JPH0655714B2 - ジフエニルチオエ−テル誘導体の製造法 - Google Patents

ジフエニルチオエ−テル誘導体の製造法

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JPH0655714B2
JPH0655714B2 JP60098479A JP9847985A JPH0655714B2 JP H0655714 B2 JPH0655714 B2 JP H0655714B2 JP 60098479 A JP60098479 A JP 60098479A JP 9847985 A JP9847985 A JP 9847985A JP H0655714 B2 JPH0655714 B2 JP H0655714B2
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は精神分裂病の治療剤として知られているジベ
ンゾチエピン誘導体の合成中間体として有用なジフェニ
ルチオエーテル誘導体およびその塩の新規製造法に関す
るものであり、医薬品の製造分野で利用される。
[従来の技術] 精神分裂病の治療剤として有用なジベンゾチエピン誘導
体の製造法はケミカル・ファーマコロジカル・ブレティ
ン(Chem.Pharm.Bull.)第26巻第3058〜3070頁(1978年)
に記載されており、その概略を示すと次の通りである。
[発明が解決しようとする問題点] 上記の公知方法により、o−クロロアセトフェノン[XI
I]からジフェニルチオエーテル誘導体[VII]を製造する
場合、化合物[XIII]から化合物[XIV]および化合物[XIV]
から化合物[VII]の過程で有害な硫化水素が発生し、副
生物との分離操作が困難な上、収率も低く、原料化合物
[XII]が高価である等の問題があった。
[問題点を解決するための手段] この発明の発明者らは、ジベンゾチエピン誘導体の工業
的な製造法について鋭意研究の結果、新規中間体[II
I]、[V]、および[VI]を経由することにより、ジベン
ゾチエピン誘導体の合成中間体として知られているジフ
ェニルチオエーテル誘導体[VII]およびその塩をより
簡便にかつ安価に製造できることを見出し、この発明を
完成した。この発明によるジフェニルチオエーテル誘導
体[VII]およびその塩の製造法の概略を示すと次の通り
である。
(式中、Rは塩素原子、Rはフェニル基、Xは脱離
し得る基をそれぞれ意味する) 「脱離し得る基」としては、例えば塩素、臭素のような
ハロゲン原子およびジアゾニウム基などが挙げられる
が、好ましいのはハロゲン原子である。
この発明の方法における原料化合物[II]および[IV]、中
間体[VI]ならびに目的化合物[VII]の塩としては、特に
限定されないが、例えばナトリウム塩、カリウム塩等の
アルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属
塩、アルギニン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩
等のアミン酸塩等が含まれる。
この発明により得られるジフェニルチオエーテル誘導体
[VII]およびその塩の製造法を以下に説明する。
−化合物[III]およびその塩の製造− 化合物[III]は、化合物[I]と、化合物[II]またはそ
の塩とを反応させることにより製造することができる。
この反応は好ましくは、塩基の存在下、溶媒中で加温な
いし加熱下に行われる。この反応で使用される塩基して
は、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸ア
ルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの
アルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリ
ウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド等が挙
げられる。溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトア
ミド、ベンゼン、トルエン、キシレン等の慣用の溶媒が
使用できる。この反応により得られる化合物[III]は常
法により単離できるが、単離することなく次の反応に付
してもよい。
−化合物[V]の製造− 化合物[V]は、化合物[III]と化合物[IV]またはその
塩とを反応させることにより製造することができる。
この反応は脱水剤の存在下に行うのが好ましい。脱水剤
としては、例えば無水酢酸、アセチルクロリド、ポリリ
ン酸等が挙げられる。この反応は、さらに、酢酸ナトリ
ウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸カリウムなど
の塩基の存在下に行うと好ましい結果が得られる。
この反応により得られる化合物[V]は、常法により単
離されるが、単離することなく次の反応に付してもよ
い。
−化合物[VI]およびその塩の製造− 化合物[VI]およびその塩は、化合物[V]を溶媒中で加
水分解することにより製造することができる。
この反応は、慣用の方法で行うことができ、通常塩酸、
硫酸、p−トルエンスルホン酸などの酸、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基の存
在下に行われる。溶媒としては特に限定されず、例えば
水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール
などのアルコール、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、
テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテ
ルなどが挙げられる。
この反応により得られる化合物[VI]およびその塩は常法
により単離できるが、通常、単離することなくそのまヽ
次の過酸化水素との反応に付すのがより簡便である。
−ジフェニルチオエーテル誘導体[VII]およびその塩の
製造− ジフェニルチオエーテル誘導体[VII]およびその塩は、
化合物[VI]またはその塩を塩基の存在下に過酸化水素で
処理することにより製造することができる。
この反応は、慣用の過酸化水素による酸化反応に準じて
行うことができ、例えば、化合物[VI]を水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属のような
塩基の存在下に溶媒中で室温ないし冷却下に過酸化水素
水と撹拌することによりジフェニルチオエーテル誘導体
[VII]またはその塩に導くことができる。溶媒として
は、上記の化合物[VI]またはその塩を製造する場合と同
様のものが使用できる。したがって、前記の化合物
[V]またはその塩を溶媒中、水酸化ナトリウムなどの
塩基の存在下に加水分解した後、その反応液に過酸化水
素水を加えることにより、一段階でジフェニルチオエー
テル誘導体[VII]またはその塩に導いてもよい。
[発明の効果] この発明によれば、従来知られているo−クロロアセト
フェノン[XII]からジフェニルチオエーテル誘導体[VII]
を製造する方法に比べ、より安価なベンズアルデヒド化
合物[I]を出発物質として、ジフェニルチオエーテル
誘導体[VII]を2倍ほどの収率で、硫化水素ガスなどの
副生物を伴わず、しかもより短時間で製造することがで
き、ジフェニルチオエーテル誘導体[VII]の工業的製造
法としてすぐれた効果を奏する。
[実施例] この発明を以下に実施例により説明する。
実施例1 (1)溶融したp−クロロチオフェノール(100.0g)、o
−クロロベンズアルデヒド(97.2g)およびジメチルホ
ルムアミド(200ml)を1の三頸フラスコに入れ、N2
ガス気流下油浴中で50℃に加熱した後、無水炭酸カリウ
ム(100.4g)を加え、50〜60℃で30分間、70〜80℃で
1時間さらに93〜97℃で3時間撹拌する。反応終了後、
水(300ml)を加え、70〜80℃で10分間撹拌する。これ
に2−(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒドの
結晶(0.1g)を55℃で加え、さらに同温度で30分間撹
拌後、水(300ml)を30分間で滴下する。その後、氷冷
下で一夜放置する。析出した結晶を取し、水(600m
l)、n−ヘプタン(200ml)で洗浄後、乾燥して、2−
(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒド(156.5
g)を淡黄色柱状晶として得る(収率:91%)。
IR(ヌジョ-ル):1695,1680,1590,1585,1555,1480,1205,109
5,1015,820,760cm-1 NMR(CDCl3,δ):7.0〜7.5(7H,m),7.8〜7.9(1H,m,),1
0.33(1H,s) (2)溶融したp−クロロチオフェノール(200.6g)、ト
ルエン(600ml)および無水炭酸カリウム(199.1g)を
2の三頸フラスコに入れ、油浴中で70℃で加熱した
後、o−クロロベンズアルデヒド(150g)およびジメ
チルホルムアミド(45ml)を加え、さらに4時間加熱還
流する。反応終了後、トルエン(300ml)および水(450
ml)を加え、水浴で冷却する。水層を分離しトルエン
(150ml)で抽出し、抽出液を先に分離した有機層と合
わせ、5%水酸化ナトリウム水溶液(150ml)および飽
和食塩水(300ml)で順次洗浄後、減圧下に溶媒を留去
する。得られる残渣にn−ヘプタン(300ml)を入れ、
加熱溶解後氷冷する。析出する結晶をろ取し、n−ヘプ
タン(150ml)で洗浄後、乾燥して2−(4−クロロフ
ェニルチオ)ベンズアルデヒド(243.9g)を黄色柱状
晶として得る(収率:91.9%)。本品は上記(1)で得ら
れた化合物と同一であることが物性値により確認され
た。
実施例2 2−(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒド(5
0.0g)、無水酢酸ナトリウム(19.8g)および無水酢
酸(67.7g)を500mlの三頸フラスコに入れ、撹拌下油
浴中で加熱し、内温が40℃になったとき馬尿酸(9.73
g)を加え、80〜90℃に加熱撹拌する。以後30分毎に馬
尿酸(9.73g)を計4回加えた後、同温度で1時間撹拌
する。反応終了後、水(350ml)を加え室温で30分間撹
拌後、氷冷下に一夜放置する。析出する結晶を取し、
水(100ml)で洗浄後、乾燥すると、4−[2−(4−
クロロフェニルチオ)ベンジリデン]−2−フェニル−
2−オキサゾリン−5−オン(79.8g)を黄褐色結晶と
して得る(収率:約100%)。
IR(ヌジョ-ル):1795,1775,1650,1475,1100,815,770cm-1 NMR(CDCl3,δ):7.18(3H,s),7.3〜7.6(7H,m,),7.88
(1H,s),8.05〜8.25(2H,m),8.75〜8.90(1H,m) 実施例3 (1)4−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジリデ
ン]−2−フェニル−2−オキサゾリン−5−オン(5
0.0g)、1,4−ジオキサン(75ml)および濃塩酸(3
7.5ml)を300mlの三頸フラスコに入れ、撹拌下油浴中で
8時間加熱還流した後、濃塩酸(37.5ml)を加え、さら
に8時間加熱還流する。反応終了後、減圧下に溶媒を留
去し、水(200ml)を加え、氷冷し、析出する結晶を
取し、水(100ml)で洗浄する。得られた結晶を水酸化
ナトリウム(20.9g)の水(150ml)溶液中に入れ、10
分間撹拌した後、塩化メチレン(250ml)を加え、さら
に5分間加熱還流する。反応液を氷冷した後35%過酸化
水素水(18.6ml)を反応熱により還流させつつ滴下す
る。滴下終了後さらに30分間加熱還流する。反応終了
後、反応液を冷却し、内温が32℃の時点で2−(4−ク
ロロフェニルチオ)フェニル酢酸のナトリウム塩(0.05
g)を加え、同温度で30分間撹拌する。反応液を氷冷後
結晶を取し、塩化メチレン(100ml)、氷水(50ml)
および塩化メチレン(100ml)で順次洗浄する。得られ
た結晶を300mlの三頸フラスコに入れ、水(200ml)を加
えて油浴中で内温50〜60℃に加熱し、結晶を溶解する。
この反応液に、17.5%塩酸(約20ml)を内温45〜50℃で
滴下し反応液をpH2.0〜2.5に調整する。反応液を氷冷
後、結晶を取し、水(100ml)で洗浄後、乾燥して、
2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル酢酸30.95
g)を白色結晶として得る(収率:87.0%)。
IR(ヌジョ-ル):1700,1470,1420,1335,1240,810,775cm-1 NMR(CDCl3,δ):3.88(2H,s),7.0〜7.6(8H,m,),9.8〜
10.2(1H,broad) (2)4−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジリデ
ン]−2−フェニル−2−オキサゾリン−5−オン(5
0.0g)、氷酢酸(250ml)および濃塩酸(125ml)を1
の三頸フラスコに入れ、油浴中で8時間撹拌下に加熱
還流する。反応終了後、減圧下に溶媒を留去し、残渣に
水(200ml)を加えた後、氷冷し、析出する結晶を取
し、水(100ml)で洗浄する。以下上記(1)と同様にアル
カリ条件下で酸化することにより、2−(4−クロロフ
ェニルチオ)フェニル酢酸(30.8g)を得る(収率:8
6.6%)。本品は上記(1)で得られた化合物と同一である
ことが物性値により確認された。
(3)4−[2−(4−クロロフェニルチオ)ベンジリデ
ン]−2−フェニル−2−オキサゾリン−5−オン(1
5.0g)、水酸化ナトリウム(7.5g)および水(75ml)
を200mlの三頸フラスコに入れ、油浴中で3時間還流す
る。反応液に室温で水酸化ナトリウム(1.7g)を含有
する水(7.5ml)を加えた後、氷冷下で15%過酸化水素
水(9.6ml)を滴下し、室温で一夜放置する。反応液を1
7.5%塩酸でpH2〜2.5に調整後、塩化メチレン(45ml)
で1回さらに、30mlで1回抽出する。塩化メチレン抽出
液を300mlの三頸フラスコに入れ、加熱還流下に無水炭
酸ナトリウム(7.3g)の水(30ml)溶液を15分間で滴
下する。滴下終了後、反応液を冷却し、析出する2−
(4−クロロフェニルチオ)フェニル酢酸ナトリウムの
結晶を取し、塩化メチレン(45ml)を、氷水(15ml)
および塩化メチレン(45ml)で順次洗浄する。得られた
結晶を100mlのビーカーに入れ、水(45ml)を加えて油
浴中で50〜60℃に加熱し、結晶を溶解する。この溶液を
17.5%塩酸でpH2.0〜2.5に調整した後氷冷し、析出する
結晶を取した後、水(30ml)で洗浄し、乾燥すると2
−(4−クロロフェニルチオ)フェニル酢酸(6.87g)
を得る(収率:64.4%)。本品は上記(1)で得られた化
合物と同一であることが物性値により確認された。
参考例 2−(4−クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒド(3
0.0g)無水酢酸ナトリウム(11.9g)、無水酢酸(40.
6g)およびN−アセチルグリシン(3.81g)を500mlの
三頸フラスコに入れ、撹拌下で内温80〜90℃に加熱す
る。30分毎にN−アセチルグリシン(3.81g)を6回加
えた後、さらに1時間同温度で反応させる。反応終了
後、氷酢酸(200ml)および濃塩酸(100ml)を加え、油
浴中で8時間加熱還流する。さらに、濃塩酸(100ml)
を加えた後、8時間加熱還流する。反応終了後、減圧下
に溶媒を留去する。得られた残渣に水酸化ナトリウム
(19.3g)を含有する水溶液(150ml)を入れ、室温で1
0分間撹拌した後、塩化メチレン(240ml)を加え、加熱
還流する。この溶液に氷冷下で、35%過酸化水素水(1
7.5ml)を反応熱により還流させつつ滴下する。滴下終
了後、さらに30分間加熱還流する。反応液を冷却し、析
出する2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル酢酸の
ナトリウム塩を取する。この結晶を塩化メチレン(10
0ml)、氷水(50ml)および塩化メチレン(100ml)で順
次洗浄する。得られた結晶を300mlの三頸フラスコに入
れ、水(150ml)を加えて50〜60℃に加熱し、結晶を溶
解した後、45〜50℃で17.5%塩酸を加えpH2.0〜2.5に調
整し結晶を析出させる。氷冷後結晶を取し、水洗後乾
燥し、2−(4−クロロフェニルチオ)フェニル酢酸
(9.24g)を得る(収率:27.5%)。本品は実施例3−
(1)で得られた化合物と同一であることが、物性値によ
り確認された。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Rは塩素原子を意味する) で示される化合物を一般式 R−CONHCHCOOH (式中、Rはフェニル基を意味する) で示される化合物またはその塩と反応させて一般式 (式中、RおよびRはそれぞれ前と同じ意味) で示される化合物を得、次いでこれを加水分解反応に付
    して、一般式 (式中、Rは前と同じ意味) で示される化合物またはその塩を得、さらにこれを塩基
    の存在下に過酸化水素で処理して一般式 (式中、Rは前と同じ意味) で示されるジフェニルチオエーテル誘導体またはその塩
    を得ることを特徴とするジフェニルチオエーテル誘導体
    およびその塩の製造法。
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