JPH065233Y2 - 車輌用樹脂製燃料タンク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は合成樹脂により成形されたタンク上部構成体と
タンク下部構成体とを融接合し、中空体とする車輌用樹
脂製燃料タンクに関する。

従来技術 従来、合成樹脂製の大形の燃料タンクはブロー成形によ
り、溶融した合成樹脂をエアー等によりふくらませ、成
形型の壁に密着させ冷却固化する方法で製造している。

又近年実公昭６０−第６２３２５号等に示されているよ
うに、タンク本体の上部構成体と同下部構成体とを射出
成形又はプレス成形にて二分して形成し、両構成体を各
々の開口端部に具備させたフランジを継手として融接合
し中空体とする燃料タンクが提供されている。

考案が解決しようとする問題点 然るに前者のブロー成形による場合は後者の如き融接合
を不要とし、融接合暇庇の如き構造上の弱点を有しない
ものの、ブロー成形による成形オイクルは一個につき数
分を要し、生産性が極めて悪いことに加え、突出部及び
コーナ部の肉薄化を避けることができず、更に成形した
時点で半密閉容器となるので、内空面への後加工が不可
能となる。又製造コストが割高となる等の大きな欠点を
有している。

又後者の分割形の燃料タンクはプレス成形等の適用にて
容易に且つ生産性良く製造でき、製造コストも安価であ
る利点を有し、上記ブロー成形による生産性やコスト等
の問題を解決できるが、フランジ継手部における融接合
部の接合強度及び気密性に弱点があり、耐久性や安全性
の見地からその工夫改善が課題となっている。

問題点を解決するための手段 本考案は上記課題を解決すべく提案されたものである。
その手段として、合成樹脂製のタンク上部構成体と合成
樹脂製のタンク下部構成体とを互いに閉合される開口端
部を継手として融接合して中空体に形成する車輌用樹脂
製燃料タンクにおいて、上記タンク上部構成体とタンク
下部構成体の継手たる一方の開口端部を嵌合受口とし、
該嵌合受口の内周面に他方の開口端部の外周面を嵌合す
ると共に、該嵌合面を横方向の凹と凸の嵌め継ぎ構造と
し、上記融接合を図った車輌用樹脂製燃料タンクを提供
するものである。

又本考案はその実施態様として上記嵌合受口の底面にて
形成した座面で上記他方の開口端部の端面を支承して嵌
合深さを設定した車輌用樹脂製燃料タンクを提供するも
のである。

作用 本考案は上記のようにタンク上部構成体とタンク下部構
成体の一方の開口端部を嵌合受口とし、この嵌合受口の
内周面に他方の開口端部の外周面を横方向の凹と凸の嵌
め継ぎ構造にて嵌合し、タンク上部構成体の開口端部と
タンク下部構成体の開口端部とを融接合する構成とした
ので、凹と凸がタンク上部構成体とタンク下部構成体と
をその継手部分から開放しようとする上下方向のタンク
内圧に対して直交する方向で咬合い、開こうとする引張
りに対する強度を著しく強化することができる。即ち、
タンク内の内圧が嵌め継ぎ構造を形成する凸部を剪断す
る方向に作用して、上記継手強度を向上すると共に界離
を有効に防止して気密性（水密性）を高め、タンクの分
割化による燃料漏れの懸念を払拭し耐久性と安全性を著
しく向上することができる。又タンク内圧は上記凹と凸
を上下方向で密着する傾向となり、上記効果を助長す
る。

又従来のようなタンク上部構成体とタンク下部構成体を
接合するためにタンク外周に環状に張り出されるフラン
ジ等のような障害物が存在せず、燃料タンクの小形化と
車体取付けへの省スペースとを達成することができるこ
とに加えて、同燃料タンクの車体へのバンド掛けが容易
に且つ強固に行える。

又嵌合受口の座面で他方の開口端部の端面を支承するこ
とにより、その嵌合深さを適正に設定することができ
る。

実施例 以下本考案の実施例を第１図乃至第３図に基づいて詳述
する。

第１図に示すように燃料タンク１は中間部で上下に分割
されたタンク下部構成体２とタンク上部構成体３とより
構成される。タンク下部構成体２とタンク上部構成体３
は合成樹脂製であり、射出成形により形成する。

上記タンク下部構成体２の底面内側に波消板５が一体に
設けられ、底部に形成されたドレン孔６に栓７が取外し
可能に取付けられ、側面に形成された孔８に必要なチュ
ーブ９類が挿通され、このチューブ９のフランジ部１０
がタンク下部構成体２の外面に融着されている。

上記タンク上部構成体３の頂面内側に空気室１２が融着
され、頂面と側面に形成された孔１３，１４に所要のチ
ューブ１５，１６類が挿通され、各チューブ１５，１６
のフランジ部１７、１８がタンク上部構成体３の外面に
融着されている。又タンク上部構成体３の中央部にはユ
ニットゲージ１９のブラケット２０がボルト２１等によ
り取付けられている。

上記の如くしたタンク上部構成体３とタンク下部構成体
２とは、互いに閉合される開口端部にて継手４，１１を
形成し、該継手４，１１を横方向の凹と凸の嵌め継ぎ構
造とし、上記両開口端部の融接合を図る。

このタンク上部構成体３とタンク下部構成体２とは、第
２図及び第３図に示すようにタンク上部構成体３とタン
ク下部構成体２の継手たる一方の開口端部に他方の開口
端部を組違い継手を構成するように嵌合し、該嵌合面を
上記凹と凸の嵌め継ぎ構造に形成する。

即ち第２図においては、タンク上部構成体３とタンク下
部構成体２の継手４たる一方の開口端部を嵌合受口２５
とし、該嵌合受口２５の内周面に継手１１たる他方の開
口端部の外周面を緊密に嵌合させた組違い継手とし、該
他方の開口端部の端面を嵌合受口２５の底面に形成した
座面２６にて支承し、嵌合深さを設定すると共に、両継
手４，１１の嵌合面に横方向へ突出する鈎形の環状リブ
２７及び横方向へ凹成せる環状溝２８を互い違いに形成
し、両開口端部たる継手４，１１をスナップ係合させて
凹と凸の嵌め継ぎ構造にし、該嵌合にて両者２７，２８
を互いに上下方向で引き止め状態にして上記融接合を図
る。

この融接合は継手４，１１間に導電部材を介挿して通電
加熱溶融し融接合させ、導電部材を残留させる手段を採
るか、第２図に矢印イで示す方向から電子ビーム溶接、
又はレーザービーム溶接等を適用し前記嵌合面の一端部
を融接合する。

上記両継手４，１１を凹と凸の嵌め継ぎ構造にて融接合
したタンク上部構成体３とタンク下部構成体２とから成
る中空体の燃料タンク１はこれを開放しようとする矢印
Ｘで示す上下方向の内圧が作用した灰は、凸なる環状リ
ブ２７と凹なる環状溝２８が上記内圧に対して直交する
方向で咬合い、開こうとする引張りに対する強度が確保
され、界離が有効に防止される。

又燃料タンク１の内圧が環状リブ２７を剪断する方向に
作用する構造となるので、環状リブ２７と環状溝２８の
凹と凸の嵌合が上下方向で密着する傾向となる。上記に
よって、両継手４，１１における嵌合部分の界離を有効
に防止し、気密性（水密性）を向上し、両継手４，１１
からの燃料漏れの懸念を払拭し、燃料タンク１の耐久性
と安全性を向上する。

更に一方の継手４の嵌合受口２５の内周面に他方の継手
１１の外周面を上下方向より内接嵌合して組違い継手を
構成したので、両継手４，１１部分の外側に張り出され
るフランジ等が存在せず、燃料タンク１の外形の小形化
と車体への取付けに要するスペースを削減することがで
きると共に、車体取付け時に燃料タンク１へのバンド掛
けが容易となる。

第３図は上記鈎形の環状溝２８及び環状リブ２７を複数
連成して鋸歯状にし上記嵌め継ぎ構造とし、凹と凸の嵌
合面積を増大して両継手４，１１の結合をより強固なも
のとした場合を示したものである。

上記各実施例における凹と凸の断面形状は四角形や三角
形以外に半円形に賦形しても良い。

考案の効果 以上説明したように本考案は、タンク上部構成体とタン
ク下部構成体の一方の開口端部の嵌合受口の内周面に他
方の開口端部の外周面を嵌合し、該嵌合面を横方向の凹
と凸の嵌め継ぎ構造とし、上記タンク上部構成体とタン
ク下部構成体の融接合を図る構成としたので、両タンク
構成体の融接合部分における機械的強度や燃料漏れ防止
性能等を高めて耐久性と安全性を著しく向上させること
ができる。

即ち、タンク上部構成体とタンク下部構成体とで構成し
た燃料タンクにそれを開放しようとする上下方向の内圧
が作用した場合は、嵌め継ぎ構造を形成する凹と凸が上
記内圧に対して直交する方向で咬合って、内圧が上記凸
部を剪断する方向に作用するので、上記継手強度を著し
く向上し、継手部分の界離を有効に防止すると同時に気
密性（水密性）を高め、タンク分割化による燃料漏れの
問題を解消する。よって燃料タンクの耐久性と安全性を
著しく高くすることができる。

又上記一方の開口端部の嵌合受口の内周面に他方の開口
端部の外周面を嵌合した組違い継手としたので、その継
手部分の外側に張り出されるフランジ等の障害物が存在
せず、燃料タンクの小形化と車体取付けへの省スペース
とを図ることができることに加えて、車体取付け時の燃
料タンクへのバンド掛けが容易となり、結果として燃料
タンク車体への取付性を著しく向上することができる。

又本考案は嵌合受口の座面で他方の開口端部の端面を支
承することにより、その嵌合深さを適正に設定すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はタンク上部構成
体と同下部構成体とを融接合した樹脂製燃料タンクの断
面図、第２図は同融接合部分の拡大断面図、第３図は同
融接合部分の他例を示す拡大断面図である。 １……樹脂製燃料タンク、２……タンク下部構成体、３
……タンク上部構成体、４……下部継手、１１……上部
継手、２５……嵌合受口、２６……座面、２７……嵌め
継ぎを形成する環状リブ、２８……同環状溝。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】合成樹脂により成形されたタンク上部構成
   体とタンク下部構成体とを互いに閉合される開口端部を
   継手として融接合し、中空体として成る車輌用樹脂製燃
   料タンクにおいて、上記タンク上部構成体とタンク下部
   構成体の継手たる一方の開口端部を嵌合受口とし、該嵌
   合受口の内周面に他方の開口端部の外周面を嵌合すると
   共に、該嵌合面を横方向の凹と凸の嵌め継ぎ構造とし、
   上記融接合を図ったことを特徴とする車輌用樹脂製燃料
   タンク。
2. 【請求項２】上記嵌合受口の底面にて形成した座面で上
   記他方の開口端部の端面を支承して嵌合深さを設定した
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲の第１項に記
   載した車輌用樹脂製燃料タンク。