JPH0663092B2 - 耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体及びその製造方法 - Google Patents

耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体及びその製造方法

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JPH0663092B2
JPH0663092B2 JP1044891A JP4489189A JPH0663092B2 JP H0663092 B2 JPH0663092 B2 JP H0663092B2 JP 1044891 A JP1044891 A JP 1044891A JP 4489189 A JP4489189 A JP 4489189A JP H0663092 B2 JPH0663092 B2 JP H0663092B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、超硬合金に代表されるような炭化タングステ
ンを主成分とする焼結体の表面にダイヤモンド及び/又
はダイヤモンド状カーボンの被膜を形成した、ダイヤモ
ンド被覆焼結体及びその製造方法に関し、具体的には、
例えば切削工具材料,耐摩耗工具材料又は装飾用材料な
どを主体に、電気機器,精密機器,事務機器などの全て
の産業で用いられる材料として適する耐剥離性にすぐれ
たダイヤモンド被覆焼結体及びその製造方法に関するも
のである。
(従来の技術) 従来から金属,合金又はセラミックスなどの焼結体でな
る基材の表面にダイヤモンド及び/又はダイヤモンド状
カーボンの被膜を形成してなる被覆焼結体の実用化への
検討が行われている。この被覆焼結体の最大の課題とし
ては、ダイヤモンドが他の物質との濡れ性に劣ることか
ら、ダイヤモンド及び/又はダイヤモンド状カーボンの
被膜と基材との密着性及び付着強度性をいかにして高め
るかにある。特に、超硬合金の基材にダイヤモンド及び
/又はダイヤモンド状カーボンの被膜を形成してなるダ
イヤモンド被覆焼結体の場合は、切削工具材料や耐摩耗
工具材料のように最も苛酷な用途を目的とするために被
膜と基材との密着性及び付着強度性が一層重要な問題と
なる。
ダイヤモンド被覆焼結体におけ超硬合金の基材と被膜と
の密着性及び付着強度性に関して、多数の提案があり、
その代表的なものに、特開昭58−126972号公報,特開昭
62−57802号公報及び特開昭63−53269号公報がある。
(発明が解決しようとする問題点) 特開昭58−126972号公報には、1種以上の炭化物及び/
又は窒化物を含む超硬合金の母材に隣接する内層が、4
a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物,ホウ化物,酸化物及
びこれらの化合物,混合物並びにAl,AlN,BC,Si
C,Si,SiOから選ばれた1種以上よりなり、外層
はダイヤモンドよりなる超硬合金工具が開示されてい
る。この特開昭58−126972号公報による発明は、CoやNi
を含む超硬合金に直接ダイヤモンドの被膜を被覆とする
ダイヤモンドが変態してグラファイト化してしまうとい
う問題を超硬合金とダイヤモンド被膜との間にFe,Co,Ni
などの金属を含まない、例えばWCの中間層を介在させる
ことにより解決しようとするものである。しかし、化学
蒸着法(CVD法)や物理蒸着法(PVD法)でもって形成し
た中間層と基材との付着強度については、まだそれほど
問題がないけれどもダイヤモンド自体の他の物質との付
着性が劣ることから、ダイヤモンド膜と中間層との付着
強度が劣り実用化できないという問題がある。また、同
公報に開示の発明は、ダイヤモンド被膜を良質にするた
めにはCVD法やPVD法でもって中間層を形成した後、全く
別の反応容器でもってダイヤモンド被膜を形成する必要
があるという工程の煩雑さの問題、並びにその工程の煩
雑さにも関連して、中間層と被膜との境界部に下純物が
付着しやすく、そのために中間層とダイヤモンド被膜と
の付着強度を低下させるという問題がある。
特開昭62−57802号公報は、気相により硬質炭素薄膜を
基材表面に析出させて被覆した硬質炭素被覆部品の該硬
質炭素薄膜と基材との中間にWCを主成分とするWと
Cの化合物薄膜の中間層を厚さ0.1μm以上存在させて
なる硬質炭素被覆部品が開示されている。この特開昭62
−57802号公報による発明は、超硬合金やセラミックス
でなる基材の表面にCVD法やPVD法でもってWCの中間層を
形成しても付着強度の向上が殆ど認められなかったのに
対して、CVD法やPVD法でもってWCを主成分とするW
とCの化合物薄膜の中間層を被覆すると硬質炭素とW
Cの界面にはWCでなる拡散中間層が形成され、その結果
付着強度の向上を達成できたものであるけれども、CVD
法やPVD法でもって形成した中間層であるために中間層
と基材との境界部に下純物が付着しやすく、その結果中
間層と基材との界面における付着強度が劣ること、又特
開昭58−125972号公報の発明と同様に中間層と硬質炭素
薄膜との境界部に下純物が付着しやすく、そのために中
間層と硬質炭素薄膜との付着強度劣ること、及び工程が
煩雑になるという問題がある。
特開昭63−53267号公報には、Col−4wt%含有し、残り
が炭化タングステンと不可避下純物からなる組成、並び
に炭化タングステンの平均粒径が2〜10μm粗粒組織を
有する炭化タングステン基超硬合金基材の表面に、エッ
チング層を介在して低圧気相合成ダイヤモンド被覆層を
形成してなるダイヤモンド被覆切削加工チップが開示さ
れている。この特開昭63−53267号公報の発明は、上述
の特開昭58−126972号公報及び特開昭62−57802号公報
のように外部からWC又はWCの中間層を形成させたも
のとは異なり、超硬合金基材の表面を酸処理によりエッ
チングし基材表面に在存するCoを除去したエッチング層
の表面にダイヤモンド被覆層を形成してなるもので、工
程上の煩雑さの問題及びエッチング層と基材との付着強
度劣下の問題がないけれども、ダイヤモンド被覆層とエ
ッチング層との界面にグラファイトが付着すること、及
びエッチングにより除去されたCoの部分が空隙として残
存する場合があることからダイヤモンド被覆層とエッチ
ング層との付着強度が極端に低下し、ダイヤモンド被覆
層の欠落が発生しやすいという問題がある。
本発明は、上述のように問題点を解決したもので、具体
的には、炭化タングステンを主成分とする焼結体の表面
層を気相処理でもって脱炭させた後、引続きダイヤモン
ド気相合成処理を施すことにより、焼結体の表面層を焼
結体内部の炭化タングステンより微細粒で再晶出された
炭化タングステンの表面調質層とし、この表面調質層に
隣接してダイヤモンド被膜が形成されてなる耐剥離性に
すぐれたダイヤモンド被覆焼結体及びその製造方法の提
供を目的とするものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、炭化タングステンを主成分とする焼結
体、例えば超硬合金基材の表面に気相合成処理でもって
ダイヤモンド被膜を形成する場合において、被膜を形成
する前の基材の表面状態、及び被膜の形成条件と被膜形
成後における基材の表面状態について検討していた所、 第1に、基材の表面層に存在するCo金属をエッチング処
理により除去してなる基材のエッチング層の表面に気相
合成法でもってダイヤモンドの被膜を形成した場合に
も、気相合成法の初期におけるグラファイトの析出が抑
制されるものの基材と被膜との界面に微量のグラファイ
トの析出がみられるという知見を得たものである。
第2に、第1の知見によるグラファイトの析出を完全に
抑制するためにダイヤモンドの被膜形成前に酸素ガスを
微量流入させると、基材の表面層は脱炭及びCoなどの金
属の除去が生じ、引続いてダイヤモンドの被膜形成処理
を行うと基材の表面層は再晶出の炭化タングステンでな
る表面調質層となり、この表面調質層の表面にダイヤモ
ンドの被膜を形成させると密着性及び付着強度性にすぐ
れるという知見を得たものである。以上の知見に基づい
て、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被
覆焼結体は、炭化タングステンを主成分とする焼結体を
基材とし、該基材の表面にダイヤモンド及び/又はダイ
ヤモンド状カーボンの被膜を形成してなるダイヤモンド
被覆焼結体であって、該被膜の隣接してなる該基材の表
面から該基材の内部へ向って多くとも10μmまでの表面
調質層が再晶出炭化タングステンでなり、かつ該表面調
質層の再晶出炭化タングステンの粒径が該基材の内部に
存在する炭化タングステンの平均粒径よりも微細である
ことを特徴とするものである。
本発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体に
おける表面調質層は、層深さが基材の表面から内部へ向
って50μm程度に調整可能であるが、表面調質層を作製
するための処理時間が長くなること、及び表面調質層が
ダイヤモンドの被膜の耐剥離性を高めることにあること
からできるだけ薄層にすることが好ましいことである。
この表面調質層の層深さは、用途及び目的により異な
る、例えば0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μm厚さに
調整することが好ましいことである。この表面調質層の
再晶出炭化タングステンの粒径については、従来の炭化
タングステンを主成分とする焼結体に含有している炭化
タングステンの平均粒径が0.5μm〜10μm程度であ
り、この焼結体に含有している炭化タングステンの平均
粒径よりも微細な、例えば極端な場合焼結体に含有して
いる炭化タングステンの平均粒径が10μmならば表面調
質層の再晶出炭化タングステンの粒径は10μm未満であ
ればよいのであるけれども、表面調質層とダイヤモンド
の被膜との密着性及び付着強度性から表面調質層の再晶
出炭化タングステンの粒径は、0.3μm以下とできるだ
け微細にすることが好ましいことである。
また、表面調質層を構成している再晶出炭化タングステ
ンは、表面調質層全体が再晶出WCの層でなる場合、又は
表面調質層の厚さ及び処理条件によっては被膜に隣接す
る表面調質層部分が再晶出WCの層で、それからさらに基
材内部側の表面調質層が再晶出WCの層、もしくは再
晶出WCのと再晶出WCの混在した層になる場合もある
けれども、表面調質層全体が再晶出WCの層でなることが
好ましいことである。
ここで述べている再晶出炭化タングステンとは、炭化タ
ングステンが脱炭されてタングステンになった後、再び
炭化タングステンとして晶出するもので、具体的には、
基材中に含有している炭化タングステンから再晶出して
なる炭化タングステンのことである。
本発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体に
おける基材は、基材表面層を脱炭させた後に気相合成で
もってダイヤモンドの被膜を形成させたときに、表面層
が炭化タングステンの層として再晶出するような炭化タ
ングステンの量を含有している基材であればよく、具体
的には、例えば炭化タングステンと不可避下純物とから
なる焼結体、もしくは炭化タングステンを少なくとも50
体積%含有し、残りが周期律表4a,5a,6a族金属の炭化
物,窒化物及びこれらの相互固溶体、又はFe,Co,Ni,W,C
r,V,Mn,Zr,Cu,Moなどの金属及び合金の中の少なくとも
1種でなる焼結体を挙げることができる。
これらの内、炭化タングステンと不可避下純物との焼結
体でなる基材の場合は、焼結体の表面に鉄族金属が存在
していないことからダイヤモンドの被膜形成時にダイヤ
モンドのグラファイトへの変態が極めて少なく、ダイヤ
モンドの膜質がすぐれるので好ましいことである。
また、基材がCo及び/又はNiを主成分とする結合相4重
量%以下と、残り炭化タングステンを主成分とする硬質
相と不可避下純物とでなる焼結体の場合は、基材自体の
強度が高く、しかも基材の表面に存在するCo及び/又は
Niは少なく、このCo及び/又はNiの除去容易であること
から表面調質層の調整もしやすくて好ましいことであ
る。ここでいうCo及び/又はNiを主成分とする結合相と
は、Co及び/又はNiのみからなる場合、又はCo及び/又
はNiにFe,W,Cr,V,Zr,Cu,Moなどが微量固溶してなる場合
を示し、炭化タングステンを主成分とする硬質相とは、
炭化タングステンのみからなる場合、もしくは炭化タン
グステンと、例えば炭化タングステンの粒成長抑制効果
を主な目的とする炭化チタン,炭化タンタル,炭化ニオ
ブ,炭化タングステン・チタン,炭化タングステン・タ
ンタル・チタン,炭化タングステン・タンタル・ニオブ
・チタンなどの立方晶系化合物との混在した構成でなる
ものである。
本発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体に
おけるダイヤモンド及び/又はダイヤモンド状カーボン
の被膜は、電気抵抗,光透過率,硬度などがダイヤモン
ドの性質もしくはダイヤモンドに近い性質を示すもの
で、具体的には、ラマン分光分析した場合にダイヤモン
ドのラマン線であるといわれている1333cm にピーク
を示すものである。さらに詳述すると、この被膜は、ダ
イヤモンドのみからなる場合、又はダイヤモンドと他に
非晶質カーボンやガラス状カーボンなどを含有している
場合、もしくは、ダイヤモンドが含有していなくても従
来からダイヤモンドに近い性質を示すものであるといわ
れているダイヤモンド状カーボンからなる場合がある。
特に、表面調質層に隣接する被膜側がダイヤモンド状カ
ーボンからなり、表面調質層から離れた被膜表面側がダ
イヤモンドでなる構成の被膜になっている場合もある。
この被膜の厚さは、用途及び形状によって異なり、特に
耐衝撃性よりも耐すきとり摩耗性を重要視するような用
途には、例えば5〜15μm厚さと、被膜を厚くし、フラ
イス用切削加工のように耐衝撃性を重要視する用途、及
びドリルやスリッターのように鋭角な切刃を有する用途
には、例えば0.1〜5μm厚さ、好ましくは0.5〜2μm
厚さと、被膜を薄くする構成にすることが好ましいこと
である。
本発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体の
製造方法は、炭化タングステンを主成分とする焼結体の
基材を反応容器内に設置し、該反応容器内を脱炭性雰囲
気でもって昇温して、該基材の表面層を脱炭した後、気
相合成法によるダイヤモンド被覆処理を行って、該基材
の表面層を再晶出炭化タングステンでなる表面調質層と
し、かつ該表面調質層の再晶出炭化タングステン粒径が
該基材の内部の炭化タングステンの平均粒径よりも微細
にすることを特徴とする方法である。
本発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体の
製造方法において、反応容器内を脱炭性雰囲気にする場
合とは、具体的には、例えば水素ガスと酸素ガスとの混
合ガス、又は水素ガスと酸素ガスと炭素の供給源となり
うるガスとの混合ガスからなる雰囲気であることが好ま
しく、水素ガスと酸素ガスとの混合ガスの場合には、混
合割合によっては爆発が起こるので注意する必要があ
り、特に酸素ガス0.1〜5体積%と、残り水素ガスとの
比率でなる脱炭性雰囲気でなる場合は、安全性が高いこ
と、より微細の再晶出炭化タングステンでなる表面調質
層になること、及び表面調質層と被膜との耐剥離性にも
すぐれていることから好ましいことである。ここでいう
炭素の供給源となりうるガスとは、例えばメタン,エタ
ン,プロパン,ブタン,メタノール,エタノール,プロ
パノール,ブタノール,メチルエーテル,エチルエーテ
ルなどの炭素と水素又は炭素と水素と酸素の含有した有
機化合物を挙げることができる。この脱炭性雰囲気でも
って昇温する場合は、基材の温度を500〜1200℃でプラ
ズマ化処理をすることが好ましいことである。このとき
のプラズマ化処理は、従来のマイクロ波や高周波などで
行うことでき、このプラズマ化処理状態でもって同一反
応容器内中で引続き従来の気相合成法によるダイヤモン
ド被覆処理を行うと、表面調質層と被膜間への下純物の
付着が殆どないことから好ましいことである。
(作用) 本発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体
は、被覆焼結体を構成している基材の表面層が炭化タン
グステンでなる場合、この炭化タングステンが脱炭化処
理によりタングステンとなった後、ダイヤモンド被覆処
理により再び炭化タングステンとして晶出されてなる表
面調質層が形成されているものである。また基材の表面
層に、例えばCoなどの金属が存在している場合、脱炭処
理により基材の表面層中の炭化タングステンから生じた
炭素と、脱炭処理ガス中の酸素と、基材の表面層中のCo
がコバルトカルボニルとなって気散されて、基材の表面
層中のCoが除去されると共に、基材の表面層中の炭化タ
ングステンが脱炭処理によりタングステン原子もしくは
タングステンカルボニルとなった後、ダイヤモンド被覆
処理により再び炭化タングステンとして晶出されてなる
表面調質層が形成されているものである。すなわち、本
発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体は、
基材にもとから含有している炭化タングステンから再晶
出した炭化タングステンでなる表面調質層であること、
及び基材内部よりも微細粒の炭化タングステンの表面調
質層であることから表面調質層と表面調質されてない基
材内部との境界部における付着強度性及び密着性が著し
く高められているものである。
さらに、本発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆
焼結体は、微細粒の炭化タングステンでなる表面調質層
であることからダイヤモンド被膜に隣接する炭化タング
ステンの粒界が多くなり、この炭化タングステンの粒界
にダイヤモンドの粒子がクサビ状に埋設されて、表面調
質層とダイヤモンド被膜との密着性及び付着強度を高め
ているものである。
本発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体の
製造方法は、脱炭性雰囲気、特に酸素ガスの含有した混
合ガス中でのプラズマ処理により、基材の表面層にCoな
どの金属が存在していても、それを除去することができ
ること、また脱炭性雰囲気での処理工程と気相合成法に
よるダイヤモンド被覆処理における初期段階での工程に
より微細粒で再晶出炭化タングステンでなる表面調質層
が形成されていること、さらにプラズマ処理中での脱炭
性雰囲気とプラズマ処理中でのダイヤモンド被覆処理と
を同一反応容器中で連続的に行うことにより、表面調質
層とダイヤモンド被膜との界面に下純物が生じ難く、そ
の結果ダイヤモンドの核生成の促進を高め、緻密で微細
な被膜を生成しやすくしているものである。
(実施例) 実施例1 平均粒径1.0μmのWCを超硬合金製ボールと共に湿式で
ボールミル混合粉砕後、乾燥,プレス成形及び焼結し
て、平均粒径0.8μmのWC焼結体(不可避下純物としてC
o及び/又はNiを主成分とする結合相を約0.5wt%含有)
でなる基材を得た。この基材の表面を焼肌の状態又は研
摩の状態にした後、下記(A)の脱炭性雰囲気による処
理及び(B)のダイヤモンド被覆処理を施して、第1表
に示すような本発明品1及び2を得た。
比較として、上記同一基材でもつて、(A)処理を施さ
ずに直接(B)処理を施して、第1表に示すような比較
品1及び2を得た。
(A)脱炭性雰囲気による処理 ガス組成 99vol%H−1vol%O ガス圧力 60Torr 基材温度 950℃ マイクロ波出力 0.8kw 処理時間 30min (B)ダイヤモンド被覆処理 ガス組成 98vol%H−2vol%CH ガス圧力 90Torr 基材温度 1050 ℃ マイクロ波出力 1.0kw 処理時間 120min こうして得た本発明品1,2及び比較品1,2を用い下記の旋
削条件でもって切削試験をし、その形成を第1表に併記
した。
切削試験条件 被削材 Al−20%Si合金 チップ形状 SPGN 12308 切削速度 200m/min 送 り 0.1mm/rev 切込み量 0.5mm 切削時間 10min 評価 平均逃げ面摩耗量(Vmm) 実施例2 平均粒径1.0μmのWC粉末(a−WCと記載),平均粒径
3.0μmのWC粉末(b−WCと記載),平均粒径5.0μmの
WC粉末(c−WCと記載)及び平均粒径1〜2μmのCo粉
末,VC粉末を用いて、WC−0.5wt%VC−2wt%Co組成にな
るように配合し、実施例1と同様にして混合粉砕,乾
燥,プレス成形及び焼結して、第2表に示すそれぞれの
基材を得た。この基材の表面を研摩後、実施例1の
(A)の脱炭性雰囲気による処理及び(B)のダイヤモ
ンド被覆処理を施して、第2表に示すような本発明品3,
4及び5を得た。
比較として、上記同一基材を用いて、実施例1の(B)
処理のみ施して、比較品3,4及び5を得た。
こうして得た本発明品3,4,5及び比較品3,4,5を用いて下
記のフライス切削試験をし、その結果を第2表に併記し
た。
フライス切削試験条件 被削材 硬質カーボン チップ形状 SPP 422 切削速度 300m/min 送 り 0.1mm/tooth 切込み量 0.5mm 切削時間 90min 評価 平均逃げ面摩耗量(Vmm) (発明の効果) 超硬合金の基材とダイヤモンド被膜との間にCVD法やPVD
法でもってWC又はWCでなる中間層を介在させてなる
従来のダイヤモンド被覆焼結体が被膜の耐剥離性に劣る
ことから基材に直接被膜を形成した場合と切削性能が殆
ど同等で実用化できなかったのに対し、本発明の耐剥離
性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体は、基材に直接被
膜を形成した比較品に比べて、切削試験での耐摩耗性及
び耐チッピング性を含めた寿命試験において4〜20倍も
向上するという効果がある。
また、本発明の耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼
結体の製造方法は、基材の脱炭処理工程と被膜を形成す
るダイヤモンド被膜処理工程を連続的に同一反応容器内
で行えるために、下純物の影響が極めて少なく、表面調
質層と被膜との耐剥離性を著しく高めることができると
いう効果がある。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化タングステンを主成分とする焼結体を
    基材とし、該基材の表面にダイヤモンド及び/又はダイ
    ヤモンド状カーボンの被膜を形成してなるダイヤモンド
    被覆焼結体において、該被膜の隣接してなる該基材の表
    面から該基材の内部へ向って多くとも10μmまでの表面
    調質層が再晶出炭化タングステンでなり、かつ該表面調
    質層の再晶出炭化タングステンの粒径が該基材の内部に
    存在する炭化タングステンの平均粒径よりも微細である
    ことを特徴とする耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆
    焼結体。
  2. 【請求項2】上記表面調質層の再晶出炭化タングステン
    の粒径が0.3μm以下であり、上記基材内部に存在する
    炭化タングステンの平均粒径が0.5μm以上であること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の耐剥離性にす
    ぐれたダイヤモンド被覆焼結体。
  3. 【請求項3】上記基材が炭化タングステンと不可避不純
    物とからなる焼結体であることを特徴とする特許請求の
    範囲第1項又は第2項記載の耐剥離性にすぐれたダイヤ
    モンド被覆焼結体。
  4. 【請求項4】上記基材がCo及び/又はNiを主成分とする
    結合相4重量%以下と、残り炭化タングステンを主成分
    とする硬質相と不可避不純物とからなる焼結体であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項記載の
    耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体。
  5. 【請求項5】炭化タングステンを主成分とする焼結体の
    基材を反応容器内に設置し、該反応容器内を脱炭性雰囲
    気でもって昇温して、該基材の表面層を脱炭した後、気
    相合成法によるダイヤモンド被覆処理を行って、該基材
    の表面層を再晶出炭化タングステンでなる表面調質層と
    し、かつ該表面調質層の再晶出炭化タングステンの粒径
    が該基材の内部の炭化タングステンの平均粒径よりも微
    細にすることを特徴とする耐剥離性にすぐれたダイヤモ
    ンド被覆焼結体の製造方法。
JP1044891A 1989-02-23 1989-02-23 耐剥離性にすぐれたダイヤモンド被覆焼結体及びその製造方法 Expired - Fee Related JPH0663092B2 (ja)

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