JPH07126356A - 分解性ポリマー - Google Patents

分解性ポリマー

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JPH07126356A
JPH07126356A JP27800593A JP27800593A JPH07126356A JP H07126356 A JPH07126356 A JP H07126356A JP 27800593 A JP27800593 A JP 27800593A JP 27800593 A JP27800593 A JP 27800593A JP H07126356 A JPH07126356 A JP H07126356A
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organic solvent
solvent
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water
copolymer according
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JP27800593A
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English (en)
Inventor
Chojiro Higuchi
長二郎 樋口
Masanobu Ajioka
正伸 味岡
Teruhiro Yamaguchi
彰宏 山口
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直接脱水縮合により得られた、不純物が少な
く透明で柔軟性のあるポリマーを得ることおよびフィル
ムや糸等の成形物にして充分な強度と柔軟性を持った高
分子量のポリマーを提供することを目的とする。 【構成】 実質的に水の存在しない状態で、80〜95
モルの%乳酸と5〜20モル%の6−ヒドロキシカプロ
ン酸またはそれらのオリゴマーを、有機溶媒を含む反応
混合物中で脱水縮合反応することにより得られる、重量
平均分子量が約50,000以上であるコポリマー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用材料や汎用樹脂
の代替物として有用な生分解性ポリマーである乳酸と6
−ヒドロキシカプロン酸のコポリマーに関する。特に、
乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸から直接脱水縮合によ
り製造されたコポリマーに関する。乳酸および6−ヒド
ロキシカプロン酸は、自然界に広く分布し動植物および
人畜に対して無害であり、その重合物であるポリ乳酸お
よびポリヒドロキシカプロン酸は、水の存在下で比較的
容易に加水分解を受け、また、生体内でも加水分解され
吸収されるところから上記用途に用い得るポリマーとし
て注目されている。
【0002】
【従来技術】ポリ乳酸、または、ポリヒドロキシカプロ
ン酸は、一般に、乳酸または6−ヒドロキシカプロン酸
の環状体であるラクチドまたはε−カプロラクトンを開
環重合することにより得られていた。
【0003】ラクタイドとε−カプロラクトンの開環重
合により得られるコポリマーの製造法としては、米国特
許明細書第4,148,871に記載されている。ま
た、ジャ−ナル・オブ・ポリマー・サイエンス:ポリマ
ー・レターズ・エディション(Journal of
Polymer Science:Polymer L
etters Edition)21巻593〜600
頁 1983年には、触媒として(n−C49O)4
22Zn を用いて乳酸の共重合体とラクトンとのブ
ロックポリマーの製造法が記載されている。
【0004】また、日本特許公開公報平成2年第84,
431には、ポリフィリンアルミニウム錯体及び活性水
素化合物の存在下にラクトン、又はエポキシドを重合さ
せるか又はこれら両者を逐次重合させ、得られた重合体
の存在下にラクチドを重合させるブロック共重合体の製
造法がある。
【0005】しかし、ポリマー原料に適したラクチドや
ε−カプロラクトンの製造には、蒸留、再結晶等多大の
労力と費用を必要とするため経済的でなく、また、ラク
チドやε−カプトラクトンのような環状ラクトンを形成
しないヒドロキシカルボン酸を共重合する際には、この
方法を用いることはできない。
【0006】WO 93/12160にヒドロキシカル
ボン酸類の脱水縮合を有機溶媒の存在下に行うことによ
り、高分子量のポリエステルを得る方法が開示されてい
る。
【0007】
【課題を解決しようとする課題】本発明は、乳酸と6−
ヒドロキシカプロン酸の直接脱水縮合により、上記従来
技術の欠点を克服した柔軟性が高く熱分解による不純物
を含まず、着色のない乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸
のコポリマーを得ること、およびフィルム等の成形物に
して充分な強度を持った乳酸と6−ヒドロキシカプロン
酸のコポリマーを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、乳酸と6
−ヒドロキシカプロン酸またはそれらのオリゴマーを、
有機溶媒中、実質的に水の存在しない状態で縮合するこ
とにより得られた、平均分子量50,000以上、また
は対数粘度数(η)が0.40dl/g以上である、8
0〜95%の乳酸単位と5〜20%の6−ヒドロキシカ
プロン酸単位からなるコポリマーが強靭であると同時
に、伸びのある柔軟なフィルム等の成形物を与えること
を見出し、本発明を完成した。
【0009】本発明は、実質的に水の存在しない状態
で、80〜95モルの%乳酸と5〜20モル%の6−ヒ
ドロキシカプロン酸またはそれらのオリゴマーを、有機
溶媒を含む反応混合物中で脱水縮合反応することにより
得られる、重量平均分子量が約50,000以上である
コポリマーである。
【0010】本発明のコポリマー中の乳酸単位はD体、
L体、それぞれ単独であっても良いし、D体とL体の混
合物でも良い。
【0011】本発明のコポリマー中の6−ヒドロキシカ
プロン酸の量は5〜20%が好ましい。特に好ましくは
8〜12%であり、あまり少ないと十分な柔軟性が得ら
れなく、多すぎると柔らかすぎて十分な強度が得られな
い。得られたコポリマーのガラス転移温度は好ましくは
35℃以下、特に好ましくは30℃以下である。
【0012】本発明のポリマーを得るための製造方法の
特徴は、乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸の反応を有機
溶媒中で行ない、生成した水を該有機溶媒と共に反応系
外に留出させることにあるが、好ましくは乳酸と6−ヒ
ドロキシカプロン酸の加熱脱水縮合反応を有機溶媒中で
行ない、生成した水を該有機溶媒と共に反応系外に留出
させるとともに、留出した有機溶媒に溶解する水分量以
下の水分量を有する有機溶媒を追加溶媒として反応系に
装入しながら反応することにある。
【0013】本発明に使用できる有機溶媒は、例えば、
トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒、
クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨ−ドベンゼン、ジ
クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタ
ン、p-クロロトルエン等のハロゲン系溶媒、3−ヘキサ
ノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン系溶
媒、ジブチルエ−テル、アニソ−ル、フェネトール、o
−ジメトキシベンゼン、p−ジメトキシベンゼン、3−
メトキシトルエン、ジベンジルエーテル、ベンジルフェ
ニルエーテル、メトキシナフタレン等のエーテル系溶
媒、フェニルスルフィド、チオアニソール等のチオエー
テル溶媒、安息香酸メチル、フタル酸メチル、フタル酸
エチル等のエステル系溶媒、ジフェニルエーテル、また
は4−メチルフェニルエーテル、3−メチルフェニルエ
ーテル、3−フェノキシトルエン等のアルキル置換ジフ
ェニルエーテル、または、4−ブロモフェニルエーテ
ル、4−クロロフェニルエーテル、4ーブロモジフェニ
ルエーテル、4−メチル−4’−ブロモジフェニルエー
テル等のハロゲン置換ジフェニルエーテル、または、4
−メトキシジフェニルエーテル、4−メトキシフェニル
エーテル、3−メトキシフェニルエーテル、4−メチル
−4’−メトキシジフェニルエーテル等のアルコキシ置
換ジフェニルエーテル、または、ジベンゾフラン、キサ
ンテン等の環状ジフェニルエーテル等のジフェニルエー
テル系溶媒が挙げられ、これらは、混合して用いてもよ
い。そして、溶媒として容易に水と分液分離できるもの
が好ましく、特に平均分子量の高いポリヒドロキシカル
ボン酸を得るためにはエーテル系溶媒、アルキル−アリ
ールエーテル系溶媒およびジフェニルエーテル系溶媒が
より好ましいが、アルキル−アリールエーテル系溶媒お
よびジフェニルエーテル系溶媒が特に好ましい。
【0014】本発明の溶剤の沸点は高い方が良く、好ま
しくは180℃以上の沸点を持つ溶媒を用い、低温、高
真空度で反応を行うことにより、好ましくない副反応を
ともなわず効率的に脱水を進めることができる。
【0015】これらの溶媒の使用量は得られるポリマー
の濃度で10〜80%であることが好ましい。
【0016】本発明において、生成した水を反応系外に
留出させるには、用いた有機溶媒と水との共沸によるこ
とが好ましい。共沸により留出した有機溶媒は、含有す
る水の量が該有機溶媒に対する水の溶解度より多い場合
は分液により水を除去した後、反応系内に戻して良く、
さらに用いた有機溶媒に溶解した水を除くために、乾燥
剤で処理したり、蒸留等により水分量を低下させた後、
反応系に戻しても良い。また共沸により留出した有機溶
媒の代わりに、新たな水分量の低い有機溶媒を装入して
も良い。また反応の始めの部分で水分を減圧により除去
し、その後に有機溶媒を含む反応混合物より有機溶媒の
一部を除去することにより、反応混合物の水分を所定の
値とすることもできる。
【0017】本発明は要は水分を除去しつつ縮合反応を
進めるものであり、この実施態様としては、溶媒は水と
共沸するものでもしないものでもよく、水と分液するも
のでもしないものでもよい。また、他の実施態様として
は、過剰の溶媒を予め装入しておき、単に溶媒を抜き出
すのみで脱水する方法、反応溶媒を他の溶媒を用いて乾
燥する方法等も含まれる。またさらに変形として、反応
溶媒自体を液状のまま水分を除去してもよい。また、本
発明の反応温度については、溶媒が水と共沸するため
に、沸点が低下したとしても所定の温度で行われればよ
い。
【0018】本発明において、平均分子量の高いコポリ
マーを得るために用いる乾燥剤としては、モレキュラー
シーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシ
ーブ5A、モレキュラーシーブ13X等のモレキュラー
シーブ類、アルミナ、シリカゲル、塩化カルシム、硫酸
カルシウム、五酸化二リン、濃硫酸、過塩素酸マグネシ
ウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、あるいは水素化カルシウム、水
素化ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等の金属
水素化物、または、ナトリウム等のアルカリ金属等があ
げられる。中でも、取扱い及び再生の容易さからモレキ
ュラーシーブ類が好ましい。
【0019】本発明における反応温度は、コポリマーの
生成速度および生成したコポリマーの熱分解速度を考慮
して、好ましくは80〜200℃であり、より好ましく
は、110〜170℃である。縮合反応は、通常、常圧
下に使用する有機溶媒の留出温度で行われる。反応温度
を好ましい範囲にするために高沸点の有機溶媒を用いる
場合には、減圧下で行っても良い。
【0020】本発明のコポリマーを製造するには、触媒
を使用しても使用しなくても良いが、触媒を用いるばあ
いには、反応速度を上げることができる。使用する触媒
としては、周期表II、III、IV、V族の金属、そ
の酸化物あるいはその塩等が挙げられる。具体的には、
亜鉛末、錫末、アルミニウム、マグネシウム等の金属、
酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化アルミニウ
ム、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物、塩
化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第二錫、フッ
化アンチモン、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アル
ミニウム等の金属ハロゲン化物、硫酸錫、硫酸亜鉛、硫
酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸亜
鉛等の炭酸塩、酢酸錫、オクタン酸錫、乳酸錫、酢酸亜
鉛、酢酸アルミニウム等の有機カルボン酸塩、トリフル
オロメタンスルホン酸錫、トリフルオロメタンスルホン
酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、
メタンスルホン酸錫、p−トルエンスルホン酸錫等の有
機スルホン酸塩が挙げられる。その他、ジブチルチンオ
キサイド等の上記金属の有機金属酸化物、または、チタ
ニウムイソプロポキサイド等の上記金属の金属アルコキ
サイド、または、ジエチル亜鉛等の上記金属のアルキル
金属、または、ダウエックス、アンバーライト等のイオ
ン交換樹脂等が挙げられる。
【0021】その使用量は、使用する乳酸と6−ヒドロ
キシカプロン酸、または、それらのオリゴマーの0.0
001〜10重量%が良く、経済性を考えると、0.0
01〜2重量%が好ましい。
【0022】本発明のコポリマーを製造するには、系外
から水分が入らないように、不活性ガス雰囲気下で行う
ことが好ましく、不活性ガスで置換しながら又は不活性
ガスでバブリングしながら行っても良い。
【0023】本発明の縮合反応は、連続操作でも回分操
作でも行うことができる。また溶媒の脱水、溶媒の装入
も連続操作でも回分操作でも行うことができる。
【0024】本発明のコポリマーは、反応で生成した水
を有機溶媒と共に反応系外に留出させながら反応し製造
することができるが、好ましくは生成した水を有機溶媒
と共に反応系外に留出させるとともに、留出した有機溶
媒に溶解する水分量と同じか又は低い水分量を有する有
機溶媒を反応系に装入しながら反応して製造することが
でき、その実施態様の好ましい一例を原料モノマーとし
て90%のL−乳酸(残部のほぼ全量が水である。)と
6−ヒドロキシカプロン酸を乳酸と6−ヒドロキシカプ
ロン酸が90:10になるように用いて以下に記載す
る。
【0025】水分離器(例えばDean Stark
trap)を備えた反応器に、溶媒および所定量の90
%L−乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸と所定量の触媒
を装入し、反応器を加熱し、共沸により溶媒と水を留出
させ水分離器に導く。最初は、原料中に含まれる水が大
量に溶媒と共に留出する。溶媒の溶解度以上の水を水分
離器で分離して系外に除去し、溶解度分の水を含んだ溶
媒は、反応系に戻す。この段階で原料L−乳酸に含まれ
る水がほぼ完全に留出するとともに、L−乳酸と6−ヒ
ドロキシカプロン酸がオリゴマー化する。この段階での
平均分子量は、500〜1,000であり、環状体(す
なわちラクタイドおよび/またはε−カプロラクトン)
を含んでいても良いし、平均分子量が5,000程度ま
でになっていても良い。この間の反応時間はおよそ0.
5時間から数時間である。このオリゴマー化の反応は、
あらかじめ別の反応器で、無溶媒、無触媒、減圧下で行
っていても良いし、無触媒で溶媒を用いて行っても良
い。このまま溶媒の留出温度で、反応が進むにつれて生
成する水を除去し、水で飽和した溶媒を反応系に戻しな
がら反応をつづけも良いが、数十時間反応しても、溶媒
の種類にもよるが、平均分子量15,000〜50,0
00のものが得られる。さらに高分子量のコポリマーを
得るには、原料中の水がほぼ留出した後、水分離器をは
ずし、モレキュラーシーブ等の乾燥剤を充填した管をと
りつけ、留出する溶媒がこの管をとおって還流するよう
にするか、留出した溶媒を、乾燥剤を入れた別の反応器
で処理して反応器に戻すようにするか、または新たな水
分含量の低い溶媒を反応器に装入する。これらの方法に
より溶媒に溶解する水の量を50ppm以下にし、この
まま数十時間反応つづけることにより、溶媒の種類にも
よるが、平均分子量50,000〜400,000のL
−乳酸6−ヒドロキシカプロン酸コポリマーを得ること
ができる。反応終了後、所望のコポリマーを得る処理方
法はどのような方法でも良いが、例えば、反応液に塩化
メチレンを加え、その後メタノールに排出し、析出した
結晶を濾過、乾燥すれば、所望のコポリマーが得られ
る。
【0026】本発明のコポリマーの平均分子量は、溶媒
の種類、触媒の種類および量、反応温度、反応時間、共
沸により留出した溶媒の処理方法等を変えることによ
り、種々のものが得られるが、約50,000〜40
0,000である。本発明のコポリマーはラクタイドと
ε−カプロラクトンの開環重合により得られたコポリマ
ーに比べ溶剤に対する溶解性が高く、徐放性材料を作る
際に混合する薬剤等と共に溶媒に溶解して混合物を作る
場合等に効果がある。また、本発明のコポリマーは、低
温で縮合反応することができるために、着色したり、熱
分解による不純物を含む等の問題がない。徐放性材料等
の医療用途の場合には安全性の点から不純物の含有量の
少ないものが求められる。
【0027】本発明のコポリマーは、ラクタイドやε−
カプロラクトンのような環状体を用いず、乳酸と6−ヒ
ドロキシカプロン酸から直接脱水縮合することにより得
られた平均分子量50,000以上のポリマーであり、
フィルム、成形物等に加工した場合に、十分な強度と靱
性を持ち、同時にラクタイドとε−カプロラクトンの開
環重合で得られたコポリマーに比べガラス転移温度では
10℃低く、さらにはキャスト法によるフィルムの伸び
率では約20倍の差があり、常温付近で大きな伸びを持
ち、そのままあるいは可塑剤を加え、柔軟な包装材料と
しての用途に用いることができる。特に本発明の製造方
法によって製造したポリマーでフィルムに成形した場
合、平均分子量50,000(η=0.40dl/g)
より低いものでは、引張強度および伸び率が十分ではな
く、フィルムとして使用するに難点がある。そのため、
フィルムとして使用する場合強度や伸びの点で、このポ
リマーの平均分子量は、50,000(η=0.40d
l/g)以上が要求され、好ましくは70,000(η
=0.57dl/g)以上、より好ましくは100,0
00(η=0.78dl/g)以上の平均分子量が要求
されるが、本発明の製造方法によれば、このフィルムに
用いて好適な分子量のコポリマーが容易に得られる。ま
たさらに、これら高分子量のコポリマーは、延伸、ブロ
ー、真空成形等の二次加工を行なうことができる。従っ
て、本発明の方法により得られる高分子量の乳酸と6−
ヒドロキシカプロン酸のコポリマーは、医療用材料とし
てあるいは、発泡体、網状体等の従来の汎用樹脂の代替
物として使用することができる。また、 6−ヒドロキ
シカプロン酸を含む本発明の乳酸と6−ヒドロキシカプ
ロン酸のコポリマーは、フィルムにしたとき優れた透明
性を示す。
【0028】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定
されるものではない。なお、本明細書記載のポリヒドロ
キカルボン酸類の平均分子量(MW)は、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(カラム温度40℃、クロ
ロホルム溶媒)により、ポリスチレン標準サンプルとの
比較でもとめた。
【0029】また、溶媒中の水分は、カールフィシャー
水分計(MKC−210、京都電子工業株式会社製)を
用いて行った。また、本発明の乳酸と6−ヒドロキシカ
プロン酸のコポリマーの対数粘度数(η)は、ウベロー
デ粘度計を用い、コポリマーを塩化メチレン100ml
当たり0.1g溶解した溶液を用いて20℃で測定し、
下記式(式1)から求めた。
【0030】
【式1】η=ln(t/t0)/C (ここでtは溶液の流出時間、t0は溶媒の流出時間、
Cは溶液の濃 度(g /dl)を表わす。)実施例
中、溶媒中の水分は、カールフィシャー水分計(MKC
−210、京都電子工業株式会社製)を用いて行った。
【0031】実施例1 90%L−乳酸36.0g(0.36モル)、6−ヒド
ロキシカプロン酸(0.04モル)5.3gを150℃
/50mmHgで3時間、系外に水を留出しながら加熱
撹拌しオリゴマー30.8gを得た。これに、錫末0.
158gを加え、150℃/30mmHgで、さらに2
時間撹拌した。Dean Starktrapを取り付
け、錫末0.743gとジフェニルエーテル102.5
gを加え、150℃/35mmHgで1時間共沸脱水反
応を行い水分を除去し、その後、Dean Stark
trapをはずし、モレキュラーシーブ3A、25g
が充填された管を取り付け、還流により留出する溶媒が
モレキュラーシ−ブを通って再び系内に戻るようにし
た。130℃/12mmHgで35時間反応を行った。
なお、モレキュラーシーブ通過後の溶媒中の水分量は、
2ppmであった。この反応液にクロロホルム220g
を加え、吸引濾過し錫末を除去した。このクロロホルム
溶液を1N塩酸100mlで洗浄し、さらに水100m
lで2回洗浄した後メタノール750ml中に排出し、
析出した固形物を吸引濾過し、続いて、メタノール洗
浄、ヘキサン洗浄を行った。30℃/5mmHgで減圧
乾燥後、乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸のコポリマー
25.0g(収率80%)を得た。得られたコポリマー
の平均分子量は、115,000であり、このコポリマ
ーの示差熱分析によるガラス転移温度は24℃であっ
た。このポリマーにベンゼンを加えて室温で放置したと
ころ容易に溶解した。
【0032】比較例1 L−ラクタイド194.4g(1.35モル)とε−カ
プトラクトン34.2g(0.30モル)およびオクタ
ン酸スズ0.01重量%と、ラウリルアルコール0.0
3重量%を、攪拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製
重合容器へ封入し、真空で2時間脱気した後窒素ガスで
置換した。この混合物を窒素雰囲気下で攪拌しつつ20
0℃で5時間加熱した。温度をそのまま保ちながら、排
気管及びガラス製受器を介して真空ポンプにより徐々に
脱気し、反応容器内を3mmHgまで減圧にした。脱気
開始から1時間後、モノマーや低分子量揮発分の留出が
なくなったので、容器内を窒素置換し、容器下部からポ
リマーを紐状に抜き出してペレット化し、白色のポリL
−乳酸を得た。このペレットをクロロホルム2lに溶解
し、1N塩酸1lで洗浄し、さらに水1lで2回洗浄し
た後メタノール7.5l中に排出し、析出した固形物を
吸引濾過し、続いて、メタノール洗浄、ヘキサン洗浄を
行った。30℃/5mmHgで減圧乾燥後、乳酸と6−
ヒドロキシカプロン酸のコポリマー208.0g(収率
91%)を得た。得られたコポリマーの平均分子量は、
160,000であり、このコポリマーの示差熱分析に
よるガラス転移温度34℃であった。
【0033】参考例1 実施例1で得た平均分子量115,000のポリマーを
クロロホルムに溶解し、その溶液よりキャスト法により
150mm×150mmのフィルムを作成した。作成し
たフィルムの物性を以下に示す。
【0034】厚み:68〜72μm 引張強度: 84kg/cm2 (降伏) 340kg/cm2 (破断) 伸び:480%
【0035】参考例2 比較例1で得られた、平均分子量160,000のポリ
マーから、参考例1と同様の方法で150mm×150
mmのフィルムを得た。作成したフィルムの物性を以下
に示す。
【0036】厚み:45〜49μm 引張強度:370kg/cm2 (降伏) 200kg/cm2 (破断) 伸び:20%
【0037】比較例2 90%L−乳酸36.0g(0.36モル)を用いた以
外は実施例1と同様にして重合、後処理を行い平均分子
量124,000のポリマーを得た。収量22.0g
(収率85%)。このポリマーの示差熱分析によるガラ
ス転移温度58℃であった。
【0038】参考例3 比較例2で得られた、平均分子量124,000のポリ
マーから、参考例1と同様の方法で150mm×150
mmのフィルムを得た。作成したフィルムの物性を以下
に示す。
【0039】厚み:58〜62μm 引張強度:620kg/cm2 (降伏) 伸び: 6%
【0040】実施例2 90%L−乳酸36.0g(0.36モル)、6−ヒド
ロキシカプロン酸8.4g(0.064モル)を用いた
以外は実施例1と同様にして重合、後処理を行い平均分
子量104,000のポリマーを得た。収量24.9g
(収率75%)。このポリマーの示差熱分析によるガラ
ス転移温度14℃であった。
【0041】参考例4 実施例2で得られた、平均分子量104,000のポリ
マーから、参考例1と同様の方法で150mm×150
mmのフィルムを得た。作成したフィルムの物性を以下
に示す。
【0042】厚み:55〜60μm 引張強度:100kg/cm2 (降伏) 280kg/cm2 (破断) 伸び:500%以上
【0043】比較例3 90%L−乳酸36.0g(0.36モル)、6−ヒド
ロキシカプロン酸20.4g(0.155モル)を用い
た以外は実施例1と同様にして重合、後処理を行い平均
分子量103,000のポリマーを得た。収量30.5
g(収率70%)。このポリマーの示差熱分析によるガ
ラス転移温度−8℃であった。
【0044】参考例4 比較例2で得られた、平均分子量103,000のポリ
マーから、参考例1と同様の方法で150mm×150
mmのフィルムを作成したが、ゴム状で粘着性が強くフ
ィルムは得られなった。
【0045】
【発明の効果】本発明の乳酸と6−ヒドロキシカプロン
酸のコポリマーは、ラクタイドとε−カプトラクトンの
開環重合で得られたものと物性が異なり、示差熱分析及
び引張強度の結果等が異なる。また、フィルムの伸びが
著しく大きいこと、柔軟な食品包装用途などに用いるこ
とができる材料である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に水の存在しない状態で、80〜
    95モルの%乳酸と5〜20モル%の6−ヒドロキシカ
    プロン酸またはそれらのオリゴマーを、有機溶媒を含む
    反応混合物中で脱水縮合反応することにより得られる、
    重量平均分子量が約50,000以上であるコポリマ
    ー。
  2. 【請求項2】 反応混合物から有機溶媒の少なくとも一
    部を除去し、除去した有機溶媒の水分量よりも少ないか
    等しい水分量を持った追加有機溶媒を反応混合物に装入
    する方法により得られた請求項1記載のコポリマー。
  3. 【請求項3】 反応混合物から除去した有機溶媒を、乾
    燥剤と接触させて水分を除去し、追加溶媒として反応混
    合物に戻す方法により得られた請求項2記載のコポリマ
    ー。
  4. 【請求項4】 乾燥剤がモレキュラーシーブ類、五酸化
    二リンまたは金属水素化物である請求項3記載のコポリ
    マー。
  5. 【請求項5】 反応混合物に追加装入する有機溶媒の水
    分量が50ppm以下である請求項2記載のコポリマー。
  6. 【請求項6】 有機溶媒がエーテル系溶媒である請求項
    1記載のコポリマー。
  7. 【請求項7】 エーテル系有機溶媒がアニソールまたは
    フェネトールである請求項6記載のコポリマー。
  8. 【請求項8】 有機溶媒がジフェニルエーテル系溶媒で
    ある請求項1記載のコポリマー。
  9. 【請求項9】 ジフェニルエーテル系溶媒がジフェニル
    エーテルである請求項8記載のコポリマー。
  10. 【請求項10】 有機溶媒の沸点が180℃以上である
    請求項1記載のコポリマー。
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