JPH0656149U - 水中アンカー構造物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大型水上浮游構造物などを安定良く係留す
る。 【構成】 水中アンカー構造物は、海底地盤Ｅの面に沈
設されるベースプレート１と、ベースプレート１の上下
を貫通して開口された上部拡開するテーパ状の複数のガ
イド孔５と、各ガイド孔５にガイドされて海底地盤に建
込まれる杭６と、杭６の杭頭６ａの周囲に挿通され、前
記ガイド孔５に楔状に係合される定着具７とを備えてい
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、大型水上浮游構造物などを安定良く係留するための水中アンカー 構造物に関する。

【０００２】

【従来の技術】

海上浮游構造物などを係留するには、船舶など構造物形状が小規模で比較的短 期間で良いものの場合には付属の錨を海底に沈設しているが、大規模な海洋また は港湾溝造物で長期にわたるもの、例えば石油海上備蓄、コミューター用海上浮 遊飛行場などの場合には、予め海底に沈設したコンクリート構造物などからなる シンカーに係留する場合が多い。このシンカーは、その荷重によって係留物を支 持するもので、単に海底に沈設するだけで良いため、施工も簡単である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、その逆に波浪や潮位の変動等により移動しやすく、この移動を 防止するためには相当大規模で大重量の構造物とすることが必要であり、沈設作 業には大型のクレーン船や運搬船などを必要とするといった欠点がある。

【０００４】 これに対し、杭式アンカーの場合には波浪や潮位の変動は受けにくいが、引き 抜き抵抗のみにより支持力が生ずるものであるため、定着力の大きなアンカーと はなり難く、大規模な構造物の係留には向かない。

【０００５】 この考案は以上の問題を解決するものであって、シンカーと杭との組み合わせ を工夫することによって、小規模構造物であっても定着力を高め、大型の水上浮 游構造物を長期にわたり安定して係留できるようにした水中アンカー構造物を提 供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため、この考案は、水底地盤面に沈設されるベースプレー トと、該ベースプレートの上下を貫通して開口された上部拡開するテーパ状の複 数のガイド孔と、該各ガイド孔にガイドされて水底地盤に打設される杭と、該杭 の上部周囲に挿通され、前記ガイド孔に楔状に係合される定着具とを備えたもの である。またこの考案では前記ベースプレートを、鉄板，鉄骨の組合わせにより 構成された捨て型枠と、該捨て型枠の内側に打設される水中コンクリートからな る構成とすることができる。

【０００７】

【作用】

以上の構成にあっては、ベースプレートがシンカーとしての機能を持ち、これ に複数の杭を打ち込んで水底地盤に固定するため、波浪や潮流による横方向への 移動を防止する。また、ベースプレートに上方への外力が加わった場合には、定 着具を介して各杭に引抜き抵抗が生じ、ベースプレートを定位置に保持する。

【０００８】 ベースプレートを捨て型枠に水中コンクリートを打設する構造とした場合には 、運搬，沈設作業が簡素化する。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図面を用いて詳細に説明する。図１，２はこの考案 による水中アンカー構造物の第一実施例を示すものである。図において、海底地 盤Ｅの地盤面Ｅ1 に設置された鉄筋コンクリート製のベースプレート１は、偏平 な八角形状をなし、その中心の一段高く設定された中央段部２にはアイボルト３ の基部が一体に埋設され、このアイボルト３にアンカーチェーン４の一端が結合 され、他端を図示しない海上浮游構造物に連結している。

【００１０】 このベースプレート１の周囲の八等分された箇所にはそれぞれ杭建込み用の上 部拡開するテーパ状のガイド孔５が上下を貫通して開口形成され、この各ガイド 孔５をガイドとして鋼管などからなる杭６が海底地盤Ｅ内に打ち込まれている。 各杭６の前記ガイド孔５から突出する杭頭部６ａの周囲にはガイド孔５にテー パ状に嵌合するコーン状の定着具７が挿通され、必要に応じて水中溶接などによ り杭頭６ａに接合される。

【００１１】 さらに以上のアンカー構造物の周囲は捨て石８によって覆われ、海流などによ る影響からベースプレート１を保護している。

【００１２】 図３は以上の水中アンカー構造物の施工手順を示すもので、まず（ａ）に示す ようにベースプレート１の沈設箇所の地盤Ｅを掘削して掘削面を平坦にならし、 次いで（ｂ）に示すようにベースプレート１を掘削された地盤面Ｅ1 に沈設する 。この作業はクレーン船等によって行われる。

【００１３】 次に（ｃ）に示すように杭６を打つ作業が杭打ち船等により行われる。この作 業は前記各ガイド孔５をガイドとして行われるので、ベースプレート１の沈設位 置が確定していれば、ガイド孔５に杭６の先端を嵌入することにより、これにガ イドされて正しい位置に建込む事ができる。次いで（ｄ）に示すように、定着具 ７を各杭６の杭頭部６ａに挿通してガイド孔５に嵌合し、次いで溶接すれば各杭 ６とベースプレート１が接合される。

【００１４】 そして、アンカーチェーン４をアイボルト３に連結した後、捨て石８をベース プレート１上に撒きだし、盛土を造成すれば、図１に示すように施工作業が完了 する。

【００１５】 したがって、以上の構成にあってはベースプレート１がシンカーとしての機能 を持ち、これに複数の杭６を打ち込んで地盤Ｅに固定するため、波浪や潮流によ る横方向への移動を防止する。また、ベースプレート１に上方への外力が加わっ た場合には、定着具７を介して各杭６に引抜き抵抗が生じ、ベースプレート１を 定位置に保持する。さらに捨て石８による盛土を造成することによりベースプレ ート１の流水に対する断面抵抗を小さくすることができる上に、腐蝕防止効果も 生ずる。

【００１６】 なお、この実施例ではベースプレートの平面形状を八角形としたが、他の多角 形状あるいは円盤状でも良いことは勿論である。

【００１７】 図４（ａ），（ｂ）はこの考案の第二実施例を示すもので、第一実施例と同一 箇所には同一符号を付し、異なる箇所だけ異なる符号を用いて説明する。

【００１８】 図４（ａ）において、ベースプレートは、鉄板及び鉄骨などを組み合わせた偏 平容器状の捨て型枠１０と、捨て型枠１０の中心に配置されたこれより一段高い 箱状の鉄板組１０ａの頂部に突出するアイボルト３と、捨て型枠１０の周囲内側 の複数箇所にテーパ状をなして設けられたガイド孔部材１１に挿通される杭６及 びこれの杭頭６ａに挿通されるコーン状定着具７とを備えている。

【００１９】 この実施例では前記第一実施例の図３（ａ）〜（ｃ）と同一手順で海底地盤Ｅ の掘削，捨て型枠１０の沈設，杭６の建込み，定着具７及びアンカーチェーン４ の取付け作業を行えば、図４（ａ）に示すように捨て型枠１０は地盤面Ｅ1 に固 定される。

【００２０】 その後、図４（ｂ）に示すように水中コンクリート１２を捨て型枠１０に向け て打設し、これを固化させた後、捨て石８等を撒き出せば、施工を完了する。こ のように杭６の建込み、定着後、型枠１０にコンクリートを打設するので、杭６ とベースプレートとの一体化が図れ強度が向上する。なお、捨て型枠１０に水中 コンクリートを打設して第一実施例と同様なベースプレートを構築した後、杭６ の建込み、定着具７及びアンカーチェーン４の取付け作業を行ってもよい。

【００２１】 この実施例によれば、沈設するのは捨て型枠１０のみであり、軽量なので小型 運搬船やクレーン船により作業を行え、しかも水中溶接によらずとも水中コンク リート１２によってベースプレートと杭６との定着を行うことができる。

【００２２】

【考案の効果】

以上各実施例によって詳細に説明したように、この考案による水中アンカー構 造物によれば、ベースプレートがシンカーとしての機能を持ち、これに複数の杭 を打ち込んで水底地盤に固定するため、波浪や潮流による横方向への移動を防止 し、ベースプレートに上方への外力が加わった場合には、定着具を介して各杭に 引抜き抵抗が生じ、ベースプレートを定位置に保持するため、小型であっても大 型の水上浮游構造物を安定して強固に係留できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の第一実施例による水中アンカー構造
物の断面図である。

【図２】同平面図である。

【図３】（ａ）〜（ｄ）は同施工手順を示す断面説明図
である。

【図４】この考案の第二実施例を示し、（ａ）は水中コ
ンクリートを打設する前の状態を示す断面図である。
（ｂ）は同施工完了状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ベースプレート ５ ガイド孔 ６ 杭 ７ 定着具 １０ 捨て型枠 １１ ガイド孔部材 １２ 水中コンクリート

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水底地盤面に沈設されるベースプレート
   と、該ベースプレートの上下を貫通して開口された上部
   拡開するテーパ状の複数のガイド孔と、該各ガイド孔に
   ガイドされて水底地盤に打設される杭と、該杭の上部周
   囲に挿通され、前記ガイド孔に楔状に係合される定着具
   とを備えたことを特徴とする水中アンカー構造物。
2. 【請求項２】 前記ベースプレートは、鉄骨，鉄板の組
   合わせにより構成された捨て型枠と、該捨て型枠の内側
   に打設される水中コンクリートからなるものであること
   を特徴とする請求項１記載の水中アンカー構造物。