JPH0653561A - 超伝導薄膜粒界接合素子及びその製造方法 - Google Patents
超伝導薄膜粒界接合素子及びその製造方法Info
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- JPH0653561A JPH0653561A JP4220778A JP22077892A JPH0653561A JP H0653561 A JPH0653561 A JP H0653561A JP 4220778 A JP4220778 A JP 4220778A JP 22077892 A JP22077892 A JP 22077892A JP H0653561 A JPH0653561 A JP H0653561A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、基体上に電流の流れるCuO2面
が直交する粒界接合を有し、接合の漏れ電流が少ない超
伝導薄膜粒界接合素子及びその製造方法を提供すること
を目的とするものである。 【構成】 本発明の超伝導薄膜粒界接合素子の製造方法
は、LnBa2Cu3Ox(Ln:Yまたはランタニド
元素)に対する格子不整合率が異なる単結晶領域を基体
の表面に形成し、該基体と垂直方向の配向軸がそれぞれ
の単結晶領域上で異なるようにLnBa2Cu3Ox膜
を、該それぞれの単結晶領域上に形成することを特徴と
する。また、本発明の超伝導薄膜粒界接合素子は、Ln
Ba2Cu3Ox(Ln:Yまたは、ランタニド元素)
に対する格子不整合率が異なる単結晶領域を表面に有す
る基体の該単結晶領域上に、それぞれの領域で垂直方向
の配向軸が異なるLnBa2Cu3Ox膜を有している
ことを特徴とする。
が直交する粒界接合を有し、接合の漏れ電流が少ない超
伝導薄膜粒界接合素子及びその製造方法を提供すること
を目的とするものである。 【構成】 本発明の超伝導薄膜粒界接合素子の製造方法
は、LnBa2Cu3Ox(Ln:Yまたはランタニド
元素)に対する格子不整合率が異なる単結晶領域を基体
の表面に形成し、該基体と垂直方向の配向軸がそれぞれ
の単結晶領域上で異なるようにLnBa2Cu3Ox膜
を、該それぞれの単結晶領域上に形成することを特徴と
する。また、本発明の超伝導薄膜粒界接合素子は、Ln
Ba2Cu3Ox(Ln:Yまたは、ランタニド元素)
に対する格子不整合率が異なる単結晶領域を表面に有す
る基体の該単結晶領域上に、それぞれの領域で垂直方向
の配向軸が異なるLnBa2Cu3Ox膜を有している
ことを特徴とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超伝導薄膜粒界接合素
子及びその製造方法に係り、より詳細には、LnBa2
Cu3Ox(Ln:Yまたはランタニド元素)超伝導薄膜
を用いた超伝導薄膜粒界接合素子及びその製造方法に関
するものである。
子及びその製造方法に係り、より詳細には、LnBa2
Cu3Ox(Ln:Yまたはランタニド元素)超伝導薄膜
を用いた超伝導薄膜粒界接合素子及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】1986年に発見されたLa1-xMxCu
O4-y(M:Sr,Ba,0<x<1)は、超伝導転移
温度(Tc)が30〜40Kと従来の金属超伝導体のTc
と比較して著しく高いことから、酸化物超伝導体の探索
が進められ、Tc〜90Kを有するLnBa2CuOx酸
化物超伝導体(Ln:Yまたはランタニド元素)、Tc
〜110Kを有するBiSrCaCuOx系酸化物超伝
導体、Tc〜120Kを有するTlBaCaCuOx系酸
化物超伝導体の発見が相次いだ。
O4-y(M:Sr,Ba,0<x<1)は、超伝導転移
温度(Tc)が30〜40Kと従来の金属超伝導体のTc
と比較して著しく高いことから、酸化物超伝導体の探索
が進められ、Tc〜90Kを有するLnBa2CuOx酸
化物超伝導体(Ln:Yまたはランタニド元素)、Tc
〜110Kを有するBiSrCaCuOx系酸化物超伝
導体、Tc〜120Kを有するTlBaCaCuOx系酸
化物超伝導体の発見が相次いだ。
【0003】これらの高温超伝導体の中で、特にYBa
2Cu3O xを用いた接合素子が各種報告されている。こ
れらの接合素子は縦型接合と平面型接合の2種類に分類
できる。
2Cu3O xを用いた接合素子が各種報告されている。こ
れらの接合素子は縦型接合と平面型接合の2種類に分類
できる。
【0004】縦型接合は上下超伝導薄膜の間に絶縁層ま
たは常伝導層を挿入したトンネル接合に代表されるもの
であるが、接合層の厚みによりトンネル電流密度が指数
関数的に変化するため、電流密度の制御ができないとい
う問題がある。
たは常伝導層を挿入したトンネル接合に代表されるもの
であるが、接合層の厚みによりトンネル電流密度が指数
関数的に変化するため、電流密度の制御ができないとい
う問題がある。
【0005】一方、平面型接合の中には、方位の異な
る基板を張り合わせた、いわゆるバイクリスタル基板を
用いた接合と、SrTiO3上に形成される薄膜の面
内方位とMgO上に形成される薄膜の面内方位とが異な
ることを利用した45゜傾角接合と、がある。
る基板を張り合わせた、いわゆるバイクリスタル基板を
用いた接合と、SrTiO3上に形成される薄膜の面
内方位とMgO上に形成される薄膜の面内方位とが異な
ることを利用した45゜傾角接合と、がある。
【0006】バイクリスタル基板を用いた接合を図5を
もって説明する。図5(a)は薄膜の平面図、図5
(b)は断面図である。図5中、51,51’はSrT
iO3基板であり、SrTiO3基板51とSrTiO
3基板51’とは方位が異なっている。8は、方位の異
なるSrTiO3基板51とSrTiO3基板51’と
を張り合わせた接合部、53,53’は、そのバイクリ
スタル基板上に堆積したYBa2Cu3Ox薄膜、矢印c
は薄膜53,53’のc軸方向、矢印(a/b)は薄膜
53,53’のa軸もしくはb軸方向、55は傾角粒界
接合である。
もって説明する。図5(a)は薄膜の平面図、図5
(b)は断面図である。図5中、51,51’はSrT
iO3基板であり、SrTiO3基板51とSrTiO
3基板51’とは方位が異なっている。8は、方位の異
なるSrTiO3基板51とSrTiO3基板51’と
を張り合わせた接合部、53,53’は、そのバイクリ
スタル基板上に堆積したYBa2Cu3Ox薄膜、矢印c
は薄膜53,53’のc軸方向、矢印(a/b)は薄膜
53,53’のa軸もしくはb軸方向、55は傾角粒界
接合である。
【0007】この接合では、電流の流れるCuO2面
(a面もしくはb面)が、接合を挟む両電極で同じ面内
にあり、平行に接しているため、漏れ電流が多くなる。
(a面もしくはb面)が、接合を挟む両電極で同じ面内
にあり、平行に接しているため、漏れ電流が多くなる。
【0008】次に、45゜傾角接合について図6をもっ
て説明する。
て説明する。
【0009】図6(a)は平面図、図6(b)は断面図
であり、図6中61はSrTiO3基板、9はMgO薄
膜、63,63’はc軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、6
5は粒界接合、矢印cはYBa2Cu3Ox薄膜63,
63’のc軸方向、矢印a/bはYBa2Cu3Ox薄
膜63,63’のa軸もしくはb軸方向である。
であり、図6中61はSrTiO3基板、9はMgO薄
膜、63,63’はc軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、6
5は粒界接合、矢印cはYBa2Cu3Ox薄膜63,
63’のc軸方向、矢印a/bはYBa2Cu3Ox薄
膜63,63’のa軸もしくはb軸方向である。
【0010】図6から分かるように、粒界接合65を挟
んで電極の配向軸はc軸で同じであるが、YBa2Cu
3Ox薄膜63とYBa2Cu3Ox薄膜63’とは4
5゜の傾角接合となっている。この場合もバイクリスタ
ルの場合と同じように電流の流れるCuO2面(a面も
しくはb面)は粒界接合65を挟む両電極で同じ面内に
あり、平行に接している。そのため、この平面型の45
°傾角接合方法でも電流の流れるYBa2Cu3Oxの中
のCuO2面は常にYBa2Cu3Ox膜63,63’面内
にあって、これが接合の境界領域及び双方の電極部にあ
っても常に平行(a/b軸方向―a/b軸方向)に連な
った接合であり、接合の漏れ電流が多くなるという重大
な問題がある。
んで電極の配向軸はc軸で同じであるが、YBa2Cu
3Ox薄膜63とYBa2Cu3Ox薄膜63’とは4
5゜の傾角接合となっている。この場合もバイクリスタ
ルの場合と同じように電流の流れるCuO2面(a面も
しくはb面)は粒界接合65を挟む両電極で同じ面内に
あり、平行に接している。そのため、この平面型の45
°傾角接合方法でも電流の流れるYBa2Cu3Oxの中
のCuO2面は常にYBa2Cu3Ox膜63,63’面内
にあって、これが接合の境界領域及び双方の電極部にあ
っても常に平行(a/b軸方向―a/b軸方向)に連な
った接合であり、接合の漏れ電流が多くなるという重大
な問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基体上に電
流の流れるCuO2面が直交する粒界接合を有し、接合
の漏れ電流が少ない超伝導薄膜粒界接合素子及びその製
造方法を提供することを目的とするものである。
流の流れるCuO2面が直交する粒界接合を有し、接合
の漏れ電流が少ない超伝導薄膜粒界接合素子及びその製
造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の超伝導薄膜粒界接合素子の製造方法は、Ln
Ba2Cu3Ox(Ln:Yまたはランタニド元素)に
対する格子不整合率が異なる単結晶領域を基体の表面に
形成し、該基体と垂直方向の配向軸がそれぞれの単結晶
領域上で異なるようにLnBa2Cu3Ox膜を、該そ
れぞれの単結晶領域上に形成することを特徴とする。
の本発明の超伝導薄膜粒界接合素子の製造方法は、Ln
Ba2Cu3Ox(Ln:Yまたはランタニド元素)に
対する格子不整合率が異なる単結晶領域を基体の表面に
形成し、該基体と垂直方向の配向軸がそれぞれの単結晶
領域上で異なるようにLnBa2Cu3Ox膜を、該そ
れぞれの単結晶領域上に形成することを特徴とする。
【0013】上記課題を解決するための本発明の超伝導
薄膜粒界接合素子は、LnBa2Cu3Ox(Ln:Y
または、ランタニド元素)に対する格子不整合率が異な
る単結晶領域を表面に有する基体の該単結晶領域上に、
それぞれの領域で垂直方向の配向軸が異なるLnBa2
Cu3Ox膜を有していることを特徴とする。
薄膜粒界接合素子は、LnBa2Cu3Ox(Ln:Y
または、ランタニド元素)に対する格子不整合率が異な
る単結晶領域を表面に有する基体の該単結晶領域上に、
それぞれの領域で垂直方向の配向軸が異なるLnBa2
Cu3Ox膜を有していることを特徴とする。
【0014】
【作用】本発明の作用を本発明に密接に関連する実験事
実に基づき説明する。
実に基づき説明する。
【0015】図1は、MgO,SrTiO3,LaSr
GaO4,PrGaO3,NdGaO3,LaAlO3,Y
AlO3などの材料からなる基体上にYBa2Cu3Ox超
伝導体薄膜を形成した時のYBa2Cu3Ox薄膜の結
晶学的配向軸の基体温度依存性を求めたものである。Y
Ba2Cu3Oxに対する格子不整合率は、これら材料
相互で異なる。図1中、aはYBa2Cu3Ox薄膜がa
軸配向(CuO2面は基体表面に垂直)となる領域、c
はYBa2Cu3Ox薄膜がc軸配向(CuO2面が基体
表面に平行)となる領域、(a+c)はa軸配向とc軸
配向が混在するYBa2Cu3Ox薄膜の成長する領域で
ある。
GaO4,PrGaO3,NdGaO3,LaAlO3,Y
AlO3などの材料からなる基体上にYBa2Cu3Ox超
伝導体薄膜を形成した時のYBa2Cu3Ox薄膜の結
晶学的配向軸の基体温度依存性を求めたものである。Y
Ba2Cu3Oxに対する格子不整合率は、これら材料
相互で異なる。図1中、aはYBa2Cu3Ox薄膜がa
軸配向(CuO2面は基体表面に垂直)となる領域、c
はYBa2Cu3Ox薄膜がc軸配向(CuO2面が基体
表面に平行)となる領域、(a+c)はa軸配向とc軸
配向が混在するYBa2Cu3Ox薄膜の成長する領域で
ある。
【0016】図1から、基体温度が同じであっても異な
る材料からなる基体上ではYBa2Cu3Ox超伝導薄膜
の結晶方位(配向)は基体材料との間の格子の不整合率
で決まり、格子不整合率が大きい材料からなる基体上で
はYBa2Cu3Ox超伝導薄膜はc軸配向となり、格子
不整合率が小さい基板上ではYBa2Cu3Ox超伝導薄
膜はa軸配向となることを示している。
る材料からなる基体上ではYBa2Cu3Ox超伝導薄膜
の結晶方位(配向)は基体材料との間の格子の不整合率
で決まり、格子不整合率が大きい材料からなる基体上で
はYBa2Cu3Ox超伝導薄膜はc軸配向となり、格子
不整合率が小さい基板上ではYBa2Cu3Ox超伝導薄
膜はa軸配向となることを示している。
【0017】すなわち、例えば、YBa2Cu3Oxとの
格子不整合率が1.1%のSrTiO3を基体に用い、
蒸着材料として、YBa2Cu3Oxとの格子不整合率が
0.02%のPrGaO3を用いた場合に、例えば、図
1に示した点線の蒸着温度である750℃に基板温度を
設定すれば、SrTiO3基板上に蒸着されたYBa2C
u3Ox薄膜はc軸配向(CuO2面が基体表面に平行)
となり、一方、PrGaO3上に蒸着されたYBa2Cu
3Ox薄膜はa軸配向(CuO2面は基体表面に垂直)と
なる。従って、従来できなかった電流の流れるCuO2
面を直交するようにでき、従来できなかった漏れ電流を
低減できる。
格子不整合率が1.1%のSrTiO3を基体に用い、
蒸着材料として、YBa2Cu3Oxとの格子不整合率が
0.02%のPrGaO3を用いた場合に、例えば、図
1に示した点線の蒸着温度である750℃に基板温度を
設定すれば、SrTiO3基板上に蒸着されたYBa2C
u3Ox薄膜はc軸配向(CuO2面が基体表面に平行)
となり、一方、PrGaO3上に蒸着されたYBa2Cu
3Ox薄膜はa軸配向(CuO2面は基体表面に垂直)と
なる。従って、従来できなかった電流の流れるCuO2
面を直交するようにでき、従来できなかった漏れ電流を
低減できる。
【0018】尚、格子不整合率Mは次の式で定まる。 α:一方の単結晶のa軸またはb軸方向の格子定数。
【0019】β:他方の単結晶のa軸またはb軸方向の
格子定数。
格子定数。
【0020】
【実施例】(実施例1)上述した実験事実をもとに、図
2をもって、本発明の実施例1を説明する。
2をもって、本発明の実施例1を説明する。
【0021】図2は本発明の粒界接合の製法を説明する
図であって、1はSrTiO3基板、2はPrGaO3、
3はc軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、4はa軸配向YB
a2Cu3Ox薄膜、5はc軸配向YBa2Cu3Ox薄膜3
とa軸配向YBa2Cu3Ox薄膜4からなる粒界接合、
6はマスクである。
図であって、1はSrTiO3基板、2はPrGaO3、
3はc軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、4はa軸配向YB
a2Cu3Ox薄膜、5はc軸配向YBa2Cu3Ox薄膜3
とa軸配向YBa2Cu3Ox薄膜4からなる粒界接合、
6はマスクである。
【0022】図2(a)は、例えば、YBa2Cu3Ox
との格子不整合率が1.1%のSrTiO3基板上にマ
スク材6を乗せた状態を示している。次にマスクしたと
ころ以外の部分に例えば、YBa2Cu3Oxとの格子不
整合率が0.02%のPrGaO3を堆積する。
との格子不整合率が1.1%のSrTiO3基板上にマ
スク材6を乗せた状態を示している。次にマスクしたと
ころ以外の部分に例えば、YBa2Cu3Oxとの格子不
整合率が0.02%のPrGaO3を堆積する。
【0023】この状態からマスク材を取り去ったものが
図2(b)である。
図2(b)である。
【0024】最後に図2(c)の基板上全面にYBa2
Cu3Ox薄膜を図1の点線で示した基板温度750℃で
堆積する。すると、図2(c)に示したようにSrTi
O3基板上にはc軸配向したYBa2Cu3Ox薄膜が堆積
され、PrGaO3上にはa軸配向YBa2Cu3Ox薄膜
が堆積される。この時にc軸配向したYBa2Cu3Ox
薄膜とa軸配向YBa2Cu3Ox薄膜との境界領域に粒
界接合5が形成される。この形成された粒界接合5は両
YBa2Cu3Ox薄膜の境界部分に電流の流れるCuO2
面が直交するc軸配向−a軸配向の粒界接合となる。
Cu3Ox薄膜を図1の点線で示した基板温度750℃で
堆積する。すると、図2(c)に示したようにSrTi
O3基板上にはc軸配向したYBa2Cu3Ox薄膜が堆積
され、PrGaO3上にはa軸配向YBa2Cu3Ox薄膜
が堆積される。この時にc軸配向したYBa2Cu3Ox
薄膜とa軸配向YBa2Cu3Ox薄膜との境界領域に粒
界接合5が形成される。この形成された粒界接合5は両
YBa2Cu3Ox薄膜の境界部分に電流の流れるCuO2
面が直交するc軸配向−a軸配向の粒界接合となる。
【0025】実施例1では、例として、SrTiO
3(格子不整合1.1%)、PrGaO3(0.02%)
を用いて説明したが、図1に示した曲線の変曲点がそれ
ぞれ±1%付近にあるため、格子不整合率が1%を越え
る材料(例えばMgO、SrTiO3、LaAlO3、Y
AlO3等)と越えない材料(PrGaO3、NdGaO
3、LaSrGaO4等)を選べばより良いことは言うま
でもない。さらにここでは超伝導材料として、YBa2
Cu3Oxを用いて説明したが、YでなくLn(ランタノ
イド)からなるLnBa2Cu3Oxであっても、超伝導
となる材料であれば同じある。
3(格子不整合1.1%)、PrGaO3(0.02%)
を用いて説明したが、図1に示した曲線の変曲点がそれ
ぞれ±1%付近にあるため、格子不整合率が1%を越え
る材料(例えばMgO、SrTiO3、LaAlO3、Y
AlO3等)と越えない材料(PrGaO3、NdGaO
3、LaSrGaO4等)を選べばより良いことは言うま
でもない。さらにここでは超伝導材料として、YBa2
Cu3Oxを用いて説明したが、YでなくLn(ランタノ
イド)からなるLnBa2Cu3Oxであっても、超伝導
となる材料であれば同じある。
【0026】(実施例2)図3をもって実施例2を説明
する。
する。
【0027】実施例2は基板として(110)PrGa
O3、堆積材としてSrTiO3を用いた場合である。図
3(a)は平面図、図3(b)は断面図であり、図中2
は基板材料の(110)PrGaO3、1は堆積材料の
SrTiO3、3はc軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、4は
a軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、5はc軸配向YBa2C
u3Ox薄膜3とa軸配向YBa2Cu3Ox薄膜4からな
る粒界接合、7は基板の面内格子の長軸方向である。
O3、堆積材としてSrTiO3を用いた場合である。図
3(a)は平面図、図3(b)は断面図であり、図中2
は基板材料の(110)PrGaO3、1は堆積材料の
SrTiO3、3はc軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、4は
a軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、5はc軸配向YBa2C
u3Ox薄膜3とa軸配向YBa2Cu3Ox薄膜4からな
る粒界接合、7は基板の面内格子の長軸方向である。
【0028】実施例2のように基板に格子不整合率の小
さな材料を用いた場合は図2とは逆にa軸配向としたい
部分にマスクをする事を除けば、殆ど同じである。た
だ、(110)PrGaO3、(110)NdGaO3、
(100)LaSrGaO4等のような面内格子が長方
形となる材料を基板として用いた場合、a軸配向YBa
2Cu3Ox薄膜の基板面と平行にあるc軸が基板面内格
子の長軸方向を向く性質がある。例えば、図3(a)に
おいて、矢印7の面内格子の長軸方向が粒界接合に垂直
の場合、接合面はYBa2Cu3Ox薄膜のa/b軸方向
(SrTiO3上)とYBa2Cu3Ox薄膜のc軸方向
(PrGaO3基板上)との接合となる。一方、逆に矢
印7の面内格子の長軸方向が粒界接合に平行の場合、接
合面はYBa2Cu3Ox薄膜のa軸もしくはb軸方向
(SrTiO3上)とYBa2Cu3Ox薄膜のb軸方向
(PrGaO3基板上)との電流の流れるCuO2面が垂
直となる接合が形成される。このように基板方位により
粒界接合の接合面を基板方位により制御することができ
る。図1では接合をもともとの基板の片側一箇所にのみ
作製したが、マスクの無い部分を基板上で矩形にし、接
合を複数個にしてもよい。その場合、一つの矩形の一辺
ではa軸もしくはb軸方向とc軸方向との接合、他辺で
はa軸もしくはb軸方向とb軸方向との接合となり、対
向する電極間で一方がa軸配向膜、他方がc軸配向膜と
いう電流の流れるCuO2面が垂直の接合になり、基板
方位により作り分けられることは言うまでもない。
さな材料を用いた場合は図2とは逆にa軸配向としたい
部分にマスクをする事を除けば、殆ど同じである。た
だ、(110)PrGaO3、(110)NdGaO3、
(100)LaSrGaO4等のような面内格子が長方
形となる材料を基板として用いた場合、a軸配向YBa
2Cu3Ox薄膜の基板面と平行にあるc軸が基板面内格
子の長軸方向を向く性質がある。例えば、図3(a)に
おいて、矢印7の面内格子の長軸方向が粒界接合に垂直
の場合、接合面はYBa2Cu3Ox薄膜のa/b軸方向
(SrTiO3上)とYBa2Cu3Ox薄膜のc軸方向
(PrGaO3基板上)との接合となる。一方、逆に矢
印7の面内格子の長軸方向が粒界接合に平行の場合、接
合面はYBa2Cu3Ox薄膜のa軸もしくはb軸方向
(SrTiO3上)とYBa2Cu3Ox薄膜のb軸方向
(PrGaO3基板上)との電流の流れるCuO2面が垂
直となる接合が形成される。このように基板方位により
粒界接合の接合面を基板方位により制御することができ
る。図1では接合をもともとの基板の片側一箇所にのみ
作製したが、マスクの無い部分を基板上で矩形にし、接
合を複数個にしてもよい。その場合、一つの矩形の一辺
ではa軸もしくはb軸方向とc軸方向との接合、他辺で
はa軸もしくはb軸方向とb軸方向との接合となり、対
向する電極間で一方がa軸配向膜、他方がc軸配向膜と
いう電流の流れるCuO2面が垂直の接合になり、基板
方位により作り分けられることは言うまでもない。
【0029】(実施例3)図4は実施例3を説明する図
であって、図中1はSrTiO3、2は(110)Pr
GaO3、3はc軸配向したYBa2Cu3Ox薄膜、4は
a軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、5は粒界接合である。
この作製方法は図2と同じようにマスクをした後、基板
をエッチングにより下げ、その掘り下げた穴にSrTi
O31を埋め込んだこと以外は図3(b)に示す粒界接
合と同じである。この平坦化による利点は接合面5が結
晶の乱れのないきれいな接合となる点である。
であって、図中1はSrTiO3、2は(110)Pr
GaO3、3はc軸配向したYBa2Cu3Ox薄膜、4は
a軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、5は粒界接合である。
この作製方法は図2と同じようにマスクをした後、基板
をエッチングにより下げ、その掘り下げた穴にSrTi
O31を埋め込んだこと以外は図3(b)に示す粒界接
合と同じである。この平坦化による利点は接合面5が結
晶の乱れのないきれいな接合となる点である。
【0030】なお、以上の例では、異なる格子不整合率
を有する単結晶領域の一方のみを堆積膜により形成し、
他方の領域は、基板表面をそのまま利用したが、両方の
領域を共に堆積膜により形成してもよいことはいうまで
もない。その場合は、基板として、安価なものをしよう
することができる。
を有する単結晶領域の一方のみを堆積膜により形成し、
他方の領域は、基板表面をそのまま利用したが、両方の
領域を共に堆積膜により形成してもよいことはいうまで
もない。その場合は、基板として、安価なものをしよう
することができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による、粒
界接合の製法によれば、粒界接合を電流の流れるCuO
2面を垂直に接せさせた漏れ電流の少ないものとして、
歩留まり良く、容易に製造することができる。また、電
流の流れやすいCuO2面が接合領域で垂直に接してい
ることから新しい電流輸送現象あるいは新しい効果の発
見が期待できる。
界接合の製法によれば、粒界接合を電流の流れるCuO
2面を垂直に接せさせた漏れ電流の少ないものとして、
歩留まり良く、容易に製造することができる。また、電
流の流れやすいCuO2面が接合領域で垂直に接してい
ることから新しい電流輸送現象あるいは新しい効果の発
見が期待できる。
【図1】本発明の元となった格子不整合率とa軸配向/
c軸配向となる基板温度との関係を示した実験結果を示
すグラフであって、縦軸は基板温度、横軸はYBa2C
u3Ox薄膜との格子不整合率である。
c軸配向となる基板温度との関係を示した実験結果を示
すグラフであって、縦軸は基板温度、横軸はYBa2C
u3Ox薄膜との格子不整合率である。
【図2】本発明による実施例1を説明する図である。
【図3】本発明による実施例2を説明する図である。
【図4】本発明による実施例3を説明する図である。
【図5】はバイクリスタル基板を用いた従来の平面型粒
界接合を示したものである。
界接合を示したものである。
【図6】45゜の傾角粒界接合を示したものである。
c YBa2Cu3Ox薄膜がc軸配向となる領
域、 a YBa2Cu3Ox薄膜がa軸配向となる領
域、 a+c a軸配向とc軸配向YBa2Cu3Ox薄
膜とが混在する領域、 ↑a YBa2Cu3Ox薄膜のa軸方向、 ↑c YBa2Cu3Ox薄膜のc軸方向、 ↑a/b YBa2Cu3Ox薄膜のa軸もしくはb
−軸方向、 1,1’ SrTiO3膜、 2 PrGaO3膜、 3,3’ c軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、 4 a軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、 5 粒界接合、 6 マスク材、 7 基板方位を示す矢印、 8 バイクリスタル基板の基板内の軸方位の接合
部分、 9 MgO膜、 51,51’ SrTiO3膜、 53,53’ YBa2Cu3Ox薄膜、 55 粒界接合、 61,61’ SrTiO3膜、 63,63’ YBa2Cu3Ox薄膜、 65 粒界接合。
域、 a YBa2Cu3Ox薄膜がa軸配向となる領
域、 a+c a軸配向とc軸配向YBa2Cu3Ox薄
膜とが混在する領域、 ↑a YBa2Cu3Ox薄膜のa軸方向、 ↑c YBa2Cu3Ox薄膜のc軸方向、 ↑a/b YBa2Cu3Ox薄膜のa軸もしくはb
−軸方向、 1,1’ SrTiO3膜、 2 PrGaO3膜、 3,3’ c軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、 4 a軸配向YBa2Cu3Ox薄膜、 5 粒界接合、 6 マスク材、 7 基板方位を示す矢印、 8 バイクリスタル基板の基板内の軸方位の接合
部分、 9 MgO膜、 51,51’ SrTiO3膜、 53,53’ YBa2Cu3Ox薄膜、 55 粒界接合、 61,61’ SrTiO3膜、 63,63’ YBa2Cu3Ox薄膜、 65 粒界接合。
Claims (3)
- 【請求項1】 LnBa2Cu3Ox(Ln:Yまたはラ
ンタニド元素)に対する格子不整合率が異なる単結晶領
域を基体の表面に形成し、該基体と垂直方向の配向軸が
それぞれの単結晶領域上で異なるようにLnBa2Cu3
Ox膜を、該それぞれの単結晶領域上に形成することを
特徴とする超伝導薄膜粒界接合素子の製造方法。 - 【請求項2】 前記LnBa2Cu3Ox膜を、所定の
形成基板温度において、前記格子不整合率が異なるそれ
ぞれの領域上に同時に形成することを特徴とする請求項
1記載の超伝導薄膜粒界接合素子の製造方法。 - 【請求項3】 LnBa2Cu3Ox(Ln:Yまた
は、ランタニド元素)に対する格子不整合率が異なる単
結晶領域を表面に有する基体の該単結晶領域上に、それ
ぞれの領域で垂直方向の配向軸が異なるLnBa2Cu
3Ox膜を有していることを特徴とする超伝導薄膜粒界
接合素子。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4220778A JP2708671B2 (ja) | 1992-07-28 | 1992-07-28 | 超伝導薄膜粒界接合素子の製造方法。 |
EP99118017A EP0973208B1 (en) | 1992-07-28 | 1993-07-27 | Lattice matching device and method for fabricating the same |
DE69333799T DE69333799T2 (de) | 1992-07-28 | 1993-07-27 | Bauelement mit Gitteranpassung und Verfahren zu seiner Herstellung |
DE69328278T DE69328278T2 (de) | 1992-07-28 | 1993-07-27 | Übergangsvorrichtung mit Gitteranpassung und Verfahren zu ihrer Herstellung |
EP93111981A EP0582889B1 (en) | 1992-07-28 | 1993-07-27 | Junction device with lattice matching and method for fabricating the same |
EP05005034A EP1544926A3 (en) | 1992-07-28 | 1993-07-27 | Superconducting thin film device comprising superconducting oxide multilayer interconnections and method for fabricating the same |
US08/097,235 US5593950A (en) | 1992-07-28 | 1993-07-27 | Lattice matching super conducting device with a- and c- axes |
US08/479,751 US5821200A (en) | 1992-07-28 | 1995-06-07 | Lattice matching device and method for fabricating the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4220778A JP2708671B2 (ja) | 1992-07-28 | 1992-07-28 | 超伝導薄膜粒界接合素子の製造方法。 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0653561A true JPH0653561A (ja) | 1994-02-25 |
JP2708671B2 JP2708671B2 (ja) | 1998-02-04 |
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ID=16756424
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP4220778A Expired - Fee Related JP2708671B2 (ja) | 1992-07-28 | 1992-07-28 | 超伝導薄膜粒界接合素子の製造方法。 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2708671B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08153908A (ja) * | 1994-11-28 | 1996-06-11 | Korea Electron Telecommun | 結晶粒界チャンネルをもつ超伝導電界効果素子とその製造方法 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01161880A (ja) * | 1987-12-18 | 1989-06-26 | Toshiba Corp | 超電導素子 |
JPH0446098A (ja) * | 1990-06-13 | 1992-02-17 | Toshiba Corp | 超電導部材 |
JPH04144994A (ja) * | 1990-10-05 | 1992-05-19 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 酸化物超電導薄膜の製造方法 |
JPH04318984A (ja) * | 1991-04-17 | 1992-11-10 | Riken Corp | ジョセフソン接合素子およびその製造方法 |
JPH05267736A (ja) * | 1992-02-19 | 1993-10-15 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 超電導接合を有する素子およびその作製方法 |
JPH05267735A (ja) * | 1992-02-19 | 1993-10-15 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 超電導接合、超電導素子およびそれらの作製方法 |
-
1992
- 1992-07-28 JP JP4220778A patent/JP2708671B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JPH05267735A (ja) * | 1992-02-19 | 1993-10-15 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 超電導接合、超電導素子およびそれらの作製方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH08153908A (ja) * | 1994-11-28 | 1996-06-11 | Korea Electron Telecommun | 結晶粒界チャンネルをもつ超伝導電界効果素子とその製造方法 |
US5846846A (en) * | 1994-11-28 | 1998-12-08 | Electronics And Telecommunications Research Institute | Method for making a superconducting field-effect device with grain boundary channel |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2708671B2 (ja) | 1998-02-04 |
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