JPH0664924A - 球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末およびその製造方法 - Google Patents

球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末およびその製造方法

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JPH0664924A
JPH0664924A JP15407091A JP15407091A JPH0664924A JP H0664924 A JPH0664924 A JP H0664924A JP 15407091 A JP15407091 A JP 15407091A JP 15407091 A JP15407091 A JP 15407091A JP H0664924 A JPH0664924 A JP H0664924A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 3価または5価の半導化元素をチタンに対し
て0.05〜2原子%含有し、その基材部分がATiO
3 (Aは、Ba≧50原子%、0原子%≦Sr、Ca、
Pb≦50原子%)で表される粒子径0.3〜50μm
の球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末。 【効果】 上記球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料
粉末は、粒子径を任意にコントロールすることができ、
粒度分布が狭く、高分散性であり、グレインサイズが均
一で、比抵抗−温度特性などが優れた半導体磁器を作製
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PTCサーミスタ、半
導体コンデンサなどの半導体磁器に使用される球状チタ
ン酸バリウム系半導体磁器材料粉末およびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】PTCサーミスタでは、常温比抵抗が低
く、抵抗変化率が大きく、機械的強度の大きいものとす
るために、グレインサイズを揃え、グレインバウンダリ
ー(粒界相)の厚みを一定にすることが要望されてい
る。
【0003】また、半導体コンデンサでは、大きな誘電
率を持ち、誘電損失が小さく、耐電圧特性が良好で、機
械的強度の大きいものとするために、グレインサイズを
揃え、グレインバウンダリーの厚みを一定にすることが
要望されている。
【0004】通常、これらPTCサーミスタ、半導体コ
ンデンサなどの半導体磁器のグレインサイズはサブミク
ロンから50μmに制御される。そのため、それに使用
する材料粉末は粒子径が0.3〜50μm以下、好まし
くは0.5〜50μmで、粒度分布の狭い、分散性の良
好なものが要求される。
【0005】しかしながら、これまでの方法で製造され
てきたチタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末では、上
記の要求に対して充分に応えることができなかった。
【0006】すなわち、従来のチタン酸バリウム系半導
体磁器材料粉末は、酸化チタン、炭酸バリウムおよび半
導化元素などを混合して固相反応を起こさせる方法によ
って製造されてきた。
【0007】しかしながら、固相反応による場合、高温
で反応を行う関係上、得られるチタン酸バリウム系半導
体磁器材料粉末は、粒子径が大きいため、機械的粉砕し
て所望の粒子径にしようとしているが、粒子径のバラツ
キが大きく、また形状も一定していないため、分散性が
悪く、これを使用してPTCサーミスタ、半導体コンデ
ンサなどを製造しても、グレインサイズがバラツキ、電
気的特性の優れたものは得られなかった。
【0008】そこで、これらの問題を解決するため、シ
ュウ酸塩を用いた湿式共沈法によりチタン酸バリウム系
半導体磁器材料粉末を製造する試みがなされている(例
えば、窯業協会誌、90〔8〕、1982)。
【0009】しかし、上記方法による場合は、微粒子の
半導体磁器材料粉末しか得ることができず、しかも粒子
形状がいびつなものとか、粒子同士が会合したものが生
じるという欠点を有していて、粒子径0.3μm以上で
粒度分布が狭く、かつ分散性の良好なチタン酸バリウム
系半導体磁器材料粉末は得られなかった。
【0010】また、特開平2−289426号公報で
は、凝集性の強い150μm以上のチタン酸バリウム系
半導体磁器材料粉末を製造し、セラミックス化前にボー
ルミルなどで解砕して使用するようにしているが、解砕
の程度のコントロールがむつかしく、また、形状も一定
していないため、分散性が悪く、充分に満足すべきもの
とはいえなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末は、粒子径を充
分にコントロールすることができず、また、分散性が悪
く、電気的特性の優れたPTCサーミスタや半導体コン
デンサなどの半導体磁器を得ることができなかった。
【0012】したがって、本発明は、粒子径を充分にコ
ントロールすることができ、かつ高分散性の球状チタン
酸バリウム系半導体磁器材料粉末を提供することを目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため種々研究を重ねた結果、チタン酸バリウ
ム系半導体磁器材料粉末を製造する際の湿式反応時に過
酸化水素を共存させることによって、粒子径0.3〜5
μmで粒度分布の狭い球状のチタン酸バリウム系半導体
磁器材料粉末が得られ、また、湿式反応後に気流乾燥す
ることによって、粒子径5〜50μmで球状のチタン酸
バリウム系半導体磁器材料粉末が得られることを見出
し、本発明を完成するにいたった。
【0014】すなわち、本発明の球状チタン酸バリウム
系半導体磁器材料粉末は、3価または5価の半導化元素
をチタンに対して0.05〜2原子%含有し、その基材
部分がATiO3 (Aは、Ba≧50原子%、0原子%
≦Sr、Ca、Pb≦50原子%)で表される粒子径
0.3〜50μmの球状チタン酸バリウム系半導体磁器
材料粉末である。
【0015】上記式中のAを文章で表すと、Aは、Ba
またはBaとSr、CaおよびPbよりなる群から選ば
れる少なくとも1種とで構成され、Baが50〜100
原子%で、Sr、CaおよびPbが0〜50原子%であ
る。そして、Baはバリウムで、Srはストロンチウ
ム、Caはカルシウムであり、Pbは鉛である。
【0016】ここで、本発明の球状チタン酸バリウム系
半導体磁器材料粉末のATiO3 で表される基材部分に
ついて具体的に名称で表現すると、チタン酸バリウム、
チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウムス
トロンチウムカルシウム、チタン酸バリウムストロンチ
ウム鉛、チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム
鉛、チタン酸バリウムカルシウム、チタン酸バリウム
鉛、チタン酸バリウムカルシウム鉛である。
【0017】バリウム化合物とストロンチウム化合物は
チタン化合物との湿式反応によってペロブスカイト型化
合物を生成するが、カルシウム化合物や鉛化合物はチタ
ン化合物との湿式反応によってペロブスカイト型化合物
を生成させることがむつかしい。
【0018】そこで、上記ATiO3 で表されるものの
うち、チタン酸バリウムはチタン化合物とバリウム化合
物との湿式反応によって得られ、チタン酸バリウムスト
ロンチウムは、通常、チタン化合物とバリウム化合物お
よびストロンチウム化合物との湿式反応によって得られ
る。
【0019】しかし、カルシウムや鉛を含むものは、カ
ルシウム化合物や鉛化合物とチタン化合物との湿式反応
では得られないので、チタン化合物とバリウム化合物と
の湿式反応時、またはチタン化合物とバリウム化合物お
よびストロンチウム化合物との湿式反応時に、粒子径
0.2μm以下のチタン酸カルシウムや粒子径0.2μ
m以下のチタン酸鉛を添加することによって得られる。
【0020】また、チタン酸カルシウムやチタン酸鉛な
どを物理的に混合したチタン化合物とバリウム化合物と
の湿式反応後、またはチタン酸カルシウムやチタン酸鉛
などを物理的に混合したチタン化合物とバリウム化合物
およびストロンチウム化合物との湿式反応後、乾燥、仮
焼することにより、組成の均一な化合物とすることもで
きる。
【0021】そして、3価または5価の半導化元素をチ
タンに対して0.05〜2原子%含有する粒子径0.3
〜50μmの球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉
末のうち、粒子径の小さい0.3〜5μmのものは、半
導化元素が存在する系でのチタン化合物とバリウム化合
物との湿式反応時、またはチタン化合物とバリウム化合
物およびストロンチウム化合物との湿式反応時(カルシ
ウムや鉛を含むものが必要な場合は、上記反応系に粒子
径0.2μm以下のチタン酸カルシウムや粒子径0.2
μmのチタン酸鉛を添加しておく、また、ストロンチウ
ムをチタン酸ストロンチウムの添加により導入する場合
は、別途、湿式反応により製造した粒子径0.2μm以
下のチタン酸ストロンチウムを上記反応系に添加してお
く)に、過酸化水素を共存させることによって得られ
る。
【0022】これは、共存させた過酸化水素がチタン酸
バリウム系半導体磁器材料粉末の生成反応を、過酸化水
素が共存していない場合に比べて、ゆっくりと進ませ、
それが微粒子のチタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末
の生成を抑制し、粒子径0.3〜5μmで粒度分布の狭
い球状のチタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末を生成
させる要因になるものと考えられる。
【0023】そして、上記のような過酸化水素の使用に
よってチタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末の生成反
応がゆっくりと進行するようになったことに基づいて、
湿式反応の反応条件などを変化させることによって、得
られるチタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末の粒子径
を任意にコントロールすることができる。
【0024】上記本発明の粒子径0.3〜50μmの球
状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末のうち、粒子
径の大きい5〜50μmのものは、前記湿式反応後に気
流乾燥することによって得られる。
【0025】本発明の3価または5価の半導化元素をチ
タンに対して0.05〜2原子%含有し、その基材部分
がATiO3 で表される粒子径0.3〜50μmの球状
チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末は、形状が文字
通り球形で、粒度分布が狭く、分散性が優れていて、し
かも、その粒子径を任意にコントロールすることができ
るので、セラミックス化した場合、所望のグレインサイ
ズで、かつグレインサイズのバラツキの少ない、電気的
特性および機械的特性の優れたPTCサーミスタ、半導
体コンデンサなどの半導体磁器を得ることができる。
【0026】そして、上記球状チタン酸バリウム系半導
体磁器材料粉末を仮焼すると、結晶形が疑似立方晶から
立方晶または正方晶に変化し、結晶性が向上し、グレイ
ンサイズやグレインバウンダリーのよりコントロールし
やすい、より好ましい半導体磁器材料粉末とすることが
できる。
【0027】この仮焼によって得られた立方晶または正
方晶チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末は、仮焼前
の球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末が文字通
り球状であって、粒子間の接点が少ないので、仮焼によ
るシンタリングが少なく、仮焼前の球状チタン酸バリウ
ム系半導体磁器材料粉末の粒子径をほぼ維持して、粒度
分布が狭く、かつ分散性が優れている。
【0028】また、仮焼温度を選択することによって、
粉体の状態で半導化した球状チタン酸バリウム系半導体
磁器材料粉末とすることもできる。
【0029】さらに、仮焼温度を上げることによって、
直方体状のより高密度な単結晶のものとすることができ
る。
【0030】つぎに、本発明の球状チタン酸バリウム系
半導体磁器材料粉末の各構成要素の持つ意義について説
明する。
【0031】本発明において、3価または5価の半導化
元素は、チタン酸バリウムのペロブスカイト構造におけ
るBaまたはTiと置換して、半導性を示す元素であれ
ばよく、このような3価または5価の半導化元素として
は、例えば、Nb、Sb、Ta、Bi、BおよびY、L
a、Ce、Pr、Ndなどの希土類元素よりなる群から
選ばれる少なくとも1種が使用される。
【0032】これらの3価または5価の半導化元素は、
最終的に形成されるATiO3 中のチタンに対して0.
05〜2原子%になるように使用される。つまり、3価
または5価の半導化元素が上記範囲より少ない場合は充
分な半導性を示さないし、また3価または5価の半導化
元素が上記範囲より多くなると、原子価補償を起こし、
半導性を示さなくなる。
【0033】本発明の球状チタン酸バリウム半導体磁器
材料粉末は、半導化元素を除いた基材部分がATiO3
で表されるが、このATiO3 において、Aは、Ba≧
50原子%、0原子%≦Sr、Ca、Pb≦50原子%
である。
【0034】これはBaが50原子%より少ない場合
は、湿式反応によって球状の粒子が得られないからであ
る。そして、Sr、Ca、Pbなどは、PTCサーミス
タとした時の抵抗変化の開始温度を変化させたり、半導
体コンデンサの焼結温度や誘電特性をコントロールする
目的で添加される。
【0035】つぎに、反応材料について説明する。前記
したように、バリウム化合物やストロンチウム化合物
は、チタン化合物との湿式反応によってペロブスカイト
型化合物を生成するが、カルシウム化合物や鉛化合物
は、チタン化合物との湿式反応によってペロブスカイト
型化合物を生成させることがむつかしく、バリウム化合
物やストロンチウム化合物とチタン化合物との湿式反応
時に、カルシウム化合物や鉛化合物を添加しても、ペロ
ブスカイト型化合物は生成しない。
【0036】そのため、カルシウムや鉛を、球状チタン
酸バリウム系半導体磁器材料粉末に含ませようとする場
合は、固相反応により製造したチタン酸カルシウムやチ
タン酸鉛を必要に応じて粉砕し、粒子径を0.2μm以
下にしたものを上記バリウム化合物やストロンチウム化
合物とチタン化合物との湿式反応時に添加し、チタン酸
バリウム粒子またはチタン酸バリウムストロンチウム粒
子が形成され、球状凝集体となる際に、チタン酸カルシ
ウムやチタン酸鉛がそれらの球状凝集体中に均一に分散
されるようにする方法が採用される。
【0037】また、上記バリウム化合物とチタン化合物
との湿式反応時に粒子径0.2μm以下のチタン酸スト
ロンチウムを添加することにより、ストロンチウムを球
状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末に含ませるこ
とも可能である。
【0038】上記のように、反応系に添加するチタン酸
カルシウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなど
にあらかじめ半導化元素を含有させることもできる。
【0039】本発明において、添加するチタン酸カルシ
ウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどの粒子
径を0.2μm以下にしているのは、粒子径0.2μm
より大きい粒子を用いると各添加物粒子のチタン酸バリ
ウム粒子またはチタン酸バリウムストロンチウム粒子の
凝集体中への分散が不均一となり、球状粒子となりにく
く、また、仮焼時またはセラミックス化時の添加物粒子
の拡散が不充分となり、均一組成のものが得られないか
らである。
【0040】本発明において、チタン化合物としては、
バリウム化合物と反応してペロブスカイト型のチタン酸
バリウムを生成するものであれば特に制約を受けること
なく使用することができるが、過酸化水素の水溶液に部
分的に溶解するか、または完全に溶解するものが好まし
く、また、生成するチタン酸バリウムに混入してその特
性を低下させるような成分をできるだけ含有しないもの
が好ましい。
【0041】そのような観点から、好ましいチタン化合
物を例示すると、例えば、酸化チタン、水酸化チタンな
どの無機チタン化合物や、シュウ酸チタン、チタンアル
コキシドなどの有機チタン化合物があげられる。
【0042】通常、上記水酸化チタンはチタンアルコキ
シドやチタン塩の水溶液の加水分解によって得られ、酸
化チタンは水酸化チタンの湿式加熱やチタン塩の熱加水
分解によって得られる。
【0043】半導化元素の添加方法としては、加水分解
する前のチタン溶液中に半導化剤(半導化元素の化合物
で、加水分解などによって半導化元素を生じるものをい
う)を所定量添加し、溶解しておくのが好ましい。つま
り、チタン溶液中に半導化剤を添加しておき、半導化剤
をチタン溶液の加水分解時に同時に加水分解し(すなわ
ち、半導化元素の加水分解とチタンの加水分解とが同時
に起こるpHで同時沈殿させる)、半導化元素含有水酸
化チタンや半導化元素含有酸化チタンにしておくと、最
終的に形成される球状チタン酸バリウム半導体磁器材料
粉末内に半導化元素が均一に分散されるようになる。
【0044】バリウム化合物としては、上記チタン化合
物と反応してペロブスカイト型のチタン酸バリウムを生
成するものであれば特に制約を受けることなく使用する
ことができるが、通常は塩基性のバリウム化合物が使用
される。
【0045】また、生成するチタン酸バリウムに混入し
てその特性を低下させるような成分をできるだけ含有し
ないものが好ましく、そのような観点から、好ましいバ
リウム化合物としては、例えば、水酸化バリウム、酸化
バリウム、バリウムのアルコキシドなどがあげられる。
【0046】ストロンチウム化合物も、バリウム化合物
と同様であり、チタン化合物と反応してペロブスカイト
型のチタン酸ストロンチウムを生成するものであれば特
に制約を受けることなく使用することができるが、通常
は塩基性のストロンチウム化合物が使用される。好まし
いストロンチウム化合物を例示すると、例えば、水酸化
ストロンチウム、酸化ストロンチウム、ストロンチウム
のアルコキシドなどがあげられる。
【0047】過酸化水素としては、特に限定されること
なく各種のものを使用することができるが、通常は入手
や取扱いの容易さなどから、市販の30%(重量%、以
下同様)過酸化水素水、35%過酸化水素水、50%過
酸化水素水、60%過酸化水素水などが使用される。
【0048】つぎに、反応方法について説明する。な
お、ストロンチウム化合物を用いる場合は、バリウム化
合物とほとんど同様に取り扱えばよいので、特にストロ
ンチウム化合物特有のものでない場合は、説明を省略す
る。また、説明にあたっては、半導化元素はあらかじめ
チタン化合物に含有させておくものとする。ただし、実
際には半導化元素はその場合のみに限られることなく、
チタン化合物とバリウム化合物との湿式反応時に添加し
てもよいし、また、バリウム化合物に添加しておいても
よい。
【0049】これらのチタン化合物、バリウム化合物、
過酸化水素の反応順序に関して特に制限はないが、希薄
濃度で反応する場合を除いて、バリウム化合物を添加す
る前に、チタン化合物と過酸化水素とを混合して反応さ
せるのが好ましい。つまり、希薄濃度で反応する場合を
除いて、バリウム化合物が存在する系に過酸化水素を添
加すると、難溶性の過酸化バリウム(BaO2 )が生成
して沈殿が生じ、反応に関与しなくなるからである。
【0050】過酸化水素の使用量は、チタン化合物(た
だし、酸化チタンに換算する)に対する過酸化水素のモ
ル比、つまりH2 2 /TiO2 (モル比)で0.1〜
10が好ましい。
【0051】過酸化水素は、過酸化物を生成しにくいチ
タン化合物と反応させると、過酸化物の生成量が少なく
なるので、過酸化物の生成量を増やそうとする場合に
は、過剰に使用する必要がある。それ故、過酸化水素の
量は、チタン化合物に対して過剰になる場合もあるが、
それでも、上記チタン化合物に対するモル比で10を超
えて使用すると、それ以上の効果の増加がみられず、チ
タン化合物との反応時に分解するだけであり、不経済で
ある。また、過酸化水素の量が上記チタン化合物に対す
るモル比で0.1より少ない場合は過酸化水素の添加に
よる効果が充分に得られなくなる。
【0052】チタン化合物と過酸化水素とを混合する
と、反応してチタンの過酸化物を生じ、通常、黄色のゾ
ル状溶液となる。
【0053】過酸化水素の混合時の温度は常温でも構わ
ないが、チタンの過酸化物の生成をしやすくし、残存過
酸化水素をできるだけ短時間で除くためには、40〜1
00℃、特に70〜100℃に加熱するのが好ましい。
【0054】チタン化合物の酸化チタン換算濃度として
は、バリウム化合物を添加した状態で、0.01〜2.
5mol/l、特に0.06〜1mol/lが好まし
い。上記濃度が2.5mol/lを超えると、粘性が高
く攪拌するのが困難な状態になり、バリウム化合物と反
応して得られるチタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末
は、粒子径が不均一なものになる。上記濃度が0.01
mol/lより低い場合は、反応率が著しく低下する。
【0055】このようにして得られたチタンの過酸化物
の溶液に対し、チタンに対するバリウムの原子比、つま
りBa/Ti(原子比)が0.8〜10、好ましくは1
〜3になるように、バリウム化合物を添加し均一に混合
して反応させる。
【0056】この際、チタン化合物とバリウム化合物と
が反応して疑似立方晶のペロブスカイト型チタン酸バリ
ウム系半導体磁器材料粉末が生成するが、0.3〜5μ
mの球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末が得ら
れるようにするには、チタン酸バリウム系半導体磁器材
料粉末の生成反応が1時間以内、望ましくは4時間以内
に完結しないように、チタンとバリウムの原子比、バリ
ウム化合物の濃度、反応温度などを設定することが好ま
しい。
【0057】そして、得られる球状チタン酸バリウム系
半導体磁器材料粉末の粒子径を揃え、粒度分布を狭くす
るには、チタン化合物とバリウム化合物との混合を反応
が開始する温度以下の温度で行うことが好ましい。
【0058】さらに、上記チタン化合物とバリウム化合
物との反応が4時間で完結する温度とその温度より50
℃低い温度との間、望ましくは、反応が4時間で完結す
る温度とその温度より40℃低い温度との間で、0.1
時間以上、望ましくは1時間以上熟成反応させることが
好ましい。そして、熟成反応後、反応が4時間で完結す
る温度以上で反応させて反応を完結させるのが好まし
い。なお、上記の反応が完結するとは、それ以上反応を
続けてもX線回折によるチタン酸バリウム系半導体磁器
材料粉末の積分強度が実質上変化しなくなった状態をい
う。
【0059】通常、熟成反応は、40〜100℃、好ま
しくは60〜100℃で行われる。この熟成反応は、常
圧または減圧下で行われる。例えば、この熟成反応を密
閉容器を用いて加圧した状態で行うと、得られるチタン
酸バリウム系半導体磁器材料粉末は0.1μm以下の微
粒子になりやすく、また0.3μm以上になる場合でも
球状でない粒子が入ってきて粒度分布の広いものとな
り、本発明のような0.3〜5μmの球状チタン酸バリ
ウム系半導体磁器材料粉末は得られない。この傾向は特
に100℃以上で加圧反応させる場合に顕著になる。
【0060】なお、反応中は、反応系内に窒素をフロー
させて、バリウム化合物と空気中の炭素ガスなどの成分
とが反応しないようにしておくことが好ましい。
【0061】また、上記反応時において、得られるチタ
ン酸バリウム系半導体磁器材料粉末の粒子径に影響を及
ぼす因子について述べておくと次の通りである。
【0062】溶液の濃度、特にバリウムイオン濃度が高
くなるほど、粒子径は小さくなる傾向がある。
【0063】Ba/Ti(原子比)に関しては、その比
が大きくなるほどバリウムイオン濃度が増大することに
なるので、チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末の粒
子径は小さくなる傾向がある。
【0064】また、チタン化合物と過酸化水素との反応
温度は、温度が高いほどチタン酸バリウム系半導体磁器
材料粉末の粒子径が小さくなり、温度が低いほどチタン
酸バリウム系半導体磁器材料粉末の粒子径が大きくな
る。
【0065】そして、熟成反応温度に関しては、チタン
化合物とバリウム化合物とが反応してチタン酸バリウム
が生成しはじめる温度付近で長時間熟成反応させるほど
粒子径は大きくなる。また、熟成反応温度が高くなるほ
ど粒子径は小さくなる。
【0066】ストロンチウムを含有する球状チタン酸バ
リウム系半導体磁器材料粉末を製造する場合は、バリウ
ムの比率を50原子%以上に保ちながら、バリウムとス
トロンチウムとの合計でチタンに対する原子比を前記バ
リウムを単独で用いる場合のチタンに対するバリウムの
原子比と同様に考えればよい。
【0067】なお、このストロンチウムを含有する球状
チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末を製造する場
合、ストロンチウム化合物の方がバリウム化合物より反
応しやすいので、反応に際してSr/Ba原子比を製造
する球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末のSr
/Ba原子比より小さくしておくことが必要である。
【0068】また、カルシウム(Ca)や、鉛(Pb)
を含有する球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末
の製造は、粒子径0.2μm以下のチタン酸カルシウム
(CaTiO3 )やチタン酸鉛(PbTiO3 )を、チ
タン化合物とバリウム化合物との湿式反応時またはチタ
ン化合物とバリウム化合物およびストロンチウム化合物
との湿式反応時にあらかじめ添加しておくことによって
行われる。
【0069】微粒子のチタン酸鉛は例えば特開平3−8
0117号明細書に記載の方法によって製造することが
できるし、また、チタン酸カルシウムも同様の方法によ
って製造することができる。
【0070】また、粒子径0.2μm以下の微粒子のチ
タン酸ストロンチウム(SrTiO3 )をチタン化合物
とバリウム化合物との湿式反応時に添加して、ストロン
チウムを含有する球状チタン酸バリウム半導体磁器材料
粉末を製造することも可能である。
【0071】カルシウムや鉛を含有する球状チタン酸バ
リウム系半導体磁器材料粉末を製造したり、あるいは微
粒子を用いてストロンチウムを含有する球状チタン酸バ
リウム系半導体磁器材料粉末を製造するにあたり、添加
するチタン酸カルシウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロ
ンチウムなどの粒子径を0.2μm以下に特定している
のは、前記のように、それらの粒子径が0.2μmより
大きくなると、仮焼したときに組成的に均一な球状チタ
ン酸バリウム系半導体磁器材料粉末を得ることがむつか
しいからである。
【0072】このようにして得られた粒子径0.3〜5
μmの球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末は、
その凝集が堅固なために、通常の水洗、濾過、乾燥、仮
焼などの操作を行っても、その凝集状態が壊れることは
ない。
【0073】湿式反応後の最終的なA/Ti(原子比)
は、水洗、または必要に応じて酢酸などの酸でpH調整
することにより、目的とするA/Ti(原子比)に調整
することができる。
【0074】通常、球状チタン酸バリウム系半導体磁器
材料粉末のA/Ti(原子比)は0.98〜1.02の
間に調整することが好ましい。A/Ti(原子比)が
0.98より小さい場合は、該チタン酸バリウム系半導
体磁器材料粉末を成形、焼結させてセラミックス化した
磁器が半導性を示さなくなり、またA/Ti(原子比)
が1.02より大きくなると半導性を示すものがあって
も、該チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末を成形、
焼結させてセラミックス化した場合の磁器には、過剰の
バリウムが粒界に多く存在して、比抵抗−温度特性(P
TC特性)を低下させることになる。さらにA/Ti
(原子比)が大きくなって1.05以上になると、該チ
タン酸バリウム系半導体磁器材料粉末を成形、焼結させ
てセラミックス化した磁器が半導性を示さなくなる。
【0075】粒子径5〜50μmの球状チタン酸バリウ
ム系半導体磁器材料粉末を得る場合には、前記湿式反応
において、過酸化水素を添加せずに(過酸化水素を添加
していてもよい)反応を行い、粒子径が0.2μm以下
で凝集のない一次粒子を作製したのち、水洗、濾過を行
い、A/Ti(原子比)を0.98〜1.02の任意の
値に調整したのち、再スラリー化し、気流乾燥が行われ
る。
【0076】気流乾燥方法としては、例えば、回転噴霧
式のスプレードライヤーが使用できる。生成した5〜5
0μmのチタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末は、必
要に応じて分級などの手段によって、粒度分布をシャー
プにすることができる。なお、気流乾燥方法を採用する
と、粒子径5μm以下のチタン酸バリウム系半導体磁器
材料粉末は得にくい。
【0077】上記のようにして、3価または5価の半導
化元素をチタンに対して0.05〜2原子%含有し、そ
の基材部分がATiO3 で表される粒子径0.3〜50
μmの球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末が得
られる。
【0078】本発明において、球状チタン酸バリウム系
半導体磁器材料粉末の粒子径を0.3〜50μmに特定
しているが、これは次の理由によるものである。すなわ
ち、粒子径が0.3μmより小さい場合は、セラミック
ス化する前の成形時にバインダーへの分散性が悪く、切
一な組成の成形体が得られにくい。また、粒子径が50
μmより大きくなると、セラミックス化した時に、グレ
インサイズが50μm以上の部分ができてしまい、得ら
れる半導体磁器の電気的特性や機械的特性が低下してし
まう。
【0079】本発明の球状チタン酸バリウム系半導体磁
器材料粉末は、形状が文字通り球形で、粒度分布が狭
く、分散性が優れているので、そのままでセラミックス
化した場合にも、所望のグレインサイズで、かつグレイ
ンサイズのバラツキが少なく、優れた電気的特性および
機械的特性を有するPTCサーミスタ、半導体コンデン
サなどの半導体磁器を得ることができる。
【0080】本発明の球状チタン酸バリウム系半導体磁
器材料粉末は、上記のように、そのままでもPTCサー
ミスタ、半導体コンデンサなどの半導体磁器の原料とし
て使用することができるが、本発明のチタン酸バリウム
系半導体磁器材料粉末を仮焼すると、シンタリングが少
なく、かつ結晶性が良く、仮焼前の球状チタン酸バリウ
ム系半導体磁器材料粉末の粒子径と形状を保った、粒度
分布が狭く、かつ高分散性の立方晶球状チタン酸バリウ
ム系半導体磁器材料粉末または正方晶球状チタン酸バリ
ウム系半導体磁器材料粉末が得られる。
【0081】本発明の球状チタン酸バリウム系半導体磁
器材料粉末の仮焼は、300〜1350℃の温度を行い
得るが、上記のように球状を保持したまま仮焼するに
は、300〜1200℃で仮焼するのが適している。
【0082】また、本発明の球状チタン酸バリウム系半
導体磁器材料粉末を1000〜1200℃で仮焼するこ
とにより、球状を保持した半導化粉末を得ることができ
る。この球状の半導化粉末を用いることにより、焼結助
剤や粒界層成分と、半導化元素またはチタン酸バリウム
との反応を抑制し、より高性能の半導化磁器が得られや
すくなる。
【0083】これらの球状チタン酸バリウム系半導体磁
器材料粉末は、従来の固相法や湿式法で得られたチタン
酸バリウム系半導体磁器材料粉末に比べて、粒度分布が
狭く、かつ球状であるため、成形時の空気連行量が少な
く、したがってラミネーションの発生が抑制されるとい
う効果もあり、従来法によるチタン酸バリウム系半導体
磁器材料粉末に比べて、均一かつ高密度化した成形体を
得ることが可能であり、また、焼結体の最終到達密度も
大幅に向上する。
【0084】したがって、上記球状チタン酸バリウム系
半導体磁器材料粉末を用いることにより、グレインサイ
ズの揃った比抵抗−温度特性の優れたPTCサーミスタ
や、誘電率が大きく、誘電損失が小さい半導体コンデン
サを得ることができる。
【0085】また、本発明の球状チタン酸バリウム系半
導体磁器材料粉末を900〜1350℃で仮焼すると粒
子単位で単結晶化した直方体状チタン酸バリウム系半導
体磁器材料粉末を得ることができる。
【0086】この直方体状チタン酸バリウム系半導体磁
器材料粉末も、仮焼前の球状チタン酸バリウム系半導体
磁器材料粉末が球状であるので、仮焼時のシンタリング
が少なく、したがって仮焼前の粒子径をほぼ維持してい
て、粒度分布が狭く、分散性が優れている。
【0087】この直方体状チタン酸バリウム系半導体磁
器材料粉末は、上記球状チタン酸バリウム系半導体磁器
材料粉末よりさらによく締まった高密度のチタン酸バリ
ウム系半導体磁器材料粉末であるため、半導体磁器のグ
レインサイズやグレインバウンダリーを厳密にコントロ
ールすることがより容易に行い得るので、この直方体状
チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末を用いることに
よって、常温比抵抗が低く、抵抗変化率が大きいPTC
サーミスタや、誘電率が大きく、誘電損失が小さく、耐
電圧特性の良好な半導体コンデンサなどをより容易に得
ることができる。
【0088】
【発明の効果】本発明の球状チタン酸バリウム系半導体
磁器材料粉末は、目的に応じた粒子径にコントロールす
ることができ、粒度分布が狭く、かつ形状が球状で、分
散性が優れている。
【0089】したがって、本発明の球状チタン酸バリウ
ム系半導体磁器材料粉末を用いることによって、所望の
グレインサイズで、かつグレインサイズのバラツキが少
なく、電気的特性および機械的特性の優れた、PTCサ
ーミスタ、半導体コンデンサなどの半導体磁器を得るこ
とができる。
【0090】本発明の球状チタン酸バリウム系半導体磁
器材料粉末を仮焼することにより、シンタリングが少な
く、仮焼前の球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉
末の粒子径と形状をほぼ維持した、粒度分布が狭く、か
つ分散性の優れた立方晶球状チタン酸バリウム系半導体
磁器材料粉末または正方晶球状チタン酸バリウム系半導
体磁器材料粉末が得られる。
【0091】これらの立方晶球状チタン酸バリウム系半
導体磁器材料粉末や正方晶球状チタン酸バリウム系半導
体磁器材料粉末は、結晶性が良く、グレインサイズやグ
レインバウンダリーのコントロールがよりしやすく、特
性の優れたPTCサーミスタや半導体コンデンサを得る
ことができる。
【0092】さらに、本発明の球状チタン酸バリウム系
半導体磁器材料粉末を高温で仮焼することにより、シン
タリングが少なく、粒度分布の狭い、単結晶の直方体状
チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末を得ることがで
きる。
【0093】この直方体状チタン酸バリウム系半導体磁
器材料粉末は、上記球状チタン酸バリウム系半導体磁器
材料粉末よりさらによく締まった高密度のチタン酸バリ
ウム系半導体磁器材料粉末であるため、磁器のグレイン
サイズやグレインバウンダリーを厳密にコントロールす
ることがより容易に行い得るので、この直方体状チタン
酸バリウム系半導体磁器材料粉末を用いることによっ
て、より優れた特性のPTCサーミスタ、半導体コンデ
ンサなどを得ることができる。
【0094】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。
【0095】実施例1 硝酸イットリウムをチタンに対するイットリウム量で
0.3原子%添加したイットリウム含有四塩化チタン水
溶液(大阪チタニウム社製、チタン16.4%含有)を
15%アンモニア水で加水分解し、得られたゲル状物を
濾過、水洗し、強熱減量による換算重量で酸化チタン濃
度が12.3%のイットリウム0.3原子%含有水酸化
チタンケーキ〔I〕を得た。
【0096】このイットリウム0.3原子%含有水酸化
チタンケーキ〔I〕72gを水380gに均一に分散し
た懸濁溶液に30%過酸化水素をを81g添加した。こ
のときの酸化チタンに対する過酸化水素のモル比〔以
下、「H2 2 /TiO2 (モル比)」で示す〕は6.
35であった。また、得られたスラリー中の酸化チタン
濃度は30%過酸化水素水の70%を水と計算して0.
225mol/lであった。
【0097】得られたスラリーを攪拌しながら徐々に昇
温し、100℃で2時間還流処理を行って懸濁溶液〔I
I〕を得た。この懸濁溶液〔II〕を自然冷却により4
0℃まで下げ、窒素ガスを吹き込んで空気を置換し、こ
の懸濁溶液〔II〕に水酸化バリウム・八水塩56.8
g〔Ba/Ti(原子比)=1.6〕を添加し、30℃
から70℃まで0.25時間で昇温し、70℃で3時間
熟成反応を行った後、100℃で4時間還流して反応を
終結させた。
【0098】この反応により製造されたイットリウム
0.3原子%含有チタン酸バリウム半導体磁器材料粉末
は、その電子顕微鏡観察による90%個数分布粒子径が
1.2〜1.4μmの球状粒子で、粒度分布が狭く、平
均粒子径が1.3μmであった。
【0099】図1は、この実施例1により製造されたイ
ットリウム0.3原子%含有球状チタン酸バリウム半導
体磁器材料粉末の粒子構造を示す倍率1.5万倍の電子
顕微鏡写真である。この図1に示すように、実施例1に
より製造されたイットリウム0.3原子%含有球状チタ
ン酸バリウム半導体磁器材料粉末は、1.5万倍に拡大
した場合でも粒子形状が球状を保っており、また、その
粒子径もほぼ均一であって、粒度分布の狭いことがわか
る。
【0100】実施例2 五塩化アンチモンをチタンに対するアンチモン量で0.
25原子%添加した四塩化チタン水溶液を15%アンモ
ニア水で加水分解し、得られたゲル状物を濾過、水洗
し、強熱減量による換算重量で酸化チタン濃度が24.
5%のアンチモン0.25原子%含有水酸化チタンケー
キを得た。
【0101】このアンチモン0.25原子%含有水酸化
チタンケーキ51.7gを水382gで均一に分散した
懸濁溶液に、30%過酸化水素を112.5g〔H2
2 /TiO2 (モル比)=6.26〕添加し、酸化チタ
ン濃度が0.312mol/lのスラリーを得た。
【0102】得られたスラリーを100℃で2時間還流
して懸濁溶液を得た。この懸濁溶液を40℃まで冷却し
た後、この懸濁溶液に水酸化バリウム・八水塩69g
〔Ba/Ti(原子比)=1.4〕を添加し、70℃で
3時間熟成反応を行った後、100℃で4時間還流を行
って反応を終結させた。
【0103】得られたアンチモン0.25原子%含有チ
タン酸バリウム半導体磁器材料粉末は、その電子顕微鏡
観察による90%個数分布粒子径が0.6〜0.8μm
の球状粒子で、粒度分布が狭く、平均粒子径が0.7μ
mであった。
【0104】上記のようにして得られた球状粒子を酢酸
により酸処理し、Ba/Ti(原子比)=1.014に
調整した後、1100℃で仮焼することにより、球状を
維持した半導化粉末を得ることができた。
【0105】実施例3 チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウムおよびチ
タン酸鉛を下記の方法により製造し、これを実施例1と
同様のイットリウム含有チタン酸バリウム半導体磁器材
料粉末の製造時に添加して、イットリウム含有チタン酸
バリウムストロンチウムカルシウム鉛半導体磁器材料粉
末を製造した。
【0106】チタン酸ストロンチウムの製造 蒸留水23リットルに四塩化チタン水溶液(水溶液中の
チタン分16%)1kgを攪拌しながら加え、これに5
%アンモニア水を加えて加水分解し、pH8にし、濾
過、水洗を行った。得られた水酸化チタンゲルを、酸化
チタン分にして5%のスラリーとなるようにスラリー化
し、60℃に加温したのち、酢酸を加えてpH6にし、
そのpHおよび温度を保ちながら、1時間攪拌した。こ
のスラリーを濾過、水洗し、強熱減量による換算重量で
酸化チタン濃度が10.3%の水酸化チタンゲルを得
た。
【0107】この酸化チタン濃度が10.3%の水酸化
チタンゲル777g(酸化チタン換算で1モル)に蒸留
水300gを加え、窒素雰囲気中で攪拌し、80℃に加
温して、酸化チタンスラリーを得た。
【0108】これとは別に、窒素雰囲気中で水酸化スト
ロンチウムを溶解し、ストロンチウム分として10.5
%含有する水溶液1リットル(ストロンチウム1.2モ
ル含有)を用意し、80℃に加温しておき、上記酸化チ
タンスラリーとストロンチウム水溶液をチタンに対する
ストロンチウムの原子比〔Sr/Ti(原子比)〕を
1.2にして、窒素雰囲気中で80℃に保ったまま同時
に加え、2時間攪拌して、反応を行った。
【0109】その後、温度を100℃以上に昇温し、1
時間攪拌した後、濾過、水洗を行った。得られたチタン
酸ストロンチウムは粒子径0.02〜0.04μmの均
一な微粒子であった。
【0110】チタン酸カルシウムの製造 市販の炭酸カルシウム100.09gをボールミルで粒
子径0.1μm以下に粉砕し、これに酸化チタン(ルチ
ル型、粒子径0.1μm)79.9gを加えてさらに2
時間粉砕混合した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥さ
せた。これを1000℃で2時間仮焼(反応)を行い、
粒子径0.2μmのチタン酸カルシウムを得た。
【0111】チタン酸鉛の製造 四塩化チタン水溶液(大阪チタニウム社製、水溶液中の
チタン分16%、塩素分32%)292g(酸化チタン
換算で1モル)をビーカーに入れ、これに水を加えて1
リットルとし、この水溶液を9%アンモニア水1リット
ル中に徐々に滴下して得られた白色スラリーを濾過、水
洗し、水酸化チタンケーキを得た。これをプラポットに
移して市販の一酸化鉛223g(1モル)と、直径5m
mのイットリア安定化ジルコニアボール3kgとを加
え、さらに水を1リットル加えて密閉し、3時間ボール
ミル混合を行った。
【0112】得られたスラリーからジルコニアボールを
除き、さらにそのスラリーをスプレードライヤーで噴霧
乾燥し、得られた粉体を100℃で12時間乾燥してチ
タン酸鉛前駆体(粒子径0.2μm)を得た。これを4
90℃で5時間仮焼することにより、粒子径0.1μm
のほぼ均一なチタン酸鉛の微粒子を得た。
【0113】イットリウム含有球状チタン酸バリウムス
トロンチウムカルシウム鉛半導体磁器材料粉末の製造
【0114】実施例1で作製したイットリウム0.3原
子%含有水酸化チタンケーキ〔I〕に、実施例1と同様
に過酸化水素水を添加し、同様の処理をして、実施例1
と同様の懸濁溶液〔II〕を得た。
【0115】この懸濁溶液〔II〕を40℃以下に冷却
した後、窒素ガスを吹き込んで空気を置換し、上記のよ
うにして製造したチタン酸ストロンチウム(粒子径0.
02〜0.04μm)、チタン酸カルシウム(粒子径
0.2μm)およびチタン酸鉛(粒子径0.1μm)
を、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カ
ルシウムおよびチタン酸鉛のそれぞれのモル比が、Ti
2 :SrTiO3 :CaTiO3 :PbTiO3 =8
0:9:4:7になるように添加し、均一に混合した。
【0116】得られたスラリーに水酸化バリウム・八水
塩をBa/Ti(原子比)=1.6となるように添加し
て混合し、実施例1の場合と同様に30℃から70℃ま
で0.25時間で昇温し、70℃で3時間熟成を行った
後、100℃で4時間還流した。
【0117】得られた反応混合物を濾過、水洗し、酢酸
を加えて、(Ba+Sr+Ca+Pb)/Ti(原子
比)=0.994になるように調整した。
【0118】得られたイットリウム0.3原子%含有チ
タン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛半導体磁器
材料粉末は、イットリウム分を除く組成が蛍光X線分析
によれば(Ba0.80 Sr0.09 Ca0.04 Pb0.07
TiO3 であり、その電子顕微鏡観察による90%個数
分布粒子径が0.4〜0.6μmで、粒度分布が狭く、
平均粒子径が0.5μmであった。
【0119】図2は、この実施例3により製造されたイ
ットリウム0.3原子%含有球状チタン酸バリウムスト
ロンチウムカルシウム鉛半導体磁器材料粉末の粒子構造
を示す倍率1.5万倍の電子顕微鏡写真である。図2に
示すように、この実施例3により製造されたイットリウ
ム0.3原子%含有チタン酸バリウムストロンチウムカ
ルシウム鉛半導体磁器材料粉末は、1.5万倍に拡大し
た場合でも粒子形状が球状であり、またその粒子径もほ
ぼ均一であって、粒度分布の狭いことがわかる。
【0120】実施例4 実施例1で作製したイットリウム0.3原子%含有水酸
化チタンケーキ〔I〕2390g(チタン分として0.
38モル含有)に、水1040gを加えて煮沸したスラ
リー(酸化チタンとして8%含有)と、窒素雰囲気中で
調製して煮沸した30%水酸化バリウム水溶液9710
g(バリウム分として1.7モル含有)とを、100℃
に保温しておいたインラインミキサーを通して混合した
後、4時間還流しながら反応させた。
【0121】反応後のスラリーを濾過、水洗し、粒子径
0.01μm以下のイットリウム0.3原子%含有結晶
性チタン酸バリウムを得た。
【0122】得られたイットリウム0.3原子%含有結
晶性チタン酸バリウムに、酢酸を加え、酸処理して、B
a/Ti(原子比)=0.992にした調整したイット
リウム0.3原子%含有結晶性チタン酸バリウム100
g、実施例3において製造法を示したチタン酸ストロン
チウム9.59gおよびチタン酸鉛12.68gを加え
てボールミルで均一に混合し、大川原化工機(株)製の
スプレードライヤーで噴霧乾燥させて造粒し、800℃
で2時間仮焼した後、湿式で500メッシュと325メ
ッシュのフルイを用いて分級することにより粒子径30
〜45μmのものを得た。
【0123】得られた顆粒を密閉容器中で800℃で2
時間仮焼すると、粒子径37μmの比較的粒子径の揃っ
た分散性のよい粉末が得られた。
【0124】得られた粉末は、蛍光X線による定量分析
によれば、イットリウム分を除く組成が(Ba0.82
0.10 Pb0.08)TiO3 であって、イットリウム
0.3原子%含有チタン酸バリウムストロンチウム鉛で
あった。
【0125】図3は、この実施例4により製造されたイ
ットリウム0.3原子%含有チタン酸バリウムストロン
チウム鉛半導体磁器材料粉末の粒子構造を示す倍率90
0倍の電子顕微鏡写真である。この図3に示すように、
実施例4により製造されたイットリウム0.3原子%含
有チタン酸バリウムストロンチウム鉛半導体磁器材料粉
末は、900倍に拡大した場合でも粒子形状が球状であ
り、また、その粒子径もほぼ均一であって、粒度分布の
狭いことがわかる。
【0126】実施例5 実施例1で作製したイットリウム0.3原子%含有水酸
化チタンケーキ〔I〕72gを水380gに均一に分散
した懸濁溶液に30%過酸化水素を81g添加した。こ
のときの酸化チタンに対する過酸化水素のモル比〔H2
2 /TiO2(モル比)〕は6.35であり、得られ
たスラリー中の酸化チタン濃度は0.225ml/lで
あった。
【0127】得られたスラリーを攪拌しながら徐々に昇
温し、100℃で2時間還流処理を行って懸濁溶液を得
た。この懸濁溶液を40℃以下に下げた後、窒素ガスを
吹き込んで空気を置換し、この懸濁溶液に水酸化バリウ
ムと水酸化ストロンチウムとのモル比が8:2となるよ
うに水酸化バリウム・八水塩を51.10g、水酸化ス
トロンチウム・八水塩を10.76g添加し、30℃か
ら70℃まで0.25時間で昇温し、70℃で3時間熟
成反応を行った後、100℃で4時間還流して反応を終
結させた。なお、反応時の(Ba+Sr)/Tiの原子
比は1.8であった。
【0128】この反応により製造されたイットリウム
0.3原子%含有チタン酸バリウムストロンチウム半導
体磁器材料粉末のBa/Sr(原子比)は7/3であっ
て、ストロンチウムの割合が増加していた。また、得ら
れたイットリウム0.3原子%含有チタン酸バリウムス
トロンチウム半導体磁器材料粉末は図4に示すように粒
子径約0.4μmで球状であった。
【0129】上記の結果から、チタン酸バリウムストロ
ンチウムの製造においてストロンチウムがチタンより優
先的に反応することが明らかなので、このことを考慮し
て目的とするBa/Srに適したストロンチウム添加量
を決めることができる。
【0130】実施例6 実施例1で作製したイットリウム0.3原子%含有水酸
化チタンケーキ〔I〕に、水を加えて均一に混合したス
ラリー(酸化チタンとして1.8%含有)と、水酸化バ
リウム・八水塩とを、Ba/Ti(原子比)=1.2と
なるように混合し、100℃で4時間還流しながら反応
させた。
【0131】得られたスラリーを濾過、水洗し、酢酸で
酸処理したのち、800℃で2時間仮焼し、Ba/Ti
(原子比)=0.992で粒子径0.1μmのイットリ
ウム0.3原子%含有チタン酸バリウムの球状粒子を得
た。
【0132】また、上記とは別に、実施例1により得ら
れた粒子径1.2〜1.4μmのイットリウム0.3原
子%含有チタン酸バリウムの凝集体粒子を上記と同様に
酸処理し、Ba/Ti(原子比)=0.992に調整し
た後、1000℃で2時間仮焼し、粒子径1.2〜1.
4μmの球状イットリウム0.3原子%含有チタン酸バ
リウムを得た。
【0133】上記の粒子径0.1μmのイットリウム
0.3原子%含有チタン酸バリウム粒子と粒子径1.2
〜1.4μmのイットリウム0.3原子%含有チタン酸
バリウム粒子を、樹脂ボールを用いたボールミルで重量
比3:7の割合に均一に混合し、その中に硝酸マンガン
を0.04モル%および微粒子の二酸化ケイ素を0.1
5モル%添加して、ボールミルで混合し、その混合物
に、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.4重
量%および解膠剤としてポリエチレングリコールを0.
4重量%加えて、スプレードライヤーでの噴霧乾燥によ
る造粒を行って粒子径30μmの顆粒を得た。
【0134】得られた顆粒を成形用ダイに入れ、1トン
/cm2 で加圧して、直径15mmの円柱体に成形し、
1250℃で焼成して半導体磁器を得た。この半導体磁
器におけるグレインサイズ(粒子径)は2〜4μmでほ
ぼ揃っていた。
【0135】この磁器の比抵抗−温度特性を図7に示
す。この図7については比較例2の後で詳しく説明す
る。
【0136】比較例1 この比較例1では、固相法によりニオブ0.22原子%
含有チタン酸バリウムを製造して、その粒子形状および
粒子径のバラツキを明らかにする。
【0137】すなわち、市販の炭酸バリウム98.66
g、酸化チタン40.34gおよび五酸化ニオブ0.1
462gをボールミルで均一に30分間混合し、スプレ
ードライヤーで噴霧乾燥し、得られた粉末を300kg
/cm2 で仮成形し、1150℃で2時間仮焼してニオ
ブ0.22原子%含有チタン酸バリウム半導体磁器材料
粉末を得た。
【0138】得られたニオブ0.22原子%含有チタン
酸バリウム半導体磁器材料粉末の倍率1万倍の電子顕微
鏡写真を図5に示す。
【0139】図5に示すように、固相法によって得られ
たニオブ0.22原子%含有チタン酸バリウムは、粒子
形状が不均一で、かつ粒子径のバラツキが大きかった。
【0140】比較例2 この比較例2では、湿式法によりイットリウム0.3原
子%含有チタン酸バリウム半導体磁器材料粉末を製造し
て、その粒子形状および粒子径のバラツキを明らかにす
る。
【0141】すなわち、実施例1と同様の方法で得られ
たイットリウム0.3原子%含有水酸化チタンケーキ
〔I〕(強熱減量による換算重量で酸化チタン濃度2
2.8%)390gのスラリーに、窒素ガスを流して6
0℃に加温し、水酸化バリウム・八水塩を428g〔B
a/Ti(原子比)=1.2〕添加して攪拌し均一に混
合した。
【0142】このスラリーをさらに加温して100℃で
4時間還流し(窒素ガスは昇温時に止める)、濾過、水
洗を行った後、スプレードライヤーで噴霧乾燥を行い、
イットリウム0.3原子%含有チタン酸バリウム粉末を
得た。なお、反応時のBa/Ti(原子比)は1.2で
あった。
【0143】得られたイットリウム0.3原子%含有チ
タン酸バリウム粉末を800℃で5時間仮焼した後、半
導体材料とするために酢酸で酸処理して、Ba/Ti
(原子比)を0.992に調整した。
【0144】酸処理後のイットリウム0.3原子%含有
チタン酸バリウム粉末〔Ba/Ti(原子比)=0.9
92〕を再度800℃で2時間仮焼すると、粒子径0.
03〜0.06μmで粒子径の揃った粒子が得られた。
【0145】しかし、同様の酸処理粉末を1200℃で
3時間仮焼すると、粒子径は0.06〜1μmと大きく
なったが、粒子形状は図6(図6は倍率1.5万倍の電
子顕微鏡写真)に示すように不均一であった。
【0146】つぎに、上記のように粒子径が異なる80
0℃仮焼粉末と1200℃仮焼粉末とを重量比3:7で
混合し、その中に硝酸マンガンを0.04モル%および
微粒子の二酸化ケイ素を0.15モル%添加して、ボー
ルミルで混合し、その混合物にバインダーとしてポリビ
ニルアルコールを0.4重量%および解膠剤としてポリ
エチルグリコールを0.4重量%加えて、スプレードラ
イヤーでの噴霧乾燥による造粒を行った。
【0147】得られた顆粒を成形用ダイに入れ、1トン
/cm2 で加圧して直径15mmの円柱状のペレットに
成形し、1250℃で焼成して半導体磁器を得た。この
半導体磁器おけるグレインサイズは5〜10μmであっ
た。
【0148】得られた半導体磁器の比抵抗−温度特性を
図7に示す。
【0149】図7において、曲線aは本発明の実施例6
により製造されたイットリウム0.3原子%含有球状チ
タン酸バリウム半導体磁器材料粉末で作製された半導体
磁器の比抵抗−温度特性を示すものであり、曲線bは上
記比較例2で湿式法により製造されたイットリウム0.
3原子%含有チタン酸バリウム半導体磁器材料粉末で作
製された半導体磁器の比抵抗−温度特性を示すものであ
る。
【0150】図7の曲線aと曲線bとの比較例より明ら
かなように、本発明の実施例6で製造したイットリウム
0.3原子%球状含有チタン酸バリウム半導体磁器材料
粉末で作製した半導体磁器は、比較例2の湿式法により
製造されたイットリウム0.3原子%含有チタン酸バリ
ウム半導体磁器材料粉末で作製した半導体磁器に比べ
て、常温下での比抵抗が低く、抵抗変化幅が広かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により製造されたイットリウム0.3
原子%球状チタン酸バリウム半導体磁器材料粉末の粒子
構造を示す倍率1.5万倍の電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例3により製造されたイットリウム0.3
原子%含有球状チタン酸バリウムストロンチウムカルシ
ウム鉛半導体磁器材料粉末の粒子構造を示す倍率1.5
万倍の電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例4により製造されたイットリウム0.3
原子%含有球状チタン酸バリウムストロンチウム鉛半導
体磁器材料粉末の粒子構造を示す倍率900倍の電子顕
微鏡写真である。
【図4】実施例5により製造されたイットリウム0.3
原子%含有球状チタン酸バリウムストロンチウムの粒子
構造を示す倍率1.5万倍の電子顕微鏡写真である。
【図5】比較例1の固相法により製造されたニオブ0.
22原子%含有チタン酸バリウム半導体磁器材料粉末の
粒子構造を示す倍率1万倍の電子顕微鏡写真である。
【図6】比較例2の湿式法により製造されたイットリウ
ム0.3原子%含有チタン酸バリウム半導体磁器材料粉
末の粒子構造を示す倍率1.5万倍の電子顕微鏡写真で
ある。
【図7】実施例6により製造されたイットリウム0.3
原子%含有球状チタン酸バリウム半導体磁器材料粉末で
作製された半導体磁器の比抵抗−温度特性および比較例
2の湿式法により製造されたイットリウム0.3原子%
含有チタン酸バリウム半導体磁器材料粉末で作製された
半導体磁器の比抵抗−温度特性を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 37/00 9276−4M 41/04 9274−4M 41/24 (72)発明者 衣笠 雅典 大阪市大正区船町1丁目3番47号 テイカ 株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3価または5価の半導化元素をチタンに
    対して0.05〜2原子%含有し、その基材部分がAT
    iO3 (Aは、Ba≧50原子%、0原子%≦Sr、C
    a、Pb≦50原子%)で表される粒子径0.3〜50
    μmの球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末。
  2. 【請求項2】 ATiO3 がBaTiO3 である請求項
    1記載の球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の球状チタン酸バリウム系
    半導体磁器材料粉末を300〜1200℃で仮焼して得
    られた粒子径0.3〜50μmの球状チタン酸バリウム
    系半導体磁器材料粉末。
  4. 【請求項4】 チタン化合物とバリウム化合物との湿式
    反応時、またはチタン化合物とバリウム化合物およびス
    トロンチウム化合物との湿式反応時に、過酸化水素およ
    び半導化剤を共存させることを特徴とする粒子径0.3
    〜5μmの請求項1記載の球状チタンバリウム系半導体
    磁器材料粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 チタン化合物とバリウム化合物との湿式
    反応時、またはチタン化合物とバリウム化合物およびス
    トロンチウム化合物との湿式反応時に、過酸化水素、半
    導化剤、ならびに粒子径0.2μm以下のチタン酸スト
    ロンチウム、粒子径0.2μm以下のチタン酸カルシウ
    ムおよび粒子径0.2μm以下のチタン酸鉛よりなる群
    から選ばれる少なくとも1種を共存させることを特徴と
    する請求項1記載の球状チタン酸バリウム系半導体磁器
    材料粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 チタン化合物が半導化元素を含有する水
    酸化チタンまたは半導化元素を含有する酸化チタンで、
    バリウム化合物が水酸化バリウムであり、チタン化合物
    とバリウム化合物との反応前に、半導化元素を含有する
    水酸化チタンまたは半導化元素を含有する酸化チタンと
    過酸化水素とを反応させることを特徴とする請求項4ま
    たは5記載の球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉
    末の製造方法。
  7. 【請求項7】 チタン化合物が半導化元素を含有する水
    酸化チタンまたは半導化元素を含有する酸化チタンであ
    り、バリウム化合物が水酸化バリウムで、ストロンチウ
    ム化合物が水酸化ストロンチウムであり、チタン化合物
    とバリウム化合物およびストロンチウム化合物との反応
    前に、半導化元素を含有する水酸化チタンまたは半導化
    元素を含有する酸化チタンと過酸化水素とを反応させる
    ことを特徴とする請求項4または5記載の球状チタン酸
    バリウム系半導体磁器材料粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】 チタン化合物とバリウム化合物との熟成
    反応、またはチタン化合物とバリウム化合物およびスト
    ロンチウム化合物との熟成反応を、40〜100℃で少
    なくとも30分間以上行うことを特徴とする請求項4ま
    たは5記載のチタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 チタン化合物とバリウム化合物との湿式
    反応時、またはチタン化合物とバリウム化合物およびス
    トロンチウム化合物との湿式反応時に、半導化剤を共存
    させ、反応後、気流乾燥することを特徴とする粒子径5
    〜50μmの請求項1記載の球状チタン酸バリウム系半
    導体磁器材料粉末の製造方法。
  10. 【請求項10】 チタン化合物とバリウム化合物との湿
    式反応時、またはチタン化合物とバリウム化合物および
    ストロンチウム化合物との湿式反応時に、半導化剤およ
    び過酸化水素を共存させ、反応後、気流乾燥することを
    特徴とする粒子径5〜50μmの請求項1記載の球状チ
    タン酸バリウム系半導体磁器材料粉末の製造方法。
  11. 【請求項11】 チタン化合物とバリウム化合物との湿
    式反応時、またはチタン化合物とバリウム化合物および
    ストロンチウム化合物との湿式反応時に、半導化剤、な
    らびに粒子径0.2μm以下のチタン酸ストロンチウ
    ム、粒子径0.2μm以下のチタン酸カルシウムおよび
    粒子径0.2μm以下のチタン酸鉛よりなる群から選ば
    れる少なくとも1種を共存させ、反応後、気流乾燥する
    ことを特徴とする粒子径5〜50μmの請求項1記載の
    球状チタン酸バリウム系半導体磁器材料粉末の製造方
    法。
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