JPH06645B2 - 活性アナルサイム及びその製法 - Google Patents

活性アナルサイム及びその製法

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JPH06645B2
JPH06645B2 JP63067223A JP6722388A JPH06645B2 JP H06645 B2 JPH06645 B2 JP H06645B2 JP 63067223 A JP63067223 A JP 63067223A JP 6722388 A JP6722388 A JP 6722388A JP H06645 B2 JPH06645 B2 JP H06645B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、活性アナルサイム及びその製法に関する。本
発明はこの活性アナルサイムから成る充填剤及び電気粘
性流体配合剤に関する。
(従来の技術) 合成アナルサイム(analcime)は既知の物質であり、こ
のものはシリカ、苛性アルカリ、及び水酸化アルミニウ
ム或いはアルミン酸塩をアナルサイムの組成に見合った
割合で水熱反応させることにより得られることも知られ
ている。
また、この合成アナルサイムの内粒度分布のシャープな
ものは、化粧品用の填料、塗料用の填料、フィルムのア
ンチブロッキング剤、液体クロマト用担体、液晶用スペ
ーサー等の用途に有用であることも知られている(例え
ば特開昭60−186413号公報)。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、合成アナルサイムは著しく不活性な無機
粒子であり、例えばBET比表面積は5m2/g以下であ
り、また90%RH及び25℃の雰囲気中48時間の条
件で測定した吸湿量も殆んどゼロであるか或いはゼロに
近い。
樹脂類、ゴム類、紙、油、洗剤、化粧料等の各種製品に
対する充填剤乃至填剤の使用目的は極めて多岐にわたっ
ているが、多くの場合充填剤乃至填剤の粒子は少なくと
も若干の表面活性を有することが要求されている。例え
ば、樹脂やゴムの場合の配合剤の移行(イミグレーショ
ン)防止や、紙の場合のインク吸収等である。
本発明者等は、合成アナルサイムを以下に詳述する一定
の条件下で酸処理すると、新規な特性を有する活性アナ
ルサイムが得られることを見出した。
即ち、本発明の目的は、活性アナルサイム及びその製法
を提供するにある。
本発明の目的は、特定の粒子形状及び粒度を有し且つ低
いpHと固体酸としての特性を有する活性アナルサイム及
びその製法を提供するにある。
本発明の他の目的は、熱的に安定であり且つ電気粘性向
上作用にも優れた活性アナルサイム及びその製法を提供
するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、三成分基準でSiO260乃至95重量
%、Al2O30.3乃至20重量%及びNa2O0.02乃至11重量
%の化学組成;アナルサイムに特有のX−線回折像;及
び90%RH及び25℃の雰囲気中48時間の条件で測
定して5乃至30重量%の吸湿量を有し且つ個々の粒子
が24面体乃至は角の丸められた24面体の粒子形状と
電子顕微鏡法で測定して0.1乃至50μmの一次粒径と
を有することを特徴とする活性アナルサイムが提供され
る。
本発明によれば、アナルサイムに特有のX−線回折像を
有し且つ個々の粒子が24面体乃至は角の丸められた2
4面体形状を有するゼオライト粒子を合成する工程と、
該ゼオライト中のAl2O3分及びNa2O分の合計モル数当り
0.1乃至1.2モル当量の酸を用いて、アナルサイムの結晶
構造が残留する条件下でゼオライトを酸処理する工程
と、から成ることを特徴とする活性アナルサイムの製法
が提供される。
(作用) 本発明においては、個々の粒子が24面体乃至は角の丸
められた24面体形状を有するアナルサイム型のゼオラ
イトを使用し、その結晶維持される範囲内で、このゼオ
ライト粒子を酸処理してナトリウム分及びアルミナ分の
一部を除去することが顕著な特徴であり、これにより適
正な表面活性を有する活性アナルサイムが得られる。
本発明の活性アナルサイムは、三成分基準で下記組成
(重量基準) 一般範囲 好適範囲 SiO2 60〜95% 75%〜90% Al2O3 0.3〜20% 1%〜15% Na2O 0.02〜12% 0.5〜 5% を有する。この活性アナルサイムは、アナルサイムその
ものに比してAl2O3及びNa2Oの含有量が少なく、それに
伴ってSiO2含有量が増大している。この組成は後述する
赤外線吸収スペクトル、吸湿量、比表面積或いはその他
の物性と密接な関連がある。
この活性アナルサイムは、アナルサイム中のAl2O3分及
びNa2O分の一部が除去されているが、未だアナルサイム
に特有のX−線回折像を有する。添付図面第1図は活性
アナルサイムのX−線回折像であり、第2図は原料のア
ナルサイムのX−線回折像及び第3図は原料アナルサイ
ムを徹底的に酸処理したもののX−線回折像である。こ
れらの図面から、活性アナルサイムはピーク高さが減少
しているとは言え、アナルサイムに特有のX線回折像を
示すことがわかる。
本発明の活性アナルサイムは、一般に後述する方法で測
定して1乃至75%、特に5乃至50%の結晶保持率を
示す。この結晶化度が上記範囲よりも低い場合には、ア
ナルサイム型ゼオライトに特有の特徴が失われ、一方結
晶化度が上記範囲よりも高い場合には所期の表面活性が
得られない。
表面活性の程度は、吸湿量或いは更にBET比表面積で
表わされる。本発明の活性アナルサイムは、90%RH
及び25℃の雰囲気24時間の条件で測定して5乃至3
0%、特に7乃至20%の吸湿量を有し、且つ粒径によ
っても相違するが一般に50乃至500m2/g、特に15
0乃至400m2/gのBET比表面積を有する。アナルサ
イムの吸湿量が1%以下であり、またそのBET比表面
積が2m2/g以下であることから、本発明の活性アナルサ
イムは大きな表面活性を有することが明らかである。
アナルサイムは典型的には式 Na16〔(AlO2)16(SiO2)32〕・16H2O……(1) で表わされる化学構造を有し、結晶系は立方晶で格子間
隔(a)は13.72Aであり、細孔径は2.6Aとゼオライトの
中でも最も小さい。
上述した事実から、本発明の活性アナルサイムは次の微
細構造を有するものと思われる。即ち、個々の活性アナ
ルサイム粒子は、アナルサイム型結晶構造のアルミノケ
イ酸ナトリウムから成る核(コア)と、この核の周囲に
存在し、緻密な非晶質のシリカ或いはシリカ−アルミナ
から成る殻(シェル)との構造を有している。このた
め、活性アナルサイム粒子は、その表面に水分とを吸着
する表面活性を有し且つ内部に含有するNa2O分を徐放す
る特性を有するものと思われる。
事実、本発明の活性アナルサイムは、前述した量のNa2O
分を含有するにもかかわらず、その水性分散液は中性乃
至弱酸性であり、1%水性懸濁液は、4乃至8、特に5
乃至7のpHを示す。また、この活性アナルサイムは固体
酸としての特性を有し、酸強度函数がpka4.8の酸量が0.
2乃至1.0m-mol/g、特に0.3乃至0.8m-mol/gの範囲にあ
る。
添付図面第4図は、本発明の活性アナルサイム粒子の電
子顕微鏡写真(倍率10000倍)であり、第5図は比較の
ために示したアナルサイム型ゼオライト粒子の電子顕微
鏡写真(倍率10000倍)である。
これらの電子顕微鏡写真から、本発明の活性アナルサイ
ム粒子は、アナルサイム型ゼオライト粒子と同様に、全
体としての形状が真球に近い24面体乃至は角の丸めら
れた24面体となっていることが理解される。
本発明の活性アナルサイムは、各粒子の各々が上記の如
く明確な粒子形状を有していながら、その一次粒径が0.
1乃至50μm、特に0.3乃至30μmの比較的小さい粒
径に保たれていることも特徴の一つである。
一次粒径が上記範囲よりも小さい場合には二次凝集傾向
が生じることから好ましくなく、また粒径が上記範囲よ
りも大きい場合には樹脂充填剤や各種配合剤としての用
途には適さなくなる。
(発明の好適な態様) アナルサイム型ゼオライトの製造 本発明の活性アナルサイムを製造するに際しては、先ず
アナルサイムに特有のX−線回折像を有し且つ個々の粒
子が全体として明確な24面体乃至は角の丸められた2
4面体形状を有するゼオライト粒子を製造する。
この様な形状のアナルサイム型ゼオライトはそれ自体公
知のものであるが、従来の合成法ではアナルサイム型ゼ
オライトのみを全て上記の様な形状で分散良く合成はさ
れていなかった。
本発明においては、ケイ酸ナトリウム又は活性ケイ酸ゲ
ル、アルミン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを、下
記条件、 成分比 モル比 好適モル比 Na2O/SiO2 0.5〜5.0 0.7〜3.0 SiO2/Al2O3 3〜50 5〜20 H2O/Na2O 20〜500 50〜200 を満足する様に混合してアルミノケイ酸アルカリのゲル
を生成させ、このゲルを均質化した後、80℃乃至20
0℃の温度で常圧若しくは水熱条件下で結晶化させるこ
とにより、アナルサイム型ゼオライトを合成する。
生成するゼオライトは水洗し、更に所定の粒度への分級
操作を行なった後、次の酸処理工程を行なう。
本発明は上記の如く合成されたアナルサイム型ゼオライ
トを用いて活性アナルサイムを製造するものであるが、
このアナルサイム型ゼオライトの代表的な化学組成は次
の通りである。
アナルサイム型ゼオライトの化学組成 SiO2 49〜59重量% Al2O3 21〜25重量% Na2O 12〜14重量% H2O 7〜10重量% (灼熱減量) 酸処理工程 本発明によれば、上述したゼオライト粒子を酸処理に賦
して、活性アナルサイムとする。
この場合、酸処理は生成物の結晶保持率が1乃至75%
特に5乃至50%となるように行なうのがよい。その為
には原料ゼオライト中のAl2O3分及びNa2O分の合計量当
り0.1乃至1.2当量、特に0.3乃至1.0当量の酸を用いて処
理を行なうのがよい。
用いる酸は、無機酸でも有機酸でも格別の制限なしに使
用されるが、経済的には、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等
の鉱酸を用いるのがよい。これらの酸は酸水溶液の形で
ゼオライトの中和乃至アルミナ分の溶出に用いるのがよ
い。
酸処理は、結晶ゼオライトを水性スラリーとし、このス
ラリーに酸を添加して行うのがよい。酸の添加につれて
pHは酸性側に移行し、一定のpH値になるがこのpH値が4
以下特に2以下になるように酸処理を行なうことがよ
い。
酸処理の他の条件として、温度は20乃至100℃の範
囲が望ましく、またゼオライト粒子のスラリー中濃度は
5乃至30重量%の範囲が適当である。
上記酸処理は、一段乃至多段で行なわれるが、本発明に
おいてはこれを一段でも行ない得ることが顕著な特徴で
ある。
本発明において使用する酸処理に賦すべきアナルサイム
型ゼオライトは、前述した化学組成から明らかな通り、
酸処理によって除去すべきナトリウム分及びアルミナ
分、特にアルミナ分の含有量が極めて少ない。この結果
として、本発明によれば一段の酸処理によって活性アナ
ルサイムを得ることが出来る。反応時間は0.5乃至5時
間の範囲が適当である。
得られる活性アナルサイム粒子は、これを水洗し、乾燥
し或いは更に必要により粉砕、分級を行ない、さらに必
要に応じて焼成して最終製品とする。この粒子の表面に
は、金属石鹸、樹脂酸石鹸、各種樹脂乃至ワックス類、
シラン系乃至チタン系カップリング剤、シリカコーティ
ング等を所望により施こすことができる。
(活性アナルサイムの他の特性及び用途) 本発明の活性アナルサイムは、その粒子形状が真円に近
い24面体乃至は角の丸められた24面体形状を有して
いることから、球状粒子としての特性、即ち粉粒体とし
ての良好な流動性、大きな嵩密度、及び樹脂等に対して
優れた分散性を有する。
また本発明の活性アナルサイムにおいて、その粒子形状
が完全なる真円でなく本質的には多面体であることは、
該粒子と他の物質との界面的特性に大きな影響を及ぼ
す。
例えば本発明の粒子を樹脂に配合し成形した場合、樹脂
と粒子表面とが相互に噛み合うため、このフィルムを延
伸操作等に賦した場合にもボイド等の形成が少なくな
り、フィッシュアイがほとんどない透明性等に優れたフ
ィルムを与えることになる。
更に本発明の活性アナルサイムが上述した様な明確な粒
子形状を有することは、個々の粒子が凝集しにくく、シ
ャープな粒度分布を有することが可能となる。
この活性アナルサイムは用途に応じて一次粒径が極めて
均斉で分布がシャープな状態でも使用できるし、また一
次粒径が広い範囲にわたるブロードな分布を有する状態
でも使用することができる。前者の場合、この粒子は0.
85以下、特に0.5以下の一次粒径の標準偏差(σ)を有
することができる。
本発明の活性アナルサイムは前述した粒子形状、粒度特
性、表面活性、適度のpHを有することから、種々の製品
に対する充填剤、填剤、その他の配合剤として用いるこ
とが出来る。
例えば、本発明の活性アナルサイムは、種々の樹脂、例
えばポリプロピレン、ポリエチレン、結晶性プロピレン
−エチレン共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、
エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等の熱可塑性ポリエステル;6−ナイロン、6,6
−ナイロン等のポリアミド;塩化ビニル樹脂、塩化ビニ
リデン樹脂等の塩素含有樹脂;ポリカーボネート;ポリ
スルホン酸、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂に配合し
て、形成される樹脂成形品、例えば二軸延伸フィルム等
にスリップ性乃至アンチブロッキング性を賦与する目的
に使用できる。
この場合、配合量は用途によって相違するが樹脂当り0.
01乃至5%特に0.05乃至1%で配合するのがよい。
また、成形用熱硬化型樹脂や被覆形成用塗料に対する充
填剤乃至補強剤更にはセラミックス基材としての用途に
供することもできる。
更にこの球状粒子は通常のゼオライトとは全たく異な
り、中性乃至弱酸性のpHを示し、さらにNa+ Al+3等の
溶出がないことからパウダーファンデーション、液状
(ペースト)ファンデーション、ベビーパウダー、クリ
ーム等の種々の化粧料基剤、医薬、農薬、香料、芳香剤
等を担持させるための担体として有用であり、更に各種
クロマトグラフイ用担体としての用途にも供給すること
ができる。
本発明の活性アナルサイムは後述する方法で測定して0.
1mA以下の交流電気伝導を示し、この電流が長時間の通
電に亘って持続されるという特性を示す。
アナルサイムその物或いはアナルサイムを徹底的に酸処
理して非晶質化したものは、いずれも上記範囲よりも高
い交流電気伝導を示すこと及び従来電気粘性流体に使用
されているシリカ或いはシリカ・アルミナゲルでは電気
伝導度の持続性に乏しいことから、本発明の活性アナル
サイムの電気伝導度が比較的に小さいが、その持続性に
優れていることは、前述した活性アナルサイムの微細構
造と密接に関連していると思われる。本発明の活性アナ
ルサイムはオルガノポリシロキサン等の油に対して10
乃至70重量%で配合して電気粘性流体として使用する
ことが出来る。
(発明の効果) 本発明によれば、特定の粒子形状を有するアナルサイム
型ゼオライトを特定の条件下で酸処理することにより、
個々の粒子が24面体乃至角の丸められた24面体形状
を有する活性アナルサイムを合成することが出来た。
参考例1 市販試薬の水ガラス(3号ケイ酸ソーダSiO227wt%,
Na2O9.0wt%)、アルミン酸ナトリウム(Al2O322.5wt
%,Na2O15.5wt%)、カセイソーダを用いてそれぞれ5
kgの希ケイ酸ソーダ液と希アルミン酸ナトリウム液を調
製した。
次に内容積約18のステンレス製容器中で希ケイ酸ソ
ーダ液5kgと希アルミン酸ソーダ液5kgを攪拌下でゆっ
くりと混合し、全体が均一な下記組成モル比のアルミノ
ケイ酸アルカリゲルとした。
Na2O/SiO2 1.0 SiO2/Al2O3 10 H2O/Na2O 70 次いでこのアルミノケイ酸アルカリゲルを内容積10
のステンレス製小型圧力容器に入れ、徐々に昇温し、1
60℃の温度で5時間かけて結晶化を行なった。
ついで吸引過により母液と固形分を分離し、十分水洗
して得られたアナルサイム型ゼオライトケーキを110
℃で24時間乾燥して得られたアナルサイムを本発明の
原料(試料1−0)とした。
試料1−0のX線回折図を第2図、該粒子の電子顕微鏡
写真を第5図に、及び粉末性状を第1表に示した。
参考例2 原料ケイ酸分としてスメクタイト族粘土鉱物である新潟
県中条産酸性白土を酸処理して得た微粒子のケイ酸ゲル
を用いた以外は参考例1と同様にして粒径約3μmで角
の丸められた24面体形状のアナルサイム型ゼオライト
を合成した(試料2−0)。
この試料2−0の粉末性状を第2表に示した。
参考例3 試薬のメタケイ酸ナトリウム(和光純薬製Na2SiO3・9H2
O)、アルミン酸ナトリウムを用いて下記のモル組成比
で全体が40kgになる様に希ケイ酸ソーダと希アルミン
酸ソーダ液とからアルミノケイ酸アルカリゲルを調製し
た。
Na2O/SiO2=1.3 SiO2/Al2O3=6.0 H2O/Na2O=70 ついで参考例1と同様にして粒径約30μの乾燥アナル
サイム型ゼオライト粒子(試料3−0)を得、その粉末
性状を第3表に示した。
実施例1 参考例1で得られた試料1−0粉末80gを1のビー
カーに採り、純水400mlを加え、マグネチックスター
ラーで十分に分散させた後、純水で希釈した10%特級
塩酸を試料1−0粉末中のAl2O3,Na2O分に対して0.4,
0.6,0.8,1.0,1.2,1.5モル当量になる様に室温下で
各々ゆつくり注加し、注加後30分攪拌した。
次いでウォターバス中でゆっくりと昇温し92〜95℃
で5時間処理した後吸引過により母液と固形分を分離
し、母液の10倍量の純水で十分水洗後、110℃の電
気恒温乾燥器で24時間乾燥して、小型アトマエザー
(サンプル・ミル)で粉砕し、活性アナルサイム粒子を
得た。
塩酸処理量が0.2,0.4,0.6,0.8,1.0,1.2モル当量で
得られた活性アナルサイムをそれぞれ試料(1-1),(1
-2),(1-3),(1-4),(1-5)及び(1-6)とし、1.
5モル当量の酸処理条件で徹底的に酸処理して得られた
非晶質シリカを試料(1-7)とした。
次いで得られた活性アナルサイムの溶出性を評価するた
めに、試料1−0及び1-2,1-4,1-6の各試料2gをそ
れぞれ500mlのビーカーにとり、純水300mlを加え
た後、80℃の加温下に5時間攪拌処理して、溶液中へ
の溶出Al,Naを原子吸光法で定量し、その結果を第A表
に示した。その結果、活性アナルサイムのNa,Alの溶出
量が極めて少ないことがわかる。
更に、試料No、1−0,1−2,1−3,1−4,1−
6及び1−7の試料について、赤外線吸収スペクトル
(IR)を測定し、添付図第4図にそれぞれ(1),(2),
(3),(4),(5)及び(6)として示した。
なお本発明における各項目の測定は下記の方法によっ
た。
(測定法) (1)充填密度 JIS K・6220・6・8に準じて測定した。
(2)比表面積 カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1800を使用し、B
ET法により測定した。
(3)吸油量 JIS K 5101・19に準じて測定した。
(4)白色度 JIS P-8123に準じて測定した。
(5)pH JIS K-5101・24Aに準じて測定した5%サスペンジョン
のpH値。
(5)電子顕微鏡による粒径 試料微粉末の適量を金属試料板上にとり、十分分散させ
メタルコーティング装置(日立製E−101形イオンス
パッター)で金属コートし撮影試料とする。次いで常法
により走査形電子顕微鏡(日立製S−570)で視野を
変えて数枚の電顕写真像を得る。視野中の球状粒子像の
中から代表的な粒子を選んで、スケールを用い球状粒子
像の直径を測定し、一次粒子径として表示した。
(7)X線回折 試料は、予め200メッシュのタイラー標準篩を通過さ
せたものを80℃で5時間電気恒温乾燥器で乾燥した
後、デシケータ中で放冷して、X線回折の測定を行い、
結晶形を同定する。
(装置) 理学電機(株)製 X−線回折装置 ゴニオメーター PMG−S2 レートメーター ECP−D2 (測定条件) ターゲット Cu フィルター Ni 電 圧 35kV 電 流 20mA カウントフルスケール 4×103C/S 時定数 1sec チャート速度 1cm/min スキャニング速度 1°/min 回折角 1° スリット巾 0.15mm 測定範囲 2θ=5°〜40° (8)化学組成 強熱減量(Ig-loss)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化ア
ルミニウム(Al2O3)、酸化ナトリウム(Na2O)の分析
はJIS M 8852に準拠して測定した。但し酸化アルミ
ニウム、酸化ナトリウムが微量の場合は原子吸光法も併
用した。
(9)吸湿量 試料約1gをあらかじめ重量を測定した40×40mmの
秤量ビンに入れ150℃の電気恒温乾燥器で3時間乾燥
後デシケーター中で放冷する。次いで試量の重さを精秤
し、あらかじめ硫酸で関係湿度90%に調節したデシケ
ーター中に入れ24時間後の重量増を測定し吸湿量とし
た。
(10)平均粒径 200mlビーカーに試料1gをはかりとり、これに脱イ
オン水150mlを加えて攪拌下、超音波で2分間分散さ
せる。この分散液をコールターカウンター(TAII型)
アパーチャーチューブ50μを用いて測定する。累積分
布図から平均粒子径を求める。
(11)酸強度 測定はn−ブチルアミン滴定法によった。
試料約0.5gを50mlの共栓付き三角フラスコに入れ、
150℃で3時間乾燥し、重量を正確に求めておく、そ
こへ蒸留により脱水した特級ベンゼン溶液を約10ml加
え、次に示すハメツト指示薬を滴下し酸性色に呈色させ
た。
メチルレッド 4.3 赤 黄色 A;固体酸量(mmol/g) A=F×V20×W F;N/20n−ブチルアミンのファクター V;滴定量(ml) W;試料の重量(g) なお、滴定の終点は「標準色票」日本規格協会編(JIS
Z-8721準拠)の色相に基ずいて定めた。
(12)結晶保持率 アナルサイム結晶物の酸処理物である活性アナルサイム
のX線回折線における面指数(211),(400)及
び(332)の3強線のピーク強度(mm)合計値(PA
から、下記式によって結晶保持率(P)を算出する。
P=PA/PO×100(%) PO:未処理アナルサイム結晶の3強線ピーク強度の合計
値 (13)赤外線吸収スペクトル(IR) 日本分光工業(株)製のA302型の赤外線吸収スペク
トルを使用した。
上記の測定で得られた活性アナルサイムの各種性状を第
1表に示した。
実施例2 参考例2で得られた試料2−0粉末を使用して実施例1
と同様に0.4〜1.2モル当量まで酸処理し活性アナルサイ
ム粒子を得た。同様にしてその性状を第2表に示した。
実施例3 参考例3で得られた試料3−0粉末を使用し実施例1と
同様に0.4〜1.2モル当量まで酸処理し活性アナルサイム
粒子を得た。表3にその粉末性状を示した。
実施例4 実施例1で得られた試料1−4の活性アナルサイムを用
いてパウダーファンデーションを作った。
成分(A) マイカ 38部 タルク 12部 二酸化チタン 18部 着色顔料 4部 活性アナルサイム 14部 成分(B) スクワラン 5.3部 ラノリン 4.0部 ミリスチン酸イソプロピル 3.0部 界面活性剤 1.0部 香 料 適 量 成分(A)のマイカ、タルク、二酸化チタン、着色顔料、
活性アナルサイムを該当部数秤量後ステンレス製容器に
入れ十分混合してから、アトマエザーで粉砕した。次い
でヘンシェルミキサーで十分混合し、この中に成分(B)
の加熱混合物を添加し十分混合して製品とした。
得られたファンデーションと活性アナルサイムを含まな
いファンデーションを20才〜50才まで無作為に20
名に依頼した比較テストしたところ総じて活性アナルサ
イムを使用したものは伸びが良く、なめらかで特にサッ
パリした仕上りとなる事が分った。さらに通気性も良好
との評価であった。
実施例5 メルトフローレート1.0g/10分のポリプロピレン樹
脂100重量部に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル0.10重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部及び
表4に示した試料0.2部添加し、各々スーパーミキサー
で混合後、230℃でペレタイズした。ほかに無機添加
剤として合成シリカ(サイロイド244)、炭カル
(エスカロン#1500)を添加したもの、及び無機物を添
加しないものも同様にペレタイズした。
次にこのペレツトを押出機を用いてシート状フィルムに
し縦・横6倍に延伸し25μの延伸フィルムを得た。
これらの2軸延伸フィルムについて下記の測定法で透明
性、ブロッキング性、フィッシュアイ性について測定
し、その結果を表4に示した。
(1)透明性 ASTM・D・1003に準拠 (2)ブロッキング性 フィルム2枚を重ね20kgの荷重
をかけ40℃のオーブンで24時間放置後、2枚を引き
はがすのに必要な力を測定しブロッキング性とした (3)フィッシュアイ 光学顕微鏡によりフィルム400c
m2中の0.1mm以上の個数を測定し求めた。
実施例6 実施例3で得られた試料3−3の活性アナルサイム粒子
に炭素数が18のn−パラフィンを反応させて得られた
試料について、高速液体クロマトグラフィー用充填剤と
して用いられる市販の同系のカラムを用いて比較評価し
た。
まずSUS316ステンレス製の内径7.8mm、長さ30c
mのカラムをカラム充填装置にセットし、充填剤試料を
n−ヘキサンでスラリー状にした後、400kg/cm2
圧力で試料をカラムに充填させた。ついでシリカ系の充
填剤を充填させた上記と同様の材質、寸法からなる市販
のカラムを標準に本発明の活性アナルサイムを充填させ
たカラムについて以下の実験を行った。
装 置;ウォーターズ(Woters)6000A 高速液体クロマトグラス (測定条件) カラム温度;35℃ カラム圧力;180psi 移 動 相;テトラヒドロフラン (tetrahydrofran:THF) 移動相の流速;1.0ml/min 検 出 器;RI(示差屈折率検出器) 上記の条件で、THF溶媒に0.1%のポリスチレンを溶
解させた試料をマイクロシリンジでそれぞれのカラムに
注入した結果、ほとんど同等のクロマトグラフィーが得
られた。
実施例7 実施例1及び2で得られた試料1−4,1−5及び2−
2の活性アナルサイム微粒子をそれぞれ分散させた有機
媒質スラリーの粘性特性を下記の方法で調べた。
容器内に断面積1cm2のステンレス製電極板が1.5mmの間
隔で固定された5×5×5cmの樹脂製容器(添付図面第
7図)を用いて、上記活性アナルサイム粒子をシリコー
ン油(信越化学工業(株)製KF−96)に均質に分散
させたシリコーン油スラリーを調製し、このスラリーを
上記容器の電極板上限まで入れ、次いで40℃の加温下
にマグネチックスターラーで攪拌しながら2000Vの
交流電圧を極板間に荷電し、その時にスラリー中に流れ
る電流値と下記に示す目視観察のよるスラリーの固化度
を評価した。
さらに上記の荷電電圧を30分毎にくり返し開閉し、そ
の時のスラリーの流動・固化の復元性を経時的に評価し
た。なお、本発明による活性アナルサイム粒子の粘性特
性を明確にするため、第5表に示す粒子を比較例として
同様に評価した。
なお固化度は目視で以下の様に評価した。
評価結果は第5表に併せて表示した。
○ 十分固化し電極間からスラリーが流れない △ 固化が弱く電極間からスラリーが流れる × 全く固化しない
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による活性アナルサイム粒子(試料N
o.1−4)のX線回折図、第2図は、原料アナルサイム
型ゼオライト(試料No.1−0)のX線回折図、第3図
は、原料アナルサイム型ゼオライトを徹底的に酸処理し
たもの(試料No.1−7)のX線回折図、第4図は、原
料アナルサイム(1)、活性アナルサイム((2)〜(5))及
び非晶質シリカ粒子(6)の赤外線スペクトルグラフィー
であり、図中のAは615cm-1、Bは900cm-1、Cは
950cm-1及びDは1000乃至1130cm-1の吸収ピ
ークを示す。第5図及び第6図は試料No.1−4及び試
料No.1−0粒子の電子顕微鏡写真(倍率10000倍)であ
る。第7図は、実施例6で用いた実験装置図であり、図
中のがステンレス極板、がリード線、が電流計、
が交流電圧計を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】三成分基準でSiO260乃至95重量%、Al
    2O30.3乃至20重量%及びNa2O0.02乃至11重量%の化
    学組成;アナルサイムに特有のX−線回折像;及び90
    %RH及び25℃の雰囲気中24時間の条件で測定して
    5乃至30重量%の吸湿量を有し且つ個々の粒子が24
    面体乃至は角の丸められた24面体の粒子形状と電子顕
    微鏡法で測定して0.1乃至50μmの一次粒径とを有す
    ることを特徴とする活性アナルサイム。
  2. 【請求項2】50乃至500m2/gのBET比表面積を有
    する請求項1記載の活性アナルサイム。
  3. 【請求項3】1%固形分の水性分散体としたとき4乃至
    8のpHを有し且つ固体酸としての特性を有する請求項1
    記載の活性アナルサイム。
  4. 【請求項4】酸強度函数が+4.8迄の酸量が0.2乃至1.0m
    -mol/gである請求項1記載の活性アナルサイム。
  5. 【請求項5】請求項1記載の活性アナルサイムから成る
    無機充填剤。
  6. 【請求項6】請求項1記載の活性アナルサイムから成る
    電気粘性流体用粉体配合剤。
  7. 【請求項7】アナルサイムに特有のX−線回折像を有し
    且つ個々の粒子が24面体乃至は角の丸められた24面
    体形状を有するゼオライト粒子を合成する工程と、 該ゼオライト中のAl2O3分及びNa2O分の合計モル数当り
    0.1乃至1.2モル当量の酸を用いて、アナルサイムの結晶
    構造が残留する条件下でゼオライトを酸処理する工程
    と、 から成ることを特徴とする活性アナルサイムの製法。
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