JP2517951B2 - 既設ケ−ソンの耐震補強工法 - Google Patents

既設ケ−ソンの耐震補強工法

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JP2517951B2 JP62069972A JP6997287A JP2517951B2 JP 2517951 B2 JP2517951 B2 JP 2517951B2 JP 62069972 A JP62069972 A JP 62069972A JP 6997287 A JP6997287 A JP 6997287A JP 2517951 B2 JP2517951 B2 JP 2517951B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は海洋構造物として埋立て、護岸、岸壁等に
利用される既設重力式コンクリートケーソン構造物の耐
震補強に関するものである。
〔従来の技術およびその問題点〕
既設重力式岸壁、護岸等、コンクリートケーソンを用
いた構造物の耐震補強工法では、リプレースするには費
用が嵩むため、第5図に示すように構造物周辺のみを締
固め工法等で地盤改良(地盤改良部20,21)することに
より対処していた。そのため、構造物直下の地盤に対
し、その結果が不明で、コンクリートケーソン4の沈
下、傾き、水平移動といった変状を抑止し得ず、地盤に
よっては多大な工費を必要としていた。特に、液状化の
恐れのある地盤2(以下、液状化地盤という)の層が比
較薄く、かつ深いところに存在する場合には、その工費
は莫大なものとなる。
この発明は上述のような問題点を解決することを目的
としたものである。
〔問題点を解決するための手段〕
以下、この発明の概要を実施例に対応する図面の符号
を用いて説明する。
この発明の既設ケーソンの耐震補強工法は孔あき部を
有する鋼杭9をケーソン4自身を貫通させて支持地盤1
内に根入れし、前記孔あき部を液状化地盤2内に位置さ
せてケーソン4直下に定置した後、ケーソン底版削孔部
16に蓋7を施すもので、この蓋7にはケーソン底版13と
の一体化のための結合部材10を用いる。
鋼杭9としては例えば特開昭61−146910号公報に示さ
れるような多数の小孔を有する鋼管を用いることがで
き、過剰間隙水圧を鋼杭9内に消散させてケーソン4直
下の砂地盤(液状化地盤2)における液状化を防止する
ことができる。
〔作用〕
孔あき部を有する鋼杭をケーソンの底版を貫通させて
支持地盤まで根入れすることにより、上述のようにケー
ソン4直下の液状化地盤2における地震時の液状化を防
止するとともに、鋼杭9によって、すべり面に沿ったケ
ーソン4周辺地盤のすべりを抑止する。
また、ケーソン4本体はコンクリートケーソン4自身
の重量と、中に入れる中詰砂8の重量により安定性を保
持する構造であるため、鋼杭9をケーソン4およびその
直下のマウンド3を貫通させる際に生じる削孔部16より
中詰砂8が流出するとケーソン4の安定性が損なわれ
る。従って、削孔時にはケーソン中詰砂8内にガイド管
を設けて砂抜けを防止するが、鋼杭9をケーソン4下方
に定置した後、これを撤去することができない。そこ
で、この発明ではガイド管の撤去前に蓋7を設け、ガイ
ド管撤去時および撤去後の砂抜け防止を図っている。ま
た、ケーソン底版13はケーソン4への外力作用時にマウ
ンド3より反力を受けるが、結合部材10はその反力に抵
抗するもので、ケーソン底版13の破損を防ぐことができ
る。
〔実施例〕
次に、図示した実施例について説明する。
第1図はこの発明の耐震補強工法を施した後のケーソ
ン構造の概要を示したもので、ケーソン4を貫通させて
施工した鋼杭9はその下端が支持地盤1に根入れされ、
頭部はマウンド3内に位置する。また、鋼杭9の孔あき
部は液状化地盤2およびマウンド3内に位置している。
図中5はケーソン4の背面に施工された裏込石、6は裏
埋土である。また、鋼杭9を貫通させたケーソン4の底
版13には蓋7が設けられ、中詰砂8の漏出を防いでい
る。
第2図(a),(b)は蓋7とケーソン底版13を一体
化するための結合部材10の一例を示したものである。こ
の例では結合部材10はリング筋11と組立筋12で構成さ
れ、あらかじめ底版13に設けたドリル穴14に二液混合型
のカプセル入り接着剤を充填し、結合部材10の組立筋12
下端を差し込むことにより底版13に固定する。この結合
部材10は吊り筋18により、円盤状の型枠15を組み込ん
で、底版13の削孔部16下面側を塞ぐようにしたもので、
海域が比較的静穏で、底版削孔部16の水の出入りが少な
い場合に適する。この状態でコンクリートを水中打設す
ることにより、第2図(c)の蓋7aが施工される。
第3図(a),(b)は結合部材10の他の例を示した
もので、この例では型枠15bが鉄筋と分離され、削孔部1
6に合わせた円筒状型枠15bを削孔部16に押し込む構成と
なっている。また第4図(a)のものは下向きに開口す
る円筒状型枠15cを削孔部に押し込むもので、これらは
海域が比較的荒く、底版削孔部16での水の出入りが激し
い場合に適し、ゴムパッキン17を取り付けて水密性の向
上が図れる。それぞれ、コンクリートを打設した状態を
第3図(c)、第4図(b)に示す。円筒状型枠15b,15
cは削孔部16に押し込まれ、水密性があるため、コンク
リート打設におけるロスも少なく、簡単に施工すること
ができる。
次に、施工手順の一例を述べると以下のようになる。
孔あき部を有する鋼杭9を準備する(頂部盲板
付)。
ケーソン4の上面より、ボーリング等で用いられる
先端に刃先を設けた掘削機をガイド管に取り付け、底版
13上面まで掘削する。
ガイド管よりやや小径の掘削をと同様にマウンド
3下面まで行う。
の鋼杭9をバイブロハンマーあるいはディーゼル
ハンマー等で、支持地盤1内まで根入れし、孔あき部を
液状化地盤2およびマウンド3部分に位置させる。
鋼杭9上部を石材で埋戻す。
蓋7を施工する。
ガイド管を撤去し、中詰砂8を埋戻す。
ケーソン4の上面コンクリートを補修する。なお、
蓋7の一体化のためのケーソン底版13へのドリル穴14の
施工は潜水夫により、またはケーソン4上面より行う。
ドリル穴14はバカ穴とすることにより結合部材10の嵌め
込みが容易となる。
〔発明の効果〕
この発明に係る耐震補強工法は、既設コンクリートケ
ーソンおよびその直下マウンドを貫通して孔あき部を有
する鋼杭を支持地盤内まで根入れし、ケーソン直下地盤
並びにマウンドを補強するものであって、ケーソン底版
削孔部に蓋を設け、結合部材を用い、蓋とケーソン底版
とを一体化するため、ケーソン削孔部よりの中詰砂の漏
出を防ぐことができ、ケーソン底版の強度、剛性を維持
することができる。
従って、この発明によれば、ケーソンの安定性を確保
することができ、マウンド以深に残した孔あき部を有す
る鋼杭の地盤およびマウンド補強効果を有効に活用する
ことができ、地震によるケーソンの変状を回避し得る。
その結果、ケーソンをリプレースする必要がなく、工費
面からの経済性、並びに港湾機能面からの経済性をも向
上し、かつ、地震災害時の物質輸送といった社会的役割
を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図にこの発明の一実施例における概要を示す断面
図、第2図(a),(b),(c)はそれぞれ結合部材
の一例を示す平面図と鉛直断面図および蓋の鉛直断面
図、第3図(a),(b),(c)はそれぞれ結合部材
の他の例を示す平面図と鉛直断面図および蓋の鉛直断面
図、第4図(a),(b)はそれぞれ結合部材のもう一
つの例を示す鉛直断面図および蓋の鉛直断面図、第5図
は従来例の断面図である。 1……支持地盤、2……液状化地盤、3……マウンド、
4……ケーソン、5……裏込石、6……裏埋土、7……
蓋、8……中詰砂、9……鋼杭、10……結合部材、11…
…リング筋、12……組立筋、13……ケーソン底版、14…
…ドリル穴、15a,15b,15c……型枠、16……削孔部、17
……パッキン、18……吊り筋、20,21……地盤改良部。
フロントページの続き (72)発明者 加藤 敏 東京都千代田区大手町1丁目1番3号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 才村 幸生 東京都千代田区大手町1丁目1番3号 住友金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−197724(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数の小孔を設けた孔あき部を有する鋼杭
    をケーソンの底版およびその直下のマウンドを貫通させ
    て支持地盤まで根入れした後、前記鋼杭を貫通させたケ
    ーソン底版の削孔部に、結合部材でケーソン底版と一体
    化した蓋を設けることを特徴とする既設ケーソンの耐震
    補強工法。
  2. 【請求項2】結合部材はケーソン底版の削孔部の周囲に
    固定した鉄筋と型枠とからなる特許請求の範囲第1項記
    載の既設ケーソンの耐震補強工法。
  3. 【請求項3】蓋は現場打ちコンクリート製である特許請
    求の範囲第1項記載の既設ケーソンの耐震補強工法。
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JPH0663229B2 (ja) * 1989-12-25 1994-08-22 住友金属工業株式会社 液状化抑止機能を有するネガティブフリクション対策杭
JP2790038B2 (ja) * 1994-06-01 1998-08-27 鹿島建設株式会社 既存杭基礎建物の補強工法

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