JPH0655999B2 - スエ−ド調人工皮革の製造方法 - Google Patents

スエ−ド調人工皮革の製造方法

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JPH0655999B2
JPH0655999B2 JP60198590A JP19859085A JPH0655999B2 JP H0655999 B2 JPH0655999 B2 JP H0655999B2 JP 60198590 A JP60198590 A JP 60198590A JP 19859085 A JP19859085 A JP 19859085A JP H0655999 B2 JPH0655999 B2 JP H0655999B2
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文悟 後藤
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスエード調人工皮革の製造方法に関する。より
詳しくは少くとも表面繊維層として単繊維繊度0.5デニ
ール以下の極細繊維を主体としてなる繊維層を含んで成
る不織シート状物に、水系高分子エマルジョンを附与
し、加熱乾燥してスエード調人工皮革を製造する方法に
関する。
〔従来の技術〕
極細繊維を主体とする不織シート状物に各種の高分子化
合物を附与加工して人工皮革を得ることは一般に広く知
られており、この場合の高分子化合物は人工皮革として
の柔軟で且つ弾性のある風合及び耐久性、寸法安定性な
どの物性を得んがためポリウレタン等の弾性高分子化合
物が多くつかわれる。しかも、これらの弾性高分子化合
物は有機溶剤の溶液として不織シート状物に附与し、湿
式凝固される場合が非常に多い。しかしながら、この際
使用される有機溶剤が非常に引火性の強い且つ毒性の強
い物質であることが多く、火災や毒性危険防止のため溶
剤回収に際して非常に多くの注意をはらう必要がある。
又、溶剤も高価であり、水の希薄液からの回収に多大の
コストがかかるという欠点がある。これら種々欠点のた
め不織シート状物に附与する弾性高分子化合物を有機溶
剤タイプから水系エマルジョンタイプへ移行すべく種々
検討がなされているが、未だ水系エマルジョンタイプを
使って満足すべき風合と物性を有し且つ立毛品位に優れ
たスエード調人工皮革は得られていない。その理由は、
水系高分子エマルジョンを不織シート状物に附与し加熱
乾燥すると水中に分散していた高分子エマルジョンの粒
子が、水の移動に引き連られて不織シート状物の表面層
に集中的に付着する現象、所謂マイグレーション現象を
起すためである。即ち、このマイグレーション現象によ
って、エマルジョン物質はシート状物の表面層に多量に
付着し内層には殆んど付着してない状態となるため、そ
の結果、物性(例えば剥離強度)が低く、非常に皺の付
き易い硬い風合の人工皮革しか得られない。又、表面層
に多量のエマルジョン物質が付着するため、表面層とバ
フィング等により起毛を行なっても立毛形成が難しく良
好な立毛品位が得られない等の問題があった。
従来、上記問題を解決するためにマイグレーション現象
を抑制する試みが種々なされており、例えば増粘効果を
利用する高粘性物質、及び感熱凝析剤等所謂マイグレー
ション防止剤と称される物質を水系エマルジョンに添加
したり、或は特開昭60−65184号公報に開示され
ている様な高吸水性物質を用いる方法等が検討されてい
る。しかしながら、上記マイグレーションを抑制する方
法は、エマルジョン物質をシート状物に均一に付着させ
るという点では一部効果が認められて物性,風合の改良
に至るが、エマルジョン物質が表面層に付着するのを防
ぐ点では不充分であり、表面層をバフィング等で起毛処
理を行なっても立毛密度が低く、立毛の長さが不揃いで
あったり、粗い品位のものしか得られない。一方、不織
シート状物の表面層にエマルジョン物質を極力付着させ
ない方法も検討されており、例えば特公昭58-57544に開
示されている様に水系エマルジョンを立毛されたシート
状物に附与する前に高分子化合物で表面の立毛層を保護
する方法、または特願昭54−59499号公報に開示
されている様に水系エマルジョンを立毛されたシート状
物に付与した後に立毛層と逆の面からより強く乾燥する
方法が知られている。しかしながら、前者の方法では立
毛層を保護する高分子化合物が水溶性であると水系エマ
ルジョン附与時に高分子化合物が膨潤及び溶解する事か
ら良好な立毛品位が得られず、又水難溶性の高分子化合
物で立毛層を保護した場合は水系エマルジョンを附与
し、乾燥後に有機溶剤等で高分子化合物を抽出除去する
行程が必要となる。一方、後者の立毛層と逆の面からよ
り強く乾燥する方法では乾燥能力が従来の方法に較べ大
幅に低下する。以上、いずれの方法においても、行程
性,経済性の面で問題があった。
つまり、不織シート状物に水系高分子エマルジョンを附
与し加熱乾燥する起毛保護行程などの附加行程を含まな
い合理化されたプロセスから物性、風合を満し、且つ立
毛品位の優れたスエード調人工皮革を工業的に製造する
ことは非常に困難であった。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者らは、かかる問題を解決すべく、鋭意検討の結
果、本発明に達した。即ち、本発明の目的は安価な水系
高分子エマルジョンを使用しても、要望される水準の物
性および風合を満たして表面立毛品位に優れたスエード
調人工皮革をつくることのできる合理化された製造方法
を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の目的は少くとも表面繊維層として単繊維繊度0.
5デニール以下の極細繊維を主体としてなる繊維層を含
んで成る不織シート状物に、水系高分子エマルジョンを
附与し、加熱乾燥してスエード調人工皮革を製造する方
法において、前記不織シート状物の表面繊維層を予め起
毛処理し、次いで前記水系高分子エマルジョンに水溶性
高分子化合物の水溶液を混合して付与し、加熱乾燥した
後に前記水溶性高分子化合物を抽出除去することを特徴
とするスエード調人工皮革の製造方法によって達成され
る。
本発明による製造方法が実施される不織シート状物は表
面繊維層として単繊維繊度0.5デニール以下の極細繊維
を主体としてなる繊維層を有すれば、前記表面繊維層に
つながる層としてはどのような構成のシート状物を用い
てもよい。例えば表面繊維層と同一構成の繊維層で不織
シート状物全体を構成してもよく、また表面繊維層につ
ながる層に表面繊維層に片面全体が覆われ、且つ三次元
交絡している編織物から成る層を配置してもよい。後者
の場合において前記編織物の下層に任意の構成のシート
状物をつなげて配置してもよい。
前記単繊維繊度0.5デニール以下の極細繊維の繊維素材
としては通常の人工皮革に用いられるものなら特に制限
は無く、例えばポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ナイロン6、ナイロン66、ポリアクリロニトリ
ル、レーヨン等を用いることができる。極細繊維として
は、通常の湿式、乾式及び溶融紡糸法により直接紡糸さ
れたもの、更にメルトブロー法、海島型繊維及びポリマ
ーブレンド繊維から一成分を抽出除去する方法、及び割
繊糸法等によって得られるものが使用出来る。本発明に
於いて、前記方法で得られる単繊維繊度0.5デニール以
下の極細繊維を主体としてなる表面繊維層を有する不織
シート状物が適用される。該単繊維繊度が0.5デニール
以上の場合は繊維の剛性が大きく、表面立毛の腰が強い
ためスエード調人工皮革特有の高級な表面品位、手触り
感、及びライティング効果等を得ることが出来ない。即
ち、本発明は単繊維繊度0.5デニール以下、好ましくは
0.2デニール以下の極細繊維を主体としてなる表面繊維
層を有する不織シート状物を適用することによって達成
される。不織シート状物を得る方法としては上記各種極
細繊維からカード・クロスレイヤー・ランダムウェーバ
ー等の乾式法、及び液体中に極細繊維を分散させ湿式抄
造法等により不織ウエブを製造し、その不織ウエブ単独
もしくはその不織ウエブの下面に同種または異種の不織
ウエブを積層した積層体をニードルパンチ、流体交絡処
理等により交絡一体化することによって得られる。また
前記極細繊維から得た不織ウエブを編織物の片面もしく
は両面に積層した積層体を同様にニードルパンチング、
流体交絡装置等によって交絡一体化することによって不
織シート状物を得ることができる。前述したような方法
によって得られた不織シート状物に対して本発明による
製造方法を適用することができる。
前記極細繊維からなる不織ウエブが編織物の少なくとも
片面全体を覆って配置されて編織物と三次元交絡されて
いる不織シート状物である場合は、不織シート状物が編
織物によって補強されているために、附与される水系高
分子エマルジョンの量を少なくするなど広い範囲で選択
することが出来、その結果しなやかで柔軟な風合ときめ
細かな表面立毛品位が得やすく、且つ物性も一緒に満足
させることが出来、そのために本発明による製造方法の
効果を最大限に発揮することができる。
不織シート状物の起毛処理方法は針布、ブラシ及びバフ
等により可能であるが、エメリーペーパーによるバフィ
ングが、立毛の長短やきめ細さを使用するエメリーペー
パーの番手、回転速度等によって容易に調整可能な点で
好しい。
本発明は乾燥行程でのエマルジョン物質のマイグレーシ
ョンを防止し、且つ表面立毛層に水溶性高分子化合物を
集中的に集めることで立毛層を保護するという考えに立
脚しており、そのためには水溶性高分子化合物の水溶液
と水系高分子化合物の混合物を附与する事が必須要件で
ある。
本発明の水溶性高分子化合物としてはメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセ
ルロース、カゼイン、部分ケン化及び完全ケン化ポリビ
ニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸
等の水溶性の高分子化合物を使用できるが、水系高分子
エマルジョンの増粘効果と水溶液中でのマイグレーショ
ンの容易性及びコスト的観点からポリビニルアルコール
類が好ましい。より好ましくは、粘度25センチポイズ
(4%水溶液20℃、ヘプラー粘度計)以下のポリビニ
ルアルコール類である。更に本発明者等の検討の結果、
ポリビニルアルコール類の粘度及びケン化度によって表
面立毛の保護機能が変化するので、粘度25センチポイ
ズ(4%水溶液20℃、ヘプラー粘度計)以下で且つケ
ン化度95モル%以上のポリビニルアルコール類を本発
明に適用すると良い。この場合では水系高分子エマルジ
ョンの付着量の高い領域及びマイグレーションの起こし
易い水系高分子エマルジョンであっても非常に安定した
良好な立毛保護が達成される。
本発明において用いられる水系高分子エマルジョンとし
てはポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン(共重合体)、
ポリ塩化ビニル(共重合体)、ポリアミド、ポリアミノ
酸、ポリ酢酸ビニル(共重合体)、ポリアクリル酸共重
合体、ポリアクリル酸エステル、SBR,NBR等の乳化重合
品、もしくはこれらを水に分散させたものがあげられ
る。かかる水系高分子エマルジョンの種類は得られるス
エード調人工皮革の用途によって適宜選択すれば良い。
例えば、ポリウレタンの水系エマルジョンの場合は耐光
性,耐洗濯性,耐ドライクリーニング性、及びバランス
の良い柔軟性と反撥弾性を付与することが出来、衣料用
途向けのスエード調人工皮革の製造に極めて有用であ
る。又、ポリ塩化ビニリデン共重合体の水系エマルジョ
ンの場合は必要な物性に加え難燃性を具備し、且つ良好
な立毛品位を有するスエード調人工皮革を安価に製造す
ることが出来、このものは壁装材等インテリア用途向け
に特に有用である。
次いで、起毛された不織シート状物に附与する水溶性高
分子化合物の水溶液と水系高分子エマルジョンの混合物
の濃度について説明する。混合物中における水系高分子
エマルジョンの濃度は目的とするスエード調人工皮革の
性量、風合、物性(引裂強度,剥離強度等)を得るため
に必要なエマルジョン物質の付着量から適宜選択出来る
が、1〜40%濃度の範囲、不織シート状物に対する付
着量としては2〜100%が好ましい。附与される不織
シート状物が、編織物によって補強された様なそれ自体
が高強度の物性を有する場合においては、上記混合物中
のエマルジョン物質の濃度は1〜30%の範囲、不織シ
ート状物に対するエマルジョン物質の付着量として2〜
60%の範囲が好ましい。即ち、エマルジョン物質の不
織シート状物に対する付着量が1%未満ではエマルジョ
ン物質のバインダー効果が著しく低下し目的とする人工
皮革の剥離強度、寸法安定性等の物性が得られず、付着
量が100%以上になると硬く、ゴワゴワした風合にな
り好ましくない。
一方、本発明の不織シート状物に附与される混合物中の
水溶性高分子化合物の濃度は目的とするスエード調人工
皮革の物性,風合及び表面品位が1.5〜15%の範囲が
好ましい。1.5%未満では本発明の主旨とする水溶性高
分子化合物によるエマルジョン粒子のマイグレーション
防止効果及び表面立毛層の保護効果が乏しく、良好な立
毛品位が得られない。又15%濃度以上になると混合物
の粘度が著しく高くなり不織シート状物に附与する際に
斑付きしたり、水溶性高分子化合物の介在によりエマル
ジョン物質と不織シート状物の構成繊維との結合効果を
弱め剥離強度等の物性低下につながる。
本発明において水溶性高分子化合物の水溶液と水系高分
子エマルジョンの混合物は起毛された不織シート状物に
附与されるが、その付与方法は従来の含浸法、スプレー
法、コーティング法等により行う事が出来る。作業性及
びピックアップのコントロールの容易性を考慮すると混
合物に起毛した不織シート状物を浸漬後、ドクターナイ
フ及びマングル等で絞る含浸法が好ましい。
本発明の加熱乾燥の具体的方法は熱風加熱、赤外線加
熱、高周波加熱等を適用出来るが、本発明の水溶性高分
子化合物を乾燥時に不織シート状物の立毛層により多く
集め立毛層を保護するという主旨からすれば、ピンテー
ター、クリップテンター、ショートループ方式等の熱風
加熱乾燥がより好ましい。乾燥温度は水溶性高分子化合
物の水溶液と水系高分子エマルジョンの混合物の種類、
濃度、粘度等により適宜選択して用いられるが、水系高
分子エマルジョンの最低造膜温度以上、好ましくは80
℃以上の温度で乾燥することでエマルジョン粒子の融着
を行ない強固な被膜を形成せしめる事によって、物性
(剥離強度,耐水性等)及び、把持の優れた立毛を得る
事が出来る。引続いて、オープンソーパー、ウインス等
により熱水処理され、水溶性高分子化合物を抽出除去す
ることによって、エマルジョン加工後の起毛処理を経る
ことなく立毛品位の優れたスエード調人工皮革を一挙に
得ることが出来る。
本発明による製造方法はかかる構成をとることによっ
て、物性および風合を満たし且つ立毛品位に優れたスエ
ード調人工皮革を提供するものであるが、本発明におけ
る水系エマルジョン等の附与加工実施前に、不織シート
状物を予め染色等で着色する事はエマルジョン物質に吸
尽される染料のロスを防ぐことができる点で好ましい。
又、本発明の製造法に用いられる不織シート状物の構成
成分中に熱水可溶性のポリビニルアルコール繊維等を含
ませると、本発明で得られるスエード調人工皮革の柔軟
性及び弾性を高める手段として有効である。この場合、
ポリビニルアルコール繊維等は本発明のエマルジョン加
工後の熱水処理の際に水溶性高分子化合物と同時に抽出
除去されて、より柔軟で反撥弾性のあるスエード調人工
皮革を得ることが出来る。又、本発明の水溶性高分子化
合物の水溶液と水系高分子エマルジョンの混合物の中に
は少量の有機溶剤、耐候剤等の各種安定剤、顔料、及び
マイグレーション防止剤等が入っていても何らさしつか
えない。
以上の製造方法により物性および風合を満たし立毛品位
に優れたスエード調人工皮革が得られるが、引続き染
色、表面のブラシング、静電加工、撥水加工等の仕上加
工等を施して更に商品価値を高めることができる。特に
液流揉布染色機等を用いて本発明の製造方法で得られる
スエード調人工皮革を染色することは立毛品位及び柔軟
性を更に高める手段として有効である。
〔実施例〕
本発明による製造方法の実施例数例を下記に説明し、併
せて得られたスエード調人工皮革の物性を比較例と対比
して示す。なお物性はそれぞれの試料をサーキュラー染
色後に行った。
実施例の説明中に用いられる各測定値の測定方法は下記
の通りである。
粘度:4%水溶液20℃ヘプラー粘度計 柔軟度:L1079A法(45°カンチレバー法) 耐シワ率:L1079A法(針金法) 剥離強度:縦方向10cm,横方向2cmの試験片を切り
出し、該試験片の一方の端部から編織物層と表の不織布
層を剥離(約5cm)後、その両端をクランプし5cm/分の
速度でテンシロン型引張試験機で引張り、その時の強力
を剥離強度とした。
実施例1 直接紡糸法によって得られた単繊維繊度0.1デニール(2
50d/2500f)のPET極細繊維を製造し、長さ5mmに切断し
た極細短繊維を水中に分散せしめ抄造用スラリーとし
た。このスラリーを抄造し目付80g/m2の不織ウエブを
製造し、75デニール/36フィラメントのPET繊維か
らなる目付量50g/m2の平織物の両面に上記不織ウエブ
を積層し高速水流の噴射により三次元的に交絡一体化さ
せた。高速水流は孔径0.1mmの直進流噴射ノズルから3
0Kg/cm2の圧力で噴射した。積層シートは下面に吸引装
置を有する80メッシュの金網に載せノズルから30mm
の位置で高圧水流を衝突させた。積層シートの表裏両面
から、この操作を行ない目付量210g/m2.厚さ0.95m
m,見掛密度0.22g/m2のシート状物を製造した。このシ
ート状物を240番のエメリーペーパーを用いペーパー
速度700m/分で表面をバフィングし厚さ0.9mmとし
た。これに粘度6.0センチポイズでケン化度86〜89
モル%のポリビニルアルコール(PVA)の18%水溶液
とポリエーテル系の水分散ポリウレタンエマルジョン
(大日本インキ製,ボンディック1610NS,固型分濃度2
5%)を混合調整したPVA濃度6%,エマルジョン固型
分濃度7%からなる混合物に前記行程で立毛せしめた不
織シート状物を浸漬しマングルで絞って混合物の含浸量
をシート状物重量の2.5倍に合せた後に、130℃のピ
ンテンター方式熱風乾燥機で4分加熱乾燥した。このシ
ート状複合物を顕微鏡で観察すると立毛表面はポリビニ
ルアルコールが付着し全く立毛が見られなかった。次い
でこのシート状複合物を熱水中に投入しポリビニルアル
コールを抽出し、よく水洗した後に乾燥したところ満足
すべき物性と風合を有し立毛品位の優れたスエード調人
工皮革が得られた。このスエード調人工皮革の物性を第
1表に示す。
実施例2 実施例1で使用した不織シート状物を同様に起毛処理
し、実施例1と同じPVAと水分散ポリウレタンエマルジ
ョンから混合調整したPVA濃度6%、エマルジョン固型
分濃度11%(実施例2-1)及びPVA濃度6%、エマルジ
ョン固型分濃度15%(実施例2-2)からなる混合物に
それぞれ前記不織シート状物を浸漬し、以下実施例1と
同様にしてスエード調人工皮革を得た。このスエード調
人工皮革の物性を第1表に示す。
比較例1,2および3 実施例1,2と同じ水分散ポリウレタンエマルジョン
(大日本インキ製,ボンディック1610NS,固型分濃度2
5%)からPVA水溶液を混合せずにエマルジョン固型分
濃度7%(比較例1)、11%(比較例2)、15%
(比較例3)をそれぞれ調整し、実施例1,2と同様に
してスエード調人工皮革を得たが、全ての条件に於いて
硬くてシワの付き易い風合で、剥離強度も低く表面立毛
は全く形成されなかった。このスエード調人工皮革の物
性を第1表に示す。
第1表から判るように本発明による製造方法によって作
られたスエード調人工皮革は表面立毛品位を始めとする
物性において従来公知の方法による比較例より優る。
なおポリウレタンエマルジョン固型分濃度が高くなるに
つれ、物性は更に向上するが一方、柔軟性及び表面の立
毛品位が低下する傾向を示している。
実施例3 0.1デニールPET繊維を3mmの長さに切断した極細短繊維
90部と60℃以上の温水に溶解するポリビニルアルコ
ール短繊維(1デニール,長さ5mm)10部とを水中に
分散せしめ抄造用スラリーとした。このスラリーを抄造
し目付80g/m2の不織ウエブ(A)を製造し、又同様にし
て前記極細短繊維50部と前記ポリビニルアルコール短
繊維50部からなるスラリーから抄造して目付80g/m2
の不織ウエブ(B)を製造し、75デニール/36フィラ
メントのPET繊維からなる平織物の表面に不織ウエブ
(A)、裏面に不織ウエブ(B)を積層し、以下実施例1と同
様な方法で不織シート状物(目付量210g/m2.厚み0.
95mm,見掛密度0.22g/cm3)を得た。この不織シート状
物を320番のエメリーペーパーを用いペーパー速度8
00m/分で表面をバフィングし厚さ0.89mmとした。次
に、ケン化度86〜89モル%で粘度が5.5cps(実施例
3-1),18cps(実施例3-2)32cps(実施例3-3)で
ある3種の異なるPVAの水溶液とポリエーテル系の水分
散ポリウレタンエマルジョン(大日本インキ製,ボンデ
ィック1610NS,固型分濃度25%)からそれぞれ混合調
整してPVA濃度8%、エマルジョン固型分濃度12%か
らなる3種の混合物を準備した。混合物それぞれに前記
行程で立毛せしめた不織シート状物を浸漬しマングルで
絞って混合物のピックアップ率を250%に合せた後、
130℃のピンテンター方式熱風乾燥機で乾燥した。次
いで得られたシート状複合物を熱水中に投入し、PVA及
びポリビニルアルコール短繊維を同時に溶解し抽出除去
した。水洗した後に乾燥したところ、充分な物性と風合
を有し且つ立毛品位の優れたスエード調人工皮革が得ら
れた。用いたPVAの粘度の違いによって表面の立毛に若
干差が認められ、PVA粘度の低い方がより良好な立毛品
位を示す傾向があった。このスエード調人工皮革の物性
第2表に示す。
実施例4 実施例3で使用した不織シート状物を同様に起毛処理を
施し、ケン化度98モル%以上で粘度が5.0cps(実施例
4-1),15cps(実施例4-2),30cps(実施例4-3)
である3種の異なるPVA水溶液と実施例3と同じ水分散
ポリウレタンエマルジョンから同様に混合物を調製し、
以下実施例3と同様に処理することによって、ポリウレ
タンエマルジョン固型分濃度の高い領域に於いても物
性,風合を満足し且つ優れた表面立毛品位を有するスエ
ード調人工皮革を得ることが出来た。このスエード調人
工皮革の物性を第2表に示す。
実施例3,4の比較(第2表)から本発明に用いられる
水溶性高分子化合物として、粘度が低く及び/又はケン
化度の高いPVAを使用することによってより好ましい表
面立毛品位を得られることが判る。これは、粘度が低く
及び/又はケン化度の高いPVAがエマルジョン粒子のマ
イグレーション抑制効果と該PVA自身のマイグレーショ
ンの容易性に基づく表面立毛保護効果に優れているため
と考えられる。
実施例5 0.1デニールPET繊維を3mmの長さにカットした極細短繊
維を水中に分散せしめ抄造用スラリーとした。このスラ
リーを抄造し目付45g/m2の不織ウエブを製造し、10
0デニール/48フィラメントのPET繊維からなる目付
量55g/m2の平織物の両面に上記不織ウエブを積層し、
以下実施例1と同様に高速水流処理を行ない目付量14
5g/m2,厚さ0.55mm,見掛密度0.26g/cm3の不織シート
状物を製造した。このシート状物を240番のエメリー
ペーパーを用いペーパー速度800m/分で表面をバフィ
ングし厚さ0.50mmとした。次いで、粘度5.0cps,ケン化
度98モル%以上のPVAの水溶液とポリエステル系の水
分散ポリウレタンエマルジョン(大日本インキ製,ボン
ディック1610,固型分濃度40%)を混合しPVA濃度そ
れぞれ3.0%(実施例5-1),8.0%(実施例5-2),12
%(実施例5-3)で、エマルジョン固型分濃度が5.0%一
定からなる混合物を3種調整した。これらの混合物に前
記立毛された不織シート状物を浸漬しマングルで絞って
混合物のピックアップ率を250%に合せ、130℃の
ピンテンター方式熱風乾燥機で乾燥した。次いでこれら
のシート状複合物を熱水中に投入しPVAを抽出除去、水
洗,乾燥することによって、充分な物性と風合を有し且
つ立毛品位に優れたスエード調人工皮革を得ることが出
来た。このスエード調人工皮革の物性を第3表に示す。
実施例6 実施例5で用いたと同じ表面立毛処理された不織シート
状物を、粘度が5.0cps,ケン化度98モル%以上のPVA
水溶液と、塩化ビニリデンとアクリル酸エステル共重合
ラテックス(樹脂濃度50%)から調整したPVA濃度8.0
%,ラテックス濃度5%からなる混合物に浸漬し、以下
実施例5と同様に処理することによって難燃性が向上し
且つ充分な物性と風合で立毛品位に優れたスエード調人
工皮革を得ることができた。このスエード調人工皮革の
物性を第3表に示す。
実施例7 実施例5で用いたと同じ表面立毛処理された不織シート
状物を粘度が5.0cps,ケン化度98モル%以上のPVA水
溶液とアクリルニトリル・ブタジエン共重合体ラテック
ス(大日本インキ製,ラックスターTW101,固型分濃度
40%)から調整したPVA濃度8.0%,ラテックス濃度5
%からなる混合物に浸漬し、以下実施例5と同様に処理
することによって必要とする物性を充足し柔軟で耐シワ
性の良好なスエード調人工皮革が安価に得られた。この
スエード調人工皮革の物性を第3表に示す。
〔発明の効果〕 本発明によるスエード調人工皮革の製造方法は前述のよ
うに構成されているのでその製造方法を用いることによ
り下記の優れた効果が得られる。
有機溶剤タイプに較べ安価な各種水系エマルジョンタ
イプの高分子化合物を用いても要望される水準の物性お
よび風合を満たし且つ立毛品位に優れたスエード調人工
皮革を安価に製造することが出来る。
水溶性高分子化合物の水溶液と水系高分子エマルジョ
ンの混合物を起毛された不織シート状物に付与する事に
よって、乾燥時に於けるエマルジョン物質のマイグレー
ションを防止することで必要な物性および風合の確保が
可能となると同時に、上記水溶性高分子化合物が表面立
毛層にマイグレーションし立毛層を保護すると考えられ
るため、エマルジョン加工前に立毛層を糊剤等により保
護する行程(コーティング等)或はエマルジョン加工後
の起毛処理行程を省略しても良好な立毛品位を得ること
が出来る。
なお、水系高分子エマルジョンとしてポリ塩化ビニリデ
ン(共重合体)ラテックスの様な難燃性樹脂を用いれ
ば、立毛品位に優れた難燃性スエード調人工皮革を製造
することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少くとも表面繊維層として単繊維繊度0.5
    デニール以下の極細繊維を主体としてなる繊維層を含ん
    で成る不織シート状物に、水系高分子エマルジョンを附
    与し、加熱乾燥してスエード調人工皮革を製造する方法
    において、前記不織シート状物の表面繊維層を予め起毛
    処理し、次いで前記水系高分子エマルジョンに水溶性高
    分子化合物の水溶液を混合して付与し、加熱乾燥した後
    に前記水溶性高分子化合物を抽出除去することを特徴と
    するスエード調人工皮革の製造方法。
  2. 【請求項2】前記不織シート状物が単繊維繊度0.5デニ
    ール以下の極細繊維を主体としてなる表面繊維層と、該
    表面繊維層で少くとも片面全体が覆われ且つ三次元交絡
    している編織物とを含んで成ることを特徴とする特許請
    求の範囲第1項に記載のスエード調人工皮革の製造方
    法。
  3. 【請求項3】水溶性高分子化合物が粘度25センチポイ
    ズ(4%水溶液20℃,ヘプラー粘度計)以下のポリビ
    ニルアルコール類であることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項または第2項に記載のスエード調人工皮革の製
    造方法。
  4. 【請求項4】水溶性高分子化合物が粘度25センチポイ
    ズ(4%水溶液20℃,ヘプラー粘度計)以下で且つケ
    ン化度95モル%以上のポリビニルアルコール類である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第3項に記載のスエー
    ド調人工皮革の製造方法。
  5. 【請求項5】水系高分子エマルジョンがポリウレタンの
    水系エマルジョンであることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項または第2項に記載のスエード調人工皮革の製
    造方法。
  6. 【請求項6】水系高分子エマルジョンがポリ塩化ビニリ
    デン共重合体の水系エマルジョンであることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項または第2項に記載のスエード
    調人工皮革の製造方法。
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