JP3051529B2 - ホトクロミック高分子材料 - Google Patents

ホトクロミック高分子材料

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JP3051529B2 JP3302705A JP30270591A JP3051529B2 JP 3051529 B2 JP3051529 B2 JP 3051529B2 JP 3302705 A JP3302705 A JP 3302705A JP 30270591 A JP30270591 A JP 30270591A JP 3051529 B2 JP3051529 B2 JP 3051529B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定性に優れたホトク
ロミック性能を有する新規なホトクロミック高分子材料
に関する。
【0002】
【従来の技術】ホトクロミズムは、この数年注目されて
きた現象であって、或る物質に光を照射すると速やかに
色が変わり、さらに光の照射や暗所に置くことによって
元の色に戻る可逆的作用を示す現象である。従来、この
様な現象を示すものについては、有機物、結晶性無機
物、ガラス等、多くのものが知られており、スピロピラ
ン化合物、アゾ化合物、ジアリールエテン化合物、フル
ギド化合物等が、代表的なホトクロミック物質として知
られている。これらの中で、フルギド化合物やアリール
エテン化合物は、熱安定性が高いが、その多くは高分子
バインダー中に含有させた状態でホトクロミック材料と
して利用するものである。したがって、これらのホトク
ロミック材料は、ホトクロミック物質が高分子バインダ
ー中から溶出したり、均一に分散しなかったり、或いは
相分離を起こして、結晶が析出する等、耐久性において
欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の様な問題に対し
て、ホトクロミック化合物をポリマーに付加させて使用
し、その耐久性を改善することが行われているが、まだ
その改善効果は十分ではない。したがって、耐久性が改
善された安定なホトクロミック材料の開発が望まれてい
る。本発明は、このような要請に応じてなされたもので
あって、その目的は、耐久性が改善された安定な新規な
ホトクロミック高分子材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記問題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(I)
で示される繰り返し単位を含有するポリアミドホトクロ
ミック高分子が、より安定性の高いホトクロミック材料
であることを見出だし、本発明を完成した。本発明のポ
リアミドホトクロミック高分子材料は、下記一般式で示
される繰り返し単位よりなり、固有粘度値0.3〜3.
0を有することを特徴とする。
【化4】 {式中、RおよびR′は、それぞれ二価の有機基を表わ
し、Xは、
【化5】 〔但し、R1 及びR2 は、それぞれ分岐してもよいアル
キル基を表わし、Ar1 およびAr2 は、それぞれ
【化6】 (但し、R3 は水素原子またはメチル基を表わし、R4
は水素原子、メチルメルカプト基、メトキシ基またはジ
メチルアミノ基を表わし、Yは−S−、−O−、−Se
−、−NH−、−N(CH3 )−または−N(C
6 5 )−を表わす。)を表わす。〕を表わし、n/
(n+m)=0〜0.8を表わす。}
【0005】本発明の上記ホトクロミック高分子材料
は、次のようにして製造される。即ち、ホトクロミック
化合物であるフルギド化合物の無水コハク酸基またはジ
アリールエテン化合物の無水マレイン酸基と、アミノジ
カルボン酸のアミノ基との反応により形成されたイミド
環を有するジカルボン酸をジカルボン酸成分とし、この
ジカルボン酸成分をジアミン成分と縮重合させることに
よって製造することができる。
【0006】本発明のホトクロミック高分子材料は、ホ
トクロミック化合物が、ポリアミド高分子の主鎖と直接
結合した分子構造を有しているから、ホトクロミック化
合物が相分離を起こして結晶が析出することがないのみ
ならず、酸素透過性の小さいポリアミド樹脂内に含有さ
れているので、酸素による劣化が少なくなるという長所
を有している。また、ポリアミドを構成するモノマー成
分であるジアミン成分やジカルボン酸成分の種類を変え
ることにより、幅広くガラス転移温度を変えることがで
き、ホトクロミック化合物の光照射による異性化反応を
制御しやすいという長所も有している。
【0007】本発明のポリアミドホトクロミック高分子
材料を製造するために使用されるホトクロミック化合物
としては、フルギド化合物として、2,5−ジメチル−
3−ピロリルフルギド、N,2−ジメチル−3−ピロリ
ルフルギド、N−フェニル−2−メチル−3−フルギ
ド、N,2−ジメチル−5−ニトリル−3−フルギド、
N,2,5−トリメチル−3−ピロリルフルギド、2,
5−ジメチル−3−フリルフルギド、2,5−ジメチル
−3−チエニリルフルギド、N−メチル−3,5−ジメ
チル−4−ピラゾリルフルギド、N−フェニル−3,5
−ジメチル−4−ピラゾリルフルギド、N−フェニル−
3−メトキシ−5−メチル−4−ピラゾリルフルギド、
2−フェニル−5−メチル−4−オキサゾリルフルギ
ド、3,5−ジメチル−4−イソオキサゾリルフルギ
ド、2−フェニル−5−メチル−4−チアゾリルフルギ
ド、N,2−ジメチル−3−インドリルフルギド、N,
2−ジメチル−5−メトキシ−3−インドリルフルギ
ド、N,2−ジメチル−5−ジメチルアミノ−3−イン
ドリルフルギド、またはこれ等の誘導体等があげられ、
また、無水マレイン酸基を有するジアリールエテン化合
物として、2、3−ビス(2,4,5−トリメチル−3
−チエニル)マレイン酸無水物、2、3−ビス(2,
4,5−トリメチル−3−セレニル)マレイン酸無水
物、2、3−ビス(2−メチル−3−チオナフチル)マ
レイン酸無水物、2−(2,4,5−トリメチル−3−
チエニル)−3−(N,2−ジメチル−3−インドリ
ル)マレイン酸無水物、2−(2−メチル−3−チオナ
フチル)−3−(N,2−ジメチル−3−インドリル)
マレイン酸無水物、2−(2,4,5−トリメチル−3
−チオナフチル)−3−(N,2−ジメチル−7−メト
キシ−3−インドリル)マレイン酸無水物、2−(2,
5−ジメチル−5−シアノ−3−チオナフチル)−3−
(N,2−ジメチル−7−メトキシ−3−インドリル)
マレイン酸無水物、またはこれ等の誘導体があげられ
る。しかしながら、本発明においては、これ等に限定さ
れるものではない。
【0008】これ等フルギド化合物に含有される無水コ
ハク酸基またはジアリールエテン化合物に含まれる無水
マレイン酸基とアミノジカルボン酸のアミノ基との反応
は、公知の方法で行うことができる。すなわち、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラ
クタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピ
リジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルリン酸ジアミ
ン等の不活性溶媒中で加熱して脱水閉環する方法、およ
び脱水閉環触媒を用いて化学的に閉環させる方法が使用
できる。本発明においては、後者の脱水閉環触媒を使用
する方法が、比較的穩緩な条件で行えるので好ましい。
その場合に使用される脱水閉環触媒としては、酢酸プロ
ピオン酸、酪酸、安息香酸等があげられる。さらに、こ
れらの脱水閉環触媒とピリジン等の促進剤とを併用する
こともできる。これらの脱水閉環触媒を使用して行う脱
水閉環反応は、0〜180℃、好ましくは10〜80℃
程度で行うことができる。反応時間は、数十分から数日
間、好ましくは2〜30時間である。また、上記反応に
使用されるアミノジカルボン酸としては、6−アミノイ
ソフタル酸、5−アミノイソフタル酸、2−アミノイソ
フタル酸、2−アミノテレフタル酸等をあげることがで
きる。
【0009】本発明の上記ポリアミドホトクロミック高
分子材料は、以上のようにして合成されたホトクロミッ
ク化合物を担持したジカルボン酸よりなるジカルボン酸
成分を、ジアミン成分と縮重合させることにより製造す
ることができる。
【0010】本発明において使用するジアミン成分は、
一般式:H2 N−R−NH2 (式中、Rは上記したと同
意義を有する)で表わされ、その具体例としては、1,
3−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、
1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカ
ン、1,16−ジアミノヘキサデカン、m−フェニレン
ジアミン、p−フェニレンジアミン、メタトリレンジア
ミン、4,4′−ジアミノジフェニル、4,4′−ジア
ミノ−3,3′−ジメチルジフェニル、4,4′−ジア
ミノ−3,3′−ジエチルジフェニル、4,4′−ジア
ミノ−3,3′−ジメトキシジフェニル、4,4′−ジ
アミノ−3,3′−ジクロロジフェニル、4,4′−ジ
アミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,
4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミ
ノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニル
エーテル、4,4′−ジアミノジフェニルチオエーテ
ル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニ
ルチオエーテル、3,3′−ジエトキシ−4,4′−ジ
アミノジフェニルチオエーテル、3,3′−ジアミノジ
フェニルチオエーテル、4,4′−ジアミノベンゾフェ
ノン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノベンゾ
フェノン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,
4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメトキ
シ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−
ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス
(4−アミノフェニル)プロパン、4,4′−ジアミノ
ジフェニルスルホキシド、4,4′−ジアミノジフェニ
ルスルホン、ベンチジン、3,3′−ジメチルベンチジ
ン、3,3′−ジメトキシベンチジン、3,3′−ジア
ミノビフェニル、p−キシリレンジアミン、m−キシリ
レンジアミン、ビスアニリンフルオレン、ビストルイジ
ンフルオレン、2,3−ジアミノピリジン、2,5−ジ
アミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−
ジアミノ−4−メチルピリジン、1,4−ジアミノナフ
タレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミ
ノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、1,4−
ビス(p−アミノフェニルイソプロピリデン)ベンゼ
ン、1,3−ビス(p−アミノフェニルイソプロピリデ
ン)ベンゼン、1,3−ビス(p−アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロ
ヘキサン等があげられ、これらは単独で、または混合し
て使用することができる。しかしながら、本発明におい
ては、これらに限定されるものではない。
【0011】なお、本発明において使用する上記ホトク
ロミック化合物を担持したジカルボン酸以外に、他のジ
カルボン酸を併用して縮重合させることも可能である。
その様な他のジカルボン酸の具体例として、1,8−オ
クタン二酸、1,10−デカン二酸、1,18−オクタ
デカン二酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ウンデカン酸、1,3−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン
酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,3′−メ
チレン二安息香酸、4,4′−メチレン二安息香酸、
4,4′−オキシ二安息香酸、4,4′−チオ二安息香
酸、3,3′−カルボニル二安息香酸、4,4′−カル
ボニル二安息香酸、4,4′−スルホニル二安息香酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,
3−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボ
ン酸、3,7−ジカルボン酸ジフェニルオキサイド等が
挙げられ、それらは単独または混合して使用することが
できる。その使用割合は、何等制限はなく、使用目的に
よって変更することができるが、これらのジカルボン酸
成分の割合が多くなると、充分な発色濃度が得られず、
本発明の材料使用目的を達成できなくなるので、0〜8
0モル%までの範囲が好ましい。この使用割合変更の仕
方は、ホトクロミック化合物を担持したジカルボン酸成
分とその化合物を担持していないジカルボン酸成分との
比を変えて、本発明の重合を行うことにより容易に行う
ことができる。
【0012】上記したジアミノ成分とジカルボン酸成分
とを重縮合させる方法としては、縮合剤を使用した直接
縮重合法、酸クロム法、溶液縮重合法など、公知の種々
の方法が使用できるが、亜リン酸エステル系縮合剤とピ
リジン誘導体とを使用した重縮合反応による方法が好ま
しい。亜リン酸エステル系縮合剤としては、亜リン酸ト
リフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリ−o−
トリル、亜リン酸ジ−o−トリル、亜リン酸トリ−m−
トリル、亜リン酸ジ−m−トリル、亜リン酸トリ−p−
トリル、亜リン酸ジ−p−トリル、亜リン酸ジ−o−ク
ロロフェニル、亜リン酸トリ−p−クロロフェニル、亜
リン酸ジ−p−クロロフェニル等をあげることができ
る。さらに、本発明においては、亜リン酸エステルと共
に使用するピリジン誘導体として、ピリジン、2−ピコ
リン、3−ピコリン、4−ピコリン、2,4−ルチジ
ン、2,5−ルチジン、3,5−ルチジン等をあげるこ
とができる。
【0013】上記縮重合反応を亜リン酸エステルとピリ
ジン誘導体の存在下に行う場合、反応に際して、通常は
ピリジン誘導体を含む混合溶媒を用いる溶液重合法が採
用される。ここで使用する有機溶媒は、両反応成分や亜
リン酸エステルと実質に反応しない溶媒という点で制限
を受けるが、その外に、両反応成分に対する良溶媒であ
ることが望ましい。このような有機溶媒として代表的な
ものは、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルアセト
アミド等のアミド系溶媒である。また、重合度の大きい
重合体を得るために、塩化リチウム、塩化カルシウムに
よって代表される無機塩類を、反応系に添加することも
できる。
【0014】上記の重縮合反応について、さらに詳しく
説明すると、上記ジアミン成分と上記ホトクロミック化
合物を担持するジカルボン酸よりなるジカルボン酸成分
との縮重合反応は、前記リン酸エステルとピリジン誘導
体の存在下に、N−メチル−2−ピロリドンによって代
表される有機溶媒中で、窒素等の不活性雰囲気下で加熱
攪拌して容易に行われる。これらの重縮合で使用する亜
リン酸エステル系縮合剤の量は、通常カルボキシル基に
対して等モル量以上が使用されるが、30倍モル量以上
の使用は経済的に見て得策ではない。また、ここで使用
するピリジン誘導体の量は、カルボキシル基に対して等
モル量以上であることが必要であるが、実際には、反応
溶媒としての役割を含めて大過剰使用されることが多
い。その場合、ピリジン誘導体とN−メチル−2−ピロ
リドンによって代表される有機溶媒からなる混合溶媒が
好ましく使用されるが、混合溶媒の使用量は、通常、両
反応成分を5〜30重量%の範囲の量である。反応温度
は、通常の場合、60〜140℃の範囲が好ましい。反
応時間は、反応温度により大きく影響されるが、如何な
る場合にも最高の重合度を意味する最高粘度が得られる
まで反応系を攪拌するのが好ましく、多くの場合、数分
から20時間の間である。
【0015】上記合成方法にしたがって合成反応終了後
は、反応混合物をメタノール、ヘキサン等の非溶媒中に
投じて、生成重合体を分離し、さらに再沈殿法により精
製を行って副生成物や無機塩類等を除去することによ
り、目的の精製重合体を得ることができる。本発明にお
ける上記のようにして合成されたポリアミドホトクロミ
ック高分子材料は、固有粘度値0.3〜3.0を有する
ものである。さらに、本発明においては、異なったホト
クロミック化合物を担持したジカルボン酸成分を複数使
用して、前記方法に従って本発明のポリアミドホトクロ
ミック材料を得ることもできる。これにより、発色色調
の異なるホトクロミック化合物を同時に含有させること
により、合成色調を得ることができ、全体的色調を調節
することができる。
【0016】本発明のホトクロミック化合物を担持した
ポリアミドホトクロミック高分子材料には、必要に応じ
てクエンチャー、酸化防止剤、光安定剤等を加えて、耐
久性を向上させることもできる。また、他樹脂と混合し
て使用することもできる。さらに、本発明のポリアミド
ホトクロミック高分子材料は、そのまま使用することが
できるが、ガラス透明フィルム等に塗布して使用するこ
ともできる。
【0018】
【実施例】以下、本発明をさらに実施例によって説明す
るが、本発明は、これら実施例によって限定されるもの
ではない。 合成例1 1,2−ビス(2,3,5−トリメチル−3−チエニ
ル)無水マレイン酸の合成
【化7】 二硫化炭素300mlに、2,3,5−トリメチルチオ
フェン(S−1)90g(0.7モル)を溶かし、0℃
に冷却した後、クロロメチルメチルエーテル97g
(1.2モル)を添加し、さらに無水SnCl4 52g
(0.2モル)を1時間にわたって添加した。この溶液
を氷上に注いだ後、有機層を分離し、塩化カルシウムで
乾燥し、エバポレーターで二硫化炭素を除去して、化合
物(S−2)36g(収率:40%)を得た。この化合
物(S−2)36g(0.21モル)を、NaCN28
g(0.48モル)とトリエチルベンジルアンモニウム
クロライド1g(0.0048モル)を溶解した水溶液
50mlに加えて還流した後、大量の水を注ぎ、エーテ
ルで抽出した。エーテル抽出液の溶媒をエバポレーター
で除去し、化合物(S−3)29g(収率:80%)を
得た。この化合物(S−3)29g(0.18モル)を
Cl4 15gに溶かした溶液に、トリエチルベンジルア
ンモニウムクロライド0.21g(0.001モル)を
含有する50%NaOH水溶液を注ぎ、45℃で1時間
反応させた。この溶液を水に注ぎ、エタノールとクロロ
ホルムで抽出し、同様にエバポレーターで溶媒を除去し
た。さらに得られた抽出物をアセトニトリル100ml
に溶解させた後、紫外線を照射し、シス型物質を沈殿さ
せ、濾過してヘキサンとエタノールの混合溶媒で洗浄
し、化合物(S−4)4.6g(収率:約40%)を得
た。上記のようにして得られた化合物(S−4)4.6
g(0.15モル)とエチレングリコールモノエチルエ
ーテル125mlとの混合液を50%NaOH水溶液1
25mlに注ぎ、24時間還流した後、その混合液をさ
らに水に注ぎ、20%HCl水溶液を酸性になるまで加
えた。この混合液をエーテルで抽出し、得られた化合物
をエーテルとヘキサンの混合溶媒で洗浄して、目的化合
物(S−5).0.7gを合成した。得られた化合物
は、元素分析(カルロ・エルバ社製の全自動元素分析計
1108)の結果、目的化合物であることが確認され
た。 元素分析結果(C18183 2 ) 計算値(%):C 62.40、 H 5.24、 S 18.51 実測値(%):C 62.59、 H 5.19、 S 18.54
【0019】合成例2 1−メチル−1−(2,4−ジメチル−3−チエニル)
−4,4−ジメチル−2,3−マレイン酸無水物の合成
【化8】
【0020】2,5−ジメチルチオフェン(T−1)1
00g(1モル)と塩化メチル78.5g(1モル)を
ベンゼン300mlに溶解した液を0℃に冷却した後、
無水塩化スズ260g(1モル)を加えて2時間攪拌
し、氷と5Mの塩酸液に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、精
製した有機層を分離した。この有機液を水で洗浄した
後、濃縮して石油エーテルに溶解して再結晶させ、化合
物(T−2)80g(収率:60%)を得た。石油エー
テル300mlに水素化ナトリウム24g(1モル)を
溶解させ、さらにアセトン87g(1.5モル)、無水
琥珀酸ジエチル(T−3)174g(1モル)、エタノ
ール1mlを加えて反応させた。水素の発生が終了した
後、さらにジエチルエーテル100mlを加えて攪拌
し、1Mの炭酸ナトリウム水溶液400mlで抽出した
後、1MのHClで酸性にした有機層を遊離させた。こ
の有機層を分離した後、酢酸エチルで抽出と濃縮を行
い、化合物(T−4)121.5g(収率:75%)を
得た。さらにこの化合物(T−4)121.5gをエタ
ノール500mlに溶かし、濃硫酸50mlを加えて3
時間加熱還流した。この反応液を濃縮した後、残渣を炭
酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、乾燥して、化合物(T
−5)121g(収率:70%)を得た。化合物(T−
2)80g(0.6モル)と化合物(T−5)149g
(0.7モル)とを水酸化ナトリウム48g(1.2モ
ル)含有石油エーテル300mlに加えた後、さらにエ
タノール1mlを加えて反応を起こさせた。水素の発生
が終了した後、さらにジエチルエーテル50mlを加え
て4時間攪拌し、酢酸エチル260mlを加えて、1M
炭酸ナトリウム水溶液500mlで抽出した後、1MH
Clで酸性にして有機層を遊離させた。これを分離して
酢酸エチルでさらに抽出、濃縮を行い、化合物(T−
6)134g(収率:67%)を得た。さらに、この化
合物(T−6)134gを10%アルコール性水酸化ナ
トリウム200mlに溶かして、5時間加熱還流を行っ
た後、6Mの塩酸に注いで、酢酸エチルで抽出し、濃縮
した。得られた残渣に塩化アセチル100mlを加え
て、室温で1時間攪拌した後、濃縮した。残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーを用いて分離精製して、
目的の化合物(T−7)6g(収率4%)を得た。得ら
れた化合物は、元素分析の結果、目的化合物であること
が確認された。 元素分析結果(C15163 S) 計算値(%):C 65.19、 H 5.84、 S 11.60 実測値(%):C 65.25、 H 5.80、 S 11.69
【0021】合成例3 5−(1,2−ビス(2,3,5−トリメチル−3−チ
エニル)マレインイミドイソフタル酸の合成 5−アミノイソフタル酸1.81g(0.01モル)を
ジメチルアセトアミド20mlに溶かした後、合成例1
で合成した1,2−ビス(2,3,5−トリメチル−3
−チエニル)無水マレイン酸3.46g(0.01モ
ル)を発熱しないように5分間かけて添加し、4時間攪
拌し、アミド酸を合成した。その後、さらにピリジン5
mlを加えてアミド酸ピリジン塩を調製し、さらに2m
lの無水酢酸を加えて、24時間攪拌し、脱水閉環反応
を行った。この溶液を水に投入し、反応物を析出させ、
濾過して、目的化合物である5−(1,2−ビス(2,
3,5−トリメチル−3−チエニル)マレインイミドイ
ソフタル酸5.0g(収率:98%)を得た。この化合
物の赤外スペクトルを測定したところ、1780および
1820cm-1にイミド環に対応する吸収が認められ
た。
【0022】合成例4 5−(1−メチル−1−(2,4−ジメチル−3−チエ
ニル)−4,4−ジメチル−2,3−マレインイミド)
イソフタル酸の合成 合成例3と同様にして、1,2−ビス(2,3,5−ト
リメチル−3−チエニル)無水マレイン酸3.46g
(0.01モル)の代わりに、合成例2で得た1−メチ
ル−1−(2,4−ジメチル−3−チエニル)−4,4
−ジメチル−2,3−マレイン酸無水物2.76g
(0.01モル)を使用した以外は、全く同じ方法で、
目的化合物である5−(1−メチル−1−(2,4−ジ
メチル−3−チエニル)−4,4−ジメチル−2,3−
マレインイミド)イソフタル酸4.18g(収率:95
%)を得た。この化合物の赤外スペクトルは、1780
および1820cm-1にイミド環に対応する吸収を示し
た。
【0023】実施例1 合成例3で合成した5−(1,2−ビス(2,3,5−
トリメチル−3−チエニル)マレインイミド)イソフタ
ル酸4.1g(0.008モル)、1,4−ジアミノブ
タン0.7g(0.008モル)、塩化リチウム0.2
5g、塩化カルシウム0.73g、N−メチル−2−ピ
ロリドン14.5ml、ピリジン3.3mlを100m
lの四つ口丸底フラスコ中に入れ、攪拌して溶解させた
後、亜リン酸トリフェニル4.5gを加えて、窒素ガス
下90℃で4時間反応させた。その後、反応溶液を大量
のエタノールに注いで、ポリマーを析出させた。さら
に、この析出物をエタノールで洗浄した後、乾燥して本
発明のホトクロミック化合物を担持したポリアミド樹脂
4.6gを得た。このポリアミドの固有粘度は、0.7
5dl/g(ジメチルアセトアミド溶媒中で30℃で測
定)であった。このポリアミド樹脂の赤外スペクトルを
測定したところ、1674cm-1にアミドカルボニル基
に基づく吸収が認められた。このポリアミド樹脂をジメ
チルアセトアミドに溶解して、ガラス基板状に塗布し、
乾燥し、厚み1μmの膜を得た。この膜に、水銀灯(ウ
シオ製、1KW)からの紫外線を30秒間照射したとこ
ろ、赤色に変化した。この着色膜は、510nmに最大
吸収を示した。さらに、この着色した膜に波長390n
mをカットした可視光を照射したところ、無色になっ
た。これを100回繰り返しても何等変化は認められな
かった。また、この着色膜を80℃の暗所に1週間放置
しておいても何等変化は認められなかった。
【0024】実施例2 実施例1における5−(1,2−ビス(2,3,5−ト
リメチル−3−チエニル)マレインイミド)イソフタル
酸の代わりに、5−(1−メチル−1−(2,4−ジメ
チル−3−チエニル)−4,4−ジメチル−2,3−マ
レインイミド)イソフタル酸3.5g(0.008モ
ル)を使用した以外は、全く同じ方法でフルギドを担持
したポリアミド樹脂4.0gを得た。この樹脂の固有粘
度は0.7dl/gであり、このポリアミド樹脂の赤外
スペクトルは、1674cm-1にアミドカルボニル基に
基づく吸収を示した。このポリアミド樹脂をジメチルア
ミドに溶解して、ガラス基板上に塗布、乾燥し、厚み約
1μmの膜を得た。この膜に水銀灯からの紫外線を30
秒間照射したところ、赤色に変化した。この着色膜は、
526nmに最大吸収を示した。さらに、この着色した
膜に波長390nmをカットした可視光を照射したとこ
ろ、無色になった。これを100回繰り返しても何等変
化は認められなかった。また、この着色膜を80℃の暗
所に1週間放置しておいたところ、何等変化は認められ
なかった。
【0025】実施例3 実施例1で使用した5−(1,2−ビス(2,3,5−
トリメチル−3−チエニル)マレインイミド)イソフタ
ル酸4.1g(0.008モル)を、2.05g(0.
004モル)に代え、さらにイソフタル酸0.54g
(0.004モル)を加えた以外は、全く同じ方法で本
発明のポリアミドホトクロミック高分子を3.1g得
た。この樹脂の固有粘度は0.92dl/gであり、こ
の樹脂の赤外スペクトルは、1675cm-1にアミドカ
ルボニル基に基づく吸収を示した。この樹脂をジメチル
アセトアミドに溶解して、ガラス基板上に塗布、乾燥
し、厚み約1μmの膜を得た。この膜に水銀灯からの紫
外線を30秒間照射したところ、赤色に変化した。この
着色膜は、515nmに最大吸収を示した。さらに、こ
の着色した膜に波長390nmをカットした可視光を照
射したところ、無色になった。これを100回繰り返し
ても何等変化は認められなかった。また、この着色膜を
80℃の暗所に1週間放置しておいたところ、何等変化
は認められなかった。
【0026】
【発明の効果】本発明のポリアミドホトクロミック高分
子材料は、安定性が非常に高いので、繰り返し使用する
ことができる。したがって、本発明のポリアミドホトク
ロミック高分子材料は、光記録材料、表示材料、マスキ
ング材料、調光性フィルム、サングラス、感光材料、光
学フィルター、光スイッチ、光導波路、玩具、繊維、メ
ーキャップ化材料等に使用することができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示される繰り返し単
    位よりなる固有粘度値0.3〜3.0を有するポリアミ
    ドホトクロミック高分子材料。 【化1】 {式中、RおよびR′は、それぞれ二価の有機基を表わ
    し、Xは、 【化2】 〔但し、R1 及びR2 は、それぞれ分岐してもよいアル
    キル基を表わし、Ar1 およびAr2 は、それぞれ 【化3】 (但し、R3 は水素原子またはメチル基を表わし、R4
    は水素原子、メチルメルカプト基、メトキシ基またはジ
    メチルアミノ基を表わし、Yは−S−、−O−、−Se
    −、−NH−、−N(CH3 )−または−N(C
    6 5 )−を表わす。)を表わす。〕を表わし、n/
    (n+m)=0〜0.8を表わす。}
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