JPH0655950B2 - 新規可逆変色性化合物及びそれを用いた可逆変色性材料 - Google Patents

新規可逆変色性化合物及びそれを用いた可逆変色性材料

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JPH0655950B2
JPH0655950B2 JP6369088A JP6369088A JPH0655950B2 JP H0655950 B2 JPH0655950 B2 JP H0655950B2 JP 6369088 A JP6369088 A JP 6369088A JP 6369088 A JP6369088 A JP 6369088A JP H0655950 B2 JPH0655950 B2 JP H0655950B2
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俊一 松村
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【発明の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 本発明は、新規可逆変色性化合物及びそれを用いた可逆
変色性材料に関するものであり、更に詳しくは光応答
性,熱的,経時的安定性に優れたフォトクロミック材
料,サーモクロミック材料、例えば調光材料,光記憶材
料,フォトレジスト材料,表示素子等として利用可能で
ある新規可逆変色性化合物及びそれを用いた可逆変色性
材料に関するものである。
b.従来技術 外部からの刺激により色が変わる材料、いわゆる光の作
用で変色するフォロクロミック材料,熱の作用で変色す
るサーモケロミック材料は各種の表示材料,記憶材料,
感光性材料,光学材料として、さまざまに検討されてい
る。フォトクロミック材料,サーモクロミック材料とし
ては具体的にはスピロピラン系のような分子内開裂反応
を利用するもの、あるいはまたフルギド系のような閉
環,開環反応を利用するもの、あるいはまたサリチリデ
ンアニル系のような分子内水素移動を利用するもの、あ
るいはまたトリフェニルメタン系のような光解離反応を
利用するもの、あるいはまたアゾベンゼン系のようにシ
スートランス互変異性を利用するもの等がある。
しかしながら、従来までのフォトクロミック化合物,サ
ーモクロミック化合物はいずれも根本的課題である熱
的,経時的安定性,応答性,可逆性,耐久性において満
足すべき性能を有しておらず、改善すべき問題点を多く
含んでいる。
c.発明の目的 本発明者らは、フォトクロミック材料,サーモクロミッ
ク材料として熱的,経時的安定性,応答性,耐久性,可
逆性に優れた新規可逆変色性化合物及びそれを用いた可
逆変色性材料を提供すべく鋭意研究した。その結果4,
4′−ビス(アミノフェニル)メタン(以下MDAと略
称する)の誘導体として得られる塩及びそれを用いた材
料が、予想外にも光や熱の作用によって可逆的に変色す
ることを新たに見つけ、本発明に到達した。
d.発明の構成 すなわち、本発明は、下記式(I)又は下記式(II)で
示される新規可逆性化合物、 とこの可逆変色性化合物を固体又は液体の媒体中に溶解
ないし均一に混合してなる可逆変色性材料に関するもの
である。
以下、本発明について詳述する。
本発明の新規可逆変色性化合物は式(I)及び式(II)
に示されるMDA誘導体化合物である。ここで、式
(I)及び式(II)中のR1〜R6は水素原子,炭化水素
基及び炭化水素基以外の置換基を有していてもよい炭素
数1〜15の脂肪族,炭素数5〜10の脂環族,及び炭素数
6〜12の芳香族残基を示す。
脂肪族残基としては各種,飽和残基あるいはまた各種不
飽和残基を示す。
1〜R6としては具体的には、脂肪族炭化水素残基の中
からアルカン類、例えばメチル,エチル,n−プロピ
ル,i−プロピル,n−ブチル,i−ブチル,n−ペン
チル,i−ペンチル,sec −ペンチル,tert−ペンチ
ル,n−ヘキシル,i−ヘキシル,sec −ヘキシル,te
rt−ヘキシル,n−デシル,sec −デシル,tert−デシ
ル,n−テトラデシル等を例示することができ、またア
ルケン類、例えばビニル,アリール,2−ブテニル,2,
4 −ヘキサジエニル等を例示することができ、またアル
キン類、例えば1−ペンチニル,2−ブチニル等を例示
することができる。
また脂環族炭素水素残基の中から、シクロアルカン類、
例えばシクロペンチル,シクロヘキシル等を例示するこ
とができ、シクロアルケン類、例えば1−シクロペンテ
ニル,2−シクロペンテニル,3−シクロペンテニル,
1−シクロヘキセニル,2−シクロヘキセニル,3−シ
クロヘキセニル等を例示することができ、また芳香族炭
化水素残基の中から、フェニル,1−ナフチル,2−ナ
フチル等を例示することができる。またこれらの炭化水
素残基に結合してもよい置換基としては特に制限はな
く、各種炭素数1〜15の脂肪族炭化水素残基,炭素数5
〜10の脂環族炭化水素残基,炭素数6〜12の芳香族炭化
水素残基,ハロゲン基,アルコキシ基,アルミ基,ホル
ミル基,エポキシ基,シアノ基,ヒドロキシル基,カル
ボキシル基,アミノ基等が可能であり更にまたこれらの
置換基に別の置換基が結合していてもよい。
更に本発明においてはR1〜R3の中の少くとも一つが水
素原子以外の残基である必要があり、また本発明におい
てはR1〜R6の中の二つ以上が水素原子以外の残基であ
ることがより好ましい。更にR1〜R6の二つ以上が水素
原子以外の残基である場合には、これらの残基が互いに
結合し、環構造を形成していてもよい。
本発明においてR1〜R3の水素原子以外の残基としては
脂肪族残基がより好ましく、中でもベンジル,エチル,
メチルが等に好ましい。
また式(I)及び式(II)中のX は一価のアニオンを
示し、X についてはとくに制限はなく、具体的には有
機スルホン酸アニオン類、例えばメタンスルホン酸アニ
オン,エタンスルホン類アニオン,ベンゼンスルホン酸
アニオン,p−トルエンスルホン酸アニオン等を例示す
ることができ、また有機スルフィン酸アニオン類、例え
ばメタンスルフィン酸,エタンスルフィン酸アニオン,
ベンゼンスルフィン類アニオン,p−トルエンスルフィ
ン酸アニオン等を例示することができ、またCl- ,Br
- ,I- 等のハロゲアニオン、H2OP4 -,H2PO3 -
のリン酸アニオン類、ClO4 - ,BF4 - 等を例示する
ことができ、この内p−トルエンスルホン酸アニオン
類,p−トルエンスルフィン酸アニオン類,ハロゲンア
ニオンがより好ましい。なお、X はとしては単独でも
よいが、複数種の混合したものでもよい。
式(I)で示される新規可逆変色性化合物としては具体
的には、4,4′−ビス[(N−メチル−アンモニオ)フ
ェニル]メタンジp−トルエンスルホネート,4,4′−
ビス[(N−エチル−アンモニオ)フェニル]メタンジ
p−トルエンスルフィネート,4,4′−ビス[(N−プ
ロピル−アンモニオ)フェニル]メタンジベンゼンスル
ホネート,4,4′−ビス[(N−グリシジル−アンモニ
オ)フェニル]メタンジクロリド,4,4′−ビス[(N
−ベンジス−アンモニオ)フェニル]メタンジブロミ
ド,4,4′−ビス[(N−ヘキシル−アンモニオ)フェ
ニル]メタンジメタンスルホネート,4,4′−ビス
[(N−テトラデシル−アンモニオ)フェニル]メタン
ジエタンスルホネート,4,4′−[(N−シクロペンチ
ル−アンモニオ)フェニル]メタンジメタンスルフィネ
ート,4,4′−ビス[(N−シクロヘキスル−アンモニ
オ)フェニル]メタンジエタンスルフィネート,4,4′
−ビス[(N−エチル−N−メチル−アンモニオ)フェ
ニル]メタンジp−トルエンスルホネート,4,4′−ビ
ス[(N−2−クロルエチル−アンモニオ)フェニル]
メタンジp−トルエンスルフィネート,4,4′−ビス
[(N,N−ジエチル−アンモニオ)フェニル]メタン
ジp−トルエンスルホネート,4,4′−ビス[(N,N
−ジエチル−N−メチル−アンモニオ]メタンジヨ−ダ
イド等を例示することが可能であり、式(II)で示され
る新規可逆変色性化合物としては具体的には、4−(N
−メチル−アンモニオ)フェニル4′−(N′−メチル
−アミノ)フェニルメタンp−トルエンスルホネート,
4−(N−エチル−アンモニオ)フェニル4′−(N′
−エチル−アミノ)フェニルメタンp−トルエンスルフ
ィネート,4−(N−プロピル−アンモニオ)フェニル
4′−(N′−プロピル−アミノ)フェニルメタンメタ
ンスルホネート,4−(N−グリシジル−アンモニオ)
フェニル4′−(N′−グリシジル−アミノ)フェニル
メタンエタンスルホネート,4−(N−ベンジル−アン
モニオ)フェニル4′−(N′−ベンジル−アミノ)フ
ェニルメタンエタンスルホネート,4−(N−フェニル
−アンモニオ)フェニル4′−(N′−フェニル−アミ
ノ)フェニルメタンフェニルスルホネート,4−(N−
エチル−N−プロピル−アンモニオ)フェニル4′−
(N′−エチル−アミノ)フェニルメタンブロミド,4
−(N,N−ジエチル−N−メチル−アンモニオ)フェ
ニル4′−(N′,N′−ジエチル−アミノ)フェニル
メタンヨ−ダイド等を例示することが可能である。この
内4,4′−ビス[(N−ベンジル−アンモニオ)フェニ
ル]メタンジp−トルエンスルホネート,4,4′−ビス
[(N−ベンジル−アンモニオ)フェニル]メタンジク
ロリド,4,4′−ビス[(N,N−ジエチル−アンモニ
オ)フェニル]メタンジp−トルエンスルホネート,4,
4′−ビス[(N,N−ジエチル−N−メチル−アンモ
ニオ)フェニル]メタンジヨ−ダイド,4,4′−ビス
[N,N−ジグリシジル−アンモニオ)フェニル]メタ
ンジp−トルエンスルホネート,4,4′−ビス[(N,
N−ジエチル−アンモニオ)フェニル]メタンジp−ト
ルエンスルホネートが好ましく、更にこれらの可逆変色
性化合物は1種又は2種以上を併用することが可能であ
る。
本発明の化合物は、塩であることによって可逆変色性を
示すものである。
以上の新規可逆変色性化合物について合成上の制限はな
く、例えばMDAを出発原料として、これをN−炭化水
素置換することによって、あるいはN−置換アニリンを
出発原料としてこれをホルマリン縮合することによって
(いずれも公知)容易にN−炭化水素置換MDAを合成
することが可能であり、更にN−炭化水素置換MDA,
これと酸あるいはハロゲン化物等を適切な溶媒中で室温
あるいは加熱撹拌反応させること(いずれも公知)によ
って容易に合成することが可能である。
また、可逆変色性化合物は、N−炭化水素置換MDAと
酸あるいはハロゲン化物等から容易に合成することが可
能であり、このことから媒体に両者を混入し媒体中で可
逆変色性化合物を生成せしめることも可能である。
本発明の可逆変色性化合物はそれ単独で使用してもよい
が、これを固体又は液体の他種媒体中に溶解ないし均一
に混合することによりその特性をより有効に発現させる
ことができる。ここで本発明の可逆変色性化合物を溶解
ないし均一に混合させる媒体としては、水,あるいは各
種有機溶媒,各種ポリマーを示す。
各種有機溶媒としては、具体的には、炭化水素系有機溶
媒、例えばペンタン,ヘキサン,シクロヘキサン,ベン
ゼン,トルエン,キシレン等あるいはアルコール系有機
溶媒、例えばメタノール,エタノール,プロパノール,
i−プロパノール,シクロヘキサノール,フェノール,
クレゾール等あるいはハロゲン系有機溶媒、例えばジク
ロルメタン,1,2 −ジクロルエタン,ヨウ化メチル,ク
ロロホルム,四塩化炭素,クロルベンゼン等あるいはア
ミド系有機溶媒、例えばメチルピロリドン,N,N−ジ
メチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,
ホルムアミド,N−メチルホルムアミド,ヘキサメチル
リン酸トリアミド等あるいはエーテル系有機溶媒、例え
ばジメチルエーテル,ジエチルエーテル,ジオキサン等
あるいはケトン系有機溶媒、例えばアセトン,メチルエ
チルケトン,シクロヘキサノン等あるいはエステル系有
機溶媒、例えば酢酸エニル,酢酸メチル等あるいはイオ
ン原子含有系有機溶媒、例えばジメチルスルホキシド,
スルホラン等あるいは窒素原子含有系有機溶媒、例えば
ピリジン等を例示することができ、また各種ポリマーと
しては、具体的には熱可塑性樹脂の中から例えば、ポリ
−塩化ビニリデンアイオノマ−樹脂,AAS樹脂,AB
S樹脂,MBS樹脂,エチレン酢ビコポリマー,ポリ−
酢酸ビニルポリブタジエン,ポリ−N−ビニル−2−ピ
ロリドン,ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド,ポ
リ−2−ヒドロキシエチルアクリレート,ポリ−アクリ
ルアミド,ポリエチレン,ポリスチレン,ポリプロピレ
ン,ポリカーボネート,ポリメチルメタクリレート,ポ
リビニルブチラール,フェノキシ樹脂,フッ素樹脂,ポ
リアセタール,ポリアミド,ポリエステル,ポリアミド
イミド,ポリアクリレート,ポリエーテルイミド,ポリ
エーテルエーテルイミド,ポリカーボネート,ポリサル
ホン,ポリフェニレンサルファイド,メチルペンテンポ
リマー等あるいは熱硬化性樹脂の中から例えば、フェノ
ール樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,ポリウレタン樹
脂,グアナミン樹脂,ジアリルフタレート樹脂,ビニル
エステル樹脂,フラニ樹脂,ポリイミド樹脂,エポキシ
樹脂,メラミン樹脂,ユリア樹脂,ビスオキサゾリン系
樹脂あるいは天然高分子誘導体、例えば酢酸セルロー
ス,CM−セルロース等あるいは、一般的にワニスと呼
ばれる天然あるいは合成樹脂等を示すことが可能であ
る。また以上の媒体は1種又は2種以上を併用すること
が可能である。
本発明の可逆変色性化合物の任意媒体に対する使用量
は、溶解ないし均一に混合できる割合であれば特に制限
はないが、可逆変色性化合物の全重量に対する割合が0.
001 〜70%であることが好ましく、0.01〜50%であるこ
とが特に好ましい。
本発明の可逆変色性化合物を溶解ないし均一に混合させ
る方法にとくに制限はなく、溶解させる方法としては例
えば水あるいは上述した有機溶媒中に可逆変色性化合物
を混入し室温撹拌,加熱撹拌あるいは超音波処理等によ
って容易に溶解させることが可能であり、また各種ポリ
マー中へ均一に混合させる方法としては、例えば水又は
有機溶媒に可逆変色性化合物、担体となる樹脂を溶解さ
せプレート上にキャストした後、有機溶媒を蒸発させる
ことによって均一混合させる方法(キャスト法)あるい
は可逆変色性化合物を水,又は有機溶媒に溶解させ、当
溶液へあらかじめ作成した樹脂成形品を入れ、加熱等の
処理によって可逆変色性化合物を樹脂中に均一混合させ
る方法(含浸法)あるいは可逆変色性化合物を各種モノ
マーに溶解し、成形金型中へ仕込み、樹脂成形と共に可
逆変色性化合物を均一混合させる方法(成形法)あるい
は、担体となる樹脂と可逆変色性化合物を、従来公知の
エクストルーダー等に加熱溶融混合させる方法(溶解混
合法)等が考えられる。また可逆変色性化合物は、以上
の溶解ないし均一に混合させる過程で、媒体中に生成し
てもよく、すなわち可逆変色性化合物の生成と可逆変色
性化合物の溶解ないし均一混合が同時に生じてもよい。
例えばキャスト法においてN−炭化水素置換体と酸を同
じに溶媒に溶解し、溶液中で可逆変色性化合物を生成せ
しめてもよく、また含浸法においてN−置換体を均一混
入した樹脂成形品を酸を溶解した溶液中へ入れ、酸の含
浸によって樹脂中に可逆変色性化合物を生成せしめても
よく、また成形法においてN−置換体とハロゲン化物を
別々のモノマーに溶解し、成形金型中で可逆変色性化合
物を生成せしめてもよく、また溶解混合法においてN−
置換体とハロゲン化物を別々のポリマーに混合しエクス
トルーダー内で可逆変色性化合物を生成せしめてもよ
い。
可逆変色性材料の状態としては特に制限はないが、溶液
状態よりは固体状態がより好ましく、また形態としては
特に制限はなく、例えば繊維状,樹脂状,フイルム状あ
るいは他の担体上にコーティングされた形態等が考えら
れる。また可逆変色性材料は、可塑剤,安定剤,帯電防
止剤,難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
以上のような方法によって新規可逆変色性材料が得られ
る。得られた新規可逆変色性材料を着色するにあたっ
て、その方法について、特に制限はないが、フォトクロ
ミック材料として着色する場合には媒体の種類,可逆変
色性化合物の種類と量,光の強度,照射時間,温度等に
よって変色速度,及び着色の強さがさまざまに異なる。
本発明の可逆変色性材料をフォトクロミック材料として
着色する場合の照射時の温度は、溶液状態では溶媒の凝
固点以上沸点以下が好ましく、凝固点+10℃上沸点−10
℃以下がより好ましく、また固体状態ではtg−10℃以下
が好ましくtg−30℃以下がより好ましい。ここでtgは熱
機械特性測定装置を用い昇温速度10℃/分で測定した場
合の転移温度を示す。照射時間は着色が十分に進行する
時間であればよく1時間以下が好ましく、30分以下がよ
り好ましく、10分以下が特に好ましい。
照射方法としてはフォトクロミック材料全体を照射する
方法の他に局部的に照射しあるいはマスキングするなど
して部分的に変色させることも可能である。
光照射によって着色した、可逆変色性材料は加熱するこ
とによって脱色させることが可能であり、その方法につ
いては特に制限はないが、媒体の種類,化合物の種類と
量,加熱の温度,時間等によってその脱色速度等がさま
ざまに異なる。加熱温度は溶液状態では溶媒の凝固点以
上、沸点以下が好ましく凝固点+10℃以上沸点−10℃以
下がより好ましい。また固体状態ではtg−50℃以上が好
ましくtg−30℃以上がより好ましい。
加熱時間は樹脂の脱色が十分に進行する時間であればよ
く、1時間以下が好ましく数分以下がより好ましく、数
秒以下が特に好ましい。
加熱方法としては熱風加熱,蒸気加熱,熱溶媒加熱等に
よって可逆変色性材料の全体を加熱する方法の他に、赤
外線,レーザー光等の放射光によって部分的に加熱脱色
することも可能である。
脱色をした可逆変色性材料は以上の着色及び脱色処理を
繰り返すことによって、可逆的に変色をする。
また新規可逆変色性材料の変色は、回りの環境について
とくに制限はなく、空気中においても窒素下においても
良好に変色を示すが、溶液状態では酸素が溶存しない溶
液で用い、固体状態では真空中あるいは不活性ガス中で
材料を用いることがより好ましい。
e.発明の効果 本発明の可逆変色性化合物及びそれを用いた可逆変色性
材料は着色及び脱色が速くまた可逆的であり、耐久性も
極めてよい。更に今まで検討されてきたスピロピラン,
フルギドビオロゲン,トリフェニルメタン,アゾベンゼ
ン系の化合物に比べ、熱安定性,経時的安定性がよく、
媒体によっては脱色操作を行なわない限りほぼ永久に脱
色をしない等の長所がある。本発明の可逆変色性化合物
及び可逆変色性材料の着色,脱色の機構については未だ
不明な点が多いが、従来考えられなかった全く新規なフ
ォトクロミック性,サーモクロミック性素材であり、新
規な表示素子材料,記録材料,調光材料,フォトレジス
ト材料等として用途がさまざまに広がる可能性がありそ
の工業的意義は極めて大きい。
f.実施例 以下、実施例をあげて本発明を説明するが、実施例は説
明のためであって本発明はこれに限定されるものではな
い。また実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
参考例1 4,4′−ビス[(N,N−ジエチルアミノ)フェニル]
メタンの合成 4,4′−ビス(アミノフェニル)メタン38.4部,ヨウ化
エチル100 部,炭酸カリウム150 部をジオキサン300 ml
に溶解し15時間還流を行なった。次いで0.1mmHg で減圧
蒸留を行なったところ沸点190 ℃で固体留分を得た。
得られた固体は淡黄色であり融点37℃を示した。
参考例2 4,4′−ビス[(N−ベンジル−アンモニオ)フェニ
ル]メタンジp−トルエンスルホネートの合成 Y.Spinzak,J.Am.Chem.,Soc.,78,3207(1956)に示された
方法に従って得られた4,4′−ビス[(N−ベンジル−
アミノ)フェニル]メタン73.2部及びp−トルエンスル
ホン酸1水和物73.7部をそれぞれ別の300 mlフラスコ中
のジオキサン100 mlに溶解した。次いで室温で撹拌下、
p−トルエンスルホン酸溶液を4,4′−ビス[(N−ベ
ンジル−アミノ)フェニル]メタン溶液に加えたところ
液の色はあざやかな青色に変色した。
更にこの溶液をエバポレーターにより濃縮し、アセトン
を200 ml加えたところ淡黄緑色の沈澱が析出した。これ
を過し、乾燥を行ない粉末固体を得た。この化合物の
融点は171 ℃を示した。
元素分析値 参考例3 4,4′−ビス[(N−ベンジル−アンモニオ)フェニ
ル]メタンジクロリドの合成 4,4′ビス[(N−ベンジル−アミノ)フェニル]メタ
ン30部を300 mlフラスコ中のアセトン100 mlに溶解し、
室温撹拌下36%塩酸水溶液20ccを滴下したところ淡黄色
固体が析出した。これを過し乾燥を行なった。この淡
黄色固体の融点は168 ℃を示した。
元素分析値 参考例4 4,4′−ビス[(N,N−ジエチル−アンモニオ)フェ
ニル]メタンジp−トルエンスルホネートの合成 参考例1で得られた4,4′−ビス[(N,N−ジエチル
−アミノ)フェニル]メタン5.2 部及びp−トルエンス
ルホン酸1水和物6.4 部をそれぞれ別の300 mlフラスコ
中のアセトン100 mlに溶解した。次いで濃縮し乾燥を行
なったところ淡青白色固体を得た。この化合物の融点は
69℃を示した。
元素分析値 参考例5 4,4′−ビス[(N,N−ジエチル−N−メチル−アン
モニオ)フェニル]メタンジヨーダイドの合成 参考例1で得られた4,4′−ビス[(N,N−ジエチル
−アミノ)フェニル]メタン5部を、ヨウ化メチル30cc
に溶解し、5時間還流させたところ淡黄白色の固体が析
出した。これを過し、乾燥を行ない粉末固体を得た。
この化合物の融点は141 ℃を示した。
元素分析値 実施例1 4,4′−ビス[(N−ベンジル−アンモニオ)フェニ
ル]メタンジp−トルエンスルホネート18部,ポリビニ
ルピロリドン(東京化成工業(株)なお以下の実施例で用
いるポリビニルピロリドンはすべて同社市販品)100 部
をメタノール5ml完全に溶解させた。該溶液0.5 mlをあ
らかじめ100 ℃のホットプレート上で暖めた薄膜ガラス
上に薄く流延し、MeOHを完全に除去したところ、淡黄
色透明なガラスプレートが得られた。
次いで該ガラスプレートに紫外線ランプ(100Wウシオ電
機(株)UM102)を0℃で光源より15cmの距離で5分間照
射したところ、透明淡黄色に変色した。
実施例2 4,4′−ビス[(N−ベンジル−アンモニオ)フェニ
ル]メタンジクリド11部、ポリビニルピロリドン100 部
をメタノール5mlに完全に溶解させた。以下実施例1と
同様の方法でガラスプレートを作成し、紫外線を照射し
たところ透明淡黄色から透明淡青色に変色した。
実施例3 4,4′−ビス[(N,N−ジエチル−N−メチル−アン
モニオ)フェニル]メタンジヨーダイド10部,ポリビニ
ルピロリドン100 部をメタノール5mlに完全に溶解させ
た。以下実施例1と同様の方法でガラスプレートを作成
し、紫外線を照射したところ透明淡黄色から透明淡緑色
に変色した。
実施例4 4,4′−ビス[(N,N−ジエチル−アンモニオ)フェ
ニル]メタンジp−トルエンスルホネート12部,ポリビ
ニルピロリドン100 部をメタノール5mlに完全に溶解さ
せた。以下実施例1と同様の方法でガラスプレートを作
成し、紫外線を数秒照射したところ、透明淡黄色から透
明淡青色に変色をした。この青色プレートを200 ℃に加
熱したところ、数秒で再び淡黄色に変色した。更に同様
の方法で紫外線を照射したところ、再び透明青色に変色
をした。
実施例5 4,4′−ビス[(N−ベンジル−アミノ)フェニル]メ
タン9.4 部,p−トルエンスルホン酸エチル10部,ポリ
ビニルピロリドン100 部をメタノール,アセトン混合溶
媒(メタノール5ml,アセトン2ml)に完全に溶解させ
た。以下実施例1と同様の方法でガラスプレートを作成
し、紫外線を10分間照射したところ、透明淡黄色から透
明淡黄色に変色をした。
実施例6 4,4′−ビス[(N,N−ジエチル−アミノ)フェニ
ル]メタン7.6 部,p−トルエンスルホン酸4.3 部,ポ
リビニルピロリドン100 部を5ml,メタノール5mlに完
全に溶解させた。以下実施例1と同様の方法でガラスプ
レートを作成し、紫外線を3分間照射したところ、透明
淡黄色から透明青色に変色をした。この青色プレートを
200 ℃に加熱したところ数秒で再び透明淡黄色に変色
し、更に同様の方法で紫外線を照射したところ、透明青
色に変色をした。
実施例7 4,4′−ビス[(N−ベンジル−アンモニオ)フェニ
ル]メタンp−トルエンスルフィネート10部,ポリビニ
ルピロリドン100 部をメタノール5mlに完全に溶解し、
以下実施例1と同様の方法でガラスプレートを作成し、
紫外線を照射したところ、透明淡黄色から透明淡青色に
変色した。
実施例8 4,4′−ビス[(N,N−ジグリシジル−アミノ)フェ
ニル]メタン10部,p−トルエンスルホン酸10部,ポリ
ビニルピロリドン100 部をメタノール5mlに完全に溶解
し、以下実施例1と同様の方法でガラスプレートを作成
し、紫外線を照射したところ透明無色から透明暗青色に
変色した。
実施例9 2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)100
部,アジピン酸48.3部,亜リン酸トリフェニル4部を窒
素下のガラス容器へ入れ175 ℃に加熱し、完全に溶解混
合させた。次いであらかじめ175 ℃に加熱しておいた金
型成形器へ、窒素気流下該溶液を流し込みそのまま30分
反応させたところ、厚さ1mmの無色透明な樹脂を得た。
次いで4,4′−ビス[(N−ベンジル−アミノ)フェニ
ル]メタン5部及びp−トルエンスルホン酸5部をN−
メチルピロリドン10mlに完全に溶解し、先に作った樹脂
小片を浸し、150 ℃で30分間加熱含浸を行なった。
次いで樹脂小片を取り出し、乾燥後紫外線を0℃で光源
より15cmの距離で10分間照射したところ、樹脂小片は透
明無色から黄緑色に変色をした。
実施例10 2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)40
部,アジピン酸19.3部,4,4′−ビス[(N,N−ジエ
チル−アミノ)フェニル]メタン0.2 部及びp−トルエ
ンスルホン酸エチル2部を窒素下でガラス反応器へ入
れ、150 ℃で完全に溶解した。次いでこの溶液を175 ℃
で反応させたところ2分で硬化した。
得られた樹脂を粉砕し、0℃で紫外線を光源より15cmの
距離で10分間照射したところ、樹脂は淡褐色から緑色に
変色をした。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I)又は下記式(II)で示される
    可逆変色性化合物の少くとも1種を含有する可逆変色性
    材料。
  2. 【請求項2】請求項1記載の可逆変色性化合物を固体又
    は液体の媒体中に溶解ないし均一に混合してなる可逆変
    色性材料。
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