JPH0663600B2 - スチームトラップの作動検知器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はスチームトラップの作動状態、すなわち、復水
の排出が正常に行なわれているか否か、蒸気を漏らして
いるか否か等を検出して確認するスチームトラップの作
動検知器に関する。

蒸気は仕事をして熱を失うと凝縮して復水と呼ばれる高
温水になる。蒸気使用機器では熱効率を維持するために
蒸気は逃がさず復水のみを排出する必要がある。この為
の特殊な自動弁がスチームトラップである。

燃料コストの高騰に伴い、蒸気の漏れをますます厳しく
監視するようになってきた。蒸気を漏らさないことがス
チームトラップ採用の前提条件になっている。トラップ
の作動状態は配管取り付け後も厳重に監視され、蒸気を
漏らすトラップは修理され、あるいは積極的に取り替え
られている。

従来の技術とその課題 従来から、スチームトラップの作動検知器が種々開発さ
れ、実用に供されている。その一つは、スチームトラッ
プの入口側に熱交換器を配置し、熱交換器で消費された
熱量を測定し、一方、スチームトラップから排出される
復水の熱量を測定し、両者を比較することで、生蒸気の
漏れがあるか否かを判定するものである。この場合は、
スチームトラップを配管から取外して測定装置に取付け
なければ測定できない。従って、配管されたままのスチ
ームトラップを測定することはできず、手間が掛かる
し、測定効率が悪い。また、測定装置が大がかりなもの
となり高価である。そこで、配管されたままのスチーム
トラップの蒸気漏れを検知するものの一つとしては、ス
チームトラップのケーシングや、トラップの出口側配管
に透視窓を設けて、内部の流体の様子を目視するものが
ある。これは、透視窓を構成するガラスが破損して蒸気
や熱水が吹き出して人身事故になる危険がある。

その他に、超音波センサーでスチームトラップの排出に
伴う振動を測定することも行われている。これは、超音
波マイクロフォンを一端に取付けた検出針をスチームト
ラップの外表面に押し当て、検出針から伝わる振動を電
気的信号に変換し、その電気的信号を増幅してメータの
針を振らせたり、スピーカを鳴らせたりするものであ
る。この場合は、透視窓の様に一見してスチームトラッ
プの作動状態が判るものではなく、トラップを１個１個
時間を掛けて測定しなければならず、手間暇の掛かるも
のである。

従って、本発明の技術的課題は、スチームトラップを配
管に取付けたままの状態で、安全かつ一見してその作動
状態が検知できるようにすることである。

課題を解決するための手段 上記の技術的課題を解決するために講じた本発明の技術
的手段は、スチームトラップの排出弁口の二次側に棒状
の熱伝導部材を配し、該熱伝導部材の一端をスチームト
ラップの内部あるいは外表面もしくは外表面近傍に取付
け、他端に所定の温度で溶融する溶融部材からなるイン
ジケータを設けたものである。

作用 上記の技術的手段の作用は下記の通りである。

スチームトラップの排出弁口の二次側に配した熱伝導部
材の一端には、排出弁口から排出される高温の復水の熱
が伝達する。この熱は熱伝導部材の他端に伝達される。
他端に設けた溶融部材からなるインジケータの溶融温度
を、上記復水から伝達される熱では溶融しない温度に設
定しておくことにより、溶融部材は溶融せず、インジケ
ータも変化しない。スチームトラップが何等かの異常を
来たし排出弁口から蒸気を漏洩すると、蒸気の保有熱量
と復水の保有熱量には大きな差があるために、熱伝導部
材を介して溶融部材に伝達される熱量が多くなり、溶融
部材の温度が上昇する。この温度上昇により溶融部材が
溶融してインジケータが変化する。

発明の効果 蒸気が漏洩したことによる温度上昇でインジケータが変
化して、スチームトラップの作動状態を安全かつ一見し
て検知することができる。

実施例 上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する（第
１図参照）。

図示のスチームトラップはフロート型であり、ケーシン
グは本体１０は蓋１１からなる。本体１０にトラップ入
口１２とトラップ出口１３が形成される。弁室１５には
中空フロート１４を自由状態で収容する。弁室１５の下
部に弁座部９が形成され、排出弁口１６が開けられてい
る。排出弁口１６は、貫通孔１７及び立上がり通路１８
を経てトラップ出口１３と連通する。

排出弁口１６の二次側でトラップ出口１３の手前に、熱
伝導部材２０を取付けた部材２１を介して本体１０に取
付ける。熱伝導部材２０の上部には別体の熱伝導部材２
２を捩子結合により取付ける。熱伝導部材２２の下端外
周に熱伝導部材２２を回転するためのハンドル２３を取
付ける。ハンドル２３を回転することにより、熱伝導部
材２２が回転し、下の熱伝導部材２０との捩子結合部分
２４の長さを変化することができる。ハンドル２３と取
付け部材２１の間に捩子接合部分２４の長さに応じた目
盛（図示せず）を設けておくと、目盛を見ながらハンド
ル２３を回転して捩子結合部分２４の長さを調節し、熱
伝導部材２２に伝わる熱量を調整することができる。

熱伝導部材２２の上部に、螺着部材３０，３１，３２を
介してろう材やウッドメタルや合成樹脂等からなる溶融
部材２５，２６，２７を取付ける。溶融部材２５，２
６，２７を介して棒３３，３４，３５を取付ける。溶融
部材２５，２６，２７と棒３３，３４，３５でインジケ
ータを形成する。但し、溶融部材２５，２６，２７の溶
融のみで識別できる場合は棒３３，３４，３５は必要な
い。

フロート１４は弁室１５内に溜る復水の量に応じて浮上
降下し、排出弁口１６を開閉する。すなわち、復水が流
入してくると排出弁口１６が開口し、蒸気が流入してく
ると排出弁口１６が閉口して蒸気の流出を防止する。こ
の様にスチームトラップが正常な作動を行い復水のみが
排出されている場合においては、熱伝導部材２０及び２
２を介して溶融部材２５，２６，２７に伝わる熱量は少
なく、溶融部材２５，２６，２７が溶融することはなく
棒３３，３４，３５の位置も変化しない。スチームトラ
ップに何等かの異常が生じ蒸気が漏洩すると、蒸気の保
有する熱量は復水の熱量と比較して大きいために、熱伝
導部材２０及び２２に伝わる熱量も多くなり、その分溶
融部材２５，２６，２７の温度が上昇して溶融部材２
５，２６，２７は溶融し、棒３３，３４、３５が落下す
る等変化することにより、蒸気の漏洩を検知することが
できる。

落下したインジケータは再度螺着することにより新しい
ものと交換することができる。

使用条件が変ることによってスチームトラップの内部流
体の温度が変化したり、溶融部材が変って溶融温度が変
化する場合には、ハンドル２３を回転して捩子結合部分
２４の長さを変えて、溶融部材への熱の伝達量を調整す
る。

本実施例においては溶融部材２５，２６，２７を複数個
設けたがもちろん１個のみであっても構わない。又、本
実施例のように複数個設けて、それぞれ溶融温度の異な
る溶融部材を取付けることにより、蒸気の漏洩量が大い
いのか少ないのかを見分けることもできる。

また本実施例においては、熱伝導部材２０及び２２をト
ラップの一体に取付けたが、トラップ出口１３に配管部
材を介して別体に取付けてもよい。

また、本実施例においては、スチームトラップとしてフ
ロート型のものを示したが、その他一般的に用いられて
いるディスク型やバケット型やバイメタル型等であって
も同様に検知することができることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のスチームトラップの作動検知器の実施
例の断面図である。 １０：本体、１２：トラップ入口 １３：トラップ出口、１４：フロート １５：弁室、１６：排出弁口 ２０：熱伝導部材、２２：熱伝導部材 ２３：ハンドル、２４：捩子結合部分 ２５，２６，２７：溶融部材 ３３，３４，３５：棒

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スチームトラップの排出弁口の二次側に棒
   状の熱伝導部材を配し、該熱伝導部材の一端をスチーム
   トラップの内部あるいは外表面もしくは外表面近傍に取
   付け、他端に所定の温度で溶融する溶融部材からなるイ
   ンジケータを設けたスチームトラップの作動検知器。