JPH0659217B2 - 固定化酵素の製造方法及びその方法に用いるための装置 - Google Patents

固定化酵素の製造方法及びその方法に用いるための装置

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JPH0659217B2 JP60171786A JP17178685A JPH0659217B2 JP H0659217 B2 JPH0659217 B2 JP H0659217B2 JP 60171786 A JP60171786 A JP 60171786A JP 17178685 A JP17178685 A JP 17178685A JP H0659217 B2 JPH0659217 B2 JP H0659217B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 この発明は、固定化酵素を短時間に多量に製造する技術
である。
産業上の利用分野 この発明は、所謂バイオリアクターの運転に用いられる
固定化酵素の製造に利用される。
従来の技術 バイオリアクターに用いる固定化酵素を得る技術として
は、従来例えば圧縮性ガスで一定圧のもと細いノズルの
先端から酵素含有液を押し出して液滴を作る方法、或い
は千畑らのカラギーナンによる包括固定化方法などが知
られている。
これらの方法ではアルギン酸溶液又はカラギーナン水溶
液と菌体との混合液を、例えば塩化カルシウムなどのゲ
ル硬化剤の水溶液中に滴下させ、包括菌体粒子ゲルを作
るものであるが、粒子ゲルを大量に必要とする場合に於
ては未だ造粒能力が劣る問題点を有している。またノズ
ルの吹出口に液垂れが生じ、時々ノズルの先端を拭かな
ければならないなどの問題点があつた。そしてこれらは
いずれも短時間に大量の処理をするためには適切な方法
とは言えなかつた。
そこで本発明者らは、上記問題点を解決するため鋭意研
究を行なつた結果、本発明を完成するに至つた。
即ち本発明の目的は固定化酵素を短時間に大量に製造す
る方法及びその装置を提供することにある。
発明の構成 本発明の概要は、酵素含有液即ち粗酵素抽出物又は菌体
と、それを担持するための担体液とを混合し、この混合
液を回転する円板上に供給して、円板の円周部より液滴
として放出させ、該液滴を固化液であるゲル化剤の水溶
液と接触させて、固定化酵素を製造する方法およびこの
方法を実施するための装置即ち酵素含有液を調合、貯
液、供給するための容器及びその液を遠心力により円周
部から液滴として放出させるための回転円板及び放出さ
れた液滴をゲル化液と接触させるための容器を備えてい
る装置、及び上記装置に於て回転円板が円周部に鋸歯状
の切り込みを入れた回転円板であることを特徴とする装
置、更にこれらの装置に於て回転円板が複数枚備えられ
ていることを特徴とする装置に関するものである。
次に本発明の方法及び装置を添付図面により説明する。
第１図は本発明の方法及び装置の原理を模式的に表わし
たものである。即ちモーターの回転軸に固定された円板
がゲル化液の入つた十分大きな容器の上に備えられてい
る。ゲル化液の入つた容器は通常は氷で冷却された冷水
槽の中に入れて冷却しておく。一方酵素又は菌体と担体
溶液の混合液である酵素含有液を給液タンク内で攪拌、
準備する。また給液タンク酵素活性の保持のためにジヤ
ケツト方式などにより冷却することが望ましい。酵素含
有液はポンプにより給液管を通つて回転している円板の
上望ましくは中心付近に流下される。回転円板上に流下
した酵素含有液は、遠心力により円周部の方向に流れ、
遂には円周部より飛散してゲル下液中に落下し、ゲル化
反応を起こして粒子状のゲルになる。
次に第２図は本発明の方法及び装置で用いられる特許請
求の範囲第２項で示した円板を表わしたものである。即
ち円周部に鋸歯状の切り込みを入れた回転円板を表わ
す。
第１図、第２図は本発明の方法及び装置の基本的な原理
を表わしたものであるが、第３図は本方法により固定化
粒子を大量に生産する場合の装置の１例を示したもので
あり、特許請求の範囲第４項に示した複数枚の回転円板
を用いる場合の模式図である。即ちモーターの回転軸に
複数枚の回転円板を取り付け、各円板には酵素含有液を
供給する為の給液装置を備えている。
ゲル化液は第１図に示した如く円板の下方に容器を設置
しても良いが、第３図に示した如く、特許請求の範囲第
５項に記載した回転円板の周辺にゲル化液を濡壁塔式に
流下させても良い。
第３図では塔の下部に流下したゲル下液は生成した粒子
から分離され、濡壁塔の上部に循環されて再びゲル下液
として使用されている。また一部に新しい溶液を加える
こともできる。この方式は固定化菌体ゲルを大量に生産
する場合に特に有効である。
菌体としては、キヤンデイダ、サツカロミセスなどの酵
母一般、シユードモナス、エツシエリツヒアコリ、ノル
カデイア、グルコノバクター、ザイモモナスなどの一般
のバクテリアが使用でき、特に種類は問わない。また酵
素についても特に種類は問わない。
酵素又は菌体を固定化するための担体としては、アルギ
ン酸塩溶液、カラギーナンなどが公知であり多用され
る。勿論本発明においてその種類は問わない。
本発明によれば、固定化菌体は平均粒径として0.5〜６m
m程度のものを作ることができるが、回転円板の直径、
回転数などを適当に選ぶことにより所望のサイズの粒子
を作ることが出来る。一般には直径２〜３mmの粒子が多
用される。
ゲル化液としては一般に塩化カルシウムの水溶液が用い
られる。
本発明によれば固定化菌体粒子は必らずしも完全な真球
ではなく、滴状のものも多く、長径と短径の比は1.6〜
3.0程度であるが、実用上は何ら差支えはない。
また回転円板から飛散後、ゲル化液中に落下したゲルは
通常は或る程度の時間ゲル化液に接触させて熟成し、ゲ
ル化を進行させることが望ましいとされている。
発明の実施例 以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は言うまで
もなくこれら実施例に限定されるものではない。
実施例１ 第１図に示した装置及び第２図に示した回転円板を用い
て固定化菌体を製造した場合について以下に記す。
大腸菌（エツシエリツヒア・コリ）をグルコースを含む
培地で培養後、遠心分離機で集めた湿菌体を等重量の生
理食塩水と混合し、更に４倍量の６重量％アルギン酸ナ
トリウム水溶液と混合して菌体の懸濁液を調整した。
これを容器に入れ約２０℃に保つた。また一方ゲル化液
としては0.5モル濃度の塩化カルシウム水溶液を用い
た。
上記懸濁液をポンプにより回転円板に給液し、懸濁液の
液滴を約１０℃に冷却したゲル化液中に落下させ、約１
時間ゲル化液中で熟成した。熟成後ゲル化液中より粒子
を取り出し、粒径の測定を行なつた。その結果を第１表
に示した。なお上記実験で使用した円板の直径は150m
m、歯数は７０ケ、歯長は９mmであつた。
実施例２ 円周部に鋸歯状の切り込みのない円板を用いた他は、実
施例−１で使用した装置を用いて、固定化菌体を製造し
た。給液量が低い場合には実施例−１と同様の結果を得
た。
実施例−３ 実施例−１で使用したと同様の３枚の円板を第３図に示
した装置に装着して固定化菌体を製造した。
給液量１０kg/H、回転速度420rpm、ゲル化液は0.5モル
濃度塩化カルシウム水溶液を用いた。３０分間運転を行
なつた結果、平均粒径2.6mmの固定化菌体を4.2kg得た。
発明の効果 本発明は固定化菌体又は固定化酵素粒子ゲルを大量に得
る新規な方法及び装置を提供したものである。本発明に
よれば大量の固定化粒子ゲルを迅速に製造することがで
きる。従つて固定化操作時間が短いので操作中の酵素活
性の失活を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
第１図は本発明の方法を実施するための装置の模式図で
ある。 第２図は特許請求の範囲第３項に記載した鋸歯状円板を
模式図的に表わしたものであり、第３図は円板を複数枚
用いた場合及び濡壁塔方式の装置を表わしたものであ
る。 各図において１は酵素含有液、２は給液管、３は円板、
４は固化液、５は濡れ壁をそれぞれ示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】酵素又は菌体と、それを担持するための担
    体溶液とを混合した酵素含有液を、回転する円板上に供
    給して、ただちに回転している円板の周辺から遠心力に
    よって液滴として放出させ、該液滴を固化液と接触させ
    ることを特徴とする固定化酵素の製造方法。
  2. 【請求項２】酵素又は菌体と、それを担持するための担
    体溶液とを混合した酵素含有液を保持してこれを移送す
    るための給液管を備えた容器、この給液管の出口がその
    上部に開口し、供給された酵素含有液を円板の周辺から
    遠心力によりただちに液滴として放出しうる回転可能な
    円板、その円板の周辺より飛散する液滴を固化液を内部
    に保持して、その液面で前記の液滴を受ける容器のすべ
    てを備えていることを特徴とする固定化酵素製造装置。
  3. 【請求項３】円板が周辺に鋸歯状に切り込みを入れた円
    板であることを特徴とする特許請求の範囲第２項に記載
    の装置。
  4. 【請求項４】円板が、回転軸に複数重ねて設けられてい
    ることを特徴とする特許請求の範囲第２項の装置。
  5. 【請求項５】液滴を受ける容器が、円板の周方向をとり
    囲む壁を有し、その壁面が固化液の濡れ壁を形成するよ
    う固化液の供給手段を備えていることを特徴とする特許
    請求の範囲第２項の装置。
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