JPH0664139B2 - 移動体の接離判別のための無線装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明はフル・デュープレックス方式の送受信機によっ
て人、車両、物体等の一定距離以内への接近又は以遠へ
の離隔を検知するようにした移動体の接離判別のための
無線装置に関し、迷子や置引き盗難の防止、車間距離の
維持、搬送物体や侵入物体の接近感知又は監視等、移動
物体の接近、離間を判別する一種のセンサとして用いる
ことができるきわめて小形軽量な電子機器である。

「従来の技術」 通常、対人間の通話交信による情報交換には無線送受信
機が用いられ、相手の送信電波の周波数を自己の受信機
に同調させて変調した音声による空中電波を捕捉して
送、受信を交互に繰り返すシンプレックス交信が行なわ
れている。しかし対人間であれば上記のようなトランシ
ーバされあれば目的を達するが、相手が物体である場合
には会話機能がないため単なる信号の交換ができれば足
り前記移動体の動きを捕捉する手段としては、従前から
超音波探査機がよく知られている。しかるにこのような
装置は大がかりであり、嵩ばるとともに持ち運びに不便
で重量の大きいものとならざるを得ず、高々数10立方セ
ンチメートルの超小形機器とするには余りにも大がかり
で高価になり過ぎる。

「発明が解決しようとする問題」 本発明は人間同志或は無生物体の相互離間距離が移動に
よって相対的な距離が短縮即ち接近したり、伸長即ち遠
ざかる状況だけを前記用途分野における検知目的のため
に超小形軽量な無線装置によって達成せんとするもので
あるが、通常、無線送受信機は水晶発振器の基準周波数
から送信時及び受信時の搬送周波数及び中間段周波数が
夫々位相同期回路により高精度に周波数合成されて成
り、しかも送信周波数と受信周波数とを夫々異ならせこ
れを切換えて使用していて、自己の送受信機における受
信周波数は相手の送信周波数つまり搬送周波数であり、
自己の送信周波数は相手の受信周波数に夫々匹敵してい
る。しかしこれら無線送受信機の特性上のバラツキは如
何に最高技術を駆使しようとも、基準周波数の発振源で
ある水晶振動子に固有のもので、すべて全く同一特性の
ものとすることはできないから、一定の管理水準値以内
にバラツキをもっていることになる。

そこで本発明は上記発振器の発振周波数特性のバラツキ
が微小なりとも存在する限り、送受信周波数を共通にす
るときは自己の基準発振周波数と相手からの入来搬送波
のもつ周波数との間に低周波のビート信号が検出できる
ことに着目し、送受信同時作動即ちフル・デュープレッ
クス方式によって検知信号を取り出すことをねらったも
のである。

「問題点を解決するための手段」 しかして前記ビート信号を生じる入来搬送波の周波数と
基準発振周波数との差を、送受信共用の単一の水晶発振
器を基準周波源とし、ヘテロダイン検波機能によって検
出できるようにすれば、通常の音声による空中電波を使
った交信機能は果さないがきわめて超小形のセンサとす
ることができることに気付いた。

以下に本発明装置の一実施についてその構成、作用を詳
述する。

「構成並びに作用」 図中ANTはアンテナ、１は水晶振動子（Ｘ）からなる固
定発振器兼用ヘテロダイン検波器で、Ｔは発振コイル兼
用高周波トランス、２は検波後の高周波成分及び近接妨
害波を除去するローパスフィルタ、３は増幅器、４は増
幅後の低周波分を検波する整流回路、５はレベル変換用
スイッチング回路、６は0.5Hz程度の低周波発振器、７
は1KHz程度の発振周波数のブザー（Bz）を吹鳴させるた
めの駆動用発振器で、上記低周波発振器により断続発振
させられる。８はバッファ、Ｄ_Ｌは発光素子、＋Ｂは給
電電源である。

上記の構成による送受信機を相互の離間距離に応じた電
界強度が得られるように出力調整しておき、自己と相手
が所持するか、自動車等の移動体相互に夫々設置してお
けば、給電状態のもとで固定発振器兼用ヘテロダイン検
波器１は固定発振器から発振コイル兼用高周波トランス
Ｔを介してアンテナANTより搬送波を送信すると同時
に、このアンテナANTより相手の送信電波即ち搬送波が
入来し、発振コイル兼用高周波トランスＴを含む固定発
振器兼用ヘテロダイン検波器１に導入される。固定発振
器兼用ヘテロダイン検波器１は水晶振動子Ｘを有する送
信用の固定発振器から発振コイル兼用高周波トランスＴ
を介してアンテナANTより搬送波を送出し、これと同時
に、この固定発振器がヘテロダイン検波を行う局部発振
器として動作する。つまり固定発振器は固定発振器兼用
ヘテロダイン検波器１のうち、発振コイル兼用高周波ト
ランスＴを除いた構成からなり、これが入来する搬送波
の周波数のヘテロダイン検波を行う局部発振器として動
作する。したがって、搬送波送出動作と同時に、アンテ
ナANTを介して固定発振器兼用ヘテロダイン検波器１へ
入来する搬送波は、発振コイル兼用高周波トランスＴに
導入されると固定発振器によりヘテロダイン検波され、
これによって入来搬送波の周波数と固定発振器の基準周
波数とは個々の水晶振動子のバラツキに基づく微差を有
しているため、離間配置されている送受信機同志は同一
周波数を送出する同一機種ではあってもこの微差がヘテ
ロダイン検波により低周波のビート信号として取り出さ
れ、次段の〔ローパスフィルタ〕(2)が高周波成分、近
接妨害波を除去して増幅器(3)にて増幅され整流回路(4)
が直流化してスイッチング回路(5)によりレベル変換さ
れると、制御用の低周波発振器(6)を介して駆動用の発
振器(7)の発振出力が断続し、ブザーBzを断続的に吹鳴
させるとともに発光素子Ｄ_Ｌを断続的に点滅させるの
で、彼我相互の一定距離以内に接近していることを知る
ことができる。

なお一定距離から遠ざかることを知らせる場合には、ス
イッチング回路(5)と低周波発振器(6)との間にインバー
タを挿入して極性反転すればよく、例えば２メートル以
上の離間距離を対象に接近、離隔の検知基準を電波の電
界強度で変えることができる。

また前記固定発振器の基準周波数を例えば49MHzにとっ
た例では、±5KHzのバラツキ即ち変動範囲の水晶振動子
を用いれば、自己といずれの相手ともビート信号を取り
出すことができて、本発明の用途に叶った無線送受信機
を多数製作できる。

「効果」 かくて本発明によれば送信、受信周波数を単一の固定発
振器により供給し、自己の基準発振周波数と相手の搬送
周波数との微差を送、受信の混信がなく固定発振器兼用
のヘテロダイン検波器によって検出できしかも固定発振
器の特性上のバラツキを利用してビート信号を取り出し
ているので装置全体は発振コイル兼用高周波トランスを
除いて高集積化し得ることと相俟ってきわめて小形軽量
化することができ、ひいては送受信周波数がきわめて狭
い帯域巾しか占有しないため、電波の利用効率を極端に
高くすることができる。

無線機全体の容積を数十立方センチメートル以内に構成
できるから、対人間の距離、侵入や遠近移動体の距離を
知るためのセンサとして携帯に便であり、取付けに場所
を取らないなど、盗難や迷子の防止など多方面に応用す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明無線装置の一実施例を説明するための回路結
線図である。 1:固定発振器兼用ヘテロダイン検波器、 2:ローパスフィルタ、3:増幅器、 4:整流回路、5:スイッチング回路、 6:低周波発振器、7:発振器 8:バッファ、ANT:アンテナ、Bz:ブザー Ｄ_Ｌ：発光素子、T:発振コイル兼用高周波トランス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】アンテナに接続される発振コイル兼用高周
   波トランスと、水晶振動子を有し前記発振コイル兼用高
   周波トランスに接続される固定発振器とが具備され、さ
   らに前記固定発振器とは別に前記発振コイル兼用高周波
   トランスの後段にブザーや発光素子等の報知手段が具備
   されて、前記固定発振器の基準発振周波数に基き発振コ
   イル兼用高周波トランスを介して搬送波がアンテナから
   送出され、この搬送波の送出時に、前記アンテナを介し
   て発振コイル兼用高周波トランスに入来する搬送波が前
   記固定発振器の基準発振周波数によってヘテロダイン検
   波されることにより、前記入来する搬送波の周波数と固
   定発振器の基準発振周波数との微差即ち低周波のビート
   信号が前記後段側に取り出され、所定電界強度の前記ビ
   ート信号が取り出されたとき又は取り出されないとき、
   前記報知手段が動作するように構成されたことを特徴と
   する移動体の接離判別のための無線装置。