JPH0651831B2 - 熱可塑性ポリエステル組成物 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル組成物

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JPH0651831B2
JPH0651831B2 JP21244388A JP21244388A JPH0651831B2 JP H0651831 B2 JPH0651831 B2 JP H0651831B2 JP 21244388 A JP21244388 A JP 21244388A JP 21244388 A JP21244388 A JP 21244388A JP H0651831 B2 JPH0651831 B2 JP H0651831B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は低温時の靭性が高く、かつ耐熱性および成形性
が均衡して優れた熱可塑性ポリエステル組成物に関する
ものである。
〔従来の技術〕
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレ
ートに代表される熱可塑性ポリエステルはその優れた特
性から電気および電子機器部品、自動車部品などの広い
分野で使用されている。しかし、熱可塑性ポリエステル
は耐衝撃性が不良であり、特に低温雰囲気下では大幅に
耐衝撃性が劣るという欠点を有している。これらの欠点
を改良する方法としては、例えば、ポリエステルにポリ
ラクトンを含有せしめる方法(特開昭58-129045 号公
報)、ポリエステルにグリシジル基含有オレフィン系共
重合体おびエチレン系共重合体を配合せしめる方法(特
開昭58-17148号公報、特開昭58-17151号公報)、ポリア
ルキレンテレフタレートにブタジエン系エラストマのグ
ラフト共重合体を含有せしめる方法(特開昭59-138256
号公報)、ポリアルキレンテレフタレートにポリカーボ
ネートおよびエラストマ状グラフトポリマーを含有せし
める方法(特開昭59-138258 号公報)などのポリエステ
ルに衝撃改良成分としてエラストマを含有せしめる方法
が提案されている。
また、同様なエラストマであってもポリアミドエラスト
マを配合する技術は例えばポリエステルにポリエーテル
エステルアミドを配合する方法(米国特許第4,309,518
号明細諸、特開昭61-183352 号公報)、ポリエステルに
ポリエーテルアミドを配合する方法(特開昭57-5748 号
公報)などに開示されるようにポリエステルの制電性を
向上せしめる技術として提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記のポリエステルに衝撃改良成分を含有せしめる方法
によって得られるポリエステル成形品は低温雰囲気下で
のノッチ付きのアイゾット衝撃強度はある程度改善され
るものの成形品を落錘衝撃試験や落球衝撃試験などの実
用的な破壊方法において低温雰囲気下で破壊せしめた場
合、成形品が吸収するエネルギーが小さいため、脆性破
壊し、衝撃強度が低いばかりか、破壊片が鋭利な形状と
なって飛散するなど、低温雰囲気下の靭性に問題がっ
た。また、このような衝撃改良成分を添加したポリエス
テルは結晶化特性が阻害され成形性や成形品外観が不良
になり、さらに熱変形温度に代表される耐熱性が大幅に
低下するなどの問題も有しており、靭性とともに外観お
よび耐熱性も同時に必要とされる自動車部品などの機能
部品に使用することは不可能であった。また、後者のポ
リエステルにポリアミドエラストマを配合した成形品で
は、ポリアミドの制電性が改良されることは広く知られ
ているがポリエステルとポリアミドエラストマは親和性
が不十分であるため耐衝撃性が不良であった。
〔課題を解決するための手段〕
そこで本発明者らは、上記の低温雰囲気下での破壊時の
吸収エネルギーを高めて実用的な低温時の靭性を向上せ
しめるとともに、熱変形温度に代表される耐熱性および
成形性と外観を均衡して向上せしめる技術について鋭意
検討した結果、芳香族ポリエステルにポリアミドエラス
トマ、グリシジル基含有オレフィン系共重合体および有
機金属塩を含有せしめることにより、低温時の靭性が相
乗的に向上し、かつ成形性および外観が同時に著しく改
善できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、 (A)芳香族ポリエステル20〜97重量%、 (B)ポリアミドエラストマ2〜50重量%、および (C)グリシジル基含有オレフィン系共重合体1〜50重
量%からなる樹脂組成物100重量部に対して (D)有機金属塩0.01〜7重量部を配合してなる熱可塑
性ポリエステル組成物 を提供するものである。
本発明で用いる(A)芳香族ポリエステルとしては芳香
環を重合体の連鎖単位に有するポリエステルで芳香族ジ
カルボン酸(あるいは、そのエステル形成性誘導体)と
ジオール(あるいは、そのエステル形成性誘導体)とを
主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共
重合体である。
ここでいう芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、
イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボ
キシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、
4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、1,2−ビス(p−カルボキシフ
ェノキシ)エタンあるいはそのエステル形成性誘導体な
どが挙げられる。
なお酸成分として30モル%以下であれば、アジピン酸、
セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマ
ー酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など
の脂環族ジカルボン酸およびそのエステル成形誘導体な
どの芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸で置換して
もよい。
またジオール成分としては炭素数2〜10の脂肪族ジオー
ルすなわちエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−プロパ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリ
コールシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタ
ノールなどが挙げられ、少量であれば分子量 400〜6,00
0の長鎖グリコール、すなわち、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールなどを共重合せしめてもよい。
本発明で使用する好ましい芳香族ポリエステルの例とし
てはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサ
メチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチ
レンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
トなどが挙げられるが、なかでも適度の機械的強度を有
するポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレンテ
レフタレートが最も好ましい。
本発明において使用する芳香族ポリエステルは25℃のオ
ルトクロロフェノール中で測定した固有粘度が0.35〜
2.5dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.
5〜2.0dl/g、更に好ましくは0.7〜1.7dl/gの
範囲にあることが望ましい。芳香族ポリエステルの固有
粘度が低すぎると、衝撃性が低下する傾向があり、一
方、高すぎると成形性が不良となる傾向があるので好ま
しくない。
本発明に用いる(B)ポリアミドエラストマとしては、
例えば(a)ポリアミド形成成分と(b)ポリ(アルキ
レンオキシド)グリコールとの反応から得られるブロッ
クまたはグラフト共重合体などが挙げられる。
(a)ポリアミド形成成分としては具体的には、ω−ア
ミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカ
プリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン
酸およひ11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン
酸などのアミノカルボン酸あるいはカプロラクタム、エ
ナントラクタム、カプリルラクタムおよびラウロラクタ
ムなどのラクタムおよびヘキサメチレンジアミン−アジ
ピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩およ
びヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸塩などのジア
ミン−ジカルボン酸の塩が挙げられ、特にカプロラクタ
ム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン−
アジピン酸塩が好ましく用いられる。
本発明で好ましく用いられる(b)ポリ(アルキレンオ
キシド)グリコールの例としては、ポリ(エチレンオキ
シド)グリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)
グリコール、ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコ
ール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポ
リ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオ
キシドとプロピレンオキシドのブロックまたはランダム
共重合体およびエチレンオキシドとテトラヒドロフラン
のブロックまたはランダム共重合体などが用いられ、特
にポリ(エチレンオキシド)グリコールが好ましく用い
られる。この場合ポリ(アルキレンオキシド)グリコー
ルの数平均分子量は 200〜6,000、特に 400〜4,000の範
囲が好ましい。
更に、(b)ポリ(アルキレンオキシド)グリコールと
組合せて次式(1)〜(III)で示されるジオール化合
物を用いることができる。
(ただし式中、R1,R2は、エチレンオキシド基およびプ
ロピレンオキシド基の少なくとも1を示し、Y は共有結
合、炭素数1〜6のアルキレン基、アルキリデン基、シ
クロアルキレデン基、アリールアルキレデン基、O 、S
O、SO2、CO、S 、CF2、C(CF3)またはNHを示す。) 具体的な例としてはビスフェノールAのエチレンオキシ
ド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加
物、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ビス
フェノールSのプロピレンオキシド付加物、臭素化ビス
フェノールAのエチレンオキシド付加物、臭素化ビスフ
ェノールAのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノ
ール類のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオ
キシド付加物、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンの
エチレンオキシド付加物、4,4′−ジヒドロキシベンゾ
フェノンのプロピレンオキシド付加物、ハイドロキノン
のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド
付加物、ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキシドお
よび/またはプロピレンオキシド付加物およびそれらの
ブロック(共)重合体、4,4′−(ヒドロキシ)ビフェ
ニルのエチレンオキシド付加物、4,4′−ビス(ヒドロ
キシ)ビフェニルのプロピレンオキシド付加物、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドのエチレンオキ
シド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ドのプロピレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホキシドのエチレンオキシド付加物、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドのプロピレ
ンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タンのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタンのプロピレンオキシド付加物、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのエチレンオキシ
ド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルの
プロピレンオキシド付加物、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)アミンのエチレンオキシド付加物、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)アミンのプロピレンオキシド付加
物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのエ
チレンオキシド付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エタンのプロピレンオキシド付加物、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのエチレ
ンオキシド付加物、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘキサンのプロピレンオキシド付加物等のビスフェ
ノール類を挙げることができる。
好ましいジオール化合物としては、ハイドロキノンのエ
チレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオ
キシド付加物、臭素化ビスフェノールAのエチレンオキ
シド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加
物、ジヒドロキシナフタレンのエチレンオキシド付加物
およびそのブロック重合体であり、特にビスフェノール
Aのエチレンオキシド付加物およびそのブロック重合体
が好ましい。また、臭素化ビスフェノールAのエチレン
オキシド付加物、臭素化ビスフェノールSのエチレンオ
キシド付加物などを用いることにより、樹脂組成物の難
燃性を向上させることができる。
これらのポリ(アルキレンオキシド)グリコールと一般
式(I)〜(III)で示されるジオール化合物は1種も
しくは必要に応じて2種以上用いることができる。
一般式(I)〜(III)で示されるジオール化合物の量
について特に制限はないが、ジカルボン酸と共重合して
得られたポリエーテルエステル単位で0〜60重量%範囲
であるのが好ましい。
また本発明の効果を損なわない範囲内において、他のジ
オール化合物を共重合することができる。具体的には、
エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサン
ジオールなどの脂肪族ジオール、p−キシリレングリコ
ール、m−キシリレングリコールなどの芳香族ジオー
ル、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキ
サンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジ
メタノールなどの脂環族ジオール化合物などを共重合す
ることができる。
本発明のポリアミドエラストマの反応の例としては、
(a)ポリアミド形成成分と(b)ポリ(アルキレンオ
キシド)グリコールは(b)ポリ(アルキレンオキシ
ド)グリコールの末端基に応じてエステル反応またはア
ミド反応が考えられる。
また、反応に応じてジカルボン酸やジアミンなどの第3
成分(c)を用いることもできる。この場合、ジカルボ
ン酸成分としては、炭素原子数4〜20のものが好ましく
用いられ、具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フ
タル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン
−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボ
ン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸および3−スル
ホイソフタル酸ナトリウムのごとき芳香族ジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロ
ヘキサンジカルボン酸およびジシクロヘキシル−4,4′
−ジカルボン酸のごとき脂環族ジカルボン酸およびコハ
ク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカ
ンジオン酸(デカンジカルボン酸)のごとき脂肪族ジカ
ルボン酸などが挙げられ、特にテレフタル酸、イソフタ
ル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン
酸、アジピン酸およびドデカンジオン酸が重合性、色調
および物性の点から好ましく用いられる。
ジアミン成分としては例えば芳香族、脂環族、脂肪族ジ
アミンが挙げられる。その中で脂肪族ジアミンのヘキサ
メチレンジアミンが経済的な理由から好ましく用いられ
る。
ポリエーテルエステルまたはポリエーテル成分は、ポリ
アミドエラストマの構成単位で90〜10重量%範囲で用い
られ、90重量%を越える場合は、ポリアミドエラストマ
の機械的特性が劣り、10重量%未満では芳香族ポリエス
テルの低温雰囲気下での靭性改良効果がなく好ましくな
い。
(A)ポリアミドエラストマの製法に関しては特に限定
されず、例えば特開昭56-65026号公報、特開昭60-17702
2 号公報などに開示されている方法を利用することがで
きる。
本発明で使用するポリアミドエラストマの好ましい例と
してはカプロラクタム/ポリ(エチレンオキシド)グリ
コール共重合体、カプロラクタム/ポリ(エチレンオキ
シド)グリコール/テレフタル酸共重合体、カプロラク
タム/ポリ(エチレンオキシド)グリコール/アジピン
酸共重合体、カプロラクタム/ポリ(プロピレン/オキ
シド)グリコール共重合体、カプロラクタム/ポリ(プ
ロピレンオキシド)グリコール/テレフタル酸共重合
体、カプロラクタム/ポリ(テトラメチレンオキシド)
グリコール共重合体、カプロラクタム/ポリ(テトラメ
チレンオキシド)グリコール/テレフタル酸共重合体、
1,2アミノドデカン酸/ポリ(エチレンオキシド)グリ
コール/テレフタル酸共重合体、ヘキサメチレンジアミ
ン/アジピン酸/ポリ(エチレンオキシド)グリコール
共重合体などが挙げられる。
本発明における(B)ポリアミドエラストマの添加量は
(A)芳香族ポリエステル、(B)ポリアミドエラスト
マ、(C)グリシジル基含有オレフィン系共重合体の合
計量の2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%である。
添加量が2重量%未満では低温雰囲気下の靭性改良効果
がなく50重量%を越えると耐熱性が大幅に低下し好まし
くない。
本発明に用いる(C)グリシジル基含有オレフィン共重
合体はα−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体
とを用いて高圧ラジカル重合法、溶液重合法、乳化重合
法などの公知の方法で製造することができる。
α−オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、ブテン
−1などであり、エチレンが好ましく使用できる。
また、グリシジル基含有不飽和単量体としてはアリルグ
リシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテ
ルなどのグリシジルエーテル類および下記一般式のグリ
シジルエステル類が挙げられる。
(式中、R3は水素原子、低級アルキル基あるいはグリシ
ジルエステル基で置換された低級アルキル基である。) グリシジルエステルの具体例としてはアクリル酸グリシ
ジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジ
ル、イタコン酸グリシジルなどである。好ましくグリシ
ジル基含有不飽和単量体としてはメタクリル酸グリシジ
ルおよびアクリル酸グリシジルが挙げられる。
グリシジル基含有オレフィン系共重合体におけるグリシ
ジル基含有不飽和単量体の共重合量は0.1〜30重量
%、好ましくは1〜20重量%の範囲が適当である。ま
た、さらに40重量%以下であれば上記の共重合体と共重
合可能な不飽和モノマすなわちビニルエーテル類、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチ
ル、デシルなどのアクリル酸およびメタクリル酸エステ
ル類、アクリロニトリル、スチレン、一酸化炭素などを
一種以上共重合せしめてもよい。
本発明におけるグリシジル基含有オレフィン系共重合体
の好ましい例としては、エチレン/メタクリル酸グリシ
ジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グ
リシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メ
タクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸
グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル
酸グリシジル共重合体、エチレン/グリシジルエーテル
共重合体などが挙げられ、なかでもエチレン/メタクリ
ル酸グリシジル共重合体が最も好ましい。
本発明において使用するグリシジル基含有オレフィン共
重合体と共に、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィ
ンよりなるエチレン系共重合体および/またはエチレ
ン、炭素数3以上のα−オレフィンおよび非共役ジエン
からなるジエン系共重合体を併用すれば、耐衝撃性をよ
り改良することができる。これらの共重合体の具体例と
してはエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテ
ン−1共重合体、エチレン/ペンテン−1共重合体、エ
チレン/プロピレン/ブテン−1共重合体、エチレン/
プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボーネン共重合
体、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン共重合
体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン共重
合体などであり、なかでもエチレン/プロピレン共重合
体およびエチレン/ブテン−1共重合体が好ましい。
なお、本発明組成物に対して、エポキシ化合物とカルボ
ン酸との反応を促進する化合物をさらに添加する場合に
は耐衝撃性を一層改良できるという効果が得られる。こ
れらの化合物としては、トリフェニルアミン、2,4,6−
トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級
アミン、トリフェニルホスファイト、トリイソデシルホ
スファイトなどの亜リン酸エステル、トリフェニルアリ
ルホスホニルブロマイドなどのホスホニウム化合物、ト
リフェニルホスフィンなどの3級ホスフィン、ステアリ
ン酸リチウムなどのカルボン酸金属塩、3,5−ジカルボ
メトキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン
酸金属塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル
塩などが挙げられ、熱可塑性樹脂組成物当り 0.001〜5
重量%添加するのが好ましい。
本発明におけるグリシジル基含有オレフィン系共重合体
のメルトフローレート(以下MFRと略す)は、0.05〜
200 の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1
〜100 、さらに好ましくは0.5 〜50の範囲である。MF
Rが小さすぎたり大きすぎたりした場合には耐衝撃性の
改良効果が小さくなる傾向がある。ここでMFRはASTM
D1238(190℃で測定)に従って求めた値であり、単位は
g/10分である。
本発明の(C)グリシジル基含有オレフィン系共重合体
の添加量は(A)芳香族ポリエステル、(B)ポリアミ
ドエラストマ(C)グリシジル基含有オレフィン共重合
体の合計量の1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%で
ある。添加量が1重量%未満では、耐衝撃性改良効果が
小さいばかりかポリアミドエラストマの芳香族ポリエス
テル中への分散性改良効果が小さくなり、ポリアミドエ
ラストマの分散が不良となるため低温雰囲気下での靭性
改良効果がきわめて劣る傾向があり、好ましくない。
本発明に用いる(D)有機金属塩としては(a)脂肪族
および芳香族カルボン酸の金属塩、(b)芳香族スルホ
ン酸金属塩、(c)フェノール類の金属塩、(d)β−
ジケトン類の金属キレートー、(e)マロン酸エステル
あるいはβ−ケトエステル類の金属キレートなどであ
る。有機金属塩の金属としてはアルカリ金属およびアル
カリ土類金属が好ましく、特にリチウム、ナトリウム、
カリウム、カルシウム、バリウムなどが好ましく使用で
きる。
これらの有機金属塩の好ましいものは(a)の脂肪族お
よび芳香族カルボン酸の金属塩としては、具体的には、
ラウリル酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸など
の脂肪族モノカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドテカンジオン酸、オクタデカンジカルボ
ン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、安息香
酸、p−クロル安息香酸、m−クロル安息香酸、o−ク
ロル安息香酸、p−メチル安息香酸、p−tert−ブチル
安息香酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、2−ビフ
ェニルカルボン酸、3−ビフェニルカルボン酸、4−ビ
フェニルカルボン酸、2−ジフェニルスルホンカルボン
酸、2−ジフェニルメタンカルボン酸などの芳香族モノ
カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、デカヒドロ−
α−ナフトエ酸、デカヒドロ−β−ナフトエ酸などの脂
環族モノカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フ
タル酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,3′−ビ
フェニルジカルボン酸、1,1′−ビフェニルジカルボン
酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−
ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニル
スルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレン
ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ピリジンジ
カルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、トリメリット
酸、トリメシン酸などの芳香族トリカルボン酸などの酸
成分とリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムなど
のアルカリ金属やカルシウム、バリウムなどのアルカリ
土類金属の塩であり、酸としてはステアリン酸、モンタ
ン酸、ドテカジオン酸、安息香酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸モノメチル、イソフタル酸モノ
メチルまた金属としてはナトリウム、カリウム、バリウ
ムが好ましく使用できる。これらの有機カルボン酸金属
塩の好ましい具体例としては、ステアリン酸カリウム、
ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、モン
タン酸ナトリウム、モンタン酸バリウム、安息香酸カリ
ウム、安息香酸ナトリウム、テレまたはイソフタル酸ナ
トリウム、テレまたはイソフタル酸ナトリウムモノメチ
ルエステルなどが挙げられる。
(b)の芳香族スルホン酸金属塩としては、具体的に
は、ベンゼルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、芳香
環の水素原子の一部をアルキル基、ハロゲン基、カルボ
キシル基、水酸基などで置換した例えば、メチルベンゼ
ンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、フェニルベ
ンゼンスルホン酸、アセチルベンゼンスルホン酸、ベン
ゾイルベンゼンスルホン酸、ヘキサノベンゼンスルホン
酸、ニトロベンゼンスルホン酸、フォルミルベンゼンス
ルホン酸、クロルベンゼンスルホン酸、オキシベンゼン
スルホン酸、カルボキシベンゼンスルホン酸、カルボキ
シオキシベンゼンスルホン酸、ニトロナフタレンスルホ
ン酸、フォルミルナフタレンスルホン酸、クロルナフタ
レンスルホン酸、オキシナフタレンスルホン酸、カルボ
キシナフタレンスルホン酸、カルボキシオキシナフタレ
ンスルホン酸などの芳香族スルホン酸とリチウム、ナト
リウム、カリウム、セシウムなどのアルカリ金属やカル
シウム、バリウムストロンチウム、マグネシウムなどの
アルカリ土類金属の塩などが挙げられる。その好ましい
具体例としては、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、メチ
ルベンゼンスルホン酸カリウム、メチルベンゼンスルホ
ン酸バリウム、フェニルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、ヘキサノベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレ
ンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸カリウ
ム、ナフタレンスルホン酸バリウムが挙げられる。また
水酸基および/またはカルボキシル基で置換された芳香
族スルホン酸においては水酸基(フェノール性水酸基)
とカルボキシル基も同時に金属塩化したp−フェノール
スルホン酸ジナトリウム、m−フェノールスルホン酸ジ
ナトリウム、p−フェノールスルホン酸カリウムナトリ
ウム、2−ナフトール−6−スルホン酸ジナトリウム、
2−ナフトール−8−スルホン酸ジナトリウムなどを使
用することもできる。
(c)のフェノール類の金属塩としては、非イオン性の
置換基を有するフェノール類の金属塩であり、具体的に
は、メチルフェノール、ブチルフェノール、フェニルフ
ェノール、シアノフェノール、フォルミルフェノール、
アセチルフェノール、ベンゾイルフェノール、ヘキサノ
イルフェノール、ニトロフェノール、シアノナフトー
ル、フォルミルナフトール、ニトロナフトール、アセチ
ルナフトール、ニトロソナフトール、アセチルナフトー
ル、フェニル−4−ヒドロキシフェニルケトン、フェニ
ル−2−ヒドロキシフェニルケトン、フェニル−4−ヒ
ドロキシフェニルスルフォン、フェニル−2−ヒドロキ
シフェニルスルフォン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビ
ス(2−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(2−ヒドロキシフ
ェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
フィドなどが挙げられる。このうち、2−メチルフェノ
ール、2−t−ブチルフェノール、2−フェニルフェノ
ール、2−シアノフェノール、4−シアノフェノール、
2−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール、1−シ
アノ−2−ナフトール、3−シアノ−2−ナフトール、
2−シアノ−1−ナフトール、1−ニトロ−2−ナフト
ール、2−ニトロ−1−ナフトール、2−フォルミルフ
ェノール、2−アセチルフェノール、1−フォルミル−
2−ナフトール、2−フォルミル−1ナフトール、1−
アセチル−2−ナフトール、2−アセチル−1−ナフト
ール、フェニル−4−ヒドロキシフェニルスルフォン、
フェニル−2−ヒドロキシフェニルスルフォン、フェニ
ル−1−ヒドロキシフェニルケトン、フェニル−2−ヒ
ドロキシフェニルケトンなどのフェノール類の水酸基の
水素原子を好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウ
ム、セシウムなどのアルカリ金属やカルシウム、バリウ
ムなどのアルカリ土類金属などの金属原子に置換したも
のなどが使用できる。
なかでも2−シアノフェノール、2−ニトロフェノー
ル、1−ニトロ−2−ナフトール、2−ニトロ−1−ナ
フトール、2−フォルミルフェノール、2−アセチルフ
ェノール、1−フォルミル−2−ナフトール、2−フォ
ルミル−1−ナフトールなどのナトリウムまたはカリウ
ムあるいはバリウムの塩が特に好ましく使用できる。
(d)のβ−ジケトン類の金属キレートとしては下記一
般式(IV)および(V)で示されるβ−ジケトン類の金
属キレートであり、 (式中R4,R5はアルキル基、芳香族基、脂肪族脂環基を
示す。R4とR5、もしくはR4とR6とは互いに結合して、環
状構造を形成してもよい。nは2〜4を示す。Aは直接
結手または2〜4価の炭化水素基を示す。) 一般式(IV)で示されるβ−ジケトン類の具体例として
は、2,4−オクタデカンジオン、ベンゾイルアセトン、
ベンゾイルトリフルオロアセトン、ジベンゾイルメタ
ン、フロイルアセトン、ベンゾイルフロイルメタン、テ
ノイルアセトン、フロイルテノイルメタン、2′−ヒド
ロキシベンゾイルアセトン、2′−ヒドロキシベンゾイ
ル、ベンゾイルメタン、ビス−2′−ヒドロキシベンゾ
イルメタン、1,1−ジベンゾイルヘキサン、1,1−ジベ
ンゾイルオクタデカン、ジシクロヘキサンカルボニルメ
タン、ジナフトイルメタン、ジシンナモイルメタンなど
が挙げられ、ベンゾイルアセトン、ベンゾイルトリフル
オロアセトン、ジベンゾイルメタン、フロイルアセト
ン、ベンゾイルフロイルメタン、テノイルアセトン、フ
ロイルテノイルメタン、2′−ヒドロキシベンゾイルア
セトン、2′−ヒドロキシベンゾイル−ベンゾイルメタ
ン、ビス−2′−ヒドロキシベンゾイルメタン、1,1−
ジベンゾイルヘキサン、1,1−ジベンゾイルオクタデカ
ン、ジナフトイルメタン、ジシンナモイルメタンなどが
挙げられ、また、一般式(V)で示されるβ−ジケトン
類の具体例としては などの構造式で示される化合物が挙げられる。
上記のβ−ジケトン類からの金属キレートを構成する金
属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セ
シウム、ルビジウムなどのアルカリ金属類、バリウム、
ストロンチウム、カルシウム、マグネシウムなどのアル
カリ土類金属類、チタン、鉄などが挙げられ、ナトリウ
ム、カリウム、リチウムが好ましい。
(e)のマロン酸エステルまたはβ−ケトンエステル類
の金属キレートとしては、下記一般式(VI)および(VI
I)で示される化合物の金属キレートであり、 (式中R7,R8はアルキル基、芳香族基、脂肪族脂環基を
示す。R7とR8とは互いに結合して、環状構造を形成して
もよい。) 一般式(VI)のマロン酸エステルの具体例としては、ジ
メチルマロネート、ジエチルマロネート、ジイソプロピ
ルマロネート、ジ−t−ブチルマロネート、ジドデシル
マロネート、ジオクタデシルマロネート、ジベンジルマ
ロネート、ジフェニルマロネート、ジナフチルマロネー
ト、ジシクロヘキシルマロネートなどが挙げられ、ジイ
ソプロピルマロネート、ジ−t−ブチルマロネート、ジ
シクロヘキシルマロネートなどが挙げられ、また、一般
式(VII)で示されるβ−ケトエステル類の具体例とし
ては、 などの構造式で示される化合物が挙げられる。
上記のマロン酸エステルまたはβ−ケトエステル類から
の金属キレートを構成する金属の例としては、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウムなど
のアルカリ金属類、バリウム、ストロンチウム、カルシ
ウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属類、チタ
ン、鉄などが挙げられ、ナトリウム、カリウム、リチウ
ムが好ましい。
これらの有機金属塩の添加量は(A)芳香族ポリエステ
ル、(B)ポリアミドエラストマ、(C)グリシジル基
含有オレフィン系共重合体の合計量100重量部に対し0.
01〜7重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。
添加量が、0.01重量部未満では低温雰囲気下の靭性改良
効果が小さくなる傾向があるばかりか、成形性が大幅に
低下して好ましくない。また7重量部を越えると耐衝撃
性が低下する傾向があるので好ましくない。
芳香族ポリエステルの低温雰囲気下の実用的な靭性を向
上せしめ、かつ、成形性と耐熱性を同時に改良するに
は、芳香族ポリエステルにポリアミドエラストマ、グリ
シジル基含有オレフィン系共重合体および有機金属塩を
含有せしめることが必要であり、これら三者が相乗的に
作用して効果を発現するもので、これらのうち一つが欠
けても十分な効果が得られない。
これらの効果が発現する原理については十分に解明され
ていないが、芳香族ポリエステル中にガラス転移温度が
低いポリアミドエラストマを微細に分散せしめることに
より、ポリエステルの低温雰囲気下での靭性を改良して
いるものと推定される。
しかし、ポリエステルとポリアミドエラストマとは相溶
性が不良であるため、両者のみのブレンドではポリアミ
ドエラストマを芳香族ポリエステル中に均一に、微細に
分散せしめることは難しいが、グリシジル基含有オレフ
ィン系共重合体が同時に存在した場合にはグリシジル基
含有オレフィン系共重合体の相溶化作用により、ポリア
ミドエラストマが芳香族ポリエステル中に微細分散し、
大幅な耐衝撃性改良効果が発現するものと思われる。こ
の効果は有機金属塩の存在下でさらに効率よく発現し、
低温雰囲気下での靭性がさらに飛躍的に向上するものと
推定される。
また、前記金属塩は芳香族ポリエステルの結晶核剤とし
て、ポリアミドエラストマは結晶化促進剤として相乗的
に作用することから、ポリエステルの結晶性が向上し、
成形性および耐熱性も同時に改良されるものと推定され
る。
本発明には、さらにエポキシ化合物を添加することによ
り、一層低温雰囲気下での靭性を改良することができ
る。
これらのエポキシ化合物の例としてはエポキシシランや
エポキシ基を1個以上有するモノまたはポリエポキシ化
合物などであり、具体的にはα−グリシドキシプロピル
トリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン、ビス
フェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エ
ポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、レ
ゾルシン型エポキシ化合物、テトラヒドロキシフェニル
メタン型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合
物、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタ
ジエンオキシドなどの脂環化合物型エポキシ化合物、フ
ェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェニルグリ
シジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジル
エーテルなどのグリシジルエーテル化合物、エポキシ化
ポリブタジエン、トリグリシジルイソシアヌレートなど
のポリエポキシ化合物、テレフタル酸ジグリシジルエス
テル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘ
キサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、オクタデカ
ンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグ
リシジルエステルなどのグリシジルエステル化合物、p
−グリシドキシ安息香酸グリシジル、o−グリシドキシ
安息香酸グリシジル、6−グリシドキシナフタレン−2
−カルボン酸グリシジル、p−グリシドキシヘキサヒド
ロキシ安息香酸グリシジルなどのグリシジルエーテルエ
ステル化合物、グリシジルイミド化合物、グリシジルア
ミドなどを挙げることができる。
これらエポキシ化合物添加量は(A)芳香族ポリエステ
ル、(B)ポリアミドエラストマ、(C)グリシジル基
含有オレフィン系共重合体の合計量100重量部に対し、
0.01〜15重量部の範囲が効果的である。
また、本発明の組成物には結晶化促進剤としてポリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコールジベンゾエー
ト、ポリエチレングリコールビス(2−エチレンヘキサ
ノエート)などのポリアルキレングリコール誘導体、ネ
オペンチルグリコールジベンゾエートなどの安息香酸エ
ステル、ポリラクトン類、N−置換トルエンスルホンア
ミドなどを添加することができる。これらの結晶化促進
剤を添加することにより、より良好な成形品が得られ
る。
本発明には本発明の目的を損なわない範囲で、繊維状、
板状、粒状などの各種の充填剤を使用することができ、
具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、鉱物繊維、金
属繊維、アスベスト繊維、有機繊維、石こうウィスカ、
チタン酸カリウムウィスカ、炭化ケイ素ウィスカ、アル
ミナウィスカ、黒鉛ウィスカ、珪酸カルシウム、ワラス
テナイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化ジルコニウ
ム、三酸化アンチモン、二酸化モリブデンなどの金属酸
化物、マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、クレ
ー、長石、蛙石、ガラス粉末、黒鉛、カーボンブラッ
ク、樹脂粉末などの有機質粉末などが挙げられ、石こう
ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、珪酸カルシウ
ム、ワラスメナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、酸化チタン、マイカ、タルク、クレーが特に好まし
く使用できる。これら充填剤を二種以上混合して用いて
もよい。
これら充填剤の添加量はポリエチレンテレフタレートに
対して0〜50重量部、好ましくは0〜30重量部である。
添加量は50重量部を越えるとポリエチレンテレフタレー
トの耐衝撃性が低下する傾向があるので好ましくない。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されるものではな
いが、例えば芳香族ポリエステル、ポリアミドエラスト
マ、グリシジル基含有オレフィン系共重合体、有機金属
塩および必要により他の添加物を配合し、2軸スクリュ
ーを有した押出機に供給し、溶融混練してペレットとす
る方法などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は射出成形、押出成形、ブロー成
形、真空成形などの通常の方法で容易に成形が可能であ
り、得られた成形品は優れた性質を発揮する。
〔実施例〕
以下実施例を挙げて本発明の効果をさらに詳述する。
参考例 (1)ポリアミドエラストマとしては第1表のポリマを使
用した。
(2)グリシジル基含有オレフィン系共重合体は下記のも
のを使用した。
E-1:エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体 〔重量比 90/10、MI3.6g/10分(190℃)〕 E-2:エチレン/メタクリル酸/グリシジル/酢酸ビニル共重合体 〔重量比 90/5/5、MI2.5g/10分(190℃)〕 実施例1〜18、比較例1〜17 固有粘度0.76dl/gのポリエチレンテレフタレート100重
量部に対して第2表に示した種類と割合のポリアミドエ
ラストマ、グリシジル基含有オレフィン系共重合体、有
機金属塩およびその他の添加物を配合し、 275℃に設定
した30mmφの2軸スクリューを有する。押出機に供給し
溶融混練ペレットとした。次に得られたペレットを 280
℃に設定した型締圧力75tのスクリューインライン型射
出成形機に供し、80℃および 120℃に温調した金型を用
いて下記の試験片を作成した。
試験片No.1を用いASTM D256により−30℃雰囲気下での
ノッチ付きIzod衝撃強度の測定を行った。
試験片No.2を用いASTM D648にしたがい熱変形温度の測
定を行った。
また、成形性は、試験片No.3を成形する際の金型から
成形品を脱型するときの力(離形力)の測定および成形
品の外観の目視観察により求めた。
低温雰囲気下の靭性は、−40℃の雰囲気下で試験片No.
3に5kgの鋼鉄製のブロックを衝突せしめて破壊する落
錘破壊テストを行った際に成形品を破壊するに必要なエ
ネルギーおよび破壊状態を観察により求めた。
テスト結果を第2表に示した。比較例を第3表に示し
た。
第2表および第3表の結果から明らかなように、芳香族
ポリエステルにポリアミドエラストマ、グリシジル基含
有オレフィン系共重合体および有機金属塩を含有せしめ
た組成物は低温時の靭性がすぐれ、延性破壊するため破
壊時の破壊片の飛散がない。しかも耐熱性、成形性が均
衡して優れていることがわかる。
実施例18〜21、比較例19〜25 固有粘度0.95dl/gのポリブチレンテレフタレートを使用
する以外は実施例1および比較例2と同様に行い、性能
評価を行った。テスト結果を第4表に示した。
芳香族ポリエステルにポリアミドエラストマ、グリシジ
ル基含有オレフィン系共重合体および有機金属塩と同時
に含有せしめた組成物は低温時の靭性が優れ、延性破壊
するため破壊時の破壊片の飛散がない。しかも耐熱性、
成形性が均衡して優れていることがわかる。
〔発明の効果〕 本発明の熱可塑性ポリエステル組成物は低温時の靭性、
耐熱性が均衡して優れているため、自動車部品などの機
能部品として有効に使用できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 63/08 NJX 8830−4J NJZ 8830−4J 77/00 LQT 9286−4J LQU 9286−4J

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)芳香族ポリエステル20〜97重量%、 (B)ポリアミドエラストマ2〜50重量%、および (C)グリシジル基含有オレフィン系共重合体1〜50重
    量%からなる樹脂組成物100重量部に対して (D)有機金属塩0.01〜7重量部を配合してなる熱可塑
    性ポリエステル組成物。
JP21244388A 1988-08-29 1988-08-29 熱可塑性ポリエステル組成物 Expired - Lifetime JPH0651831B2 (ja)

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