JPH0660816B2 - 核燃料棒端栓溶接部の検査装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、核燃料棒端栓溶接部の外径およびエンベロ
ープ（端栓圧入の曲がり等）を測定検査する核燃料棒端
栓溶接部の検査装置に関するものである。

「従来の技術」 加圧水型軽水炉等の原子炉に装荷される核燃料集合体を
構成する核燃料棒は、例えば第３図に示すように、円筒
状の被覆管１内に、複数個の燃料ペレット２と、この燃
料ペレット２の移動、損傷を防止するためのスプリング
３とを挿入し、被覆管１の両端部に端栓４，４を圧入
し、これら端栓４，４と被覆管１との合わせ目を周溶接
することにより製造されている。

上記のようにして製造された核燃料棒においては、種々
の仕様が厳しく規定されているが、被覆管１と端栓４，
４との溶接部の盛り上がり量および端栓４，４が被覆管
１に曲がって挿入されていないかどうかについても厳し
く規定されている。

従来、上記溶接部の盛り上がり量の検査や、端栓４，４
が被覆管１に曲がって挿入されていないかどうかの検査
（エンベロープ検査）については、リングゲージによ
り、作業者が手作業で行っていた。

「発明が解決しようとする課題」 ところが、上記リングゲージを用いる検査では、手作業
に頼らざるを得ず、自動化が困難であると同時に、定量
的評価ができないという欠点があったため、このような
欠点を解決すべく検査の自動化が望まれていた。

「発明の目的」 この発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、被覆
管と端栓との溶接部の盛り上がり量の検査やエンベロー
プ検査を正確かつ自動的に行うことができる核燃料棒端
栓溶接部の検査装置を提供することを目的としている。

「課題を解決するための手段」 この発明の核燃料棒端栓溶接部の検査装置は、軸回りに
回転自在に設けられた略円筒状をなす回転体と、この回
転体の内部に同回転体と軸線を同一にして配設され、該
回転体に対して該軸線を中心として相対的回転自在かつ
該軸線方向に移動自在に設けられた円柱状をなす基準プ
ラグと、上記回転体のその周方向に等間隔で離間した少
なくとも３箇所に上記回転体の軸線と直交する方向に移
動自在に支持され、上記回転体内に上記基準プラグと軸
線を同一にして保持された核燃料棒が挿入されたときに
該核燃料棒の端栓溶接部に当接する当接部とを具備して
なり、上記基準プラグは、上記回転体内に配置された付
勢部材により上記各当接部間方向に付勢され、上記各当
接部間に位置してその外周面に同当接部が当接する位置
と、上記回転体内に上記核燃料棒が挿入されたときに該
核燃料棒により上記付勢部材の付勢力に逆らい、移動さ
れて上記各当接部から離脱する位置との間を移動自在と
されているものである。

「作用」 この発明の核燃料棒端栓溶接部の検査装置にあっては、
まず、付勢部材の付勢力により基準プラグを各当接部間
に位置させ、該基準プラグの外周面に各当接部を当接さ
せてキヤリブレーシヨンを行なう。次に、該燃料棒を回
転体内に挿入し、その端栓溶接部を各当接部間に位置さ
せる。この際、核燃料棒により上記基準プラグを上記付
勢部材の付勢力に逆らって各当接部から離間する位置に
移動させる。そして、回転体に核燃料棒の軸線と直交す
る方向に移動自在に設けられた当接部を、回転体を回転
させることにより、核燃料棒の端栓溶接部に摺接させ、
この時に生じる当接部の核燃料棒の軸線と直交する方向
への移動量（変位量）により、端栓溶接部の検査を自動
的に行う。

「実施例」 以下この発明の核燃料棒端栓溶接部の検査装置の一実施
例を第１図および第２図を参照して説明する。

これらの図において符号１０は回転体を示す。

この回転体１０は略円筒状のものであり、その外周部は
ラジアルベアリング１１に支持されている。そして、こ
の回転体１０はその左端部に取り付けられたプーリ１２
を図示しないベルト、駆動源により回転させることによ
り、軸回りに回転自在に設けられている。

上記回転体１０の内部には核燃料棒Ａより若干大径の略
円柱状をなす基準プラグ１３がその軸線を回転体１０の
軸線と同一にして設けられている。この基準プラグ１３
はその先端部が回転体１０の内部先端側に設けられたス
トロークベアリング１４により軸線方向に移動自在にか
つ回転体１０に対し該軸線を中心として相対的に回転自
在に支持されており、後端部が回転体１０の内部後端側
に設けられたコンバインドベアリング１５のラジアルベ
アリング部１５ａに軸線方向に摺動自在に挿入支持され
ている。また、この基準プラグ１３の中途部にはフラン
ジ部１３ａが形成されており、このフランジ部１３ａと
上記コンバインドベアリング１５のストラストベアリン
グ部１５ｂとの間には、基準プラグ１３を第１図中右方
に付勢するコイルスプリング１７（付勢部材）がが設け
られている。

また、上記回転体の先端部（第１図中右端部）には大径
部２０が軸線を同一にして形成されている。この大径部
２０の周壁部にはストロークベアリング２１が周方向に
等間隔で４個組み込まれており、各ストロークベアリン
グ２１を回転体１０の軸線方向おいて挾む位置にはそれ
ぞれストロークベアリング２２，２２が組み込まれてい
る。

さらに、上記大径部２０の内側には核燃料棒Ａの端栓溶
接部に当接する当接部２３が周方向に等間隔で離間して
４個配設されている。この当接部２３は断面コ字状の支
持部２４と、この支持部２４の突部２４ａ，２４ａ間に
渡されて支持された支持軸２４ｂに回転自在に支持され
て、核燃料棒Ａの端栓溶接部に転動摺接するローラ２５
と、支持部２４の外側面に立設されて上記ストロークベ
アリング２１，２２，２２に上記回転体１０の軸線と直
交する方向に移動自在に支持されたガイドロッド２６，
２７，２７と、且つ上記大径部２０の内周面と支持部２
４の間に設けられて、支持部２４を核燃料棒Ａ側に向け
て付勢するコイルスプリング２８とから構成されてい
る。さらに、上記ガイドロッド２６にはこの移動量（変
位量）を検知するための検知部（図示せず）が連結され
ている。

また、上記回転体１０の第１図中右方向には、基準Ｖブ
ロック３０が設けられており、この基準Ｖブロック３０
の上方には、これにより上記基準プラグ１３と軸線を同
一にして支持された核燃料棒Ａを基準Ｖブロック３０に
押圧固定するための固定Ｖブロック３１が上下方向に移
動自在に設けられている。

なお、上記基準プラグ１３およびローラ２５の材質とし
ては、高硬度でかつ耐摩耗性の優れた超硬合金、工具
鋼、ステンレス焼き入れ鋼等が用いられている。

上記の構成において、回転体１０内に設けられた当接部
２３…のローラ２５…間に核燃料棒Ａが挿入されたとき
に、該核燃料棒Ａの端栓溶接部にこれらローラ２５…が
当接するようになっている。また、基準プラグ１３は、
回転体１０内に配設されたコイルスプリング１７により
上記各当接部２３…のローラ２５…間方向に付勢され、
各ローラ２５…間に位置してその外周面にローラ２５…
が当接する位置と、回転体１０内に上記核燃料棒Ａが挿
入されたときに該核燃料棒Ａにより上記コイルスプリン
グ１７の付勢力に逆らい移動されて上記各ローラ２５…
から離脱する位置との間を移動自在とされている。

次に、上記構成の核燃料棒端栓溶接部の検査装置を用い
て、端栓溶接部の検査を行う方法を説明する。

まず、回転体１０内に設けられた基準プラグ１３をコイ
ルスプリング１７の付勢力により大径部２０の内側に突
出させて当接部２３…のローラ２５…の間に挿入すると
共に、ローラ２５…をコイルスプリング２８…の付勢力
により基準プラグ１３の外周面に当接して、ガイドロッ
ド２６に連結された検知部（図示せず）のキャリブレー
ションを行う。

次に、検査する核燃料棒Ａを基準Ｖブロック３０に載置
することにより、核燃料棒Ａの軸線と基準プラグ１３の
軸線を一致させた後、核燃料棒Ａを第１図中左方に移動
させて、ローラ２５…間に位置していた基準プラグ１３
をコイルスプリング１７の付勢力に逆らって回転体１０
内に押し込むと共に、核燃料棒Ａの先端部すなわち端栓
溶接部をローラ２５…間に位置させ、固定Ｖブロック３
１により核燃料棒Ａを基準Ｖブロック３０に押圧固定す
る。この時、当接部２３…のローラ２５…がコイルスプ
リング２８…の付勢力により核燃料棒Ａの端栓溶接部に
当接する。

このようにして、核燃料棒Ａを回転体１０内のローラ２
５…間に挿入する場合には、予めローラ２５…間に基準
プラグ１３が位置しているので、この基準プラグ１３が
案内部材として機能し、核燃料棒Ａの挿入を容易に行な
うことができる。

その後、回転体１０を軸線回りに９０゜回転させる。す
ると、回転体１０の回転に伴って当接部２３が核燃料棒
Ａの軸線回りに回転し、これによりローラ２５…が核燃
料棒Ａの端栓溶接部上を周方向に転動する。この時、ロ
ーラ２５…は端栓溶接部の若干の凹凸により核燃料棒Ａ
の軸線と直交する方向に移動せしめられ、この移動量
（変位量）が支持部２４、ガイドロッド２６を介して検
知部に伝達される。そして、この検知部に伝達された変
位量により核燃料棒Ａの端栓溶接部の盛り上がり量およ
び端栓が被覆管に曲がって挿入されていないかどうかの
検査（エンベロープ検査）を定量的に行う。なお、この
ように回転体１０を回転させる際においては、基準プラ
グ１３と核燃料棒Ａはコイルスプリング１７の付勢力に
より当接しているので、基準プラグ１３が回転体１０の
回転に伴って回転することがなく、さらにコイルスプリ
ング１７が回転体１０の回転に伴ってねじれることがな
く、この際、核燃料棒Ａおよび装置側の各部材を損傷さ
せることがない。

しかして、上記核燃料棒端栓溶接部の検査装置によれ
ば、回転自在に設けられた回転体１０の大径部２０に核
燃料棒Ａの軸線と直交する方向に移動自在に設けられた
当接部２３のローラ２５を、回転体１０を回転させるこ
とにより、核燃料棒Ａの端栓溶接部に転動摺接させ、こ
の時に生じる当接部２３の核燃料棒Ａの軸線と直交する
方向への移動量（変位量）により、端栓溶接部の検査を
自動的に行うようにしたので、従来のリングゲージを用
いた手作業による検査に比べ、格段に正確に行うことが
できると共に、作業者の検査ミス等を生じることもな
く、さらには端栓溶接部の検査を定量的に行うこともで
き、これにより端栓溶接部の盛り上がり量や端栓の被覆
管に対する曲がり量のバラツキ等を知ることもでき、加
えて、被覆管と端栓との同軸度の検査に適用することも
できる。

また、上記の検査装置においては、核燃料棒Ａの検査に
先立って基準プラグ１３に当接部２３…のローラ２５…
を当接させることができるので、装置のキャリブレーシ
ョンを行ない得て測定精度の向上を図ることができる。

なお、上記実施例では回転体１０の大径部２０に当接部
２３を周方向に等間隔で離間して４個設けたが、この発
明では少なくとも３個以上設ければよく、４個に限定さ
れるものではない。

「発明の効果」 以上説明したように、この発明の核燃料棒端栓溶接部の
検査装置によれば、軸回りに回転自在の回転体に核燃料
棒の軸線と直交する方向に移動自在に設けられた当接部
を、回転体を回転させることにより、核燃料棒の端栓溶
接部に摺接させ、この時に生じる当接部の核燃料棒の軸
線と直交する方向への移動量（変位量）により、端栓溶
接部の検査を自動的に行うようにしたので、従来のリン
グゲージを用いた手作業による検査に比べ、格段に正確
に行うことができる共に、作業者の検査ミス等を生じる
こともなく、さらには端栓溶接部の検査を定量的に行う
こともでき、これにより端栓溶接部の盛り上がりや量や
端栓の被覆管に対する曲がり量のバラツキ等を知ること
もでき、加えて、被覆管と端栓との同軸度の検査にも適
用することができる。

また、本発明による検査装置は、当接部に対して当接・
離脱自在な基準プラグを備えており、基準プラグの当接
部を当接させるこができるので、核燃料棒の検査に先立
って装置のキャリブレーションを行なうことができ、測
定精度の向上を図ることができる。また、基準プラグを
設けたことにり核燃料棒を回転体に設けられた当接部間
に挿入するときに該基準プラグが案内部材として機能
し、核燃料棒の挿入を容易に行なうことができる。また
さらに、基準プラグは回転体に対して軸線方向に移動自
在かつ該軸線を中心に相対的回転自在であるから、核燃
料棒の検査時に回転体が回転しても該核燃料棒および装
置側の損傷を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの発明の核燃料棒端栓溶接部の
検査装置の一実施例を示すものであり、第１図は装置の
概略構成断面図、第２図は第１図おけるII−II線視図、
第３図は核燃料棒の断面図である。 １０……回転体、１３……基準プラグ、１７……コイル
スプリング（付勢部材）、２３……当接部、Ａ……核燃
料棒。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軸回りに回転自在に設けられた略円筒状を
   なす回転体と、この回転体の内部に同回転体と軸線を同
   一にして配設され、該回転体に対して該軸線を中心とし
   て相対的回転自在かつ該軸線方向に移動自在に設けられ
   た円柱状をなす基準プラグと、上記回転体のその周方向
   に等間隔で離間した少なくとも３箇所に上記回転体の軸
   線と直交する方向に移動自在に支持され、上記回転体内
   に上記基準プラグと軸線を同一にして保持された核燃料
   棒が挿入されたときに該核燃料棒の端栓溶接部に当接す
   る当接部とを具備してなり、上記基準プラグは、上記回
   転体内に配置された付勢部材により上記各当接部間方向
   に付勢され、上記各当接部間に位置してその外周面に同
   当接部が当接する位置と、上記回転体内に上記核燃料棒
   が挿入されたときに該核燃料棒により上記付勢部材の付
   勢力に逆らい、移動されて上記各当接部から離脱する位
   置との間を移動自在とされていることを特徴とする核燃
   料棒端栓溶接部の検査装置。