JPH0655713A - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム

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JPH0655713A
JPH0655713A JP23156692A JP23156692A JPH0655713A JP H0655713 A JPH0655713 A JP H0655713A JP 23156692 A JP23156692 A JP 23156692A JP 23156692 A JP23156692 A JP 23156692A JP H0655713 A JPH0655713 A JP H0655713A
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JP
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aromatic polyamide
laminated film
resin
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JP23156692A
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Takamichi Yamakawa
隆道 山川
Nobuaki Ito
伸明 伊藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 銅箔と直接加熱圧着可能な耐熱性に優れた積
層フィルムを提供する。 【構成】 芳香族ポリアミドまたは、芳香族ポリアミド
と可溶性樹脂とのブレンド樹脂よりなるA層の少なくと
も片面に、芳香族ポリアミドまたは、該芳香族ポリアミ
ドと可溶性樹脂とをブレンドしてなり、軟化温度が17
0℃〜240℃の範囲である樹脂よりなるB層が積層さ
れてなる積層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フレキシブルプリント
配線基板などに用いることができる、接着剤を介するこ
となく銅箔と直接加熱圧着可能な耐熱性に優れた積層フ
ィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、本発明の主要用途であるフレキシ
ブルプリント配線基板に用いる絶縁フィルムと導体との
積層体を得るには、ポリイミドや、芳香族ポリアミドな
どの耐熱性を有する絶縁フィルムと金属箔とを接着剤を
用いて積層化する方法が一般的である。
【0003】また、特開昭56-23791号公報や特開昭60-1
57286 号、特開昭60-243120 号、特公平3-66824 号公報
などにおいては、ポリイミドやポリイミド前駆体溶液、
ポリアミドイミド樹脂などを直接金属箔上に塗布する方
法が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、接着剤
を用いる方法では、接着剤を介するために積層体全体が
厚くなり、また接着層の特性が全体の特性に悪影響を及
ぼすなどの欠点がある。またポリイミドやポリイミド前
駆体溶液、ポリアミドイミド樹脂などを直接金属箔上に
塗布する方法においては、金属箔への塗布、乾操、ポリ
マの熱反応処理などに多くの工程および時間を要すると
いう問題がある。
【0005】本発明は、かかる問題点を改善し、耐熱
性、機械特性、経済性に優れた耐熱性フィルムと銅箔と
の積層体を得るための積層フィルムを提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
積層フィルムは、芳香族ポリアミドまたは、芳香族ポリ
アミドと可溶性樹脂とのブレンド樹脂よりなるA層の少
なくとも片面に、芳香族ポリアミドまたは、該芳香族ポ
リアミドと可溶性樹脂とのブレンド樹脂からなり、軟化
温度が170℃〜240℃の範囲である樹脂よりなるB
層が積層されているものからなる。
【0007】本発明の芳香族ポリアミドとは、一種以上
の、下記一般式化1で示される繰り返し単位を50モル
%以上含むものが好ましく、70モル%以上から成るも
のがより好ましい。
【0008】
【化1】
【0009】ここでAr1 ,Ar2 は少なくとも一個の
芳香環を含む一種以上の構造からなり、同一組成でも異
なっていてもよく、これらの代表例としては次の化2な
いし化10が挙げられる。
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】
【化6】
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】
【化9】
【0018】
【化10】
【0019】また、これらの芳香環の環上の水素の一部
が、ハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、C1 〜C3 の
アルキル基(特にメチル基)、C1 〜C3 のアルコキシ
基などの置換基で置換されているものも含む。また、X
は、−O−,−CH2 −,−SO2 −,−S−,−CO
−などである。これらは単独または共重合の形で含まれ
る。
【0020】また、A層では、機械特性、熱特性を高め
るという観点から、Ar1 ,Ar2は主としてパラ配向
で剛直な構造が好ましく、また、芳香環にハロゲン基や
アルキル基などの置換基を有するものは、溶媒に対する
溶解性、可溶性樹脂との相溶性が高くより好ましい。例
えば、次の化11などが挙げられる。
【0021】
【化11】
【0022】またB層では、軟化温度を低い範囲に抑え
るという観点から、Ar1 ,Ar2は主としてメタ配向
や、−O−などのXを含む柔軟な構造のものが好まし
い。例えば、次の化12、化13などが挙げられる。
【0023】
【化12】
【0024】
【化13】
【0025】また、本発明の積層フィルムのコストを下
げるという観点から、本発明の積層フィルムに可溶性樹
脂をブレンドしたポリマを用いることは有効である。
【0026】本発明における可溶性樹脂とは、前述した
芳香族ポリアミドを溶解する溶媒に1重量%以上溶解す
る樹脂一種以上を意味し、特に限定されるものではな
い。芳香族ポリアミドと可溶性樹脂の両者を溶解する溶
媒としては、取り扱いやすさなどを考慮すると有機系の
溶媒が好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチ
ルアセトアミド、ヘキサメチレンホスホルアミド、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノンなどのア
ミド系極性溶媒やジメチルスルホンなどが挙げられる
が、特にN−メチル−2−ピロリドンおよびN−メチル
−2−ピロリドンと他のアミド系極性溶媒の混合物が好
ましい。これらの溶媒を用いた場合特に、ポリカーボネ
ート、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタアクリレ
ート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリエー
テルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリス
ルフィドスルホン、ポリエーテルイミドなどが好まし
く、高温での機械特性の改良が顕著で湿度特性の優れて
いる非晶性樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリエー
テルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリス
ルフィドスルホンがより好ましい。
【0027】特に、下記化14の基本骨格Aと化15の
構造を両方有する樹脂は、該芳香族ポリアミドとの相溶
性が非常によいために、芳香族ポリアミドと可溶性樹脂
を上記溶媒に溶解して得られるブレンド溶液は長期保存
安定性に優れ、また機械特性の優れたフィルムが得られ
るなどの理由で、より好ましい。
【0028】
【化14】
【0029】
【化15】
【0030】このような樹脂として、例えば、ポリカー
ボネート、ポリアリレートなどが挙げられ、経済性の点
からポリカーボネートがさらに好ましい。上記基本骨格
Aには置換基があってもよく、例えばハロゲン基などが
挙げられる。また、上記芳香族ポリアミドと可溶性樹脂
とのブレンド樹脂にさらに、第3成分として別の樹脂が
該可溶性樹脂の好ましくは40重量%以下、より好まし
くは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下
添加されていてもよく、例えば、可溶性樹脂としてポリ
カーボネートを用いた場合、これにポリエーテルスルホ
ン、ポリスルホンなどを添加すると、機械特性が向上す
る。また、上記溶媒の他に、可溶性樹脂の良溶媒、例え
ばジオキサン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ク
ロロホルム、1,1,2-トリクロロエタン、トリクレン、ア
セトン、トルエンなどを、可溶性樹脂と芳香族ポリアミ
ドが相溶するのを妨げない範囲内で、好ましくは全溶媒
量の20重量%以内、より好ましくは15重量%以内で
なら含まれてもさし支えない。
【0031】本発明のA層とは、上記芳香族ポリアミド
または、上記芳香族ポリアミドと上記可溶性樹脂とをブ
レンドしてなる樹脂よりなる層である。
【0032】また本発明のB層とは、上記芳香族ポリア
ミドまたは、上記芳香族ポリアミドと上記可溶性樹脂と
をブレンドしてなる樹脂よりなる層で、軟化温度が17
0℃〜240℃の範囲である特性を有する層である。
【0033】そして、本発明の積層フィルムとは、上記
A層およびB層が積層されてなるフィルムであって、積
層構成としては、A層/B層からなる2層積層フィルム
もしくはB層/A層/B層からなる3層積層フィルム、
あるいはこれ以上の多層積層フィルムであっても良い。
【0034】このときA層およびB層で用いる芳香族ポ
リアミドまたは、芳香族ポリアミドと可溶性樹脂のブレ
ンド物とする場合に用いる可溶性樹脂はA、B層とも同
種、あるいは異種でもよいが、直接接着特性と、熱、機
械特性とを両立させるという観点から、少なくともA層
とB層の樹脂組成は異種であることが必要である。
【0035】本発明の、A層およびB層を芳香族ポリア
ミドと可溶性樹脂とをブレンドしてなる樹脂とする場
合、芳香族ポリアミドの量は、ブレンド樹脂の5重量%
以上であることが好ましい。より好ましくは10重量%
以上であり、さらに好ましくは15重量%以上である。
芳香族ポリアミドの量が5重量%より少ないと機械特性
や耐熱性が悪く銅箔と直接接着した場合の接着力も低い
値しか得られない。
【0036】また、本発明のA、B各層には、本発明を
阻害しない範囲内で、滑剤、酸化防止剤、その他の添加
剤がブレンドされていてもよい。
【0037】また、本発明の積層フィルムにおいて、A
層あるいはB層が複数積層されてなるときは、A層ある
いはB層を構成する樹脂組成は、すべての層において同
種であってもよいし異種でもよい。
【0038】本発明の積層フィルムにおける積層構成
は、A/B、B/A/Bなどであるが、それ以上の多層
構成でもよい。最外層を構成するB層の最低厚みは、
0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.5μm
以上、さらに好ましくは1μm以上である。また最大厚
みは、50μm以下が好ましく、より好ましくは30μ
m以下、さらに好ましくは20μm以下である。またA
層の厚みは、本積層フィルムの耐熱性や機械特性を維持
するという観点から、全厚みの50%以上であることが
好ましい。ここでA層あるいはB層が複数積層されてな
るとき、A層あるいはB層の厚みは、すべての層におい
て同一であってもよいし異なっていてもよい。また、本
発明の積層フィルムの厚みは、5〜500μmが好まし
く、より好ましくは10〜300μmである。
【0039】本発明の積層フィルムは、少なくとも一方
向の破断伸度が5%以上であることが好ましい。より好
ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上であ
る。5%未満ではフィルムの加工時や、使用時のハンド
リング性が悪くフィルム破れを起こし、実用に耐えな
い。また、本積層フィルムの少なくとも一方向の強度は
5kg/mm2 以上が好ましく、より好ましくは7kg/mm 2
以上、さらに好ましくは9kg/mm2 以上である。さら
に、本積層フィルムの少なくとも一方向のヤング率は、
150kg/mm2 以上が好ましく、より好ましくは200k
g/mm2 以上、さらに好ましくは300kg/mm2 以上であ
る。
【0040】さらに、本積層フィルムの少なくとも一方
向の250℃での熱収縮率は、10%以下が好ましく、
より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下で
ある。さらに、本積層フィルムと銅箔とを接着剤を介す
ることなく直接加熱圧着した場合の接着力は、0.2kg
/cm 以上、より好ましくは0.4kg/cm 以上、さらに好
ましくは0.6kg/cm 以上である。
【0041】次に、本発明の積層フィルムの製造方法に
ついて説明するが、これに限定されるものではない。本
発明の芳香族ポリアミドはジイソシアネートとジカルボ
ン酸、あるいはジ酸クロリドとジアミンとの反応で得ら
れる。ジ酸クロリドとジアミンとからの場合は、N−メ
チル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのア
ミド系極性溶媒中で溶液重合したり、水系媒体を使用す
る界面重合などで合成される。ジ酸クロリドとジアミン
を低水分のアミド系極性溶媒中で低温下(通常50℃以
下、好ましくは30℃以下)で1〜2時間撹拌し重合さ
れる。モノマの添加順序は特に限定されるものではな
い。重合後発生した塩酸を無機アルカリあるいは有機系
の中和剤で中和する。また、ジイソシアネートとジカル
ボン酸との反応は、アミド系極性溶媒中、触媒の存在
下、通常は高温下(50〜200℃)で行なわれる。こ
れらのポリマ溶液はそのままブレンド用原液にしてもよ
く、またポリマーを一度単離してから溶媒に再溶解して
ブレンド用原液を調製してもよい。ブレンド用原液に
は、溶解助剤として無機塩、例えば塩化カルシウム、塩
化マグネシウムなどを添加する場合もある。
【0042】積層フィルムの特性を安定させるためには
ポリマの分子量を一定にしておく必要があり、この尺度
としては固有粘度(ηinh )をもって表わすのが便利で
ある。すなわち、芳香族ポリアミドの固有粘度は、好ま
しくは0.5〜10.0、より好ましくは1.0〜8.
0である。
【0043】上記芳香族ポリアミドと可溶性樹脂とのブ
レンドの方法としては、芳香族ポリアミドと可溶性樹脂
のそれぞれのブレンド原液を別個に調製しその原液同士
をブレンドする方法、可溶性樹脂を溶解したアミド系極
性溶媒溶液を調製し、その中で前述した芳香族ポリアミ
ドの重合を行ない、重合とブレンドを同時に行なう方法
などが挙げられる。こうして得られたブレンドポリマの
見かけの固有粘度は0.1〜8.0が好ましく、より好
ましくは0.2〜5.0である。製膜原液のポリマ濃度
は、0.5〜40重量%が好ましく、2〜20重量%が
より好ましい。
【0044】各々の製膜原液の粘度は、流延性の点から
5〜50000ポイズになるように製膜原液のポリマ濃
度や温度を調節することが好ましく、10〜20000
ポイズがより好ましい。
【0045】製膜法には乾湿式法、乾式法、湿式法など
がある。湿式法で製膜する場合には、該製膜原液を口金
から直接湿式浴中に押し出すか、または一旦ドラムなど
の支持体上に押し出し、支持体ごと湿式浴中に導入する
方法が用いられる。この浴は一般に水系媒体からなるも
のであり、水の他に有機溶媒や無機塩などを含有してい
てもよい。水系の媒体とは、水を主成分とする液体であ
り、ポリマに対しては貧溶媒であるが、無機塩やアミド
系極性溶媒には親和性のある液体のことである。湿式浴
中では一定速度で引き取られながら、無機塩やアミド系
極性溶媒の置換が行われるが、湿式浴全体を通過する時
間はフィルムの厚みにもよるが、10秒〜30分であ
る。この工程でフィルムの長手方向に延伸することも可
能である。次いで乾燥、横延伸、熱処理、リラックス処
理などが必要に応じて行なわれるが、これらの処理は、
概ね80〜500℃の雰囲気下、1秒〜30分で行なわ
れる。
【0046】乾湿式法で製膜する場合には、該製膜原液
をドクターナイフ、口金などによりドラム、エンドレス
ベルトなどの支持体上に流延し薄膜を形成する。次いで
かかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜が自己保持性をも
つまで乾操する。乾操条件は概ね50〜250℃、3秒
〜60分の範囲である。乾式工程を終えたフィルムは、
支持体から剥離されて湿式工程に導入され、上記の湿式
法と同様に脱塩、脱溶媒などが行なわれ、さらに必要に
応じて延伸、乾操、熱処理、リラックス処理などが行な
われる。
【0047】乾式法のプロセスを採用した場合には、ド
ラムあるいはエンドレスベルトなどの支持体上で乾操さ
れ、自己保持性をもったフィルムを、これら支持体から
剥離し、残存溶媒を除去するための乾操工程へ導入す
る。延伸、熱処理、リラックス処理などは、湿式法や乾
湿式法と同様に必要に応じて工程中で行なうことができ
る。
【0048】以上のように形成されるフィルムは、その
製膜工程中で必要に応じて延伸が行なわれるが、延伸倍
率は面倍率で0.8〜5.0倍(面倍率とは延伸後のフ
ィルム面積を延伸前のフィルム面積で除した値で定義す
る。1以下はリラックスさせたことを意味する)の範囲
内にあることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.
0倍である。
【0049】本発明の積層フィルムを形成するには、A
層側に相当する製膜原液と、B層側に相当する製膜原液
の2種類を公知の方法、例えば特開昭56-162617 号公報
に示されるように合流管で積層したり、口金内で積層し
て形成することができる。またいずれか一種の製膜原液
でフィルムを形成しておき、その上に他の製膜原液を流
延して脱溶媒を行ない、積層フィルムとすることもでき
る。さらに各層のフィルムを貼り合わせる方法もある。
特に合流管や口金内で積層する場合は、原液の粘度が1
0〜20000ポイズになるように調節することが好ま
しく、より好ましくは50〜10000ポイズである。
この範囲より低いと原液が口金から出る前に液どおしが
混合しやすくなり、高すぎると作業性が悪くなる。また
各層の液の粘度は同じことが好ましいが多少の粘度差が
あってもよく、粘度差は概ね50%以内とすることが好
ましい。
【0050】さらに乾式法、乾湿式法を採用する場合、
乾操工程中に各液が混合することがある。支持体上へキ
ャストされた原液は、加熱されると一旦粘度が低下し、
その後溶媒の蒸発に伴って再び粘度が上昇するが、粘度
が10ポイズより下がると各液が混合しやすくなるの
で、10ポイズ好ましくは50ポイズより粘度が下がら
ないよう乾操条件を十分調節する必要がある。例えば乾
操温度を少なくとも2段階に分けて上げていく方法が採
用できる。
【0051】かくして得られた本発明の積層フィルム
は、接着剤を介することなく銅箔と直接加熱圧着が可能
であり、フレキシブルプリント配線基板などに用いるこ
とができる。
【0052】
【実施例】本発明における特性値は次の測定法による。 (1)軟化温度 真空理工(株)製熱機械試験機のペネトレーションモー
ドにより、20〜30μmに薄膜化した試料を用い、
0.8mm径の検出棒に100gの定荷重をかけて10
℃/分の昇温速度下で変位を検出し、貫入開始温度を接
線法で求め軟化温度とした。
【0053】(2)固有粘度(ηinh ) N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として、0.5g/
100ml、30℃の条件下にウベローデ型粘度計を用
いて測定し、下式数1により求めた。
【0054】
【数1】
【0055】(3)溶液粘度(ポイズ) 回転式B型粘度計(東京計器)を用い、温度30℃で測
定した。
【0056】(4)機械特性(強度、伸度、ヤング率) ASTM−D−882によるテンシロン型引張試験機に
試幅10mm、試長50mmとなるようにセットし、引
っ張り速度300mm/分で引っ張って測定した。雰囲
気は25℃、55%RHである。
【0057】(5)熱収縮率 250℃に設定したオーブン中で、無荷重でフィルムを
10分間加熱し次式により算出した。 熱収縮率=(加熱による試長の変化量)/(加熱前の試
長)×100(%)
【0058】(6)接着強さ JIS−C−6471のA法(180度方向引きはがし
方法)に準拠して測定し、幅1cmあたりの値に換算し
た。
【0059】(7)はんだ耐熱性 JIS−C−6471に準拠した260℃のはんだ浴
に、20mm角に切り出した試料を5秒間浮かべた後引
き上げ、剥離や変形の認められないものを良好とした。
【0060】本発明を実施例により説明する。 実施例1 2-クロロパラフェニレンジアミン95mol%、4,4'-
ジアミノジフェニルエーテル5mol%と2-クロロテレ
フタル酸クロリド100mol%をN−メチル−2−ピ
ロリドン(以下NMPと略す)中で20℃以下で反応さ
せ、芳香族ポリアミドのNMP溶液を得た。この溶液を
多量の水に投入し、再沈・乾燥して粉体状のポリマを得
た。このポリマ10部をNMP100部に溶解させA層
用の製膜原液とした。得られたポリマの固有粘度は3.
8であり溶液粘度は2300ポイズ、ポリマを薄膜化し
て測定した軟化温度は330℃であった。
【0061】同様にして4,4'- ジアミノジフェニルエー
テル100mol%とイソフタル酸クロリド100mo
l%の反応から得た芳香族ポリアミド15部をNMP1
00部に溶解させB層用の製膜原液とした。得られたポ
リマの固有粘度は2.1であり溶液粘度は1600ポイ
ズ、軟化温度は200℃であった。
【0062】これらの製膜用原液を2台の押出機で合流
管に供給し、この中で積層して口金から連続的に水浴中
に押し出した。押出量を調整することで最終積層フィル
ムのA層の厚みが45μm、B層の厚みが5μmとなる
ように条件を決めた。水中で縦方向に1.05倍延伸し
た後テンター内に導き、150℃で乾燥しながら横方向
に1.1倍延伸し、280℃で熱処理を行なった。得ら
れた積層フィルムは、厚み50μm、強度25kg/m
2 、伸度20%、ヤング率850kg/mm2 、熱収
縮率0.5%であった。得られた積層フィルムを290
℃、線圧100kg/cm、周速3m/分のプレスロー
ルを用いて1オンスの電解銅箔と張り合わせた。銅張り
品の接着強さは2.3kg/cmではんだ耐熱性も良好
であった。
【0063】実施例2 実施例1で用いたA層用の芳香族ポリアミド10部とポ
リカーボネート30部をNMP250部に溶解させたブ
レンド溶液をA層用の製膜原液とした。得られ溶液粘度
は850ポイズであり軟化温度は290℃であった。ま
た、実施例1で用いたB層用の芳香族ポリアミド10部
とポリカーボネート10部をNMP100部に溶解させ
たブレンド溶液をB層用の製膜原液とした。得られ溶液
粘度は730ポイズ、軟化温度は180℃であった。
【0064】これらの製膜用原液を実施例1と同じ装置
を用いて積層化し、A層の厚みが30μm、B層の厚み
が10μmの積層フィルムを作成した。得られた積層フ
ィルムは、強度14kg/mm2 、伸度25%、ヤング
率410kg/mm2 、熱収縮率0.8%であった。こ
の積層フィルムを270℃、線圧100kg/cm、周
速3m/分のプレスロールを用いて1オンスの電解銅箔
と張り合わせた。銅張り品の接着強さは1.8kg/c
mではんだ耐熱性も良好であった。
【0065】実施例3 2-クロロパラフェニレンジアミン85mol%、4,4'-
ジアミノジフェニルエーテル15mol%と2-クロロテ
レフタル酸クロリド100mol%をNMP中で20℃
以下で反応させ、芳香族ポリアミドのNMP溶液を得
た。炭酸リチウムで中和した後溶液粘度を2500ポイ
ズに調整しA層用の製膜原液とした。ポリマの固有粘度
は3.5、軟化温度は310℃であった。同様にして4,
4'- ジアミノジフェニルメタン100mol%とイソフ
タル酸クロリド100mol%の反応から得た芳香族ポ
リアミドNMP溶液をB層用の製膜原液とした。溶液粘
度は1600ポイズでありポリマの固有粘度は2.3、
軟化温度は170であった。
【0066】これらの製膜用原液を実施例1と同じ要領
で3層用合流管に導き、最終積層フィルムのA層の厚み
が30μm、B層の厚みが片方が10μm他方が3μm
となるように押出量を調整し、口金から金属ベルト上へ
押し出した。
【0067】まず130℃の熱風で自己保持性を持つま
で乾燥し、ベルトから剥離して300℃のテンターへ導
入して熱処理を行ない厚さ45μmの積層フィルムを得
た。得られた積層フィルムは、強度18kg/mm2
伸度28%、ヤング率640kg/mm2 、熱収縮率
0.5%であった。得られた積層フィルムを280℃、
線圧150kg/cm、周速2m/分のプレスロールを
用いて1オンスの電解銅箔を両面に張り合わせた。銅張
り品の接着強さはB層の厚みが10μm側で2.6kg
/cm、3μm側で2.0kg/cmでありはんだ耐熱
性も良好であった。
【0068】実施例4 2-クロロパラフェニレンジアミン90mol%、3,4'-
ジアミノジフェニルエーテル10mol%と2-クロロテ
レフタル酸クロリド100mol%をNMP中で実施例
1と同様の方法で反応、再沈して粉体状のポリマを得
た。この芳香族ポリアミド10部とポリエーテルスルホ
ン10部をNMP120部に溶解させたブレンド溶液を
A層用の製膜原液とした。得られた芳香族ポリアミドの
固有粘度は3.6でありブレンド溶液の溶液粘度は85
0ポイズ、軟化温度は280℃であった。
【0069】同様にして3,4'- ジアミノジフェニルエー
テル100mol%とイソフタル酸クロリド70mol
%、2-クロロテレフタル酸クロリド30mol%の反応
から得た芳香族ポリアミド10部とポリエーテルスルホ
ン10部をNMP100部に溶解させたブレンド溶液を
B層用の製膜原液とした。得られた芳香族ポリアミドの
固有粘度は1.8でありブレンド溶液の溶液粘度は62
0ポイズ、軟化温度は280℃であった。
【0070】これらの製膜用原液を実施例1と同じ装置
を用いて積層化し、A層の厚みが40μm、B層の厚み
が10μmの積層フィルムを作成した。得られた積層フ
ィルムは、強度12kg/mm2 、伸度32%、ヤング
率370kg/mm2 、熱収縮率0.8%であった。こ
の積層フィルムを270℃、線圧100kg/cm、周
速3m/分のプレスロールを用いて1オンスの電解銅箔
と張り合わせた。銅張り品の接着強さは1.7kg/c
mではんだ耐熱性も良好であった。
【0071】比較例1 実施例1で用いたA層用製膜原液(樹脂の軟化温度33
0℃)を、アプリケーターでガラス板上に流延しガラス
板ごと水中に15分間浸した後、金属製の枠に固定して
300℃で2分間熱処理し、30μmの透明なフィルム
を得た。このフィルムを線圧200kg/cm、周速3
m/分のプレスロールを用いて1オンスの電解銅箔と張
り合わせようとしたが、銅箔が変色する330℃まで昇
温しても全く接着しなかった。
【0072】比較例2 実施例1においてB層の厚みを0.05μmとする以外
は実施例1と同じ方法で積層フィルムの作成、銅箔との
張り合わせを行なった。得られた厚さ45μmの積層フ
ィルムは、強度30kg/mm2 、伸度18%、ヤング
率1100kg/mm2 、熱収縮率0.5%であった
が、銅張り品の接着強さは0.1kg/cm以下で簡単
に剥離した。
【0073】比較例3 実施例1において厚み構成をA層10μm、B層60μ
mとする以外は実施例1と同じ方法で積層フィルムの作
成、銅箔との張り合わせを行なった。得られた厚さ70
μmの積層フィルムは、強度12kg/mm2 、伸度3
5%、ヤング率220kg/mm2 、熱収縮率3.5
%、銅張り品の接着強さは2.4kg/cmであった
が、はんだ耐熱性が不良であった。
【0074】比較例4 実施例2と同じ要領でA層用およびB層用ともにブレン
ド比を芳香族ポリアミド/ポリカーボネート=2/98
としてNMPに溶解させたそれぞれ約80ポイズの製膜
原液を作成した。軟化温度はA層用ポリマは140℃、
B層用ポリマは115℃であった。この製膜原液を2台
の押出機で合流管に導き、乾湿式法で製膜しA層30μ
m、B層10μmからなる積層フィルムを作成した。得
られた厚さ40μmの積層フィルムは、強度9kg/m
2 、伸度40%、ヤング率200kg/mm2 、熱収
縮率7%であったが、銅箔との張り合わせは積層フィル
ムが発泡するなどして不可能であった。
【0075】
【発明の効果】本発明の、芳香族ポリアミドまたは、芳
香族ポリアミドと可溶性樹脂とのブレンド樹脂からなる
積層フィルムにおいては、芳香族ポリアミドの構造を柔
軟化し、一定の軟化温度とすることにより銅箔との直接
接着性を発現させた層と、優れた耐熱性を有する層とを
積層化することにより、優れた耐熱性と、銅箔との直接
接着性とを兼備させることができる。
【0076】したがって、本発明の積層フィルムは、熱
プレスロールなどにより連続的に銅箔と容易に接着可能
であり、そのままフレキシブルプリント配線基板などに
用いることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミドまたは、芳香族ポリア
    ミドと可溶性樹脂とのブレンド樹脂よりなるA層の少な
    くとも片面に、芳香族ポリアミドまたは、該芳香族ポリ
    アミドと可溶性樹脂とのブレンド樹脂からなり、軟化温
    度が170℃〜240℃の範囲である樹脂よりなるB層
    が積層されていることを特徴とする積層フィルム。
  2. 【請求項2】 前記可溶性樹脂がポリカーボネートであ
    る請求項1の積層フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021516172A (ja) * 2018-05-04 2021-07-01 エルジー・ケム・リミテッド ポリアミドフィルム積層体

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021516172A (ja) * 2018-05-04 2021-07-01 エルジー・ケム・リミテッド ポリアミドフィルム積層体
US11351763B2 (en) 2018-05-04 2022-06-07 Lg Chem, Ltd. Polyamide film laminate

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