JPH0662891A - (±)トランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体の光学分割法 - Google Patents

(±)トランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体の光学分割法

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JPH0662891A
JPH0662891A JP22232292A JP22232292A JPH0662891A JP H0662891 A JPH0662891 A JP H0662891A JP 22232292 A JP22232292 A JP 22232292A JP 22232292 A JP22232292 A JP 22232292A JP H0662891 A JPH0662891 A JP H0662891A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】(±)トランス−2−アミノシクロヘキサノ−
ル誘導体のすぐれた光学分割法を提供する。 【構成】(±)トランス−2−アミノシクロヘキサノ−
ル誘導体をリパーゼまたはアシラーゼなどの酵素で処理
し不斉加水分解を行うことを特徴とする光学分割法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】(±)トランス−2−アミノシク
ロヘキサノール誘導体を容易に光学分割できる優れた方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カート ファバー、ヘルムト ヘーニッ
ヒ. テトラヘドロンレタース Kurt Fabe
r,Helmut Honig.Tetrahedro
n Letters.29,1903,1988.で報
告されている様に酵素による不斉加水分解を経る光学活
性体トランス−2−アミノシクロヘキサノールの製造法
が知られている。
【0003】
【化3】
【0004】この方法はアジド体を基質とし、リパーゼ
で処理後、接触還元に付し光学活性体トランス−2−ア
ミノシクロヘキサノールへ導くものである。本反応の化
学収率はそれぞれ34%及び35%と低収率であり、光
学純度も91%〜98%と、定量的な光学分割には至っ
ていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、このよ
うな化合物を光学分割する場合、高度な簡便性、収率、
光学純度及び再現性が要求されている。本発明の目的
は、上述のような要求をみたす、光学分割法として有用
な方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。本発
明の第1の目的は、下記に示すようにリパーゼまたはア
シラーゼによってラセミ体化合物(1)を選択的に不斉
加水分解した後、それぞれ光学活性ヒドロキシ体(2)
と光学活性アセテート(3)を分離することである。
【0007】
【化4】
【0008】不斉加水分解において用いるのは、リパー
ゼまたはアシラーゼの酵素、及び0.1モルリン酸ナト
リウムバッファー(pH6.0〜7.0)である。使用
する酵素は基質に対して重量で1/20〜1/2の範囲
で用いられ、バッファーに対する基質の濃度は1〜5%
である。本反応は30〜50℃にて撹拌され、1〜24
時間で終了する。
【0009】本発明の第2の目的は、下記に示すよう
に、上記不斉加水分解によって収率46〜49%で得ら
れた光学活性ヒドロキシ体(2)を塩酸処理し、(1
R,2R)トランス−2−アミノシクロヘキサノール塩
酸塩(4)に変換することである。さらに化合物(4)
を2、4−ジニトロフルオロベンゼンで処理し、高速液
体クロマトグラフィーにて光学純度を測定したところ1
00%e.e.であることが判明した。また化合物の絶
対配置はカート ファバー、ヘルムト ヘーニッヒ.
テトラヘドロンレタース Kurt Faber,He
lmut Honig.Tetrahedron Le
tters.29,1903,1988.を参照した。
【0010】
【化5】
【0011】本発明の第3の目的は上記不斉加水分解に
よって収率45〜49%で得られた光学活性アセテート
(3)を、下記に示すように、メタノール溶媒中1.0
〜3.0当量のナトリウムメチラートで処理し、収率9
2%〜97%で光学活性ヒドロキシ体(6)へ導き、次
いで1.0〜3.0当量の塩酸を用いてtert−ブト
キシカルボニルを除去し、収率94%〜96%にて(1
S,2S)トランス−2−アミノシクロヘキサノール塩
酸塩(7)へ変換することである。
【0012】
【化6】
【0013】本化合物を化合物(4)と同様に光学純度
を測定したところ100%e.e.であった。従って、
化学収率34%及び35%、光学純度91%〜98%
e.e.である カート ファバー、ヘルムト ヘーニ
ッヒ.テトラヘドロンレタースKurt Faber,
Helmut Honig.TetrahedronL
etters.29,1903,1988.に報告され
ている方法に比べ、本発明の製造方法は化学収率45〜
49%、光学純度100%e.e.である優れた光学分
割法であることが判明した。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0015】
【実施例1】 (±)trans−2−tert−ブトキシカルボアミ
ドシクロヘキサノールの製造方法 (±)trans−2−アミノシクロヘキサノール2
3.0g(0.2mol)の塩化メチレン600ml溶
液へ、トリエチルアミン27.8ml(0.2mol)
を加えて均一溶液となった後、ジ−tert−ブチル
ジ−カーボネート43.6g(0.2mol)を加えて
1時間室温撹拌した。水300mlで3回水洗後、硫酸
マグネシウムで30分間乾燥し、溶媒を減圧留去した。
そこで、得られた白色固体をキシレンで再結晶し、
(±)trans−2−tert−ブトキシカルボアミ
ドシクロヘキサノール41.3g(96.0%)を得
た。IR(KBr)3310cm-1,1670cm-1
1 H- NMR( CDCl3 ,200MHz)δ:1.1
〜1.4(4H,m),1.6〜1.8(2H,m),
1.9〜2.1(2H,m),3.2〜3.4(2H,
m),4.6(1H,brs)。
【0016】
【実施例2】 (±)trans−2−tert−ブトキシカルボアミ
ドシクロヘキシルアセテートの製造法 (±)trans−2−tert−ブトキシカルボアミ
ドシクロヘキサノール33.0g(0.15mol)を
無水酢酸15.9ml(0.17mol)及びトリエチ
ルアミン23.4ml(0.17mol)の混合液に溶
解し、4時間室温撹拌した。反応終了後、水100ml
を加え、白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(展開溶媒、クロロホルム:ヘキサン混合溶媒)に付
し、trans−2−tert−ブトキシカルボアミド
シクロヘキシルアセテート16.6g(96.0%)を
得た。IR(KBr)3310cm-1,1725c
-1,1670cm-11 H−NMR(CDCl3 ,2
00MHz)δ:1.1〜2.2(8H,m),1.4
(9H,s),2.0(3H,s),3.4〜3.7
(1H,m),4.4〜4.7(2H,m)。
【0017】
【実施例3】 酵素Pseudomonas cepacia lip
aseを用いた(±)trans−2−アミノシクロヘ
キサノール誘導体の不斉加水分解法 (±)trans−2−tert−ブトキシカルボアミ
ドシクロヘキシルアセテート1.0g(3.9mmo
l)を0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.
0)100mlに懸濁させ、そこへPseudomon
as cepacia lipase(天野製薬)50
0mgを加えた。本反応溶液を30℃にて、マグネチッ
クスターラーを用いて13時間撹拌した。反応終了後、
本溶液を桐山濾紙で濾過した。この濾紙上に残った結晶
をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶
媒、酢酸エチル:ヘキサン混合溶媒)に付し、tran
s−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシ
ルアセテート490mg(49.0%)を得た。また母
液をクロロホルム100mlにて3回抽出し、有機層を
溶媒留去後、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグ
ラフィー(展開溶媒、酢酸エチル:ヘキサン混合溶媒)
に付し、trans−2−tert−ブトキシカルボア
ミドシクロヘキサノール408.9mg(49.0%)
を得た。本化合物のIR及び1 H−NMRスペクトルは
実施例1の(±)trans−2−tert−ブトキシ
カルボアミドシクロヘキサノールと一致した。また、t
rans−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロ
ヘキシルアセテートのIR及び1 H−NMRスペクトル
は実施例2の(±)trans−2−tert−ブトキ
シカルボアミドシクロヘキシルアセテートと一致した。
【0018】
【実施例4】 Aspergillus nigerを起源とするリパ
ーゼA6を用いた(±)trans−2−アミノシクロ
ヘキサノール誘導体の不斉加水分解法 (±)trans−2−tert−ブトキシカルボアミ
ドシクロヘキシルアセテート2.0g(7.8mmo
l)を0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.
0)200mlに懸濁させ、Aspergillus
nigerを起源とするリパーゼA6(天野製薬)1.
0gを加えた。本反応溶液を30℃にてマグネチックス
ターラーを用いて11時間撹拌した。反応終了後、本反
応混合物を桐山濾紙で濾過した。濾紙上の残留物をシリ
カゲルクロマトグラフィー(展開溶媒、酢酸エチル:ヘ
キサン混合溶媒)に付し、trans−2−tert−
ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテート970
mg(49.0%)を得た。また、母液は溶媒留去し残
留物をクロロホルム及びメタノールで洗浄後、シリカゲ
ルクロマトグラフィー(展開溶媒、酢酸エチル:ヘキサ
ン混合溶媒)に付しtrans−2−tert−ブトキ
シカルボアミドシクロヘキサノール821mg(49.
0%)を得た。本化合物のIR及び1 H−NMRスペク
トルは実施例1の(±)trans−2−tert−ブ
トキシカルボアミドシクロヘキサノールと一致した。ま
た、trans−2−tert−ブトキシカルボアミド
シクロヘキシルアセテートのIR及び1 H−NMRスペ
クトルは実施例2の(±)trans−2−tert−
ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテートと一致
した。
【0019】
【実施例5】 Aspergillusを起源とするアシラーゼを用い
た(±)trans−2−アミノシクロヘキサノール誘
導体の不斉加水分解法 (±)trans−2−tert−ブトキシカルボアミ
ドシクロヘキシルアセテート2.0g(7.8mmo
l)を、上記のリパーゼA6と同条件にてAsperg
illusを起源とするアシラーゼ(天野製薬)を用い
た不斉加水分解を行った。使用した酵素は1.0gであ
り、他の条件はリパーゼA6と同条件で行った。反応終
了後、本混合物を桐山濾紙で濾過した。濾紙上の残留物
は、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒、クロロ
ホルム:ヘキサン混合溶媒)に付し、trans−2−
tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテ
ート752mg(45.0%)を得た。また、母液は溶
媒留去後、クロロホルム抽出し、さらに溶媒留去後、カ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒、クロロホルム:ヘ
キサン混合溶媒)に付し、trans−2−tert−
ブトキシカルボアミドシクロヘキサノール784.9m
g(47.0%)を得た。本化合物のIR及び 1 H−N
MRスペクトルは実施例1の(±)trans−2−t
ert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノールと一
致した。また、trans−2−tert−ブトキシカ
ルボアミドシクロヘキシルアセテートのIR及び1 H−
NMRスペクトルは実施例2の(±)trans−2−
tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテ
ートと一致した。
【0020】
【実施例6】 (1R,2R)trans−2−アミノシクロヘキサノ
ール塩酸塩の製造方法 実施例3で合成した光学活性trans−2−tert
−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノール(2)1
0.0g(47mmol)の塩化メチレン200ml溶
液へ、4N塩酸ジオキサン溶液100ml(400mm
ol)を室温にて加え、同温度にて1時間撹拌後、結晶
が析出したのでこれを濾過し、濾紙上の結晶を取得した
ところ(1R,2R)trans−2−アミノシクロヘ
キサノール塩酸塩6.6g(94%)を得た。IR(K
Br)2600〜3600cm-1 1 H- NMR( DM
SO−d6 ,200MHz)δ:0.9〜2.4(8
H,m),2.5〜3.1(1H,m),3.2〜3.
8(1H,m),5.2〜5.9(1H,br s),
7.9〜8.7(1H,br s)。
【0021】本化合物(1R,2R)trans−2−
アミノシクロヘキサノール塩酸塩5mg(33μmo
l)のクロロホルム0.5ml溶液へトリエチルアミン
10μl(73μmol)及び2,4−ジニトロフルオ
ロベンゼン63μl(5mmol)を室温にて加え60
℃にて1時間撹拌後、反応混合物を減圧留去した。次い
でこの残留物に5mlのエタノールを加え、本溶液5μ
lを高速液体クロマトグラフィーにて測定したところ
(1R,2R)trans−2−アミノシクロヘキサノ
ールの鏡像体である(1S,2S)trans−2−ア
ミノシクヘキサノールが検出されず、(1R,2R)体
が保持時間12分付近に検出された。(±)trans
−2−アミノシクロヘキサノールの各鏡像体の保持時間
はそれぞれ12分付近及び15分付近にて検出された。
高速液体クロマトグラフィーの測定条件はダイセル化学
工業のキラルパックASを用い、紫外吸光光度計350
nmにて検出し、移動相はヘキサン:エタノールの比が
9:1の混合溶媒を使用した。
【0022】
【実施例7】 (1S,2S)trans−2−アミノシクロヘキサノ
ール塩酸塩の製造法 実施例3で合成した光学活性trans−2−tert
−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテート1.
0g(3.9mmol)のメタノール10ml溶液へ室
温にてナトリウムメチラート210mg(3.9mmo
l)を加え、同温度にて2時間撹拌後、飽和塩化アンモ
ニウム溶液を加えクロロホルムで抽出し硫酸ナトリウム
乾燥後溶媒留去。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ
ー(展開溶媒,酢酸エチル:ヘキサン混合溶媒)に付
し、光学活性体trans−2−tert−ブトキシカ
ルボアミドシクロヘキサノール770mg(92.0
%)を結晶として得た。IR(KBr)3300c
-1,1680cm-11 H- NMR( CDCl3 ,2
00MHz)δ:1.1〜1.4(8H,m),1.4
(9H,s),1.6〜1.8(2H,m),1.9〜
2.1(2H,m), 3.2〜3.4(2H,m),
4.6(1H,m).なお、光学活性体trans−2
−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノール
の塩酸処理による(1S,2S)trans−2−アミ
ノシクロヘキサノール塩酸塩への変換を実施例6と同様
に行い、高速液体クロマトグラフィーによる光学純度検
定を行なったところ、保持時間15分付近に(1S,2
S)trans−2−アミノシクロヘキサノール塩酸塩
が検出され本化合物の鏡像体は検出されず、光学純度は
100%e.e.であった。
【0023】
【発明の効果】本発明の方法は、従来法に比し、化学収
率及び光学純度においてすぐれた光学分割法である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)式で示される(±)トランス
    −2−アミノシクロヘキサノール誘導体をリパーゼまた
    はアシラーゼで処理し不斉加水分解することにより、下
    記(2)式で示される光学活性ヒドロキシ体及び下記
    (3)式で示される光学活性アセテートを得ることを特
    徴とする光学分割法。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法により得られた光学
    活性ヒドロキシ体と光学活性アセテートを分離後、光学
    活性ヒドロキシ体の場合は、アミンの保護基を除去し、
    下記(4)式で示される(1R,2R)トランス−2−
    アミノシクロヘキサノール塩酸塩に導くことを特徴と
    し、光学活性アセテートの場合は、アセチル基及びアミ
    ンの保護基を除去し、下記(5)式で示される(1S,
    2S)トランス−2−アミノシクロヘキサノール塩酸塩
    へ導くことを特徴とする光学分割法。 【化2】
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