JPH0660733A - リッツ線およびその製造方法 - Google Patents

リッツ線およびその製造方法

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JPH0660733A
JPH0660733A JP21296392A JP21296392A JPH0660733A JP H0660733 A JPH0660733 A JP H0660733A JP 21296392 A JP21296392 A JP 21296392A JP 21296392 A JP21296392 A JP 21296392A JP H0660733 A JPH0660733 A JP H0660733A
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wire
twisted
litz wire
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strands
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JP21296392A
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Inventor
Hiroyuki Nagasaki
博行 長崎
Yasutsugu Miyamura
康嗣 宮村
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Riken Electric Wire Co Ltd
Original Assignee
Riken Electric Wire Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 6本の素線束を集合撚りする。リッツ線の断
面形状において、各素線束からなるセグメントが中心か
ら放射状にかつ均等に6分割されたものとする。セグメ
ント間の中心部に空洞部を生じさせない。リッツ線の外
周の断面形状の真円度も高める。これにより、特性に優
れたリッツ線とする。 【構成】 6本の素線束7の表面部に熱硬化性ポリウレ
タン・エラストマー材料からなる液体塗料22を塗布し、
浸透させる。つぎに、各素線束7を断面円形から中心角
60°の扇形状に成形する。同時に、加熱により液体塗料
22を固化させる。つぎに、素線束7を撚り合わせ、撚り
合わした素線束7にテフロン糸8を横巻きする。できた
リッツ線6においては、各素線束7が密に組み合わさ
り、全体として断面円形をなしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波電流の伝播に用
いる多くの線を撚り合わせたリッツ線およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】トランスを用いる電子機器は、トランス
の小型化、ひいては機器全体の小型化のために、トラン
スの変換効率の高い高周波化が進められている。しか
し、高周波電流は、表皮効果から、単線では、低周波に
比べ、同じ太さの線材に流れる電流量が低下する。この
ような表皮効果を減らすために、個々に絶縁された多く
の細い線を撚り合わせたリッツ線を用いて、線材の表面
積を大きくし、高周波抵抗を小さくすることが広く行わ
れている。このようなリッツ線は、主に、高周波用の電
子機器に用いられるスイッチングトランス、ディスプレ
ー用の偏向ヨーク、電磁調理器用コイルなどの機器に利
用されている。
【0003】これらに用いられるリッツ線は、例えば、
径が0.03〜0.3mm の汎用2種仕上がりのポリウレタン銅
線を3〜数1000本撚り合わせている。そして、ロープ状
のまま使用することもあるが、ばらけ防止のために、テ
トロン糸や絹糸などを横巻きにしたり、あるいは、ポリ
アミドに代表される熱可塑性樹脂塗料を予め線材に塗布
しておき、撚り時に熱で融着させたりもしている。ま
た、撚り数が数10本以上の場合には、複合撚り、すなわ
ち、撚り工程を2回以上に分割し、複数本の素線を予め
撚り合わせ、または編み、さらに、この素線束を複数本
撚ることが広く行われている。
【0004】本来、リッツ線は、表皮効果のもとで、電
流の流れを効率よく通すために、次のような条件を満た
していることが望ましい。第1に、各々の線が、最終撚
り姿の中で、均等に電流の流れにくい中心部と電流の流
れやすい外周部とを交播するように、撚り上げることが
必要である。第2に、最終撚り姿の断面形状も、真円で
あることが望ましい。第3に、最終撚り姿の断面におい
て、各素線束毎に分割されたセグメントの面積も均等で
ある必要がある。これらの条件を実現するためには、撚
り線全体を構成する全素線を1回で集合撚りとする方法
が理想となる。しかし、数100 本から数1000本の多数本
を同一条件で繰り出し、同時に撚り合わせることは、装
置が膨大なものとなることもあり、実現性に乏しい。
【0005】そこで、実際には、図5から図9に示すよ
うな、種々の撚り方法が採られている。まず、個々の線
が撚り線全体の内外を交播し、各素線の長さが比較的同
一で、かつ、撚り線全体の断面形状の真円度を量産的に
確保できる撚り構造としては、図5に示すような3本の
断面円形の素線束1の集合撚り、あるいは、図6に示す
ような7本の断面円形の素線束1の同心撚りが、撚り形
状の安定性もあり、多用されている。これに対して、図
7や図8に示すような他の撚り数、撚り方法では、撚り
線の断面形状の真円度が崩れやすく、占積率も低下す
る。なお、図5から図9において、(a)は撚回したば
かりの状態、(b)はシース巻き加工などにより撚り線
を締めた状態を示している。ところで、撚り合わせる素
線束1が3本の場合は、前述のような集合撚りが可能
で、断面形状の真円度は得られやすいが、撚り数が多い
場合には、特公平2-58726 号公報に記載されているよう
に、全撚り数を3のn乗として、n回だけ撚りを重ねる
必要があり、作業性が劣る。また、撚り合わせる素線束
1が7本の場合は、同心撚りになり、1本の素線束1が
撚り中心となって他の素線束1とは交播しないため、高
周波伝播性は低下する。
【0006】したがって、図9に示すように、7本の素
線束1の同心撚りの中心となる1本を導電線材の代わり
に他の絶縁素材、例えば合成樹脂糸の束2で代用するこ
とが、高周波伝播性上有効であり、特公平4-25644 号公
報にも記載されているように、広く利用されている。し
かし、この場合、中心に配した糸の束2の太さ分だけリ
ッツ線の断面積が増し、このリッツ線を用いるトランス
などの機器の大きさが大きくなってしまう。また、撚り
数も6本と限定され、撚り構成に自由度が少ない。その
他に、各素線束1は撚られただけとなり、各素線束1か
らなる個々のセグメントの形状が変形しやすい欠点もあ
る。この欠点を解消して、個々のセグメントの形状を安
定させるために、各素線束1にテフロン糸などを横巻き
してシース加工を施すことも行われている。しかし、横
巻きの加工性は低く、コストもかさむ。例えば、巻きの
回転数が 4000rpmで、ピッチが 0.5mmの場合、横巻きス
ピードは2m/分、また、ピッチを3mmとしても、12m/分
と遅い。しかも、これを各素線束1毎に行うとなると、
全素線束1の横巻き加工時間(m/分)=素線束数×横巻
きスピード(m/分)となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
のリッツ線において、3本の素線束の集合撚りを基本と
するものは、撚り数を多くしようとすると、撚りの作業
性が悪くなり、また、7本の素線束を同心撚りしたもの
は、高周波伝播性に劣る問題があった。さらに、これら
の欠点を改良するために、7本の素線束の同心撚りの中
心となる1本を導電線材の代わりに例えば合成樹脂糸の
束で置き換えたものは、導電に関与しない糸の束により
リッツ線の断面積が増し、このリッツ線を用いる機器の
大型化をきたす問題があり、また、撚り数も6本と限定
され、撚り構成に自由度が少なく、さらに、各素線束1
からなる個々のセグメントの形状が変形しやすい問題が
ある。これに対して、各素線束にテフロン糸などを横巻
きすることも行われているが、この横巻きには時間がか
かり、生産性が低下する問題がある。
【0008】本発明は、このような問題点を解決しよう
とするもので、撚り線の中央に他の絶縁素材を撚り込む
ことなく、任意の撚り数を有することができ、形状や特
性の信頼性、安定性に優れたリッツ線を安価に提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成しようとするもので、請求項1の発明は、撚り線また
は編み線からなる複数本の素線束を撚り合わせるととも
にこの撚り合わされた素線束の外周にシース加工を施し
てなるリッツ線において、前記各素線束の断面形状が円
を均等に分割する互いに合同なほぼ扇形状に形成されて
いるとともに、前記各素線束が密に組み合わされて全体
として断面円形に形成されており、前記各素線束の表面
部にそれぞれ合成樹脂の浸透固化層を形成したものであ
る。
【0010】また、請求項2の発明は、撚り線または編
み線からなる複数本の素線束を撚り合わせるリッツ線の
製造方法において、各素線束の表面部に液状の合成樹脂
をそれぞれ浸透させるとともに、各素線束を所定の断面
形状にそれぞれ成形した後、前記浸透させた合成樹脂を
固化させ、ついで、前記複数本の素線束を撚り合わせる
ように構成したものである。
【0011】
【作用】請求項1の発明のリッツ線は、複数本の素線束
が撚り合わされて、全体として断面円形をなしている
が、各素線束の断面形状は、リッツ線全体の断面形状の
円を中心から放射状に均等分割するほぼ扇形状になって
おり、中心部に他の絶縁素材が撚り込んではおらず、素
線束が全体の断面を密に埋めている。これにより、高い
高周波伝播特性が確保されているとともに、全体の断面
積は極力小さくなっている。しかも、各素線束の表面部
に合成樹脂の浸透固化層がそれぞれあって、各素線束の
扇形状の断面形状が確実に保持されるとともに、撚り合
わされた素線束の外周にシース加工が施してあることと
あいまって、各素線束内および素線束相互のばらけも防
止される。
【0012】請求項2の発明のリッツ線の製造方法で
は、撚り合わせる複数本の素線束の表面部に液状の合成
樹脂をそれぞれ浸透させるとともに、各素線束を所定の
断面形状、例えば、前述のようなほぼ扇形状の断面形状
にそれぞれ成形する。つぎに、前記浸透させた合成樹脂
を固化させて、各素線束の断面形状を固定するととも
に、例えば各素線束が密に組み合わされて全体として断
面円形をなすように、複数本の素線束を撚り合わせる。
前述のような各素線束に対する合成樹脂によるシース処
理は、迅速に行え、生産性は高い。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例について、図1から
図4を参照しながら説明する。製造されるリッツ線6
は、撚り線からなる6本の素線束7を集合撚りし、この
撚り合わされた素線束7群(撚り線)の外周にシース材
としてのテトロン糸8を横巻きしてなるものである。図
4(d)に示すように、各素線束7の断面形状は、互い
に合同な扇形状になっており、その中心角はいずれも60
°である。そして、リッツ線6は、各素線束7が密に組
み合わされて全体として断面円形をなしているものであ
る。さらに、各素線束7の表面部には、それぞれ熱硬化
性ポリウレタンの浸透固化層9がそれぞれある。
【0014】前記リッツ線6の製造装置は、図1に示す
ように、素線束供給部11と塗布部12と成形・硬化部13と
集合・撚回部14とシース巻き加工部15と巻取部16とがこ
の記載順に直列に並んでいる。前記素線束供給部11は、
6つの回転自在の繰り出しボビン21を有しており、これ
ら繰出しボビン21にそれぞれ1本の前記素線束7が巻回
してある。前記塗布部12は、図2にも示すように、熱硬
化性ポリウレタン・エラストマー材料である主剤と硬化
剤とを混合した液体塗料22を入れた塗布ボックス23を有
している。この塗布ボックス23には、前後両面部に開口
部24,25が相対向させて形成されており、これら開口部
24,25を覆って、適当な弾性を有するゴム製のシール板
26,27が液密に固定されている。これらシール板26,27
には、それぞれ通孔28および開口部29が形成されてい
る。後側のシール板26の丸い通孔28は、素線束7よりも
若干径が小さくなっており、1本の素線束7が液密に通
るものである。前側のシール板27の開口部29には、塗布
ダイス31が液密にかつ前記通孔28と同軸的に固定されて
いる。この塗布ダイス31は、内部を1本の素線束7が同
軸的に通るものであり、前側先端部の絞り通孔32の径
は、素線束7の径よりも若干大きくなっている。そし
て、前記通孔28および塗布ダイス31は6組あり、これら
6組は、ある1つの円柱面における等間隔で並んだ6本
の母線にそれぞれ沿って位置している。なお、素線束供
給部11の各繰り出しボビン21からの素線束7は、例えば
プーリー33を介するなどして直線的に塗布部12に導入さ
れるようになっている。前記成形・硬化部13は、図3に
示すように、前記塗布部12の6つの塗布ダイス31とそれ
ぞれ同軸的に位置する6つの直線状の貫通孔36を成形ダ
イス37に有している。これら貫通孔36は、後側の入口部
36a は断面円形状になっており、前側の出口部37b は断
面扇形状になっている。なお、入口部36a は、素線束7
よりも径が若干大きくなっており、出口部36b は、密状
態の素線束7と断面積がほぼ等しくなっている。また、
各出口部37b の扇形状は、中心角が60°で、径も等し
く、互いに合同である。しかも、それらの頂点は、6つ
の貫通孔36全体の中心軸へ向いている。さらに、出口部
37b 側において成形ダイス37には、バンドヒーター38が
設けられている。
【0015】前記集合・撚回部14は、前記成形・硬化部
13から出た6本の素線束7を求心的にまとめるととも
に、矢印Aで示す方向へ回転して、撚り合わせるもので
ある。なお、集合・撚回部14の中心軸すなわち回転軸
は、成形・硬化部13の6つの貫通孔36全体の中心軸と一
致している。また、前記シース巻き加工部15は、シース
用回転円盤41を有している。このシース用回転円盤41
は、集合・撚回部14と同一の回転軸を中心として、矢印
Bで示す方向すなわち集合・撚回部14とは逆方向へ独立
に回転するものであるが、中心部には貫通孔42が形成さ
れている。そして、シース用回転円盤41の背面には、一
対の繰り出しボビン43がシース用回転円盤41の中心を挟
む対称位置に回転自在に設けてある。これら繰り出しボ
ビン43は、それぞれ1本のテトロン糸8を巻いてあり、
これらテトロン糸8を前記貫通孔42へ向けて繰り出すも
のである。さらに、前記巻取部16は、フレーム44に巻取
ボビン45が回転自在に支持されている。フレーム44は、
前記集合・撚回部14と同一の回転軸を中心として同期回
転するものである。また、フレーム44の回転軸と矢印C
で示す方向へ回転する巻取ボビン45の回転軸とは直交し
ている。
【0016】つぎに、この装置を用いたリッツ線6の製
造方法について説明する。回転する巻取ボビン45から付
与される張力により、素線束供給部11の6つの各繰り出
しボビン21からそれぞれ断面が丸い素線束7が連続的に
一定の速さで繰り出される。これら素線束7は、それぞ
れ塗布部12内に導かれ、塗布ダイス31から矢印Dで示す
方向へ引き抜かれる。その間に、各素線束7には、液体
塗料22が表面に薄く付着し、ある程度の深さの層まで浸
透する。ついで、液体塗料22が塗布された各素線束7
は、成形・硬化部13の各貫通孔36内に入る。素線束7
は、貫通孔36の入口部36a に入った時点では、図4
(a)に示すように、断面が円形状のままであるが、貫
通孔36の断面形状が円形状から扇形状に次第に変化して
いることにより、貫通孔36を通るうちに断面形状が変化
し、貫通孔36の出口部36b から出る時点では、図4
(b)に示すように、断面形状が扇形状になっている。
これとともに、成形・硬化部13の出口部36b 側におい
て、バンドヒーター38の加熱により素線束7は、 150〜
180℃程度に加熱される。その焼付けにより、素線束7
の表面部に付着、浸透した液体塗料22が1秒以内で固化
する。こうして、各素線束7の表面部には、熱硬化性ポ
リウレタンの浸透固化層9ができる。この浸透固化層9
は、厚さ 0.2〜0.5mm の薄膜状である。なお、熱硬化性
ポリウレタンは、セミキュアにおいて固化して素線束7
の形状を形成し、後キュアの体積収縮により素線束7内
の結束力を生じる。
【0017】ついで、成形・硬化部13を出た各素線束7
は、集合・撚回部14により求心的に集合されるととも
に、各素線束7の頂綾を撚り合わせの中心軸として、撚
回される。こうして、6本の各素線束7は、図4(c)
に示すように、その断面形状の頂点を一致させて密に組
み合わされ、全体として断面円形となる。その後、シー
ス巻き機構部15において素線束7群(撚り線)の外周に
テトロン線8が横巻きされる。すなわち、シース用回転
円盤41の回転に伴い、このシース用回転円盤41にある一
対の繰り出しボビン43からテトロン糸8が繰り出され、
素線束7群の周囲に細かいピッチで巻回される。さら
に、こうしてできたリッツ線6は、巻取ボビン45に撚回
されながら巻き取られる。そして、所定長のリッツ線6
が巻取ボビン45に巻き取られたら、このリッツ線6が巻
き付いた巻取ボビン31を装置から取り出す。以上の工程
は、1つの製造装置において、連続的に行われる。
【0018】前記実施例の構成によれば、特に、各素線
束7を断面扇形状に成形するとともに、各素線束7の表
面部に熱硬化性ポリウレタンの浸透固化層9をつくった
上で、6本の各素線束7を撚回することにより、これら
6本の素線束7の集合撚りを実現できる。そして、図4
(d)に示すように、リッツ線6は、軸方向の任意の位
置において、外形の断面形状が真円に近いものとなる。
これとともに、断面形状において、各素線束7からなる
セグメントは、個々に素線束7群の中心から放射状にか
つ均等に6分割されて、形状も断面積も均等なものとな
り、かつ、セグメント間の中心部に空洞部のないものと
なる。また、このような形状の安定性は、シース巻き加
工に加えて、個々の素線束7の表面部に熱硬化性ポリウ
レタンの浸透固化層9が形成されていることにより、曲
げなどに十分に抗することができ、製造後も保たれる。
すなわち、まず熱硬化性ポリウレタンの浸透固化層9に
より、各素線束7の断面扇形状が固定されて確実に保持
され、各素線束7内で素線がばらけることはない。ま
た、シース巻き加工により、素線束7相互のばらけも防
止される。さらに、リッツ線6の断面の全域に素線が密
に行きわたり、高占積率化を達成できる。こうして、安
定した高周波の伝播特性を有する、信頼性の高いリッツ
線6を提供できる。また、撚り線の中央に他の絶縁素材
を撚り込んでおらず、前述のように占積率が高いことに
より、リッツ線6の断面積を小さくでき、ひいては、こ
のリッツ線6を用いる機器を小形化できる。また、前記
実施例の方法は、製造能率が高く、安価にできる利点も
ある。特に、各素線束7を同時にかつ速やかに個別シー
ス処理できる。すなわち、前記実施例のようなシース塗
装では、50〜100m/分のスピードで加工できる。これに
対して、従来のような各素線束7毎のテフロン糸などの
横巻きでは、先に説明したように、スピードは2〜12m/
分である。また、熱硬化性ポリウレタン・エラストマー
からなる液体塗料22を用いているので、この塗料22の粘
度の調整幅が広く、浸透度、硬化物の硬度を自由に選定
できる。さらに、熱硬化性ポリウレタンの浸透固化層9
は、半田付け時の熱で溶融するので、別個の剥離工程な
しに、リッツ線6を半田付けできる。
【0019】なお、本発明は、前記実施例に限定される
ものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、
製造装置の構成は、前記実施例のものに限らない。ま
た、前記実施例では、6本の素線束7を撚回している
が、任意の本数の素線束を集合撚りできる。なお、撚り
合わせる素線束がn本ならば、成形後の素線束の断面扇
形状の中心角は360/n°となる。さらに、前記実施例で
は、素線束7を撚り線としているが、素線束は、その断
面形状が自由に変形しやすいものであればよく、例えば
多数の線材があじろ編みされた編み線などでもよい。
【0020】さらに、前記実施例では、各素線束7の表
面部に形成する合成樹脂の浸透固化層9を熱硬化性ポリ
ウレタンからなるものとしたが、熱可塑性樹脂、例えば
熱可塑性ポリウレタンを用いて、通常の押し出し成形に
よる電線被覆と同様にして、各素線束の表面部に合成樹
脂の浸透固化層9を形成することもできる。ただし、熱
可塑性ポリウレタンの場合、十分な強度、保形性を得る
には、浸透固化層9を0.5mm以上とかなり厚くする必要
がある。また、押し出し成形の加工スピードは、30〜50
m/分と、前記実施例のシース塗装の場合よりも若干落ち
る。しかし、押し出し成形によれば、シース塗装の場合
よりも、より安価にできる。なお、熱可塑性ポリウレタ
ンの場合も、特別な剥離工程なしに、半田付けが可能で
ある。
【0021】また、リッツ線の最外層に施すシース加工
も、テトロン糸などの不撚糸の横巻きに限るものではな
く、熱可塑性樹脂による押し出し成形、あるいは、前記
実施例のような液状エラストマーの塗装によるシース加
工も可能である。
【0022】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、撚り合わされ
た各素線束の断面形状が円を均等に分割する互いに合同
なほぼ扇形状に形成されているとともに、前記各素線束
が密に組み合わされて全体として断面円形に形成されて
おり、前記各素線束の表面部にそれぞれ合成樹脂の浸透
固化層が形成してあるので、撚り合わされた素線束の外
周にシース加工を施してあることとあいまって、リッツ
線の形状、構造を信頼性の高いものとできるとともに、
その形状、構造を確実に保持でき、安定した高周波の伝
播特性を有する、信頼性の高いリッツ線を提供できる。
さらに、リッツ線の断面積を小さくでき、ひいては、こ
のリッツ線を用いる機器を小形化できる。
【0023】また、請求項2の発明によれば、撚り線ま
たは編み線からなる複数本の素線束の表面部に液状の合
成樹脂をそれぞれ浸透させるとともに、各素線束を所定
の断面形状にそれぞれ成形した後、前記浸透させた合成
樹脂を固化させ、ついで、前記複数本の素線束を撚り合
わせるので、請求項1の発明のリッツ線を能率よく、安
価に提供でき、しかも、任意の本数の素線束を集合撚り
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、リッツ線の製
造装置全体の概略説明斜視図である。
【図2】同上塗布部の概略説明断面図である。
【図3】同上成形・硬化部の概略説明斜視図である。
【図4】同上各工程における撚り線部分の断面図であ
る。
【図5】従来のリッツ線の第1例を示す断面図である。
【図6】従来のリッツ線の第2例を示す断面図である。
【図7】従来のリッツ線の第3例を示す断面図である。
【図8】従来のリッツ線の第4例を示す断面図である。
【図9】従来のリッツ線の第5例を示す断面図である。
【符号の説明】
6 リッツ線 7 素線束 9 浸透固化層 22 液体塗料(液状の合成樹脂)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撚り線または編み線からなる複数本の素
    線束を撚り合わせるとともにこの撚り合わされた素線束
    の外周にシース加工を施してなるリッツ線において、前
    記各素線束の断面形状が円を均等に分割する互いに合同
    なほぼ扇形状に形成されているとともに、前記各素線束
    が密に組み合わされて全体として断面円形に形成されて
    おり、前記各素線束の表面部にそれぞれ合成樹脂の浸透
    固化層を形成したことを特徴とするリッツ線。
  2. 【請求項2】 撚り線または編み線からなる複数本の素
    線束を撚り合わせるリッツ線の製造方法において、各素
    線束の表面部に液状の合成樹脂をそれぞれ浸透させると
    ともに、各素線束を所定の断面形状にそれぞれ成形した
    後、前記浸透させた合成樹脂を固化させ、ついで、前記
    複数本の素線束を撚り合わせるように構成したことを特
    徴とするリッツ線の製造方法。
JP21296392A 1992-08-10 1992-08-10 リッツ線およびその製造方法 Pending JPH0660733A (ja)

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JP21296392A JPH0660733A (ja) 1992-08-10 1992-08-10 リッツ線およびその製造方法

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