JPH0665148A - 共役ジエンのカルボニル化 - Google Patents

共役ジエンのカルボニル化

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JPH0665148A
JPH0665148A JP5177640A JP17764093A JPH0665148A JP H0665148 A JPH0665148 A JP H0665148A JP 5177640 A JP5177640 A JP 5177640A JP 17764093 A JP17764093 A JP 17764093A JP H0665148 A JPH0665148 A JP H0665148A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価に供給原料からアルケン酸誘導体へのル
ートの改良 【構成】 本発明は、脂肪族共役ジエンをパラジウム化
合物と多座ホスフィン配位子と必要に応じプロトン酸と
からなる触媒系の存在下に液体状態で一酸化炭素および
ヒドロキシル基含有化合物と反応させ、この反応を調節
された極性の反応媒体にて行なうアルケン酸誘導体の製
造方法に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、脂肪族共役ジエンをパ
ラジウム化合物と多座ホスフィン配位子と必要に応じプ
ロトン酸とからなる触媒系の存在下に液体状態で一酸化
炭素およびヒドロキシル基含有化合物と反応させること
によるアルケン酸誘導体の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】本発明の方法により得られる生成物、た
とえばアルケン酸エステル、アルケン酸およびアルケン
酸無水物は種々の化学製品のための有能な中間体を構成
し、したがってたとえばブタジエンのような安価な基礎
供給原料を用いて入手しうるようになった。たとえばア
ルキル 3−ペンテノエートは、それぞれポリアミド−
6,6およびポリアミド−6への効率的な製造ルートに
おけるジアルキルアジペートおよび6−オキソヘキサノ
エートに対する中間体である。米国特許第417208
7号はアルコールの存在下における共役ジエンのカルボ
ニル化法を開示しており、ハロゲンフリーのパラジウム
塩と多座ホスフィン配位子と第三窒素塩基(たとえばピ
リジン、キノリンもしくはイソキノリン)とからなる触
媒系を使用する。第三窒素塩基は他の触媒成分に対し大
過剰で使用され、本質的に反応用の媒体として作用す
る。添加されるN−複素環式溶剤の不存在下では、パラ
ジウム含有の不溶性物質の沈澱およびずっと低い生成物
収率が報告されている。この公知方法は2つの同時反
応、すなわち二量化反応およびカルボニル化を含み、常
に混合反応生成物(たとえばペンテノン酸イソプロピル
とノナジエン酸イソプロピル)が得られる。
【0003】共役ジエンカルボニル化の選択性に関する
その後の改良がEP−A−273489号により開示さ
れ、これによれば反応はパラジウム化合物を少なくとも
1種の多座有機燐配位子と組合せてなる特定の実質的に
有機窒素含有塩基フリーの触媒系の存在下で行なわれ
る。好適具体例によれば、pKa値>3を有する触媒量
のプロトン酸を添加して、たとえばブタジエンの変換の
場合にはペンテノエートの収率を増大させることがで
き、米国特許第4172087号で使用される塩基性反
応媒体を回避するという利点を強調している。EP−A
−273489号の方法はブタジエンのカルボニル化に
関するものであって、約90%もしくはそれ以上のアル
キルペンテノエートに対する選択率を以て進行する。公
知方法は安価な供給原料からアルケン酸誘導体への興味
あるルートを与えるが、用いる貴重なパラジウム触媒成
分の量に比べ反応速度は特にポリアミドの製造のための
工業技術に匹敵しうる工業上可能な方法を与えるには、
さらに改良の余地がある。
【0004】
【発明の要点】本発明は、このような改良を達成するこ
とを目的とする。今回、この目的は調節された極性を有
する反応媒体において反応を行なえば達成されることが
判明した。驚くことに、カルボニル化反応の過程におけ
る媒体の極性の慎重な制御は、従来可能であったよりも
高い反応速度を、たとえ有機窒素含有塩基が存在する場
合にも優秀な選択性を維持しながら達成することを可能
にする。本発明によれば、反応を妨げる反応媒体の高い
極性を回避すべきである。反応媒体の低過ぎる極性は、
触媒金属成分の溶解度低下に鑑み適していない。本発明
の方法は、液体反応媒体の極性を連続監視しながら行な
いうるが、本発明はさらに反応媒体に必要とされる極性
の評価に関し便利な基準を与える。本発明の好適具体例
によれば、反応媒体の計算された誘電率εcalcは8未満
の数値、好ましくは4.5〜7.5の範囲の数値、特に
好ましくは反応の過程で5〜6.5の範囲の数値であ
る。この目的でεcalcは反応媒体中に存在する純粋な液
体基質および溶剤の25℃における誘電率の容量平均と
して計算され、このデータは文献から入手できる。この
手段において溶解量の一酸化炭素および触媒成分による
僅かな影響は無視されるが、実用目的で基準はカルボニ
ル化反応の向上した反応速度につき必要とされる極性条
件を区別するには充分正確であると思われる。従来の方
法は全て8より高いεcalcの反応媒体にて行なわれた。
【0005】εcalcを計算するため考慮すべき液体は一
般に脂肪族共役ジエン、ヒドロキシル基含有化合物およ
び溶剤である。反応の過程で生成するアルケン酸誘導生
成物は液体反応混合物の平均誘電率に寄与しうると思わ
れる。しかしながら、これら生成物の誘電率は約5〜約
6.5の範囲に低下することがあり、これは液体反応混
合物につき好適であり、この方法を本発明にしたがって
行なう場合には平均誘電率に対し僅か或いは無視しうる
程度しか寄与しない。本明細書において、所定の液体に
関する誘電率は誘電体としての物質を有する凝縮器の容
量と誘電体用の減圧部を備えた同じ凝縮器の容量との比
を示す通常の意味で使用される。一般的な有機液の誘電
率に関する数値は一般的な刊行物、たとえばハンドブッ
ク・オブ・ケミストリー・アンド・フィジークス、CR
C編集またはより専門的な刊行物に見ることができ、一
般に25℃の温度につき示され或いは示された換算ファ
クタを用いてその温度に容易に変換することができる。
特定化合物につき文献データが入手しえなければ、確立
された物理化学的方法を用いて誘電率を容易に測定する
ことができる。たとえばエタノールにつきε=24.
3、ジフェニルエーテルにつきε=3.7および1,3
−ブタジエンにつきε=1.9[ブタジエンについては
ジャーナル・ケミカル・ターモダイナミックス(198
6)、第18巻、第221〜234頁におけるデータを
外挿する]。これに基づき、EP−A−273489の
実施例1で使用された15mlのエタノールと40ml
のジフェニルエーテルと8mlのブタジエンとの混液に
つき8.4の容量平均誘電率εcalcが計算される(15
/63×24.3+40/63×3.7+8/63×
1.9=8.4)。同様に、米国特許第4172087
号の実施例12で使用された40mlのピリジン(ε=
12.3)と20mlのイソプロパノール(ε=18.
3)と32mlの1,3−ブタジエンとの反応媒体は1
0.0のεcalcを有する。米国特許第4172087号
の実施例1もしくは3におけると同様にキノリンもしく
はイソキノリンを含有すれば反応媒体はそれぞれ8.6
もしくは9.3のεcalcを有する。
【0006】本発明の方法に使用しうる基質、溶剤およ
び触媒成分は、従来の方法に使用されたものと実質的に
同じである。しかしながら、本発明の教示に従い同じも
のを賢明に組合せ或いは濃度を選択することにより、反
応媒体の極性を所望の反応速度の増大が得られるよう調
節することができる。適する脂肪族共役ジエンは好まし
くは4〜8個の炭素原子を有するアルカジエン、たとえ
ば1,3−ブタジエン(ε=1.9)、1,3−ペンタ
ジエン(ε=2.32)、1,3−ヘキサジエン、ci
s,cis−2,4−ヘキサジエン(ε=2.16)、
trans,trans−2,4−ヘキサジエン(ε=
2.12)、1,3−シクロヘキサジエン、2,4−ヘ
プタジエンなどを包含し、これらはカルボニル化反応を
阻害しない置換基、たとえば2−メチル−1,3−ブタ
ジエン(ε=2.10)におけるようにアルキル置換基
を有することができる。
【0007】代表的なヒドロキシル基含有化合物はアル
コール、カルボン酸および水を包含し、そのうちカルボ
ニル化反応にてアルケン酸エステルを生成するアルコー
ルが好適である。これらアルコールは脂肪族もしくは芳
香族、たとえばフェノールとすることができる。水の使
用はアルケン酸を生成し、またはカルボン酸の使用はア
ルケン酸無水物を生成する。典型例はメタノール(ε=
32.6)、エタノール(ε=24.3)、イソプロパ
ノール(ε=18.3)、n−ブタノール(ε=17.
1)、sec−ブタノール(ε=15.8)、イソブチ
ルアルコール(ε=17.7)およびt−ブタノール
(ε=11.5)を包含する。アルコールは多官能性と
することができ、たとえばエチレングリコール(ε=3
7.7)、1,3−プロパンジオール(ε=35.0)
またはグリセリン(ε=42.5)を包含する。本発明
の方法に好適な基質は1〜4個の炭素原子を有するアル
コールと組合せた1,3−ブタジエンであり、これは一
酸化炭素との反応によりペンテン酸、特に3−ペンテン
酸異性体のアルキルエステルを生成する。アルコール反
応体、特にメタノールおよびエタノールは、平均誘電率
に顕著に寄与することが了解されよう。反応媒体の極性
を調節するには、したがって本発明の第1具体例によ
り、カルボニル化法においてヒドロキシル基含有化合物
が25℃にて20未満の誘電率を有するアルカノールで
あることが好ましく、より好適にはアルカノールはイソ
プロパノールもしくはt−ブタノールである。本発明の
代案によれば、ヒドロキシル基含有化合物が25℃にて
20より高い誘電率を有するアルカノールである場合、
反応媒体の極性をその濃度が反応の過程で液体反応媒体
の20容量%を越えないよう確保して調節することがで
きる。これは、比較的多量の低極性溶剤で反応混合物を
希釈すると同時に他の基質の濃度を減少させて達成する
ことができる。これは、循環を含む過度に多量の液体流
のため工程を極めて面倒にする。より好ましくは、極性
は特にアルカノールの低濃度(これは化学量論量未満と
することができる)にて反応を開始させることにより調
節され、変換した量のアルカノールを反応の過程でさら
にアルカノールの連続もしくは間歇的添加により補充す
ることができる。したがって、たとえばエタノールのよ
うな安価なアルコールも本発明の方法に使用することが
でき、したがって所望ならば特にメタルおよびエチルエ
ステルを製造することができる。
【0008】25℃にて30より高い誘電率を有するア
ルカノール(たとえばメタノール)を使用することが望
ましければ、最も好ましくはその濃度が液体反応媒体の
12容量%を越えないよう反応の過程で連続的また間歇
的に添加される。本発明の方法で使用する触媒系は任意
のパラジウム供給源から誘導しうるパラジウム化合物を
含み、これは他の触媒成分と共に触媒活性物質を形成す
るのに充分な程度まで反応媒体に溶解する。適するパラ
ジウムの供給源はたとえば酢酸パラジウム、アセチルア
セトン酸パラジウム、硫酸パラジウムおよび硝酸パラジ
ウムのような塩類、並びにたとえばテトラキストリフェ
ニルホスフィンパラジウムのような配位錯体を包含す
る。好ましくは、パラジウムの供給源はハロゲン化物を
含まない。パラジウムは不均質型で使用することがで
き、たとえばスルホン酸基を有するイオン交換樹脂に充
填することもできる。
【0009】多座ホスフィン配位子は少なくとも2個の
ホスフィンP原子を有し、これら原子をパラジウム金属
原子に対する配位子の二座配位を可能にする架橋基によ
って相互接続する。極めて適する配位子は式R12
P−R−P<R34 (ここでR1 、R2 、R3 および
4 はヒドロカルビル基、たとえばアリールもしくは
(シクロ)アルキル基を示し、必要に応じ1個もしくは
それ以上の置換基により置換され、Rは架橋を形成する
少なくとも2個の炭素原子を持った二価の有機架橋基を
示す)のものである。好ましくは、Rが3個もしくは4
個の炭素原子、特に好ましくは4個の炭素原子を有する
アルキレン基を示す。特に適する多座ホスフィン配位子
の例は次の通りである:1,3−ジ(ジフェニルホスフ
ィノ)プロパン、1,4−ジ(ジフェニルホスフィノ)
ブタンおよび1,4−ジ(ジ−n−ブチルホスフィノ)
ブタン。パラジウムのグラム原子に対する多座ホスフィ
ン配位子のモル比は一般に1〜10の範囲である。他の
ホスフィン、特にモノホスフィンも触媒系に追加して存
在させることができる。触媒系はさらに、たとえばpK
a>3を有する弱プロトン酸を含むことができる。プロ
任意成分としてシン酸は好ましくは立体障害カルボン
酸、たとえば2,4,6−トリメチル安息香酸、2,6
−ジクロル安息香酸または9−アンスロン酸である。一
般に、使用するプロトン酸の量はパラジウム1グラム原
子当り2〜50当量の酸の範囲である。プロトン酸はた
とえば有機第三窒素塩基のような塩基の添加により部分
的または完全に中和することができ、ただし塩基はたと
えば5容量%未満の制限濃度で存在させて反応媒体の極
性が調節値内に留まるようにする。
【0010】過剰の反応体の1種または生成物が適する
液相を形成する場合は、本発明の方法には別の溶剤を必
要としない。上記から了解されるように、過剰のアルコ
ール基質をキャリヤとして使用することは一般に効果的
でない。幾つかの場合、別の溶剤を使用することが望ま
しい。原理的に、任意の不活性溶剤をこの目的で使用す
ることができる。溶剤は一般にかなり多量で使用される
ので、限られた極性の溶剤(たとえばエーテル)を使用
することが好ましい。典型的な適する溶剤は芳香族炭化
水素、たとえばベンゼン(ε=2.27)、トルエン
(ε=2.4)およびキシレン;エステル、たとえば酢
酸エチル(ε=6.02)、プロピオン酸メチル(ε=
5.5)およびペンテン酸エステル;並びにエーテル、
たとえばアニソール、ジグリム(2,5,8−トリオキ
サノナン)、ジフェニルエーテル(ε=3.7)および
ジイソプロピルエーテルまたはその混合物を包含する。
より極性の高い芳香族N−複素環化合物をたとえば10
容量%より多い量で溶剤として使用することは回避すべ
きである。温度および圧力の反応条件は従来記載された
方法の場合と同じである。20〜200℃、特に50〜
150℃の温度が最も適している。5〜100バール、
より好ましくは25〜65バールの圧力が典型的であ
る。一酸化炭素の品質、反応装置および生成物の精製は
臨界的でなく、当業者に充分周知されている。
【0011】
【実施例】以下、限定はしないが実施例により本発明を
詳細に説明する。実施例1 300mlの磁気撹拌されたステンレス鋼オートクレー
ブに、30mlのt−ブタノール(0.32モル)と4
0mlのジフェニルエーテルと0.5ミリモルの酢酸パ
ラジウムと3ミリモルの1,4−ジ(ジフェニルホスフ
ィノ)ブタンと10ミリモルの2,4,6−トリメチル
安息香酸とを充填した。このオートクレーブをフラッシ
ュさせると共に減圧し、次いで20mlの1,3−ブタ
ジエンを添加し、一酸化炭素を30バールの初期一酸化
炭素圧力まで導入した。この反応混合物につきεcalc
5.9である。オートクレーブを140℃まで加熱し、
一酸化炭素の消費による圧力低下の割合を記録した。毎
時パラジウム1グラム原子当り550モルの変換ブタジ
エンという最初の反応1時間にわたる初期反応速度が観
察された。5時間の全反応時間の後、オートクレーブを
冷却し、その内容物を気液クロマトグラフィー(GL
C)により分析した。1,3−ブタジエンが95%の選
択率を以てt−ブチルペンテノエートまで変換されたこ
とが判明し、そのうち約90%は3−異性体で構成され
た。
【0012】比較例 EP−A−273489の実施例4を反復したが、ただ
しオートクレーブには15mlのエタノールと40ml
のジフェニルエーテルと8mlの1,3−ブタジエンと
1ミリモルの酢酸パラジウムと4ミリモルの1,4−ジ
(ジフェニルホスフィノ)ブタンと7.5ミリモルの
2,4,6−トリメチル安息香酸とを充填した。この反
応混合物につきεcalcは8.4である。オートクレーブ
を150℃の温度にて加熱し、毎時パラジウム1グラム
原子当り60モルの変換ブタジエンの初期反応速度が記
録された。
【0013】実施例2〜6 実施例1を反復したが、ただし下表に示すような量(m
lおよびモル数)にてアルコールを使用した。A:0.
5ミリモルの酢酸パラジウム、1.5ミリモルの1,4
−ジ(ジフェニルホスフィノ)ブタンおよび5ミリモル
の2,4,6−トリメチル安息香酸;B:0.5ミリモ
ルの酢酸パラジウム、3ミリモルの1,4−ジ(ジフェ
ニルホスフィノ)ブタンおよび10ミリモルの2,4,
6−トリメチル安息香酸;またはC:0.5ミリモルの
酢酸パラジウム、3ミリモルの1,4−ジ(ジフェニル
ホスフィノ)ブタンおよび10ミリモルの2,4,6−
トリメチル安息香酸からなる系を触媒として示したよう
に使用した。この表は、さらに各実施例につきε=calc
と観察された初期反応速度とを示す。各アルキルペンテ
ノエートに対する選択率および3−異性体の含有量は実
施例1におけると実質的に同じであった。ε=calcを本
発明の範囲内にすれば、高い反応速度が得られることが
判る。実施例7および8は本発明の範囲外であるが、比
較例に比べ反応速度の若干の増大がブタジエン基質の濃
度の増加によって得られることを示す。さらに、これら
は、本発明により達成されるずっと大きい改善が反応に
おけるブタジエン活性の増大により充分には説明しえな
いことをも示している。
【0014】
【表1】 表 実施例 アルコール 量 触 媒 εcalc 速 度 No. ml モル 種類 モル/gat/h 2 t-ブタノール 30 0.32 B 5.9 470 3 メタノール 5 0.12 C 5.4 390 4 s-ブタノール 30 0.33 A 7.3 275 5 t-ブタノール 15 0.16 C 4.8 240 6 n-ブタノール 30 0.33 B 7.8 200 7 エタノール 20 0.34 A 8.4 190 8 メタノール 20 0.49 B 10.4 100
【0015】実施例9 実施例1を実質的に反復したが、ただし30mlのt−
ブタノールの代りに20mlのt−ブタノールと10m
lのメタノールとを充填した。この反応混合物につきε
calcは8.2である。160モル/グラム原子/1時間
の初期反応速度、95%のメチルペンテノエートに対す
る選択率、および90%の3−異性体比率が観察され
た。この実施例は例示の目的であって、本発明によるも
のでない。
【0016】実施例10 実施例9を反復したが、ただしヒドロキシル基含有化合
物としては25mlのt−ブタノールと5mlのメタノ
ールとの混液を使用した。この反応混合物につきεcalc
は7.1である。315モル/グラム原子/1時間の初
期反応速度が観察され、初期選択率および3−異性体含
有量は実施例9におけると同じであった。 実施例9および10から判るように、t−ブチルエステ
ルでなくメチルエステルが優先的に生成する。したがっ
て、たとえばt−ブタノールもしくはイソプロパノール
のような高級アルコールの、たとえばエタノールもしく
はメタノールのような低級アルコールと対比した想像し
うる高い反応性は、本発明による実施例1〜6で観察さ
れた高い反応速度につき満足しうる説明を与えないと結
論される。
【0017】実施例11 300mlの磁気撹拌されたステンレス鋼オートクレー
ブに、30mlのt−ブタノール(0.32モル)と4
0mlのジフェニルエーテルと0.5ミリモルの酢酸パ
ラジウムと3ミリモルの1,4−ジ(ジフェニルホスフ
ィノ)ブタンと15ミリモルの2,4,6−トリメチル
安息香酸とを充填した。さらに1.2mlの3,4−ル
チジン(10ミリモル)を反応混合物に添加した。オー
トクレーブをフラッシュさせると共に減圧し、次いで2
0mlの1,3−ブタジエンを添加し、一酸化炭素を3
0バールの初期一酸化炭素圧力まで導入した。オートク
レーブを140℃まで加熱し、一酸化炭素の消費による
圧力低下の割合を記録した。毎時パラジウム1グラム原
子当り550モルの変換ブタジエンという初期反応速度
が最初の反応時間にわたり観察された。1.5時間の全
反応時間の後、オートクレーブを冷却し、その内容物を
気液クロマトグラフィー(GLC)により分析した。
1,3−ブタジエンが95%の選択率を以てt−ブチル
ペンテノエートまで変換されたことが判明し、そのうち
92%は3−異性体により構成された。
【0018】少量のN−複素環式塩基の添加は本発明に
よる方法の選択性に影響を与えないことが判る。事実、
反応速度の僅かな改善しか観察されない。これら少量の
N−複素環式塩基は触媒系の酸成分に対しほぼ等モルで
あるため、この本発明の実施例はカルボニル化法を非酸
性条件下で行なうことを可能にする。
【0019】実施例12 実施例11を実質的に反復したが、ただし1.2mlの
3,4−ルチジンの代りに2.5mlの2,6−ジ−t
−ブチルピリジン(10ミリモル)を添加した。550
ミリモル/グラム原子/1時間の初期反応速度が観察さ
れた。
【0020】実施例13 250mlの磁気撹拌されたステンレス鋼オートクレー
ブに、30mlのt−ブタノール(0.32モル)と4
0mlのジフェニルエーテルと0.5ミリモルの酢酸パ
ラジウムと3ミリモルの1,4−ジ(ジフェニルホスフ
ィノ)ブタンと15ミリモルの2,4,6−トリメチル
安息香酸とを充填した。さらに、0.6mlの3,4−
ルチジン(5ミリモル)を反応混合物に添加した。オー
トクレーブをフラッシュさせると共に減圧し、次いで1
1モル%のブタンと47モル%のブテンと42モル%の
ブタジエンとからなる20mlのC4 −混合物を添加
し、一酸化炭素を30バールの初期一酸化炭素圧力まで
導入した。オートクレーブを140℃まで5時間加熱
し、次いでオートクレーブを冷却し、圧力を解除した。
オートクレーブの気体流出物を分析して、全C4 含有量
に対し11モル%のブタジエンを含有することが判明し
た。その液体内容物をGLCにより分析した。カルボニ
ル化生成物は97モルのtブチルペンテノエートよりな
ることが判明し、認めうるブテンカルボニル化生成物と
してのペンテノエートは検出されなかった。 本発明の方法を用いブテンの存在下にブタジエンを選択
的にカルボニル化しうることが判る。これは、C4 混合
物の供給原料がいわゆるBBB流としてクラッカー操作
から容易に入手しうるため相当な利点である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウイレム・ウエイブ・ジエイガー オランダ国 1031 シー・エム アムステ ルダム、バトホイスウエヒ 3

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族共役ジエンをパラジウム化合物と
    多座ホスフィン配位子と必要に応じプロトン酸とからな
    る触媒系の存在下に液体状態で一酸化炭素およびヒドロ
    キシル基含有化合物と反応させ、この反応を調節された
    極性の反応媒体にて行なうことを特徴とするアルケン酸
    誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応媒体の計算された誘電率εcalc(純
    粋な液体基質および溶剤の25℃における誘電率の容量
    平均として計算)が8未満の数値である請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 反応媒体の計算された誘電率を4.5〜
    7.5の範囲のεcalcの数値に維持する請求項2に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 ヒドロキシル基含有化合物が25℃にて
    20未満の誘電率εを有するアルカノールである請求項
    1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 25℃にて20未満の誘電率εを有する
    アルカノールがt−ブタノールである請求項4に記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 ヒドロキシル基含有化合物が25℃にて
    20より高い誘電率を有するアルカノールであり、その
    濃度を反応の過程で液体反応媒体の20容量%未満に維
    持する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 ヒドロキシル基含有化合物が25℃にて
    30より高い誘電率εを有するアルカノールであり、そ
    の濃度を反応の過程で液体反応媒体の12容量%未満に
    維持する請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 アルカノールの消費に実質的に対応する
    速度にて、さらにアルカノールを反応の過程で連続的ま
    たは間歇的に添加する請求項6または7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 25℃にて6未満の誘電率εを有する溶
    剤を使用する請求項1〜8のいずれか一項に記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 溶剤がエーテルである請求項9に記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 有機窒素含有塩基を5容量%未満の濃
    度で存在させる請求項1〜10のいずれか一項に記載の
    方法。
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