JPH0218842B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、スキー靴であつて、足をほぼ取り囲
むアンダーシエルと、くるぶし範囲で該アンダー
シエルと旋回可能に結合されたハイバツクシエル
と、前記アンダーシエルに対する該ハイバツクシ
エルの傾斜角度を調整するための、並びに該ハイ
バツクシエルの前方傾斜とは反対方向に作用する
力を生ぜしめるための装置とを有している形式の
ものに関する。

特許請求の範囲の上位概念に記載された形式の
スキー靴においては、アンダーシエルをスキー靴
長手方向に対して直交してできるだけ正確かつ剛
性に案内することが望まれているが、スキー靴長
手方向では十分なアンダーシエルの可動性が与え
られなければならない。スキーを行なう場合、ハ
イバツクシエルは後方の制限位置で脚部がそれ以
上後方へ運動することを妨げなくてはならない。
これによつて、スキーヤーは運動調整のために必
要な重心点を転位させる場合に、後方で支えられ
る。同様に、前方への運動もハイバツクシエルに
よつて制限されなければならない。それというの
はスキー走行時の大きな慣性力のために、アンダ
ーシエルは過度に前方へ運動し、これが、上距関
節損傷の原因となるからである。ハイバツクシエ
ルの可能な旋回範囲における運動抵抗はこのハイ
バツクシエルが前方へ傾斜するにしたがつて増大
するようになつていると都合が良い。鉛直な軸線
に対するこのハイバツクシエルの旋回範囲の好都
合な位置はスキー技術若しくはスキー走行の形式
に基づく。通常、競技スキー等においては、平均
的なレクリエーシヨンスキーにおけるよりもこの
ハイバツクシエルは大きく前傾させ、また上級ス
キーヤーは例えば初心者よりも大きく前傾させ
る。

このようなハイバツクシエルの好都合な前傾位
置に関連して、スキー靴が、スキーなしで歩行す
る場合、若しくは垂直に立てて使用されなければ
ならない場合に困難が生じる。このような場合、
旋回範囲の後方の制限位置は明らかに鉛直位置の
手前にあるので、ハイバツクシエルの上縁部がふ
くらはぎに押しつけられて、長時間後には非常な
痛みの原因となる。しかも、この作用によつて足
はアンダーシエル内で前方へ移動させられて足の
指がアンダーシエルカツプ内で押しつぶされる。

この欠点を取り除くために、適当な調整装置に
よつてハイバツクシエルの旋回範囲を調整可能に
構成することが繰り返えし提案されている。ドイ
ツ連邦共和国特許出願公開第2057094号明細書に
よれば、アンダーシエルに対するハイバツクシエ
ルの旋回範囲を制限するための、スキー靴に取り
つけ可能な装置が提案されている。この公知の装
置によれば、接続棒が固定台内でアンダーシエル
に旋回可能に支承されていて、この接続棒がハイ
バツクシエルに旋回可能にヒンジ結合されたケー
シング内で軸方向しゆう動可能に構成されてい
る。このケーシング内には２方向に作用する圧縮
ばねが配置されていて、この圧縮ばねに、接続棒
と剛性に結合されたストツパが係合している。ケ
ーシングの端面は、２方向で旋回運動を制限する
ストツパとして構成されている。アンダーシエル
に設けられた固定台は位置調整装置、例えば種種
異なる孔内に係止可能な係止ピン又は調整ねじを
備えている。

しかしながらこの装置は製造費用がかかる一
方、スキー靴への取りつけも面倒である。設けら
れた係止ピンによる調整は、特に手がスキー手袋
によつて保護されている場合は容易ではない。係
止ピンは寸法が小さいために掴むのが困難で、し
かも粉失しやすい。このようなねじ調整において
は、調整ナツトを完全に１回転させるたびにねじ
ピツチの範囲の調整行程しか得られないので、目
に見える調整は比較的長い時間をかけなければ得
られない。これは、例えばリフトで順番持ちする
ことを容易にするために、スキーなしで停止又は
歩行する目的で調整を行なう場合に、特に不利で
ある。

ドイツ連邦共和国特許出願公開第2128769号明
細書によれば、スキー靴のハイバツクシエルのた
めの調整装置が記載されており、この調整装置
は、ハイバツクシエル正面側にヒンジ結合されて
いて、アンダーシエルの足指部分に案内されてい
る。この場合、スキー靴の下部のほぼ足指範囲
に、及びハイバツクシエルの正面側にそれぞれ１
つのねじ山付きスピンドルが回動不能に連接され
ている。この２つのねじ山付きスピンドルは互い
に逆向きのねじ山を有している。このスピンドル
の両自由端部は円筒形のばねケーシングのそれぞ
れ半部の底部にねじ込まれている。このばねケー
シングは異なる直径を有する鉢状の２つの部分よ
り成つている。この２つの部分は底部から外側へ
互いに中へ入り込んでいてこの２つの部分の間で
圧縮コイルばねを保持している。鉢状の小さい方
の部分の縁部を内側へ押し込むことによつて、及
び大きい方の部分の縁部を内側へ引き込むことに
よつて、この２つの部分はばねを圧縮して互いに
内部へ移動させられるが、互いに分離させられる
ことはない。互いに逆向きのねじ山を有する２つ
のスピンドルに対してばねケーシングを回転させ
ることによつて、ハイバツクシエルの、スキー靴
下部部分に対する傾斜角度が変化させられる。ハ
イバツクシエルは、ばねを圧縮してばねケーシン
グの２つの部分を互いの内部へ移動させることに
よつて前方へのみ傾斜させられる。あらかじめ調
整された基本位置からハイバツクシエルを後方へ
傾斜させることは以上のような構造形式では不可
能である。

しかしながら、本発明による装置と同様の作用
形式を有する以上のような調整及び負荷装置は、
後方が解放し前方が閉鎖されたハイバツクシエル
を有するスキー靴にしか取りつけることができな
い。さらにこの場合、この調整及び負荷装置は圧
力によつて負荷されて、これによつて側方へ折れ
曲がりやすいという欠点がある。スピンドルのね
じ山と、２つのケーシングの底部内のねじ山とは
これによつて早期に損耗され、しかも何より２つ
のケーシング部分は互いに斜めに位置して、これ
によつて、前方へ傾斜する際、すなわち互いに内
部へしゆう動する際に締めつけられて、ハイバツ
クシエルの運動は不都合に妨げられる。

本発明の課題は、ハイバツクシエルの旋回範囲
が調整可能であるスキー靴を提供することであつ
て、この場合、調整装置が少なくとも部分的にス
キー靴内に組み込まれていて、簡単かつ安価に製
造可能であり、容易に組み立て可能で、しかも調
整が迅速かつ楽に行なわれるようにすることであ
る。

この課題は、本発明によればアンダーシエル及
びハイバツクシエルのかかと部分に公知の形式で
それぞれ１つの突出部又はこれと類似の取りつけ
部分が設けられており、この２つの突出部の間
に、互いに逆向きに延びるねじ山とこのねじ山の
間に固定された調整車とを備えた調整スピンドル
が配置されており、この調整スピンドルと係合し
かつばね又はこれと類似するものを保持する案内
ピンが長手方向しゆう動可能に、前記ハイバツク
シエルの突出部で保持されていることによつて解
決された。

次に図面に示した実施例について本発明の構成
を具体的に説明する。

アンダーシエル１はヒンジ３によつてハイバツ
クシエル２と結合されている。ハイバツクシエル
２上にはバツクル４が図示されている。アンダー
シエル１はその後側で突出部５を有しており、こ
の突出部５は上方に向かつて開放しかつ円すい形
に拡張された袋孔５Ａを有している。袋孔５Ａ内
ではねじ山付きスリーブ６が支承ピン７で旋回可
能に支承されているが、この支承形式は本発明の
思想を妨げることなしに別の形式で行なうことが
できる。ハイバツクシエル２には突出部８が設け
られていて、この突出部８は貫通孔内で容易にし
ゆう動可能な案内ピン１０を受容する。案内ピン
１０はその両端部でそれぞれストツパつば１１と
１１Ａとを有していて、そのうちの上部のストツ
パつば１１Ａは固定ピン１５によつて固定可能か
つ取りはずし可能なストツパキヤツプとして構成
されている。案内ピン１０はさらにアンダーシエ
ル側の端部でねじ山を備えた袋孔１２を有してい
る。突出部５と８との間には調整車９が配置され
ていて、この調整車９はその２つの端面側でそれ
ぞれ１つの同軸的なねじ山付きピン９Ａ，９Ｂを
有しており、このねじ山付きピン９Ａ，９Ｂはね
じ山付きスリーブ６若しくは袋孔１２のねじ山に
係合する。各ねじ山付きピン９Ａ若しくは９Ｂは
右ねじ若しくは左ねじを備えている。ストツパつ
ば１１Ａとハイバツクシエル２の突出部８との間
には案内ピン１０に対して同心的な、ばね管１４
を備えたコイルばね１３が配置されており、この
コイルばね１３はハイバツクシエル２の旋回運動
のための緩衝部材として作用する。ハイバツクシ
エル２の突出部８内の下部側には案内ピン１０の
ストツパつば１１を受容するための凹部が形成さ
れている。

こうすることによつて、本発明によれば、調整
装置の、力を導入するための主な構成部分はアン
ダーシエル１及びハイバツクシエルに組み込まれ
ている。これは通常の合成樹脂射出成形技術にお
いて、その材料に適した形状、並びに外観の美し
い形状を可能にする。特別な構造部分は必要ない
ので、本発明による解決策によれば特に安価な費
用で製造が可能である。

調整は調整車９を回転させることによつて行な
われる。この場合、調整車の一方側の左ねじと調
整車の他方側の右ねじとが協働することによつて
１回転毎に、２重のねじ山ピツチの調整行程が得
られる。調整車９はさらにその周囲の３方側から
操作可能であるので、手袋をはめたままでも楽に
操作することができる。このような調整形式は、
こうして前記公知の解決策におけるよりも２倍迅
速にかつ楽に行なうことができる。ハイバツクシ
エル２の旋回運動は突出部８を用いて案内ピン１
０のストツパつば１１と１１Ａとによつて制限さ
れている。しかしながら有利には、緩衝部材を介
在させることは必ずしも必要ではない。この緩衝
部材は有利には案内ピン１０と同心的に配置され
たコイルばね１３として構成されているが、その
他の任意の形状であつてもよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明によるスキー靴のかかと部分の部
分的に断面した側面図である。 １……アンダーシエル、２……ハイバツクシエ
ル、３……ヒンジ、４……バツクル、５……突出
部、５Ａ……袋孔、６……ねじ山付きスリーブ、
７……支承ピン、８……突出部、９……調整車、
９Ａ，９Ｂ……ねじ山付きピン、１０……案内ピ
ン、１１，１１Ａ……ストツパつば、１２……袋
孔、１３……コイルばね、１４……ばね管、１５
……固定ピン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ スキー靴であつて、足をほぼ取り囲むアンダ
   ーシエルと、くるぶし範囲で該アンダーシエルと
   旋回可能に結合されたハイバツクシエルと、前記
   アンダーシエルに対する該ハイバツクシエルの傾
   斜角度を調整するための並びに該ハイバツクシエ
   ルの前方傾斜とは反対方向に作用する力を生ぜし
   めるための装置とを有している形式のものにおい
   て、前記アンダーシエル１及びハイバツクシエル
   ２のかかと部分にそれぞれ１つの突出部５，８又
   はこれと類似の取りつけ部分が設けられており、
   該２つの突出部５，８の間に、互いに逆向きに延
   びるねじ山と、この互いに逆向きに延びるねじ山
   の間に固定された調整車９とを備えた調整スピン
   ドルが配置されており、該調整スピンドルと係合
   しかつばね１３又はこれと類似のものを保持する
   案内ピン１０が長手方向しゆう動可能に、前記ハ
   イバツクシエル２の突出部８で保持されているこ
   とを特徴とする、スキー靴。 ２ アンダーシエル１の突出部５内に、調整スピ
   ンドルの一方の端部を受容するねじ山付きスリー
   ブ６のための、上方へ向かつて拡張された袋孔５
   Ａが形成されており、前記ねじ山付きスリーブ６
   がスキー靴長手方向に対して直交する支承ピンに
   よつて、前記袋孔５Ａ内で旋回可能に保持されて
   いる、特許請求の範囲第１項記載のスキー靴。 ３ 案内ピン１０がその一方の端部に、調整スピ
   ンドルの他方の端部を受容するためのねじ山付き
   袋孔と、ハイバツクシエル２に設けられた突出部
   ８の下部側と協働するフランジ１１とを有してお
   り、前記案内ピン１０の他方の端部に、直交ピン
   １５によつて解除可能に保持された、ばね１３又
   はこれと類似するもののためのばね受けとしての
   キヤツプ１１Ａが設けられている、特許請求の範
   囲第１項記載のスキー靴。 ４ ハイバツクシエル２の突出部８の下部側にフ
   ランジ１１のための凹部が設けられている、特許
   請求の範囲第３項記載のスキー靴。