JPH0661304U - ストリップの蛇行防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 先行ストリップの尾端と後行ストリップの先
端との溶接時に、くの字形溶接や段違い溶接を防ぎ、正
確に溶接し、これによって局部的な引張り応力の増大を
防ぎ、溶接部の破断事故を防ぐ。 【構成】 薄板鋼板ストリップを、切断手段、溶接手段
およびブライドルロールをこの順序で経て走行させ、溶
接手段とブライドルロールとの間に電磁石手段を介在
し、尾端が切断された後にそのストリップの尾端側の部
分の張力が零となったときにおいても、ブライドルロー
ルの入側にはストリップの張力を発生させることがで
き、これによってストリップの尾端側の部分の蛇行を防
ぐことができる。またブライドルロールに磁気吸引力を
発生する電磁石手段を内蔵するようにしてもよい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、連続薄板ラインなどにおいて好適に実施されるストリップの蛇行防 止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

溶融めっきライン、電気めっきラインおよび連続圧延ラインなどのプロセスラ インによってたとえば厚さ１．０ｍｍ以下の鋼板の薄板を製造するラインにおい て、ペイオフリールに装着された先行ストリップコイルのストリップの尾端にお ける溶接のためにシャーで切断した後、その尾端を溶接機の入側まで搬送し、そ こで予め待機している後行ストリップコイルの先端を溶接機で溶接し、こうして ブライドルロールを経てプロセスセクションに導く。

【０００３】 先行ストリップコイルのストリップの尾端を上述のように切断した後、溶接機 の入側まで搬送する際、そのストリップの尾端側の部分の張力は零であるので、 ブライドルロール上流側でストリップが蛇行することがある。このような蛇行が 生じて溶接が行われると、たとえば図３に示されるように先行ストリップ１と後 行ストリップ２とが溶接部３においてくの字状になったり、あるいはまた図４に 示されるように幅方向に相互にストリップ１，２がずれて段違いになったりする 。このような図３または図４に示される溶接部３，４が形成されると、そのライ ン内の張力の影響によって溶接部３，４に局部的に大きな引張り応力が発生し、 溶接部３，４で破断などしてトラブルを生じることになる。

【０００４】 このような問題を解決するために、ブライドルロールにストリップを押付ける 直円柱状のタッチロールのストリップ幅方向、すなわちタッチロールの軸線方向 の両端の圧力バランスを変化させて、ストリップの蛇行を防ぐようにしている。 あるいはまた他の先行技術では、図５に示されるようにブライドルロール５にス トリップ１，２を押付けるタッチロール６をナローボディー化し、すなわちタッ チロール６のストリップ１，２を押付ける大径部の軸線方向の長さを短くし、こ うしてタッチロール６でストリップ１，２を加圧すると、その加圧部分へストリ ップ１，２が移動する作用を利用し、ストリップの蛇行を防ぐようにしている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

このような従来からのストリップの蛇行防止対策では、ナローボディー化の有 無に拘わらず、タッチロールに摩耗が生じたり、押付け機構にがたがきて均一な 押付け力が維持できないと、ストリップ１，２の蛇行を充分に抑制することが困 難である。

【０００６】 本考案の目的は、薄板鋼板などのストリップのブライドルロール上流側でその ストリップに張力が作用しなくなっても、蛇行することを確実に防ぐことができ るようにしたストリップの蛇行防止装置を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、ストリップコイルが装着されたペイオフリールからのストリップを 、切断手段、溶接手段およびブライドルロールをこの順序で経て走行し、 溶接手段とブライドルロールとの間に介在される電磁石手段を含むことを特徴 とするストリップの蛇行防止装置である。

【０００８】 また本考案は、ストリップコイルが装着されたペイオフリールからのストリッ プを、切断手段、溶接手段およびブライドルロールをこの順序で経て走行し、 ブライドルロールは、電磁石手段を備えることを特徴とするストリップの蛇行 防止装置である。

【０００９】

【作用】

本考案に従えば、溶接手段とブライドルロールとの間に、電磁石手段が介在さ れ、この電磁石手段が励磁されることによって、尾端が切断されたストリップの 前記尾端が溶接手段に搬送されるまで、電磁吸引力を発生して強磁性ストリップ を吸着し、これによってブライドルロールの入側に張力を与え、したがって尾端 が切断されて張力が零となっているストリップの尾端側の部分が搬送時に蛇行す ることを防ぐことができる。ストリップの尾端が溶接手段まで搬送された時点で 、電磁石手段を消磁する。溶接時以外では、電磁石手段は消磁されたままである 。

【００１０】 また本考案に従えば、ブライドルロールは、電磁吸引力を発生することができ るように電磁石手段を備えているので、そのストリップをブライドルロールの外 周面に磁気吸引し、こうしてブライドルロールに巻掛けられているストリップに 張力を発生させ、これによって尾端が切断されて張力が零となっているストリッ プの尾端側の部分が蛇行することを防ぐ。

【００１１】

【実施例】

図１は、本考案の一実施例の全体の系統図である。ペイオフリール８，９には 、先行ストリップコイル１０および後行ストリップコイル１１が装着されており 、これらのストリップコイル１０，１１からのストリップ１２，１３を切断する ために切断手段としてのシャー１４，１５が設けられる。シャー１４，１５のス トリップ走行方向下流側には、溶接機１６が設けられ、こうして先行ストリップ １２の尾端と後行ストリップ１３の先端とを溶接することができる。図１におい て、参照符１２で示す先行ストリップは、一対のブライドルロール１７，１８に 巻掛けられ、参照符１９で示されるストリップは、後続の圧延機にたとえばめっ きラインに張力をかけて供給される。ストリップ１２，１３は、たとえば厚さ１ ．０ｍｍ以下の鋼板などである。

【００１２】 入側のブライドルロール１７にはタッチロール２０が近接離反変位可能に設け られる。このタッチロール２０は、ブライドルロール１７の軸線方向に平行であ って、そのブライドルロール１７の軸線方向全長にわたって直円柱状に形成され る。このタッチロール２０は、弾力性を有するゴム製であってもよい。タッチロ ール２０はストリップ１２をブライドルロール１７に押付ける。もう１つの出側 のブライドルロール１８にもまた、参照符１９で示すストリップをブライドルロ ール１８に押付けるロール２２が設けられる。

【００１３】 本考案によれば、溶接機１６とブライドルロール１７との間には電磁石手段２ ７が介在される。

【００１４】 図２は、電磁石手段２７の拡大した側面図である。ヨークに巻回されたコイル を備える電磁石手段２７のストリップ１２側の表面には、電磁吸着時にストリッ プ１２の電磁石手段２７側の表面に傷がついて損傷することを防ぐために、布な どの軟らかい保護部材２８を固定する。

【００１５】 先行ストリップ１２と後行ストリップ１３とを溶接機１６によって溶接するに あたっては、先行ストリップ１２の尾端のオフゲージ部分をシャー１４によって 部分的に切断し、次にその尾端を溶接機１６の入側の位置まで搬送するように、 図１の参照符１９で示されるストリップ１９を引張る。このときストリップ１２ のブライドルロール１７よりも搬送方向下流側（図１の右方）には張力が作用せ ず、したがってそのストリップ１２の尾端が蛇行するおそれがある。電磁石手段 ２７を励磁し、強磁性材料である薄板鋼板のストリップ１２を、保護部材２８を 介して磁気吸引する。これによってブライドルロール１７と電磁石手段２７との 間のストリップ１２に張力が作用し、したがって尾端が切断されて張力が零とな ったストリップ１２の部分の溶接機１６への搬送時において、その尾端側のスト リップ１２の部分が蛇行することを防ぐことができる。これによって前述の図３ のようなくの字形の溶接部が形成されることを防ぎ、あるいはまた図４に示され るような段違い溶接部が形成されることを防ぎ、これによって溶接部に局部的に 大きな引張り応力が作用することが防がれ、溶接部の破断をなくすことができる ようになる。またストリップ１２の尾端側の部分がブライドルロール１７に巻掛 けられずに参照符１９で示されるストリップの張力が低下してしまういわゆる尾 端尻抜けを防ぐことができ、さらにまたブライドルロール１７に巻掛けられてい るストリップ１２とそのブライドルロール１７の表面との間に隙間が生じてしま うことを防ぎ、したがって溶接後のストリップ１２，１３の走行時に、その隙間 に起因してストリップ１２，１３にしわが生じることを防ぎ、タッチロール２０ 付近で発生しやすいいわゆる絞り込み現象を防ぐことができるとともに、さらに またこのようなストリップ１２の張力が零となった状態での尾端の搬送時におい ても、参照符１９で示されるストリップに常に張力が発生していることを確実に する。

【００１６】 本考案の他の実施例として、ブライドルロール１７内に電磁吸引力を発生する 電磁石手段を内蔵し、ストリップ１２の尾端がシャー１４によって切断されてそ の尾端側の張力が零となったとき、電磁石手段を励磁し、ブライドルロール１７ ，１８間でストリップ１２に張力を発生し、これによって張力が零となっている ストリップ１２の尾端側の部分の蛇行を防ぐことができる。

【００１７】 本考案は薄板鋼板のストリップに関連して実施されるだけでなく、その他の長 手帯体であるストリップに関連してもまた広範囲に実施することができる。

【００１８】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、溶接手段とブライドルロールとの間に電磁石手 段を介在し、先行ストリップの尾端が切断された後にその尾端の張力が零となっ ていても、電磁石手段の励磁によって、ブライドルロールの入側に張力を発生さ せてそのストリップの尾端側の部分の蛇行を防ぐことができるようになる。さら にまた本考案によれば、ブライドルロールは電磁吸引力を発生することができる ための電磁石手段を備え、このことによってもまたブライドルロールに巻掛けら れているストリップをブライドルロール外周面に磁気吸引させて張力が零となっ ているブライドルロールの尾端側の部分の蛇行を防ぐ。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の全体の構成を示す系統図で
ある。

【図２】電磁石手段２７付近の拡大した側面図である。

【図３】従来技術における先行ストリップ１と後行スト
リップ２とを溶接部３で溶接したときくの字状になった
ときの状態を示す平面図である。

【図４】従来技術において先行ストリップ１と後行スト
リップ２とを溶接部４で溶接したとき、段違いが生じた
ときの状態を示す平面図である。

【図５】従来技術のナローボディー化したタッチロール
６を示す斜視図である。

【符号の説明】

８，９ ペイオフリール １０ 先行ストリップコイル １１ 後行ストリップコイル １２，１３，１９ ストリップ １４，１５ シャー １６ 溶接機 １７，１８ ブライドルロール ２０ タッチロール ２７ 電磁石手段 ２８ 保護部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 // Ｂ２１Ｂ 15/00 Ａ 8015−4Ｅ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ストリップコイルが装着されたペイオフ
   リールからのストリップを、切断手段、溶接手段および
   ブライドルロールをこの順序で経て走行し、 溶接手段とブライドルロールとの間に介在される電磁石
   手段を含むことを特徴とするストリップの蛇行防止装
   置。
2. 【請求項２】 ストリップコイルが装着されたペイオフ
   リールからのストリップを、切断手段、溶接手段および
   ブライドルロールをこの順序で経て走行し、 ブライドルロールは、電磁石手段を備えることを特徴と
   するストリップの蛇行防止装置。