JPH0659242B2 - スキー靴 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、シェルと、該シェルに接合されたスリーブ
とを有し、シェルとスリーブは踵領域でバネ部材を介し
て互いに連結され、且つバネ部材に連接する引っ張り部
材がシェルに摺動自在に取付けられており、引っ張り部
材は縦方向に相互に移動する少なくとも二つの部分から
成っており、且つ引っ張り部材の部分は少なくとも移動
状態では解錠自在に互いに施錠可能であり、引っ張り部
材の第一部分はシェルに、又引っ張り部材の第二部分は
スリーブに摺動自在に取付けられた形式のスキー靴に関
する。

スキー靴シェルに対するスリーブの動きを制動するため
一連の種々の装置が公知である。特にＤＥ−ＯＳ１９６
４４０２号から、二つの部分が互いに入れ子式に案内さ
れ、スリーブと連結された双方のうちの一方の部品が他
の部品内に摩擦接触式に貫入されている形式のスリーブ
とシェルとの間の装置が公知である。このような構成で
は摩擦力を調整することによって、動きの様々な制動が
達成される。公知の装置の大部分は正確には制動ではな
くむしろ揺動経路をバネで制限するものである。このよ
うに例えばドイツ実用新案Ｇ85149654号から、スリーブ
がシェルに対して揺動する際、バネが多かれ少なかれ引
っ張られる形式のねじバネを貫通する引っ張り部材を備
えた装置が公知である。冒頭に述べた種類の構成は公知
の市販されているスキー靴と対応するものである。別の
公知の実施態様によれば、シェルとスリーブとの間の所
与の休止装置から発して両方向の動きを制動可能な組合
せ式バネ式制動部材を挿入する構成が公知である。この
ような構成は比較的高価であり、更に構造上寸法が比較
的大きくなる。

この発明は寸法が小さく、摩耗が少なく、特に軸受箇所
の応力が小さく、しかも大きなバネ力を受容することが
でき、且つ同時に簡単な手段でバネ力によって軸が前傾
位置から歩行もしくは直立位置へと自由に変位可能であ
る冒頭に述べた種類の装置を製造することを目的として
いる。この発明の基づくスキー靴は同時に、軸の前傾運
動のバネ制動によってこのような装置を備えていない通
常のスキー靴よりも大幅に重く、且つ大型にならずに製
造する必要がある。この目的を達成するため、冒頭に述
べた種類の装置を備えたこの発明に基づくスキー靴にお
いては基本的に、引っ張り部材の第二部分とスリーブと
の間に配設されたバネは第二部分を外部から包囲し、且
つ、第二部分の軸方向に移動し、そのつどの移動位置に
固定可能なバネ・ワッシャと、ピボット・ピンを設けた
円板との間に位置しており、この場合、ピボット・ピン
を設けた円板は第二部分の外側で該第二部分の軸方向に
バネの作用に抗して移動するように案内されている構成
にされている。バネ・ワッシャがピボット・ピンを有し
ていることによって、一方ではバネ力の安定した支持
が、他方では引っ張り部材のバネに囲まれた部分のスリ
ーブとのヒンジ連結が達成される。このような補足的な
ピボット機構によって、スリーブ及びシェルが強く変形
し、且つ特に前傾位置での大きな変位角でもスリーブの
連結部を過度に摩耗させずに受容することができる。従
ってバネ力は多くはプラスチックから成る軸受ブロック
部に直接にではなく、引っ張り部材の外側に案内された
軸受板内に誘導されるので、バネ力が軸受箇所自体もし
くはスリーブの軸受ブロックへと偏心的に導入されるこ
とは回避される。それによって、制動装置の構成部品、
特に引っ張り部材の摩耗及び軸受箇所の摩耗がバネ力が
強い場合でも少なく抑えられる。更に引っ張り部材は複
数の部分に区分されているので、簡単にこれらの部分の
施錠、解錠が行われ、引っ張り部材の構成部品はバネ荷
重にもかかわらず、簡単な解錠によって開放され、かつ
軸はバネ荷重を受けずに歩行位置に変位することができ
る。引っ張り部材の部分を施錠することによって、第一
にバネ力に抗して前傾位置へと変位される動作状態に調
整されるので、ある程度まで前傾制動が達成される。構
成部品の施錠によって、最小限の前傾もしくは最大限の
後反り状態が得られる初動状態に調整され、且つ引っ張
り部材が複数部に区分されていることによって、最大戻
り位置用の適切なストッパ及び構造上簡単な手段による
前傾角度の調整を実現可能である。同時に高度の安定性
が保証され、且つ小さい部品で間に合せることができ
る。

この場合、引っ張り部材のシェルに揺動自在に取付けら
れた部分がスリーブの軸受を貫通する引っ張り部材の第
二部分に貫入された有利な構成になっている。引っ張り
部材の別の部分内に引っ張り部材の一つの部分が貫入さ
れて案内されていることにより、引っ張り部材の個々の
部分が相互に好適に案内され、且つ、バネ力を正確に調
整可能に引っ張り部材の軸方向に作用させることができ
る。

引っ張り部材の個別部分を施錠した際の最大許容戻り位
置もしくは最小前傾位置の正確な制限は、引っ張り部材
のスリーブの軸受を貫通する第二部分が、引っ張り部材
の双方の部分の施錠位置でスリーブの揺動運動を制限す
るためのストッパを備えた構成によって好適に達成され
る。このよな構成によって、引っ張り部材の直接バネと
連動する第二部分がスリーブに保持され、且つとくに簡
単にシェルに揺動自在に接合されている前記第二部分内
に貫入された第一部分を前記第二部分から解錠して歩行
位置へと開放することができる。

更に、引っ張り部材に沿って移動可能な別のバネ・ワッ
シャがピボット・ピンを有する軸受板として構成されて
いることによって、最大前傾もしくは最大戻り位置を正
確に制限し、且つ同一部品をストッパの対抗ストッパと
して引っ張り部材の軸受板を貫通する部分の外側に引き
込むことができる。この場合、有利な構成によって、ピ
ボット・ピンを有する板は、スリーブが戻り位置に最大
に変位したとき戻り位置を引っ張り部材の第二部分の外
側に制限するためのストッパと連動し、且つピボット・
ピンはスリーブに取付けられた、特にスリーブと一体に
形成された軸受ブロックの切り欠き又は開口部内に収納
される。従って戻り位置の制限もしくは最小前傾の調整
によって受容されるバネ力は比較的安定した部品、即ち
ピボット・ピンを備えたバネ・ワッシャの挿入のもとで
受容され、この場合、このようなバネ・ワッシャは適宜
の安定した材料、例えば金属で、小さい寸法で構成する
ことができる。

引っ張り部材の引っ張り方向に互いに引っ張り連結され
た部分のとくに簡単な解錠は、引っ張り部材の互いに解
錠可能に連結された部分の施錠用に、引っ張り部材の部
分の互いに同列の、径方向の孔内に嵌合可能なバネ付ボ
ルトを備えることによって達成可能である。このような
バネ付ボルトはバネ力に抗して対抗する同列の孔又は切
り欠きとの係合から脱した状態にすることができるの
で、引っ張り部材の少なくとも一つの部分は引っ張り部
材の他の部分に対して自由に移動可能である。最小前傾
用の本来の基本調整もしくはバネ力の基本調整は、この
ような開放もしくは解錠によっては決して変化しない。
このようなバネ荷重を受けるボルトのバネ式嵌合によっ
て、自動的に所定の施錠位置でニュートラル状態で部分
相互の引っ張り連結が達成されるので、軸が再び歩行位
置から前傾位置に変位するとき、直接動作状態を調整で
きる。

このような施錠ボルトを確実に軸受し、且つ同時に基本
位置、特に動作中の最小前傾角度もしくは最大戻り位置
の調整を保証するため、好適な構成によって、シェルと
揺動自在に接合された引っ張り部材の部分は、シェルと
揺動自在に接合された部分と嵌脱自在に施錠可能な連結
部材により包囲され、且つ連結部材は引っ張り部材のバ
ネ付勢された部分との縦移動自在に引っ張り連結されて
いる。このような補足部品もしくはこのような連結部材
によって、前傾位置の基本位置を調節するための小型で
安定した装置を取り付けることができ、その際、好適に
連結部材が引っ張り部材のバネ付勢された部分の外側に
ねじ込み可能なローレット付ナットを部分的に包囲した
構成になっている。このようなローレット付ナットは開
放位置では連結部材を貫いてねじ込むことができるの
で、連結部材を引っ張り部材のバネと連動する部分に長
さ変更自在に取りつけることによって、基本位置、ひい
ては前傾を調整するこができる。

つぎにこの発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説
明する。

第１図はシェル２にスリーブ３が枢軸４を中心に揺動自
在に接合されているスキー靴１が示されている。スキー
靴を締めるために締めつけ部材５がスリーブ３に取つけ
てある。スキー靴１には踵部に、シェル２を回動自在な
スリーブ３と連結するため、引っ張り部材６が設けら
れ、この引っ張り部材は後に以下の図面に基づき詳細に
説明するように、枢動７を中心に摺動自在のシェル２に
取付けられた第一部分８と、枢動９を中心に軸もしくは
スリーブ３に揺動自在に取付けられた部分１０と、部分
８を包囲する連結部材１１とから成っている。ローレッ
ト付ナット１３によって吸収硬度を調整可能な図式的に
示したバネ１２が部分１０と連動する。縦方向に互いに
移動自在の部分８と１０を解錠するため、第１図では連
結部材１１に解錠部材１４が示されている。

第２図の引っ張り部材６の拡大図では、第１図の参照番
号がそのまま使用されている。シェル２に取付けられた
引っ張り部材の第一部分８はシェルの下部に枢軸７を中
心に回動自在に取付けられ、連結部材１１により包囲さ
れる。部分８は、枢軸９を中心に回動することができる
スリーブ３の引っ張り部材６の第二部分に入り、この第
二部分は、第二部分の軸線方向に移動させ、各移動位置
に保持することができるローレット付ナット１３によっ
て吸収硬度を調節することができるバネ１２によって包
囲されている。第二部分１０の枢軸９は、バネ１２のバ
ネ・ワッシャとして機能する円板１６によって支持され
たピボット・ピン１５によって構成され、スリーブの軸
受ブロックに枢動自在に位置決めされており、これは詳
細には図示していない。バネ１２の第２のバネ・ワッシ
ャ１７が、この場合には、ローレット付ナット１３によ
って支持される。引っ張り部材６の互いに縦方向に移動
可能な部分８及び１０の施錠状態での最大戻り位置を制
限するため、引っ張り部材は更に円板１６と連動するス
トッパ１８を備えており、これがスリーブ３の戻り運動
を制限する。その際、ストッパ１８と、引っ張り部材の
シェル２と接合された揺動自在の第一部分８との間隔
は、部分１０の外側に設けられたネジ山２０と連動す
る、連結部材１１内に軸受されたローレット付ナット１
９を介して調整可能である。施錠機構は第２図にこれも
図式的に１４で示されている。

引っ張り部材の部分８及び１０の施錠位置でスリーブ３
を外皮２の下部に対する前傾位置へと変位する際、円板
１６の取り外しはピボット・ピン１５を介したストッパ
１８の同伴によって、ひいてはバネ１２の圧縮によって
行われ、それによって前傾運動がバネ式に制動される。
最大戻り位置は前述したように、この位置でストッパ１
８によって制限される。

第３図には引っ張り部材６の互いに縦方向に移動可能な
部分８及び１０が詳細に図示されており、同一部品には
同一の参照番号が付されている。シェル２とヒンジ連結
された第一部分８にはこの場合も参照番号８が付され、
スリーブと連動する部分１０により包囲されている。こ
の場合も前傾の調整用には施錠機構も有する連結部材１
１内にローレット付ナット１９が備えられている。施錠
はバネ２１により付勢された、連結部材１１内の孔２９
内に案内されたボルト２２によって可能になる。第３図
に示された施錠位置では、ボルトのヘッド２３は部分８
の径方向切り欠きもしくは孔２４内に係合し、連結部材
１１を介して互いに移動可能な部分８及び１０の縦方向
の施錠を行う。何故ならば、スリーブと連動する部分１
０はローレット付ナット１９によって連結部材１１に対
して移動不能に保持されるからである。バネ２１の作用
に抗してボルト２２の操作部材２５が案内２６内で運動
すると、ボルトのヘッド２３は部分８内の孔もしくは切
り欠き２４との係合状態から脱するので、此の部分８は
部分１０内で縦方向に移動可能になり、それによって、
軸もしくはスリーブ３は大きな角度範囲でシェルに対し
てほぼ直立した歩行位置へと変位させることができる。
部分８がそれを囲む部分１０から飛び出ることを防止す
るため、部分８は第２図に示すように、拡張されたヘッ
ド部２７を又、部分１０はその内面にストッパ２８を備
えている。互いに縦方向に移動可能な双方の部分８及び
１０を前述の前傾位置で施錠するには、ボルト２２の操
作部材２５を第３図に示した位置の方向に動かすだけで
充分であり、それによって、スリーブ３がシェルに対し
て適宜の前傾位置をとり、ひいてはヘッド２３が同列の
際に部分８が部分１０に対して対応して移動する際、部
分８内の切り欠き２４と部分８内のボルトが係合し、以
て施錠が達成される。

第４図では部分８が引っ張り部材１０の第二部分によっ
て覆われ、この第二部分１０がローレット付ナット１９
によって連結部材１１に対して移動不能に保持された次
の段階を示している。

【図面の簡単な説明】

第１図はシェルと、スリーブとを連結する複数部分から
成る引っ張り部材を有する発明に基づくスキー靴であ
る。 第２図は第１図の発明に基づく引っ張り部材のII−II線
に沿った拡大断面図である。 第３図は第２図の施錠機構のIII−III線に沿った断面図
である。 第４図は第３図のIV−IV線に沿った断面図である。 図中符号 １……スキー靴、２……シェル ３……スリーブ、４……枢軸 ５……締めつけ部材、６……引っ張り部材 ７……枢軸、８……部分 ９……枢軸、１０……部分 １１……連結部材、１２……バネ １３……ローレット付ナット １４……施錠機構、１５……ピボット・ピン １６……円板、１７……バネ・ワッシャ １８……ストッパ １９……ローレット付ナット ２０……ネジ山、２１……バネ ２２……ボルト、２３……ヘッド ２４……孔、２５……操作部材 ２６……案内、２７……ヘッド部 ２８……ストッパ、２９……孔

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シェル２と、該シェルに回動自在にヒンジ
   留めされたスリーブ３とを有し、シェルとスリーブと
   が、踵領域でばね１２によって互いに連結され、ばねに
   係合する引っ張り部材６がシェル２に回動自在に取付け
   られ、前記引っ張り部材６が、互いに長手方向に摺動さ
   せることができる少なくとも２つの部分８、１０と、引
   っ張り部材６の前記部分８、１０を少なくとも１つの摺
   動位置で互いに取り外し自在に係止させる手段とを有
   し、引っ張り部材６の第一部分８がシェルに回動自在に
   取付けられ、引っ張り部材６の第二部分１０がスリーブ
   ３に回動自在に取付けられるスキー靴において、 引っ張り部材６の第二部分１０とスリーブ３との間に配
   置されたばね１２が、外側から第二部分１０を囲み、且
   つ、第二部分の軸線方向に移動させ、各移動位置に保持
   することができるナット１３と、ピボット・ピン１５を
   備える円板１６との間に配置され、第二部分１０の外側
   にピボット・ピン１５を備える円板１６をばね１２の力
   に抗して軸線方向に摺動させることができることを特徴
   とするスキー靴。
2. 【請求項２】シェル２に回動自在に取付けられた引っ張
   り部材６の第一部分８が、これをスリーブ３の軸受を通
   る引っ張り部材６の第二部分１０に貫入することができ
   るように配置されたことを特徴とする請求項１記載のス
   キー靴。
3. 【請求項３】スリーブ３の軸受を通る引っ張り部材６の
   第二部分１０が、引っ張り部材６の両方の部分８、１０
   が係止位置にあるときに、スリーブ３の後方傾斜への揺
   動経路を制限するためのストッパ１８を備えたことを特
   徴とする請求項１又は２記載のスキー靴。
4. 【請求項４】ピボット・ピン１５を備える円板１６が、
   スリーブ３が水平方向に最大限揺動して後方傾斜した状
   態で、後方傾斜を引っ張り部材６の第二部分の外側に制
   限するため、ストッパ１８と連動し、ピボット・ピン１
   ５が、スリーブ３に固定され、特にスリーブ３と一体に
   形成された軸受ブロックの切り欠き又は開口に収納され
   たことを特徴とする請求項１、２又は３記載のスキー
   靴。
5. 【請求項５】互いに取り外し自在に連結された引っ張り
   部材６の２つの部分８、１０を係止するための前記手段
   が、引っ張り部材６の部分８、１０の互いに整合された
   径方向の孔２４、２９に係合させることができるバネ付
   勢式ボルト２２を有することを特徴とする請求項１乃至
   ４の１つの項に記載のスキー靴。
6. 【請求項６】シェル２に回動自在にヒンジ留めされた引
   っ張り部材１０の部分８が、シェル２に回動自在にヒン
   ジ留めされた部分８を取り外し自在に係止させることが
   できる連結部材１１によって包囲され、連結部材１１
   が、引っ張り部材６のバネ付勢された部分１０と非確実
   に連結され、バネ付勢された部分で長手方向に調節され
   ることを特徴とする請求項１乃至５の１つの項に記載の
   スキー靴。
7. 【請求項７】連結部材１１が、引っ張り部材６のバネ付
   勢された部分１０の外側にねじ止めさせることができる
   ローレット付ナット１９を一部包囲することを特徴とす
   る請求項６記載のスキー靴。