JPH0657863B2 - 疲労強度の改善された耐熱性アルミニウム合金 - Google Patents

疲労強度の改善された耐熱性アルミニウム合金

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JPH0657863B2
JPH0657863B2 JP9433386A JP9433386A JPH0657863B2 JP H0657863 B2 JPH0657863 B2 JP H0657863B2 JP 9433386 A JP9433386 A JP 9433386A JP 9433386 A JP9433386 A JP 9433386A JP H0657863 B2 JPH0657863 B2 JP H0657863B2
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秀敏 井上
睦 安倍
正二郎 大家
克之 吉川
司 塩見
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アルミニウム粉末冶金技術研究組合
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、急冷凝固法によって製造される耐熱性アルミ
ニウム合金の、殊に疲労強度を改善することに成功した
耐熱性アルミニウム合金に関するものである。
[従来の技術] 自動車産業や航空機産業においては、軽量性に富み且つ
高温条件下でも高強度(疲労強度)を発揮することので
きる耐熱性材料への要望が強い。現在、この様な要望を
満たすべく多くの研究が行なわれているが、そうした研
究材料の1つにアルミニウム合金、殊に急冷凝固法を応
用して製造されるアルミニウム合金を挙げることができ
る。
該急冷凝固アルミニウム合金は、通常高溶質濃度の溶融
微粉化アルミニウム合金を例えば回転冷却ロール等に吹
き付け、即座に急冷凝固(103℃/秒以上の高速冷却)
することによって製造される。
この様にして得られた急冷凝固アルミニウム合金は、粉
末状,薄帯状或は薄片状等を呈しているが、これらは、
上記溶質元素を過飽和状態から急冷凝固させたものであ
る為固溶性が良好であり、一般に耐熱性,強度、耐摩耗
性等が優れている。例えば上記溶質元素がFeであるA
l−Fe系合金は耐熱性に優れ(USP437919−A、1
00〜350℃域での強度に優れている)、又溶質元素
がSiであるAl−Si系合金は耐摩耗性に優れている
(特開昭59−13040号公報)。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明者等は、かねてより上記急冷凝固アルミニウム合
金のうち特にAl−Fe系耐熱性合金に着目し該合金の
疲労強度を改善すべく検討を続けてきた。上記Al−F
e系耐熱性合金は、耐熱性については要求レベルを略満
たすが、疲労強度については必ずしも満足できるとは言
い難く、例えば繰り返し応力のかかるコンロッドの様な
部品等に使用することが困難であった。
従って疲労強度を改善することは、上記Al−Fe系耐
熱性合金の材料的信頼性を確保する上で極めて意義深い
ことであり、この点が今後の解決課題としてクローズア
ップされる。
本発明は、こうした事情を考慮してなされたものであっ
て、耐熱性を保証することは勿論のこと、疲労強度を優
れたものとすることのできる耐熱性アルミニウム合金を
提供しようとするものである。
[問題点を解決する為の手段] 本発明に係る耐熱性アルミニウム合金とは、Fe:5〜
15重量%(以下単に%という)及びSi:10〜20
%を含み、且つ希土類金属:1〜5%,Cr:1〜5
%,Mo:0.1〜5%,Zr:0.1〜5%,V:0.1〜5
%よりなる群から選択される1種以上を総計で5%以下
含み、残部がAl及び不可避不純物よりなるところにそ
の要旨が存在するものである。
[作用] 本発明合金は、上述の説明から明らかな様に急冷凝固法
の利用を骨子とするものであるが、これは急冷凝固法に
おける以下の様な利点を活用しようとしているからであ
る。
(A)各合金元素の固溶限を拡大することができる。
(B)金属粒子や各種金属間化合物を微細に均一分散する
ことができる。
(C)上記(A)及び(B)の結果として、強度,耐熱性,熱間
加工性,切削加工性等の諸特性を改善することができる
との期待がもてる。
ここに急冷凝固法の冷却速度とは、102℃/秒以上好ま
しくは104℃/秒以上であり、また合金粉末としてはア
トマイズ粉末に限らず急冷薄片や急冷薄帯を粉砕して得
られるものも適用することができる。
本発明者等は、上記課題の解決手段を見出すに当たって
こうした急冷凝固法の利点に着目すると共に上記Al−
Fe系耐熱性合金の疲労強度が低いことの原因を究明す
ることから研究を開始した。その結果本発明者等は、
(1)高速度で冷却したことによってFe,Cr,Zr,
V,REM等の合金元素がAl中に固溶状態で微細分散
するから、疲労亀裂の伝幡に対する防禦物となる比較的
粗大な分散層が存在しなくなったこと、(2)急冷凝固ア
ルミニウム合金粉末の表面には一般に酸化物が形成され
ているが、該酸化物付着アルミニウム合金粉末を粉末冶
金法によって固化した場合、旧粉末粒界(以下PPBと
いう場合もある)に沿って上記酸化物が配列される為、
応力印加時に該酸化物を通して疲労亀裂が生じると共に
該亀裂の伝幡が起こり易いこと等が疲労強度低さの原因
であることを知った。
そこで本発明者等は、第1番に上記(1)の知見に注目
し、この方向から上記課題を解決すべく種々検討した。
その結果疲労強度の向上を期待し得る基本的合金元素と
してSiを選定し、上記Al−Fe耐熱性合金にこれを
配合すると共に、他の合金元素についても厳密に規定し
て本発明を完成するに至った。
以下本発明における合金元素の種類及び配合量について
それらの規定理由を明らかにしつつ説明する。
Fe:5〜15% Feは、Alマトリックス及び他の合金元素と化合して
分散相又は固溶相を形成することによって耐熱性を向上
させる元素であるが、配合率が5%未満の場合は急冷凝
固による分散相の体積比が小さくなって所望の耐熱性を
得ることが困難となる。一方15%を超える場合には、
冷却速度を如何に速くしても粗大化分散相が生じてしま
い、この為該分散相の体積比が極端に大きくなって靱性
低下や熱間加工性低下等材質上の問題を招く結果とな
る。
Si:10〜20% Siは、単体でAlマトリックス中に分散し疲労クラッ
ク伝幡を妨げる作用を有している為、疲労強度の向上に
効果がある。しかし10%未満の配合率では、Alマト
リックス中のSi粒子が極端に微細化し所望の効果が得
られない。一方20%を超えると、Alマトリックス中
のSi粒子が粗大化すると共に靱性が低下するといった
問題点が生じる。
希土類元素(REM):1〜5%,Cr:1〜5%,
Mo:0.1〜5%,Zr:0.1〜5%,V:0.1〜5%よ
りなる群から選択される1種以上を総計で5%以下 これらの元素は、いずれもFeとの相互作用によってア
ルミニウム合金の耐熱性をより一層向上させるという効
果を有しているが、この様な効果を有効に発揮せしめる
には、例えばREM単独の場合1%以上必要であった。
しかし5%を超えると、分散相の粗大化及び靱性の低下
を誘起する等、材質上の問題が生じる。こうした上限・
下限設定根拠はREM以外の元素についても同様であ
る。
ところで上記元素の総計が5%を超えた場合には、上記
分散相粗大化等の弊害が生じた。
本発明は大略以上の様に構成されているが、本発明者等
は、前記(2)の知見、即ち固化後においては酸化物が亀
裂発生の原因になるという知見についても配慮しようと
考え、上記酸化物を規制するという方向から検討を行な
った。その結果酸化物:1%以下という結果を得るに至
ったが、以下この点について説明する。
酸化物:1.5%以下 Al合金溶湯を粉末状とする方法としては空気噴霧法が
一般的であるが、該方法を用いて製造されたAl合金粉
末はその表面に1.5%以上もの酸化物(主としてAl
)が不可避的に含まれている。
従来よりこれらの酸化物は、粉末固化時にAlマトリッ
クス中に分散すると共にこれによって耐熱性を向上させ
ると考えられてきた。しかし本発明者等が詳細に研究し
たところによると、1.5%を超えた場合においては耐熱
性の向上効果は小さく、むしろ前記(2)で述べた如く疲
労強度を低下させるという結果が得られた。尚更に好ま
しくは1.0%以下に抑制することが推奨される。従って
本願発明者等はこの要件を上記〜に加えることに
よって、より一層の疲労強度向上効果を発揮し得ること
を知った。尚こうしたアルミニウム合金を製造するに当
たっては、噴霧の雰囲気ガスとして酸素濃度が10%以
下のものを用いると良い。
[実施例] 下記第1表より組成の各種Al合金溶湯を作製し、気体
噴霧法を用いて急冷凝固することにより合金粉末を得
た。
尚噴霧気体としては、資料No.9及び10については5
%の酸素を混合した窒素を用い、また他の試料について
は空気を用いた。この様にして得られた粉末の冷却速度
は103℃/scc以上であった。
上記の粉末を冷間で予備成形後、缶中で脱気処理し42
0℃で直接押出しを行なうことにより健全な固化材を得
た。
次に放射化分析法により各固化材の酸化物量を測定する
と共に酸化物量と各種材料特性との相関を調査しその結
果を第1表に併記した。
尚疲労強度試験や耐熱性試験については下記の通りであ
る。
疲労試験 平行部長さ15mm、直径8mmφの試験片を用い、室温で
小野式回乾曲げ疲労試験を実施し、S−N曲線を作成
し、これにより107サイクルにおける疲労強度を求め、
第1表に併記する結果を得た。
室温および高温における引張試験 平行部の径6mmφ、標点間距離30mmのテストピースを
用い、室温,100℃,200℃,300℃の各温度に
おける引張試験を実施し第1表に併記する結果を得た。
また靱性値については室温における切欠試験片の引張強
度(σNTS)と0.2%耐力(σ0.2)の比(σNTS/σ0.
2)から評価した。
Siの効果については、No.1,2,3,4(本発明
材)とNo.12,13,14,15(比較材)の結果か
ら明らかである。即ちSiの添加によって顕著な疲労強
度の向上が認められる。またNo.5及び6と、No.16及
び17との比較からSiの添加が上限値を越える場合に
は靱性値が極端に低下しまた下限値に満たない場合には
疲労強度改善の効果が不十分となることは明らかであ
る。またNo.7及び8並びにNo.18及び19に示すよう
にSi量が適正な場合であってもFeの含有量が上限値
を越える場合においては靱性値が低下し、また下限値に
満たない場合にあっては十分な耐熱性を付与することが
できておらない。
REM(Ce,La),Mo,Cr,Zr,V添加の効
果はNo.22とNo.1〜4の比較から明白であるが、上限
値を越えたもの(比較材19,20)では靱性が極端に
低下する。
[発明の効果] 本発明は上述の様に構成されているので、耐熱性に優れ
しかも疲労強度の著しく改善されたアルミニウム合金を
提供することができた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Fe:5〜15重量%(以下単に%とい
    う)及びSi:10〜20%を含み、且つ希土類金属:
    1〜5%,Cr:1〜5%,Mo:0.1〜5%,Zr:
    0.1〜5%,V:0.1〜5%よりなる群から選択される1
    種以上を総計で5%以下含み、残部がAl及び不可避不
    純物よりなることを特徴とする疲労強度の改善された耐
    熱性アルミニウム合金。
JP9433386A 1986-04-23 1986-04-23 疲労強度の改善された耐熱性アルミニウム合金 Expired - Lifetime JPH0657863B2 (ja)

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US5240517A (en) * 1988-04-28 1993-08-31 Yoshida Kogyo K.K. High strength, heat resistant aluminum-based alloys
JPH0610086A (ja) * 1991-03-14 1994-01-18 Takeshi Masumoto 耐摩耗性アルミニウム合金及びその加工方法

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