JPH05267736A - 超電導接合を有する素子およびその作製方法 - Google Patents
超電導接合を有する素子およびその作製方法Info
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- JPH05267736A JPH05267736A JP4069512A JP6951292A JPH05267736A JP H05267736 A JPH05267736 A JP H05267736A JP 4069512 A JP4069512 A JP 4069512A JP 6951292 A JP6951292 A JP 6951292A JP H05267736 A JPH05267736 A JP H05267736A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 一部にc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2を形
成した上記のMgO(100)基板3上に、a軸配向の薄
膜が成長する条件でY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1
を成長させる。Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1の直
接MgO(100)基板3上に成長した部分11はa軸配向
になり、c軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2上に成長した
部分12はc軸配向になり、結晶粒界4が障壁の超電導接
合になる。 【効果】 微細加工せずに弱結合型の超電導接合が容易
に作製できる。
成した上記のMgO(100)基板3上に、a軸配向の薄
膜が成長する条件でY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1
を成長させる。Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1の直
接MgO(100)基板3上に成長した部分11はa軸配向
になり、c軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2上に成長した
部分12はc軸配向になり、結晶粒界4が障壁の超電導接
合になる。 【効果】 微細加工せずに弱結合型の超電導接合が容易
に作製できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導接合を有する素
子およびその作製方法に関する。より詳細には、酸化物
超電導体を用いており、作製が容易である新規な超電導
接合、その作製方法およびその応用に関する。
子およびその作製方法に関する。より詳細には、酸化物
超電導体を用いており、作製が容易である新規な超電導
接合、その作製方法およびその応用に関する。
【0002】
【従来の技術】ジョセフソン接合に代表される超電導接
合を実現する構成は各種あって、最も好ましい構造は、
一対の超電導体で薄い非超電導体をはさんだトンネル型
の接合である。しかしながら、点接触型、マイクロブリ
ッジ型等一対の超電導体を弱く結合した超電導接合も、
特性は異なるもののジョセフソン効果を発揮する。一般
に、このような超電導接合は非常に微細な構成であり、
上記の超電導体および非超電導体は、いわゆる薄膜で構
成されている。
合を実現する構成は各種あって、最も好ましい構造は、
一対の超電導体で薄い非超電導体をはさんだトンネル型
の接合である。しかしながら、点接触型、マイクロブリ
ッジ型等一対の超電導体を弱く結合した超電導接合も、
特性は異なるもののジョセフソン効果を発揮する。一般
に、このような超電導接合は非常に微細な構成であり、
上記の超電導体および非超電導体は、いわゆる薄膜で構
成されている。
【0003】例えば、超電導体に酸化物超電導体を使用
してトンネル型超電導接合を実現する場合には、基板上
に第1の酸化物超電導薄膜、非超電導体薄膜および第2
の酸化物超電導薄膜を順に積層する。
してトンネル型超電導接合を実現する場合には、基板上
に第1の酸化物超電導薄膜、非超電導体薄膜および第2
の酸化物超電導薄膜を順に積層する。
【0004】非超電導体には、用途により例えばMgO等
の絶縁体、Si等の半導体、Au等の金属が使用され、それ
ぞれ異なる特性の超電導接合を構成する。
の絶縁体、Si等の半導体、Au等の金属が使用され、それ
ぞれ異なる特性の超電導接合を構成する。
【0005】トンネル型超電導接合における非超電導体
の厚さは、超電導体のコヒーレンス長によって決まる。
酸化物超電導体は、コヒーレンス長が非常に短いため、
酸化物超電導体を使用したトンネル型超電導接合におい
ては、非超電導体の厚さは数nm程度にしなければならな
い。
の厚さは、超電導体のコヒーレンス長によって決まる。
酸化物超電導体は、コヒーレンス長が非常に短いため、
酸化物超電導体を使用したトンネル型超電導接合におい
ては、非超電導体の厚さは数nm程度にしなければならな
い。
【0006】また、点接触型超電導接合、マイクロブリ
ッジ型超電導接合は、いずれも一対の超電導体の弱結合
が実現するような非常に微細な加工を必要とする。一
方、超電導接合の動作特性を考慮すると、超電導接合を
構成する各層の結晶性がよく、単結晶または単結晶にご
く近い配向性を有する多結晶でなければならない。
ッジ型超電導接合は、いずれも一対の超電導体の弱結合
が実現するような非常に微細な加工を必要とする。一
方、超電導接合の動作特性を考慮すると、超電導接合を
構成する各層の結晶性がよく、単結晶または単結晶にご
く近い配向性を有する多結晶でなければならない。
【0007】一方、SQUIDは、上記の超電導接合の
内、ジョセフソン接合を利用した高感度磁気センサであ
る。図4(a) および(b) にSQUIDの原理図を示す。
図4(a) は、dcSQUIDで、超電導リング30に2個の
ジョセフソン接合31および32を組み合わせてある。dcS
QUIDは、超電導リング30に流れる直流電流Idcを一
定にし、超電導リング30にかかる直流電圧Vdcを測定す
ることで、磁束Φを測定する。
内、ジョセフソン接合を利用した高感度磁気センサであ
る。図4(a) および(b) にSQUIDの原理図を示す。
図4(a) は、dcSQUIDで、超電導リング30に2個の
ジョセフソン接合31および32を組み合わせてある。dcS
QUIDは、超電導リング30に流れる直流電流Idcを一
定にし、超電導リング30にかかる直流電圧Vdcを測定す
ることで、磁束Φを測定する。
【0008】図4(b) はrfSQUIDで、超電導リング
30に1個のジョセフソン接合31を組み合わせてある。rf
SQUIDは、コイル33およびコンデンサ34を備える回
路と共に使用し、この回路に流れる交流電流Irfを一定
にし、この回路にかかる交流電圧Vrfを測定すること
で、磁束Φを測定する。dcSQUIDのように、複数の
ジョセフソン接合を有する素子では、各ジョセフソン接
合の特性が揃っていることが必要となる。
30に1個のジョセフソン接合31を組み合わせてある。rf
SQUIDは、コイル33およびコンデンサ34を備える回
路と共に使用し、この回路に流れる交流電流Irfを一定
にし、この回路にかかる交流電圧Vrfを測定すること
で、磁束Φを測定する。dcSQUIDのように、複数の
ジョセフソン接合を有する素子では、各ジョセフソン接
合の特性が揃っていることが必要となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のトンネル型超電
導接合では、それぞれ結晶性のよい第1の酸化物超電導
薄膜、非超電導体の薄膜および第2の酸化物超電導薄膜
を積層しなければならない。酸化物超電導薄膜上にごく
薄く、且つ結晶性のよい非超電導体の薄膜を積層するこ
とは困難であり、この非超電導体薄膜のさらに上に結晶
性のよい酸化物超電導薄膜を形成するのは酸化物超電導
体の特性上非常に困難である。また、上記の積層構造が
実現しても、従来は酸化物超電導体と非超電導体との界
面の状態が良好でなく所望の特性が得られなかった。
導接合では、それぞれ結晶性のよい第1の酸化物超電導
薄膜、非超電導体の薄膜および第2の酸化物超電導薄膜
を積層しなければならない。酸化物超電導薄膜上にごく
薄く、且つ結晶性のよい非超電導体の薄膜を積層するこ
とは困難であり、この非超電導体薄膜のさらに上に結晶
性のよい酸化物超電導薄膜を形成するのは酸化物超電導
体の特性上非常に困難である。また、上記の積層構造が
実現しても、従来は酸化物超電導体と非超電導体との界
面の状態が良好でなく所望の特性が得られなかった。
【0010】一方、点接触型超電導接合、マイクロブリ
ッジ型超電導接合を実現するような、微細な加工も非常
に困難であり、安定した性能の超電導接合を再現性よく
作製することができなかった。さらに、dcSQUIDの
ように複数のジョセフソン接合を有する素子の各ジョセ
フソン接合の特性を揃えることはほとんど不可能であっ
た。
ッジ型超電導接合を実現するような、微細な加工も非常
に困難であり、安定した性能の超電導接合を再現性よく
作製することができなかった。さらに、dcSQUIDの
ように複数のジョセフソン接合を有する素子の各ジョセ
フソン接合の特性を揃えることはほとんど不可能であっ
た。
【0011】そこで、本発明の目的は、上記従来技術の
問題点を解決した、酸化物超電導体を用いて再現性よく
所定の特性のものが作製できる、新規な構成の超電導接
合、その作製方法およびそれを使用した素子を提供する
ことにある。
問題点を解決した、酸化物超電導体を用いて再現性よく
所定の特性のものが作製できる、新規な構成の超電導接
合、その作製方法およびそれを使用した素子を提供する
ことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に従うと、c軸配
向の酸化物超電導体と類似の結晶構造を有する材料の薄
膜が成膜面の一部に形成されている基板上に、複数の箇
所で前記成膜面から前記薄膜にかかるよう形成され、前
記成膜面上の部分がa軸配向の酸化物超電導体結晶で、
前記薄膜上の部分がc軸配向の酸化物超電導体結晶でそ
れぞれ構成され、前記成膜面上の部分のa軸配向の酸化
物超電導体結晶と前記薄膜上の部分のc軸配向の酸化物
超電導体結晶との結晶粒界が障壁となっている酸化物超
電導薄膜で構成されていることを特徴とする超電導素子
が提供される。
向の酸化物超電導体と類似の結晶構造を有する材料の薄
膜が成膜面の一部に形成されている基板上に、複数の箇
所で前記成膜面から前記薄膜にかかるよう形成され、前
記成膜面上の部分がa軸配向の酸化物超電導体結晶で、
前記薄膜上の部分がc軸配向の酸化物超電導体結晶でそ
れぞれ構成され、前記成膜面上の部分のa軸配向の酸化
物超電導体結晶と前記薄膜上の部分のc軸配向の酸化物
超電導体結晶との結晶粒界が障壁となっている酸化物超
電導薄膜で構成されていることを特徴とする超電導素子
が提供される。
【0013】また、本発明においては、超電導接合を作
製する方法として、基板の成膜面上の一部にc軸配向の
酸化物超電導体と類似の結晶構造を有する材料の薄膜を
成膜した後、前記成膜面全体の上にa軸配向の酸化物超
電導薄膜が成長する条件で酸化物超電導薄膜を成膜する
ことを特徴とする超電導接合の作製方法が提供される。
製する方法として、基板の成膜面上の一部にc軸配向の
酸化物超電導体と類似の結晶構造を有する材料の薄膜を
成膜した後、前記成膜面全体の上にa軸配向の酸化物超
電導薄膜が成長する条件で酸化物超電導薄膜を成膜する
ことを特徴とする超電導接合の作製方法が提供される。
【0014】さらに、本発明においては、上記の超電導
素子を作製する方法として、基板の成膜面上の一部にc
軸配向の酸化物超電導体と類似の結晶構造を有する材料
の薄膜を成膜した後、複数の箇所で露出している成膜面
から前記薄膜にかかる形状の酸化物超電導薄膜を、a軸
配向の酸化物超電導薄膜が成長する条件で成膜すること
を特徴とする超電導素子の作製方法が提供される。
素子を作製する方法として、基板の成膜面上の一部にc
軸配向の酸化物超電導体と類似の結晶構造を有する材料
の薄膜を成膜した後、複数の箇所で露出している成膜面
から前記薄膜にかかる形状の酸化物超電導薄膜を、a軸
配向の酸化物超電導薄膜が成長する条件で成膜すること
を特徴とする超電導素子の作製方法が提供される。
【0015】
【作用】本発明の超電導素子は、第1および第2の超電
導体が一体の酸化物超電導薄膜で構成されており、この
酸化物超電導薄膜の第1の超電導体の部分がc軸配向の
酸化物超電導体結晶で構成され、第2の超電導体の部分
がa軸配向の酸化物超電導体結晶で構成されている。そ
して、c軸配向の酸化物超電導体結晶とa軸配向の酸化
物超電導体結晶との結晶粒界が超電導接合の接合面にな
っている。本発明の超電導素子では、単結晶の酸化物超
電導体結晶間の結晶粒界が障壁になっているので、障壁
が非常にシャープであり、超電導接合の特性が優れてい
る。また、上記の超電導接合は、結晶粒界が障壁になっ
ているので、点接触型超電導接合、マイクロブリッジ型
超電導接合と比較して寸法誤差の許容範囲が大きく、複
数の超電導接合の特性を揃えることが容易である。従っ
て、本発明の超電導素子は、特性の揃った複数の超電導
接合を備えることが可能になる。
導体が一体の酸化物超電導薄膜で構成されており、この
酸化物超電導薄膜の第1の超電導体の部分がc軸配向の
酸化物超電導体結晶で構成され、第2の超電導体の部分
がa軸配向の酸化物超電導体結晶で構成されている。そ
して、c軸配向の酸化物超電導体結晶とa軸配向の酸化
物超電導体結晶との結晶粒界が超電導接合の接合面にな
っている。本発明の超電導素子では、単結晶の酸化物超
電導体結晶間の結晶粒界が障壁になっているので、障壁
が非常にシャープであり、超電導接合の特性が優れてい
る。また、上記の超電導接合は、結晶粒界が障壁になっ
ているので、点接触型超電導接合、マイクロブリッジ型
超電導接合と比較して寸法誤差の許容範囲が大きく、複
数の超電導接合の特性を揃えることが容易である。従っ
て、本発明の超電導素子は、特性の揃った複数の超電導
接合を備えることが可能になる。
【0016】本発明の方法では以下のように超電導接合
を作製する。MgO(100)等の基板上の一部にc軸配
向の酸化物超電導体に類似の結晶構造を有する材料の薄
膜を成膜する。この薄膜は、この上にc軸配向の酸化物
超電導体の薄膜を成長させるための言わば種薄膜であ
る。a軸配向の酸化物超電導薄膜が成長する条件で成膜
を行っても、この種薄膜上にはc軸配向の酸化物超電導
薄膜がエピタキシャル成長する。この種薄膜は、格子定
数がc軸配向の酸化物超電導薄膜に近く、結晶性がよい
ことが条件であり、必ずしも酸化物超電導体の薄膜であ
る必要はない。また、この種薄膜の厚さは通常2〜10nm
が好ましい。厚さが2nm未満では、種薄膜がクラスタ状
態であり、結晶性が完全ではない。また、薄膜の厚さが
10nmを超えると、上層の酸化物超電導体薄膜が平滑にな
らない。
を作製する。MgO(100)等の基板上の一部にc軸配
向の酸化物超電導体に類似の結晶構造を有する材料の薄
膜を成膜する。この薄膜は、この上にc軸配向の酸化物
超電導体の薄膜を成長させるための言わば種薄膜であ
る。a軸配向の酸化物超電導薄膜が成長する条件で成膜
を行っても、この種薄膜上にはc軸配向の酸化物超電導
薄膜がエピタキシャル成長する。この種薄膜は、格子定
数がc軸配向の酸化物超電導薄膜に近く、結晶性がよい
ことが条件であり、必ずしも酸化物超電導体の薄膜であ
る必要はない。また、この種薄膜の厚さは通常2〜10nm
が好ましい。厚さが2nm未満では、種薄膜がクラスタ状
態であり、結晶性が完全ではない。また、薄膜の厚さが
10nmを超えると、上層の酸化物超電導体薄膜が平滑にな
らない。
【0017】上記の一部にc軸配向の酸化物超電導体に
類似の結晶構造を有する材料の薄膜が形成されたこのMg
O(100)基板全体の上に、a軸配向の酸化物超電導
薄膜が成長する条件で酸化物超電導薄膜を成膜する。こ
の酸化物超電導薄膜を構成する酸化物超電導体として
は、例えば、Y1Ba2Cu3O7-X、Bi2Sr2Ca2Cu3Ox 、Tl2B
a2Ca2Cu3Ox 等が好ましい。上記の一部にc軸配向の酸
化物超電導体に類似の結晶構造を有する材料の薄膜が形
成されているMgO(100)基板上に、成膜される酸化
物超電導体の薄膜は、それぞれ下層の材料の影響を受け
てエピタキシャル成長する。即ち、c軸配向の酸化物超
電導体に類似の結晶構造を有する材料の薄膜上に成長す
る酸化物超電導体の薄膜は、c軸配向の酸化物超電導薄
膜になる。また、MgO(100)基板上に直接成長する
酸化物超電導薄膜は、a軸配向の酸化物超電導薄膜にな
る。
類似の結晶構造を有する材料の薄膜が形成されたこのMg
O(100)基板全体の上に、a軸配向の酸化物超電導
薄膜が成長する条件で酸化物超電導薄膜を成膜する。こ
の酸化物超電導薄膜を構成する酸化物超電導体として
は、例えば、Y1Ba2Cu3O7-X、Bi2Sr2Ca2Cu3Ox 、Tl2B
a2Ca2Cu3Ox 等が好ましい。上記の一部にc軸配向の酸
化物超電導体に類似の結晶構造を有する材料の薄膜が形
成されているMgO(100)基板上に、成膜される酸化
物超電導体の薄膜は、それぞれ下層の材料の影響を受け
てエピタキシャル成長する。即ち、c軸配向の酸化物超
電導体に類似の結晶構造を有する材料の薄膜上に成長す
る酸化物超電導体の薄膜は、c軸配向の酸化物超電導薄
膜になる。また、MgO(100)基板上に直接成長する
酸化物超電導薄膜は、a軸配向の酸化物超電導薄膜にな
る。
【0018】従って、上記本発明の方法によれば、c軸
配向およびa軸配向それぞれ異なる配向性を有する単結
晶の酸化物超電導体結晶が同時に成長し、1枚の酸化物
超電導薄膜を形成し、本発明の超電導接合となる。上記
本発明の方法では、成膜方法としてスパッタリング法、
MBE法、真空蒸着法、レーザアブレーション法等任意
の方法を使用することができる。また、基板もMgO(1
00)基板だけでなく、SrTiO3 (110)基板、YS
Z基板等が使用可能である。
配向およびa軸配向それぞれ異なる配向性を有する単結
晶の酸化物超電導体結晶が同時に成長し、1枚の酸化物
超電導薄膜を形成し、本発明の超電導接合となる。上記
本発明の方法では、成膜方法としてスパッタリング法、
MBE法、真空蒸着法、レーザアブレーション法等任意
の方法を使用することができる。また、基板もMgO(1
00)基板だけでなく、SrTiO3 (110)基板、YS
Z基板等が使用可能である。
【0019】このように作製された超電導接合は、第1
および第2の超電導体が同時に形成され、結晶方向以外
は全て等しい酸化物超電導体で構成されている。また、
微細加工が不必要であり、自然に成長した結晶方向の異
なる単結晶の結晶粒界が障壁となっているので、特性が
単に優れているだけでなく、再現性よく作製できる。
および第2の超電導体が同時に形成され、結晶方向以外
は全て等しい酸化物超電導体で構成されている。また、
微細加工が不必要であり、自然に成長した結晶方向の異
なる単結晶の結晶粒界が障壁となっているので、特性が
単に優れているだけでなく、再現性よく作製できる。
【0020】一方、本発明の超電導素子を作製する場合
には、上記の種薄膜が形成された基板上に、a軸配向の
酸化物超電導薄膜が成長する条件で酸化物超電導薄膜を
成膜する際に、例えばSi板のマスクを使用して、上記の
酸化物に複数の箇所でかかるパターンの酸化物超電導薄
膜を成膜する。本発明の方法によれば、複数の超電導接
合の全ての障壁が、同じ条件で同時に形成されるので全
ての障壁の特性が自動的に揃う。
には、上記の種薄膜が形成された基板上に、a軸配向の
酸化物超電導薄膜が成長する条件で酸化物超電導薄膜を
成膜する際に、例えばSi板のマスクを使用して、上記の
酸化物に複数の箇所でかかるパターンの酸化物超電導薄
膜を成膜する。本発明の方法によれば、複数の超電導接
合の全ての障壁が、同じ条件で同時に形成されるので全
ての障壁の特性が自動的に揃う。
【0021】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく
説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではな
い。
説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過ぎ
ず、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではな
い。
【0022】
【実施例】本発明の方法で作製した超電導接合を利用し
てジョセフソン素子を作製した。図1を参照して、その
工程を説明する。まず、図1(a)に示すようMgO(10
0)基板3上の左半分にc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜
2を形成した。このc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2
は、結晶性さえ十分であるならば超電導性を示さなくて
もよい。c軸配向のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜
を、スパッタリング法で作製する場合には、基板温度59
0〜650℃で成膜を行い、レーザアブレーション法で作製
する場合には基板温度630〜700℃で成膜を行うことが好
ましい。スパッタリング法で成膜を行う場合の成膜条件
を以下に示す。 基板温度 620℃ スパッタリングガス Ar 8SCCM O2 4SCCM 圧力 5×10-2Torr 膜厚 5nm
てジョセフソン素子を作製した。図1を参照して、その
工程を説明する。まず、図1(a)に示すようMgO(10
0)基板3上の左半分にc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜
2を形成した。このc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2
は、結晶性さえ十分であるならば超電導性を示さなくて
もよい。c軸配向のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜
を、スパッタリング法で作製する場合には、基板温度59
0〜650℃で成膜を行い、レーザアブレーション法で作製
する場合には基板温度630〜700℃で成膜を行うことが好
ましい。スパッタリング法で成膜を行う場合の成膜条件
を以下に示す。 基板温度 620℃ スパッタリングガス Ar 8SCCM O2 4SCCM 圧力 5×10-2Torr 膜厚 5nm
【0023】次に、左半分にc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X
薄膜2を形成した上記のMgO(100)基板3上にa軸
配向の薄膜が成長する条件でY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電
導薄膜1をやはりスパッタリング法で作製した。成膜条
件を以下に示す。 基板温度 570℃ スパッタリングガス Ar 8SCCM O2 4SCCM 圧力 5×10-2Torr 膜厚 300nm a軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜を、スパッタリング法で
作製する場合には、基板温度560〜580℃で成膜を行い、
レーザアブレーション法で作製する場合には基板温度58
0〜620℃で成膜を行うことが好ましい。このY1Ba2Cu3
O7-X酸化物超電導薄膜1は、図1(b)および(b′)に示
すよう、直接MgO(100)基板3上に成長した部分11
はa軸配向の薄膜であり、c軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄
膜2上に成長した部分12はc軸配向の薄膜であった。ま
た、結晶粒界4が障壁になっている。
薄膜2を形成した上記のMgO(100)基板3上にa軸
配向の薄膜が成長する条件でY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電
導薄膜1をやはりスパッタリング法で作製した。成膜条
件を以下に示す。 基板温度 570℃ スパッタリングガス Ar 8SCCM O2 4SCCM 圧力 5×10-2Torr 膜厚 300nm a軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜を、スパッタリング法で
作製する場合には、基板温度560〜580℃で成膜を行い、
レーザアブレーション法で作製する場合には基板温度58
0〜620℃で成膜を行うことが好ましい。このY1Ba2Cu3
O7-X酸化物超電導薄膜1は、図1(b)および(b′)に示
すよう、直接MgO(100)基板3上に成長した部分11
はa軸配向の薄膜であり、c軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄
膜2上に成長した部分12はc軸配向の薄膜であった。ま
た、結晶粒界4が障壁になっている。
【0024】反応性イオンエッチングを使用して、上記
のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1を図1(c)に示す
形状に加工した。図1(c)のくびれた部分は長さ10μ
m、幅5μmであり、ちょうど中央部に結晶粒界4がく
るよう加工されている。
のY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1を図1(c)に示す
形状に加工した。図1(c)のくびれた部分は長さ10μ
m、幅5μmであり、ちょうど中央部に結晶粒界4がく
るよう加工されている。
【0025】上記のように本発明の方法により作製した
超電導接合を使用したジョセフソン素子の特性を測定し
た。85Kに冷却し、周波数15GHz、出力0.2 mWのマイ
クロ波を印加したところ、31μVの倍数の電圧点でシャ
ピロステップが観測され、ジョセフソン結合が実現して
いることが確認された。
超電導接合を使用したジョセフソン素子の特性を測定し
た。85Kに冷却し、周波数15GHz、出力0.2 mWのマイ
クロ波を印加したところ、31μVの倍数の電圧点でシャ
ピロステップが観測され、ジョセフソン結合が実現して
いることが確認された。
【0026】図2に、本発明の超電導素子の一例の概略
平面図を示す。図2の超電導素子は、dcSQUIDであ
り、左半分にc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2が形成さ
れているMgO(100)基板3上に、複数の箇所4およ
び14でc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2にかかるような
形状に成膜されたY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1に
より構成されている。
平面図を示す。図2の超電導素子は、dcSQUIDであ
り、左半分にc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2が形成さ
れているMgO(100)基板3上に、複数の箇所4およ
び14でc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2にかかるような
形状に成膜されたY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1に
より構成されている。
【0027】Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1の成膜
面13上の部分10は、a軸配向の薄膜で構成され、また、
Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1のc軸配向のY1Ba2
Cu3O7-X薄膜2上の部分20は、c軸配向の薄膜で構成さ
れている。
面13上の部分10は、a軸配向の薄膜で構成され、また、
Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1のc軸配向のY1Ba2
Cu3O7-X薄膜2上の部分20は、c軸配向の薄膜で構成さ
れている。
【0028】即ち、Y1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1
の基板面13上の部分10と、c軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄
膜2上の部分20とは、結晶方向が異なっている。また、
結晶粒界4および14がそれぞれ超電導接合の障壁となっ
ている。
の基板面13上の部分10と、c軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄
膜2上の部分20とは、結晶方向が異なっている。また、
結晶粒界4および14がそれぞれ超電導接合の障壁となっ
ている。
【0029】上記本発明の超電導素子は、本発明の方法
により、以下のように作製した。まず、MgO(100)
基板3の左半分上にc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2を
形成した。このc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2は、結
晶性さえ十分であるならば超電導性を示さなくてもよ
い。成膜方法としてはレーザアブレーション法を使用し
た。成膜条件を以下に示す。 基板温度 650℃ O2 雰囲気 圧力 0.1Torr エキシマレーザ 2J/cm2・5Hz 膜厚 5nm
により、以下のように作製した。まず、MgO(100)
基板3の左半分上にc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2を
形成した。このc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2は、結
晶性さえ十分であるならば超電導性を示さなくてもよ
い。成膜方法としてはレーザアブレーション法を使用し
た。成膜条件を以下に示す。 基板温度 650℃ O2 雰囲気 圧力 0.1Torr エキシマレーザ 2J/cm2・5Hz 膜厚 5nm
【0030】次に、左半分にc軸配向のY1Ba2Cu3O7-X
薄膜2を形成した上記のMgO(100)基板3上にSi板
のマスクを配置して、図1に示した形状になるようY1B
a2Cu 3O7-X酸化物超電導薄膜1をやはりレーザアブレー
ション法で作製した。成膜条件を以下に示す。 基板温度 600℃ O2 雰囲気 圧力 0.1Torr エキシマレーザ 2J/cm2・5Hz 膜厚 300nm このY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1は、上述のよう
にMgO(100)基板3の成膜面13上に成長した部分10
がa軸配向であり、c軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2が
c軸配向であった。
薄膜2を形成した上記のMgO(100)基板3上にSi板
のマスクを配置して、図1に示した形状になるようY1B
a2Cu 3O7-X酸化物超電導薄膜1をやはりレーザアブレー
ション法で作製した。成膜条件を以下に示す。 基板温度 600℃ O2 雰囲気 圧力 0.1Torr エキシマレーザ 2J/cm2・5Hz 膜厚 300nm このY1Ba2Cu3O7-X酸化物超電導薄膜1は、上述のよう
にMgO(100)基板3の成膜面13上に成長した部分10
がa軸配向であり、c軸配向のY1Ba2Cu3O7-X薄膜2が
c軸配向であった。
【0031】上記のように作製した本発明の超電導素子
のSQUIDとして動作を確認した。微弱な外部磁場を
印加したところ図3に示すような出力電圧の変動が見ら
れた。これは、85Kまで明瞭であった。以上のように、
本実施例の超電導素子は、特性の優れたSQUIDであ
ることが確認された。
のSQUIDとして動作を確認した。微弱な外部磁場を
印加したところ図3に示すような出力電圧の変動が見ら
れた。これは、85Kまで明瞭であった。以上のように、
本実施例の超電導素子は、特性の優れたSQUIDであ
ることが確認された。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に従うと、
新規な構成の超電導接合を酸化物超電導体により実現で
きる。本発明の超電導接合は、同時に成長し、1枚の酸
化物超電導薄膜を形成する、c軸配向およびa軸配向の
単結晶の酸化物超電導体結晶がそれぞれ第1および第2
の超電導体となって構成されている。また、本発明の方
法では、本発明の超電導接合を微細加工を行うことなく
容易に作製することが可能である。
新規な構成の超電導接合を酸化物超電導体により実現で
きる。本発明の超電導接合は、同時に成長し、1枚の酸
化物超電導薄膜を形成する、c軸配向およびa軸配向の
単結晶の酸化物超電導体結晶がそれぞれ第1および第2
の超電導体となって構成されている。また、本発明の方
法では、本発明の超電導接合を微細加工を行うことなく
容易に作製することが可能である。
【0033】さらに、本発明の方法で作製される本発明
の超電導素子は、特性の揃ったトンネル型超電導接合を
複数具備する。従って、特にdcSQUIDに応用すると
有利であり、また、ジョセフソン素子の集積化に応用す
ることも可能である。本発明により、超電導技術の電子
デバイスへの応用がさらに促進される。
の超電導素子は、特性の揃ったトンネル型超電導接合を
複数具備する。従って、特にdcSQUIDに応用すると
有利であり、また、ジョセフソン素子の集積化に応用す
ることも可能である。本発明により、超電導技術の電子
デバイスへの応用がさらに促進される。
【図1】本発明の方法により作製された超電導接合を利
用したジョセフソン素子の作製工程を説明する図であ
る。
用したジョセフソン素子の作製工程を説明する図であ
る。
【図2】本発明の超電導素子の概略平面図である。
【図3】本実施例のSQUIDに外部磁場を印加したと
きの出力電圧の変動を示すグラフである。
きの出力電圧の変動を示すグラフである。
【図4】SQUIDの原理図である。
1 酸化物超電導薄膜 3 基板 4、14 結晶粒界
Claims (3)
- 【請求項1】 c軸配向の酸化物超電導体と類似の結晶
構造を有する材料の薄膜が成膜面の一部に形成されてい
る基板上に、複数の箇所で前記成膜面から前記薄膜にか
かるよう形成され、前記成膜面上の部分がa軸配向の酸
化物超電導体結晶で、前記薄膜上の部分がc軸配向の酸
化物超電導体結晶でそれぞれ構成され、前記成膜面上の
部分のa軸配向の酸化物超電導体結晶と前記薄膜上の部
分のc軸配向の酸化物超電導体結晶との結晶粒界が障壁
となっている酸化物超電導薄膜で構成されていることを
特徴とする超電導素子。 - 【請求項2】 基板の成膜面上の一部にc軸配向の酸化
物超電導体と類似の結晶構造を有する材料の薄膜を成膜
した後、前記成膜面全体の上にa軸配向の酸化物超電導
薄膜が成長する条件で酸化物超電導薄膜を成膜すること
を特徴とする超電導接合の作製方法。 - 【請求項3】 基板の成膜面上の一部にc軸配向の酸化
物超電導体と類似の結晶構造を有する材料の薄膜を成膜
した後、複数の箇所で露出している成膜面から前記薄膜
にかかる形状の酸化物超電導薄膜を、a軸配向の酸化物
超電導薄膜が成長する条件で成膜することを特徴とする
超電導素子の作製方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4069512A JPH05267736A (ja) | 1992-02-19 | 1992-02-19 | 超電導接合を有する素子およびその作製方法 |
EP93400442A EP0557207B1 (en) | 1992-02-19 | 1993-02-19 | Josephson junction device of oxide superconductor and process for preparing the same |
DE69328512T DE69328512T2 (de) | 1992-02-19 | 1993-02-19 | Josephson-Übergangseinrichtung aus oxidischem Supraleiter und Verfahren zu ihrer Herstellung |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4069512A JPH05267736A (ja) | 1992-02-19 | 1992-02-19 | 超電導接合を有する素子およびその作製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05267736A true JPH05267736A (ja) | 1993-10-15 |
Family
ID=13404866
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4069512A Withdrawn JPH05267736A (ja) | 1992-02-19 | 1992-02-19 | 超電導接合を有する素子およびその作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05267736A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0653561A (ja) * | 1992-07-28 | 1994-02-25 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 超伝導薄膜粒界接合素子及びその製造方法 |
-
1992
- 1992-02-19 JP JP4069512A patent/JPH05267736A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0653561A (ja) * | 1992-07-28 | 1994-02-25 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 超伝導薄膜粒界接合素子及びその製造方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19990518 |