JPH065731Y2 - 魚貝類の簡易魚場 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は海浜を利用して人工的に形成する魚貝類の簡易
魚場に関するものである。

〔従来技術と問題点〕

従来、簡易魚場としては断面Ｌ型のコンクリートブロッ
クを多数並べて一定の区画を形成し、この中に盛砂を設
けたものを採用していた。

しかし、コンクリートブロックによるものは運搬が大変
であり、また、現地では大型のクレーン車を必要とする
など、施工費用が高くつくものであった。

〔問題点を解決するための手段〕 本考案は上記のような状況に鑑み、現場にて簡単に施工
できる魚場を提供するもので、基本的には現場にて形成
可能なサンドチューブを利用することにより、任意な形
状の区画を形成することを特徴とするものである。

すなわち本考案は、満潮時は海底に沈み、干潮時にはほ
ぼ乾上がる海浜に、長尺状のサンドチューブにより一定
区画を形成すると共に、該区画内にサンドチューブの上
端より少し低い位置まで盛砂を設けたことを特徴とする
もので、必要によりサンドチューブによる区画の沖方向
に適宜な排水手段を設け、干潮時における区画内からの
排水をスムーズに行なうようにしたものである。

〔作用〕

本考案に係る魚場においては、サンドチューブによる一
定区画内に潮水が入り込み満潮となった時はサンドチュ
ーブによる魚場全体が水没し、魚貝類がこの区画内に自
由に出入りし遊泳できる状態となる。この状態から徐々
に潮水が引くと、区画内の貝類はそのまま盛砂の中にも
ぐり込み、一方魚類についてはその一部が魚場区画内の
くぼみや沖に近いサンドチューブの内側の水溜りに取り
残される。

この干潮時を利用して潮干狩や魚すくいなど観光用に供
する他、規模を大きくすれば専門的に魚貝類の確保が可
能となる。

なお、排水手段として一定区画を形成したサンドチュー
ブの沖合部分に、サンドバックの積層部や栗石の敷設あ
るいは透水性の織布等を設けることにより、干潮時にお
いても魚場内に溜った潮水をスムーズに抜くことができ
る。この他サンドチューブの一部を、透水性を有する組
織にて織成し、この部分から排水させるようにしてもよ
い。

〔実施例〕

第１図は海浜に設置された魚場の平面図であり、(a)
はサンドチューブにより方形枠状に形成された魚場
で、沖合のサンドチューブの中間および両側部のサンド
チューブの沖側には排水手段として透水性を有するサン
ドバックが多数積層して設けられているものである。
また、(b)は海浜を利用してサンドチューブがＬ形に配
置されているもので、沖合のサンドチューブの中間に排
水手段として透水性織布が設けられているものである
が、この区画の形状はこの他半円状その他任意の形状で
もよい。

本考案に用いるサンドチューブはチューブ状織布の中
に砂を充填したもので、直径が約60〜75cm、１本の長さ
が約20ｍのものであり、設置する海浜に第２図の如く凹
溝を形成し、この凹溝にサンドチューブをはめるよう
に設置するのが望ましいが、凹溝を設けず海底に直接設
置しても相当大きな重量があり、しばらくすると海底に
なじむため潮の満ち引きにより容易に移動するようなこ
とはない。

サンドバックは、略扁平立方体状の透水性を有する袋
に砂を充填したもので、第３図、第４図の如く、サンド
チューブの接合端部間に一定の長さにわたって多数が複
数段積層状に設けられている。このサンドバックは干
潮時でもサンドチューブにより形成された一定区画内に
溜った潮水をスムーズに排水する機能を有する他、必要
により適宜取り除いて区画内の潮水をほぼ完全に排水す
る役割をも果すことができる。

しかし、この排水手段はこの積層サンドバックに限定さ
れるものではなく、区画内の潮水をスムーズに排水させ
るための手段としては、第１図、第２図に示す如く、沖
合のサンドチューブの下部に栗石を一定の範囲にわた
って敷きつめておいてもよいし、第１図(b)に示すよう
に沖合のサンドチューブの中間に透水性を有する織布
を張り渡してもよく、また、加工は面倒であるが、１本
のサンドチューブの中間の一部を透水性を有する組織に
て織成し、この部分を沖合に配置して排水させるように
してもよい。

盛砂は前記サンドチューブにより形成された区画内に
設けられるもので、その量はサンドチューブの上端より
少し低い位置から、サンドチューブの中心程度までの高
さに敷きつめられるものである。

〔考案の効果〕

本考案は、上述の如くサンドチューブにて海浜の一部を
区画するものであるから、必要なチューブと砂の充填装
置を用意すれば、チューブへの砂充填は現地の浜砂を利
用して現地で充填を行なうことができるため運搬はもと
より、作業が容易で必要な大きさの魚場が形成できる効
果がある。

また、サンドチューブによる枠状の区画により満潮時に
入り込んだ魚貝類を干潮時に容易に確保することができ
るため、潮干狩等の観光用はもとより、実用的にも利用
価値の高いものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一例を示すもので、第１図は本考案の一
例を示す平面図であり、第１図の(a)は海浜に方形枠状
の簡易魚場を設置した状態のもので、第１図の(b)は海
浜の一部を利用してサンドチューブをＬ形に配置した状
態のものである。第２図は第１図のＡ−Ａ断面図、第３
図は第１図のＢ−Ｂ断面図、第４図は第１図のＣ矢視図
である。 １．……海浜、２．……サンドチューブ、３．……凹溝 ４．……サンドバック、５．……栗石、６．……透水性
織布 ７．……盛砂

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】満潮時は海底に沈み、干潮時には乾上がる
   海浜に、長尺状のサンドチューブにより一定区画を
   形成すると共に該区画内にサンドチューブの上端より少
   し低い位置まで盛砂を敷きつめてなる魚貝類の簡易魚
   場。
2. 【請求項２】一定区画を形成するサンドチューブの沖合
   部分に、排水手段を有するものである実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の魚貝類の簡易魚場。
3. 【請求項３】排水手段が、サンドバックの積層構造で
   ある実用新案登録請求の範囲第２項記載の魚貝類の簡易
   魚場。
4. 【請求項４】排水手段が、サンドチューブ下部への栗石
   敷設構造である実用新案登録請求の範囲第２項記載の
   魚貝類の簡易魚場。
5. 【請求項５】排水手段が、透水性の織布の張設である
   実用新案登録請求の範囲第２項記載の魚貝類の簡易魚
   場。