JPH0663850U - ミッドストップライナのシール構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シリンダライナの軸方向中央部外周に設けた
段差面をシリンダブロックのシリンダボアに設けた段差
面に当接させて、シリンダブロックに対するシリンダラ
イナの軸方向位置を固定するとともに、水ジャケット内
を循環する冷却水のクランクケース内への侵入を封止す
るミッドストップライナを装着した往復駆動式内燃機関
において、段差面に複雑、高精度な加工を必要としない
ミッドストップライナのシール構造を提供する。 【構成】 シリンダブロック１、ミッドストップライナ
２に設ける段差面１ａ，２ａはミッドストップライナ２
の軸方向位置決め専用とし、複雑、高精度な加工を施さ
ない。前記段差面１ａ，２ａと水ジャケット１ｂとに挟
まれる部分のミッドストップライナ２外周に２本のＯリ
ング溝を設け、水ジャケット１ｂに近接するＯリング溝
に特に耐水性に優れたＯリング４を嵌着し、段差面に近
接するＯリング溝に特に耐油性に優れたＯリング５を嵌
着する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ミッドストップライナのシール構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

シリンダブロックのピストン摺動部分に湿式のシリンダライナを嵌着した往復 駆動式内燃機関において、図３に示すようにシリンダライナ２の中央部外周に段 差面２ａを設け、この段差面２ａをシリンダブロック１のシリンダボアに設けた 段差面１ａに当接させることによって、シリンダブロック１に対するシリンダラ イナ２の軸方向位置を固定するミッドストップライナが用いられている。このミ ッドストップライナ２は、スラップ位置が前記ライナ２の軸方向中央部に来るの で騒音が低くなる。また、ライナ下端部の変形が小さいといった利点がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、ミッドストップライナを装着した従来の内燃機関においては、シリ ンダブロック１の段差面１ａとこれに当接するミッドストップライナ２の段差面 ２ａのいずれか一方または双方に特殊な形状の加工を施し、面圧を上げるとによ って、水ジャケット１ｂ内を循環する冷却水のクランクケース内への侵入を封止 している。また、シリンダブロック１の前記段差面１ａの下方内周、またはミッ ドストップライナ２の段差面２ａの下方外周にＯリング溝を設け、この溝にＯリ ング７を挿嵌して前記段差面とクランクケースとの間を封止している。この構造 では、前記段差面のフレッチングあるいは段差面の磨耗によってシール性が低下 し、クランクケース内に冷却水が洩れ出す危険がある。また比較的大型の内燃機 関では、シリンダブロックの磨耗した段差面を修正加工して再使用することも多 いが、段差面の形状が複雑であるため、加工精度が低いと冷却水が洩れてクラン クケース内の潤滑油に混入する等のトラブルの原因になることもある。本考案は 上記従来の問題点に着目してなされたもので、前記段差面に複雑、高精度な加工 を必要としないミッドストップライナのシール構造を提供することを目的として いる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案に係るミッドストップライナのシール構造は 、シリンダライナの軸方向中央部外周に設けた段差面をシリンダブロックのシリ ンダボアに設けた段差面に当接させて、前記シリンダブロックに対するシリンダ ライナの軸方向位置を固定するとともに、水ジャケット内を循環する冷却水のク ランクケース内への侵入を封止するミッドストップライナを装着した往復駆動式 内燃機関において、前記シリンダライナの軸方向中央部外周に設けた段差面をシ リンダブロックのシリンダボアに設けた段差面に当接させることによって、シリ ンダブロックに対するシリンダライナの軸方向位置を固定し、前記段差面と水ジ ャケットとに挟まれる部分のシリンダライナ外周またはシリンダボア内周に２本 のＯリング溝を設け、水ジャケットに近接するＯリング溝に特に耐水性に優れた Ｏリングを嵌着し、段差面に近接するＯリング溝に特に耐油性に優れたＯリング を嵌着する構成とする。

【０００５】

【作用】

上記構成によれば、シリンダボアに設けた段差面にミッドストップライナ外周 の段差面を当接させてライナの位置決めとともに冷却水のシールを行っていた従 来の構造を改良し、段差面はライナの位置決め専用としたので、従来のように複 雑、高精度な加工を施す必要がなくなる。そして、前記段差面と水ジャケットと に挟まれた部分の上部に特に耐水性に優れたＯリングと下部に特に耐油性に優れ たＯリングとを配設することにより、冷却水、潤滑油をシールすることができる 。

【０００６】

【実施例】

以下に本考案に係るミッドストップライナのシール構造の実施例について、図 面を参照して説明する。図１はシリンダブロックに嵌着したミッドストップライ ナとその周辺の部分断面図で、請求項１の場合を示す。同図において１はシリン ダブロック、２はミッドストップライナ、３，４，５はＯリングである。ミッド ストップライナ２の軸方向中央部外周には段差面２ａが設けられていて、シリン ダブロック１のシリンダボアに設けられた段差面１ａに前記段差面２ａが当接す ることにより、ミッドストップライナ２の軸方向位置が固定される。そして、図 示しないシリンダヘッドボルトを締め付けてシリンダヘッドおよびヘッドガスケ ットをシリンダブロック１に取着すると、前記段差面２ａが段差面１ａに密着す る。

【０００７】 シリンダブロック１に設けられた段差面１ａおよびミッドストップライナ２の 段差面２ａは、ミッドストップライナ２の位置決め機能のみを有し、シール機能 は持たない。従って、前記段差面１ａおよび段差面２ａには従来のように複雑か つ精密な加工を施す必要はない。ミッドストップライナ２の前記段差面２ａと水 ジャケット１ｂとに挟まれる部分のミッドストップライナ２外周には２本のＯリ ング溝が設けられ、水ジャケット１ｂに近い方の溝にはたとえばエチレンプロピ レンゴム等からなる特に耐熱水性に優れたＯリング４が嵌着されている。また、 段差面２ａに近い方の溝にはたとえばシリコンゴム等からなる特に耐油性に優れ たＯリング５が嵌着されている。耐熱水性に優れたＯリング４を水ジャケット１ ｂと段差面１ａ，２ａとの間に配設したので、段差面１ａ，２ａの冷却水による 腐食を防止することができる。

【０００８】 上記請求項および２の実施例ではＯリングをミッドストップライナ外周に設け た溝に嵌着したが、Ｏリング溝をシリンダブロック側に設ける構造としてもよい 。

【０００９】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、シリンダブロックとミッドストップライ ナとにそれぞれ設けた段差面にライナ位置決め機能のみを持たせることとしたの で、従来のように段差面に複雑、高精度な加工を施す必要がなくなり、生産能率 を向上させることができる。また、段差面のフレッチングや磨耗によるシール性 の低下、あるいは段差面の修正加工による水洩れ等の問題が解消する。そして、 前記段差面と水水ジャケットとに挟まれた部分に特に耐水性に優れたＯリングと 特に耐油性に優れたＯリングとを配設し、冷却水、潤滑油をシールすることがで きるとともに、段差面のフレッチングを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】シリンダブロックに嵌着したミッドストップラ
イナとその周辺の部分断面図で、請求項１のシール構造
を示す。

【図２】シリンダブロックに嵌着した従来のミッドスト
ップライナのシール構造を示す部分断面図である。

【符号の説明】

１ シリンダブロック １ａ，２ａ 段差面 １ｂ 水ジャケット ２ ミッドストップライナ ３，４，５，６，７ Ｏリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダライナの軸方向中央部外周に設
   けた段差面をシリンダブロックのシリンダボアに設けた
   段差面に当接させて、前記シリンダブロックに対するシ
   リンダライナの軸方向位置を固定するとともに、水ジャ
   ケット内を循環する冷却水のクランクケース内への侵入
   を封止するミッドストップライナを装着した往復駆動式
   内燃機関において、前記シリンダライナの軸方向中央部
   外周に設けた段差面をシリンダブロックのシリンダボア
   に設けた段差面に当接させることによって、シリンダブ
   ロックに対するシリンダライナの軸方向位置を固定し、
   前記段差面と水ジャケットとに挟まれる部分のシリンダ
   ライナ外周またはシリンダボア内周に２本のＯリング溝
   を設け、水ジャケットに近接するＯリング溝に耐水性Ｏ
   リングを嵌着し、段差面に近接するＯリング溝に耐油性
   Ｏリングを嵌着したことを特徴とするミッドストップラ
   イナのシール構造。