−メトキシフェニル
エーテル、3−メトキシフェニルエーテル、4−メチル
−4’−メトキシジフェニルエーテル等のアルコキシ置
換ジフェニルエーテル、または、ジベンゾフラン、キサ
ンテン等の環状ジフェニルエーテル等のジフェニルエー
テル系溶媒が挙げられ、これらは、混合して用いてもよ
い。そして、溶媒として容易に水と分液分離できるもの
が好ましく、特に重量平均分子量の高いポリヒドロキシ
カルボン酸を得るためにはエーテル系溶媒、アルキル−
アリールエーテル系溶媒およびジフェニルエーテル系溶
媒がより好ましいが、アルキル−アリールエーテル系溶
媒およびジフェニルエーテル系溶媒が特に好ましい。
【0014】本発明の溶剤の沸点は高い方が良く、好ま
しくは180℃以上の沸点を持つ溶媒を用い、低温、高
真空度で反応を行うことにより、好ましくない副反応を
ともなわず効率的に脱水を進めることができる。
【0015】これらの溶媒の使用量は得られるポリマー
の濃度で10〜80%であることが好ましい。
【0016】本発明において、生成した水を反応系外に
留出させるには、用いた有機溶媒と水との共沸によるこ
とが好ましい。共沸により留出した有機溶媒は、含有す
る水の量が該有機溶媒に対する水の溶解度より多い場合
は分液により水を除去した後、反応系内に戻して良く、
さらに用いた有機溶媒に溶解した水を除くために、乾燥
剤で処理したり、蒸留等により水分量を低下させた後、
反応系に戻しても良い。また共沸により留出した有機溶
媒の代わりに、新たな水分量の低い有機溶媒を装入して
も良い。また反応の始めの部分で水分を減圧により除去
し、その後に有機溶媒を含む反応混合物より有機溶媒の
一部を除去することにより、反応混合物の水分を所定の
値とすることもできる。
【0017】本発明は要は水分を除去しつつ縮合反応を
進めるものであり、この実施態様としては、溶媒は水と
共沸するものでもしないものでもよく、水と分液するも
のでもしないものでもよい。また、他の実施態様として
は、過剰の溶媒を予め装入しておき、単に溶媒を抜き出
すのみで脱水する方法、反応溶媒を他の溶媒を用いて乾
燥する方法等も含まれる。またさらに変形として、反応
溶媒自体を液状のまま水分を除去してもよい。また、本
発明の反応温度については、溶媒が水と共沸するため
に、沸点が低下したとしても所定の温度で行われればよ
い。
【0018】コポリマーの重量平均分子量は、反応系に
装入する有機溶媒の水分量にも依存し、溶媒の種類にも
よるが、溶媒が400〜500ppmと高い水分量を有
する場合、得られるポリヒドロキシカルボン酸の重量
均分子量は、15,000〜50,000である。しか
しながら、上記高水分量でもジフェニルエーテル系溶媒
を用いると40,000〜50,000の重量平均分子
量のコポリマーが得られることは驚くべきことである。
更に高い重量平均分子量のコポリマーを得るためには、
反応系に入する有機溶媒の水分量が低いことが望まし
く、共沸により留出した有機溶媒を乾燥剤で処理して水
を除去または減少して反応系に戻すか、水分量の低い新
たな有機溶媒を入することにより、入する水分量を
50ppm以下とすることにより、重量平均分子量Mw
50,000〜400,000のコポリマーを得ること
ができる。
【0019】本発明において、重量平均分子量の高いコ
ポリマーを得るために用いる乾燥剤としては、モレキュ
ラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラ
ーシーブ5A、モレキュラーシーブ13X等のモレキュ
ラーシーブ類、アルミナ、シリカゲル、塩化カルシ
ム、硫酸カルシウム、五酸化二リン、濃硫酸、過塩素酸
マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化
カリウム、水酸化ナトリウム、あるいは水素化カルシウ
ム、水素化ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等
の金属水素化物、または、ナトリウム等のアルカリ金属
等があげられる。中でも、取扱い及び再生の容易さから
モレキュラーシーブ類が好ましい。
【0020】本発明における反応温度は、ポリマーの生
成速度および生成したポリマーの熱分解速度を考慮し
て、好ましくは80〜200℃であり、より好ましく
は、110〜170℃である。縮合反応は、通常、常圧
下に使用する有機溶媒の留出温度で行われる。反応温度
を好ましい範囲にするために高沸点の有機溶媒を用いる
場合には、減圧下で行っても良い。
【0021】ポリL−乳酸のポリマーは結晶性でありフ
ィルム等の成形物にすると曇りのある半透明のものを与
える。一部にD−乳酸を含む場合には結晶化が阻害され
て透明で比較的柔らかいポリマーとなり、伸びや柔軟性
を要求される用途にはこのようなポリマーが適してい
る。従って本発明のコポリマー中のD−乳酸の割合は好
ましくは5%以上である。
【0022】本発明のコポリマーを製造するには、触媒
を使用しても使用しなくても良いが、触媒を用いるばあ
いには、反応速度を上げることができる。使用する触媒
としては、周期表II、III、IV、V族の金属、そ
の酸化物あるいはその塩等が挙げられる。具体的には、
亜鉛末、錫末、アルミニウム、マグネシウム等の金属、
酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化アルミニウ
ム、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物、塩
化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第二錫、フッ
化アンチモン、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アル
ミニウム等の金属ハロゲン化物、硫酸錫、硫酸亜鉛、硫
酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸亜
鉛等の炭酸塩、酢酸錫、オクタン酸錫、乳酸錫、酢酸亜
鉛、酢酸アルミニウム等の有機カルボン酸塩、トリフル
オロメタンスルホン酸錫、トリフルオロメタンスルホン
酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、
メタンスルホン酸錫、p−トルエンスルホン酸錫等の有
機スルホン酸塩が挙げられる。その他、ジブチルチンオ
キサイド等の上記金属の有機金属酸化物、または、チタ
ニウムイソプロポキサイド等の上記金属の金属アルコキ
サイド、または、ジエチル亜鉛等の上記金属のアルキル
金属、または、ダウエックス、アンバーライト等のイオ
ン交換樹脂等が挙げられる。
【0023】その使用量は、使用するL−乳酸とD−乳
酸、または、それらのオリゴマーの0.0001〜10
重量%が良く、経済性を考えると、0.001〜2重量
%が好ましい。
【0024】本発明のコポリマーを製造するには、系外
から水分が入らないように、不活性ガス雰囲気下で行う
ことが好ましく、不活性ガスで置換しながら又は不活性
ガスでバブリングしながら行っても良い。
【0025】本発明の縮合反応は、連続操作でも回分操
作でも行うことができる。また溶媒の脱水、溶媒の装入
も連続操作でも回分操作でも行うことができる。
【0026】本発明のコポリマーは、反応で生成した水
を有機溶媒と共に反応系外に留出させながら反応し製造
することができるが、好ましくは生成した水を有機溶媒
と共に反応系外に留出させるとともに、留出した有機溶
媒に溶解する水分量と同じか又は低い水分量を有する有
機溶媒を反応系に装入しながら反応して製造することが
でき、その実施態様の好ましい一例を原料モノマーとし
て90%のL−乳酸(残部のほぼ全量が水である。)と
90%のDL−乳酸をL−乳酸とD−乳酸が4:1にな
るように用いて以下に記載する。
【0027】水分離器(例えばDean Stark
trap)を備えた反応器に、溶媒および所定量の90
%L−乳酸と90%DL−乳酸と所定量の触媒を装入
し、反応器を加熱し、共沸により溶媒と水を留出させ水
分離器に導く。最初は、原料L−乳酸中に含まれる水が
大量に溶媒と共に留出する。溶媒の溶解度以上の水を水
分離器で分離して系外に除去し、溶解度分の水を含んだ
溶媒は、反応系に戻す。この段階で原料乳酸に含まれる
水がほぼ完全に留出するとともに、乳酸がオリゴマー化
する。この段階での重量平均分子量は、500〜1,0
00であり、環状二量体(すなわちラクタイド)を含ん
でいても良いし、重量平均分子量が5,000程度まで
になっていても良い。この間の反応時間はおよそ0.5
時間から数時間である。このオリゴマー化の反応は、あ
らかじめ別の反応器で、無溶媒、無触媒、減圧下で行っ
ていても良いし、無触媒で溶媒を用いて行っても良い。
このまま溶媒の留出温度で、反応が進むにつれて生成す
る水を除去し、水で飽和した溶媒を反応系に戻しながら
反応をつづけも良いが、数十時間反応しても、溶媒の種
類にもよるが、重量平均分子量15,000〜50,0
00のものが得られる。さらに高分子量のポリマーを得
るには、原料中の水がほぼ留出した後、水分離器をはず
し、モレキュラーシーブ等の乾燥剤を充填した管をとり
つけ、留出する溶媒がこの管をとおって還流するように
するか、留出した溶媒を、乾燥剤を入れた別の反応器で
処理して反応器に戻すようにするか、または新たな水分
含量の低い溶媒を反応器に装入する。これらの方法によ
り溶媒に溶解する水の量を50ppm以下にし、このま
ま数十時間反応つづけることにより、溶媒の種類にもよ
るが、重量平均分子量50,000〜400,000の
ポリDL−乳酸を得ることができる。反応終了後、所望
のポリ乳酸を得る処理方法はどのような方法でも良い
が、例えば、反応液に塩化メチレンを加え、その後メタ
ノールに排出し、析出した結晶を濾過、乾燥すれば、所
望のポリDL−乳酸が得られる。
【0028】本発明のコポリマーの重量平均分子量は、
溶媒の種類、触媒の種類および量、反応温度、反応時
間、共沸により留出した溶媒の処理方法等を変えること
により、種々のものが得られるが、50,000〜40
0,000である。本発明のコポリマーはL−ラクタイ
ドとDL−ラクタイドの開環重合により得られたコポリ
マーに比べ低温で縮合反応することができるために、着
色したり、熱分解による不純物を含む等の問題がない。
徐放性材料等の医療用途の場合には安全性の点から不純
物の含有量の少ないものが求められる。
【0029】また、本発明のコポリマーは、L−ラクタ
イドやDL−ラクタイドのような環状ダイマーを用い
ず、L−乳酸とD−乳酸から直接脱水縮合することによ
り得られた重量平均分子量50,000以上のポリマー
であり、モノマーから直接これほどの高分子量のL−乳
酸とD−乳酸のコポリマーが得られることはこれまで知
られていなかった。この様にして得られた高分子量のポ
リヒドロキシカルボン酸類は、フィルム、成形物等に加
工した場合に、十分な強度と靱性を持ち、そのまま容器
等の用途に用いることができる。特に本発明の製造方法
によって製造したポリマーでフィルムに成形した場合、
重量平均分子量50,000(η=0.40dl/g)
より低いものでは、引っ張り強度および伸び率が十分で
はなく、フィルムとして使用するに難点がある。そのた
め、フィルムとして使用する場合強度や伸びの点で、こ
のポリマーの重量平均分子量は、50,000(η=
0.40dl/g)以上が要求され、好ましくは70,
000(η=0.57dl/g)以上、より好ましくは
100,000(η=0.78dl/g)以上の重量
均分子量が要求されるが、本発明の製造方法によれば、
このフィルムに用いて好適な分子量のコポリマーが容易
に得られる。またさらに、これら高分子量のコポリマー
は、延伸、ブロー、真空成形等の二次加工を行なうこと
ができる。従って、本発明の方法により得られる高分子
量のL−乳酸とD−乳酸のコポリマーは、医療用材料と
してあるいは、発泡体、網状体等の従来の汎用樹脂の代
替物として使用することができる。
【0030】また、L−ラクタイドやDL−ラクタイド
のようなの環状中間体から製造した従来のDL−ポリラ
クタイド(以下、ラクタイド法コポリマーという)で
は、2つの同一の光学対掌体がペアになった状態でポリ
マー中のモノマーの配列が構成されるのに対し、本発明
の製造法で得られるコポリマーは、各対掌体のモノマー
がランダムに配列した構造を有し、それらが示す物性も
異なる。
【0031】このL−乳酸とD−乳酸のランダムコポリ
マーは、ヒートシール性が良い等の実用的なメリットを
持ち、包装用フィルムとして利用される。また、軟質の
ポリマーとして利用する場合には、用いる可塑剤の量を
減少することができる。また、本発明のL−乳酸とD−
乳酸のコポリマーは、フィルムにしたとき優れた透明性
を示す。
【0032】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定
されるものではない。なお、本明細書記載のポリヒドロ
キカルボン酸類の重量平均分子量(MW)は、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(カラム温度40℃、
クロロホルム溶媒)により、ポリスチレン標準サンプル
との比較でもとめた。また、溶媒中の水分は、カールフ
ィシャー水分計(MKC−210、京都電子工業株式会
社製)を用いて行った。また、本発明のL−乳酸とD−
乳酸のコポリマーの対数粘度数(η)は、ウベローデ粘
度計を用い、コポリマーを塩化メチレン100ml当た
り0.1g溶解した溶液を用いて20℃で測定し、下記
式から求めた。 η=ln(t/t0)/C (ここでtは溶液の流出時間、t0は溶媒の流出時間、
Cは溶液の濃 度(g/dl)を表わす。)実施例中、
溶媒中の水分は、カールフィシャー水分計(MKC−2
10、京都電子工業株式会社製)を用いて行った。
【0033】実施例1 90%L−乳酸32.0g、90%DL−乳酸8.0g
を150℃/50mmHgで3時間、系外に水を留出し
ながら加熱撹拌しオリゴマー30.8gを得た。これ
に、錫末0.158gを加え、150℃/30mmHg
で、さらに2時間撹拌した。Dean Stark t
rapを取り付け、錫末0.743gとジフェニルエー
テル95.0gを加え、150℃/35mmHgで1時
間共沸脱水反応を行い水分を除去し、その後、Dean
Stark trapをはずし、モレキュラーシーブ
3A、25gが充填された管を取り付け、還流により留
出する溶媒がモレキュラーシ−ブを通って再び系内に戻
るようにした。150℃/35mmHgで40時間反応
を行った。なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の
水分量は、2ppmであった。この反応液にクロロホル
ム220gを加え、吸引濾過し錫末を除去した。このク
ロロホルム溶液を1N塩酸100mlで洗浄し、さらに
水100mlで2回洗浄した後メタノール750ml中
に排出し、析出した固形物を吸引濾過し、続いて、メタ
ノール洗浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/5mmH
gで減圧乾燥後、L−乳酸とD−乳酸のコポリマー2
5.1g(収率87%)を得た。得られたコポリマーの
重量平均分子量は、180,000であった。
【0034】比較例1 L−ラクタイド172g(1.2モル)とDL−ラクタ
イド43.2g(0.3モル)およびオクタン酸スズ
0.01重量%と、ラウリルアルコール0.03重量%
を、攪拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器
へ封入し、真空で2時間脱気した後窒素ガスで置換し
た。この混合物を窒素雰囲気下で攪拌しつつ200℃で
5時間加熱した。温度をそのまま保ちながら、排気管及
びガラス製受器を介して真空ポンプにより徐々に脱気
し、反応容器内を3mmHgまで減圧にした。脱気開始
から1時間後、モノマーや低分子量揮発分の留出がなく
なったので、容器内を窒素置換し、容器下部からポリマ
ーを紐状に抜き出してペレット化し、白色のポリL−
乳酸を得た。このペレットをクロロホルム2lに溶解
し、1N塩酸1lで洗浄し、さらに水1lで2回洗浄し
た後メタノール7.5l中に排出し、析出した固形物を
吸引濾過し、続いて、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を
行った。30℃/5mmHgで減圧乾燥後、L−ラクタ
イドDL−ラクタイドのコポリマー188.2g(収
率91%)を得た。得られたコポリマーの重量平均分子
量は、180,000であった。
【0035】実施例2〜4 90%L−乳酸と90%DL−乳酸を第1表(表1)に
記載されたL−乳酸とD−乳酸の比になるように用いた
以外は実施例1と同様にして重合、後処理を行い重量
均分子量180,000のL−乳酸とD−乳酸のコポリ
マーを得た。得られたポリマーの示差熱分析によるガラ
ス転移温度を実施例1の結果とともに第1表に示した。
【0036】比較例2〜4 L−ラクタイドとDL−ラクタイドを表1に記載された
L−乳酸とD−乳酸の比になるように用いた以外は比較
と同様にして重合、後処理を行い重量平均分子量1
80,000のL−ラクタイドとDL−ラクタイドのコ
ポリマーを得た。得られたポリマーの示差熱分析による
ガラス転移温度を比較例1の結果とともに第1表に示し
た。表から明らかなように、同じL−乳酸とD−乳酸の
比を持つコポリマーでもL−乳酸とDL−乳酸の直接縮
合から得られる実施例のコポリマーは、L−ラクタイド
とDL−ラクタイドの開環重合で得られた比較例のコポ
リマーに比べ低いガラス転移温度を持っている。
【0037】
【表1】
【0038】参考例1 実施例4で得た重量平均分子量180,000のポリマ
ーをクロロホルムに溶解し、その溶液よりキャスト法に
より150mm×150mmのフィルムを作成した。作
成したフィルムの物性を以下に示す。 また、得られたフィルム2枚を、幅5mmの2本の加熱
板ではさみ溶着試験を行った。加熱板温度90℃、圧力
0.5kg/cm2で0.5秒間圧着することにより溶
着することができた。
【0039】参考例2 比較例4で得られた、重量平均分子量180,000の
ポリマーから、参考例1と同様の方法で150mm×1
50mmのフィルムを得た。作成したフィルムの物性を
以下に示す。
【0040】 また、得られたフィルム2枚を用い参考例と同様の方
法で溶着試験を行った。その結果、加熱板温度90℃、
圧力0.5kg/cm2で 0.5秒間圧着したが溶着す
ることができなかった。圧力0.5kg/cm2、圧着
時間0.5秒で溶着するためには、加熱板温度105℃
が 必要であった。
【0041】
【発明の効果】本発明のL−乳酸とD−乳酸のコポリマ
ーは、L−ラクタイドとDL−ラクタイドの開環重合で
得られたものと構造が異なり、示差熱分析から得られた
ガラス転移温度等が異なる。また、フィルムの伸びが大
きいこと、ヒートシール性が高いことなど実用的な面で
も特徴がある。また、不純物をが少なく、透明で着色の
ないポリマーであり医療用途や食品包装用途などに用
い、安全で分解性にすぐれた材料である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に水の存在しない状態で、L−乳酸
    とD−乳酸またはそれらのオリゴマーを含む反応混合物
    中で脱水縮合反応する際、反応混合物から有機溶媒の少
    なくとも一部を除去し、除去される有機溶媒の水分量よ
    りも少ないか等しい水分量を持った追加有機溶媒を反応
    混合物に装入する事により得られた重量平均分子量が5
    0,000以上であるコポリマー。
  2. 【請求項2】 反応混合物から除去される有機溶媒を乾燥
    剤と接触させて水分を除去し、追加溶媒として反応混合
    物に戻す方法により得られた請求項記載のコポリマ
    ー。
  3. 【請求項3】 乾燥剤がモレキュラーシーブ類、五酸化
    二リンまたは金属水素化物である請求項記載のコポリ
    マー。
  4. 【請求項4】 有機溶媒がエーテル系溶媒、又はジフェ
    ニルエーテル系溶媒である請求項記載のコポリマー。
  5. 【請求項5】 エーテル系溶媒がアニソールまたはフェネ
    トールである請求項記載のコポリマー。
  6. 【請求項6】 ジフェニルエーテル系溶媒がジフェニルエ
    ーテルである請求項記載のコポリマー。
  7. 【請求項7】 有機溶媒の沸点が180℃以上である請求
    項1記載のコポリマー。
  8. 【請求項8】 反応混合物に追加装入する有機溶媒の水分
    量が50ppm以下である請求項記載のコポリマー。
  9. 【請求項9】 反応混合物から始めに共沸により水分を除
    去し、次に反応混合物から有機溶媒の一部が除去するこ
    とにより得られる請求項記載のコポリマー。
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